(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175337
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】中継プログラム及び中継方法
(51)【国際特許分類】
G06F 21/84 20130101AFI20241211BHJP
【FI】
G06F21/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093041
(22)【出願日】2023-06-06
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SWIFT
2.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】エフサステクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 治
(72)【発明者】
【氏名】大石 進也
(57)【要約】
【課題】画面キャプチャの抑止を支援する中継プログラム及び中継方法を提供することを目的とする。
【解決手段】中継プログラムは、画面の閲覧に用いる第1ソフトウェアと、被操作体に対する操作に応じて前記画面を画像化し、前記第1ソフトウェアに表示中のURL(Uniform Resource Locator)データが予め登録された登録済URLデータと一致する場合には前記画面の画像化を抑止する第2ソフトウェアと、の間で流れるデータを中継する中継プログラムであって、前記第1ソフトウェアの拡張機能の起動に基づいて、起動し、前記第2ソフトウェアから前記URLデータの取得要求を受信すると、前記拡張機能に前記URLデータの前記第1ソフトウェアからの取得と送信を要求し、前記拡張機能から送信された前記URLデータを受信すると、前記URLデータを間接的に前記第2ソフトウェアに提供する、処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面の閲覧に用いる第1ソフトウェアと、被操作体に対する操作に応じて前記画面を画像化し、前記第1ソフトウェアに表示中のURL(Uniform Resource Locator)データが予め登録された登録済URLデータと一致する場合には前記画面の画像化を抑止する第2ソフトウェアと、の間で流れるデータを中継する中継プログラムであって、
前記第1ソフトウェアの拡張機能の起動に基づいて、起動し、
前記第2ソフトウェアから前記URLデータの取得要求を受信すると、前記拡張機能に前記URLデータの前記第1ソフトウェアからの取得と送信を要求し、
前記拡張機能から送信された前記URLデータを受信すると、前記URLデータを間接的に前記第2ソフトウェアに提供する、
処理をコンピュータに実行させるための中継プログラム。
【請求項2】
複数の前記URLデータを受信すると、複数の前記URLデータを前記中継プログラムと前記第2ソフトウェアとの共有メモリを介して前記第2ソフトウェアに提供する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の中継プログラム。
【請求項3】
複数の前記URLデータを受信すると、複数の前記URLデータを前記中継プログラムと前記第2ソフトウェアとの共有メモリに格納し、
前記第2ソフトウェアは、前記共有メモリから前記URLデータを取得する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の中継プログラム。
【請求項4】
前記第1ソフトウェアは前記第2ソフトウェアからの前記URLデータの直接的な取得が禁止されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の中継プログラム。
【請求項5】
画面の閲覧に用いる第1ソフトウェアの機能を拡張する拡張機能の起動に基づいて、起動し、
被操作体に対する操作に応じて前記画面を画像化し、前記第1ソフトウェアに表示中のURL(Uniform Resource Locator)データが予め登録された登録済URLデータと一致する場合には前記画面の画像化を抑止する第2ソフトウェアから、前記URLデータの取得要求を受信し、
前記取得要求を受信すると、前記拡張機能に前記URLデータの前記第1ソフトウェアからの取得と送信を要求し、
前記拡張機能から送信された前記URLデータを受信すると、前記URLデータを間接的に前記第2ソフトウェアに提供する、
処理をコンピュータが実行する中継方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、中継プログラム及び中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラウザとサーバプログラムとの間で通信されるデータを中継する中継プログラムが知られている(例えば特許文献1参照)。また、クライアントプログラムとサーバプログラムとの間で通信されるデータを中継する中継プログラムも知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-099476号公報
【特許文献2】特開平11-282661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PC(Personal Computer)を使った作業では、キーボードに対するキー操作に基づいて、画面キャプチャと呼ばれる処理が実行されることがある。画面キャプチャは例えばPCに表示されている画面をそのまま画像化して保存する処理である。画面キャプチャに特化した画面キャプチャソフトウェアによって画面キャプチャが実施されることもある。
【0005】
ここで、画面の中には秘匿性が高い機密事項が含まれていることがある。例えば会社の社外にこのような機密事項が漏洩すると、会社は多大な損失を被る可能性がある。このため、機密事項の漏洩に対するセキュリティの観点から、画面キャプチャが画面キャプチャソフトウェアの管理者によって抑止されていることがある。例えば、画面キャプチャソフトウェアは、画面キャプチャ時に、画面の閲覧に用いる閲覧用ソフトウェアから画面のURL(Uniform Resource Locator)データを取得し、取得したURLデータが画面キャプチャソフトウェアに事前に登録された登録済URLデータと同じ場合、画面キャプチャを抑止する。
【0006】
しかしながら、閲覧用ソフトウェアの種別によっては、画面キャプチャソフトウェアは閲覧用ソフトウェアからURLデータを取得できない場合がある。URLデータを取得できない場合、画面キャプチャソフトウェアはURLデータと登録済URLデータとを比較することができない。このため、画面キャプチャの抑止が作用せず、機密事項を含む画面が画面キャプチャされてしまうおそれがある。
【0007】
そこで、1つの側面では、画面キャプチャの抑止を支援する中継プログラム及び中継方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施態様では、中継プログラムは、画面の閲覧に用いる第1ソフトウェアと、被操作体に対する操作に応じて前記画面を画像化し、前記第1ソフトウェアに表示中のURLデータが予め登録された登録済URLデータと一致する場合には前記画面の画像化を抑止する第2ソフトウェアと、の間で流れるデータを中継する中継プログラムであって、前記第1ソフトウェアの拡張機能の起動に基づいて、起動し、前記第2ソフトウェアから前記URLデータの取得要求を受信すると、前記拡張機能に前記URLデータの前記第1ソフトウェアからの取得と送信を要求し、前記拡張機能から送信された前記URLデータを受信すると、前記URLデータを間接的に前記第2ソフトウェアに提供する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
画面キャプチャの抑止を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】データ処理装置のハードウェア構成の一例である。
【
図3】データ処理装置の処理シーケンス図の一例である。
【
図4】(a)はメッセージの第1例である。(b)はメッセージの第2例である。(c)はメッセージの第3例である。(d)はメッセージの第4例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本件を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0012】
まず、
図1を参照して、中継プログラムを実行させるためのデータ処理装置100について説明する。より詳しくは、データ処理装置100のハードウェア構成について説明する。データ処理装置100は、例えばPCやタブレット端末といった端末装置が備える制御装置に相当する。
図1に示すように、データ処理装置100は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)100Aと、メモリとしてのRAM(Random Access Memory)100B及びROM(Read Only Memory)100Cを含んでいる。データ処理装置100は、ネットワークI/F(インタフェース)100D及びHDD(Hard Disk Drive)100Eを含んでいる。HDD(Hard Disk Drive)100Eに代えて、SSD(Solid State Drive)を採用してもよい。
【0013】
データ処理装置100は、必要に応じて、入力I/F100F、出力I/F100G、入出力I/F100H、ドライブ装置100Iの少なくとも1つを含んでいてもよい。CPU100Aからドライブ装置100Iまでは、内部バス100Jによって互いに接続されている。すなわち、データ処理装置100はコンピュータによって実現することができる。
【0014】
入力I/F100Fには入力装置710が接続される。入力装置710としては例えばキーボードやマウス、タッチパネルなどがある。出力I/F100Gには表示装置720が接続される。表示装置720としては例えば液晶ディスプレイなどがある。入出力I/F100Hには半導体メモリ730が接続される。半導体メモリ730としては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやフラッシュメモリなどがある。入出力I/F100Hは半導体メモリ730に記憶された中継プログラムを読み取る。入力I/F100F及び入出力I/F100Hは例えばUSBポートを備えている。出力I/F100Gは例えばディスプレイポートを備えている。
【0015】
ドライブ装置100Iには可搬型記録媒体740が挿入される。可搬型記録媒体740としては、例えばCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)といったリムーバブルディスクがある。ドライブ装置100Iは可搬型記録媒体740に記録された中継プログラムを読み込む。ネットワークI/F100Dは例えばLANポートや通信回路などを備えている。通信回路は有線通信回路と無線通信回路のいずれか一方又は両方を含んでいる。ネットワークI/F100DはLAN(Local Area Network)やインターネットといった通信ネットワークと接続されてもよい。
【0016】
RAM100BにはROM100C、HDD100E、半導体メモリ730の少なくとも1つに記憶された中継プログラムがCPU100Aによって一時的に格納される。RAM100BにはROM100C、HDD100E、半導体メモリ730の少なくとも1つに記憶されたWebブラウザ(以下、単にブラウザという)とその拡張機能がCPU100Aによって一時的に格納される。RAM100BにはROM100C、HDD100E、半導体メモリ730の少なくとも1つに記憶された画面キャプチャ用アプリケーションソフトウェア(以下、単に画面キャプチャアプリという)がCPU100Aによって一時的に格納される。RAM100Bには可搬型記録媒体740に記録された上記中継プログラム等がCPU100Aによって一時的に格納される。格納された中継プログラム等をCPU100Aが実行することにより、CPU100Aは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を含む中継方法を実行する。
【0017】
なお、中継プログラムは後述する処理シーケンス図に応じたものとすればよい。また、ブラウザは第1ソフトウェアの一例であり、画面キャプチャアプリは第2ソフトウェアの一例である。ソフトウェアは基本的にプログラムと同じ意味であるが、本件の対象の明確化のために、本実施形態では、プログラムとソフトウェアとを分けて説明している。
【0018】
図2を参照して、データ処理装置100の機能構成について説明する。なお、
図2ではデータ処理装置100の機能の要部が示されている。
【0019】
図2に示すように、データ処理装置100は記憶部110、処理部120、入力部130、及び出力部140を備えている。記憶部110は上述したRAM100BとHDD100Eのいずれか一方又は両方によって実現することができる。処理部120は上述したCPU100Aによって実現することができる。入力部130は上述した入力I/F100Fによって実現することができる。出力部140は上述した出力I/F100Gによって実現することができる。
【0020】
記憶部110、処理部120、入力部130、及び出力部140は互いに接続されている。記憶部110は、第1記憶部111及び第2記憶部112を含んでいる。記憶部110は、第1記憶部111及び第2記憶部112を利用して、様々なURLデータを記憶する。処理部120は、キャプチャ部121、ブラウザ部122、拡張部123、及び中継部124を含んでいる。処理部120は、キャプチャ部121、ブラウザ部122、拡張部123、及び中継部124を利用して、様々なデータを処理する。
【0021】
第1記憶部111は、機密事項の漏洩に対するセキュリティの観点から、画面キャプチャアプリの管理者によって事前に登録されたURLデータを登録済URLデータとして記憶する。第2記憶部112は、起動中のブラウザに表示されているURLデータを記憶する。詳細は後述するが、第2記憶部112が記憶するURLデータが登録済URLデータと比較される。
【0022】
キャプチャ部121は入力装置710に対する操作に応じてキャプチャ対象画面をキャプチャする。入力装置710は被操作体の一例であって、キャプチャは画像化の一例である。入力装置710がキーボードであれば、キャプチャ部121はキー操作に応じてキャプチャ対象画面をキャプチャする。入力装置710がタッチパネルであれば、キャプチャ部121はタッチ操作に応じてキャプチャ対象画面をキャプチャする。
【0023】
キャプチャ部121は、ブラウザに表示中のURLデータが上述した登録済URLデータと一致する場合には、キャプチャ対象画面に対するキャプチャを抑止する。これにより、機密事項の漏洩を抑制することができる。なお、キャプチャ部121は、画面キャプチャアプリによって実現することができる。
【0024】
ブラウザ部122は、URLデータにより指定された画面を表示することにより、入力装置710を操作するユーザに画面を閲覧させる。すなわち、ブラウザ部122は、表示装置720を介してユーザに画面を提示するユーザインタフェースを提供する。ブラウザ部122はブラウザによって実現することができる。ブラウザ部122はブラウザに表示中のURLデータのキャプチャ部121からの直接的な取得を禁止する。例えば、ブラウザ部122は、セキュリティ又は互換性に関する情報に基づいて、取得を禁止する。ブラウザの製作会社と画面キャプチャアプリの製作会社が相違する場合には、この互換性がないことがある。
【0025】
拡張部123はブラウザ部122の機能を拡張する。拡張部123はブラウザの拡張機能によって実現することができる。拡張機能としては、例えばAI(Artificial Intelligence)を使って文章作成を支援するCompose AIや、速読のための視覚的インタフェースを提供するSwift Readといったソフトウェアがある。拡張部123は拡張部123自身が起動したプログラムであれば、URLデータを含む様々なデータの通信をそのプログラムと行うことができる。言い換えれば、拡張部123は拡張部123自身が起動しなかったプログラムとはデータの通信を行うことができない。
【0026】
中継部124はキャプチャ部121とブラウザ部122との間で直接的に又は間接的に流れるデータを中継する。中継部124は中継プログラムによって実現することができる。中継部124は拡張部123の起動に基づいて起動する。中継部124はキャプチャ部121からURLデータの取得要求を受信すると、拡張部123にURLデータのブラウザ部122からの取得と送信を要求する。これにより、拡張部123はブラウザ部122からブラウザに表示中のURLデータを取得する。
【0027】
中継部124は拡張部123から送信されたURLデータを受信すると、URLデータを間接的にキャプチャ部121に提供する。具体的には、中継部124はURLデータを第2記憶部112に格納し、キャプチャ部121は第2記憶部112からURLデータを取得する。すなわち、第2記憶部112はキャプチャ部121と中継部124とによって共有される共有メモリに相当する。
【0028】
このように、ブラウザに表示中のURLデータのキャプチャ部121からの直接的な取得が禁止されていても、キャプチャ部121は中継部124と第2記憶部112とを利用してURLデータを取得することができる。これにより、キャプチャ部121はURLデータと登録済URLデータとを比較して、両者の一致又は不一致を確認することができる。キャプチャ部121はURLデータと登録済URLデータの一致を確認した場合、キャプチャ対象画面のキャプチャを抑止する。
【0029】
図3及び
図4を参照して、データ処理装置100の動作について説明する。
【0030】
まず、
図3に示すように、ブラウザ部122は入力装置710に対するユーザの操作に基づいて起動する(ステップS1)。例えば、入力装置710に対してユーザがブラウザ部122の起動を指示する所定の操作を行うと、ブラウザ部122はこの所定の操作を検出して起動する。ブラウザ部122が起動すると、ブラウザ部122が拡張機能を読み込むことにより(ステップS2)、拡張部123は起動する(ステップS3)。
【0031】
拡張部123が起動すると、拡張部123は中継部124に接続することにより(ステップS4)、中継部124は起動する(ステップS5)。より詳しく説明すると、拡張部123と中継部124は、Native Messagingと呼ばれる既知の技術に基づいて、様々なデータを含むメッセージをJSON(JavaScript Object Notation)データ形式で相互に伝達する。
【0032】
例えば、拡張部123において接続と起動を求める所定の関数に、その引数として中継部124に付与する名称(例えばアドレスなど)を指定すると、拡張部123は中継部124に接続して中継部124を起動するデータを含むメッセージをJSONデータ形式で生成する。そして、拡張部123は、生成したメッセージを中継部124に送信することにより、中継部124は起動する。このように、ブラウザ部122が起動すると、拡張部123の起動に基づいて、中継部124が起動する。拡張部123が中継部124を起動するため、拡張部123は中継部124と互いにメッセージを伝達することができる。中継部124が起動すると、中継部124はキャプチャ部121からのURL取得要求を受信するまで待機する。
【0033】
ここで、キャプチャ部121がキャプチャ対象画面に対するキャプチャを検出すると(ステップS6)、キャプチャ部121は既知のAPI(Application Programming Interface)を利用して中継部124にURL取得要求を送信する。より詳しくは、キャプチャ部121は上述したJSONデータ形式と異なるデータ形式のメッセージを中継部124に送信する。キャプチャ部121から中継部124に送信されるメッセージは、
図4(a)に示すように、HWND、UNIT、第1パラメータ、第2パラメータといった複数の項目を含んでいる。
【0034】
HWNDの項目には、メッセージを受け取るウィンドウハンドルが登録される。本実施形態であれば、HWNDの項目に例えば中継部124がウィンドウハンドルとして登録される。UNITの項目には、メッセージの種類を表すメッセージコードが登録される。本実施形態であれば、UNITの項目に例えばURL取得要求が登録される。第1パラメータと第2パラメータの項目には、メッセージ固有の付加情報が登録される。
【0035】
この付加情報により、例えばアクティブウィンドウ(選択中ウィンドウ)の画面をキャプチャするか、デスクトップ全体をキャプチャするかが特定される。本実施形態であれば、第1パラメータと第2パラメータの項目のそれぞれに例えば数値「0」が登録されることで、アクティブウィンドウの画面のキャプチャが特定される。数値「0」の組合せ以外の組合せが登録されることで、デスクトップ全体のキャプチャが特定されてもよい。
【0036】
このようなメッセージを中継部124が受信すると、中継部124はこのメッセージを処理する(ステップS7)。より詳しくは、中継部124は受信したメッセージに含まれる付加情報に応じたタイプを含むJSONデータ形式のメッセージを生成する。中継部124はメッセージを生成すると、生成したメッセージを標準出力で拡張部123に送信して、URLデータのブラウザ部122からの取得と中継部124への送信を要求する。
【0037】
中継部124が生成するJSONデータ形式のメッセージは、
図4(b)に示すように、type(タイプ)、windowNum、URLデータといった複数の項目を含んでいる。中継部124が生成するJSONデータ形式のメッセージに、windowNum及びURLデータの各項目を含めなくてもよい。
【0038】
typeの項目にはtype-1とtype-2のいずれか一方が登録される。type-1はアクティブウィンドウの画面のキャプチャを表す。type-2はデスクトップ全体のキャプチャを表す。windowNum及びURLデータの各項目に登録される内容の詳細については後述するが、中継部124は基本的にこれらの項目に何も登録せず、typeの項目にtype-1とtype-2のいずれか一方が登録されたメッセージを拡張部123に送信する。
【0039】
拡張部123はメッセージを受信すると、ブラウザが表示中のURLデータをブラウザ部122から取得し、取得したURLデータを中継部124に送信する(ステップS8)。例えば、拡張部123は取得したURLデータを、中継部124から受信したメッセージにおけるURLデータの項目に登録することができる。これにより、URLデータの項目にURLデータが登録される。
【0040】
例えば、アクティブウィンドウの画面のキャプチャを表すtype-1であれば、
図4(c)に示すように、windowNumの項目に何も登録されずに、URLデータの項目に単一のURLデータが登録される。一方、デスクトップ全体の画面のキャプチャを表すtype-2であれば、
図4(d)に示すように、デスクトップ全体に現れているブラウザのウィンドウ数がwindowNumの項目に登録される。そして、URLデータの項目には、取得した全てのURLデータの配列が登録される。拡張部123はこのようなメッセージを中継部124に送信する。なお、拡張部123には事前にブラウザ部122からブラウザが表示中のURLデータを取得する処理と、取得したURLデータを中継部124に送信する処理とが登録されている。拡張部123に事前に登録されるこれらの処理はハンドラと呼ばれることがある。これにより、拡張部123はステップS8の処理を実行することができる。
【0041】
拡張部123から送信されたメッセージを標準入力で受信すると、中継部124はメッセージを解析して、URLデータを第2記憶部112に提供する(ステップS9)。中継部124はJSONデータ形式のメッセージを受信するため、このメッセージにtype-1とtype-2のどちらが登録されているか判断する。例えばtype-1が登録されている場合、中継部124は単一のURLデータを第2記憶部112に提供する。type-2が登録されている場合、中継部124は全てのURLデータを第2記憶部112に提供する。これにより、少なくとも1つのURLデータが第2記憶部112に格納される。
【0042】
キャプチャ部121は第2記憶部112を監視する。キャプチャ部121は、第2記憶部112にURLデータが格納されると、URLデータを取得し、取得したURLデータと登録済URLデータとを比較する(ステップS10)。キャプチャ部121は、取得したURLデータと登録済URLデータが一致する場合、画面のキャプチャを抑止する(ステップS11)。なお、キャプチャ部121は、取得したURLデータと登録済URLデータが一致しない場合、画面のキャプチャを継続する。
【0043】
ブラウザ部122は、入力装置710からブラウザを閉じる操作を検出すると、ブラウザの表示を終了する(ステップS12)。拡張部123は、ブラウザの表示の終了を検出すると、EOF(End of File)を含むJSONデータ形式のメッセージを生成して中継部124に送信してから、動的に拡張機能を終了する(ステップS13)。中継部124はこのメッセージを受信すると、拡張部123とのメッセージの伝達を終了する(ステップS14)。このように、ブラウザの表示の終了に連動して中継部124の中継機能を終了させることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、ブラウザ部122に付随する拡張部123が中継部124を起動する。このため、キャプチャ部121は中継部124を介して拡張部123にアクセスすることができる。拡張部123はブラウザ部122からURLデータを取得できるため、拡張部123は拡張部123自身が起動した中継部124を介してキャプチャ部121にURLデータを提供することができる。
【0045】
これにより、キャプチャ部121はURLデータと登録済URLデータとを比較することができ、URLデータと登録済URLデータが一致するか否かを確認することができる。キャプチャ部121は、URLデータと登録済URLデータが一致すると判断した場合には、画面のキャプチャを抑止し、一致しないと判断した場合には、画面のキャプチャを継続する。
【0046】
なお、中継部124からキャプチャ部121へのURLデータの提供に際し、第2記憶部112を利用した間接的な提供には以下の理由がある。すなわち、中継部124からキャプチャ部121に単一のURLデータが提供される場合には、通信容量を考慮しても、中継部124からキャプチャ部121に直接的にURLデータを提供できる可能性が高い。
【0047】
しかしながら、中継部124からキャプチャ部121に複数のURLデータを提供する場合に、URLデータの数が多いと、通信容量の観点から提供が困難になる可能性がある。このような多数のURLデータを確実に中継部124からキャプチャ部121に提供することを考慮して、中継部124からキャプチャ部121へのURLデータの提供に際し、第2記憶部112が利用されている。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上述した画面キャプチャがいわゆるスクリーンショットの概念を含んでいてもよい。
【0049】
なお、以上の説明に関してさらに以下の付記を開示する。
(付記1)画面の閲覧に用いる第1ソフトウェアと、被操作体に対する操作に応じて前記画面を画像化し、前記第1ソフトウェアに表示中のURLデータが予め登録された登録済URLデータと一致する場合には前記画面の画像化を抑止する第2ソフトウェアと、の間で流れるデータを中継する中継プログラムであって、前記第1ソフトウェアの拡張機能の起動に基づいて、起動し、前記第2ソフトウェアから前記URLデータの取得要求を受信すると、前記拡張機能に前記URLデータの前記第1ソフトウェアからの取得と送信を要求し、前記拡張機能から送信された前記URLデータを受信すると、前記URLデータを間接的に前記第2ソフトウェアに提供する、処理をコンピュータに実行させるための中継プログラム。
(付記2)複数の前記URLデータを受信すると、複数の前記URLデータを前記中継プログラムと前記第2ソフトウェアとの共有メモリを介して前記第2ソフトウェアに提供する、処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1に記載の中継プログラム。
(付記3)複数の前記URLデータを受信すると、複数の前記URLデータを前記中継プログラムと前記第2ソフトウェアとの共有メモリに格納し、前記第2ソフトウェアは、前記共有メモリから前記URLデータを取得する、処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1に記載の中継プログラム。
(付記4)前記第1ソフトウェアは前記第2ソフトウェアからの前記URLデータの直接的な取得が禁止されている、ことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の中継プログラム。
(付記5)前記被操作体は、キーボードとタッチパネルのいずれか一方である、ことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の中継プログラム。
(付記6)画面の閲覧に用いる第1ソフトウェアの機能を拡張する拡張機能の起動に基づいて、起動し、被操作体に対する操作に応じて前記画面を画像化し、前記第1ソフトウェアに表示中のURLデータが予め登録された登録済URLデータと一致する場合には前記画面の画像化を抑止する第2ソフトウェアから、前記URLデータの取得要求を受信し、前記取得要求を受信すると、前記拡張機能に前記URLデータの前記第1ソフトウェアからの取得と送信を要求し、前記拡張機能から送信された前記URLデータを受信すると、前記URLデータを間接的に前記第2ソフトウェアに提供する、処理をコンピュータが実行する中継方法。
【符号の説明】
【0050】
100 データ処理装置
110 記憶部
111 第1記憶部
112 第2記憶部
120 処理部
121 キャプチャ部
122 ブラウザ部
123 拡張部
124 中継部