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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175336
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093040
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】植村 勇士
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA00
2D060BB03
2D060BC30
2D060CA04
2D060CC20
(57)【要約】
【課題】センサ面に付着した水滴を要因とする誤作動の発生を抑制する。
【解決手段】水栓は、光透過性を有するセンサ面20の内側に並んで設けられた発光部31及び受光部32を有するセンサ装置10を備える。そして、水栓は、発光部31がセンサ面20に形成する発光領域51と受光部32がセンサ面20に形成する受光領域52との間の位置において、そのセンサ面20に設けられた凹部60を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有するセンサ面の内側に並んで設けられた発光部及び受光部を有するセンサ装置を備えるとともに、
前記発光部が前記センサ面に形成する発光領域と前記受光部が前記センサ面に形成する受光領域との間の位置において前記センサ面に設けられた凹部を備える水栓。
【請求項2】
前記凹部として、前記発光部及び前記受光部が並ぶ方向に対して交差する方向に延在する溝部を備える請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記センサ面が重力方向下側の下縁部を有するとともに、前記溝部が前記下縁部に向かって延びている請求項2に記載の水栓。
【請求項4】
前記溝部の延伸端部が前記下縁部に開口している請求項3に記載の水栓。
【請求項5】
吐水管に設けられた前記センサ装置を備えるとともに、前記センサ面が吐水口の配置方向を向いている請求項1~請求項4の何れか一項に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の吐水操作を検出するセンサ装置を備えた水栓がある。例えば、特許文献1に記載の水栓において、センサ装置は、並んで設けられた発光部及び受光部を備えている。即ち、このセンサ装置は、その発光部からセンサ光を出力するとともに、受光部において、その反射光を受光する。そして、これにより、例えば、水栓に近接した手等を検出体として、その利用者の吐水操作を検出する構成となっている。
【0003】
また、例えば、特許文献2に記載の水栓は、センサ装置の送受信部を覆うカバー部材を備えている。更に、この従来例の水栓は、そのカバー部材の周縁に設けられた排水溝を有している。そして、これにより、そのカバー部材の表面を覆う水膜を速やかに除去する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-229183号公報
【特許文献2】特許第6048908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光透過性を有するセンサ面の内側にセンサ装置の発光部及び受光部を並んで配置する構成においては、センサ面に対して部分的に水滴が付着した場合であっても、この水滴が、その発光領域と受光領域との間に短絡回路を形成する可能性がある。そして、これにより、その利用者による吐水操作の検出に誤作動が生ずるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する水栓の各態様を記載する。
態様1は、光透過性を有するセンサ面の内側に並んで設けられた発光部及び受光部を有するセンサ装置を備えるとともに、前記発光部が前記センサ面に形成する発光領域と前記受光部が前記センサ面に形成する受光領域との間の位置において前記センサ面に設けられた凹部を備えた水栓である。
【0007】
上記構成によれば、センサ面に付着した水滴が凹部に引き込まれる態様で、その水滴を発光領域及び受光領域の両方に跨る位置から移動させることができる。そして、これにより、その水滴を介した短絡回路の形成を阻害することで、そのセンサ面に付着した水滴を要因とする誤作動の発生を抑制することができる。
【0008】
態様2は、前記凹部として、前記発光部及び前記受光部が並ぶ方向に対して交差する方向に延在する溝部を備える態様1の水栓である。
上記構成によれば、発光領域と受光領域との間の位置に付着したセンサ面上の水滴が、これらの発光領域及び受光領域から離間しやすくなる。即ち、溝部に引き込まれることで、そのセンサ面に付着した水滴が小さくなる。更に、溝部に引き込まれた水は、その発光領域と受光領域との間を区画する溝部の延在方向に流れやすい。その結果、このセンサ面に付着した水滴が、その発光領域及び受光領域から除去されやすくなる。そして、これにより、より効果的に、そのセンサ面に付着した水滴を要因とする誤作動の発生を抑制することができる。
【0009】
態様3は前記センサ面が重力方向下側の下縁部を有するとともに、前記溝部が前記下縁部に向かって延びている態様2の水栓である。
上記構成によれば、溝部に引き込まれた水が、重力により、そのセンサ面の下縁部に向かって流れやすい。更に、この溝部から流れ出た水が、その下縁部からセンサ面外に排出される。そして、これにより、より効果的に、そのセンサ面に付着した水滴を要因とした誤作動の発生を抑制することができる。
【0010】
態様4は、前記溝部の延伸端部が前記下縁部に開口している態様3の水栓である。
上記構成によれば、溝部内に引き込まれた水を、そのセンサ面の下縁部に開口した延伸端部から、効率よく、そのセンサ面外に排出することができる。そして、これにより、より効果的に、そのセンサ面に付着した水滴を要因とする誤作動の発生を抑制することができる。
【0011】
態様5は、吐水管に設けられた前記センサ装置を備えるとともに、前記センサ面が吐水口の配置方向を向いている態様1~態様4の何れか一つの水栓である。
上記構成によれば、そのセンサ面に水滴が付着しやすい。従って、このような構成に上記態様1~態様4の構成を適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、センサ面に付着した水滴を要因とする誤作動の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、水栓の斜視図である。
図2図2は、部分断面を含む水栓の側面図である。
図3図3は、センサ面近傍の下面図である。
図4図4は、センサ面の内側に設けられたセンサ装置の発光部及び受光部を模式的に示す断面図である。
図5図5は、センサ面に形成される発光領域及び受光領域を模式的に示す説明図である。
図6図6は、センサ面が配置されたヘッドユニットの下面側の拡大断面図である。
図7図7は、センサ面に付着した水滴が発光領域及び受光領域の両方に跨る状態を模式的に示す説明図である。
図8図8は、発光領域と受光領域との間の位置に付着したセンサ面上の水滴が溝部に引き込まれた状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、水栓を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
(壁付き水栓)
図1及び図2に示すように、本実施形態の水栓1は、壁部2から突出して設けられたヘッドユニット3と本体ユニット4とを備えた壁付き水栓としての構成を有している。
【0015】
詳述すると、本実施形態の水栓1において、これらのヘッドユニット3及び本体ユニット4は、ともに、その基端側から先端側(図2中、左側から右側)に向かって徐々に先細りとなる略四角柱状の外形を有している。また、ヘッドユニット3は、その先端部3aに吐水口5を有した吐水管6としての構成を有している。更に、本体ユニット4は、その胴部4bから突出した操作レバー7を備えている。そして、本実施形態の水栓1は、この操作レバー7に対する操作入力に基づいて、手動により、その吐水状態を切り換えることのできる構成となっている。
【0016】
具体的には、本実施形態の本体ユニット4において、操作レバー7は、その本体ユニット4が設けられた壁部2に沿う方向に回動操作することができるとともに、その壁部2に向かって前後方向、つまりは、図2中における左右方向に回動操作することができる。また、本実施形態のヘッドユニット3は、先端部3aの下側部分が下方(図2中、下側)に向かって突出した形状を有している。更に、このヘッドユニット3は、その先端部3aの下端部分に吐水口5を有している。そして、本実施形態の水栓1は、これにより、その本体ユニット4の操作レバー7に対する回動操作に基づいて、そのヘッドユニット3の先端部3aに設けられた吐水口5から下方に流れ出る水の吐水状態を調節することのできる構成になっている。
【0017】
(センサ付き自動水栓)
また、本実施形態の水栓1は、利用者の吐水操作を非接触で検出するセンサ装置10を備えたセンサ付き自動水栓としての構成を有している。
【0018】
詳述すると、本実施形態の水栓1において、吐水管6としての構成を有したヘッドユニット3は、その壁部2から突出した略四角柱形状の内側に、吐水口5に連通する通水路12を有している。また、本実施形態の水栓1においては、そのセンサ装置10もまた、このヘッドユニット3に設けられている。即ち、本実施形態のセンサ装置10は、そのヘッドユニット3に近接した利用者の手を検出する。そして、本実施形態の水栓1は、これにより、利用者の非接触操作に基づいて、その要求に応じた吐水を実行することのできる構成となっている。
【0019】
さらに詳述すると、本実施形態のヘッドユニット3は、このヘッドユニット3が壁部2から突出する方向に延びる通水路12の下方に、そのセンサ装置10の収容部13を有している。本実施形態のヘッドユニット3において、この収容部13は、着脱可能に構成されたカバー部材15によって、その下側が覆われる構造となっている。更に、このカバー部材15には、その収容部13内に配置されたセンサ装置10のセンサ面20が設けられている。そして、本実施形態のヘッドユニット3は、このセンサ面20が、そのヘッドユニット3の先端部3aに設けられた吐水口5の配置方向(図2中、右側)、詳しくは、この吐水口5の下方を向くように構成されている。
【0020】
具体的には、図2及び図3に示すように、本実施形態のカバー部材15は、ヘッドユニット3の下面3sbとなる位置において、そのセンサ装置10が配置された収容部13の下方を覆う下面部15bに、断面略V字形状の三角凹部21を有している。更に、本実施形態のカバー部材15は、この三角凹部21の断面略V字形状を形成する一対の傾斜面22a,22bのうち、一方の傾斜面22aが、その壁部2から突出したヘッドユニット3の延出方向に臨む状態で、このヘッドユニット3に取着される。そして、本実施形態のヘッドユニット3は、これにより、この三角凹部21を構成する一方の傾斜面22aが、その吐水口5の下方を向く構成になっている。
【0021】
即ち、本実施形態の水栓1において、このヘッドユニット3に設けられたセンサ装置10は、そのセンサ面20が臨む方向を検出方向とする。つまり、本実施形態のセンサ装置10は、ヘッドユニット3の先端部3aに設けられた吐水口5から水が流れ出る方向にかざした利用者の手を、その検出体とする。そして、本実施形態の水栓1は、これにより、そのセンサ装置10が利用者の手を検出した場合に吐水を実行し、及び、そのセンサ装置10が利用者の手を検出できなくなった場合に吐水を停止する構成となっている。
【0022】
さらに詳述すると、本実施形態の水栓1において、本体ユニット4内に設けられた手動操作弁の下流には、この手動操作弁に対して直列に接続された電磁弁を有する流路が設けられている。即ち、本実施形態の水栓1においては、これらの手動操作弁及び電磁弁の両方が開いた状態で、その吐水が可能となる。そして、本実施形態の水栓1は、これにより、本体ユニット4の操作レバー7を吐水状態に操作した状態で、上記のような非接触操作がセンサ装置10により検出された場合に、この非接触操作に基づいた吐水を実行する構成となっている。
【0023】
(センサ装置及びセンサ面)
図3及び図4に示すように、本実施形態のヘッドユニット3において、センサ装置10が配置された収容部13の下方を覆うカバー部材15は、樹脂素材を用いて構成されている。更に、このカバー部材15に設けられたセンサ面20は、光透過性を有している。尚、本実施形態のカバー部材15には、例えば、ポリカーボネート等、着色により光の透過度を調整することのできる樹脂素材が用いられている。そして、本実施形態のセンサ装置10は、この光透過性を有するセンサ面20の内側に並んで設けられた発光部31及び受光部32を備えている。
【0024】
具体的には、本実施形態のセンサ装置10は、発光部31が出力する赤外線をセンサ光として、この赤外線の反射光を受光部32が受光することにより、その発光方向に位置する物体を検出体とする。そして、本実施形態の水栓1においては、このような所謂赤外線センサとしての構成を有するセンサ装置10の作動を妨げないように、そのセンサ面20が半透明となっている。
【0025】
(センサ面の除水構造)
図4及び図5に示すように、本実施形態のセンサ装置10は、上記ヘッドユニット3の下面3sb側に設けられたセンサ面20に対し、その発光部31及び受光部32が、それぞれ、そのセンサ光となる赤外線が透過する発光領域51及び受光領域52を形成する。尚、本実施形態の水栓1においては、そのセンサ面20に設定された光の透過度に基づいて、このセンサ面20を正面から見た場合に、発光部31及び受光部32の配置領域よりも僅かに大きな領域が、その発光領域51及び受光領域52となっている。そして、本実施形態の水栓1は、これら発光領域51と受光領域52との間の位置において、そのセンサ面20に設けられた凹部60を備えている。
【0026】
詳述すると、本実施形態の水栓1において、この凹部60は、センサ面20の内側となる位置に並置された発光部31及び受光部32が並ぶ方向(図5中、左右方向)に対して略直交する方向(同図中、上下方向)に延在する溝部70としての構成を有している。
【0027】
具体的には、図3図6に示すように、本実施形態のセンサ面20は、重力方向下側の下縁部20bを有している。また、発光部31及び受光部32は、この下縁部20bの延在方向に対し、その並び方向が略平行となるように、水平方向(図6中、紙面に直交する方向)に並んで配置されている。更に、溝部70は、これによりセンサ面20に形成される発光領域51と受光領域52との間の位置、詳しくは、その中央位置において、重力方向に延設されている。そして、本実施形態の溝部70は、これにより、その発光領域51と受光領域52との間の位置からセンサ面20の下縁部20bに向かって延びる構成となっている。
【0028】
尚、本実施形態の溝部70は、断面略半円弧状の所謂丸溝としての構成を有している。そして、本実施形態の水栓1においては、この溝部70の溝幅が、例えば、1mm程度に設定されている。
【0029】
さらに詳述すると、本実施形態の水栓1においては、ヘッドユニット3の下面3sbを構成するカバー部材15の下面部15bと、この下面部15bに設けられた断面略V字状の三角凹部21との境界部分が、そのセンサ面20の下縁部20bとなっている。換言すると、本実施形態の水栓1は、重力方向(図6中、上下方向)の広がりを有する第1面S1と、この第1面S1に連接して下方(同図中、下側)に臨む第2面S2と、を備えている。そして、その第1面S1をセンサ面20とすることにより、これら第1面S1及び第2面S2が連接する断面折曲形状部分が、そのセンサ面20の下縁部20bとなっている。
【0030】
即ち、本実施形態の水栓1において、センサ面20となる第1面S1は、カバー部材15の下面部15bに設けられた三角凹部21を構成する一方の傾斜面22aである。また、第2面S2は、カバー部材15の下面部15bが形成するヘッドユニット3の下面3sbである。そして、これにより、その傾斜面22aの下端がセンサ面20の下縁部20bとなっている。
【0031】
また、図5及び図6に示すように、本実施形態の水栓1においては、センサ面20に設けられた溝部70が、そのセンサ面20の下縁部20bまで延設されている。そして、本実施形態の溝部70は、これにより、その延伸端部70xbがセンサ面20の下縁部20bに開口する構成となっている。
【0032】
換言すると、本実施形態の水栓1において、この溝部70は、重力方向の広がりを有する第1面S1の下縁部20bにおいて、この第1面S1に連接して下方に臨む第2面S2に延伸端部70xbが開口する。尚、本実施形態の水栓1において、この溝部70は、その他方側の延伸端部70xa、つまりは、重力方向上側の延伸端部70xaが、そのセンサ面20における発光領域51及び受光領域52よりも上側の位置まで延設されている。そして、本実施形態の水栓1は、このセンサ面20に設けられた溝部70によって、そのセンサ面20に付着した水滴80を要因とした誤作動の発生を抑制する構成となっている。
【0033】
(作用)
図7に示すように、センサ面20に付着した水滴80が、そのセンサ面20を部分的に覆う程度であっても、この水滴80が、その発光領域51及び受光領域52の両方に跨る態様でセンサ面20に付着する場合がある。更に、このような場合には、この水滴80がセンサ光を反射することで、その発光領域51と受光領域52との間に短絡回路が形成される可能性がある。そして、これにより、そのセンサ装置10に誤検出が生ずるおそれがある。
【0034】
この点、図8に示すように、本実施形態の水栓1においては、発光領域51と受光領域52との間の位置に付着した水滴80が、そのセンサ面20に設けられた溝部70内に引き込まれる。その結果、このセンサ面20に付着した水滴80が小さくなる。そして、これにより、この水滴80が発光領域51及び受光領域52の両方に跨る位置(図7参照)から移動することで、そのセンサ面20に付着した水滴80による短絡回路の形成が阻害される。
【0035】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)水栓1は、光透過性を有するセンサ面20の内側に並んで設けられた発光部31及び受光部32を有するセンサ装置10を備える。そして、水栓1は、発光部31がセンサ面20に形成する発光領域51と受光部32がセンサ面20に形成する受光領域52との間の位置において、そのセンサ面20に設けられた凹部60を備える。
【0036】
上記構成によれば、センサ面20に付着した水滴80が凹部60に引き込まれる態様で、その水滴80を発光領域51及び受光領域52の両方に跨る位置から移動させることができる。そして、これにより、その水滴80を介した短絡回路の形成を阻害することで、そのセンサ面20に付着した水滴80を要因とする誤作動の発生を抑制することができる。その結果、凹部60がない場合と比べて発光部31と受光部32とを近づけて配置することが可能になる。そして、これによりセンサ面20を小型化することで、高い設計自由度を確保して、デザイン性の向上を図ることができる。
【0037】
(2)水栓1は、その凹部60として、発光部31及び受光部32が並ぶ方向に対して交差する方向に延在する溝部70を備える。
上記構成によれば、発光領域51と受光領域52との間の位置に付着したセンサ面20上の水滴80が、これらの発光領域51及び受光領域52から離間しやすくなる。即ち、溝部70に引き込まれることで、そのセンサ面20に付着した水滴80が小さくなる。更に、溝部70に引き込まれた水は、その発光領域51と受光領域52との間を区画する溝部70の延在方向に流れやすい。その結果、センサ面20に付着した水滴80が、その発光領域51及び受光領域52から除去されやすくなる。そして、これにより、より効果的に、そのセンサ面20に付着した水滴80を要因とする誤作動の発生を抑制することができる。
【0038】
(3)センサ面20は、重力方向下側の下縁部20bを有する。そして、溝部70は、この下縁部20bに向かって延びている。
上記構成によれば、溝部70に引き込まれた水が、重力により、そのセンサ面20の下縁部20bに向かって流れやすい。更に、この溝部70から流れ出た水が、その下縁部20bからセンサ面20外に排出される。そして、これにより、より効果的に、そのセンサ面20に付着した水滴80を要因とした誤作動の発生を抑制することができる。
【0039】
(4)溝部70は、その延伸端部70xbがセンサ面20の下縁部20bに開口している。
上記構成によれば、溝部70内に引き込まれた水を、そのセンサ面20の下縁部20bに開口した延伸端部70xbから、効率よく、そのセンサ面20外に排出することができる。そして、これにより、より効果的に、そのセンサ面20に付着した水滴80を要因とする誤作動の発生を抑制することができる。
【0040】
(5)水栓1は、吐水管6としての機能を有したヘッドユニット3を備える。更に、センサ装置10は、このヘッドユニット3に設けられる。そして、水栓1は、そのセンサ面20が、その吐水口5の配置方向を向くように構成される。
【0041】
上記構成によれば、そのセンサ面20に水滴80が付着しやすい。従って、このような構成に上記(1)~(4)の構成を適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0042】
(6)溝部70は、その重力方向上側の延伸端部70xaが、センサ面20における発光領域51及び受光領域52よりも上側に位置する。
上記構成によれば、より効果的に、その発光領域51と受光領域52との間の位置に付着したセンサ面20上の水滴80を、これらの発光領域51及び受光領域52から除去することができる。
【0043】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0044】
・上記実施形態では、溝部70は、センサ面20の下縁部20bまで延設されることにより、その延伸端部70xbがセンサ面20の下縁部20bに開口することとした。しかし、これに限らず、必ずしも、その溝部70が下縁部20bまで延設されていなくともよい。この場合、例えば、溝深さが徐々に浅くなるように延伸端部70xbを構成するとよい。これにより、その延伸端部70xbに移動した溝部70内の水が溝部70外に流れ出やすくなる。このような構成を採用しても高い排水性能を確保することができる。更に、重力方向上側の延伸端部70xaについてもまた、その延設位置は任意に変更してもよい。例えば、重力方向上側の延伸端部70xaが、センサ面20における発光領域51及び受光領域52の上端位置よりも下方に位置していてもよい。そして、この延伸端部70xaが、そのセンサ面20の上端位置まで延在していてもよい。
【0045】
・また、溝部70の延在方向は、必ずしも発光部31及び受光部32が並ぶ方向に対して直交していなくてもよい。これらが並ぶ方向に対して交差する方向に溝部70が延在していれば、その発光領域51と受光領域52との間の位置に付着したセンサ面20上の水滴80を、これらの発光領域51及び受光領域52から除去する効果が得られる。
【0046】
・発光部31及び受光部32が並ぶ方向は、任意に変更してもよい。必ずしも水平方向でなくともよい。また、溝部70についてもまた、必ずしも重力方向に沿って延在していなくともよい。但し、溝部70の排水効果を高めるためには、その延伸端部70xbが重力方向下側を向いていることが好ましい。
【0047】
・上記実施形態では、溝部70は、断面略半円弧状の所謂丸溝であることとしたが、その断面形状は、任意に変更してもよい。例えば、断面V字形状でもよく、断面四角形状であってもよい。そして、その溝幅についてもまた、任意に変更してもよい。
【0048】
・また、センサ面20に対して複数の溝部70を設ける構成であってもよい。例えば、複数の溝部70が略平行に並ぶ構成としてもよい。また、隣り合う2つの溝部70がV字状に並ぶ構成であってもよい。そして、発光部31及び受光部32が並ぶ方向に延在する横溝を組み合わせる構成であってもよい。
【0049】
・更に、溝部70に限らず、凹部60の形状は、任意に変更してもよい。発光領域51と受光領域52との間の位置に付着したセンサ面20上の水滴80を引き込むことにより、その発光領域51及び受光領域52から除去する効果が得られればよい。
【0050】
・上記実施形態では、水栓1は、吐水管6としての機能を有したヘッドユニット3を備える。そして、センサ装置10は、このヘッドユニット3の下面3sb側に設けられることとした。しかし、これに限らず、センサ装置10及びセンサ面20の配置は任意に変更してもよい。例えば、吐水管6となる部材の側面や上面側にセンサ装置10及びセンサ面20を有する構成に適用してもよい。そして、吐水管6以外の箇所にセンサ装置10を配置してもよい。
【0051】
・また、上記実施形態では、センサ面20は、その吐水口5の配置方向、詳しくは、この吐水口5の下方を向くように構成されることとした。しかし、これに限らず、センサ面20の向きについてもまた、任意に設定してもよい。例えば、吐水口5の下方に限らず、そのセンサ面20と吐水口5との位置関係において、概ね、その吐水口5の配置方向にセンサ面20が向いていれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。更に、センサ面20が、吐水口5の配置方向とは異なる方向を向いていてもよい。例えば、センサ面20が、吐水管6の側方、或いは上方を向いた構成に適用してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、センサ装置10は、所謂赤外線センサとしての構成を有することとした。しかし、これに限らず、必ずしも、そのセンサ光が赤外線でなくともよい。センサ面20を透過するセンサ光の発光及び受光により検出を行うとともに、発光領域51と受光領域52との間の位置に付着したセンサ面20上の水滴80が短絡回路を形成する可能性があれば、そのセンサ装置10の構成は、任意に変更してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、壁部2から突出して設けられたヘッドユニット3と本体ユニット4とを備えた壁付き水栓としての構成を有する水栓1に具体化した。しかし、これに限らず、水栓の型式については、任意に変更してもよい。例えば、吐水管6と水栓本体とが一体に設けられた構成に適用してもよい。そして、本体ユニット4のような手動の操作部を省いて、センサ装置10の検知のみで操作する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…水栓、10…センサ装置、20…センサ面、31…発光部、32…受光部、51…発光領域、52…受光領域、60…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8