(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017535
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電気慣性制御装置及び車両試験装置
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240201BHJP
G01M 13/025 20190101ALI20240201BHJP
【FI】
G01M17/007 A
G01M13/025
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120233
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】東山 勇志
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AB01
2G024AB15
2G024AD16
2G024BA11
2G024CA09
2G024CA12
2G024DA05
2G024EA13
(57)【要約】
【課題】供試体にトルクを付与するダイナモメータに対して電気慣性制御を行う電気慣性制御装置において、応答性を向上可能な構成を得る。
【解決手段】電気慣性制御装置2は、ダイナモメータ1の実回転速度v1と予想速度v2の速度差からダイナモメータ1の予想トルクTeを算出して、ダイナモメータ1に作用する外乱トルクを打ち消すための電気慣性トルクTairを求める電気慣性トルク算出部4と、実回転速度v1の微分値を用いて算出されるダイナモメータ1のトルク変化量に電気慣性トルクTairを加算した値を、予想トルクTeに加算する微分補正部6と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試体にトルクを付与するダイナモメータに対して電気慣性制御を行う電気慣性制御装置であって、
前記ダイナモメータの実回転速度と予想速度との速度差から前記ダイナモメータの予想トルクを算出して、前記ダイナモメータに作用する外乱トルクを打ち消すための電気慣性トルクを求める電気慣性トルク算出部と、
前記実回転速度の微分値を用いて算出される前記ダイナモメータのトルク変化量に前記電気慣性トルクを加算した値を、前記予想トルクに加算する微分補正部と、
を有する、
電気慣性制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気慣性制御装置において、
前記電気慣性トルクと前記予想トルクとの差に基づいて、前記予想速度を算出する予想速度算出部をさらに有する、
電気慣性制御装置。
【請求項3】
変速機を含む駆動機構の試験を行うための車両試験装置であって、
請求項1または2に記載の電気慣性制御装置と、
前記ダイナモメータと、
を備え、
前記供試体は、変速機である、
車両試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供試体にトルクを付与するダイナモメータに対して電気慣性制御を行う電気慣性制御装置、及びそれを備えた車両試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
供試体にトルクを付与するダイナモメータに対して電気慣性制御を行う電気慣性制御装置が知られている。例えば、特許文献1には、入力軸と出力軸とを備える供試体と、前記入力軸又は前記出力軸の何れかと連結軸を介して接続されたダイナモメータと、トルク電流指令信号に応じて前記ダイナモメータに電力を供給するインバータと、前記連結軸に発生する軸トルクに応じた軸トルク検出信号を発生する軸トルクセンサと、前記ダイナモメータの角速度に応じた角速度検出信号を発生する角速度センサと、を備える電気慣性制御装置が開示されている。
【0003】
具体的には、前記特許文献1の前記電気慣性制御装置は、前記ダイナモメータによって所定の設定慣性を有する慣性体の挙動を模擬する。また、前記電気慣性制御装置は、外乱補償トルク信号を生成する外乱オブザーバと、トルク信号と前記外乱補償トルク信号と前記軸トルク検出信号とを合算することによって慣性補償トルク信号を生成する慣性補償器と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1のような電気慣性制御装置は、上述のように供試体に接続されたダイナモメータのトルクを制御することにより、前記供試体に対して実機と同様の挙動を実現する。
【0006】
ところで、電気慣性制御装置は、ダイナモメータの予想速度と実回転速度との速度差に基づいて電気慣性制御を行う場合がある。このような電気慣性制御装置では、前記予想速度と前記実回転速度との速度差がなければ、電気慣性制御を精度良く行うことができない。よって、前記予想速度と前記実回転速度との速度差がない場合には、電気慣性制御の応答性が低下する。そのため、前記予想速度と前記実回転速度との速度差がなくても前記電気慣性制御を行うことができ、前記電気慣性制御の応答性を向上可能な電気慣性制御装置が求められている。
【0007】
本発明の目的は、供試体にトルクを付与するダイナモメータに対して電気慣性制御を行う電気慣性制御装置において、応答性を向上可能な構成を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る電気慣性制御装置は、供試体にトルクを付与するダイナモメータに対して電気慣性制御を行う電気慣性制御装置である。この電気慣性制御装置は、前記ダイナモメータの実回転速度と予想速度との速度差から前記ダイナモメータの予想トルクを算出して、前記ダイナモメータに作用する外乱トルクを打ち消すための電気慣性トルクを求める電気慣性トルク算出部と、前記実回転速度の微分値を用いて算出される前記ダイナモメータのトルク変化量に前記電気慣性トルクを加算した値を、前記予想トルクに加算する微分補正部と、を有する(第1の構成)。
【0009】
これにより、ダイナモメータの実回転速度と予想速度との速度差がない状態でも、微分補正部によって、予想トルクを算出することができる。すなわち、電気慣性制御装置が前記微分補正部を有しない場合、応答性良く前記ダイナモメータの電気慣性制御を行うことができなかったが、上述の構成により、前記速度差が生じない状態でも、前記ダイナモメータの電気慣性制御を行うことができる。
【0010】
その結果、前記ダイナモメータの前記実回転速度を、目標とする回転速度に、速やかに近づけることができる。よって、供試体にトルクを付与するダイナモメータに対して電気慣性制御を行う電気慣性制御装置において、応答性を向上可能な構成が得られる。
【0011】
前記第1の構成において、前記電気慣性トルクと前記予想トルクとの差に基づいて、前記予想速度を算出する予想速度算出部をさらに有する(第2の構成)。
【0012】
これにより、電気慣性トルクを求めるための速度差を精度良く求めることができる。よって、前記電気慣性トルクをより精度良く求めることができる。
【0013】
本発明の一実施形態に係る車両試験装置は、変速機を含む駆動機構の試験を行うための車両試験装置である。この車両試験装置は、前記第1または第2の構成を有する電気慣性制御装置と、前記ダイナモメータと、を備える。前記供試体は、変速機である(第3の構成)。
【0014】
これにより、変速機に対してダイナモメータが駆動連結された車両試験装置において、前記変速機のトルクが急変した場合でも、前記ダイナモメータを応答性良く電気慣性制御することができる。よって、応答性の高い車両試験装置が実現される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態に係る電気慣性制御装置によれば、電気慣性制御装置は、ダイナモメータの実回転速度と予想速度との速度差から前記ダイナモメータの予想トルクを算出して、前記ダイナモメータに作用する外乱トルクを打ち消すための電気慣性トルクを求める電気慣性トルク算出部と、前記実回転速度の微分値を用いて算出される前記ダイナモメータのトルク変化量に前記電気慣性トルクを加算した値を、前記予想トルクに加算する微分補正部と、を有する。これにより、応答性を向上可能な電気慣性制御装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、電気慣性制御装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、電気慣性制御装置が微分補正部を有していない場合の回転速度及びトルクの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、電気慣性制御装置が微分補正部を有する場合の回転速度及びトルクの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
実施形態に係る車両試験装置100は、自動車のような車両の動力伝達系の一部である供試体200の性能試験を行う装置である。本実施形態では、供試体200は、例えば変速機である。
【0019】
車両試験装置100は、ダイナモメータ1及び電気慣性制御装置2を有する。
図1は、電気慣性制御装置2の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0020】
図1に示すように、電気慣性制御装置2は、速度検出器3と、電気慣性トルク算出部4と、予想速度算出部5と、微分補正部6とを有する。
【0021】
速度検出器3は、ダイナモメータ1の実回転速度v1を検出する。例えば、速度検出器3は、レゾルバ又はエンコーダのような回転速度を検知するセンサを含む。
【0022】
電気慣性トルク算出部4は、ダイナモメータ1の実回転速度v1と、後述する予想速度v2との速度差Δvからダイナモメータ1の予想トルクTeを算出する。さらに、電気慣性トルク算出部4は、予想トルクTeを用いて、ダイナモメータ1に作用する外乱トルクを打ち消すための電気慣性トルクTairを求める。なお、「外乱トルク」とは、例えば、ダイナモメータ1及び供試体200の軸系(動力伝達系)に対して、外乱として入力されるトルクである。
【0023】
詳しくは、電気慣性トルク算出部4は、時間差乗算器41、第1加算器42及び電気慣性トルク演算器43を有する。
【0024】
時間差乗算器41は、実回転速度v1から後述する予想速度v2を減算することによって得られる速度差Δvに、所定の値を乗算する。
【0025】
第1加算器42は、時間差乗算器41によって得られた値と、後述する微分補正部6によって得られる値と、を加算して、予想トルクTeを算出する。
【0026】
電気慣性トルク演算器43は、算出された予想トルクTeに、(Jc-Jm/Jc)を乗算することによって、電気慣性トルクTairを算出する。なお、係数Jcは、模擬する車体の慣性モーメントである。係数Jmは、ダイナモメータ1の慣性モーメントである。
【0027】
予想速度算出部5は、予想トルクTeから電気慣性トルクTairを減じた値に基づいてダイナモメータ1の予想速度v2を算出する。例えば、予想速度v2は、現在のダイナモメータ1の回転速度の予想値である。
【0028】
詳しくは、予想速度算出部5は、積分器51を有する。積分器51は、予想トルクTeから電気慣性トルクTairを減算した値を係数Jmで除算し、除算で得られた値を積分演算する。これらの演算を行うことにより、予想速度算出部5は、ダイナモメータ1の予想速度v2を求めている。
【0029】
微分補正部6は、実回転速度v1の微分値を用いて、ダイナモメータ1のトルク変化量を算出する。このトルク変化量は、ダイナモメータ1及び供試体200に加わる外乱によって変化したトルクの変化量である。さらに、微分補正部6は、算出したトルク変化量に電気慣性トルクTairを加算した値を、予想トルクTeに加算する。
【0030】
詳しくは、微分補正部6は、微分器61、乗算器62、第2加算器63を有する。
【0031】
微分器61は、速度検出器3の出力信号から得られる実回転速度v1を微分演算する。乗算器62は、微分器61によって算出された値に、係数Jmを乗算する。
【0032】
第2加算器63は、乗算器62によって得られたダイナモメータ1のトルク変化量に、電気慣性トルクTairを加算する。そして、微分補正部6は、第2加算器63によって処理された値を、電気慣性トルク算出部4の第1加算器42に入力する。
【0033】
このように、微分補正部6は、実回転速度v1の微分値を用いて算出されるダイナモメータ1のトルク変化量と電気慣性トルクTairとを加算した値を、予想トルクTeに加算する。
【0034】
微分補正部6を有していない場合、ダイナモメータ1の実回転速度v1と予想速度v2との速度差がない状態では、予想トルクTeの値が抑制され、応答性良くダイナモメータ1の電気慣性制御を行うことができない。
【0035】
しかし、電気慣性制御装置2は、微分補正部6を有するので、実回転速度v1の微分値に基づいて予想トルクTeを算出することができる。例えば、ダイナモメータ1の回転開始当初のように、ダイナモメータ1の実回転速度v1と予想速度v2との速度差が生じない状態でも、応答性良くダイナモメータ1の電気慣性制御を行うことができる。よって、ダイナモメータ1に対する電気慣性制御の応答性を向上することができる。
【0036】
図示しないコントローラーから入力されるトルク指令値Trefから電気慣性トルクTairを減算した値に基づいて、図示しない駆動制御部がダイナモメータ1に供給する電力を制御する。このような電力制御によって、ダイナモメータ1は、外乱の影響が打ち消されるように補正されたトルクを出力する。
【0037】
次に、
図2及び
図3のグラフを用いて、電気慣性制御装置2が微分補正部6を有する場合の作用効果について説明する。
【0038】
まず、
図2及び
図3のグラフにおいて、「外乱トルク」は、ダイナモメータ及び供試体の軸系(動力伝達系)に対して、外乱として入力されるトルクの大きさの一例を示す。「電気慣性トルク」は、外乱の影響を打ち消すために算出されるダイナモメータ1のトルクの補正量の一例を示す。また、「理想速度」は、ダイナモメータ1の理想的な回転速度の一例を示す。「実回転速度」は、ダイナモメータ1の実際の回転速度の一例を示す。
【0039】
そして、
図2は、電気慣性制御装置が微分補正部を有さない場合のダイナモメータ1のトルク及び回転速度の時間変化の一例を示す。
【0040】
図2に示すように、ダイナモメータ1の回転初期では、ダイナモメータ1の電気慣性制御の反応の遅れによって、回転速度の傾きが一定になるまで、時間が必要である。これは、ダイナモメータ1の実回転速度v1と予想速度v2との速度差Δvが十分に大きな値になるまで、ダイナモメータ1の電気慣性制御の応答に遅れがあることが一因である。
【0041】
これに対し、本実施形態では、電気慣性制御装置2が微分補正部6を有することにより、ダイナモメータ1の実回転速度v1と予想速度v2との速度差がない状態でも、微分補正部6によって、予想トルクTeを算出することができる。すなわち、速度差が生じない状態でも、ダイナモメータ1の電気慣性制御を行うことができる。
【0042】
図3は、本実施形態に係る電気慣性制御装置2(微分補正部6を有する場合)によってダイナモメータ1を電気慣性制御した場合のダイナモメータ1のトルク及び回転速度の時間変化の一例を示す。
【0043】
図3に示すように、ダイナモメータ1の開始直後から、実回転速度v1の傾きと理想速度の傾きとのずれが少ない。しかも、理想速度と実回転速度v1との差が抑制されている。
図3は、ダイナモメータ1の実回転速度v1と予想速度v2との速度差Δvが十分に大きな値になるまで待つことなく、ダイナモメータ1の開始直後から、ダイナモメータ1の電気慣性制御が、応答性良く、且つ効果的に行われていることを示している。
【0044】
以上より、本実施形態の電気慣性制御装置2は、供試体200にトルクを付与するダイナモメータ1に対して電気慣性制御を行う。電気慣性制御装置2は、ダイナモメータ1の実回転速度v1と予想速度v2との速度差Δvからダイナモメータ1の予想トルクTeを算出して、ダイナモメータ1に作用する外乱トルクを打ち消すための電気慣性トルクTairを求める電気慣性トルク算出部4と、実回転速度v1の微分値を用いて算出されるダイナモメータ1のトルク変化量に電気慣性トルクTairを加算した値を、前記予想トルクTeに加算する微分補正部6と、を有する。
【0045】
これにより、ダイナモメータ1の実回転速度v1と予想速度v2との速度差がない状態でも、微分補正部6によって、予想トルクTeを算出することができる。すなわち、電気慣性制御装置2が前記微分補正部6を有しない場合、前記速度差が生じるまで前記ダイナモメータ1の電気慣性制御を行うことができなかったが、上述の構成により、前記速度差が生じない状態でも、ダイナモメータ1の電気慣性制御を行うことができる。よって、前記ダイナモメータ1に対する電気慣性制御の応答性を向上することができる。
【0046】
電気慣性制御装置2は、電気慣性トルクTairと予想トルクTeとの差に基づいて、予想速度v2を算出する予想速度算出部5をさらに有する。
【0047】
これにより、電気慣性トルクTairを求めるための速度差Δvを精度良く求めることができる。よって、電気慣性トルクTairをより精度良く求めることができる。
【0048】
また、本実施形態の車両試験装置100は、変速機を含む駆動機構の試験を行う。車両試験装置100は、上述の電気慣性制御装置2と、ダイナモメータ1と、を備える。供試体200は、変速機である。
【0049】
これにより、変速機に対してダイナモメータ1が駆動連結された車両試験装置100において、前記変速機のトルクが急変した場合でも、ダイナモメータ1を応答性良く電気慣性制御することができる。よって、応答性の高い車両試験装置100が実現される。
【0050】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0051】
前記実施形態では、予想速度算出部5は、電気慣性トルクTairと予想トルクTeとの差に基づいて、ダイナモメータ1の予想速度v2を算出する。しかし、予想速度算出部は、電気慣性トルクと予想トルクとの差以外の値に基づいて、ダイナモメータの予想速度を算出してもよい。また、電気慣性制御装置は、予想速度算出部を有していなくてもよい。この場合には、電気慣性制御装置は、本実施形態以外の方法によって得た予想速度を用いて、予想トルクを算出してもよい。
【0052】
前記実施形態では、車両試験装置100が、自動車の構成の一部を試験する例を説明した。しかしながら、車両試験装置は、二輪車、三輪車のような自動車以外の車両を試験する装置であってもよい。また、車両試験装置は、無限軌道車両のようなタイヤを有さない車両を試験する装置であってもよい。
【0053】
前記実施形態では、供試体200が変速機である例を説明した。しかしながら、供試体は、クラッチ、トランスミッション、ドライブシャフト、デファレンシャルギヤ等、変速機以外の動力伝達系の一部であってもよい。ダイナモメータは、供試体の入力軸に接続されてもよいし、出力軸に接続されてもよい。
【0054】
前記実施形態では、車両試験装置100が1つのダイナモメータ1及び1つの電気慣性制御装置2を含む例を説明した。しかしながら、車両試験装置は、複数のダイナモメータ及び複数の電気慣性制御装置を有してもよい。
【0055】
前記実施形態では、速度検出器3がレゾルバ又はエンコーダを含む例を説明した。しかしながら、速度検出器は、レゾルバ及びエンコーダ以外のダイナモメータの回転速度を検知可能なセンサを含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、供試体にトルクを付与するダイナモメータに対して電気慣性制御を行う電気慣性制御装置及び該電気慣性制御装置を有する車両試験装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 ダイナモメータ
2 電気慣性制御装置
3 速度検出器
4 電気慣性トルク算出部
41 時間差乗算器
42 第1加算器
43 電気慣性トルク演算器
5 予想速度算出部
51 積分器
6 微分補正部
61 微分器
62 乗算器
63 第2加算器
100 車両試験装置
200 供試体
Jc 係数
Jm 係数
Tair 電気慣性トルク
Te 予想トルク
Tref 指令値
v1 回転速度
v2 予想速度
Δv 速度差