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特開2024-175317原稿読取装置、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175317
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】原稿読取装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
H04N1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093007
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 竹寿
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA13
5C072CA02
5C072EA05
5C072EA06
5C072FB25
5C072LA03
5C072LA08
5C072MA01
5C072MB06
5C072UA11
5C072UA13
(57)【要約】
【課題】原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアの汚れの有無を簡易に判定可能な原稿読取装置を提供する。
【解決手段】原稿読取装置1は、原稿台11と、原稿台11の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を検知するラインセンサー14および物体認識センサー16と、判定部35とを備える。判定部35は、情報が定型サイズ条件を満たすことに応じて、原稿台11に置かれた原稿が定型サイズを有すると判定する。さらに、判定部35は、情報が原稿の存在を示し、かつ、情報が定型サイズ条件を満たさないことに応じて、情報が検知される一部のエリアが汚れていると判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取装置であって、
原稿台と、
前記原稿台の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を検知する検知部と、
判定部とを備え、
前記判定部は、
前記情報が予め定められた条件を満たすことに応じて、前記原稿台に置かれた前記原稿が定型サイズを有すると判定し、
前記情報が前記原稿の存在を示し、かつ、前記情報が前記予め定められた条件を満たさないことに応じて、前記一部のエリアが汚れていると判定する、原稿読取装置。
【請求項2】
前記情報は、
前記原稿の第1方向のサイズに応じて変化する第1情報と、
前記原稿の第2方向のサイズに応じて変化する第2情報とを含み、前記第2方向は、前記第1方向と交差する、請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記第1方向に沿ったライン画像を前記第1情報として検知するラインセンサーを含む、請求項2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記第1方向に沿った複数の第1位置における前記原稿の有無を示す第1存否情報を前記第1情報として検知する複数の第1物体認識センサーを含む、請求項2に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記第2方向に沿った1以上の第2位置における前記原稿の有無を示す第2存否情報を前記第2情報として検知する1以上の第2物体認識センサーを含む、請求項3または4に記載の原稿読取装置。
【請求項6】
前記検知部は、前記ラインセンサーを前記第2方向に沿って移動させる駆動部を含み、
前記ラインセンサーは、前記第2方向に沿った輝度の変化を示す輝度情報を前記第2情報として検知する、請求項3に記載の原稿読取装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記第1情報が前記原稿の存在を示すことに応じて、前記第1情報に基づいて、前記第1方向に沿った原稿長を特定し、
前記予め定められた条件は、前記原稿長と前記定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるという第1条件を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記第1情報に基づいて、前記第1方向における前記原稿の両端と見なされる位置を特定し、前記両端と見なされる位置に基づいて前記原稿長を計算し、
前記判定部は、前記第1情報が前記第1条件を満たさないことに応じて、前記両端と見なされる位置の少なくとも一方が汚れていると判定する、請求項7に記載の原稿読取装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記第1情報が前記原稿の存在を示すことに応じて、前記第1情報に基づいて、前記第1方向に沿った原稿長を特定し、
前記予め定められた条件は、前記原稿長と前記定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるという第1条件を含み、
前記判定部は、前記第1情報が前記第1条件を満たさないことに応じて、前記1以上の第2位置のうち、前記原稿が存在することを示す前記第2存否情報に対応する第2位置が汚れていると判定する、請求項5に記載の原稿読取装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記第1情報が前記原稿の存在を示さないことに応じて、前記1以上の第2位置のうち、前記原稿が存在することを示す前記第2存否情報に対応する第2位置が汚れていると判定する、請求項5に記載の原稿読取装置。
【請求項11】
前記原稿台を覆う原稿カバーをさらに備え、
前記判定部は、前記原稿カバーが開状態から閉状態に変化する所定のタイミングにおいて、動作する、請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項12】
原稿台に置かれた原稿の画像を読み取る原稿読取装置の制御方法であって、
前記原稿台の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を取得することと、
前記情報が予め定められた条件を満たすことに応じて、前記原稿台に置かれた前記原稿が定型サイズを有すると判定することと、
前記情報が前記原稿の存在を示し、かつ、前記情報が前記予め定められた条件を満たさないことに応じて、前記一部のエリアが汚れていると判定することとを備える、制御方法。
【請求項13】
原稿台に置かれた原稿の画像を読み取る原稿読取装置の制御方法をコンピューターに実行させるプログラムであって、
前記制御方法は、
前記原稿台の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を取得することと、
前記情報が予め定められた条件を満たすことに応じて、前記原稿台に置かれた前記原稿が定型サイズを有すると判定することと、
前記情報が前記原稿の存在を示し、かつ、前記情報が前記予め定められた条件を満たさないことに応じて、前記一部のエリアが汚れていると判定することとを備える、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原稿読取装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿台に置かれた原稿の画像を読み取る原稿読取装置が知られている。一般に、原稿読取装置は、原稿の画像を読み取る前に、原稿のサイズを検知する。原稿のサイズは、例えば、原稿台を覆う原稿カバーを閉じようとしている短時間において検知される。そのため、原稿のサイズは、原稿台の一部のエリアから得られる情報に基づいて検知される。この一部のエリアに汚れが付着していると、原稿読取装置は、原稿台に原稿が置かれていないにもかかわらず、原稿が存在すると判定し得る。あるいは、原稿読取装置は、原稿台に置かれた原稿のサイズと異なるサイズを誤って検知し得る。
【0003】
特開平8-204911号公報(特許文献1)は、原稿台に汚れが付着したとしても、原稿のサイズを正確に検知する技術を開示している。ただし、特許文献1は、原稿台の汚れの有無を検知する技術を開示しない。
【0004】
特開2010-193100号公報(特許文献2)、特開2021-150885号公報(特許文献3)および特開2015-162688号公報(特許文献4)は、原稿台に置かれた原稿を読み取ることにより得られる2次元のスキャン画像を用いて、原稿台の汚れを検知する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-204911号公報
【特許文献2】特開2010-193100号公報
【特許文献3】特開2021-150885号公報
【特許文献4】特開2015-162688公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2~4に開示の技術は、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアに限定して、原稿台の汚れの有無を検知するものではない。
【0007】
本開示は、上記のような背景を鑑みてなされたものであり、その目的は、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアの汚れの有無を簡易に判定可能な原稿読取装置、制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に従えば、原稿読取装置は、原稿台と、原稿台の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を検知する検知部と、判定部とを備える。判定部は、情報が予め定められた条件を満たすことに応じて、原稿台に置かれた原稿が定型サイズを有すると判定する。判定部は、情報が原稿の存在を示し、かつ、情報が予め定められた条件を満たさないことに応じて、一部のエリアが汚れていると判定する。
【0009】
本開示のある局面に従えば、原稿台に置かれた原稿の画像を読み取る原稿読取装置の制御方法は、原稿台の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を取得することと、情報が予め定められた条件を満たすことに応じて、原稿台に置かれた原稿が定型サイズを有すると判定することと、情報が原稿の存在を示し、かつ、情報が予め定められた条件を満たさないことに応じて、一部のエリアが汚れていると判定することとを備える。
【0010】
本開示のある局面に従えば、プログラムは、上記の制御方法をコンピューターに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、原稿読取装置、制御方法およびプログラムは、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアの汚れの有無を簡易に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る原稿読取装置の構成の一例を示す図である。
図2図1に示す原稿読取装置に備えられる原稿台、ラインセンサーおよび物体認識センサーの位置関係を示す図である。
図3】CPUの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図3に示すステップS3のサブルーチンの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5図3に示すステップS5において表示される画面の一例を示す図である。
図6】変形例2に係るステップS3のサブルーチンの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本開示に従う実施の形態および変形例について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0014】
(原稿読取装置の構成)
図1および図2を参照して、実施の形態に係る原稿読取装置の構成が説明される。図1は、実施の形態に係る原稿読取装置の構成の一例を示す図である。図2は、図1に示す原稿読取装置に備えられる原稿台、ラインセンサーおよび物体認識センサーの位置関係を示す図である。
【0015】
図1に示されるように、実施の形態に係る原稿読取装置1は、本体部10と、操作部20と、コントローラー30と、画像処理装置40とを備える。
【0016】
本体部10は、原稿台11と、原稿カバー12と、傾斜センサー13と、ラインセンサー14と、駆動部15と、物体認識センサー16とを含む。
【0017】
原稿台11は、原稿が置かれる透明のガラス板である。図2に示されるように、原稿台11は、平面視矩形状である。ユーザーは、矩形状の原稿60の1つの頂点と、原稿台11の1つの頂点(図2に示す基準点11a)とが一致するように、原稿台11の上に原稿60を置く。
【0018】
原稿カバー12は、原稿台11を覆う。原稿カバー12は、原稿台11の端部に回動可能に取り付けられる。これにより、原稿カバー12は、原稿台11に対して開閉可能である。ユーザーは、原稿カバー12が開かれた状態において、原稿台11に原稿60を置く。原稿台11に原稿60が置かれているときに閉じられると、原稿カバー12は、原稿60を原稿台11に押さえつける。
【0019】
傾斜センサー13は、原稿カバー12と原稿台11とのなす角度θを検知する。傾斜センサー13は、角度θが予め定められた角度(例えば30°)を超えるときにオン信号を出力し、角度θが予め定められた角度以下であるときにオフ信号を出力する。
【0020】
ラインセンサー14および物体認識センサー16は、原稿台11の一部のエリアにおいて原稿60のサイズに応じて変化する情報を検知する検知部の一例である。物体認識センサー16は、本開示の「第2物体認識センサー」の一例である。
【0021】
ラインセンサー14は、原稿台11の下方において、原稿台11と対向するように配置される。ラインセンサー14は、主走査方向に沿って配列されたN個の撮像素子14aを含む。図2には、N個の撮像素子14aのうちの1つにのみ符号「14a」が付されている。図2に示されるように、主走査方向は、原稿台11の短辺方向であるX方向に平行である。N個の撮像素子14aの各々は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)を含み、原稿台11側から受ける光の強度(輝度)を電気信号に変換する。
【0022】
ラインセンサー14は、N個の撮像素子14aの電気信号を用いてライン画像を生成する。ライン画像は、N個の撮像素子14aに対応する第1~第N画素によって構成される。第1~第N画素は、この順に配列される。すなわち、第k画素は、第k-1画素と第k+1画素の間に位置する。第1画素は、基準点11aに最も近い撮像素子14aに対応する。第N画素は、基準点11aから最も遠い撮像素子14aに対応する。
【0023】
駆動部15は、コントローラー30からのスキャン指示に応じて、主走査方向と交差する副走査方向に沿ってラインセンサー14を移動させる。図2に示す例では、駆動部15は、主走査方向と直交する副走査方向に沿って、ラインセンサー14を移動させる。副走査方向は、原稿台11の長辺方向であるY方向に平行である。駆動部15は、スキャン指示に応じてラインセンサー14を移動させた後、ラインセンサー14を基準位置に戻す。図2に示す例において、ラインセンサー14は、基準位置に位置する。
【0024】
ラインセンサー14は、コントローラー30からのスキャン指示に応じて、駆動部15によって移動されるときに生成した複数のライン画像を画像処理装置40に出力する。後述するように、複数のライン画像が結合されることにより、2次元のスキャン画像が生成される。
【0025】
さらに、ラインセンサー14は、基準位置に位置しているときにコントローラー30からサイズ検知指示を受ける。ラインセンサー14は、サイズ検知指示を受けたことに応じてライン画像を生成し、ライン画像をコントローラー30に出力する。サイズ検知指示に応じて生成されるライン画像は、原稿台11のうち、基準位置に位置しているラインセンサー14に対向するエリアの輝度を表す。基準位置に位置しているラインセンサー14に対向するエリアは、本開示の「一部のエリア」の一例である。原稿台11に原稿60が置かれている場合、ライン画像において、原稿60が写る画素の輝度は、背景が写る画素の輝度と異なる。原稿60が写る画素の範囲は、原稿60の主走査方向のサイズを表す。そのため、ライン画像は、原稿台11に置かれた原稿60の主走査方向のサイズに応じて変化する第1情報に相当する。主走査方向(X方向)は、本開示の「第1方向」の一例である。
【0026】
サイズ検知指示を受けたことに応じて生成されるライン画像は、原稿台11に置かれた原稿60のサイズを検知するために利用される。このように、ラインセンサー14は、2次元のスキャン画像を生成する目的と、原稿60のサイズを検知する目的との両方に利用される。
【0027】
物体認識センサー16は、原稿台11の固定位置11bの下方において、固定位置11bと対向するように配置される。固定位置11bは、原稿台11の左辺(基準点11aを含む、X方向に沿った辺)から副走査方向(Y方向)に一定距離(例えば、定型サイズ「A4」の短辺よりも長く、定型サイズ「B4」の長辺よりも短い距離)だけ離れている。固定位置11bは、本開示の「一部のエリア」に含まれる「第2位置」の一例である。
【0028】
物体認識センサー16は、固定位置11bに原稿60が存在するか否かを検知する。物体認識センサー16は、例えば光電センサーであり、固定位置11bに向けて光を照射し、反射光の強度を計測する。物体認識センサー16は、反射光の強度に応じて、固定位置11bに原稿60が存在するか否かを判断する。
【0029】
図2に示す例では、原稿60は固定位置11bに存在しない。そのため、物体認識センサー16は、固定位置11bに原稿60が存在しないと判断する。しかしながら、固定位置11bに汚れが付着している場合、物体認識センサー16は、汚れからの反射光を受け、原稿60が存在していると誤って判断し得る。
【0030】
物体認識センサー16は、コントローラー30からサイズ検知指示を受ける。物体認識センサー16は、サイズ検知指示を受けたことに応じて、固定位置11bにおける原稿60の有無を示す存否情報を生成し、存否情報をコントローラー30に出力する。物体認識センサー16から出力される存否情報は、本開示の「第2存否情報」の一例である。
【0031】
上述したように、原稿60の1つの頂点と原稿台11の基準点11aとが一致するように、原稿台11の上に原稿60が置かれる。そのため、存否情報が「原稿有り」を示す場合、原稿60の副走査方向のサイズは、副走査方向に沿った基準点11aと固定位置11bとの距離よりも長い。一方、存否情報が「原稿無し」を示す場合、原稿60の副走査方向のサイズは、副走査方向に沿った基準点11aと固定位置11bとの距離よりも短い。このように、存否情報は、原稿台11に置かれた原稿60の副走査方向のサイズに応じて変化する第2情報に相当する。副走査方向(Y方向)は、本開示の「第2方向」の一例である。
【0032】
なお、本体部10は、自動原稿送り機構(ADF(Automatic Document Feeder)機構)を含んでもよい。
【0033】
操作部20は、ユーザーに情報を提示するとともに、ユーザーからの入力を受け付けるユーザーインターフェイスである。操作部20は、表示パネル21と入力装置22とを含む。表示パネル21は、例えば液晶ディスプレイを含む。入力装置22は、例えばタッチパッドまたはハードキーを含む。
【0034】
コントローラー30は、コンピューターによって構成される。コントローラー30は、ハードウェアプロセッサーであるCPU(Central Processing Unit)31と、RAM(Random Access Memory)32と、ストレージ33とを備える。
【0035】
CPU31は、原稿読取装置1の動作を制御するためのプログラム34を実行する。CPU31によって実行されるプログラム34は、原稿台11に置かれた原稿60のサイズおよび原稿台11の汚れの有無を判定するプログラムを含む。CPU31がプログラム34を実行することにより、判定部35が実現される。判定部35として動作するCPU31の処理の詳細は後述される。
【0036】
ある局面において、プログラム34は、ストレージ33に格納されている。他の局面において、CPU31は、ネットワークを介して、外部の機器からプログラム34を取得してもよい。
【0037】
RAM32は、CPU31によって実行されるプログラムおよび参照されるデータを一時的に格納する。ある局面において、RAM32は、SRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)などであり得る。
【0038】
ストレージ33は、CPU31により実行されるOS(Operating System)およびプログラム34を格納する。ある局面において、ストレージ33は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリーなどによって構成される。
【0039】
他の局面において、コントローラー30は、少なくとも1つの組み込みCPU、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、または少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)などの回路素子によって構成されてもよい。さらに他の局面において、コントローラー30は、当該回路素子の2つ以上の組み合わせによって構成されてもよい。
【0040】
画像処理装置40は、原稿60を読み取ることにより得られる2次元のスキャン画像に対する画像処理を行なう。画像処理装置40は、例えばコンピューターによって構成される。画像処理装置40は、画像編集部41と記憶装置42とを含む。
【0041】
画像編集部41は、スキャン指示に応じてラインセンサー14から出力された複数のライン画像を結合することにより2次元のスキャン画像を生成する。画像編集部41は、コントローラー30によって判定された原稿のサイズに基づいて、スキャン画像から原稿領域の画像を抽出する。さらに、画像編集部41は、コントラスト調整、明度調整などの公知の画像処理をスキャン画像に対して行なってもよい。画像編集部41は、スキャン画像を記憶装置42に格納する。
【0042】
(原稿のサイズおよび原稿台の汚れの有無の判定処理)
図3および図4を参照して、CPU31の処理の概要を説明する。図3は、CPUの処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS1において、CPU31は、傾斜センサー13からの信号がオン状態からオフ状態に変化したか否かを判断する。上述したように、傾斜センサー13は、角度θが予め定められた角度(例えば30°)を超えるときにオン信号を出力し、角度θが予め定められた角度以下であるときにオフ信号を出力する。そのため、CPU31は、原稿カバー12が開状態から閉状態に変化するタイミングにおいて、ステップS1の処理結果がYESであると判断する。
【0043】
傾斜センサー13からの信号がオン状態からオフ状態に変化していない場合(ステップS1においてNO)、処理はステップS1に戻る。
【0044】
傾斜センサー13からの信号がオン状態からオフ状態に変化した場合(ステップS1においてYES)、ステップS2において、CPU31は、サイズ検知指示をラインセンサー14および物体認識センサー16に出力する。これにより、基準位置に位置するラインセンサー14は、ライン画像を生成し、ライン画像をCPU31に出力する。物体認識センサー16は、固定位置11bの原稿の有無を示す存否情報を生成し、存否情報をCPU31に出力する。
【0045】
次のステップS3において、CPU31は、判定部35として動作し、原稿の有無、原稿のサイズ、及び、原稿台の汚れの有無を判定する。すなわち、判定部35は、ステップS1においてYESと判断されるタイミングにおいて、動作する。
【0046】
次のステップS4において、CPU31は、ステップS3の判定結果を確認する。ステップS3の判定結果が「汚れ有り」を示す場合、ステップS5において、判定部35として動作するCPU31は、原稿台11の清掃を促す画面を表示パネル21に表示させる。
【0047】
ステップS3の判定結果が「原稿が定型サイズを有する」を示す場合、ステップS6において、判定部35として動作するCPU31は、検知されたサイズをRAM32に保存する。
【0048】
ステップS5またはステップS6の後、処理は終了する。ステップS3の判定結果が「原稿及び汚れ無し」を示す場合も、処理は終了する。
【0049】
図4は、図3に示すステップS3のサブルーチンの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS11において、CPU31は、ラインセンサー14および物体認識センサー16から、原稿台11の一部のエリアにおける原稿のサイズに応じて変化する情報を取得する。本実施の形態では、CPU31は、ラインセンサー14から、原稿60の主走査方向のサイズに応じて変化する第1情報として、ライン画像を取得する。さらに、CPU31は、物体認識センサー16から、原稿の副走査方向のサイズに応じて変化する第2情報として、存否情報を取得する。
【0051】
次のステップS12およびS13において、CPU31は、ステップS11において取得した情報が定型サイズ条件を満たすか否かを判断する。定型サイズ条件は、定型サイズを有する原稿が原稿台11に置かれたときに得られる情報に基づいて、予め定められる。定型サイズ条件は、本開示の「予め定められた条件」の一例である。定型サイズ条件は、第1情報が「原稿有り」を示すという予備条件と、主走査方向に沿った原稿長と定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるという第1メイン条件とを含む。基準範囲は、ラインセンサー14の計測誤差を考慮して予め定められる。第1メイン条件は、本開示の「第1条件」の一例である。
【0052】
ステップS12において、CPU31は、取得した情報が予備条件を満たすか否かを判断する。すなわち、CPU31は、第1情報が「原稿有り」を示すか否かを判断する。
【0053】
第2情報である存否情報は、原稿の有無を直接的に示す。これに対して、第1情報であるライン画像は、原稿の有無を直接的に示さない。そのため、CPU31は、例えば以下のようにして、第1情報が「原稿有り」および「原稿無し」のいずれを示すか判断する。
【0054】
サイズ検知指示は、原稿カバー12が開状態から閉状態に変化するときに出力される。そのため、第1情報であるライン画像は、原稿カバー12が閉じられていない状態のときに生成される。したがって、原稿台11に原稿が置かれている場合、ライン画像において、原稿の写る画素の輝度と、背景の画素の輝度との差が大きい。すなわち、隣接する画素との輝度差が閾値を超える画素は、原稿端の写っている画素である可能性が高い。そのため、CPU31は、ライン画像において、隣接する画素との輝度差が閾値を超える画素が存在する場合に、第1情報が「原稿有り」を示すと判断すればよい。
【0055】
ステップS12においてYESの場合、CPU31は、ステップS13において、取得した情報が第1メイン条件を満たすか否かを判断する。具体的には、CPU31は、主走査方向に沿った原稿長と定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるか否かを判断する。言い換えると、CPU31は、主走査方向の原稿長が定型サイズであるか否かを判断する。
【0056】
定型サイズは、複数種類のサイズを含む。例えば、定型サイズとして、「A4」、「A5」、「B5」、「B4」などが存在する。また、原稿台11に置かれる原稿の向きとして、「縦向き」および「横向き」が存在する。「横向き」は、原稿の短辺が主走査方向(X方向)に平行であるときの原稿の向きである。「縦向き」は、原稿の長辺が主走査方向(X方向)に平行であるときの原稿の向きである。そのため、第1メイン条件は、定型サイズの種類と原稿の向きとの組み合わせごとに予め定められる。
【0057】
例えば、定型サイズ「A4」と原稿の向き「縦向き」との組み合わせに対応する第1メイン条件(1)は、主走査方向に沿った原稿長と定型サイズ「A4」の長辺の長さ「297mm」との差が基準範囲内であるという条件である。定型サイズ「A4」と原稿の向き「横向き」との組み合わせに対応する第1メイン条件(2)は、主走査方向に沿った原稿長と定型サイズ「A4」の短辺の長さ「210mm」との差が基準範囲内であるという条件である。定型サイズ「A3」と原稿の向き「横向き」との組み合わせに対応する第1メイン条件(3)は、主走査方向に沿った原稿長と定型サイズ「A3」の短辺の長さ「297mm」との差が基準範囲内であるという条件である。
【0058】
CPU31は、ラインセンサー14から取得した第1情報(ライン画像)に基づいて、主走査方向に沿った原稿長を特定する。具体的には、CPU31は、ライン画像に含まれる第1~第N画素の中から、原稿端が写っていると見なされる2つの画素(以下、「第1エッジ画素」および「第2エッジ画素」と称する。)を抽出する。CPU31は、原稿台11において、第1,第2エッジ画素に対応する2つの撮像素子14aに対向する位置を、主走査方向における原稿の両端と見なされる位置として特定する。CPU31は、第1,第2エッジ画素間の距離に基づいて、主走査方向に沿った原稿長を計算する。
【0059】
図2を参照して説明したように、原稿60の1つの頂点と原稿台11の基準点11aとが一致するように、原稿台11の上に原稿60が置かれる。そのため、CPU31は、ライン画像の中から、基準点11aに最も近い撮像素子14aに対応する第1画素を第1エッジ画素として抽出する。さらに、CPU31は、ライン画像の中から、基準点11aよりも遠い側の原稿端の写る画素を第2エッジ画素として抽出する。具体的には、CPU31は、ライン画像のうち、第N-1画素から第1画素に向かって注目画素を順に選択する。CPU31は、注目画素と、注目画素の第N画素側に隣接する画素との輝度差を計算する。CPU31は、輝度差と閾値とを比較する。CPU31は、はじめて輝度差が閾値を超える注目画素を第2エッジ画素として抽出する。
【0060】
あるいは、CPU31は、第1画素を第1エッジ画素として抽出する代わりに、以下のようにして、ライン画像の中から第1エッジ画素を抽出してもよい。すなわち、CPU31は、ライン画像のうち、第2画素から第N画素に向かって注目画素を順に選択する。CPU31は、注目画素と、注目画素の第1画素側に隣接する画素との輝度差を計算する。CPU31は、輝度差と閾値とを比較する。CPU31は、はじめて輝度差が閾値を超える注目画素を第1エッジ画素として抽出する。
【0061】
ステップS13においてYESの場合、CPU31は、取得した情報が定型サイズ条件を満たすと判断し、処理をステップS14に進める。
【0062】
ステップS14において、CPU31は、「原稿が定型サイズを有する」と判定する。上述したように、定型サイズは、複数種類のサイズを含む。また、原稿の向きとして、「縦向き」および「横向き」が存在する。そのため、CPU31は、第1情報が満たす第1メイン条件と物体認識センサー16から取得した第2情報との組み合わせに応じて、定型サイズの種類と原稿の向きとを特定する。
【0063】
例えば、主走査方向の原稿長さが297mmである場合、主走査方向の原稿長さは、定型サイズ「A4」と原稿の向き「縦向き」との組み合わせに対応する第1メイン条件(1)と、定型サイズ「A3」と原稿の向き「横向き」との組み合わせに対応する第1メイン条件(3)とを満たす。この場合、CPU31は、第2情報である存否情報が「原稿有り」を示すときに、定型サイズを「A3」と特定し、原稿の向きを「横向き」と特定する。一方、CPU31は、第2情報である存否情報が「原稿無し」を示すときに、定型サイズを「A4」と特定し、原稿の向きを「縦向き」と特定する。
【0064】
取得した情報が定型サイズ条件を満たさないと判断された場合(ステップS12またはステップS13においてNO)、CPU31は、取得した情報が「原稿有り」を示すか否かを判断する。なお、ステップS12において、予備条件が満たされるか否かが判断されている。予備条件は、第1情報が「原稿有り」を示すという条件である。そのため、図4に示されるように、CPU31は、ステップS12においてNOと判断した場合にのみ、ステップS15において、第2情報である存否情報が「原稿有り」を示すか否かを判断する。そして、ステップS15においてNOと判断した場合、CPU31は、取得した情報が「原稿無し」を示すと判断する。CPU31は、ステップS15においてYESと判断した場合、または、ステップS12においてYESと判断された後にステップS13においてNOと判断された場合、取得した情報が「原稿有り」を示すと判断する。
【0065】
取得した情報が「原稿無し」を示す場合(ステップS15においてNO)、CPU31は、ステップS16において、「原稿及び汚れ無し」と判定する。
【0066】
取得した情報が「原稿有り」を示し、かつ、取得した情報が定型サイズ条件を満たさない場合(ステップS15においてYES、または、ステップS13においてNO)、CPU31は、ステップS17~S20の処理を行なうことにより、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアにおいて「汚れ有り」と判定する。
【0067】
具体的には、ステップS15においてYESの場合、CPU31は、ステップS17において、第2情報の検知対象である固定位置11bが汚れていると判定する。
【0068】
ステップS13においてNOの場合、CPU31は、ステップS18において、第2情報である存否情報が「原稿有り」を示すか否かを判断する。
【0069】
存否情報が「原稿有り」を示す場合(ステップS18においてYES)、CPU31は、ステップS19において、主走査方向における原稿の両端と見なされる位置の少なくとも一方(例えば、第2エッジ画素に対応する位置)と固定位置11bとが汚れていると判定する。主走査方向における原稿の両端と見なされる位置は、上述したように、ステップS13において特定されている。
【0070】
存否情報が「原稿無し」を示す場合(ステップS18においてNO)、CPU31は、ステップS20において、主走査方向における原稿の両端と見なされる位置の少なくとも一方(例えば、第2エッジ画素に対応する位置)が汚れていると判定する。
【0071】
(清掃を促す画面)
図5は、図3に示すステップS5において表示される画面の一例を示す図である。図5に示す画面21aは、CPU31によって生成され、表示パネル21に表示される。図5に示されるように、画面21aは、原稿台11の清掃を促すメッセージ21bと、清掃対象の位置を示す画像21cとを含む。
【0072】
CPU31は、図4に示すフローにおいて、ステップS17,S19,S20のうちのどれが実行されたかに応じて、画像21cを生成する。図5に示す画像21cは、ステップS19の判定結果に対応する。すなわち、画像21cは、ラインセンサー14の検知対象領域を表す枠線21dと、固定位置11bを表す枠線21eとを含む。図5に示す例では、枠線21dは、ラインセンサー14のライン画像から特定された原稿の両端と見なされる位置のうち、第2エッジ画素に対応する位置を表す。なお、枠線21dは、ラインセンサー14の検知対象領域の全体を囲むように描かれてもよい。
【0073】
ユーザーは、画面21aを確認することにより、原稿台11において枠線21d,21eに対応する箇所に注目する。その結果、ユーザーは、原稿台11の汚れを見つけやすくなる。
【0074】
なお、ステップS17が実行された場合、CPU31は、画像21cの代わりに、枠線21eのみを含む画像を生成すればよい。ステップS20が実行された場合、CPU31は、画像21cの代わりに、枠線21dのみを含む画像を生成すればよい。
【0075】
(スキャン画像の生成)
CPU31は、入力装置22にスキャンの実行指示が入力されたことに応じて、スキャン指示をラインセンサー14および駆動部15に出力する。これにより、ラインセンサー14は、移動中に生成した複数のライン画像を画像処理装置40に出力する。画像処理装置40は、複数のライン画像を結合することにより、2次元のスキャン画像を生成する。
【0076】
(利点)
以上のように、本実施の形態に係る原稿読取装置1は、原稿台11と、原稿台11の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報(第1情報および第2情報)を検知するラインセンサー14および物体認識センサー16と、判定部35とを備える。判定部35は、CPU31がプログラム34を実行することにより実現される。判定部35は、情報が定型サイズ条件を満たすことに応じて、原稿台11に置かれた原稿が定型サイズを有すると判定する。さらに、判定部35は、情報が原稿の存在を示し、かつ、情報が定型サイズ条件を満たさないことに応じて、情報が検知される一部のエリアが汚れていると判定する。
【0077】
上記の構成によれば、原稿読取装置1は、原稿のサイズを検知するために利用される情報を用いて、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアの汚れの有無を判定する。そのため、原稿読取装置1は、特許文献2~4に開示の技術のように2次元のスキャン画像を用いることなく、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアの汚れの有無を簡易に判定できる。
【0078】
ユーザーは、判定部35による判定結果を確認することにより、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアの汚れに早期に気付ける。これにより、汚れは、早期に取り除かれる。その結果、原稿のサイズの誤検知が抑制される。あるいは、原稿が置かれていないにもかかわらず、原稿台11に原稿が置かれていると誤って判定されることが抑制される。本体部10がADF機構を有する場合、原稿台11に原稿が置かれていると誤って判定されると、ADF機構が動作しなくなる。しかしながら、原稿台11の汚れが早期に取り除かれることにより、意図せずADF機構が動作しなくなる現象の発生頻度は、低減される。
【0079】
情報は、原稿の主走査方向のサイズに応じて変化する第1情報と、原稿の主走査方向と交差する副走査方向のサイズに応じて変化する第2情報とを含む。これにより、判定部35は、第1情報および第2情報を用いて、原稿のサイズを精度良く検知できる。
【0080】
判定部35は、第1情報が原稿の存在を示すことに応じて、第1情報に基づいて、主走査方向に沿った原稿長を特定する。定型サイズ条件は、主走査方向に沿った原稿長と定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるという第1メイン条件を含む。これにより、判定部35は、第1メイン条件が満たされることに応じて、原稿が定型サイズを有すると判定できる。
【0081】
判定部35は、第1情報に基づいて、主走査方向における原稿の両端と見なされる位置を特定し、当該両端と見なされる位置に基づいて、主走査方向に沿った原稿長を計算する。原稿台11には、通常、定型サイズの原稿が置かれる。そのため、主走査方向に沿った原稿長と定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲外である場合、原稿台11に付着した汚れによって、原稿の両端の位置が誤って特定されている可能性がある。そのため、判定部35は、第1情報が第1メイン条件を満たさないことに応じて、原稿の両端と見なされる位置の少なくとも一方が汚れていると判定する。これにより、ユーザーは、判定部35による判定結果を確認することにより、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアの汚れに早期に気付ける。
【0082】
物体認識センサー16は、固定位置11bにおける原稿の有無を示す存否情報を第2情報として生成する。第1情報が第1メイン条件を満たさず、かつ、存否情報が「原稿有り」を示す場合、第2情報の検知対象である固定位置11bも汚れている可能性がある。そのため、判定部35は、第1情報が第1メイン条件を満たさず、かつ、存否情報が「原稿有り」を示す場合、固定位置11bが汚れていると判定する。
【0083】
第1情報が「原稿無し」を示し、かつ、存否情報が「原稿有り」を示す場合も、第2情報の検知対象である固定位置11bが汚れていると推定される。そのため、判定部35は、第1情報が「原稿無し」を示し、かつ、存否情報が「原稿有り」を示す場合、固定位置11bが汚れていると判定する。
【0084】
原稿読取装置1は、原稿台11を覆う原稿カバー12をさらに備える。判定部35は、原稿カバー12が開状態から閉状態に変化する所定のタイミングにおいて、動作する。これにより、原稿カバー12が開閉されるたびに、判定部35が動作する。その結果、原稿読取装置1は、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアの汚れを早期に検知できる。
【0085】
例えば、図2に示すように定型サイズ「A4」の原稿60が縦向きに原稿台11に置かれ、固定位置11bに汚れが付着しているケースを想定する。この状態において、原稿カバー12が閉じられると、判定部35は、主走査方向に沿った原稿長と定型サイズ「A4」の長辺または定型サイズ「A3」の短辺の長さとの差が基準範囲内であると判断する。物体認識センサー16は、固定位置11bに付着している汚れの影響により、「原稿有り」を示す存否情報を生成する。そのため、判定部35は、原稿が定型サイズ「A3」であり、かつ、原稿の向きが「横向き」であると誤って検知する。しかしながら、ユーザーは、原稿読取装置1を使用した後、原稿カバー12を開いてから原稿を取り除き、原稿カバー12を閉じる。このとき、原稿台11の上には原稿60が存在しないが、固定位置11bには汚れが付着したままである。そのため、判定部35は、第1情報が「原稿無し」を示すと判断し(ステップS12においてNOと判断し)、第2情報である存否情報が「原稿有り」を示すと判断する(ステップS15においてYESと判断する)。これにより、判定部35は、ステップS17において、固定位置11bが汚れていると判定できる。
【0086】
(変形例1)
上記の実施の形態では、原稿読取装置1は、1つの物体認識センサー16を備える。しかしながら、原稿読取装置は、副走査方向に沿った複数の固定位置における原稿の有無を示す存否情報を第2情報として検知する複数の物体認識センサーを備えてもよい。複数の物体認識センサーは、本開示の「第2物体認識センサー」の一例である。
【0087】
原稿の定型サイズは、A系列およびB系列の他に、インチ系列(レターサイズ、リーガルサイズなど)を含む。原稿読取装置は、複数の物体認識センサーを備えることにより、A系列、B系列およびインチ系列の定型サイズを検知できる。
【0088】
変形例1に係るCPU31の処理の流れは、図3および図4に示すフローと同じである。ただし、ステップS14において、CPU31は、第1情報が満たす第1メイン条件と複数の物体認識センサーの各々から取得した存否情報との組み合わせに応じて、定型サイズの種類と原稿の向きとを特定する。
【0089】
また、ステップS15およびステップS18において、CPU31は、複数の物体認識センサーのうちの少なくとも1つから出力される存否情報が「原稿有り」を示すか否かを判断する。そして、ステップS17およびステップS19において、CPU31は、複数の固定位置のうち「原稿有り」を示す存否情報に対応する固定位置が汚れていると判定する。
【0090】
(変形例2)
原稿読取装置は、物体認識センサー16から取得される存否情報の代わりに、ラインセンサー14を副走査方向(Y方向)に移動させたときに得られる、特定の撮像素子14aが検知した輝度の変化を示す輝度情報を第2情報として用いてもよい。この場合、CPU31は、サイズ検知指示を駆動部15にも出力する。駆動部15は、サイズ検知指示を受けると、ラインセンサー14を副走査方向に沿って移動させる。駆動部15は、定型サイズの原稿端に位置し得る範囲においてのみ、ラインセンサー14を副走査方向に沿って移動させてもよい。
【0091】
ラインセンサー14は、サイズ検知指示を受けると、基準位置において生成したライン画像をコントローラー30に出力するとともに、駆動部15による移動中において特定の撮像素子14aが検知した輝度の変化を示す輝度情報をコントローラー30に出力する。輝度情報は、副走査方向の位置ごとの輝度を表す。そのため、輝度情報は、副走査方向に沿ったライン画像とも言える。従って、CPU31は、ライン画像に基づいて主走査方向に沿った原稿長を特定する方法と同じ方法に従って、輝度情報に基づいて副走査方向に沿った原稿長を特定できる。すなわち、CPU31は、輝度情報に基づいて、副走査方向における原稿の両端と見なされる位置を特定し、当該両端と見なされる位置間の距離を副走査方向に沿った原稿長として計算すればよい。
【0092】
変形例2に係るCPU31の処理の流れは、図3に示すフローと同じである。ただし、CPU31は、ステップS3のサブルーチンとして、図4に示すフローの代わりに図6に示すフローに従った処理を行なう。図6は、変形例2に係るステップS3のサブルーチンの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0093】
ステップS21において、CPU31は、ラインセンサー14から、原稿台11の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を取得する。すなわち、CPU31は、ラインセンサー14から、原稿の主走査方向のサイズに応じて変化する第1情報としてライン画像を取得する。さらに、CPU31は、ラインセンサー14から、原稿の副走査方向のサイズに応じて変化する第2情報として輝度情報を取得する。
【0094】
次のステップS22~S24において、CPU31は、ステップS11において取得した情報が定型サイズ条件を満たすか否かを判断する。変形例2に係る定型サイズ条件も、本開示の「予め定められた条件」の一例である。変形例2に係る定型サイズ条件は、上記の予備情報および第1メイン情報に加えて、副走査方向に沿った原稿長と定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるという第2メイン条件を含む。
【0095】
ステップS22において、CPU31は、取得した情報が予備条件を満たすか否かを判断する。すなわち、CPU31は、第1情報が「原稿有り」を示すか否かを判断する。ステップS22の内容は、上記のステップS12の内容と同じである。そのため、ステップS22の詳細な説明は省略される。
【0096】
ステップS22においてYESの場合、CPU31は、ステップS23において、取得した情報が第1メイン条件を満たすか否かを判断する。具体的には、CPU31は、主走査方向に沿った原稿長と定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるか否かを判断する。言い換えると、CPU31は、主走査方向の原稿長が定型サイズであるか否かを判断する。ステップS23の内容は、上記のステップS13の内容と同じである。そのため、ステップS23の詳細な説明は省略される。
【0097】
ステップS23においてYESの場合、CPU31は、ステップS24において、取得した情報が第2メイン条件を満たすか否かを判断する。具体的には、CPU31は、輝度情報に基づいて、副走査方向における原稿の両端と見なされる位置を特定し、当該両端と見なされる位置間の距離を副走査方向に沿った原稿長として計算する。そして、CPU31は、副走査方向に沿った原稿長と定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるか否かを判断する。言い換えると、CPU31は、副走査方向の原稿長が定型サイズであるか否かを判断する。
【0098】
ステップS24においてYESの場合、CPU31は、取得した情報が定型サイズ条件を満たすと判断し、処理をステップS25に進める。
【0099】
ステップS25において、CPU31は、「原稿が定型サイズを有する」と判定する。上述したように、定型サイズは、複数種類のサイズを含む。また、原稿の向きとして、「縦向き」および「横向き」が存在する。そのため、CPU31は、第1情報が満たす第1メイン条件と第2情報が満たす第2メイン条件との組み合わせに応じて、定型サイズの種類と原稿の向きとを特定すればよい。
【0100】
取得した情報が定型サイズ条件を満たさないと判断された場合(ステップS22~S24のいずれかにおいてNO)、CPU31は、取得した情報が「原稿有り」を示すか否かを判断する。なお、ステップS22において、予備条件が満たされるか否かが判断されている。予備条件は、第1情報が「原稿有り」を示すという条件である。そのため、図6に示されるように、CPU31は、ステップS22においてNOと判断した場合にのみ、ステップS26において、副走査方向の第2情報である輝度情報が「原稿有り」を示すか否かを判断する。具体的には、CPU31は、輝度情報に基づいて、原稿端と見なされる位置が存在する否かに応じて、輝度情報が「原稿有り」を示すか否かを判断する。例えば、CPU31は、輝度の変化量が閾値を超える位置を原稿端の位置として見なす。CPU31は、原稿端と見なされる位置が存在する場合、輝度情報が「原稿有り」を示すと判断すればよい。
【0101】
ステップS26においてNOと判断した場合、CPU31は、取得した情報が「原稿無し」を示すと判断する。CPU31は、ステップS26においてYESと判断した場合、または、ステップS22においてYESと判断された後にステップS23またはステップS24においてNOと判断された場合、取得した情報が「原稿無し」を示すと判断する。
【0102】
取得した情報が「原稿無し」を示す場合(ステップS26においてNO)、CPU31は、ステップS27において、「原稿及び汚れ無し」と判定する。
【0103】
取得した情報が「原稿有り」を示し、かつ、取得した情報が定型サイズ条件を満たさない場合(ステップS26においてYES、ステップS23においてNO、またはステップS24においてNO)、CPU31は、ステップS28~S31の処理を行なうことにより、原稿のサイズを検知するための情報が取得されるエリアにおいて「汚れ有り」と判定する。
【0104】
具体的には、ステップS26においてYESの場合、または、ステップS24においてNOの場合、CPU31は、ステップS28において、副走査方向における原稿端と見なされる位置が汚れていると判定する。副走査方向における原稿端と見なされる位置は、上述したように、ステップS26またはステップS24において特定されている。
【0105】
ステップS23においてNOの場合、CPU31は、ステップS29において、第2メイン条件が満たされるか否かを判断する。すなわち、CPU31は、副走査方向に沿った原稿長と定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるか否かを判断する。具体的には、CPU31は、輝度情報に基づいて、副走査方向における原稿の両端と見なされる位置を特定し、当該両端と見なされる位置間の距離を副走査方向に沿った原稿長として計算する。そして、CPU31は、副走査方向に沿った原稿長と定型サイズの辺の長さとの差を計算することにより、第2メイン条件が満たされるか否かを判断する。言い換えると、CPU31は、副走査方向の原稿長が定型サイズであるか否かを判断する。
【0106】
ステップS29においてYESの場合、CPU31は、ステップS30において、主走査方向における原稿の両端と見なされる位置の少なくとも一方(例えば、第2エッジ画素に対応する原稿端)が汚れていると判定する。主走査方向における原稿の両端と見なされる位置は、ステップS23において特定されている。
【0107】
ステップS29においてNOの場合、CPU31は、ステップS31において、副走査方向における原稿の両端と見なされる位置の少なくとも一方が汚れていると判定する。副走査方向における原稿の両端と見なされる位置は、上述したように、ステップS29において特定されている。
【0108】
(変形例3)
原稿読取装置は、原稿台11のX方向に沿った複数の位置における原稿の有無を検知する複数の第1物体認識センサーを備えてもよい。複数の第1物体認識センサーは、例えば光電センサーである。複数の第1物体認識センサーの各々は、物体認識センサー16と同様に、原稿の有無を示す存否情報(以下、「第1存否情報」と称する。)を生成する。この場合、CPU31は、ラインセンサー14によって生成されるライン画像の代わりに、第1存否情報を第1情報として取得してもよい。CPU31は、「原稿有り」を示す第1存否情報を出力する第1物体認識センサーの組み合わせに基づいて、X方向における原稿長を特定すればよい。
【0109】
(変形例4)
CPU31は、定型サイズ以外の原稿が原稿台11に置かれる場合、当該原稿のサイズ(以下、「非定型サイズ」と称する。)の入力を受け付けてもよい。ユーザーは、定型サイズ以外の原稿を原稿台11に置いた場合、非定型サイズを入力装置22に入力する。CPU31は、非定型サイズの入力を受け付けた場合、原稿台11の汚れの有無の判定処理を省略してもよい。具体的には、CPU31は、図4に示すステップS17,S19,S20(あるいは、図6に示すステップS28,S30,S31)を省略する。
【0110】
(付記)
以上のように、本実施の形態は以下のような開示を含む。
[構成1]
原稿読取装置であって、
原稿台と、
前記原稿台の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を検知する検知部と、
判定部とを備え、
前記判定部は、
前記情報が予め定められた条件を満たすことに応じて、前記原稿台に置かれた前記原稿が定型サイズを有すると判定し、
前記情報が前記原稿の存在を示し、かつ、前記情報が前記予め定められた条件を満たさないことに応じて、前記一部のエリアが汚れていると判定する、原稿読取装置。
[構成2]
前記情報は、
前記原稿の第1方向のサイズに応じて変化する第1情報と、
前記原稿の第2方向のサイズに応じて変化する第2情報とを含み、前記第2方向は、前記第1方向と交差する、構成1に記載の原稿読取装置。
[構成3]
前記検知部は、前記第1方向に沿ったライン画像を前記第1情報として検知するラインセンサーを含む、構成2に記載の原稿読取装置。
[構成4]
前記検知部は、前記第1方向に沿った複数の第1位置における前記原稿の有無を示す第1存否情報を前記第1情報として検知する複数の第1物体認識センサーを含む、構成2に記載の原稿読取装置。
[構成5]
前記検知部は、前記第2方向に沿った1以上の第2位置における前記原稿の有無を示す第2存否情報を前記第2情報として検知する1以上の第2物体認識センサーを含む、構成3または4に記載の原稿読取装置。
[構成6]
前記検知部は、前記ラインセンサーを前記第2方向に沿って移動させる駆動部を含み、
前記ラインセンサーは、前記第2方向に沿った輝度の変化を示す輝度情報を前記第2情報として検知する、構成3に記載の原稿読取装置。
[構成7]
前記判定部は、前記第1情報が前記原稿の存在を示すことに応じて、前記第1情報に基づいて、前記第1方向に沿った原稿長を特定し、
前記予め定められた条件は、前記原稿長と前記定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるという第1条件を含む、構成2~6のいずれか1項に記載の原稿読取装置。
[構成8]
前記判定部は、前記第1情報に基づいて、前記第1方向における前記原稿の両端と見なされる位置を特定し、前記両端と見なされる位置に基づいて前記原稿長を計算し、
前記判定部は、前記第1情報が前記第1条件を満たさないことに応じて、前記両端と見なされる位置の少なくとも一方が汚れていると判定する、構成7に記載の原稿読取装置。
[構成9]
前記判定部は、前記第1情報が前記原稿の存在を示すことに応じて、前記第1情報に基づいて、前記第1方向に沿った原稿長を特定し、
前記予め定められた条件は、前記原稿長と前記定型サイズの辺の長さとの差が基準範囲内であるという第1条件を含み、
前記判定部は、前記第1情報が前記第1条件を満たさないことに応じて、前記1以上の第2位置のうち、前記原稿が存在することを示す前記第2存否情報に対応する第2位置が汚れていると判定する、構成5に記載の原稿読取装置。
[構成10]
前記判定部は、前記第1情報が前記原稿の存在を示さないことに応じて、前記1以上の第2位置のうち、前記原稿が存在することを示す前記第2存否情報に対応する第2位置が汚れていると判定する、構成5に記載の原稿読取装置。
[構成11]
前記原稿台を覆う原稿カバーをさらに備え、
前記判定部は、前記原稿カバーが開状態から閉状態に変化する所定のタイミングにおいて、動作する、構成1から10のいずれかに記載の原稿読取装置。
[構成12]
原稿台に置かれた原稿の画像を読み取る原稿読取装置の制御方法であって、
前記原稿台の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を取得することと、
前記情報が予め定められた条件を満たすことに応じて、前記原稿台に置かれた前記原稿が定型サイズを有すると判定することと、
前記情報が前記原稿の存在を示し、かつ、前記情報が前記予め定められた条件を満たさないことに応じて、前記一部のエリアが汚れていると判定することとを備える、制御方法。
[構成13]
原稿台に置かれた原稿の画像を読み取る原稿読取装置の制御方法をコンピューターに実行させるプログラムであって、
前記制御方法は、
前記原稿台の一部のエリアにおいて原稿のサイズに応じて変化する情報を取得することと、
前記情報が予め定められた条件を満たすことに応じて、前記原稿台に置かれた前記原稿が定型サイズを有すると判定することと、
前記情報が前記原稿の存在を示し、かつ、前記情報が前記予め定められた条件を満たさないことに応じて、前記一部のエリアが汚れていると判定することとを備える、プログラム。
【0111】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0112】
1 原稿読取装置、10 本体部、11 原稿台、11a 基準点、11b 固定位置、12 原稿カバー、13 傾斜センサー、14 ラインセンサー、14a 撮像素子、15 駆動部、16 物体認識センサー、20 操作部、21 表示パネル、21a 画面、21b メッセージ、21c 画像、21d,21e 枠線、22 入力装置、30 コントローラー、31 CPU、32 RAM、33 ストレージ、34 プログラム、35 判定部、40 画像処理装置、41 画像編集部、42 記憶装置、60 原稿。
図1
図2
図3
図4
図5
図6