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特開2024-175325差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175325
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20241211BHJP
   G06Q 40/02 20230101ALI20241211BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q40/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093021
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】523286071
【氏名又は名称】株式会社NTTデータ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】高岡 淳
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 麻由子
(72)【発明者】
【氏名】田口 真悟
(72)【発明者】
【氏名】冨田 純希
【テーマコード(参考)】
5L040
5L049
5L050
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB01
5L049CC35
5L050CC35
5L055BB01
(57)【要約】
【課題】差押え業務を好適に支援することが可能な差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】差押え支援装置は、一または複数の差押えデータを含む差押えファイルを、取得するために必要な認証用情報とともに行政機関端末から受信し、金融機関端末から取得対象の差押えファイルを示す対象ファイル情報および対応する認証用情報を受信する。そして、受信した対象ファイル情報および認証用情報に基づいて、差押えファイルの認証を行い、認証に成功した場合、差押えファイルを、金融機関端末へ送信する。差押えデータは、債権差押通知書の内容を含み、認証用情報は、行政機関から金融機関へ前記債権差押通知書が送達されたことにより金融機関端末に入力され金融機関端末から受信可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数の差押えデータを含む差押えファイルを、該差押えファイルを取得するために必要な認証用情報とともに行政機関端末から受信する差押えファイル受信手段と、
金融機関端末から取得対象の前記差押えファイルを示す対象ファイル情報および該対象ファイル情報に対応する前記認証用情報を受信する取得対象受信手段と、
前記取得対象受信手段で受信した前記対象ファイル情報および前記認証用情報に基づいて、前記差押えファイル受信手段で受信した前記差押えファイルの認証を行う認証手段と、
前記認証手段による認証に成功した場合、前記対象ファイル情報により示される前記差押えファイルを、前記金融機関端末へ送信する差押えファイル送信手段と、を備え、
前記差押えデータは、債権差押通知書の内容を含み、
前記対象ファイルに対応する前記認証用情報は、行政機関から金融機関へ前記債権差押通知書が送達されたことにより前記金融機関端末に入力され、前記対象ファイル情報とともに前記金融機関端末から受信可能である、
ことを特徴とする差押え支援装置。
【請求項2】
前記差押えファイル受信手段により前記対象ファイル情報および前記認証用情報を受信したことに基づいて、前記対象ファイル情報および前記認証用情報を受信した日時を特定するファイル受信日時と、送信元の行政機関を特定する送信元行政機関情報と、を少なくとも含む受付番号を生成する受付番号生成手段と、をさらに備え、
前記取得対象受信手段は、前記取得対象の前記差押えファイルを受信した日時を特定する取得対象ファイル受信日時と、前記取得対象の前記差押えファイルの送信元の行政機関を特定する取得対象ファイル送信元行政機関情報と、をさらに受信し、
前記認証手段は、前記取得対象受信手段で受信した前記対象ファイル情報、前記認証用情報、前記取得対象ファイル受信日時、および前記取得対象ファイル送信元行政機関情報に基づいて、前記差押えファイル受信手段で受信した前記差押えファイルの認証を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の差押え支援装置。
【請求項3】
前記認証手段は、前記差押えファイル受信手段で受信した前記差押えファイルのうち、前記取得対象受信手段で受信した前記認証用情報と一致する前記認証用情報の前記差押えファイルについて、該差押えファイルに対応する前記受付番号により特定される前記ファイル受信日時および前記送信元行政機関情報が、前記取得対象受信手段で受信した前記取得対象ファイル受信日時および前記取得対象ファイル送信元行政機関情報と一致するか否かを判定することで、前記差押えファイルの認証を行う、
請求項2に記載の差押え支援装置。
【請求項4】
差押え支援装置による差押え支援方法であって、
一または複数の差押えデータを含む差押えファイルを、該差押えファイルを取得するために必要な認証用情報とともに行政機関端末から受信する差押えファイル受信ステップと、
金融機関端末から取得対象の前記差押えファイルを示す対象ファイル情報および該対象ファイル情報に対応する前記認証用情報を受信する取得対象受信ステップと、
前記取得対象受信ステップで受信した前記対象ファイル情報および前記認証用情報に基づいて、前記差押えファイル受信ステップで受信した前記差押えファイルの認証を行う認証ステップと、
前記認証ステップによる認証に成功した場合、前記対象ファイル情報により示される前記差押えファイルを、前記金融機関端末へ送信する差押えファイル送信ステップと、を備え、
前記差押えデータは、債権差押通知書の内容を含み、
前記対象ファイルに対応する前記認証用情報は、行政機関から金融機関へ前記債権差押通知書が送達されたことにより前記金融機関端末に入力され、前記対象ファイル情報とともに前記金融機関端末から受信可能である、
ことを特徴とする差押え支援方法。
【請求項5】
コンピュータを、
一または複数の差押えデータを含む差押えファイルを、該差押えファイルを取得するために必要な認証用情報とともに行政機関端末から受信する差押えファイル受信手段、
金融機関端末から取得対象の前記差押えファイルを示す対象ファイル情報および該対象ファイル情報に対応する前記認証用情報を受信する取得対象受信手段、
前記取得対象受信手段で受信した前記対象ファイル情報および前記認証用情報に基づいて、前記差押えファイル受信手段で受信した前記差押えファイルの認証を行う認証手段、
前記認証手段による認証に成功した場合、前記対象ファイル情報により示される前記差押えファイルを、前記金融機関端末へ送信する差押えファイル送信手段、として機能させ、
前記差押えデータは、債権差押通知書の内容を含み、
前記対象ファイルに対応する前記認証用情報は、行政機関から金融機関へ前記債権差押通知書が送達されたことにより前記金融機関端末に入力され、前記対象ファイル情報とともに前記金融機関端末から受信可能である、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、滞納者に対する差押えを支援するためのシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、行政機関や金融機関における差押えの業務負担低減を図る取引調査・差押支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-95510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば、債権差押通知書の送達前に滞納者の情報が金融機関に開示されることで地方税法第22条に抵触するおそれがあり、差押え業務の運用上改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、差押え業務を好適に支援することが可能な差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る差押え支援装置は、
一または複数の差押えデータを含む差押えファイルを、該差押えファイルを取得するために必要な認証用情報とともに行政機関端末から受信する差押えファイル受信手段と、
金融機関端末から取得対象の前記差押えファイルを示す対象ファイル情報および該対象ファイル情報に対応する前記認証用情報を受信する取得対象受信手段と、
前記取得対象受信手段で受信した前記対象ファイル情報および前記認証用情報に基づいて、前記差押えファイル受信手段で受信した前記差押えファイルの認証を行う認証手段と、
前記認証手段による認証に成功した場合、前記対象ファイル情報により示される前記差押えファイルを、前記金融機関端末へ送信する差押えファイル送信手段と、を備え、
前記差押えデータは、債権差押通知書の内容を含み、
前記対象ファイルに対応する前記認証用情報は、行政機関から金融機関へ前記債権差押通知書が送達されたことにより前記金融機関端末に入力され、前記対象ファイル情報とともに前記金融機関端末から受信可能である、
ことを特徴とする。
【0007】
前記差押えファイル受信手段により前記対象ファイル情報および前記認証用情報を受信したことに基づいて、前記対象ファイル情報および前記認証用情報を受信した日時を特定するファイル受信日時と、送信元の行政機関を特定する送信元行政機関情報と、を少なくとも含む受付番号を生成する受付番号生成手段と、をさらに備え、
前記取得対象受信手段は、前記取得対象の前記差押えファイルを受信した日時を特定する取得対象ファイル受信日時と、前記取得対象の前記差押えファイルの送信元の行政機関を特定する取得対象ファイル送信元行政機関情報と、をさらに受信し、
前記認証手段は、前記取得対象受信手段で受信した前記対象ファイル情報、前記認証用情報、前記取得対象ファイル受信日時、および前記取得対象ファイル送信元行政機関情報に基づいて、前記差押えファイル受信手段で受信した前記差押えファイルの認証を行う、
ようにしてもよい。
【0008】
前記認証手段は、前記差押えファイル受信手段で受信した前記差押えファイルのうち、前記取得対象受信手段で受信した前記認証用情報と一致する前記認証用情報の前記差押えファイルについて、該差押えファイルに対応する前記受付番号により特定される前記ファイル受信日時および前記送信元行政機関情報が、前記取得対象受信手段で受信した前記取得対象ファイル受信日時および前記取得対象ファイル送信元行政機関情報と一致するか否かを判定することで、前記差押えファイルの認証を行う、
ようにしてもよい。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る差押え支援方法は、
差押え支援装置による差押え支援方法であって、
一または複数の差押えデータを含む差押えファイルを、該差押えファイルを取得するために必要な認証用情報とともに行政機関端末から受信する差押えファイル受信ステップと、
金融機関端末から取得対象の前記差押えファイルを示す対象ファイル情報および該対象ファイル情報に対応する前記認証用情報を受信する取得対象受信ステップと、
前記取得対象受信ステップで受信した前記対象ファイル情報および前記認証用情報に基づいて、前記差押えファイル受信ステップで受信した前記差押えファイルの認証を行う認証ステップと、
前記認証ステップによる認証に成功した場合、前記対象ファイル情報により示される前記差押えファイルを、前記金融機関端末へ送信する差押えファイル送信ステップと、を備え、
前記差押えデータは、債権差押通知書の内容を含み、
前記対象ファイルに対応する前記認証用情報は、行政機関から金融機関へ前記債権差押通知書が送達されたことにより前記金融機関端末に入力され、前記対象ファイル情報とともに前記金融機関端末から受信可能である、
ことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
一または複数の差押えデータを含む差押えファイルを、該差押えファイルを取得するために必要な認証用情報とともに行政機関端末から受信する差押えファイル受信手段、
金融機関端末から取得対象の前記差押えファイルを示す対象ファイル情報および該対象ファイル情報に対応する前記認証用情報を受信する取得対象受信手段、
前記取得対象受信手段で受信した前記対象ファイル情報および前記認証用情報に基づいて、前記差押えファイル受信手段で受信した前記差押えファイルの認証を行う認証手段、
前記認証手段による認証に成功した場合、前記対象ファイル情報により示される前記差押えファイルを、前記金融機関端末へ送信する差押えファイル送信手段、として機能させ、
前記差押えデータは、債権差押通知書の内容を含み、
前記対象ファイルに対応する前記認証用情報は、行政機関から金融機関へ前記債権差押通知書が送達されたことにより前記金融機関端末に入力され、前記対象ファイル情報とともに前記金融機関端末から受信可能である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、差押え業務を好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】差押え支援システムの一例を示すブロック図である。
図2】差押え支援装置の一例を示すブロック図である。
図3】債権差押え情報の一例を示す説明図である。
図4】差押え支援システムの処理の一例示すフローチャートである。
図5】差押えファイルの一例を示す説明図である。
図6】差押えファイル取得画面の一例を示す説明図である。
図7】差押えファイルリクエスト情報の一例を示す説明図である。
図8】差押え支援システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態)
本発明を実施するための形態に係る差押え支援装置、差押え支援方法およびプログラムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同一符号を付す。以下では、本発明における差押え支援装置を、図1に示す差押え支援システム1に適用した例を用いて説明する。
【0014】
差押え支援システム1は、図1に示すように、行政端末200、金融機関端末300、差押え支援装置100により構成され、それぞれがネットワーク210を介して通信可能に接続されている。なお、図示する例では、行政端末200および金融機関端末300が単数である例を示しているが、複数存在する。
【0015】
行政端末200は、例えば、裁判所、税務署、地方公共団体、日本年金機構など、債務者に対し差押えの業務を行う行政機関(執行機関)におけるスマートフォン、タブレットやPC(Personal Computer)などの情報端末(所謂コンピュータ)であり、ネットワーク210を介して差押え支援装置100と各種データを送受信可能である。行政端末200は、行政機関端末に対応する。
【0016】
金融機関端末300は、銀行、保険会社、証券会社など、行政機関からの指示に基づいて債務者の口座の差押えを行う金融機関におけるスマートフォン、タブレットやPC(Personal Computer)などの情報端末(所謂コンピュータ)であり、ネットワーク210を介して差押え支援装置100と各種データを送受信可能である。
【0017】
差押え支援装置100は、サーバなどのコンピュータであり、ネットワーク210を介し行政端末200および金融機関端末300と各種データを送受信可能である。差押え支援装置100は、行政端末200に対し差押えを金融機関に依頼する業務の支援や、差押えを行う情報を金融機関に提供する機能を有している。この実施の形態における差押え支援装置100は、債務者の金融機関への預金債権を行使できないようにする差押えと、当該差押えを行った口座から強制的に債権額を回収する取立てと、のうち、差し押えを行うと同時に取立ても行う即時取立と、差押えのみを行う取立保留と、の2種類の差押え業務の支援が可能である。また、差押え支援装置100は、取立保留を行った後に、当該差押えを行った口座からの取立てを指示する機能や、当該差押えの解除を指示する機能を有している。さらに、差押え支援装置100は、債権差押通知書の送達前に滞納者の情報が金融機関に開示されることのないよう、債権差押通知書が金融機関に送達されたことによって初めて滞納者の情報を取得することを可能とする機能を有している。
【0018】
次に、図2を参照し、差押え支援装置100の構成について説明する。
【0019】
図2に示すように、差押え支援装置100は、記憶部110と、制御部120と、入出力部130と、通信部140と、これらを相互に接続するシステムバス(図示省略)と、を備えている。
【0020】
記憶部110は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を備える。ROMは制御部120のCPU(Central Processing Unit)が実行するプログラム111と、プログラム111を実行する上で予め必要な各種データ(図示省略)と、債権差押え情報112を記憶する。
【0021】
プログラム111は、後述する差押え支援システムの処理を実行するプログラムであり、予め記憶部110に記憶されている。
【0022】
債権差押え情報112は、差押え行う対象を特定するための情報の一覧(図3参照)であり、差押えデータを包含する差押えファイルを受信する度に記憶部110に記憶される。差押えファイルは、行政機関から差押え支援装置100へ送信されるファイルであり、差押え行う対象の債権を特定可能な差押えデータを含んでいる。差押えファイルは、送信元の行政機関により作成され、当該差押えファイルには、一または複数の差押えデータが含まれる。
【0023】
差押えデータには、差押えを行う対象の債権を特定可能な、予め割り当てられている債権差押え通知番号と、氏名や住所など債務者を特定可能な情報と、銀行名、支店名、および口座番号など差押えを行う預金口座を特定可能な差押え口座情報と、債務金額を特定可能な金額の情報と、即時取立を行うのか取立保留を行うのかを特定する差押え種別の情報と、その他必要な情報と、が含まれている。その他必要な情報は、例えば、執行機関である行政機関を特定する情報や、税金を滞納していることにより当該債権が生じている場合、滞納している税金の種類を特定する情報などが含まれる。
【0024】
図3に示すように、債権差押え情報112には、少なくとも、受付番号、当該差押えファイルのファイル名、当該差押えファイルが差押え対象のファイルであるかその他の対象のファイルであるかを識別するための種別、送付番号、パスワード、が含まれる。図示する例では、受付番号「001XXX56X」と「003XXX56X」に対応する差押えファイルが行政機関Aから送信され、受付番号「002XXX44X」と「003XXX44X」に対応する差押えファイルが行政機関Bから送信され、当該記憶部110に債権差押え情報112として記憶された例を示している。また、図示する例では、行政機関Aから送信された受付番号「001XXX56X」に対応する差押えファイルの送付番号およびパスワードが、行政機関Bから送信された受付番号「003XXX44X」に対応する差押えファイルの送付番号およびパスワードと同一である場合を示している。上述したように、この実施の形態では、同一の行政機関内では送付番号およびパスワードの重複は認められないものの、例えば行政機関Aと行政機関Bとでは、同一の送付番号およびパスワードが設定されることがある。そのためこのような事象が生じ得る。なお、図3に示すように、債権差押え情報112には、差押えファイルに含まれる差押えデータの各種情報が含まれる。また、債権差押え情報112として一元管理するのではなく、それぞれの差押えデータに含まれる債権差押え通知番号、氏名や住所など債務者を特定可能な情報、差押えを行う預金口座を特定可能な差押え口座情報、債務金額を特定可能な金額の情報、取立保留中であるか否かを示す情報、その他必要な情報、の一覧を、債権差押え情報112とは別に、差押えファイルに対応付けて記憶してもよい。
【0025】
受付番号は、当該差押えファイルが送信される度に、後述する差押えファイル送受信部121の機能により生成される。受付番号は、当該差押えファイルが行政端末200から送信された日時(差押え支援装置100が当該差押えファイルを受信した日時)、送信元の行政機関、および送信された差押えファイルが、全体のうち何番目のファイルであるか、などを特定可能な情報を含む。
【0026】
送付番号およびパスワードは、行政端末200に対する入力操作により設定され、行政端末200のユーザにより任意に設定される。なお、送付番号とパスワードの少なくとも一方は、行政端末200のユーザによる入力操作により自動生成されてもよい。
【0027】
制御部120は、CPUやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成される。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111に従って動作し、当該プログラム111に従った処理を実行する。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111により提供される主要な機能部として、差押えファイル送受信部121と、差押えファイル登録部122と、認証部123と、結果送受信部124と、取立て保留処理部125と、を備える。
【0028】
差押えファイル送受信部121は、行政端末200にて生成された差押えファイルを、送付番号およびパスワードとともに、通信部140を介して受信する処理や、金融機関端末300からの要求に応じて、受信した差押えファイルを、通信部140を介して金融機関端末300へ送信する処理を行う機能部である。差押えファイル送受信部121により金融機関端末300へ差押えファイルが送信されることで、当該差押えファイルに含まれる差押えデータにより特定される差押え種別の内容に応じて、即時取立または取立保留といった処理が行われることとなる。また、差押えファイル送受信部121は、後述する解除または取立て指示情報を受信する機能も有している。さらに、差押えファイル送受信部121は、行政端末200から差押えファイルを受信する度に、受付番号を生成する機能も有している。差押えファイル送受信部121は、当該差押えファイルを行政端末200から受信した日時(すなわち差押えファイルが行政端末200から送信された日時)、送信元の行政機関、および、当該受信した差押えファイルが全体の何番目のファイルであるかをカウントし、受付番号を生成する。受信した差押えファイルが全体の何番目のファイルであるかのカウントについては、記憶部110に記憶されたカウンタにより行えばよい(図示省略)。
【0029】
差押えファイル登録部122は、行政端末200から受信した差押えファイルを、債権差押え情報112に登録する機能部である。具体的に、差押えファイル登録部122は、行政端末200から差押えファイルを受信する度に、記憶部110に記憶されている債権差押え情報112に、受信した差押えファイルを受付番号等とともに追加する。
【0030】
認証部123は、金融機関端末300において入力されたパスワードに基づいて、差押えファイルのダウンロードを許可するか否かの認証を行う機能部である。具体的に、認証部123は、金融機関端末300から受信した差押えファイルリクエスト情報(図7参照)に含まれるパスワードとこれに対応する送付番号とが、記憶部110に記憶されている債権差押え情報112に登録されているか否かを判定する。そして、ファイルリクエスト情報により示される差押えファイル送信日時および送信元行政機関の情報が、当該債権差押え情報112に含まれる差押えファイルのうち、登録されていると判定した差押えファイルの受付番号により特定される差押えファイル送信日時および送信元行政機関と一致するか否かにより、金融機関側が要求する差押えファイルのダウンロードを許可するか否かの認証を行う。これにより、金融機関端末300から受信したファイルリクエスト情報に含まれるパスワード、送付番号、差押えファイル送信日時および送信元行政機関の情報が一致した場合に、対応する差押えファイルのダウンロードが可能となる。
【0031】
上述したように、送付番号およびパスワードは、行政端末200に対する入力操作により設定される。なお、詳しくは後述するが、この実施の形態では、同一の行政機関内では送付番号およびパスワードの重複は認められないものの、例えば行政機関Aと行政機関Bとでは、同一の送付番号およびパスワードが設定されることがある。したがって、認証部123は、送付番号およびパスワードの認証に加え、差押えファイル送信日時および送信元行政機関の情報が、受付番号により特定される差押えファイル送信日時および送信元行政機関と一致するか否かについても判定することで、ダウンロードを所望した差押えファイルとは異なる差押えファイルをダウンロードしてしまうことを防止し、セキュリティを強化している。
【0032】
結果送受信部124は、金融機関端末300において行った即時取立や取立保留の処理の結果を、通信部140を介して受信する処理や、当該結果を、通信部140を介して行政端末200へ送信する処理を行う機能部である。
【0033】
取立て保留処理部125は、金融機関端末300において取立保留が行われている差押えデータについて、保留している取立てを実行する取立て処理の実行指示または、差押え状態を解除する解除処理の実行指示を、行政端末200から受信する機能や、当該取立て処理の実行指示または解除処理の実行指示を金融機関端末300へ送信する機能を有する機能部である。また、取立て保留処理部125は、取立て処理の実行指示または解除処理の実行指示を行う対象となる差押えデータを、債権差押え情報112から検索する機能を有する。
【0034】
入出力部130は、キーボード、マウス、カメラ、マイク、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等から構成され、各種データの入出力を行うための装置である。
【0035】
通信部140は、差押え支援装置100が、ネットワーク210を介して、行政端末200および金融機関端末300などといった他の情報端末と通信を行うためのデバイスである。以上が、差押え支援装置100の構成である。
【0036】
続いて差押え支援システム1の動作について、図4~8を参照して説明する。具体的に、図4は、即時取立または取立保留の処理を行うまでにおける差押え支援システム1の処理の一例を示すフローチャートである。図5は、差押えファイルの一例を示す説明図である。図6は、差押えファイル取得画面の一例を示す説明図である。図7は、差押えファイルリクエスト情報の一例を示す説明図である。図8は、取立保留の処理を行った後における差押え支援システム1の処理の一例を示すフローチャートである。
【0037】
まず、ユーザによる行政端末200に対する操作により、図4に示す行政端末の処理1が開始される。具体的には、行政端末200に対し、差押えファイルを作成するために必要な操作が行われることにより、行政端末の処理が開始される。
【0038】
行政端末の処理1を開始すると、行政端末200は、差押えファイルを作成するための差押えファイル作成画面の表示を差押え支援装置100に要求するため、リクエスト情報を送信することで、差押えファイル作成要求を行う(ステップS11)。具体的に、ステップS11の処理において、行政端末200は、例えば差押えファイルを作成するためのアプリケーションを起動するための操作により、リクエスト情報を差押え支援装置100に対して送信する。
【0039】
差押え支援装置100の側では、リクエスト情報を受信すると、差押え支援装置の処理1が開始される。差押え支援装置の処理1を開始すると、差押え支援装置100の制御部120は、差押えファイル作成画面を送信することで、行政端末200へ当該差押えファイル作成画面を提供する(ステップS12)。
【0040】
続いて行政端末200の側において、差押えファイル作成画面を受信すると、当該差押えファイル作成画面が当該行政端末200に表示されることとなるため、当該債権差押え通知番号と、氏名や住所など債務者を特定可能な情報と、銀行名、支店名、および口座番号など差押えを行う預金口座を特定可能な差押え口座情報と、債務金額を特定可能な金額の情報と、即時取立を行うのか取立保留を行うのかを特定する差押え種別の情報と、その他必要な情報と、を入力した差押えデータについて、送信したい数の差押えデータをひとまとめのファイルとして送付場合およびパスワードを設定し、図5に示す差押えファイルを作成する(ステップS13)。図5に示すように、差押えファイルには、行政機関の側から差押え支援装置100へ送信する一又は複数の差押えデータが含まれ、当該差押えファイル毎に送付番号およびパスワードが設定される。なお、図示する例において、ファイル名「sample_11」の差押えファイルは、債権差押え通知番号「00812」に対応する差押えデータと、「00962」に対応する差押えデータが含まれている例を示している。また、債権差押え通知番号「00812」に対応する差押えデータは「即時取立」であり、「00962」に対応する差押えデータは「取立保留」である例を示している。
【0041】
ステップS13の処理を実行した後、行政端末200は、作成した差押えファイルを、送付番号およびパスワードとともに差押え支援装置100へ送信する(ステップS14)。なお、ステップS14の処理では、送信元である行政機関を特定する情報についても送信される。送信された差押えファイル、送付番号およびパスワードは、差押え支援装置100における制御部120の差押えファイル送受信部121の機能により受信されることとなる。そのため、差押えファイル送受信部121は、差押えファイル受信手段および差押えファイル受信ステップに対応する。差押えファイル送受信部121の機能により差押えファイル、送付番号およびパスワードを受信すると、当該差押えファイル送受信部121は、受信した日時、送信元である行政機関を特定する情報(送信元行政機関情報)、記憶部110に記憶されたカウンタの情報に基づいて、受付番号を生成する。そのため、差押えファイル送受信部121は、受付番号生成手段に対応する。なお、ステップS14の処理において差押えファイルが差押え支援装置100へ送信される際には、当該差押えファイルに含まれる差押えデータに対応した、債権者が強制的に債務を回収することを通知する債権差押通知書が、当該行政機関から差押え対象の銀行口座の金融機関に、差押えデータを取得するために必要なパスワードおよび送付番号とともに送達される。なお、この実施の形態における債権差押通知書は紙媒体である。そして、金融機関の側では、送達された債権差押通知書に同封されたパスワードを、金融機関端末300を介して入力することで、差押え支援装置100から対象となる差押えファイルを取得(ダウンロード)することが可能となる。すなわち、金融機関の側では、債権差押通知書を受領した後でなければ、差押えファイルを取得(ダウンロード)することができないことから、債権差押通知書の送達前に滞納者の情報が金融機関に開示されることを防止し、差押え業務を好適に支援することができる。
【0042】
差押え支援装置100の側では、差押えファイル等(差押えファイル、送付番号およびパスワード)を受信すると、制御部120は、受信した差押えファイル等を、受付番号とともに債権差押え情報112に登録する(ステップS15)。具体的に、ステップS15の処理において制御部120は、差押えファイル登録部122の機能により、記憶部110に記憶されている債権差押え情報112に、受信した差押えファイルを生成した受付番号に対応付けて追加することで、債権差押え情報112として記憶する。また、ステップS15の処理において、制御部120は、差押えファイル登録部122の機能により、差押えファイルに対応付けられているパスワードや送付番号、種別の情報についても、記憶部110へ記憶する。なお、パスワードは、債権差押え情報112として記憶してもよいし、債権差押え情報112とは別に記憶部110へ記憶してもよい。また、パスワードは、認証用情報に対応する。
【0043】
一方、金融機関では、行政機関から郵送された債権差押通知書を受領すると、当該債権差押通知書に同封された書類に印字されたパスワードと、これに対応する送付番号を取得することとなる。そして、金融機関端末300において、ユーザによる操作により、金融機関端末の処理1を開始する。具体的には金融機関端末300に対し、差押えデータをダウンロードするために必要な操作が行われることにより、金融機関端末の処理1が開始される。
【0044】
金融機関端末の処理1を開始すると、金融機関端末300は、差押えファイルを取得するための差押えファイル取得画面の表示を差押え支援装置100に要求するため、リクエスト情報を送信することで、差押えファイル取得要求を行う(ステップS16A)。具体的に、ステップS16Aの処理において、金融機関端末300は、例えば差押えファイルを取得するためのアプリケーションを起動するための操作により、リクエスト情報を差押え支援装置100に対して送信する。
【0045】
差押え支援装置100の側では、リクエスト情報を受信すると、制御部120は、差押えファイル取得画面を送信することで、図6に示す当該差押えファイル取得画面を金融機関端末300へ提供する(ステップS12)。
【0046】
続いて金融機関端末300の側において、差押えファイル取得画面を受信すると、図6に示すように、当該差押えファイル取得画面が当該金融機関端末300に表示されることとなるため、金融機関端末300の側では、債権差押通知書に同封された書類から取得したパスワードのうち、ダウンロードを所望する差押えファイルをチェックするとともに、当該差押えファイルに対応するパスワードを入力する。そのうえで、図示するダウンロードボタンに対する操作を行い、差押え支援装置100に対して差押えファイルリクエスト情報を送信し、差押えファイルの取得依頼を行う(ステップS16B)。なお、当該差押えデータリクエスト情報には、図7に示すように、取入力されたパスワードの他、差押えファイル送信日時(差押えファイル受信日時)、種別、送信元行政機関、および送付番号が含まれる。差押え支援装置100の側では、通信部140を介して当該差押えデータリクエスト情報を受信することとなる。なお、差押えファイルリクエスト情報を受信する差押え支援装置100の機能および当該ステップは、取得対象受信手段および取得対象受信ステップに対応し、入力されたパスワードは、認証用情報に対応する。また、送付番号は、対象ファイル情報に対応する。差押えファイルリクエスト情報に含まれる差押えファイル送信日時は、取得対象ファイル受信日時に対応し、送信元行政機関の情報は、取得対象ファイル送信元行政機関情報に対応する。
【0047】
差押え支援装置100の側において、差押えファイルリクエスト情報を受信すると、制御部120は、認証部123の機能により、差押えファイルリクエスト情報に含まれるパスワード、送付番号、差押えファイル送信日時および送信元行政機関の情報に基づいて、差押えファイルのダウンロードを許可するか否かの認証を行い、認証に成功したか否かを判定する(ステップS17A)。ステップS17Aの処理を実行する認証部123およびステップA17Aは、認証手段および認証ステップに対応する。
【0048】
具体的に、ステップS17Aにおいて認証部123は、金融機関端末300から受信した差押えファイルリクエスト情報(図7参照)に含まれるパスワードと送付番号とが、記憶部110に記憶されている債権差押え情報112(図3参照)に登録されているか否かを判定する。図7に示す差押えファイルリクエスト情報の送付番号「1234567890」に対応するパスワード「XYZ0123」が、図3に示す債権差押え情報112に登録されているものと一致するか否かを判定する。図3に示す例では、行政機関Aから送信された受付番号「001XXX56X」に対応する差押えファイルの送付番号およびパスワードと、行政機関Bから送信された受付番号「003XXX44X」に対応する差押えファイルの送付番号およびパスワードが一致すると判定する。
【0049】
そして、認証部123は、ファイルリクエスト情報により示される差押えファイル送信日時および送信元行政機関の情報が、当該債権差押え情報112に含まれる差押えファイルのうち、登録されていると判定した差押えファイルの受付番号により特定される差押えファイル送信日時および送信元行政機関と一致する場合に、認証に成功したと判定する。すなわち、図7に示す差押えファイルリクエスト情報の差押えファイル送信日時「2023/11/21 11:34:33」と送信元行政機関の情報「行政機関A」が、図3に示す債権差押え情報112に含まれる受付番号「001XXX56X」に対応する差押えファイルと、受付番号「003XXX44X」に対応する差押えファイルの送付番号のうち、いずれと一致するか否かを判定する。ここで、上述したように、受付番号「001XXX56X」に対応する差押えファイルは、行政機関Aから送信されたファイルであり、受付番号「003XXX44X」に対応する差押えファイルは、行政機関Bから送信されたである。また、差押えファイル送信日時についてもそれぞれ異なっている。そのため、認証部123は、受付番号「001XXX56X」により特定されるファイル送信日時および送信元行政機関が、図7に示す差押えファイルリクエスト情報の差押えファイル送信日時「2023/11/21 11:34:33」と送信元行政機関の情報「行政機関A」と一致すると判定するため、受付番号「001XXX56X」に対応する差押えファイルの認証に成功したと判定する。
【0050】
ステップS17Aにおいて認証に成功したと判定した場合(ステップS17A;Yes)、差押えファイル送受信部121は、認証に成功したと判定した差押えファイルを、金融機関端末300へ送信する(ステップS17B)。すなわち、差押えファイル送受信部121は、ステップS17の処理にて差押えデータを金融機関端末300の側へ送信することにより、差押えファイルのダウンロードを開始させる。ステップS17Bの処理を実行する差押えファイル送受信部121およびステップS17Bは、差押えファイル送信手段および差押えファイル送信ステップに対応するは、一方、ステップS17Aにおいて認証に失敗したと判定した場合(ステップS17A;No)、すなわち金融機関端末300から受信した差押えファイルリクエスト情報に含まれるパスワードと送付番号とが、債権差押え情報112に登録されていない場合、または、ファイルリクエスト情報により示される差押えファイル送信日時および送信元行政機関の情報が、登録されていると判定した差押えファイルの受付番号により特定される差押えファイル送信日時および送信元行政機関のいずれとも一致しない場合、認証部123は、認証エラーを金融機関端末300の側に通知し(ステップS17C)、ステップS16Bの処理を再度実行させる。
【0051】
差押え支援装置100から差押えファイルを受信した金融機関端末300の側では、受信した差押えファイルに含まれる一または複数の差押えデータを確認し、当該差押えデータにより特定される預金口座を差押える処理を実行する(ステップS18)。なお、差押えを行う預金口座については、差押えデータに含まれる差押え口座情報により特定すればよく、ステップS18~ステップS21の処理を、差押えファイルに含まれる差押えデータの数分実行すればよい。なお、ステップS21の処理については、差押えデータ単位ではなく、差押えファイル単位で実行してもよい。その場合、それぞれの差押えデータについての処理結果が確認可能であればよい。
【0052】
ステップS18の処理を実行した後、金融機関端末300は、差押えデータに含まれる差押え種別の情報を確認し、即時取立であるか否か、すなわち即時取立を行うのか取立保留を行うのかを判定する(ステップS19)。即時取立を行うと判定した場合(ステップS19;Yes)、金融機関端末300は、差押えデータに含まれる差押え口座情報により特定される預金口座から、差押えデータに含まれる金額の情報により特定される金額の取立てを行う(ステップS20)。なお、取立て後の金額の入金先についても、差押えデータにより特定されればよい。また、ステップS20の処理を行った後は、当該預金口座の差押えを解除してもよいし、行政端末200からの指示を受信するまで差押えの状態を継続してもよい。
【0053】
ステップS20の処理を実行した後、またはステップS19の処理にて即時取立ではなく取立て保留を行うと判定した場合(ステップS19;No)、金融機関端末300は、処理結果を差押え支援装置100へ送信し(ステップS21)、金融機関端末の処理1を終了する。具体的に、ステップS21の処理では、処理結果として、少なくとも差押えデータを特定するための情報と、即時取立と取立て保留のいずれを実行したのかという情報と、その実行結果が送信されればよい。
【0054】
ステップS21の処理が実行されると、差押え支援装置100の側では、制御部120の結果送受信部124の機能により、金融機関端末300から送信された処理結果を受信する(ステップS22)。そして、結果送受信部124の機能により、受信した処理結果を、行政端末200へ送信し(ステップS23)、差押え支援装置の処理1を終了する。
【0055】
行政端末200の側では、差押え支援装置100から送信された処理結果を受信し(ステップS24)、行政端末の処理1を終了する。
【0056】
これにより、差押えデータを用いて即時取立または取立保留といった複数種類の差押えが実行可能となる。なお、取立保留を行った場合には、上述したように差押えのみを行った状態となる。この場合、行政機関は債務者と交渉を一定期間行い、その後、取立てを行うのか、差押えを解除するのかを行政機関側で決定する。そのため、取立保留を行った後、行政機関側で取立てを行うのか差押えを解除するのかを決定した場合における差押え支援システム1の処理について、図8を参照して説明する。
【0057】
まず、ユーザによる行政端末200に対する操作により、行政端末の処理2が開始される。具体的には、行政端末200に対し、取立てを行うのか差押えを解除するのかを指示するために必要な操作が行われることにより、行政端末の処理2が開始される。
【0058】
行政端末の処理2を開始すると、行政端末200は、差押えデータの検索を差押え支援装置100に要求するため、検索リクエスト情報を送信することで、差押え支援装置100に対し、差押えデータの検索を依頼する(ステップS31)。具体的に、ステップS31の処理において、行政端末200は、例えば検索対象の差押えデータを特定するための債権差押え通知番号を入力し、これを検索リクエスト情報として差押え支援装置100に対し送信する。
【0059】
差押え支援装置100の側では、検索リクエスト情報を受信すると、差押え支援装置の処理2が開始される。差押え支援装置の処理2を開始すると、差押え支援装置100における制御部120の取立て保留処理部125は、債権差押え情報112から、当該検索リクエスト情報により特定される債権差押え通知番号に対応する差押えデータを特定する(ステップS32)。なお、検索リクエスト情報は検索依頼に対応し、ステップS32の処理を実行する取立て保留処理部125は、差押えデータ特定手段に対応する。
【0060】
ステップS32の処理を実行した後、制御部120は、差押えファイル送受信部121の機能により、ステップS32の処理で特定した差押えデータを、行政端末200へ送信する(ステップS33)。
【0061】
行政端末200の側では、差押え支援装置100から差押えデータを受信すると、ユーザによる入力操作により、当該差押えデータにより示される口座の差押えの解除または取立てを選択し、解除または取立て指示情報として差押え支援装置100へ送信する(ステップS34)。解除または取立て指示情報には、差押えデータと、解除または取立てのいずれを行うのかの情報と、が含まれる。なお、解除または取立て指示情報は、解除取立て指示情報に対応する。送信された解除または取立て指示情報は、差押え支援装置100における制御部120の差押えファイル送受信部121の機能により受信されることとなる。すなわち、差押えファイル送受信部121は、解除取立て指示情報受信手段に対応する。
【0062】
解除または取立て指示情報を受信した差押え支援装置100は、制御部120の取立て保留処理部125の機能により、受信した解除または取立て指示情報を、金融機関端末300へ送信する(ステップS35)。
【0063】
金融機関端末300の側では、解除または取立て指示情報を受信すると、金融機関端末の処理2が開始される。金融機関端末の処理2を開始すると、金融機関端末の処理2は、受信した解除または取立て指示情報により特定される内容が取立てであるか否かを判定する(ステップS36)。取立てであると判定した場合(ステップS36;Yes)、金融機関端末300は、解除または取立て指示情報に含まれる差押えデータにより特定される預金口座から、差押えデータに含まれる金額の情報により特定される金額の取立てを行う(ステップS37)。一方、取立てでないと判定した場合(ステップS36;No)、すなわち差押えの解除であると判定した場合、金融機関端末300は、解除または取立て指示情報に含まれる差押えデータにより特定される預金口座の差押えを解除する(ステップS38)。なお、ステップS37の処理を行った後は、当該預金口座の差押えを解除してもよいし、行政端末200からの指示を受信するまで差押えの状態を継続してもよい。
【0064】
ステップS37またはステップS38の処理を実行した後、金融機関端末300は、処理結果を差押え支援装置100へ送信し(ステップS39)、金融機関端末の処理2を終了する。具体的に、ステップS39の処理では、処理結果として、少なくとも差押えデータを特定するための情報と、取立てと差押えの解除のいずれを実行したのかという情報と、その実行結果が送信されればよい。
【0065】
ステップS39の処理が実行されると、差押え支援装置100の側では、制御部120の結果送受信部124の機能により、金融機関端末300から送信された処理結果を受信する(ステップS40)。そして、結果送受信部124の機能により、受信した処理結果を、行政端末200へ送信し(ステップS41)、差押え支援装置の処理2を終了する。なお、例えば、差押えの解除が行われた場合には、ステップS40の処理にて処理結果を受信した後に、債権差押え情報112から当該処理結果に対応する差押えデータを削除してもよい。
【0066】
行政端末200の側では、差押え支援装置100から送信された処理結果を受信し(ステップS42)、行政端末の処理2を終了する。
【0067】
これにより、取立保留といった差押えが実行された場合に、その後の債務者と交渉次第で取立てと差押えの解除といった柔軟な対応が可能となる。
【0068】
以上が差押え支援システム1の動作である。このように、この実施の形態における差押え支援システム1によれば、金融機関の側において債権差押通知書を受領した後でなければ、差押えファイルを取得(ダウンロード)することができないことから、債権差押通知書の送達前に滞納者の情報が金融機関に開示されることを防止し、差押え業務を好適に支援することができる。また、差押えデータを用いた即時取立や取立保留といった複数種類の差押えが実行可能となる。また、取立保留を行った後に、行政機関側で取立てを行うのか差押えを解除するのかを決定した場合にも、柔軟に対応することができる。したがって、差押え業務を好適に支援することができる。
【0069】
(変形例)
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、上記実施の形態に係る差押え支援装置100は、上記で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。また、下記の変形例それぞれについて、少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【0070】
上記実施の形態では、行政端末200におけるユーザの入力操作により差押えファイルを作成する例を示したが、これは一例である。例えば、ユーザの入力操作ではなく、予め作成されたcsvファイルなどを読み込むことにより差押えファイルを作成してもよい。また、差押えデータを作成する主体は、行政端末200でなくてもよく、例えば行政端末200に記憶されているcsvファイルを差押え支援装置100が読み込むことにより、差押え支援装置100が差押えファイルを作成してもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、差押えファイルを取得するために必要なパスワードが債権差押通知書とともに郵送される例を示したが、パスワードに限られない。例えば、パスワードではなくQRコード(登録商標)やバーコードなどの二次元コードなど、差押えファイルを取得するために必要な情報であれば任意の情報であってよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、行政端末200から受信した差押えファイルを金融機関端末300へ送信し、当該差押えファイルに含まれる差押えデータの差押え種別に対応した処理を金融機関に指示する例を示したが、これは一例である。例えば、即時取立を行うのか取立保留を行うのかといった差押え種別の情報については、差押えファイルとは別に送信されてもよい。この場合、即時取立を行うのか取立保留を行うのかといった差押え種別の情報は、例えば債権差押え通知番号など、いずれの差押えデータに対応する差押え種別であるかが特定可能な情報と対応づけられていればよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、図8に示すステップS31の処理にて差押えデータの検索を依頼し、ステップS32の処理にて差押え支援装置100の側で、債権差押え情報112から、当該検索リクエスト情報により特定される債権差押え通知番号に対応する差押えデータを特定する例を示したが、これは一例である。この他にも、例えば行政端末200の側において、取立保留を行っている差押えデータに対応する情報と、解除または取立て指示情報と、を含む指示データを作成し、当該指示データを差押え支援装置100に送信してもよい。そして、差押え支援装置100の側では、受信した指示データをそのまま金融機関端末300へ転送すればよい。すなわち、差押え支援装置100における検索を行わず、解除または取立ての対象となる差押えデータの情報と、解除または取立てのいずれを行うのかを特定する情報と、を行政端末200から直接送信するようにしてもよい。なお、このように差押え支援装置100における検索を行わない場合、図4のステップS15の処理を行う必要はない。すなわち、差押えデータを債権差押え情報112として記憶しなくてよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、取立保留の処理を行った後における差押え支援システム1の処理について、図8に示すように差押えデータ単位で行う例を示したが、これは一例である。図8に示す処理についても、図4に示す処理と同様に差押えファイル単位で行ってもよい。すなわち、一または複数の差押えデータを一単位として差押えファイルとし、当該差押えファイルに含まれる差押えデータについて、取立てを行うのか差押えを解除するのかを指示すればよい。
【0075】
なお、上記実施の形態に係る差押え支援装置100は、専用の装置によらず、通常のコンピュータを用いて実現可能である。例えば、コンピュータに上述のいずれかを実行するためのプログラムを格納した記録媒体から該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する差押え支援装置100を構成してもよい。また、複数のコンピュータが協働して動作することによって、1つの差押え支援装置100を構成してもよい。
【0076】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0077】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 差押え支援システム、100 差押え支援装置、110 記憶部、111 プログラム、112 債権差押え情報、120 制御部、121 差押えファイル送受信部、122 差押えファイル登録部、123 認証部、124 結果送受信部、125 取立て保留処理部、130 入出力部、140 通信部、210 ネットワーク、200 行政端末、300 金融機関端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8