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特開2024-175350画像形成装置、画像送信方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175350
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像送信方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20241211BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241211BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241211BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H04N1/387 110
B41J29/38 301
B41J29/393 105
H04N1/00 838
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093062
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AR01
2C061HJ06
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV31
2C061KK04
2C061KK13
2C061KK19
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC24
5C062AC34
5C062AC55
5C062AC63
5C062AC64
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
(57)【要約】
【課題】機密情報を含む画像に画像異常が発生した場合、その画像異常を再現し、且つ、機密情報を含まない画像データを生成する。
【解決手段】画像形成装置1は、シートに形成された画像を読み取る画像読取部13と、画像読取部13によって読み取られた画像に含まれる画像領域を判別する領域判別部34と、画像領域の画像を、画像領域に応じて予め定められたテストパターン画像に置き換える置換部35と、画像領域の画像がテストパターン画像に置き換えられた画像をシートに形成して出力する画像形成部16と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに形成された画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部によって読み取られた画像に含まれる画像領域を判別する領域判別部と、
前記画像領域を、前記画像領域に応じて予め定められたテストパターン画像に置き換える置換部と、
前記画像領域を前記テストパターン画像に置き換えた画像を形成して出力する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ネットワークを介して外部装置と通信を行う通信部、
を更に備え、
前記画像読取部は、前記画像形成部から出力される画像を読み取って画像データを生成し、
前記通信部は、前記画像データを前記外部装置へ送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザーが操作可能な操作部と、
前記操作部に対するユーザーの操作に基づいて画像異常の発生を検知した場合に、前記領域判別部及び前記置換部を機能させ、前記画像形成部に前記テストパターン画像に置き換えた画像を出力させる制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像読取部が読み取った画像が機密文書であるか否かを判定する機密文書判定部と、
前記機密文書判定部によって画像が機密文書であると判定された場合に、前記領域判別部及び前記置換部を機能させ、前記画像形成部に前記テストパターン画像に置き換えた画像を出力させる制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記機密文書判定部は、前記画像読取部が読み取った画像を解析することにより機密文書であるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記機密文書判定部は、前記画像読取部が読み取った画像に所定の文字列が含まれる場合に機密文書であると判定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザーが操作可能な操作部、
を更に備え、
前記機密文書判定部は、前記操作部に対するユーザーの操作に基づいて機密文書であるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記領域判別部は、前記画像読取部によって読み取られた画像に含まれる前記画像領域が網点領域、文字領域、及び、写真領域のいずれであるかを判別することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記置換部は、前記網点領域、前記文字領域、及び、前記写真領域のそれぞれの特性に応じた複数のテストパターン画像を保持しており、前記領域判別部によって特定される特性に基づいて前記複数のテストパターン画像のうちから一のテストパターン画像を選択することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記複数のテストパターン画像は、前記網点領域の線数及び密度に応じたテストパターン画像と、前記文字領域の線幅及び濃度に応じたテストパターン画像と、前記写真領域の濃度及び色に応じたテストパターン画像とを含むことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成部から出力される画像に画像異常が発生した場合、前記画像データを前記外部装置へ送信するとき、前記画像形成部における異常であることを示す情報を付加して送信する送信処理部、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成部から出力される画像に画像異常が発生していない場合、前記画像データを前記外部装置へ送信するとき、前記画像読取部における異常であることを示す情報を付加して送信する送信処理部、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項13】
ユーザーが操作可能な操作部、
を更に備え、
前記送信処理部は、前記操作部に対するユーザーの操作に基づいて前記画像形成部から出力される画像に画像異常が発生しているか否かを判定することを特徴とする請求項11又は12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
シートに形成された画像を読み取る画像読取部と、
画像を形成して出力する画像形成部と、
を備えた画像形成装置における画像送信方法であって、
前記画像読取部に、画像異常が発生したシートの画像を読み取らせる第1ステップと、
前記画像読取部によって読み取られた画像に含まれる画像領域を判別する第2ステップと、
前記画像領域を、前記画像領域に応じて予め定められたテストパターン画像に置き換える第3ステップと、
前記画像形成部に前記画像領域が前記テストパターン画像に置き換えられた画像を形成させる第4ステップと、
前記画像読取部に、前記画像形成部から出力される画像を前記画像読取部に読み取らせて画像データを生成する第5ステップと、
前記画像データを外部装置へ送信する第6ステップと、
を有することを特徴とする画像送信方法。
【請求項15】
シートに形成された画像を読み取る画像読取部と、
画像を形成して出力する画像形成部と、
を備えた画像形成装置において実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、
前記画像読取部に画像異常が発生したシートの画像を読み取らせる第1ステップと、
前記画像読取部によって読み取られた画像に含まれる画像領域を判別する第2ステップと、
前記画像領域を、前記画像領域に応じて予め定められたテストパターン画像に置き換える第3ステップと、
前記画像形成部に、前記画像領域が前記テストパターン画像に置き換えられた画像を形成させる第4ステップと、
前記画像読取部は、前記画像形成部から出力される画像を前記画像読取部に読み取らせて画像データを生成する第5ステップと、
前記画像データを外部装置へ送信する第6ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像送信方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripherals)などの画像形成装置は、スキャンジョブ、プリントジョブ、コピージョブなどの各種のジョブを実行する。画像形成装置においてそれらのジョブを実行すると、画像異常が生じることがある。例えば、スキャンジョブの場合、原稿(シート)の画像を読み取って生成される画像データに、モアレや筋状の画像汚れといった画像異常が発生することがある。また、プリントジョブの場合は、印刷用紙などのシートに形成された画像にモアレや筋状の画像汚れ、色ずれ、色滲みといった画像異常が発生することがある。
【0003】
一方、近年では、サービス拠点に滞在するサービスマンが、画像形成装置のユーザーと電話回線を介した通話などを行い、画像形成装置において発生したトラブルの原因を特定し、ユーザー自身による部品交換や清掃を案内したり、又は、メンテナンス作業のためにサービスマンを派遣したりすることが行われている。例えば、コピージョブやプリントジョブにおいて印刷物に画像異常が発生すると、ユーザーは、印刷物をスキャンして読み取った画像データをサービス拠点のサービスマンに送信し、トラブルの原因調査を依頼する。ところが、画像異常が発生した印刷物に機密情報が含まれる場合、印刷物をスキャンして読み取った画像データをそのままサービス拠点に送信すると、機密情報が外部に漏れてしまう可能性がある。
【0004】
そこで、従来、印刷物に機密情報が含まれている場合、画像異常が発生した印刷物の画像データをそのままサービス拠点へ送信するのではなく、画像異常が発生した印刷物とは異なるテストパターンを印刷した印刷物の画像データをサービス拠点へ送信する画像形成装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-166058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の画像形成装置は、機密情報が含まれる印刷物とは異なるテストパターンが印刷された印刷物の画像をサービス拠点へ送信するため、テストパターンが印刷された印刷物において画像異常が再現されていないことがある。テストパターンが印刷された印刷物において画像異常が再現されていない場合、サービス拠点のサービスマンは、画像形成装置から受信した画像データを解析してもトラブルの原因を特定することができない。
【0007】
例えば、モアレの画像異常は、画像に含まれる網点領域に発生し得る画像異常である。そのため、印刷物において発生した画像異常がモアレである場合に、網点パターンとは異なる線画などの別パターンに置き換えたとしても印刷物において発生したモアレを再現させることはできない。
【0008】
また、印刷物において発生する画像異常が文書レイアウトに依存していることもある。その場合、文書レイアウトを考慮せずに、単に文書全体をテストパターンに置き換えたとしても、適切に画像異常を再現することはできない。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するため、機密情報を含む画像に画像異常が発生した場合、その画像異常を再現した画像データを生成できるようにした画像形成装置、画像送信方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、画像形成装置であって、シートに形成された画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部によって読み取られた画像に含まれる画像領域を判別する領域判別部と、前記画像領域を、前記画像領域に応じて予め定められたテストパターン画像に置き換える置換部と、前記画像領域を前記テストパターン画像に置き換えた画像を形成して出力する画像形成部と、を備えることを特徴とする構成である。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、ネットワークを介して外部装置と通信を行う通信部、を更に備え、前記画像読取部は、前記画像形成部から出力される画像を読み取って画像データを生成し、前記通信部は、前記画像データを前記外部装置へ送信することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、ユーザーが操作可能な操作部と、前記操作部に対するユーザーの操作に基づいて画像異常の発生を検知した場合に、前記領域判別部及び前記置換部を機能させ、前記画像形成部に前記テストパターン画像に置き換えた画像を出力させる制御部と、を備えることを特徴とする構成である。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記画像読取部が読み取った画像が機密文書であるか否かを判定する機密文書判定部と、前記機密文書判定部によって画像が機密文書であると判定された場合に、前記領域判別部及び前記置換部を機能させ、前記画像形成部に前記テストパターン画像に置き換えた画像を出力させる制御部と、を備えることを特徴とする構成である。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4の画像形成装置において、前記機密文書判定部は、前記画像読取部が読み取った画像を解析することにより機密文書であるか否かを判定することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項5の画像形成装置において、前記機密文書判定部は、前記画像読取部が読み取った画像に所定の文字列が含まれる場合に機密文書であると判定することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項4の画像形成装置において、ユーザーが操作可能な操作部、を更に備え、前記機密文書判定部は、前記操作部に対するユーザーの操作に基づいて機密文書であるか否かを判定することを特徴とする構成である。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記領域判別部は、前記画像読取部によって読み取られた画像に含まれる前記画像領域が網点領域、文字領域、及び、写真領域のいずれであるかを判別することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項8の画像形成装置において、前記置換部は、前記網点領域、前記文字領域、及び、前記写真領域のそれぞれの特性に応じた複数のテストパターン画像を保持しており、前記領域判別部によって特定される特性に基づいて前記複数のテストパターン画像のうちから一のテストパターン画像を選択することを特徴とする構成である。
【0019】
請求項10に係る発明は、請求項9の画像形成装置において、前記複数のテストパターン画像は、前記網点領域の線数及び密度に応じたテストパターン画像と、前記文字領域の線幅及び濃度に応じたテストパターン画像と、前記写真領域の濃度及び色に応じたテストパターン画像とを含むことを特徴とする構成である。
【0020】
請求項11に係る発明は、請求項2の画像形成装置において、前記画像形成部から出力される画像に画像異常が発生した場合、前記画像データを前記外部装置へ送信するとき、前記画像形成部における異常であることを示す情報を付加して送信する送信処理部、を更に備えることを特徴とする構成である。
【0021】
請求項12に係る発明は、請求項2の画像形成装置において、前記画像形成部から出力される画像に画像異常が発生していない場合、前記画像データを前記外部装置へ送信するとき、前記画像読取部における異常であることを示す情報を付加して送信する送信処理部、を更に備えることを特徴とする構成である。
【0022】
請求項13に係る発明は、請求項11又は12の画像形成装置において、ユーザーが操作可能な操作部、を更に備え、前記送信処理部は、前記操作部に対するユーザーの操作に基づいて前記画像形成部から出力される画像に画像異常が発生しているか否かを判定することを特徴とする構成である。
【0023】
請求項14に係る発明は、シートに形成された画像を読み取る画像読取部と、画像を形成して出力する画像形成部と、を備えた画像形成装置における画像送信方法であって、前記画像読取部に、画像異常が発生したシートの画像を読み取らせる第1ステップと、前記画像読取部によって読み取られた画像に含まれる画像領域を判別する第2ステップと、前記画像領域を、前記画像領域に応じて予め定められたテストパターン画像に置き換える第3ステップと、前記画像形成部に前記画像領域が前記テストパターン画像に置き換えられた画像を形成させる第4ステップと、前記画像読取部に、前記画像形成部から出力される画像を前記画像読取部に読み取らせて画像データを生成する第5ステップと、前記画像データを外部装置へ送信する第6ステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0024】
請求項15に係る発明は、シートに形成された画像を読み取る画像読取部と、画像を形成して出力する画像形成部と、を備えた画像形成装置において実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、前記画像読取部に画像異常が発生したシートの画像を読み取らせる第1ステップと、前記画像読取部によって読み取られた画像に含まれる画像領域を判別する第2ステップと、前記画像領域を、前記画像領域に応じて予め定められたテストパターン画像に置き換える第3ステップと、前記画像形成部に、前記画像領域が前記テストパターン画像に置き換えられた画像を形成させる第4ステップと、前記画像読取部は、前記画像形成部から出力される画像を前記画像読取部に読み取らせて画像データを生成する第5ステップと、前記画像データを外部装置へ送信する第6ステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、機密情報を含む画像に画像異常が発生した場合、その画像異常を再現し、且つ、機密情報を含まない画像データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】画像形成装置を含むネットワークシステムの構成例を示す図である。
図2】画像形成装置のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】画像形成装置においてコピージョブが実行されたときに画像異常が発生する例を示す図である。
図4】画像異常処理部の詳細な機能構成を示すブロック図である。
図5】領域判別部による判別結果を示す図である。
図6】網点領域用の複数のテストパターン画像を例示する図である。
図7】文字領域用の複数のテストパターン画像を例示する図である。
図8】写真領域用の複数のテストパターン画像を例示する図である。
図9】網点領域、文字領域、及び、写真領域のそれぞれがテストパターン画像に置き換えられた画像を示す図である。
図10】画像形成装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図11】操作パネルに表示される画面例を示す図である。
図12】操作パネルに表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置1を含むネットワークシステムの構成例を示す図である。このネットワークシステムは、ユーザーのローカル環境6に設置される画像形成装置1と、遠隔のサービス拠点7に設置される外部装置2とがインターネットなどのネットワーク3を介して通信可能なシステムである。
【0029】
ローカル環境6には、LAN(Local Area Network)などのローカルネットワーク4が設置される。そのローカルネットワーク4には、画像形成装置1と、複数の情報処理装置5とが接続される。
【0030】
画像形成装置1は、MFPなどで構成され、スキャンジョブ、プリントジョブ、コピージョブなどの各種のジョブを実行する。例えばコピージョブの場合、画像形成装置1は、ユーザーによってセットされた原稿の画像を読み取って画像データを生成し、その画像データに基づく画像を印刷用紙などのシートに形成して印刷出力する。
【0031】
ユーザーは、画像形成装置1から出力される画像を確認することにより、画像形成装置1において正常にジョブが実行されたか否かを判断する。例えば、画像形成装置1から出力された印刷物の画像にモアレなどが発生している場合、ユーザーは、画像異常が生じていると判断する。ユーザーは、印刷物において画像異常を確認すると、サービス拠点7のサービスマンに連絡して画像異常を解消するための作業を行う。例えば、ユーザーは、画像形成装置1の動作モードを通常のジョブ実行モードから画像異常処理モードに切り替え、画像異常が発生している印刷物の画像を読み取り、画像異常が含まれる画像をサービス拠点7の外部装置2へ送信する。
【0032】
外部装置2は、例えばパーソナルコンピュータなどで構成される。外部装置2は、画像形成装置1から画像を受信すると、その画像を表示する。サービス拠点7のサービスマンは、外部装置2において表示される画像を確認し、画像形成装置1における画像異常の発生原因を特定する。特定した画像異常の発生原因に基づき、サービスマンは、ユーザー自身による部品交換や清掃を案内したり、又は、メンテナンス作業のために別のサービスマンをローカル環境6に派遣したりする。
【0033】
図2は、画像形成装置1のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置1は、そのハードウェア構成として、制御部10と、操作パネル11と、画像読取部13と、画像メモリ14と、画像形成部16と、通信部17とを備えている。制御部10、操作パネル11、画像読取部13、画像メモリ14、画像形成部16、及び、通信部17のそれぞれは、バス18を介して相互にデータの入出力を行うことができる。
【0034】
制御部10は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する。制御部10は、CPU20と、記憶部21とを備える。CPU20は、記憶部21に記憶されているプログラム22を読み出して実行するハードウェアプロセッサである。記憶部21は、プログラム22と、テストパターン画像23とを記憶する記憶デバイスである。例えば、記憶部21は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される。
【0035】
操作パネル11は、ユーザーが画像形成装置1を使用する際のユーザーインタフェースである。操作パネル11は、ユーザーが操作可能な各種画面を表示する表示部11aと、ユーザーによる操作を受け付ける操作部11bとを備える。表示部11aは、例えばカラー液晶ディスプレイによって構成される。操作部11bは、例えば表示部11aの画面上に配置されるタッチパネルキーによって構成される。
【0036】
画像読取部13は、画像形成装置1においてスキャンジョブ又はコピージョブが実行される際に動作する。画像読取部13は、ユーザーによってセットされた原稿の画像を読み取って画像データを生成する。
【0037】
画像メモリ14は、ジョブの実行によって生成される画像データ、又は、印刷対象となる画像データを記憶するメモリである。画像メモリ14は、データ容量が十分に大きく、複数枚分の画像データを記憶しておくことができる。
【0038】
画像形成部16は、画像形成装置1においてプリントジョブ又はコピージョブが実行される際に動作する。画像形成部16は、ジョブの実行開始に伴って給紙されるシートに対し、印刷対象画像データに基づく画像を形成し、その画像をシートに定着させて出力する。
【0039】
通信部17は、画像形成装置1をネットワーク3及びローカルネットワーク4に接続して通信を行う通信部である。画像形成装置1は、この通信部17を介して情報処理装置5から送信されるプリントジョブを受信する。また、画像形成装置1は、この通信部17を介して外部装置2と通信を行う。
【0040】
制御部10のCPU20は、プログラム22を実行することにより、ジョブ制御部24、及び、画像異常処理部25として機能する。ジョブ制御部24は、通常のジョブ実行モードにおいて動作する制御部であり、スキャンジョブ、コピージョブ、及び、プリントジョブのそれぞれの動作を制御する。
【0041】
画像異常処理部25は、通常のジョブ実行モードにおいてジョブを実行した結果、画像異常が発生し、ユーザーによって動作モードが画像異常処理モードに切り替えられた場合に動作する。画像異常処理モードは、画像異常が含まれる画像をサービス拠点7の外部装置2へ送信する動作モードである。
【0042】
図3は、画像形成装置1においてコピージョブが実行されたときに画像異常が発生する例を示す図である。図3(a)は、コピー元となるシートの画像40を示している。この画像40は、写真画像41と、網点画像42とを含んでいる。また、画像40は、写真画像41及び網点画像42以外の部分に、文字列を含んでいる。更に、画像40の右上の位置には、「秘密」という文字列が含まれている。「秘密」の文字列は、画像40が機密文書であることを表している。
【0043】
図3(b)は、図3(a)の画像40がコピー出力されたシートの画像45を示している。図3(b)に示すように、画像45では、網点画像42においてモアレ46が発生している。モアレ46は、画像40には存在しない画像である。そのため、画像45には、画像異常が発生していることになる。
【0044】
上記のように、例えば画像形成装置1がコピージョブを実行して出力したシート(印刷物)にモアレなどの画像異常が発生している場合、ユーザーは、操作パネル11に対する操作を行うことで動作モードを画像異常処理モードに切り替える。これにより、制御部10において画像異常処理部25が機能する。画像異常処理部25は、モアレなどの画像異常が含まれるシートの画像を読み取り、画像異常を含む画像データを外部装置2へ送信する。このとき、画像異常が発生したシートの画像に機密情報が含まれることがある。その場合、画像形成装置1は、機密情報を含む画像データを外部装置2へ送信することは好ましくない。
【0045】
そこで、画像異常処理部25は、画像異常が発生したシートの画像に機密情報が含まれる場合、シートの画像に含まれる画像領域を判別し、画像領域ごとに、画像領域に応じたテストパターン画像に置き換えた画像を生成する。そして画像異常処理部25は、機密情報を含まないテストパターン画像に置き換えた画像データを外部装置2へ送信する。以下、このような画像異常処理部25について詳しく説明する。
【0046】
図4は、画像異常処理部25の詳細な機能構成を示すブロック図である。画像異常処理部25は、読取制御部31と、画像取得部32と、機密文書判定部33と、領域判別部34と、置換部35と、出力制御部36と、送信処理部37とを備えている。
【0047】
読取制御部31は、ユーザーによって画像異常処理モードに切り替えられると、操作パネル11の表示部11aに、画像読取案内画面を表示する。この画像読取案内画面は、画像異常が発生したシートを画像読取部13にセットし、画像読み取りを行うことをユーザーに案内する画面である。ユーザーは、画像読取案内画面に従って、画像異常が発生したシートを画像読取部13にセットし、操作パネル11に対して画像読取指示を行う。例えば、コピージョブによって図3(b)のような画像45が出力された場合、ユーザーは、画像45が形成されたシートを画像読取部13にセットし、画像読取指示を行う。
【0048】
読取制御部31は、ユーザーによる画像読取指示を検知すると、画像読取部13を駆動し、ユーザーによってセットされたシートの画像を読み取り、画像メモリ14に格納する。これにより、画像異常を含む画像が、画像メモリ14に記憶される。例えば、図3(b)に示す画像45が、画像メモリ14に記憶される。
【0049】
機密文書判定部33は、画像メモリ14に格納された画像が機密文書であるか否かを判定する。例えば、ユーザーが操作パネル11に対して機密文書である旨を指定した場合、機密文書判定部33は、ユーザーの操作に基づいて画像メモリ14に格納された画像が機密文書であると判定する。
【0050】
また、機密文書判定部33は、画像メモリ14に格納された画像を解析することにより、機密文書であるか否かを自動判定することが可能である。例えば、機密文書判定部33は、画像メモリ14に格納された画像に「秘密」や「機密」、「CONFIDENTIAL」などの所定の文字列が含まれるか否かを判断する。これらの文字列は、機密文書であることを表している。そのため、機密文書判定部33は、画像メモリ14に格納された画像に、所定の文字列が含まれる場合、機密文書であると判定する。例えば、図3(b)の画像45が画像メモリ14に格納されている場合、画像45には、「秘密」の文字列が含まれている。この場合、機密文書判定部33は、画像45が機密文書であると判定する。
【0051】
機密文書判定部33によって画像メモリ14に格納された画像が機密文書であると判定された場合、画像異常処理部25は、領域判別部34、置換部35、及び、出力制御部36を順次機能させる。
【0052】
領域判別部34は、画像メモリ14に格納された画像を解析し、当該画像に含まれる画像領域を判別する。本実施形態において領域判別部34が判別する画像領域は、網点領域、写真領域、及び、文字領域の3つの領域である。ただし、領域判別部34が判別する画像領域の数は、3つに限られるものではない。
【0053】
例えば、図3(b)に示す画像45が画像メモリ14に格納されているとする。領域判別部34は、画像45を解析し、画像45に含まれる網点領域、写真領域、及び、文字領域のそれぞれを判別する。図5は、領域判別部34による判別結果を示す図である。画像45に対して画像領域を判別すると、領域判別部34は、図5に示すように、写真画像41が含まれている領域を写真領域と判別する。また、領域判別部34は、網点画像42が含まれている領域を網点領域と判別する。更に、領域判別部34は、文字列が含まれる領域47を文字領域と判別する。このように、画像45にそれぞれ異なる複数の画像領域が含まれている場合、領域判別部34は、それら複数の画像領域のそれぞれが、網点領域、写真領域、及び、文字領域のいずれであるかを判別する。
【0054】
また、領域判別部34は、画像45に含まれる画像領域が網点領域であると判別すると、その網点領域の特性を特定する。網点領域の特性は、例えば網点の線数及び密度で表される。そのため、領域判別部34は、画像45の網点領域における線数及び密度を特定する。
【0055】
また、領域判別部34は、画像45に含まれる画像領域が文字領域であると判別すると、その文字領域の特性を特定する。文字領域の特性は、例えば線幅及び濃度で表される。そのため、領域判別部34は、画像45の文字領域における線幅及び濃度を特定する。
【0056】
更に、領域判別部34は、画像45に含まれる画像領域が写真領域であると判別すると、その写真領域の特性を特定する。写真領域の特性は、例えば色及び濃度で表される。そのため、領域判別部34は、画像45の写真領域における色及び濃度を特定する。
【0057】
置換部35は、領域判別部34によって判別された画像領域ごとに、画像領域含まれる画像をテストパターン画像23に置き換える。記憶部21には、網点領域、文字領域、及び、写真領域のそれぞれに適したテストパターン画像23が記憶されている。置換部35は、画像45に含まれる網点画像42を、網点領域に適したテストパターン画像23に置き換える。また、置換部35は、画像45に含まれる文字列の画像を、文字領域に適したテストパターン画像23に置き換える。更に、置換部35は、画像45に含まれる写真画像41を、写真領域に適したテストパターン画像23に置き換える。
【0058】
記憶部21は、網点領域、文字領域、及び、写真領域のそれぞれの特性に応じた複数のテストパターン画像23を記憶している。そのため、置換部35は、網点領域、文字領域、及び、写真領域のそれぞれの画像をテストパターン画像23に置き換えるとき、領域判別部34によって特定される特性に基づいて複数のテストパターン画像23のうちから一のテストパターン画像23を選択する。そして置換部35は、画像領域の画像を、選択した一のテストパターン画像23に置き換える。
【0059】
図6は、網点領域用の複数のテストパターン画像23を例示する図である。図6に示すように、網点領域用の複数のテストパターン画像23は、それぞれ線数及び密度が異なる網点パターンの画像である。置換部35は、画像45の網点領域を、網点領域用のテストパターン画像23に置換するとき、領域判別部34によって特定された網点領域の特性(線数及び密度)と同一又は類似する特性(線数及び密度)のテストパターン画像23を選択し、画像45の網点領域に含まれる網点画像42を、選択したテストパターン画像23に置き換える。
【0060】
図7は、文字領域用の複数のテストパターン画像23を例示する図である。図7に示すように、文字領域用の複数のテストパターン画像23は、それぞれ線幅及び濃度が異なるパターンの画像である。置換部35は、画像45の文字領域を、文字領域用のテストパターン画像23に置換するとき、領域判別部34によって特定された文字領域の特性(線幅及び濃度)と同一又は類似する特性(線幅及び濃度)のテストパターン画像23を選択し、画像45の文字領域に含まれる文字列の画像を、選択したテストパターン画像23に置き換える。
【0061】
図8は、写真領域用の複数のテストパターン画像23を例示する図である。図8に示すように、写真領域用の複数のテストパターン画像23は、それぞれ色及び濃度が異なるグラデーションパターンの画像である。置換部35は、画像45の写真領域を、写真領域用のテストパターン画像23に置換するとき、領域判別部34によって特定された写真領域の特性(色及び濃度)と同一又は類似する特性(色及び濃度)のテストパターン画像23を選択し、画像45の写真領域に含まれる写真画像41を、選択したテストパターン画像23に置き換える。
【0062】
図9は、図5に示す網点領域、文字領域、及び、写真領域のそれぞれがテストパターン画像23に置き換えられた画像50を示す図である。置換部35は、網点領域、文字領域、及び、写真領域のそれぞれの画像を、各領域の特性に応じたテストパターン画像23に置き換え、画像50を生成する。画像50における網点領域、文字領域、及び、写真領域の位置は、置換前の画像45と同じ位置にある。したがって、画像50は、テストパターン画像23に置き換えられる前の画像45とレイアウトが同じ画像である。
【0063】
また、画像50に含まれる複数のテストパターン画像23は、いずれも機密情報を含まない。それ故、画像50は、機密情報を含まない画像に変換されている。
【0064】
置換部35は、上記のような画像50を生成すると、その画像50を出力制御部36へ出力する。
【0065】
出力制御部36は、置換部35からテストパターン画像23に置き換えられた画像50を取得すると、画像形成部16を駆動する。画像形成部16は、テストパターン画像23に置き換えられた画像50をシートに形成して出力する。画像形成部16によって画像50が形成されたシートが出力されると、画像異常処理部25において再び読取制御部31が機能する。
【0066】
読取制御部31は、テストパターン画像23に置き換えられた画像50が出力されると、操作パネル11の表示部11aに、画像読取案内画面を表示する。この画像読取案内画面は、画像50が印刷されたシートを画像読取部13にセットし、画像読み取りを行うことをユーザーに案内する画面である。ユーザーは、画像読取案内画面に従って、画像50が印刷されたシートを画像読取部13にセットし、操作パネル11に対して画像読取指示を行う。
【0067】
読取制御部31は、ユーザーによる画像読取指示を検知すると、画像読取部13を駆動し、ユーザーによってセットされたシートの画像を読み取り、画像メモリ14に格納する。これにより、テストパターン画像23に置き換えられた画像50が、画像メモリ14に記憶される。
【0068】
画像メモリ14に格納される画像50には、画像45において発生していた画像異常が再現される。例えば、画像45における画像異常が画像形成部16において発生していた場合、画像形成部16が画像50をシートに形成して出力する際に同じ画像異常が再現される。また、画像45における画像異常が画像読取部13において発生していた場合、画像読取部13が画像50を読み取る際に同じ画像異常が再現される。その結果、画像メモリ14に格納される画像50には、画像45において発生していた画像異常と同じ画像異常が発生する。
【0069】
続いて、画像異常処理部25は、送信処理部37を機能させる。送信処理部37は、画像メモリ14に格納された画像50を読み出し、通信部17を介して画像50を外部装置2へ送信する。これにより、画像形成装置1は、機密情報を含む機密文書の画像を外部装置2へ送信することなく、サービス拠点のサービスマンに、画像異常の状態を正確に伝えることができる。
【0070】
一方、機密文書判定部33によって画像メモリ14に格納された画像が機密文書でないと判定された場合、画像異常処理部25は、領域判別部34、置換部35、及び、出力制御部36を機能させることなく、送信処理部37を機能させる。
【0071】
送信処理部37は、画像メモリ14に格納された画像を読み出し、通信部17を介して画像50を外部装置2へ送信する。これにより、画像形成装置1は、コピージョブの実行によって発生した画像異常を含む画像をそのまま外部装置2へ送信することができる。このとき外部装置2へ送信される画像には、機密情報が含まれない。そのため、情報漏洩の問題は生じない。
【0072】
次に、画像形成装置1における画像送信方法の処理手順について説明する。図10は、画像形成装置1における処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば制御部10のCPU20がプログラム22を実行することにより、制御部10で行われる。
【0073】
制御部10は、処理を開始すると、画像異常が発生したか否かを判断する(ステップS10)。例えば、制御部10は、ジョブを実行した後、操作パネル11の表示部11aに、図11に示す操作画面GAを表示している。この画面GAには、画像形成装置1の動作モードを画像異常処理モードへと移行させるボタン60が表示されている。例えば画像形成装置1においてコピージョブが実行された後、ユーザーによって画像異常が確認されると、ボタン60が操作される。制御部10は、ユーザーによってボタン60が操作されることに伴い、画像異常が発生したと判断する(ステップS10)。画像異常が発生したと判断すると、制御部10は、画像異常処理部25を機能させ、画像形成装置1の動作モードを画像異常処理モードに切り替える。そして画像異常処理部25は、ステップS11以降の処理を実行する。
【0074】
画像異常処理モードに切り替えると、画像異常処理部25は、図12(a)に示す画像読取案内画面GBを、操作パネル11の表示部11aに表示する。この画像読取案内画面GBには、ユーザーが機密文書であることを指定するボタン61と、画像読取指示を行うボタン62とが表示されている。ユーザーは、画像異常の発生した画像が機密文書である場合、ボタン61を操作する。また、ユーザーは、画像異常を含む画像が形成されたシートを画像読取部13にセットした後、ボタン62を操作する。
【0075】
読取制御部31は、ユーザーによる画像読取指示が行われるまで待機する(ステップS11でNO)。ユーザーによって画像読取指示が行われると(ステップS11でYES)、読取制御部31は、画像読取部13を駆動し、ユーザーによってセットされたシートの画像を読み取る(ステップS12)。そして読取制御部31は、画像読取部13で生成される画像を画像メモリ14に保存する(ステップS13)。
【0076】
次に、画像異常処理部25は、機密文書判定部33を機能させる。機密文書判定部33は、画像メモリ14に保存された画像が機密文書であるか否かを判定する(ステップS14)。例えば、機密文書判定部33は、ユーザーによってボタン61が操作されたか否かによって機密文書であるか否かを判定する。また、機密文書判定部33は、画像メモリ14の画像を解析し、画像に所定の文字列が含まれているか否かによって機密文書であるか否かを自動判定しても良い。尚、自動判定によって機密文書でないと判定した場合、機密文書判定部33は、操作パネル11の表示部11aに、機密文書でないことをユーザーに確認する画面を表示することが好ましい。
【0077】
画像メモリ14に保存した画像が機密文書であると判定した場合(ステップS14でYES)、画像異常処理部25は、領域判別部34を機能させる。領域判別部34は、画像メモリ14に格納された画像に含まれる画像領域を判別する(ステップS15)。画像メモリ14に格納された画像に複数の画像領域が含まれる場合、領域判別部34は、それら複数の画像領域のそれぞれが網点領域、文字領域、及び、写真領域のいずれの領域であるかを判別する。
【0078】
次に、領域判別部34は、画像メモリ14に格納された画像に含まれる画像領域の特性を検知する(ステップS16)。例えば画像領域が網点領域である場合、領域判別部34は、網点領域に含まれる網点の線数及び密度を検知する。また、画像領域が文字領域である場合、領域判別部34は、文字領域に含まれる文字の線幅及び濃度を検知する。更に、画像領域が写真領域である場合、領域判別部34は、写真領域に含まれる写真画像の色及び濃度を検知する。
【0079】
次に、画像異常処理部25は、置換部35を機能させる。置換部35は、領域判別部34において判別された画像領域の画像を、予め定められたテストパターン画像23に置き換える(ステップS17)。置換部35は、画像メモリ14に格納された画像に含まれる画像領域ごとに、画像領域の画像特性に合ったテストパターン画像23を選択し、選択したテストパターン画像23を画像領域の画像と置き換える。つまり、置換部35は、画像メモリ14に格納された画像のレイアウトと各画像領域の特性とを保持した新たな画像50(図9参照)を生成する。この新たな画像50は、機密情報を含まない。
【0080】
次に、画像異常処理部25は、出力制御部36を機能させる。出力制御部36は、置換部35で生成された新たな画像50を画像形成部16に出力し、シートに画像50を形成させる(ステップS18)。これにより、画像形成部16から、画像50が印刷されたシートが出力される。例えば、先の画像45における画像異常が画像形成部16で発生していた場合、ステップS18において出力されるシートの画像50に、先の画像45と同じ画像異常が再現される。これに対し、先の画像45における画像異常が画像読取部13で発生していた場合、ステップS18において出力されるシートの画像50には、先の画像45と同じ画像異常が再現されない。したがって、ユーザーは、ステップS18で出力されるシートの画像50を確認することにより、画像異常が画像形成部16と画像読取部13のいずれで発生しているかを判断することができる。
【0081】
画像50が印刷されたシートが出力されると、画像異常処理部25は、図12(b)に示す画像読取案内画面GCを、操作パネル11の表示部11aに表示する。この画像読取案内画面GCには、ステップS18で出力されたシートの画像50に画像異常が発生していることを指定するボタン63と、画像読取指示を行うボタン64とが表示されている。ユーザーは、ステップS18で出力されたシートの画像50に画像異常が発生していると判断した場合、ボタン63を操作する。また、ユーザーは、ステップS18で出力されたシートを画像読取部13にセットした後、ボタン64を操作する。
【0082】
読取制御部31は、ユーザーによる画像読取指示が行われるまで待機する(ステップS19でNO)。ユーザーによって画像読取指示が行われると(ステップS19でYES)、読取制御部31は、画像読取部13を駆動し、ユーザーによってセットされたシートの画像50を読み取る(ステップS20)。これにより、画像50に対応する画像データが画像メモリ14に保存される。例えば、先の画像45における画像異常が画像読取部13で発生していた場合、ステップS20で生成される画像に、先の画像45と同じ画像異常が再現される。
【0083】
次に、画像異常処理部25は、送信処理部37を機能させる。送信処理部37は、ステップS18の印刷出力時に画像異常が発生したか否かを判断する(ステップS21)。例えば、画像読取案内画面GCが表示されているときにユーザーがボタン63を操作していた場合、送信処理部37は、印刷出力時に画像異常が発生したと判断する。これに対し、ユーザーがボタン63を操作していない場合、送信処理部37は、印刷出力時に画像異常が発生していないと判断する。
【0084】
印刷出力時に画像異常が発生したと判断した場合(ステップS21でYES)、送信処理部37は、画像形成部16で画像異常が発生したことを示す異常発生フラグを、画像メモリ14に保存されている画像データに付加する(ステップS22)。これに対し、印刷出力時に画像異常が発生していないと判断した場合(ステップS21でNO)、送信処理部37は、画像読取部13で画像異常が発生したことを示す異常発生フラグを、画像メモリ14に保存されている画像データに付加する(ステップS23)。
【0085】
そして送信処理部37は、異常発生フラグを付加した画像データを、通信部17を介して外部装置2へ送信する(ステップS24)。
【0086】
一方、ステップS14において、機密文書判定部33は、画像メモリ14に保存された画像が機密文書でないと判定した場合(ステップS14でNO)、送信処理部37を機能させる。この場合、送信処理部37は、画像メモリ14に保存されている画像データを読み出し、通信部17を介して画像データを外部装置2へ送信する(ステップS24)。
【0087】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1は、シートに形成された画像を読み取る画像読取部13と、画像読取部13によって読み取られた画像に含まれる画像領域を判別する領域判別部34と、画像領域の画像を画像領域に応じて予め定められたテストパターン画像23に置き換える置換部35と、画像領域の画像をテストパターン画像23に置き換えた画像をシートに形成して出力する画像形成部16と、を備えている。この画像形成装置1は、画像異常が発生した画像に機密情報が含まれる場合、画像領域の画像をテストパターン画像23に置き換えるため、機密情報を含まない画像を生成することができる。また、画像領域の画像をテストパターン画像23に置き換えるとき、画像形成装置1は、画像領域に応じたテストパターン画像23を選択して置き換える。そのため、画像形成装置1は、テストパターン画像23に置き換えた画像において画像異常を再現させることができる。そして画像形成装置1は、テストパターン画像23に置き換えた画像を外部装置2へ送信することにより、機密情報の漏洩を防止する。また、サービス拠点のサービスマンは、画像形成装置1から送信される画像を確認することにより、画像異常の原因を適切に特定することができる。
【0088】
また、本実施形態の画像形成装置1は、画像領域ごとに、画像領域の画像をテストパターン画像23に置き換える。そのため、テストパターン画像23に置き換えられた画像のレイアウトは、画像異常が発生した画像のレイアウトと同じである。それ故、印刷物において発生する画像異常が文書レイアウトに依存している場合であっても、画像形成装置1は、画像異常を再現した画像を生成することが可能である。したがって、サービス拠点のサービスマンは、画像形成装置1から送信される画像を確認することにより、画像異常の原因を適切に特定することができる。
【0089】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0090】
例えば、上記実施形態では、画像異常が発生するジョブの一例として、コピージョブを説明した。しかし、画像異常が発生するジョブは、コピージョブに限られない。例えば、画像異常が発生するジョブは、プリントジョブやスキャンジョブであっても構わない。プリントジョブやスキャンジョブで画像異常が発生した場合であっても、画像異常処理部25は、上述した処理を行うことにより、機密情報の漏洩を防ぎ、画像異常の原因を特定できる画像を生成することができる。
【0091】
また、上記実施形態で説明したプログラム22は、画像形成装置1の記憶部21に予め記憶されているものに限られない。例えば、プログラム22は、それ単体で取引の対象となるものであっても構わない。この場合、プログラム22は、インターネットなどのネットワークを介してダウンロード可能な態様で提供されるものであっても良いし、またCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0092】
1 画像形成装置
2 外部装置
11 操作パネル
11a 表示部
11b 操作部
13 画像読取部
16 画像形成部
17 通信部
23 テストパターン画像
24 ジョブ制御部
25 画像異常処理部
31 読取制御部
32 画像取得部
33 機密文書判定部
34 領域判別部
35 置換部
36 出力制御部
37 送信処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12