IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図1
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図2
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図3
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図4
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図5
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図6
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図7
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図8
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図9
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図10
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図11
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図12
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図13
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図14
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図15
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図16
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図17
  • 特開-オーダ処理方法および制御装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175326
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】オーダ処理方法および制御装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20241211BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20241211BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093024
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】栄元 雄山
(72)【発明者】
【氏名】松村 淳
(72)【発明者】
【氏名】大鶴 佳秀
(72)【発明者】
【氏名】増田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 武
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 優香
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF21
3F022JJ11
3F022MM05
3F022MM36
3F022NN43
3F022PP04
3F022PP06
3F022QQ04
3F022QQ17
3F522AA02
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
3F522DD05
3F522DD29
3F522FF12
3F522FF17
3F522GG05
3F522GG09
3F522GG13
3F522GG20
3F522GG48
3F522GG49
3F522LL03
(57)【要約】
【課題】緊急オーダを効率よく処理できるように割り当てることができるオーダ処理方法および制御装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、オーダ処理方法は、オーダに応じて自動搬送装置が搬送する棚から物品をピックアップする作業を実施する複数のステーションを有する物流システムに用いる方法である。オーダ処理方法は、緊急オーダを受け付け、前記緊急オーダの内容と各ステーションに割り当てたオーダの内容とに基づいて前記緊急オーダを割り当てるステーションを決定し、前記緊急オーダを割り当てたステーションに前記緊急オーダで使用する棚を前記自動搬送装置によって配置させる。
【選択図】 図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーダに応じて自動搬送装置が搬送する棚から物品をピックアップする作業を実施する複数のステーションを有する物流システムに用いるオーダ処理方法であって、
緊急オーダを受け付け、
前記緊急オーダの内容と各ステーションに割り当てたオーダの内容とに基づいて前記緊急オーダを割り当てるステーションを決定し、
前記緊急オーダを割り当てたステーションに前記緊急オーダで使用する棚を前記自動搬送装置によって配置させる、
オーダ処理方法。
【請求項2】
前記緊急オーダで使用する棚と各ステーションに配置している棚とに基づいて前記緊急オーダを割り当てるステーションを決定する、
請求項1に記載のオーダ処理方法。
【請求項3】
前記緊急オーダで使用する全ての棚を配置しているステーションに前記緊急オーダを割り当てる、
請求項2に記載のオーダ処理方法。
【請求項4】
前記緊急オーダで使用する棚の一部を配置しているステーションのうち共通する棚の数が最も多いステーションに前記緊急オーダを割り当てる、
請求項3に記載のオーダ処理方法。
【請求項5】
前記緊急オーダで使用する棚の一部を配置しているステーションのうち共通する棚の数が最も多いステーションが複数ある場合、前記共通する棚の数が最も多い複数のステーションのうち未処理の割り当て済みオーダが最も少ないステーションに前記緊急オーダを割り当てる、
請求項4に記載のオーダ処理方法。
【請求項6】
前記緊急オーダで使用する棚を配置しているステーションがない場合、未処理の割り当て済みオーダが最も少ないステーションに前記緊急オーダを割り当てる、
請求項5に記載のオーダ処理方法。
【請求項7】
前記緊急オーダを割り当てたステーションで実施中のオーダが完了する推定時間が所定時間以上であれば前記実施中のオーダに対する処理を中断して前記緊急オーダに対する処理を実施し、前記緊急オーダを割り当てたステーションで実施中のオーダが完了する推定時間が所定時間未満であれば前記実施中のオーダを完了してから前記緊急オーダに対する処理を実施する、
請求項4乃至6の何れか1項に記載のオーダ処理方法。
【請求項8】
さらに、前記緊急オーダを割り当てたステーションに設けた端末装置の表示部に緊急オーダが割り当てられたことを喚起する案内を表示する、
請求項1に記載のオーダ処理方法。
【請求項9】
さらに、前記緊急オーダを割り当てたステーションにおいて前記緊急オーダに対する処理を実施中に前記端末装置の表示部に前記緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示する、
請求項8に記載のオーダ処理方法。
【請求項10】
オーダに応じて自動搬送装置が搬送する棚から物品をピックアップする作業を実施する複数のステーションを有する物流システムの制御装置であって、
物品を保管する棚を搬送する自動搬送装置と通信する搬送車通信部と、
上位管理装置からの緊急オーダを受信する上位通信部と、
前記緊急オーダの内容と各ステーションに割り当て済みのオーダの内容とに基づいて前記緊急オーダを割り当てるステーションを決定し、前記緊急オーダを割り当てたステーションに前記緊急オーダで使用する棚を前記自動搬送装置によって配置させる、プロセッサと、
を備える制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、オーダ処理方法および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動搬送車(automated guided vehicle(AGV))を用いて出荷オーダが示す物品を格納する棚を仕分け作業の作業場となるステーションへ搬送するシステムが提供されている。従来のシステムは、緊急(割り込み)で処理をしたいオーダ(以下、緊急オーダと称する)が発生した場合、ステーションに割り当てた既存のオーダが完了した後に緊急オーダの処理を行うようになっている。すなわち、従来のシステムでは、緊急オーダが発生しても割り当て済みの既存のオーダが完了するまで緊急オーダの処理を開始できないという問題がある。
【0003】
また、従来のシステムとしては、ステーションにいる作業者が手作業で緊急オーダを入力することにより当該ステーションで緊急オーダの処理を行うものが提案されている。このようなシステムでは、作業場にいる作業員が緊急オーダを手作業で入力する手間がかかり、作業員が緊急オーダを入力したステーションで当該緊急オーダを処理するためシステム全体として効率良く緊急オーダを処理するようにできないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-48308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、緊急オーダを効率よく処理できるように割り当てることができるオーダ処理方法および制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、オーダ処理方法は、オーダに応じて自動搬送装置が搬送する棚から物品をピックアップする作業を実施する複数のステーションを有する物流システムに用いる方法である。オーダ処理方法は、緊急オーダを受け付け、前記緊急オーダの内容と各ステーションに割り当てたオーダの内容とに基づいて前記緊急オーダを割り当てるステーションを決定し、前記緊急オーダを割り当てたステーションに前記緊急オーダで使用する棚を前記自動搬送装置によって配置させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る物流システムが適用される作業空間の構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る制御装置としてのWCSを含む物流システム全体の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る制御装置としてのWCSの構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る物流システムにおける自動搬送車(AGV)の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る物流システムにおけるクライアント端末の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る物流システムが運用される作業空間内におけるステーション周辺の構成例を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る制御装置としてのWCSが緊急オーダをステーションに割り当てる第1パターンを説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る制御装置としてのWCSが緊急オーダをステーションに割り当てる第2パターンを説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る制御装置としてのWCSが緊急オーダをステーションに割り当てる第3パターンを説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る制御装置としてのWCSが緊急オーダをステーションに割り当てる第4パターンを説明するための図である。
図11図11は、実施形態に係る制御装置としてのWCSが緊急オーダをステーションに割り当てる第5パターンを説明するための図である。
図12図12は、実施形態に係る制御装置としてのWCSが緊急オーダをステーションに割り当てる第6パターンを説明するための図である。
図13図13は、実施形態に係る制御装置としてのWCSが緊急オーダをステーションに割り当てる第7パターンを説明するための図である。
図14図14は、実施形態に係る制御装置としてのWCSによる緊急オーダの割り当て処理を説明するためのフローチャートである。
図15図15は、実施形態に係る制御装置としてのWCSによる緊急オーダの割り当て処理を説明するためのフローチャートである。
図16図16は、実施形態に係る物流システムにおけるクライアント端末の表示例を示す図である。
図17図17は、実施形態に係る物流システムにおけるクライアント端末の表示例を示す図である。
図18図18は、実施形態に係る物流システムにおけるクライアント端末の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
実施形態に係る物流システムは、自動搬送装置(自動搬送ロボット)としての自動搬送車(以下、AGVと称する)を用いて棚を仕分け作業の作業場であるステーションに搬送し、ステーションにおいて作業員又はロボットがAGVによって搬送されてきた棚から物品をピッキングする作業を行う。
【0009】
例えば、実施形態に係る物流システムは、物流センタ又は倉庫などで用いられる。物流システムは、出荷オーダ(以下、単にオーダと称する)から構成されるオーダリストを取得する。物流システムは、オーダリストの各オーダを作業場であるステーションに割り当てて、各作業場で個々のオーダに従って物品をピッキングする作業を実施する。本実施形態において、緊急で処理すべきオーダを緊急オーダと称し、緊急オーダ以外のオーダを通常オーダとも称するものとする。
【0010】
図1は、実施形態に係る物流システム1が適用される倉庫などの作業空間の構成例を示す図である。また、図2は、実施形態に係る制御装置としてのWCS11を含む物流システム1全体の構成例を示すブロック図である。
図2に示す物流システム1は、図1に示すように、棚3、ステーション4、AGV5およびクライアント端末6などが配置された倉庫などの作業空間における作業に用いられる。
ステーション(第1乃至第3のステーション)4は、物品の仕分け作業を実施する場所(仕分け作業場)である。ステーション4には、オーダに応じた棚(POD、搬送棚)3がAGV5によって搬送される。ステーション4には、作業員が視認可能な表示装置を備えるクライアント端末(入出力装置)6が配置される。
【0011】
ステーション4において、作業員は、クライアント端末6に表示された情報を確認しながらAGV5によって運ばれてきた棚3から物品をピッキングし、ピッキングした物品を仕分け棚(DAS)に仕分ける。また、ステーション4では、ピッキングロボットがAGV5によって運ばれてきた棚3から物品をピッキングするようにしても良い。
【0012】
クライアント端末6は、各ステーション4に設置される。クライアント端末6は、後述する制御装置としてのWCS11(図2参照)からの制御に従って画像を表示する。また、クライアント端末6は、作業員から種々の操作の入力を受け付ける。クライアント端末6は、入力された操作を示す信号をWCS11へ送信する。例えば、クライアント端末6は、液晶モニタ及びタッチパネルを有する入出力装置である。また、クライアント端末6は、タブレットPCなどの作業員が携帯可能な携帯端末であってもよい。
【0013】
AGV5は、制御装置としてのWCS11からの制御指令に基づいて動作する。例えば、AGV5は、指定された棚3の積み込み位置へ向かって走行し、指定された積み込み位置で棚3を持ち上げる。AGV5は、棚3を保持した状態で指定されたステーションへ移動する。さらに、AGV5は、指定された積み降ろし位置へ向かって走行し、指定された積み降ろし位置で棚3を降ろす。
【0014】
棚3は、物品を格納する棚である。例えば、棚3は、四本の支柱で直立する。棚3の棚下の高さは(床面から棚底までの高さ)、AGV5の高さよりも高い。これにより、AGV5は、棚3の棚下に潜り込むことができる。棚下に潜り込んだAGV5は、プッシャーにより床面から支柱の先端が数センチ離れる程度に棚3を持ち上げる。AGV5は、棚3を持ち上げた状態で走行する。
【0015】
ステーション4の近傍には、棚3を保持しているAGV5の待機位置が設けられる。図1に示す構成例では、ステーション4の左側にAGV5の待機位置が設定されている。WCS11に指定されたステーション4に棚3を搬送してきたAGV5は、当該ステーション4の近傍にある複数の待機位置に所定の順番で並んで停止する。ステーション4の作業員は、待機位置のうち作業用の待機位置に停止するAGV5が保持する棚3からオーダで指定される物品をピックアップする。
【0016】
図2に示すように、物流システム1は、AGV5、クライアント端末6、WCS11、WMS12、在庫管理システム13およびデータベース14を備える。図2に示す物流システム1において、AGV5、クライアント端末6、WCS11、在庫管理システム13およびデータベース14は、棚の搬送を行う棚搬送システムを含む倉庫システムを構成する。
なお、物流システム1は、図1及び2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0017】
WMS12は、倉庫管理システム(Warehouse Management System)と呼ばれ、倉庫システムに対する上位管理装置として機能する。WMS12は、1又は複数のコンピュータで実現可能である。WMS12は、外部装置からピッキングする物品を示す出荷オーダを取得する。WMS12は、複数のオーダからなるオーダリストを生成する。WMS12は、生成したオーダリストを制御装置としてのWCS11へ送信する。例えば、WMS12は、所定のタイミングでオーダリストをWCS11へ送信する。また、WMS12は、WCS11からのリクエストに応じてオーダリストをWCS11に送信してもよい。
【0018】
WCS11は、倉庫運用管理システム(WCS:Warehouse Control System)と呼ばれ、倉庫(作業空間)におけるオーダに応じた作業(処理)を制御する制御装置(情報処理装置)である。WCS11は、1又は複数のコンピュータで実現可能である。
WCS11は、作業空間(倉庫)内にあるAGV5およびクライアント端末6と通信可能に構成される。例えば、WSC11は、無線通信用のアクセスポイントなどを介して倉庫内の各AGV5と無線通信するように構成される。また、WCS11は、各ステーション4に配置するクライアント端末6と通信接続される。
【0019】
WCS11は、在庫管理システム13と通信接続される。WCS11は、在庫管理システム13と通信することにより在庫管理システム13が管理するデータベース14に保持された各種のデータを取得する。
WCS11は、WMS12と通信接続される。WCS11は、WMS12から取得するオーダリストを記憶する。また、WCS11は、各棚3が配置されている位置、棚3の搬送に使用する通路、ステーションの位置、および、ステーションにおける待機位置などを示すマップデータを保持する。
【0020】
WCS11は、各AGV5の動作状態を監視し、各AGV5に制御指令を供給する。WCS11は、オーダの実施計画などに応じて各AGV5の動作を制御する。例えば、WCS11は、オーダリストのオーダごとに仕分け作業を実施するステーション4を割り当てる。WCS11は、各オーダで使用する棚3を特定する。WCS11は、オーダを割り当てたステーション4に当該オーダで使用する棚3を搬送させる制御指令をAGV5に与える。これにより、AGV5は、WCS11からの制御指令に応じてオーダを使用する棚3を当該オーダが割り当てられたステーション4へ搬送する。
【0021】
次に、実施形態に係る物流システム1における制御装置としてのWCS11の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る物流システム1における制御装置としてのWCS11の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、WCS11は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、NVM34、上位通信部35、システム通信部36、AGV通信部37および端末通信部38などを備える。プロセッサ31は、ROM32、RAM33、記憶部34、上位通信部35、システム通信部36、AGV通信部37および端末通信部38とデータバスなどを介して互いに接続する。なお、WCS11は、図3が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0022】
プロセッサ31は、WCS11全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ31は、内部キャッシュおよび各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ31は、内部メモリ、ROM32又は記憶部34が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
なお、プロセッサ31がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうち一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ31は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0023】
ROM32は、制御プログラムおよび制御データなどが記憶された不揮発性のメモリである。ROM32に記憶される制御プログラムおよび制御データは、WCS11の仕様に応じて予め組み込まれる。
RAM33は、揮発性のメモリである。RAM33は、プロセッサ31の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM33は、プロセッサ31からの命令に基づき種々のプログラムを格納する。また、RAM33は、プログラムの実行に必要なデータおよびプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0024】
記憶部34は、データの書き込みおよび書き換えが可能な不揮発性のメモリである。例えば、記憶部34は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。記憶部34は、WCS11の運用用途に応じてプログラムおよび種々のデータなどを格納する。
【0025】
上位通信部35は、WMS12とデータを送受信するためのインターフェースである。例えば、上位通信部35は、ネットワークなどを介してWMS12に接続する。上位通信部35は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースであっても良い。
【0026】
システム通信部36は、在庫管理システム13と通信するためのインターフェースである。システム通信部36は、ネットワークなどを介して在庫管理システム13と接続する。システム通信部36は、有線又は無線のLAN接続をサポートする通信インターフェースで構成される。例えば、プロセッサ31は、システム通信部36により在庫管理システム13を介してデータベース14にアクセスする。在庫管理システム13に接続されるデータベース14は、物流システム1における物品の在庫に関する情報などを記憶する。上述したWCS11が備える記憶部34に記憶する情報の一部は、データベース14に記憶する構成しても良い。
【0027】
AGV通信部37は、各AVG5と通信するためのインターフェースである。AGV通信部37は、倉庫内などの作業空間全体がAGV5との通信範囲となるようにする。例えば、AGV通信部37は、作業空間全体が通信範囲となるように配置された無線通信用のアクセスポイントを介してAGV5と無線通信する。この場合、AGV通信部37は、有線又は無線通信で無線通信用のアクセスポイントに接続することにより、無線通信用のアクセスポイントを介してAGV5と無線通信するように構成すれば良い。
【0028】
端末通信部38は、各ステーション4に設けたクライアント端末6と通信するためのインターフェースである。端末通信部38は、各ステーション4に設けたクライアント端末6と通信接続する。端末通信部38は、有線通信でクライアント端末6と通信接続するように構成しても良いし、無線通信によってクライアント端末と通信接続するようにしても良い。後者の場合、端末通信部38は、有線又は無線通信で無線通信用のアクセスポイントに接続し、無線通信用のアクセスポイントを介してクライアント端末6と無線通信するように構成すれば良い。
【0029】
なお、WCS11において、上位通信部35、システム通信部36、AGV通信部37および端末通信部38の一部又は全部は、一体的に構成されるものであってもよい。例えば、上位通信部35およびシステム通信部36は、1つのLAN用のインターフェースで構成しても良い。また、AGV通信部37および端末通信部38は、無線通信用のアクセスポイントを介して、AGV5およびクライアント端末6を含む機器と無線通信するインターフェースを備える構成としても良い。また、WCS11は、システム管理者などのオペレータが種々の指示を入力するための操作部および情報を表示する表示部を備えるユーザインターフェースを有するものであっても良い。
【0030】
次に、実施形態に係る物流システム1におけるAGV5について説明する。
図4は、実施形態に係る物流システム1におけるAGV5の構成例を示すブロック図である。
AGV5は、プロセッサ41、ROM42、RAM43、記憶部44、通信部45、センサ46、駆動部47、バッテリ48および充電機構49などを備える。なお、AGV5は、図4が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0031】
プロセッサ41は、AGV5全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ41は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ41は、内部メモリ、ROM42又は記憶部44が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。例えば、プロセッサ41は、CPUである。プロセッサ41は、LSI、ASIC、又はFPGA等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0032】
プロセッサ41は、加速、減速、停止、方向転換、棚3の積み降ろし等の動作に必要な演算および制御などの処理を行う。プロセッサ41は、制御装置としてのWCS11からの制御指定に基づいて、ROM42等に記憶されたプログラムを実行することにより駆動信号を生成して各部に出力する。
【0033】
例えば、WCS11は、AGV5に割り当てる作業を決定すると、作業内容に応じた目的位置への移動指示を含む制御指令をAGV5へ送信する。WCS11は、棚をステーションに搬送させる場合、現在位置から第1の位置(目的の棚3の位置)へ移動させ、第1の位置から第2の位置(目的のステーションの位置)へ移動させる制御指令を送信する。また、WCS11は、AGV5が保持する棚を返却する場合、当該AGV5を第2の位置から第1の位置(又は棚の返却位置)へ移動させる制御指令を送信する。
【0034】
AGV5のプロセッサ41は、WCS11から送信される制御指令に含まれる移動指示に応じて移動(走行)するための駆動信号を駆動部47に出力する。これにより、AGV5は、駆動部47により駆動する駆動機構50としての走行機構によって指定される位置へ移動する。
【0035】
また、AGV5のプロセッサ41は、WCS11から送信される制御指令に含まれる棚3の積み降ろし指示に応じた駆動信号を駆動部47へ出力する。これにより、AGV5は、駆動部47により駆動する駆動機構50としてのプッシャーにより棚3を持ち上げたり、持ち上げた棚3を降ろしたりする。
【0036】
ROM42は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(不揮発性の記憶媒体)であり、上記のプログラムを記憶する。また、ROM42は、プロセッサ41が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。RAM43は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM43は、プロセッサ41が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0037】
記憶部44は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。記憶部44は、プロセッサ41により実行されるプログラムのデータおよびプロセッサ41が各種の処理を行う上で使用するデータを記憶する。また、記憶部44は、プロセッサ41による処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0038】
通信部45は、WCS11とデータを送受信するインターフェースである。通信部45は、AGV5が移動中であってもWCS11と通信できるように構成される。例えば、通信部45は、無線通信用の通信インターフェースで構成される。無線通信用のインターフェースとしての通信部45は、WCS11に通信接続される無線通信用のアクセスポイントと無線通信を行うことによりアクセスポイントを介してWCS11と通信する。
【0039】
センサ46は、AGV5が動作するための種々の情報を検知する。センサ46は、自身の位置を特定するための情報を検知するセンサを含む。例えば、位置を検知するためのセンサ46としては、AGV5が走行するエリアである作業空間(倉庫)内の床などに設けた二次元コードや磁気テープなどのガイドを読み取るものである。この場合、プロセッサ41は、センサ46による床面などのガイド(二次元コード等)の読取結果に基づいて自身(AGV)の位置を特定する。
【0040】
また、センサ46は、周囲の物体などを検知するためのセンサを含む。周囲の物体を検知するためのセンサとしては、例えば、反射センサが用いられる。反射センサは、AGV5の周囲に取り付けられる。反射センサは、レーザ光を照射し、レーザ光を照射してからレーザ光が物体で反射して戻るまでの時間を検出し、検出された時間に基づき物体までの距離を検知し、検知信号をプロセッサ41へ通知する。プロセッサ41は、センサ46からの検知信号に基づき、AGV5の走行を制御する制御信号を出力する。プロセッサ41は、センサ46からの検知信号に基づき、物体への衝突を回避する減速又は停止等の制御信号を出力する。
【0041】
また、センサ46としての周囲の物体などを検知するためのセンサは、カメラであっても良い。センサ46としてのカメラは、周辺を撮影して撮影画像をプロセッサ41へ出力する。この場合、プロセッサ41は、撮影画像を解析し、物体への衝突を回避する減速又は停止等の制御信号を出力する。
【0042】
駆動部47は、プロセッサ41からの制御信号に応じて駆動機構50を駆動させる。駆動機構50は、AGV5を走行させるタイヤや操舵機構などの走行機構、および、棚を持ち上げて保持する棚保持機構などの駆動機構を含む。例えば、駆動部47は、プロセッサ41からの制御信号に応じて各種のモータを回転又は停止させることにより駆動機構50を動作させる。
【0043】
例えば、駆動部47は、走行用のモータを回転させることにより駆動機構50の走行機構におけるタイヤを回転させる。駆動部47は、走行用のモータでタイヤを回転させることによりAGV5を走行させる。また、駆動部47は、操舵用のモータの回転を制御する駆動機構50における操舵機構を動作させる。駆動部47は、プロセッサ41の制御信号に応じて駆動機構50の操舵機構を動作させることによりAGV5の移動方向を制御する。
【0044】
また、駆動部47は、プロセッサ41から出力される制御信号に基づいて、昇降用のモータの回転を制御することにより駆動機構50としての棚保持機構を駆動させる。例えば、駆動部47は、AGV5が棚3をピックアップする場合、棚を保持するプッシャーが棚3下に潜り込んだ状態で昇降用のモータを順回転させることによりプッシャーを上昇させて棚3を持ち上げる。また、駆動部47は、AGV5が棚3を降ろす場合、プロセッサ41から出力される駆動信号に基づいて、昇降用のモータを逆回転させることによりプッシャーを下降させることで棚3を床面に降す。
【0045】
バッテリ48は、駆動部47等に必要な電力を供給する。充電機構49は、充電用の電力を供給する充電ステーションとバッテリ48とを接続する機構である。充電機構49は、充電ステーションから取得される電力を充電用の電力としてバッテリ48を供給する。これにより、バッテリ48は、充電ステーションからの電力によって充電されるように構成される。
【0046】
次に、実施形態に係る物流システム1におけるクライアント端末6の構成について説明する。
図5は、実施形態に係る物流システム1におけるクライアント端末6の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、クライアント端末6は、プロセッサ61、ROM62、RAM63、記憶部64、通信部65、操作部(操作装置)66および表示部(表示装置)67などを備える。なお、クライアント端末6は、図5に示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0047】
プロセッサ61は、ROM62、RAM63、記憶部64、通信部65、操作部66および表示部67とデータバスなどを介して互いに接続する。プロセッサ61は、クライアント端末6全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ61は、内部キャッシュおよび各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ61は、内部メモリ、ROM62又は記憶部64が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。なお、プロセッサ61がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうち一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。
【0048】
ROM62は、プログラムおよび制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM62に記憶されるプログラムおよび制御データは、物流システム1におけるクライアント端末6の仕様に応じて予め組み込まれる。
RAM63は、揮発性のメモリである。RAM63は、プロセッサ61の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM63は、プロセッサ61からの命令に基づいて、実行すべきプログラムを格納する。また、RAM63は、プログラムを実行するために必要なデータおよびプログラムによる処理の実行結果などを格納してもよい。
【0049】
記憶部64は、データの書き込みおよび書き換えが可能な不揮発性のメモリである。例えば、記憶部64は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。記憶部64は、クライアント端末6の動作としてプロセッサ61に実行させるプログラムを格納する。また、記憶部64は、種々のデータなどを格納する。
【0050】
通信部65は、WCS11などとデータ通信を実行するための通信インターフェースで構成される。通信部65は、WCS11と通信接続するものであれば良い。通信部65は、無線通信用のインターフェースであっても良いし、有線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースを含むものであっても良い。また、通信部65は、無線通信用のアクセスポイントと無線通信することにより、無線通信用のアクセスポイントを介してWCS11と通信するようにしても良い。
【0051】
操作部66は、オペレータからの種々の指示の入力を受け付ける。操作部66は、入力された操作を示す信号をプロセッサ61へ送信する。例えば、操作部66は、キーボード、マウス、又はタッチパネルなどにより構成される。
【0052】
表示部67は、プロセッサ61からの指示に応じて画像を表示する。例えば、表示部67は、液晶ディスプレイなどにより構成される。操作部66がタッチパネルから構成される場合、表示部67は、操作部66としてのタッチパネルと一体的に形成されるものであっても良い。
【0053】
次に、実施形態に係る物流システム1が運用される作業空間(倉庫)内におけるステーション4周辺の構成について説明する。
図6は、実施形態に係る物流システム1が運用される作業空間(倉庫)内におけるステーション4周辺の構成例を説明するための図である。
図6に示す構成例において、ステーション4に隣接する位置に、待機位置s1-s6、作業位置dおよび出口eが設けられる。待機位置s1-s6は、棚3を保持しているAGV(当該ステーション4に棚3を搬送してきたAGV)5を待機(配置)させる場所である。図6に矢印で示すように、AGV5は、通路から待機位置s6に進入し、待機位置s5、s4s3、s2、s1の順番に移動する。待機位置s6に進入したAGV5は、既に待機中のAGV5が存在する待機位置の手前で待機する。例えば、待機位置s1に待機しているAGV5が存在する場合、次のAGV5は、待機位置s2で待機する。
【0054】
作業位置dは、仕分け作業の対象となる棚3を保持するAGV5を停止(配置)させる場所である。ステーション4にいる作業員又はピックアップロボットは、作業位置dに停止したAGV5が保持する棚3からオーダによって指定される物品をピックアップする。例えば、ステーション4にいる作業員は、クライアント端末6の表示部67に表示された情報を確認しながら、作業位置dのAGV5が保持する棚3から指定の物品をピックアップして仕分け棚に配置する。
【0055】
また、出口eは、作業位置dから移動してきたAGV5を通路へ送り出すための場所である。例えば、作業位置dでの仕分け作業が終了した棚3を保持するAGV5は、出口eへ移動し、出口eから次の目的地である棚の返却場所へ移動する。
【0056】
図6に示すような複数の待機位置には、当該ステーション4に割り当てられたオーダに応じた棚3を搬送してくるAGV5が順番に待機する。WCS11は、オーダリストで示される複数のオーダを複数のステーション4に割り当てる。このため、複数のオーダが割り当てられたステーション4には、1つのオーダ(1番目のオーダ)に使用する棚を保持するAGV5に続けて、次のオーダ(2番目のオーダ)に使用する棚を保持するAGV5が待機位置に並ぶこともある。
【0057】
WCS11は、各AGV5と継続的に(例えば数秒ごとに)通信する。WCS11は、各AGV5から現在位置および作業状況などを示す情報を受信することにより各AGVの状態を示す情報を管理する。例えば、WCS11は、各AGV5から受信した情報に基づく各AGV5の状態を示す管理情報(現在位置、保持している棚、オーダ、作業段階、および、通信状況など)を記憶部34に保存する。これにより、WCS11は、各ステーション4に割り当てたオーダを管理するだけでなく、各AGV5の位置や各ステーション4の各位置(待機位置、作業位置、出口)に配置されているAGV5が保持する棚などを管理する。
【0058】
次に、上記のような物流システム1において、WCS11が割り込みでの処理を要する緊急オーダを受けた場合の緊急オーダの割り当て処理について説明する。
WCS11は、通常のオーダリストによるオーダ以外に割り込みでの処理を要求する緊急オーダをWMS12から受け付ける。WCS11は、緊急オーダを受け付けると、各ステーション4におけるオーダの割り当て状況および各オーダの処理状況に応じて緊急オーダを割り当てるステーション4を設定する。
【0059】
WCS11は、緊急オーダで使用する棚と各ステーション4の待機位置s1-s6および作業位置dにある棚(ステーションに搬送済みの棚)3とに応じて緊急オーダを割り当てるステーションを決める。
【0060】
まず、WCS11は、緊急オーダで使用する棚と一致(共通)する棚の数が最も多く存在(配置)しているステーション4に緊急オーダを割り当てる。言い換えると、WCS11は、緊急オーダで使用する棚のうち各ステーション4で待機又は作業中の棚となっている棚(共通する棚)を特定し、共通する棚が最も多いステーション4に緊急オーダを割り当てる。
【0061】
次に、WCS11は、緊急オーダで使用する棚と一致する棚の数が多いステーション(一致する棚の数が同数のステーション)が複数ある場合、既に割り当てられているオーダの数が少ない方のステーション4に緊急オーダを割り当てる。
【0062】
さらに、WCS11は、緊急オーダを割り当てるステーション4を決定した場合、当該ステーション4における実施中のオーダの作業状況(進捗状況)に基づいて実施中のオーダを中断して緊急オーダを実施するか、実施中のオーダが終了してから緊急オーダを実施するかを決める。
【0063】
次に、上述したような割り当て方法による緊急オーダの割り当ての具体例を複数のパターンに分けて説明するものとする。
まず、第1パターンについて説明する。
図7は、WCS11が緊急オーダU1をステーションに割り当てる第1パターンを説明するための図である。
第1パターンとしては、緊急オーダU1で使用する全ての棚が1つのステーションに配置(待機)されているものとする。この場合、WCS11は、緊急オーダU1で使用する全ての棚が配置(待機)されているステーション4に緊急オーダを割り当て、実施中のオーダを中断して緊急オーダU1を実施するように制御する。
【0064】
図7は、3つの各ステーション(stationA,B,C)に割り当て済みのオーダと緊急オーダU1とを例示する。図7に示す例において、緊急オーダU1は、棚A,E,F,Hを使用するオーダである。ステーション(station)AにはオーダA-01、A-02、A-03、A-04、A-05が割り当て済みであり、ステーション(station)BにはオーダB-01、B-02、B-03、B-04、B-05が割り当て済みであり、ステーション(station)CにはオーダC-01、C-02、C-03、C-04、C-05が割り当て済みである。また、ステーションBでは、作業位置dおよび待機位置s1-s6に停止(待機)しているAGV5が棚A,E,F,H,G,X,Yを保持している。
【0065】
この場合、緊急オーダU1の棚A,E,F,Hは、ステーションBに割り当てたオーダB-01の棚であり、全てステーションBに待機している。このため、WCS11は、ステーションBに割り当てたオーダB-01を中断し、緊急オーダU1を直ちに実行する。この場合、緊急オーダU1の全ての棚は、ステーションBに並んでいるため、直ぐにステーションBで緊急オーダを実施できる。また、他のステーションA,Cは緊急オーダが割り当てられないので既に割り当てている各オーダを中断することなく実施できる。
【0066】
第1パターンによれば、WCS11は、緊急オーダで使用する棚が既に搬送されているステーションに緊急オーダを割り当てることができ、緊急オーダに使用する棚を新たに搬送してくる手間がかからず迅速に緊急オーダを実施できる。また、第1パターンでは、緊急オーダを割り当てたステーションに緊急オーダで使用する全ての棚があるため、実施中のオーダを中断して緊急オーダを実施することで直ちに緊急オーダを実施できる。
【0067】
次に、第2パターンについて説明する。
図8は、WCS11が緊急オーダU2をステーションに割り当てる第2パターンを説明するための図である。
第2パターンとしては、緊急オーダU2で使用する一部の棚がステーションに配置(待機)されている棚と共通し、緊急オーダU2と共通する棚の数(最も多い数)が同じステーションが複数存在しないものとする。この場合、WCS11は、緊急オーダU2と共通する棚が最も多く待機しているステーション4に緊急オーダU2を割り当てる。さらに、WCS11は、実施中のオーダの完了に時間が掛かると判断(推定)した場合、実施中のオーダを中断して緊急オーダU2を実施するように制御する。
【0068】
図8に示す例は、ステーションBにおいてオーダB-01の棚Aに対する仕分け作業が完了して棚Aが返却された状態である。このため、ステーションBには、緊急オーダU2で使用する棚A,E,F,Hのうち棚E,F,Hが存在する。なお、他のステーションA,Cには、緊急オーダU2で使用する棚A,E,F,Hのうち3つ以上の棚が待機することがないものとする。
【0069】
図8に示す状態に対して、WCS11は、緊急オーダU2と共通する棚が最も多いステーションBに割り当てる。また、WCS11は、緊急オーダU2を割り当てたステーションBで実施中のオーダB-01の作業(処理)が終了するのに所定時間以上かかるか否かを判断する。WCS11は、実施中のオーダの作業完了に所定時間以上かかると判断すると、ステーションBで実施中のオーダB-01を中断して緊急オーダU2を実行するように制御する。
【0070】
図8に示す例では、WCS11は、緊急オーダU2で使用する棚のうち棚E、F、Hは、棚G、X、Yよりも先にステーションBで待機している。このため、WCS11は、緊急オーダU2に使用する棚E,F,Hに対する仕分け作業が完了してから、ステーションBで待機中であった棚G、X、Yを返却する。さらに、WCS11は、緊急オーダU2で使用する棚AをステーションBへ搬送させる。棚AがステーションAで待機している場合、WCS11は、棚AをステーションAの待機位置からステーションBの待機位置へ移動させる。
【0071】
これにより、第2パターンでは、緊急オーダU2で使用する棚が最も多く待機しているステーションBにおいて完了までに時間がかかる実施中のオーダを中断させて緊急オーダU2を迅速に実施させることができる。
【0072】
次に、第3パターンについて説明する。
図9は、WCS11が緊急オーダU3をステーションに割り当てる第3パターンを説明するための図である。
第3パターンとしては、第2パターンと同様に、緊急オーダU3で使用する一部の棚がステーションに配置(待機)されている棚と共通し、緊急オーダU3と共通する棚の数(最も多い数)が同じステーションが複数存在しないものとする。この場合、WCS11は、緊急オーダU2と共通する棚が最も多く待機しているステーション4に緊急オーダU3を割り当てる。
【0073】
ただし、第3パターンでは、第2パターンとは異なり、実施中のオーダの完了に時間が掛からない(所定時間内で完了する)と判断し、実施中のオーダを完了させてから緊急オーダU3を実施するように制御する。すなわち、第3パターンは、実施中のオーダが所定時間内に完了する(もうすぐ完了する)と判断される点が第2パターンと異なる。
【0074】
図9に示す例は、ステーションBにおいて実施中のオーダB-01の棚A、E、Fが作業完了によって返却された状態である。このため、ステーションBには、緊急オーダU3で使用する棚X、Y、A、Hのうち棚H,X,Yが存在する。棚Hは実施中のオーダの棚であり、棚X,Yは次に実施予定のオーダの棚として待機している棚である。
【0075】
図9に示す状態に対して、WCS11は、緊急オーダU3をステーションBに割り当てる。WCS11は、緊急オーダU3を割り当てたステーションBで実施中のオーダB-01の作業完了に所定時間以上かかるか否かを判断する。ここでは、実施中のオーダB-01の処理は棚Hに対する仕分け作業で完了するため、所定時間内に完了すると推定されるものとする。WCS11は、実施中のオーダの完了が所定時間内であると推定すると、ステーションBで実施中のオーダB-01を完了してから緊急オーダU3を実行するように制御する。
【0076】
図9に示す状態であれば、WCS11は、緊急オーダU3に使用する棚のうち棚Hに対する仕分け作業が完了してから、ステーションBで待機中であった棚Gを返却し、緊急オーダU3に使用する棚X,Yに対する仕分け作業を実施する。さらに、WCS11は、緊急オーダU3で使用する棚AをステーションBへ搬送させる。棚AがステーションAで待機している場合、WCS11は、棚AをステーションAの待機位置からステーションBの待機位置へ移動させる。
【0077】
これにより、第3パターンでは、緊急オーダU3で使用する棚が最も多く待機しているステーションBにおいて所定時間内で完了する実施中のオーダを完了させてから緊急オーダU3を実施させることができる。
【0078】
次に、第4パターンについて説明する。
図10は、WCS11が緊急オーダU4をステーションに割り当てる第4パターンを説明するための図である。
第4パターンとしては、緊急オーダU4で使用する一部の棚が複数のステーションに配置(待機)されている棚と共通し、緊急オーダU2と共通する棚の数(最も多い数)が同じステーションが複数存在するものとする。この場合、WCS11は、緊急オーダU4と共通する棚が最も多く待機している複数のステーションのうち、残りオーダが少ないステーションに緊急オーダU4を割り当てる。さらに、第4パターンでは、実施中のオーダの完了に時間が掛かると推定されるため、実施中のオーダを中断して緊急オーダU4を実施するように制御する。
【0079】
図10に示す例は、ステーションBにおいてオーダB-01の棚A、Eに対する作業が完了して棚A,Eが返却された状態である。このため、ステーションBには、緊急オーダU4で使用する棚A,E,X,Yのうち棚X,Yが配置(待機)されている。また、ステーションAには、緊急オーダU4で使用する棚A,E,X,Yのうち棚A,Eが配置(待機)されている。
【0080】
図10に示す状態に対して、WCS11は、ステーションBの残りオーダ数とステーションAの残りオーダ数とを比べて、残りオーダ数が少ないステーションBに緊急オーダU4を割り当てる。さらに、WCS11は、緊急オーダU4を割り当てたステーションBで実施中のオーダB-01の作業(処理)完了に所定時間以上かかると推定する。WCS11は、実施中のオーダの完了に所定時間以上かかると推定すると、ステーションBで実施中のオーダB-01を中断して緊急オーダU4を実行するように制御する。
【0081】
図10に示す例では、WCS11は、ステーションBで待機中であった棚F,H,Gを返却し、緊急オーダU4に使用する棚X,YをステーションBに留める。さらに、WCS11は、緊急オーダU4で使用する棚A,EをステーションBへ搬送させる。棚A,EがステーションAにある場合、WCS11は、棚A,EをステーションAの待機位置からステーションBの待機位置へ移動させる。
【0082】
これにより、第4パターンでは、緊急オーダU4で使用する棚が多く、かつ、オーダ数が少ないステーションBにおいて、完了までに時間がかかる実施中のオーダを中断させて緊急オーダU4を実施させることができる。
【0083】
次に、第5パターンについて説明する。
図11は、WCS11が緊急オーダU5をステーションに割り当てる第5パターンを説明するための図である。
第5パターンとしては、第4パターンと同様に、緊急オーダU5で使用する一部の棚が複数のステーションに配置(待機)されている棚と共通し、緊急オーダU2と共通する棚の数(最も多い数)が同じステーションが複数存在するものとする。この場合、WCS11は、緊急オーダU5と共通する棚が最も多く待機している複数のステーションのうち、残りオーダが少ないステーションに緊急オーダU5を割り当てる。
【0084】
ただし、第5パターンでは、第4パターンとは異なり、実施中のオーダの完了に時間が掛からない(所定時間内で完了する)と判断し、実施中のオーダを完了させてから緊急オーダU5を実施するように制御する。すなわち、第5パターンは、実施中のオーダが所定時間内に完了する(もうすぐ完了する)と判断される点が第4パターンと異なる。
【0085】
図11に示す例は、ステーションBにおいて実施中のオーダB-01の棚A、E,Fに対する作業が完了して棚A,E,Fが返却された状態である。このため、ステーションBには、緊急オーダU5で使用する棚A,E,X,Yのうち棚X,Yが配置(待機)されている。また、ステーションAには、緊急オーダU5で使用する棚A,E,X,Yのうち棚A,Eが配置(待機)されている。
【0086】
図11に示す状態に対して、WCS11は、ステーションBの残りオーダ数とステーションAの残りオーダ数とを比べて、残りオーダ数が少ないステーションBに緊急オーダU5を割り当てる。第5パターンでは、WCS11は、緊急オーダU5を割り当てたステーションBで実施中のオーダB-01の作業(処理)が所定時間以内に完了すると推定する。WCS11は、実施中のオーダが所定時間内に完了すると推定すると、ステーションBで実施中のオーダB-01を完了させてから緊急オーダU5を実行するように制御する。
【0087】
図11に示す状態であれば、WCS11は、ステーションBで待機中であった棚H,Gを返却し、緊急オーダU5に使用する棚X,YをステーションBに留める。さらに、WCS11は、緊急オーダU5で使用する棚A,EをステーションBへ搬送させる。棚A,EがステーションAにある場合、WCS11は、棚A,EをステーションAの待機位置からステーションBの待機位置へ移動させる。
【0088】
これにより、第5パターンでは、緊急オーダU3で使用する棚が多く、かつ、残りオーダ数が少ないステーションBにおいて所定時間内で完了する実施中のオーダを完了させてから緊急オーダU5を実施させることができる。
【0089】
次に、第6パターンについて説明する。
図12は、WCS11が緊急オーダU6をステーションに割り当てる第6パターンを説明するための図である。
第6パターンとしては、緊急オーダU6で使用する棚と共通する棚が配置(待機)されているステーションがないものとする。この場合、WCS11は、複数のステーションのうち残りオーダが少ないステーションに緊急オーダU6を割り当てる。さらに、第6パターンでは、実施中のオーダの完了に時間が掛かると推定されるため、実施中のオーダを中断して緊急オーダU6を実施するように制御する。
【0090】
図12に示す状態に対して、WCS11は、緊急オーダU6で使用する棚α、β、γがどのステーションに配置(待機)されていないため、残りオーダ数が最も少ないステーションBに緊急オーダU5を割り当てる。さらに、WCS11は、緊急オーダU6を割り当てたステーションBで実施中のオーダB-01の作業(処理)完了に所定時間以上かかると推定する。このため、WCS11は、ステーションBにおいて、実施中のオーダB-01を中断して緊急オーダU6を実行するように制御する。
【0091】
図12に示す例では、WCS11は、ステーションBで待機中である棚H,G,X,Yを返却し、緊急オーダU6に使用する棚α、β、γをステーションBへ搬送させる。
これにより、第6パターンでは、緊急オーダU6で使用する棚が存在しない複数のステーションのうちオーダ数が最も少ないステーションBにおいて、完了までに時間がかかる実施中のオーダを中断させて緊急オーダU6を実施させることができる。
【0092】
次に、第7パターンについて説明する。
図13は、WCS11が緊急オーダU7をステーションに割り当てる第7パターンを説明するための図である。
第7パターンとしては、第6パターンと同様に、緊急オーダU7で使用する棚と共通する棚が配置(待機)されているステーションがないものとする。この場合、WCS11は、複数のステーションのうち残りオーダ数が最も少ないステーションに緊急オーダU7を割り当てる。ただし、第7パターンでは、実施中のオーダが所定時間内に完了すると推定されるため、実施中のオーダを完了してから緊急オーダU7を実施するように制御する。すなわち、第7パターンは、実施中のオーダが所定時間内に完了する(もうすぐ完了する)と判断される点が第6パターンと異なる。
【0093】
図13に示す状態に対して、WCS11は、緊急オーダU7で使用する棚α、β、γがどのステーションに配置(待機)されていないため、残りオーダ数が最も少ないステーションBに緊急オーダU7を割り当てる。さらに、WCS11は、緊急オーダU7を割り当てたステーションBで実施中のオーダB-01の作業(処理)が所定時間内に完了すると推定する。このため、WCS11は、ステーションBにおいて、実施中のオーダB-01を完了させてから緊急オーダU7を実行するように制御する。
【0094】
図13に示す例では、WCS11は、ステーションBで待機中である棚H,G,X,Yを返却し、緊急オーダU6に使用する棚α、β、γをステーションBへ搬送させる。
これにより、第7パターンでは、緊急オーダU7で使用する棚が存在しない複数のステーションのうちオーダ数が最も少ないステーションBにおいて、所定時間内で完了する実施中のオーダを完了させてから緊急オーダU7を実施させることができる。
【0095】
次に、実施形態に係る制御装置としてのWCS11による緊急オーダの割り当て処理の動作例について説明する。
図14および図15は、実施形態に係る制御装置としてのWCS11による緊急オーダの割り当て処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
物流システム1を稼働中において、WCS11は、上位通信部35によりWMS12との通信状態を維持している。WMS12は、緊急オーダが発生すると、通常のオーダリストを送信するのは別に任意のタイミングでWCS11に緊急オーダを送信する。これに応じて、WCS11は、上位通信部35により通常のオーダに対して割り込みでの処理を要求する緊急オーダをWMS12から受信する(ステップST10)。
【0096】
WCS11のプロセッサ31は、WMS12から緊急オーダを受信すると、受信した緊急オーダで使用する棚を特定する。プロセッサ31は、緊急オーダで使用する棚(緊急オーダの棚と称する)を特定すると、緊急オーダの全ての棚が配置(待機)されている1つのステーションが存在するか否かを判断する(ステップST11)。
【0097】
緊急オーダの全ての棚が配置(待機)されている1つのステーションが存在する場合(ステップST11、YES)、プロセッサ31は、上述した第1パターンのように、緊急オーダの全ての棚が配置されているステーションに緊急オーダを割り当てる(ステップST12)。プロセッサ31は、緊急オーダを1つのステーションに割り当てた場合、端末通信部38により緊急オーダを割り当てたステーションに設置されているクライアント端末6の表示部67に緊急オーダが割り当たったことを表示させる(ステップST13)。
【0098】
図16は、ステーション4に配置したクライアント端末6の表示部67がオーダを実施中に表示する表示画面の表示例である。図17は、緊急オーダが割り当てられたステーション4に配置したクライアント端末6の表示部67に緊急オーダが割り当たったことを報知(喚起)する案内画面を表示した表示例を示す図である。
【0099】
図16に示すように、緊急オーダ以外の通常のオーダを実施中において、クライアント端末6は、WCS11からの情報に基づいて実施中のオーダの処理状況や作業内容などの作業案内を表示部67に表示する。各ステーション4に配置された作業員は、図16に示すようなクライアント端末6の表示部67が表示する作業案内の表示画面を視認しながら棚3から物品をピックアップして仕分けする作業を実施する。
【0100】
WCS11は、1つのステーション4に緊急オーダが割り当てた場合、緊急オーダを割り当てたステーション4に配置されたクライアント端末6の表示部67に図17に示すような緊急オーダが割り当たったことを報知する画面を表示させる。図17に示す表示例によれば、クライアント端末6の表示部67は、表示中の画面上に緊急オーダが割り当てられたことを喚起(案内)するポップアップウインドウを表示する。これにより、当該ステーションの作業員は、緊急オーダが割り当てられたことを即座に認識することができる。また、図17に示す表示例において、緊急オーダの割り当てを喚起するポップアップウインドウを表示した場合に緊急オーダの開始を作業員に指示させるようにしても良い。
【0101】
また、プロセッサ31は、緊急オーダの全ての棚が存在するステーションに緊急オーダを割り当てた場合(第1パターンの場合)、当該ステーションにおいて実施中のオーダを中断させる(ステップST14)。例えば、プロセッサ31は、実施中のオーダを中断させ、当該ステーションで待機していた緊急オーダの棚以外の棚を返却するように各AGVを制御する。
【0102】
プロセッサ31は、実施中のオーダを中断させると、緊急オーダで使用する棚を当該ステーションの待機位置に配置させる(ステップST15)。例えば、プロセッサ31は、緊急オーダで使用する棚をAGV5によって緊急オーダを割り当てたステーションへ搬送させ、当該ステーションの待機位置に待機させる。なお、緊急オーダで使用する棚の配置が完了した後、緊急オーダに続いて通常のオーダが実施できるように緊急オーダの棚を配置した待機位置の後に待機させるようにしても良い。
【0103】
プロセッサ31は、緊急オーダで使用する棚をステーションの待機位置に配置した場合(又は、緊急オーダで使用する棚を配置させながら)、当該ステーションにおいて緊急オーダを実施させる(ステップST16)。
プロセッサ31は、緊急オーダに対する処理(作業)を実施させる間、クライアント端末6の表示部67に緊急オーダの処理状況や作業内容などの作業案内を表示すると共に、表示画面の一部に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示させる(ステップST17)。
【0104】
図18は、ステーション4に配置したクライアント端末6の表示部67が緊急オーダの実施中であることを示す案内を表示した表示例を示す図である。
図18に示す表示例において、クライアント端末6の表示部67は、WCS11からの情報に基づいて緊急オーダの作業案内を表示すると共に、表示画面の所定領域に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示する。これにより、当該ステーションの作業員は、表示される案内(作業案内)に従って仕分け作業を実施しながら、緊急オーダに対する作業を実施していることを常に確認できる。
【0105】
また、緊急オーダの全棚が配置されている1つのステーションが存在しない場合(ステップST11、NO)、プロセッサ31は、緊急オーダで使用する棚と共通する棚が配置(待機)されているステーションがあるか否かを判断する(ステップST18)。
緊急オーダの棚と共通する棚が配置されているステーションがある場合(ステップST18、YES)、プロセッサ31は、緊急オーダの棚と共通する棚の数が最大で、かつ、同数のステーションが複数あるか否かを判断する(ステップST19)。
【0106】
緊急オーダの棚と共通する棚の数が最大でかつ同数となるステーションが複数ない場合、つまり、緊急オーダの棚と共通する棚の数が最大となるステーションが1つである場合(ステップST19、NO)、プロセッサ31は、上述した第2又は第3パターンのように、共通する棚の数が最も多いステーションに緊急オーダを割り当てる(ステップST20)。プロセッサ31は、緊急オーダを割り当てると、緊急オーダを割り当てたステーションに設置されているクライアント端末6の表示部67に緊急オーダが割り当たったことを表示させる(ステップST21)。
【0107】
さらに、緊急オーダの棚と共通する棚の数が最大となるステーションに緊急オーダを割り当てる場合、プロセッサ31は、緊急オーダを割り当てたステーションにおいて実施中のオーダを中断させるか否かを判断する(ステップST22)。例えば、プロセッサ31は、実施中のオーダが完了するまでの時間を推定し、推定した時間が所定時間以上であるか否かにより実施中のオーダを中断させるか否かを判断する。実施中のオーダが完了するまでの推定時間は、実施中のオーダに対する処理における残りの棚数などによって推定するようにしても良い。
【0108】
実施中のオーダを中断させると判断した場合(ステップST22、YES)、プロセッサ31は、ステップST14へ進み、上述した第2パターンのように、緊急オーダを割り当てたステーションにおいて実施中のオーダを中断して緊急オーダを実施させる。この場合も、プロセッサ31は、緊急オーダに対する処理を実行中、当該ステーションに配置したクライアント端末6の表示部67に緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示する。
【0109】
また、実施中のオーダを中断させないと判断した場合(ステップST22、NO)、プロセッサ31は、上述した第3パターンのように、緊急オーダを割り当てたステーションにおいて実施中のオーダの次に緊急オーダを実施するように設定する(ステップST23)。この場合、プロセッサ31は、実施中のオーダが完了するまで待機する(ステップST24、NO)。
【0110】
実施中のオーダが完了すると(ステップST24、YES)、プロセッサ31は、ステップST15へ進み、緊急オーダに使用する棚を配置して緊急オーダを実施する。なお、緊急オーダに使用する棚は、実施中のオーダが完了するまでの間に当該ステーションへ搬送するように制御しても良い。この場合も、プロセッサ31は、当該ステーションに配置したクライアント端末6の表示部67に緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示させる。
【0111】
また、緊急オーダの棚と共通する棚の数が最大でかつ同数となるステーションが複数ある場合(ステップST19、YES)、プロセッサ31は、上述した第4又は第5パターンのように、共通する棚の数が同数のステーションのうち残りオーダの数が少ないステーションに緊急オーダを割り当てる(ステップST23)。この場合も、プロセッサ31は、緊急オーダを割り当てたステーションに設置されているクライアント端末6の表示部67に緊急オーダが割り当たったことを表示させる(ステップST21)。
【0112】
また、残りオーダが少ないステーションに緊急オーダを割り当てた場合、プロセッサ31は、緊急オーダを割り当てたステーションで実施中のオーダを中断させるか否かを実施中のオーダが完了するまでの推定時間などによって判断する(ステップST22)。
実施中のオーダを中断させると判断した場合(ステップST22、YES)、プロセッサ31は、ステップST14へ進み、上述した第4パターンのように、実施中のオーダを中断して緊急オーダを実施させ、緊急オーダの処理を実行中、当該ステーションに配置したクライアント端末6の表示部67に緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示する。
【0113】
また、実施中のオーダを中断させないと判断した場合(ステップST22、NO)、プロセッサ31は、ステップST22へ進み、上述した第5パターンのように、実施中のオーダの次に緊急オーダを実施するように設定し、実施中のオーダが完了後に緊急オーダを実施する。この場合も、プロセッサ31は、当該ステーションに配置したクライアント端末6の表示部67に緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示させる。
【0114】
緊急オーダの棚と共通する棚が配置されているステーションがある場合(ステップST18、YES)、プロセッサ31は、緊急オーダの棚と共通する棚の数が最大で、かつ、同数となるステーションが複数あるか否かを判断する(ステップST19)。
【0115】
緊急オーダの棚と共通する棚の数が最大でかつ同数となるステーションが複数ない場合、つまり、緊急オーダの棚と共通する棚の数が最大となるステーションが1つである場合(ステップST19、NO)、プロセッサ31は、上述した第2又は第3パターンのように、共通する棚の数が最も多いステーションに緊急オーダを割り当てる(ステップST20)。プロセッサ31は、緊急オーダを割り当てると、緊急オーダを割り当てたステーションに設置されているクライアント端末6の表示部67に緊急オーダが割り当たったことを表示させる(ステップST21)。
【0116】
さらに、緊急オーダの棚と共通する棚の数が最大となるステーションに緊急オーダを割り当てる場合、プロセッサ31は、緊急オーダを割り当てたステーションで実施中のオーダを中断させるか否かを判断する(ステップST22)。例えば、プロセッサ31は、実施中のオーダが完了するまでの時間を推定し、推定した時間が所定時間以上であるか否かにより実施中のオーダを中断させるか否かを判断する。実施中のオーダが完了するまでの推定時間は、実施中のオーダに対する処理における残りの棚数などによって推定するようにしても良い。
【0117】
実施中のオーダを中断させると判断した場合(ステップST22、YES)、プロセッサ31は、ステップST14へ進み、上述した第2パターンのように、緊急オーダを割り当てたステーションにおいて実施中のオーダを中断して緊急オーダを実施させる。この場合もプロセッサ31は、緊急オーダに対する処理を実行中、当該ステーションに配置したクライアント端末6の表示部67に緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示する。
【0118】
実施中のオーダを中断させないと判断した場合(ステップST22、NO)、プロセッサ31は、上述した第3パターンのように、緊急オーダを割り当てたステーションにおいて実施中のオーダの次に緊急オーダを実施するように設定する(ステップST23)。この場合、プロセッサ31は、実施中のオーダが完了するまで待機する(ステップST24、NO)。
【0119】
実施中のオーダが完了すると(ステップST24、YES)、プロセッサ31は、ステップST15へ進み、緊急オーダに使用する棚を当該ステーションに配置して緊急オーダを実施する。なお、緊急オーダに使用する棚は、実施中のオーダが完了するまでの間に当該ステーションへ搬送するように制御しても良い。プロセッサ31は、緊急オーダを実行中に当該ステーションに配置したクライアント端末6の表示部67に緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示させる。
【0120】
また、緊急オーダの棚と共通する棚が配置されているステーションがない場合(ステップST18、NO)、プロセッサ31は、上述した第6又は第7パターンのように、残りオーダの数が少ないステーションに緊急オーダを割り当てる(ステップST26)。この場合も、プロセッサ31は、緊急オーダを割り当てたステーションに設置されているクライアント端末6の表示部67に緊急オーダが割り当たったことを表示させる(ステップST21)。
【0121】
また、残りオーダが少ないステーションに緊急オーダを割り当てた場合、プロセッサ31は、実施中のオーダを中断させるか否かを実施中のオーダが完了するまでの推定時間などによって判断する(ステップST22)。
実施中のオーダを中断させると判断した場合(ステップST22、YES)、プロセッサ31は、ステップST14へ進み、上述した第6パターンのように、実施中のオーダを中断して緊急オーダを実施させ、緊急オーダの処理を実行中、当該ステーションに配置したクライアント端末6の表示部67に緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示する。
【0122】
また、実施中のオーダを中断させないと判断した場合(ステップST22、NO)、プロセッサ31は、ステップST22へ進み、上述した第7パターンのように、実施中のオーダの次に緊急オーダを実施するように設定し、実施中のオーダが完了後に緊急オーダを実施する。この場合も、プロセッサ31は、緊急オーダの処理を実行中、当該ステーションに配置したクライアント端末6の表示部67に緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダを実施中であることを示す案内を表示させる。
【0123】
以上のように、実施形態に係る制御装置としてのWCSによれば、緊急オーダの内容と各ステーションにおける既存のオーダの処理状況とに応じて緊急オーダを割り当てるステーションを決定する。これにより、緊急オーダの内容と各ステーションでの処理状況とに応じて緊急オーダを効率良く処理できるステーションに割り当てることができる。この結果、緊急オーダを迅速に処理できるだけでなく、緊急オーダを実施しても他のステーションにおける既存のオーダの処理を含む物流システム全体の作業効率の低下を防ぐことができる。
【0124】
また、実施形態に係る制御装置としてのWCSは、緊急オーダで使用する棚が最も多く配置されているステーションに緊急オーダを割り当てる。これにより、緊急オーダを無駄なく実施できるステーションにおいて緊急オーダを処理でき、物流システム全体としても効率良く緊急オーダを実施することができる。
【0125】
また、実施形態に係る制御装置としてのWCSは、緊急オーダで使用する棚と共通する棚の数が同じステーションが複数ある場合、残りのオーダ数が少ないステーションに緊急オーダを割り当てる。これにより、既存のオーダによる負荷が少ないステーションで緊急オーダを処理するようにでき、物流システム全体として効率良く緊急オーダを実施することができる。
【0126】
また、実施形態に係る制御装置としてのWCSは、緊急オーダを割り当てたステーションで実施中のオーダが所定時間内に完了する場合には実施中のオーダを完了してから緊急オーダを実施させ、実施中のオーダが所定時間内に完了しない場合には実施中のオーダを中断して緊急オーダを実施させる。これにより、緊急オーダの緊急性を確保しつつ実施中のオーダも効率良く処理するようにできる。
【0127】
また、実施形態に係る制御装置としてのWCSは、緊急オーダを1つのステーションに割り当てた場合、当該ステーションに設けたクライアント端末の表示部に緊急オーダが割り当たったことを喚起する案内を表示する。これにより、緊急オーダが割り当たったステーションの作業員は、緊急オーダを実施すること確実に認識して緊急オーダに対する作業を実施できる。
【0128】
また、実施形態に係る制御装置としてのWCSは、緊急オーダを実施している間、緊急オーダを実施しているステーションに設けたクライアント端末の表示部に緊急オーダの作業案内と共に緊急オーダ実施中を示す案内を表示する。これにより、緊急オーダが割り当たったステーションの作業員は、緊急オーダを実施中であることを視認しながら緊急オーダに対する作業を実施するようにできる。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1…物流システム、3…棚、4…ステーション、5…AGV、6…クライアント端末、11…WCS(制御装置、情報処理装置)、12…WMS(上位装置)、13…在庫管理システム、14…データベース、31…プロセッサ、32…ROM、33…RAM、34…記憶部、35…上位通信部、36…システム通信部、37…AGV通信部、38…端末通信部、41…プロセッサ、42…ROM、43…RAM、44…記憶部、45…通信部、46…センサ、47…駆動部、48…バッテリ、49…充電機構、50…駆動機構、61…プロセッサ、62…ROM、63…RAM、64…記憶部、65…通信部、66…操作部、67…表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18