(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175342
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】建物室内設置の津波、ミサイル爆風等災害避難シェルター
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20241211BHJP
E04H 9/06 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E04H9/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093050
(22)【出願日】2023-06-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】509270904
【氏名又は名称】冨田 穣
(72)【発明者】
【氏名】冨田 穣
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA07
2E139AA25
2E139AB25
(57)【要約】
【課題】
急襲する津波、ミサイル爆風等に即座の避難が求められる。地震後、Jアラート後の3分以内の避難を目指す。もちろん外に逃げている暇はない。ホテル、マンション、ビルは堅固であるが、一般住宅はひ弱で木端みじんとなる。32万人を救うには、人々の暮らしている建物、部屋に応じた対策が求められる。
【解決手段】
ホテル、マンション、ビルは堅固な建物であり、その中の部屋は最短時間の最適避難場所といえる。構造部位である壁に穴を明けないで、概天井までの縦長シェルターで回転、浮き上がりに抵抗する。一般住宅でも、建物が木端みじんとなっても室内の安定高さのコンクリートの重いシェルターは残る。重い瓦屋根が落下しても圧死しない。安心して日々を暮らせるのが何より幸せ。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホテル、マンション、ビル、一般住宅等の室内に設置する少人数対応、小型の津波、ミサイル爆風等災害避難シェルターであって、シェルター内部に人数分の避難空間およびシェルターが水中となったときの生存必要空気量を確保する気密性の空間体積を有し、シェルター本体は、ガラス繊維、炭素繊維等の強化プラスチック、プラスチック、不織布、鋼材、またはコンクリートの単独、合成または重ね合わせで気密性、剛性、耐火性に優れたものとして形成し、津波高さ、漂流物の衝突またはミサイル爆風等に相当する外力に対して抵抗できるシェルター側壁部強度を有し、材料強度に応じて変形しにくく形状保持に優れた肉厚の側壁断面とし、シェルターの下部に出入り口となる出入口を設け、波圧または爆風等の横力による転倒防止として、室内天井が硬い天井では、シェルターが概天井までの高さの縦長形状とし、シェルターが傾いたときにシェルター天端部の片端が天井壁につかえることでそれ以上に傾かないこと、シェルター天端部と天井壁との隙間に板材などの面材を挟み込むこと、またはシェルター側壁面と室内壁面、床面との接着剤による面接着力で転倒防止に資するとし、室内天井が木板等の硬くない天井では、シェルターが高くなく幅広の安定形状で、シェルター重量が重いことによる自立、またはシェルターの底辺部に拡大した拡張面材の踏ん張りで転倒防止に資するとし、爆風に対する揚力はシェルターが水中となった時の浮力と同程度と推察し、シェルターが水中となると保有空気体積相当の浮力が働き、この浮力、揚力に抵抗するには、シェルター天端部と天井壁との隙間に板材などの面材を挟み込むことで上昇を制限する方法、シェルター側壁面と室内壁面、床面との接着剤による面接着力が浮力、揚力に勝るとする方法、コンクリート、鋼材の重い材料でなるシェルター重量が浮力、揚力に勝るとする方法、または底辺部の前記拡張面材の面積で、水中となったときの水重量を上載荷重とし受け持ち浮力、揚力に勝るとする方法のいずれかで、これら転倒防止、浮力対策、揚力対策とすることを特徴とする建物室内設置の津波、ミサイル爆風等災害避難シェルター。
【請求項2】
前記シェルターは、出入口の上近傍に穴明きまたは隙間のある隔壁を設け、上部避難空間への上昇口とし、あわせて万が一漂流物、飛来物が突入したときの直撃や波力、爆風を緩和することを特徴とする請求項1に記載の建物室内設置の津波、ミサイル爆風等災害避難シェルター。
【請求項3】
前記シェルターの天端部を円塔型又はドーム型としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した建物室内設置の津波、ミサイル爆風等災害避難シェルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホテル、マンション、ビル、一般住宅などの建物室内に設置する小型の津波、ミサイル爆風等の災害避難シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の北朝鮮ミサイルのJアラートでは、直ちに安全な場所に避難してください、のアナウンスがある。南海トラフ巨大地震では最大34.4mの津波が最短1~5分で到達する。死者数は32.3万人、建物被害は238万棟と予測され、真冬の真夜中の時間帯が最大被害である。高さ20m、30mの防潮堤ができるのはいつのことか。津波避難タワーまでは遠い。ともかく逃げ切ることとされるが、0.3mの津波でも足元をすくわれ、外に出るのも危険でなすすべもない。何とかならないか。海辺のホテル、マンションでは、夜間に津波の来襲を受けた場合に、そのままの室内の避難シェルターが有効である。昼間では、職場のビルなどの比較的小さい部屋割りの事業所で室内避難シェルターが有効である。壁際に設置する少人数の小型シェルターである。多くの人々が暮らす一般住宅でも対策を可能とする範囲を提供することで多くの命が救える。特許庁特許情報プラットホームで「津波シェルター」で検索したところ、2件であった。特許文献1は、生活空間の上又は下に上方が気密のシェルターを設けるものだが、吸気及び排気装置を有するので本発明とは異なる。特許文献2は、建物に津波シェルターを設けるものだが、新たに建てた建物内に気密性のシェルターを設置するもので、本発明の既設のホテル、マンション、ビルの部屋を漂流物防止に利用して設置するシェルターとは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-178769
【特許文献2】実登3170840
【0004】
【非特許文献1】中川工業所安全資料
【非特許文献2】防波堤の耐津波設計ガイドライン:国土交通省港湾局、2013.9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
津波もミサイルも突然のことである。直ちに避難しなければならない。いずれも、予告、警告がある。津波では地震の揺れであり、ミサイルではJアラートの警告である。本願ではいずれも迅速に、3分以内に避難できることを課題とした。津波警報が出てからの避難ではすでのみ込まれている。外に出ては危険である。南海トラフの津波では被害最大とされる真冬の真夜中の時間帯、入浴時でも、建物室内設置のシェルター、身近のシェルターであれば直ちに避難できる。防寒具、非常食の備蓄もできる。ヒーター暖房も入れることができる。これで、いつ襲われるか分からない災害に24時間のうちの12時間、半分の時間数で助かるというもの。室内設置のシェルターは、長い人生の、日常生活時間数の生存確率を50%まで高めるといえる。ただ、建物の堅固さ、階数で被害は大きく異なる。木端みじんとなる木造住宅でもあきらめる必要はない。水中となる1階の人はかなりハンディキャップがある。災害は、平等でない、弱者には厳しいことを認識してそれなりに備えなければならない。本願では、できるだけおかれた建物条件を活かし、その建物に応じた室内シェルターを提供する。一般住宅でもあきらめる必要はない。国民はどういう建物に住んでいるか統計値はあるとしても、個々に把握するのは無駄な時間が過ぎる。ある程度想定して住民に任せる選択肢を提供する。堅固なホテル、マンション、ビルでは漂流物衝突、爆風に対して構造的、強度的にある程度の防御ができているといえる。最大の弱点は水である。水に対しては、人間は水中では空気呼吸ができないことは明白である。このことは、津波高さより高い場所ではミサイル爆風だけの備えでよいといえる。ただし、津波高さは予想であり、ある程度は余裕を持つ必要がある。平屋の人、低層階の人から高層階の人にも外力に差が出る。高層階の人が助かるとは限らない。油断大敵である。中層階の人も想定外に備える必要がある。水の場合は、口元が1cmでも水没すれば助からない。外に逃げても0.3mのさざ波程度で足元をすくわれ流される。しかし空気さえあれば生存できることを知っている。ミサイルも直撃を受けなければ、核爆発しなければ何とか助かる。これをクリアできれば何とか生存できる。先の2022年1月のトンガの津波では、早朝に警報が出ているにもかかわらず、人は真冬で寒ければ外に逃げるのも億劫、行動しないこと、簡単にあきらめてしまうことが立証された。まじかに危機が迫らないと自分事として行動を起こさないことが分かった。自分だけは大丈夫というバイアスが働いたのか、硬直したのか。津波の轟音が差し迫ってからでは遅いということを知っているはずなのに。高齢者はなおさらである。ただ轟音と同時に、瞬時に避難できる場所、ここでは室内シェルターを事前に確保しておけば助かる、こんな明快な答え、解決策はない。
そこで本願では、襲いかかる災害に対して、津波の轟音、ミサイルの衝撃音と同時に避難できる室内の避難シェルターとし、家、部屋の頑固さ程度、構造強度の差異をちじめ、平屋の人も含めて、32万人の住民のできるだけ多くの人が助かることを使命、課題とした。したがって、堅固な建物内の居住者には、硬い壁、天井壁、床面を利用すること、タンス程度の占用面積を我慢すること、すなわち新しい家具を購入したと思えば配置も楽しい。空き部屋を利用すること、高層階の人と低層階の人とは、出入口の各種扉を選択できるとし、水に濡れることの嫌な人の対応として防水扉とし、木端みじんとなる一般住宅の人には安定形状の幅広となる面積占用を我慢してもらい、場合によっては床面の拡大、床の土台からの補強、畳をくり抜いた基礎からの立ち上げなどの補強、または別部屋、子供が大きくなっていらなくなった空き部屋の活用、車いすの人、高齢者にも優しく対応、選択できるものなど状況によって工夫、多岐にわたる選択の余地があるものを活用する。一般住宅の2階では住宅そのものが流されるので、2階でのシェルターの設置は危険である。直ちに階段を駆け下りて1階のシェルターに向かうべきである。高齢化社会では、一般住宅でも家の空き部屋が多くなることに光明がある。古家でも住んでいれば24時間、間近の避難ができる。裸のまま逃げられる。一方、高台移転や、高さ20m、30mの防潮堤ができるのを待っていてはいつのことか分からない。シェルターは、子孫に残せる、相続できる優良遺産であると考えるべきである。今、命に投資しないで何に投資するのか。躊躇しないで早く投資すればするほど日々安心して暮らせる日数が多くなることは明解である。逆に、投資しないで日々安穏と暮らすことは、余命少ない命を一瞬に散る危険にさらしているといえる。命が助かれば国の捜索費用、身元特定の事務費用、火葬場建設費用が大幅に減る。すなわち、個々人のシェルターの設置、配備は、周りに迷惑を掛けることもなく、社会貢献にも役立つ一大事業として展開の価値があるといえる。個々人の各種住宅に適したシェルターについて、命が助かるその方法をできるだけ多く個々に提供できることが課題であり、それではと、あきらめた命を立ち上げる意欲が掻き立てられるというもの。眠れる意欲をめざめさせることは目前の明確な国家的損失、負担を軽減できることに資するといえる。内閣府の予測発表があってこの10年、何人が助かることになったのか、相変わらず32万人のままか、だとすると少なくとも並行して火葬場が何基建設されたのか、1年以内に焼き順番が来るのか、どちらも遅々として進んでないようだ。ともかく逃げ切れと、対策を示さず一方通行の不安、危機をあおった責任は重い。
シェルターが直近にあること、シェルターに即避難できること、24時間身近にあること、堅固な壁に囲われていることを活かすこと、広い空間を活かすことで、想定外クラスの災害となっても生存のための多くの課題が解決できる。選べるメニューがいっぱいあり個々人が容易に設置できることも多くの人を救うことに役立つ。マンションでは、部屋の壁にアンカー穴を開けようとしても、シェルター本体側壁にも穴を開けなくてはならないので、シェルターの気密性を失う可能性がある。局部応力集中を招く可能性がある。本願の穴を明けない方法では、建物の構造検討を必要とせず、管理組合の了解をとらなくて簡便に設置できるので大きなメリットである。壁との間に接着剤を使わない方法もある。部屋の模様替え時に移動でき気分転換ができる。水に濡れるのが嫌な人には防水扉を選ぶことができる。
堅固な建物でのシェルターの設置位置は、部屋角隅、壁沿い、収納部屋、山側の部屋に設置すると直撃を緩和できる。5人家族では、5人用のシェルターを1基設置するより、2人用、3人用に分けて設置した方が構造的に安全である。津波水位は避けようがなく1階の住民の負荷は大きいが、2階、3階の上層階にいくにしたがって水没となる高さ、水中となる継続時間が少なくなり生存の確率が上がり、シェルター自体の設計もそれらを考慮するとより小型化、簡便化できる。一般住宅では、地震で破壊され、津波で流されるとし家のあきらめが必要。外力の軽減が期待できない分、部屋の広さを活かしたしっかりしたシェルターが残る。
シェルターの側壁の肉厚が薄すぎると水流で揺らぐと考えられ、この場合は裾から大きな空気の塊が逸脱する。また、浮力と津波の横力により窪んだり、変形すると転倒しやすくなるので、シェルターの胴体部、側壁部は肉厚とすることで形状保持に優れたものとなる。かつ漂流物の衝突に耐える強度を有することとする。万が一のひび割れ、破損となっては水中では空気が泡となって抜ける。シェルター内側には、ポリ袋、ビニール袋を配置し、2重の安全とすることができる。常に2重の安全を図る事は、想定外の災害には必要なことである。
外力に対する解決しようとする課題は、波力などの水平力による転倒防止、および浮き上がりとなる浮力対策、揚力対策である。一般的方法は床や壁面にアンカーやクザビを打ち込む方法、天井を補強する方法、シェルターに錘を巻き付ける方法が考えられるが、前2者は、建物構造物に穴を明けたり、大掛かりな天井補強を要し、構造物に改変をもたらすことは耐震性の証明を求められたりで、特にマンションでは、構造解析、管理組合の同意、騒音対策、隣人の同意を得るのは至難である。また、浮力は、空気を含む物体が排除した水体積相当の重量で、シェルターの天端までの高さに水位が達したときに最大となる。それ以上の津波高さでは、空気が圧縮されその分体積が減るのでそれに伴って浮力も減る。1人用シェルターで保存空気体積量を1m3とすれば、1トン余りの浮力がかかり、それは乗用車1台程度の重みであり、対抗するのは錘では容易でない。そこで本願の転倒防止対策は、堅固な建物では、室内の壁も硬いので高さを活かすとし、シェルター高さを概天井壁までと高くして縦長とすれば部屋の占用面積が少なくて済むメリットも大である。具体的には、シェルター高さが概天井高さの縦長形状では
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の建物室内設置の津波、ミサイル爆風等災害避難シェルターは、ホテル、マンション、ビル、一般住宅等の室内に設置する少人数対応、小型の津波、ミサイル爆風等災害避難シェルターであって、シェルター内部に人数分の避難空間およびシェルターが水中となったときの生存必要空気量を確保する気密性の空間体積を有し、シェルター本体は、ガラス繊維、炭素繊維等の強化プラスチック、プラスチック、不織布、鋼材、またはコンクリートの単独、合成または重ね合わせで気密性、剛性、耐火性に優れたものとして形成し、津波高さ、漂流物の衝突またはミサイル爆風等に相当する外力に対して抵抗できるシェルター側壁部強度を有し、材料強度に応じて変形しにくく形状保持に優れた肉厚の側壁断面とし、シェルターの下部に出入り口となる出入口を設け、波圧または爆風等の横力による転倒防止として、室内天井が硬い天井では、シェルターが概天井までの高さの縦長形状とし、シェルターが傾いたときにシェルター天端部の片端が天井壁につかえることでそれ以上に傾かないこと、シェルター天端部と天井壁との隙間に板材などの面材を挟み込むこと、またはシェルター側壁面と室内壁面、床面との接着剤による面接着力で転倒防止に資するとし、室内天井が木板等の硬くない天井では、シェルターが高くなく幅広の安定形状で、シェルター重量が重いことによる自立、またはシェルターの底辺部に拡大した拡張面材の踏ん張りで転倒防止に資するとし、爆風に対する揚力はシェルターが水中となった時の浮力と同程度と推察し、シェルターが水中となると保有空気体積相当の浮力が働き、この浮力、揚力に抵抗するには、シェルター天端部と天井壁との隙間に板材などの面材を挟み込むことで上昇を制限する方法、シェルター側壁面と室内壁面、床面との接着剤による面接着力が浮力、揚力に勝るとする方法、コンクリート、鋼材の重い材料でなるシェルター重量が浮力、揚力に勝るとする方法、または底辺部の前記拡張面材の面積で、水中となったときの水重量を上載荷重とし受け持ち浮力、揚力に勝るとする方法のいずれかで、これら転倒防止、浮力対策、揚力対策とすることを特徴とする。
ここで、建物室内設置の津波、ミサイル爆風等災害避難シェルターは、洪水、河川氾濫、高潮、台風、竜巻、突風の風水害、さらには、地震時、重い瓦家の瓦落下の圧死被害防止シェルター、火山噴火の火砕流、落石被害防止、がけ崩れによる崩落岩被害防止シェルターも含む。
【0007】
また、前記シェルターは、出入口の上近傍に穴明きまたは隙間のある隔壁を設け、上部避難空間への上昇口とし、あわせて万が一漂流物、飛来物が突入したときの直撃や波力、爆風を緩和することを特徴とする。
更に、前記シェルターの天端部を円塔型又はドーム型としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
想定外クラスの災難に生き残るのは容易でないが、本発明は津波弱者、災害弱者に最適の解を提供して、明確に生きる希望を与えるものである。家の外に出ては危険である。室内シェルターは身近、直近の最適解を提供する。即避難でき、24時間身近にあることはなんと安心なことか。想定外の津波高さに水没してもシェルター体積内に生存できる空気量がある。マンションでは窓ガラスが破れることで建物本体が転倒しない。部屋は残る堅固な壁に囲われているので、シェルター配置は直撃を受けない位置を選定できる。壁の堅固さを利用できる。山側に配置できる。津波で転倒しない工夫ができる。屋上、上層階まで駆け上る必要がない。想定外の津波高さが襲うかもしれない。屋上のそれ以上に逃げることができなかった恐怖はいかほどか。国家としてもいつまでも放置できないといえる。一般住宅では、あきらめていた命が助かる。少々部屋を狭くしても我慢できる。地震時の重い瓦の落下にも不安なく安眠ができる。津波で家が流されても助かるのなら、生きる光明が見えてくる。
観光客の宿泊する風光明媚なホテルでは、土地に不慣れな外に避難する必要がない。ホテルマンも必死になって誘導する必要がない。言葉が通じなくても世界中の旅人が安心して泊まれる。安全シェルター設置ホテルとして世界にprできる。インバウンドに備えておく。マンションの低層階で日々不安な住民も、上層階の住民と同じ程度に室内で安心だ。外に出てあたふたと大騒ぎする必要はない。車を運転して遠くに避難する必要がない。途中でさらわれぷかぷかと漂流することもない。晩酌もできる。泥酔しても安心して酒が飲めることは何よりうれしい。日々不安なく睡眠できることはなんと幸せなことか。入浴中、就寝中でも大船に乗った気分だ。平屋、2階建てで家が流されても、1階の重いシェルターが残る。日本中の重い瓦家の地震の瓦落下でも圧死することがないので日々の恐怖、不安がない。上半身を入れて日ごろの寝床とすれば、足を曲げ入れるだけで1秒で避難できる。空き部屋、空き空間を積極的に利用するアイデアが湧き出てくる。お金は天国に持っていけない。家はいずれ朽ちる。今、シェルターを設置すればこれからの長い人生安心。財産は生きている間に有効に使おうという判断に至る。まさしく生きたお金の使い道である。シェルターをお金で買うだけである。スーパーで買い物するような気軽さでよい。良い家具を一つ揃えたとすれば今まで生きてきた自分にご褒美だ。誰が文句を言うというのだ。それ以外誰が助けてくれるというのか。命はいくらお金を出しても買えないがシェルターは残り少ない人生の必要な貯金を残した範囲、切り崩しをしないでも十分買える。いっぱい貯金を残しても生きた使い方ができないお金であれば腐ったお金といえる。こうして、1人1人が助かることに投資すれば、膨大な国費の捜索費用がいらない。32万人分の火葬場の莫大な建設費もいらない。身元確認の膨大な時間、とてつもない費用もいらない。まさしく1人1人ができる事前投資、生前投資による社会貢献である。生命保険会社も保険金が助かるとすれば力が入る。
ホテル、ビル以外のマンションでは、壁にアンカーを打つ場合は、壁は共用部になるので管理組合や隣人の同意が必要であるが、本願は不要である。本発明は、煩わしいこととなるアンカーが取れなくても転倒しない。防潮堤ができるのがいつのことか。津波避難タワーも遠い。どんなに想定外の大きさの津波にも命が助かる。金額負担も命の対価としては、非常に安価な優れものといえる。これで32万人の命の一部、設置希望者の全員の命、原爆投下で一瞬に失われるような大規模の命、簡単に奪われる命が確実に助かる。早く設置すればするほど、いつ襲われるかという不安が解消され、それだけ早く
日々安心して暮らせる。枕を高くして寝られる。たとえ24時間の半分の夜間だけとしても。精神的にも健康にもよい。命は一つしかない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図10】拡張面材が受ける水重量で浮き上がりに抵抗
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面及び詳細な説明の全体を通じて同じ要素を示すために共通の参照符号が用いられる。
【0011】
シェルターの形状、その生存必要空気量の体積は、底面積*高さの内空体積で求まる。内空体積は避難人数による。1基は5人までとするのが望ましい。それ以上は、部屋の広さに応じて2人分、3人分の小分けを考える。シェルターの平面投影は、正方形、長方形、正三角形、直角三角形、円形、楕円形、半円形、1/4円形、多角形など多種多様である。シェルターの形状は好みによるところもある。シェルターの高さは、概天井までとすれば空気保持量が多く取れ、同じ体積なら部屋の面積に占めるシェルターの面積が少なくてすむ。底辺面積も小さく室内空間占用も少ない。形状が縦長でスレンダーといえる。堅固な壁、天井、床のあるホテル、マンション、ビル向きといえる。シェルターの設置位置は、津波、爆風の突入の影響を避ける部屋隅角、壁沿い、奥の部屋、収納部屋など主に壁との関係で選ぶことになる。窓ガラス、部屋中央は避け、外壁と内壁の交差する部屋の角隅、隣家との戸境壁沿いが望ましい。窓ガラスに正対する部屋の間仕切板壁、ふすまなどは強度が弱く漂流物の突入に耐えられないので避ける。一般住宅は、壁も木板などで薄く、強度も期待できない。すなわち外力に弱く、壊れるとして考える。そこでのシェルターは単独で存在できるよう、安定形状の低い高さとなる。そのため底辺面積も広く大きく占める。水に濡れるのが嫌な人は、防水扉とするが、シェルターの壁厚が厚くなるので費用は高くなる。シェルターの必要空気量、空間量は1m3/人・時間とし天井までの高さを平均的高さとして2.4mとすれば、壁の厚みを無視した簡易計算で底面積が1/2.4≒0.417m2、正方形として一辺が0.645mである。水に濡れるのが嫌な人は、防水扉とする。水に濡れてもよいとする人は、入り口高さ0.5mから0.8mの開放口となる。シェルターの下部の出入り口高さを0.7mとすれば、水中で空気が溜まる有効高さは、それより上の部分の2.4-0.7=1.7mである。シェルターの壁の厚みを無視した簡易計算で、底面積が1/1.7≒0.588m2で、正方形として一辺が0.767mである。強度のある材料としても薄い部材だと通過する波流、波圧で揺らぎやすいので、まずは肉厚断面とすることで漂流物の直接的衝突や波圧の揺らぎ、転倒に耐える。
部屋に設置する各形状のシェルターは、0.588m2に対して立体柱を正四角柱とすれば内側の1辺が0.767m、円柱とすれば直径0.865mである。壁沿いに半割りの円柱とすれば半径0.612mである。部屋の角隅部の壁際に設置するのも漂流物を避けるのに有効である。四角柱はそのままであるが、角隅の直角3角形とすれば1辺が1.084mとなる。角隅の1/4の円柱とすれば、半径は0.865mである。また壁沿いに長辺1.0mの矩形柱とすれば突出量は0.588mと少なく、衝突が緩和される効果がある。室内のタンスなどの家具が回流して衝突する可能性もあるので突出した形状には注意が必要である。
ここで、コンクリートは、無筋コンクリート、鉄筋コンクリート、プレストレスとコンクリート、繊維補強コンクリート、プレキャストコンクリートの多岐にわたる。
出入口部には、扉を設置しないか、漂流物侵入防止網、柵付き扉、格子扉、ガラス等破片遮断扉、飛来物遮断扉または防水扉、防風扉を設置する。とりあえず濡れないことをメインとするなら、大きな津波には扉が変形、または壊れ、水が入ってくる中間的設計も可能である。
【実施例0012】
堅固な建物内のシェルターでは、同じ空気量保持でも、室内占用面積を減らすことができる。すなわち、同じ必要体積なら、高さを高くすることで、底面積を小さくできる。狭い専有面積でできるだけ多くの空気量を確保するためには、床から天井までの高さを生かすことが望ましい。シェルターの高さをできるだけ高く、できれば天井近くまでとした縦長形状とすることで、少ない床占用面積で邪魔にならない空間を確保できる。
概天井までの高さ2.4mの縦長形状とすると、天井の硬い壁を利用することができ、すなわち、傾斜、回転してもシェルター天端面の片端が天井につかえるので転倒しない。概天井高さまでの2.4mに対して、底辺を正方形とすると、5、4、3、2、1人用で必要内空が5、4、3、2、1m3とすれば、内寸法は、1辺が1.44m、1.29m、1.12m、0.92m、0.65mとなる。
縦長のシェルターの板厚は、強度計算から求まる。高速道路の遮音壁に用いられるポリカーボネートの厚み5mmを参考にする。イメージとしては1cm程度で強度十分といえる。コンクリートではプレキャストで13cm以上、鋼板では工場溶接に要求される6mm以上が妥当といえる。例示の板厚1cm、6cm、6mmでそれぞれの重量を、底面1m平方、高さ2.4mの四角柱として求めると、比重1.2ポリカーボネートで139kg、比重2.5のコンクリートでは3.77トン、比重7.8の鋼板で542kgとなる。樹脂製は、強度があるものの軽いので、水中で浮きやすいといえ、堅固な建物に適しているといえる。