IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユピテルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017536
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム等
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/16 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G06F3/16 690
G06F3/16 650
G06F3/16 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120237
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】山岸 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 優太
(57)【要約】
【課題】従来とは異なる技術を提供すること、例えば情報処理装置を使った対話の質を向上させること。
【解決手段】情報処理装置1は、第1の人と第2の人とが過去に行った対話の内容に基づいて、前記第2の人に対して発話する処理を行う制御部を有するロボット型の装置である。情報処理装置1は、第1の期間において前記第1の人と前記第2の人とが行っている対話の内容を収集する処理を行い、前記第1の期間よりも後の第2の期間になった場合、前記発話する処理を行い、前記第1の人が不在であると判定した場合に、前記第2の期間における前記発話する処理を行う。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の人と第2の人とが過去に行った対話の内容に基づいて、前記第2の人に対して発話する処理を行う制御部を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
第1の期間において前記第1の人と前記第2の人とが行った対話の内容を収集する処理を行い、
前記第1の期間よりも後の第2の期間になった場合、前記発話する処理を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1の人が不在であると判定した場合に、前記第2の期間における前記発話する処理を行う
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1の人が不在であることとして前記第1の人が死亡したと判定した場合に、前記第2の期間における前記発話する処理を行う
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の人が存命中で不在である所定の状況と判定した場合に、前記第2の期間における前記発話する処理を行うとよい。
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1の期間において、前記第1の人及び前記第2の人の少なくとも一方にとって特別な日において前記対話の内容を収集する処理を行い、
前記第2の期間において、前記発話する処理を行うタイミングに対応する前記特別な日に収集された前記対話の内容に基づいて、前記発話する処理を行う
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1の期間に、前記特別な日を特定するための質問を前記第1の人又は前記第2の人にし、前記第1の人又は前記第2の人からの応答に基づいて前記特別な日を特定する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記特別な日を特定するための質問を間接的な表現により行う
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
複数種類の前記特別な日について、それぞれ異なるタイミングに前記質問をする
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記収集した対話の内容に基づいて前記特別な日を特定する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第1の期間において、所定の時間的単位ごとに分類して前記対話の内容を収集し、
前記第2の期間において、前記発話する処理を行うタイミングに対応する前記所定の時間的単位に収集された前記対話の内容に基づいて、前記発話する処理を行う
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、
周辺の環境に関するデータを取得し、取得した当該環境に関するデータに基づいて前記発話する内容を変更して、前記発話する処理を行う
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、
外部の装置と通信する通信部により取得されたデータに基づいて、前記死亡したことを判定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、
取得した音声に基づいて、前記死亡したことを判定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、
外部の装置と通信する通信部により取得された通話の音声に基づいて、前記死亡したことを判定する
請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、
前記第1の期間において、前記第1の人と前記第2の人との対話がない期間が所定の条件を満たした場合に、前記第1の人の不在の理由を質問し、当該質問に対する応答に基づいて、前記死亡したことを判定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記発話する処理に対する前記第2の人からの応答の状況に応じて、前記発話する処理を行う頻度及びタイミングの少なくとも一方を変更する
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、
周囲の人の存在を検知する検知部により前記周囲の人の存在が検知された場合に、前記発話する処理を行う
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記第2の人がいる空間領域の状況を特定し、特定した状況に基づいて前記発話する処理を実行する頻度及びタイミングの少なくとも一方を制御する
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記制御部は、
前記第2の人が居る空間領域において取得した音声に基づいて、静かな場合に前記発話する処理を行う
請求項19に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記制御部は、
前記第2の人が居る空間領域に他の人がいる場合は、前記発話する処理を停止させる
請求項20に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記制御部は、
前記第1の人とは異なる第三者の立場である内容により前記発話する処理を行う
請求項19に記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記制御部は、
前記発話する処理において、前記第1の人が憑依していることを演出する
請求項19に記載の情報処理装置。
【請求項24】
前記制御部は、
前記第2の人の顔を撮像した映像に基づいて前記第2の人の顔色を特定し、前記顔色に応じて発話する第2の発話処理を行う
請求項1から23のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項25】
前記制御部は、
所定の通信端末の現在位置を取得し、当該現在位置に関する内容の発話をする第3の発話処理を行う
請求項24に記載の情報処理装置。
【請求項26】
前記制御部は、
前記通信端末のユーザのスケジュールを取得し、前記通信端末の現在位置と前記スケジュールとに基づく内容を発話する前記第3の発話処理を行う
請求項25に記載の情報処理装置。
【請求項27】
持ち運び可能な筐体を備え、
前記制御部は、
前記筐体の現在位置の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、現在位置に関する内容の発話をする第4の発話処理を行う
請求項25に記載の情報処理装置。
【請求項28】
前記現在位置に関する内容は、自装置のユーザと関連する内容
請求項27に記載の情報処理装置。
【請求項29】
前記筐体は、車両に取り付け可能に構成される
請求項28に記載の情報処理装置。
【請求項30】
前記制御部は、
通信部を介して所定の範囲内に位置する前記第2の人が携帯する通信端末と通信し、前記第2の人の通信端末の位置情報の履歴を取得して、所定の通信端末へ送信する
請求項29に記載の情報処理装置。
【請求項31】
前記制御部は、
通信部を介して所定の範囲内に位置する前記第2の人が携帯する通信端末と通信し、前記第2の人の通信端末の電池残量を取得して、所定の通信端末へ送信する
請求項30に記載の情報処理装置。
【請求項32】
情報処理装置のコンピュータに、
第1の人と第2の人とが過去に行った対話の内容に基づいて、前記第2の人に対して発話する処理を行う機能を実現させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ等を用いて、自宅や公共の場所等の空間領域の状況を確認できるようにしたシステムが知られている。例えば、特許文献1には、見守り対象の両親の家にロボット型の情報処理装置を配置しておき、息子が通信端末を使って両親の様子を見守る技術が記載されている。例えば、特許文献2には、亡くなった人が憑依したかのような表現をするロボットであって、故人が成仏に向けて進んでいる状況に応じた行為をするロボットについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-74052号公報
【特許文献2】特開2019-040516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一つは、従来とは異なる技術を提供すること、例えば情報処理装置の人に対する発話の質を向上させることである。
【0005】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙字的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正又は分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)第1の人と第2の人とが過去に行った対話の内容に基づいて、前記第2の人に対して発話する処理を行う制御部を有する情報処理装置が提供されるとよい。
【0007】
このようにすると、第1の人と第2の人とが過去に行った対話の内容を、第2の人に対して発話する処理に反映させることで、情報処理装置の第2の人に対する発話の質を向上させることができる。
【0008】
発話する処理としては、例えば、第1の人と第2の人とが過去に行った対話の内容に基づいて、発話する内容を変更するとよい。このようにすると、第1の人と第2の人とが実際に行った対話の内容を反映したオリジナリティのある内容で、第2の人に対して発話する処理を行うことができる。第1の人と第2の人とが過去に行った対話の内容として、収集された当該対話の内容を示すデータが、例えばデータベース化して記憶されるとよい。情報処理装置と第2の人との対話の中で、第2の人に対して発話する処理は、少なくとも1回行われるとよいが、さらに第2の人からの応答を認識してその応答に対する発話をする処理を、少なくとも1回行うようにすると、第2の人にとっては、人間同士の対話により近い感覚で情報処理装置との対話をすることができる。
【0009】
(2)前記制御部は、第1の期間において前記第1の人と前記第2の人とが行った対話の内容を収集する処理を行い、前記第1の期間よりも後の第2の期間になった場合、前記発話する処理を行うとよい。
【0010】
このようにすると、情報処理装置の機能により、第1の期間に第1の人と第2の人とが行った対話の内容を収集し、第1の期間よりも後の第2の期間になると、その対話の内容を第2の人に対して発話する処理に反映させることができる。その結果、情報処理装置の第2の人に対する発話の質を向上させることができる。
【0011】
(3)前記制御部は、前記第1の人が不在であると判定した場合に、前記第2の期間における前記発話する処理を行うとよい。
【0012】
このようにすると、第1の人が不在となった場合に、第2の人は、情報処理装置から第1の人と第2の人とが行った対話の内容に関して発話された内容を聞くことができる。例えば、第2の人は、その発話の内容を聞くことで、第1の人の不在による寂しさを紛らわすことができる。
【0013】
(4)前記制御部は、前記第1の人が不在であることとして前記第1の人が死亡したと判定した場合に、前記第2の期間における前記発話する処理を行うとよい。
【0014】
このようにすると、第1の人の死亡後においても第2の人は、情報処理装置から、第1の人の生前に第2の人とした対話の内容に基づき発話された内容を聞くことができる。例えば、第2の人は、その発話の内容を聞くことで、第1の人の死亡による寂しさを紛らわすことができる。
【0015】
(5)前記制御部は、前記第1の人が存命中で不在である所定の状況と判定した場合に、前記第2の期間における前記発話する処理を行うとよい。
【0016】
このようにすると、存命中の第1の人が不在である場合において、第2の人は、情報処理装置から、第1の人と第2の人とが行った対話の内容に関する発話された内容を聞くことができる。第1の人が存命中で不在である状況としては、例えば、第2の人は、その発話の内容を聞くことで、第1の人の不在による寂しさを紛らわすことができる。
【0017】
(6)前記制御部は、前記第1の期間において、前記第1の人及び前記第2の人の少なくとも一方にとって特別な日において前記対話の内容を収集する処理を行い、前記第2の期間において、前記発話する処理を行うタイミングに対応する前記特別な日に収集された前記対話の内容に基づいて、前記発話する処理を行うとよい。
【0018】
このようにすると、第2の人は、第1の人及び前記第2の人の少なくとも一方にとって特別な日に行われた対話の内容に基づく発話の内容を聞くことができる。特別な日としては、例えば、結婚記念日や子供の誕生日等、主観に基づく特別な日又は客観的に見て特別な日とするとよい。特別な日には、普段と違った対話が行われることも少なくないので、第2の人は、第1の人が不在である場合でも、情報処理装置からの発話の内容を聞いて、特別な日であることを認識し、非日常感を得ることができる。
【0019】
(7)前記制御部は、前記第1の期間に、前記特別な日を特定するための質問を前記第1の人又は前記第2の人にし、前記第1の人又は前記第2の人からの応答に基づいて前記特別な日を特定するとよい。
【0020】
このようにすると、第1の人又は第2の人に対する質問とそれに対する応答に基づいて特別な日を特定するので、特別な日を正確に特定し、その結果特別な日に行われた対話の内容より正確に反映して、第2の人に対して発話することができる。例えば、特別な日を特定するための質問としては、特別な日の種類を指定して、その日がいつであるかを問いかける質問とするとよい。
【0021】
(8)前記制御部は、前記特別な日を特定するための質問を間接的な表現により行うとよい。
【0022】
このようにすると、特別な日を特定するための質問を直接的な表現で行う場合に比べて、特別な日についての情報が収集されていることを第1の人又は第2の人に悟られにくくすることができる。その結果、例えば、第2の人にとっては、その後の発話する処理の内容を聞いて、いつの間にか情報処理装置が特別な日を知っていてくれて嬉しい、という感情を得ることができる。例えば、直接的な表現としては、特別な日の種類のフレーズとその日がいつであるかを問いかけるフレーズとを含む質問とし、間接的な表現としては、特別な日の種類のフレーズを含まないか、あるいは言い回しを変えた表現とするとい。例えば、特別な日として「入籍日」を質問する場合に、直接的な表現としては「入籍日はいつ?」があるが、間接的な表現としては、「結婚したのはいつ?」「結婚してからどれくらい経った?」等がある。
【0023】
(9)前記制御部は、複数種類の前記特別な日について、それぞれ異なるタイミングに前記質問をするとよい。
【0024】
このようにすると、複数種類の特別な日を特定するための質問を、異なるタイミングにするので、特別な日を特定するための質問が集中してしまい、第1の人又は第2の人が違和感を持つのを抑えることができる。
【0025】
(10)前記制御部は、前記収集した対話の内容に基づいて前記特別な日を特定するとよい。
【0026】
このようにすると、第2の人はいつのまにか情報処理装置が特別な日を知ってくれていたという感覚を得ることができる。
【0027】
(11)前記制御部は、前記第1の期間において、所定の時間的単位ごとに分類して前記対話の内容を収集し、前記第2の期間において、前記発話する処理を行うタイミングに対応する前記所定の時間的単位に収集された前記対話の内容に基づいて、前記発話する処理を行うとよい。
【0028】
このようにすると、所定の時間的単位ごとに分類して対話の内容を収集しておき、発話する処理を、その発話をするタイミングに対応する時間的単位に収集された対話の内容に基づいて行うので、発話する処理を行うタイミングに合った内容でその対話処理を行うことができる。所定の時間的単位としては、上述した特別な日であるか否かを単位としてもよいが、曜日や時刻(例えば時間帯)を時間的単位とするとよい。あるいは、その他の暦に基づく単位としてもよく、ある時間的な要素に基づいて区切られていればよい。
【0029】
(12)前記制御部は、周辺の環境に関するデータを取得し、取得した当該環境に関するデータに基づいて前記発話する内容を変更して、前記発話する処理を行うとよい。
【0030】
このようにすると、周辺の環境に応じて発話する処理で発話される内容のバリエーションが多様なものにすることができる。環境としては、例えばセンサ又は外部の装置から取得されるデータにより特定されるものとするとよく、天気、気温等とするとよい。
【0031】
(13)前記制御部は、外部の装置と通信する通信部により取得されたデータに基づいて、前記死亡したことを判定するとよい。
【0032】
このようにすると、情報処理装置が、外部の装置から通信により取得されたデータに基づいて、人為的な操作がなくとも第1の人が死亡したことを判定することができる。データとしては、第1の人が死亡したことを特定可能なデータとすることで、その判定の正確性を確保することができる。例えば、第2の人やその他のユーザが第1の人が死亡したという操作をしなくてもよく、それらの人への心理的な配慮をすることができる。
【0033】
(14)前記制御部は、取得した音声に基づいて、前記死亡したことを判定するとよい。
【0034】
このようにすると、情報処理装置が、取得した音声に基づいて、人為的な操作がなくとも第1の人が死亡したことを判定することができる。データとしては、第1の人が死亡したことを特定可能な会話その他の音声とすることで、その判定の正確性を確保することができる。例えば、第2の人やその他人が第1の人が死亡したという操作をしなくてもよく、それらの人への心理的な配慮をすることができる。
【0035】
(15)前記制御部は、外部の装置と通信する通信部により取得された通話の音声に基づいて、前記死亡したことを判定するとよい。
【0036】
このようにすると、情報処理装置が、通話の音声に基づいて、人為的な操作がなくとも第1の人が死亡したことを判定することができる。データとしては、第1の人が死亡したことを通信端末のユーザとの対話処理の内容に基づいて判定するので、その判定の正確性を確保することができる。例えば、第2の人やその他の人が第1の人が死亡したという操作をしなくてもよく、それらの人への心理的な配慮をすることができる。
【0037】
(16)前記制御部は、前記第1の期間において、前記第1の人と前記第2の人との対話がない期間が所定の条件を満たした場合に、前記第1の人の不在の理由を質問し、当該質問に対する応答に基づいて、前記死亡したことを判定するとよい。
【0038】
このようにすると、第1の人と第2の人との対話がない期間が所定の条件を満たした場合、第1の人が不在であることを気にしていることを表現しつつ、情報処理装置と人との質問及び応答という対話の形式で、第1の人が死亡したことを判定することができる。
【0039】
(17)前記制御部は、前記発話する処理に対する前記第2の人からの応答の状況に応じて、前記発話する処理を行う頻度及びタイミングの少なくとも一方を変更するとよい。
【0040】
このようにすると、第2の人からの応答の状況に応じて、情報処理装置の発話への興味・関心を反映した頻度又はタイミングで、発話する処理を行うことができる。
【0041】
(18)前記制御部は、周囲の人の存在を検知する検知部により前記周囲の人の存在が検知された場合に、前記発話する処理を行うとよい。
【0042】
このようにすると、周囲の人の存在を検知した場合に発話する処理を行うので、誰もいない状況において発話する処理が開始されてしまうのを抑えることができる。
【0043】
(19)前記制御部は、前記第2の人がいる空間領域の状況を特定し、特定した状況に基づいて前記発話する処理を実行する頻度及びタイミングの少なくとも一方を制御するとよい。
【0044】
このようにすると、第2の人がいる空間領域の状況を考慮した頻度又はタイミングで発話する処理を行うことができる。空間領域の状況としては、例えば、部屋の構成とするとよく、部屋の大きさや形状を含むとよい。
【0045】
(20)前記制御部は、前記第2の人が居る空間領域において取得した音声に基づいて、静かな場合に前記発話する処理を行うとよい。
【0046】
このようにすると、第2の人が居る空間領域が静かな場合に対話処理を行うので、第2の人にとって聞き取りやすいタイミングで、発話する処理を行うことができる。
【0047】
(21)前記制御部は、前記第2の人が居る空間領域に他の人がいる場合は、前記発話する処理を停止させるとよい。
【0048】
このようにすると、第2の人が居る空間領域に他の人がいる場合は発話する処理を停止させるので、第2の人と第三者との対話を妨げることを抑え、第1の人又は第2の人のプライバシーに配慮することができる。
【0049】
(22)前記制御部は、前記第1の人とは異なる第三者の立場である内容により前記発話する処理を行うとよい。
【0050】
このようにすると、第2の人は、第1の人に代わって情報処理装置が対話の相手をしてくれるという感覚を得ることができる。第三者の立場である内容の発話としては、第1の人ならこう言うだろうという推測表現をしてもよいし、伝聞形式の発話としてもよい。
【0051】
(23)前記制御部は、前記発話する処理において、前記第1の人が憑依していることを演出するとよい。
【0052】
このようにすると、第2の人は、第1の人が情報処理装置に憑依したような感覚を得ることができる。第1の人が憑依していることを演出としては、情報処理装置自体があたかも第1の人のように振る舞う演出で、発話する処理の内容としても、情報処理装置が第1の人であるかのような内容とするとよい。また、発話する処理の内容において、第1の人の口癖などの特徴を反映してもよい。
【0053】
(24)前記制御部は、ユーザの顔を撮像した映像に基づいて前記ユーザの顔色を特定し、前記顔色に応じて発話する第2の発話処理を行うとよい。
【0054】
このようにすると、ユーザは、自身の顔色に基づく発話を聞くことができる。例えば発話の内容としては、顔色から把握される第2の人の状況を反映した内容とするとよく、心理状態、健康状態、体調等に関するものとするとよい。制御部は、さらに、ユーザの心拍数を特定し、前記心拍数に応じて発話する前記第2の発話処理を行ってもよい。制御部は、さらに、顔色及び心拍数の少なくとも一方に応じて、所定の通知先に通知する処理を行ってもよい。ユーザとしては、第1の人又は第2の人としてもよいが、それ以外のユーザとしてもよい。
【0055】
(25)前記制御部は、所定の通信端末の現在位置を取得し、当該現在位置に関する内容の発話をする第3の発話処理を行うとよい。
【0056】
このようにすると、情報処理装置のユーザは、所定の通信端末の現在位置に関する内容の発話を聞いて、その通信端末のユーザがどのような場所に居るかを知ることができる。発話の内容としては、現在位置がどのような場所であるかという現在位置の属性に関する内容が含まれていると、通信端末を所持、使用する人の現在位置がどのような場所であるかを分かりやすくすることができる。通信端末を所持、使用する人としては、例えば。情報処理装置のユーザにとって身近な人とするとよく、例えば身内(例えば、子供や孫)、友人等とするとよい。
【0057】
(26)前記制御部は、前記通信端末のユーザのスケジュールを取得し、前記通信端末の現在位置と前記スケジュールに関する内容とに基づく内容を発話する前記第3の発話処理を行うとよい。
【0058】
このようにすると、ユーザは、所定の通信端末のユーザのスケジュールから特定される行動を反映して、当該通信端末の現在位置とスケジュールとに関する内容の発話を聞くことができる。
【0059】
(27)持ち運び可能な筐体を備え、前記制御部は、前記筐体の現在位置の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、現在位置に関する内容の発話をする第4の発話処理を行うとよい。
【0060】
このようにすると、情報処理装置のユーザは、その情報処理装置を持ち運びして移動する場合に、自身の現在位置がどのような場所であるかをその情報処理装置の発話の内容から知ることができる。例えば、ユーザは、情報処理装置と一緒に出掛け、コミュニケーションをとっているような感覚を得ることができる。
【0061】
(28)前記現在位置に関する内容は、自装置のユーザと関連する内容を含むとよい。
【0062】
このようにすると、情報処理装置のユーザは、現在位置が自身にとってどのような場所であるかを知ることができる。自装置のユーザと関連する内容としては、例えば、出生地や、ユーザが参加しているイベントの開催場所等とするとよい。
【0063】
(29)車両に取り付け可能に構成された筐体を備えるとよい。
【0064】
このようにすると、情報処理装置のユーザは、車両にこの情報処理装置を取り付けて外出する場合に、車両の現在位置がどのような場所であるかを知ることができる。
【0065】
(30)前記制御部は、通信部を介して所定の範囲内に位置する前記第2の人が携帯する通信端末と通信し、前記第2の人の通信端末の位置情報の履歴を取得して、所定の通信端末へ送信する
とよい。
【0066】
このようにすると、所定の通信端末のユーザは、第2の人が携帯する通信端末の位置情報の履歴を、情報処理装置を介して確認することができる。所定の通信端末のユーザは、例えば、第2の人が情報処理装置の近くに居るか否かといった情報や、第2の人の行動の履歴を把握することができる。
【0067】
(31)前記制御部は、通信部を介して所定の範囲内に位置する前記第2の人が携帯する通信端末と通信し、前記第2の人の通信端末の電池残量を取得して、所定の通信端末へ送信する
とよい。
【0068】
このようにすると、所定の通信端末のユーザは、第2の人が携帯する通信端末の電池残量を、情報処理装置を介して確認することができる。所定の通信端末のユーザは、例えば、電池残量から第2の人の様子を推測することができる。例えば、電池残量が定期的に充電されていることを示していれば第2の人が健康に過ごしていると推測しし、通信端末の電池残量を受信できない期間が継続したり、電池残量が減っていき、やがてその通信端末の電池残量を受信できなくなったりすると、第2の人が情報処理装置の近くにいないとか、携帯端末の充電もできないような状態にあるかもしれないといった推測をすることができ、安否確認をすることができる。
【0069】
(32)情報処理装置のコンピュータに、第1の人と第2の人とが行った対話に関する対話データに基づいて、前記第2の人に対して発話する処理を行う機能を実現させるためのプログラムが提供されるとよい。
【0070】
上述した(1)から(32)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全て又は一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(32)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、従来とは異なる技術を提供すること、例えば情報処理装置を使った対話の質を向上させることができる。本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】本発明の第1実施形態に係るシステムの全体構成を示す図。
図2】同実施形態の情報処理装置の(a)は正面図(b)は背面図。
図3】同実施形態の情報処理装置の(a)は左側面図(b)は右側面図。
図4】同実施形態の情報処理装置の(a)は平面図(b)は底面図。
図5】同実施形態の情報処理装置の下方から見た斜視図。
図6】同実施形態の情報処理装置の図1(a)のA-A線での縦断面図。
図7】同実施形態の情報処理装置の図2(a)のB-B線での縦断面図。
図8図5において胴体部を仮想線で示したボディ内部を説明する説明図。
図9】同実施形態の情報処理装置の胴体部の固定部側の斜視図。
図10】(a)は可動部の表側斜視図、(b)は裏側斜視図。
図11】同実施形態の情報処理装置の頭部側の機構部を説明する説明図。
図12】同実施形態の情報処理装置の頭部側の分解斜視図。
図13】(a)~(c)は同実施形態の情報処理装置の左右方向の首振り可能な配位を説明する説明図。
図14】(a)及び(b)は同実施形態の情報処理装置の前後方向の首振りの説明図。
図15】同実施形態の情報処理装置の胴体部の固定部側から上方を見た裏面図。
図16】(a)は第3の回動の基部となる水平回動用ギアとベアリングセットの構造の説明図、(b)は第1の回動の基部となる顔部回動用ギアとベアリングセットの構造の説明図。
図17】同実施形態の他の例の情報処理装置の外観を示す図。
図18図17の情報処理装置から前側ケースを除去した図。
図19】同実施形態の他の例の情報処理装置の頭部側の機構部を示す図。
図20】同実施形態の他の例の情報処理装置のから固定部を除去した図。
図21】同実施形態の他の例の情報処理装置のから固定部を除去した図。
図22】同実施形態の他の例の情報処理装置が備える反射部材の構成を示す図。
図23】同実施形態の情報処理装置の電気的構成を説明するブロック図。
図24】同実施形態の通信端末の電気的な構成を示すブロック図。
図25】同実施形態の情報処理装置の対話機能に関する全体動作の一例を示すフローチャート。
図26】同実施形態で収集される対話の内容、及び生成される対話用データの説明図。
図27】本発明の第2実施形態に係るシステムの全体構成を示す図。
図28】本発明の第3実施形態に係るシステムの全体構成を示す図。
図29】本発明の第4実施形態に係るシステムの全体構成を示す図。
図30】本発明の第5、第6実施形態に係るシステムの全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0073】
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
[1.全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。システム1000は、情報処理装置1と、通信端末300とを備える。情報処理装置1と通信端末300とは、通信回線NWを介して通信する。
【0074】
[2.情報処理装置1]
<2-1.情報処理装置1の概要>
情報処理装置1は、本実施形態では、顔部を有するロボット型の情報処理装置である。情報処理装置1は、その外観が仮想的なキャラクタを模した装置である。情報処理装置1の外観は、人や動物(例えば、犬や猫)等の実在する生物を模した外観とすることも可能である。情報処理装置1は、人が容易に持ち運ぶことができる程度の寸法、且つ重量である。例えば、情報処理装置1は、径方向の寸法が約165mmで、高さが約207mmである(ただし、突起部等の寸法を除く)。情報処理装置1の重量は、約1.2kgである。このような情報処理装置1は、例えば一般家庭で使われる家庭用ロボットで、見守りロボットの一種に属する。情報処理装置1は、かわいいフォルム(外観)をしている。
【0075】
情報処理装置1は、所定の空間領域に配置され、その空間領域の状況を確認するための装置である。このような情報処理装置1は、見守り、防犯の用途で使用されるとよい。情報処理装置1は、例えば住居の部屋(室空間)に設置され、例えばリビングや寝室に設置されるとよい。情報処理装置1は、これに限られず、病院や介護施設の居室や、その他の空間領域に配置されてもよい。情報処理装置1は、例えばその空間領域に設置された机や棚、その他の家具の上等の場所を設置面とし、その設置面に置かれた状態で使用される。情報処理装置1は、その正面を、状況を確認したい空間領域の方向に向けて配置される。情報処理装置1の正面は、図1に示す標準状態(つまりデフォルト)で、顔部62が向いている方向である。
【0076】
本実施形態では、情報処理装置1が配置された空間領域に居る人であって、情報処理装置1を使用するユーザ(人)は、夫婦である夫U1、及び妻U2である。夫U1は第1の人の一例である。妻U2は第2の人の一例である。夫U1、及び妻U2は、通信端末300を所持するユーザU3の家族である。ユーザU3は、特に断りのない限り、夫U1及び妻U2の子供(例えば息子)であるが、孫や親族等の身内、又はそれ以外の人物(例えば、友人や介護職員)であってもよい。情報処理装置1は、夫U1、及び妻U2を見守りの対象として見守りモードで動作したり、夫U1、及び妻U2の不在中に空間領域を監視する防犯モードで動作したりする。情報処理装置1は、これらのモードにおいて、通信端末300と通信回線NWを介して通信して、各種情報を通信端末300へ送信したり、通信端末300による遠隔操作に従って各種制御を行ったりする機能を実行するとよい。見守りモードや防犯モードの動作については、例えば特許文献1に記載されているようにするよく、詳細については説明を省略する。
【0077】
通信端末300は、情報処理装置1と通信回線NWを介して通信して、遠隔地から、情報処理装置1の配置された空間領域の状況を確認するための通信端末である。通信端末300は、情報処理装置1から取得した情報に基づいて、各種情報を報知する。また、通信端末300は、情報処理装置1を遠隔操作する機能を実行する。通信端末300は、本実施形態ではスマートフォンであるが、スマートフォン以外の通信端末であってもよい。例えば、通信端末300は、タブレット型端末やフィーチャーフォン、ウェアラブル端末等の携帯型の通信端末であってもよい。通信端末300は、デスクトップ型のパーソナル・コンピュータ等の据置型の通信端末であってもよい。
【0078】
通信回線NWの規格は特に問わないが、例えば、Wi-Fi(登録商標)その他の規格の無線通信LANや、LTE、4G、5Gその他の規格の公衆通信回線を含む。情報処理装置1と通信回線NWとの間の通信路、及び通信端末300と通信回線NWとの間の通信路は、それぞれ無線の通信路とするとよいが、有線の通信路を含んでいてもよい。
【0079】
<2-2.情報処理装置1の物理的構成>
情報処理装置1は本実施形態ではロボット型で、その物理的構成は特定のものに限定されないが、一例を説明すると、以下のとおりである。以下の情報処理装置1の物理的構成は、例えば、特許文献1に記載されている構成と同様とするとよい。
【0080】
図2図4は、情報処理装置1の外観を示す図である。図2(a)は正面図、図2(b)は背面図、図3(a)は右側面図、図3(b)は左側面図、図4(a)は平面図、図4(b)は底面図である。図5は、情報処理装置1を左斜め下方向から見た図である。図6は、情報処理装置1の左右方向における中心で鉛直方向に情報処理装置1を切断した場合の断面図(図2(a)のA-A断面図)である。図7は、情報処理装置1の前後方向における中心で鉛直方向に情報処理装置1を切断した場合の断面図(図3(a)のB-B断面図)である。
【0081】
情報処理装置1は、胴体部2と頭部3とを有する本体1Aを備える。胴体部2は、胴体の部分に対応する。頭部3は、胴体部2の上に配置された頭部に対応する。胴体部2及び頭部3の筐体(言い換えると、情報処理装置1の筐体)は、それぞれ例えば樹脂を用いた材料で形成され、人が容易に持ち運び可能な寸法、形状で構成されているとよい。
【0082】
胴体部2は、固定部2Aと可動部2Bとを備える。固定部2Aは、情報処理装置1が置かれる配置面に接する。可動部2Bは、固定部2Aの上方に配置され、固定部2Aに対して相対的に回転する。固定部2Aは下半身側に対応し、可動部2Bは上半身側に対応する、と観念することもできる。
【0083】
固定部2Aは、下から上に向かって開いた碗状である。固定部2Aは、円形の底板部4と、底板部4周縁から立ち上がる壁部5とを備える。固定部2Aの上縁6は、真円形状で、同一平面上に存在する。固定部2Aの左右一対となる対向する側面位置には、後述するスピーカ装置56の音出口となるスリット7が形成されている。一方の(ここでは左方の)スリット7に隣接した上部位置には、電源スイッチ8と、スピーカ装置56の音量を調整するためのアップスイッチ9と、ダウンスイッチ10とがそれぞれ配置されている。図3及び図4に示すように、固定部2Aの後方位置には内側に窪んだ凹部12が形成されており、その奥位置には、USBのOTG(On-The-Go)用の端子13と、DC12V用の電源用ジャック14と、マイクロSDカード用ソケット(リーダー)15とが配置されている。底板部4の裏面には、滑り止め手段であり、かつクッション性の向上のための手段であるパッド16が配置されている。
【0084】
可動部2Bは、頭部3を上方に搭載して、頭部3とともに固定部2Aに対して水平方向(図4(a)に示す矢印方向)に回転可能である。この回転は、図5に示す第3の軸R回りの回転で、例えば標準状態から左右に170度ずつ回転できるようにするとよい。第3の軸Rは、情報処理装置1の中心軸(回転軸)に相当する。可動部2Bは、外壁部21と、外壁部21内側に重複状に形成された内壁部22とを備える。外壁部21と内壁部22とは同等の厚みである。外壁部21の上端と内壁部22上端とは一体化されて(本実施形態では連結されて)、可動部2Bの上端部23を形成している。可動部2Bの外壁部21の下縁24は、固定部2Aの上縁6と同じ曲率の真円形状のカーブで構成されている。下縁24端部は、同一平面上に存在する。下縁24の内周寄りには、下方に向かって延出されたリング状のガイドレール26が形成されている。ガイドレール26は、可動部2Bを固定部2A上に配置した際に固定部2A側に進出し、可動部2Bが固定部2A上で周回する際に案内をする。外壁部21の前方左右寄り位置と後方中央位置の120度ずつずれた同じ高さの3箇所の位置には、孔27が形成されている。孔27は、後述するマイクロフォン42が収音する音の経路となる。
【0085】
外壁部21の前方には、凹部28が形成されている。凹部28は、可動部2Bの同一平面上にある上端部23端面に対して、半円形状に切り欠かれた形状である。凹部28内周の曲率(カーブ)は、後述する頭部3に形成された顔部62の外周曲率に略一致する。凹部28は、内壁部22が球面で構成され下方側ほど外壁部21に対して離間するため、下方側ほど幅広に構成される。平面視では、図4(a)のように、中央が広く三日月状に表れる。外壁部21の各孔27位置の裏面位置には、差し込みスロット29が形成されている。差し込みスロット29は、マイクロフォン42のモジュール46を収容する。
【0086】
可動部2Bの外壁部21の外面と、固定部2Aの壁部5の外面とは、三次元方向に連続的なカーブ面を構成している。可動部2Bが、固定部2A上に設置された状態で、胴体部2の外側面は半球状の下部形状から連続したほぼ円筒状の上方形状を備える。胴体部2は、固定部2Aと可動部2Bの接続部分とがもっとも大径に構成され、これらの接続部分を境界に上下方向に窄まっている。
【0087】
図6及び図7に示すように、可動部2Bの内壁部22は、外に凹となる球面に形成されている。この球面の曲率(カーブ)は後述する頭部3の外面曲率に略一致する。内壁部22には内外に連通する通気孔としてのスリット30が形成されている。内壁部22に包囲された内部側の空間領域が、頭部3が収容される収容領域Sとされる。
【0088】
図10(a)に示すように、内壁部22の最下部中央の位置には接続部31が形成されている。接続部31は、可動部2Bを回転させるためのベースや頭部3を支持するためのベース等となる。接続部31は、種々の機構を連結させるための凹凸形状やネジ孔、給電や情報の送受信のための配線用の孔等から構成されている。接続部31の上面に後述するヘッドホルダー61を固定するための収容凹部32が形成されている。接続部31の裏面には後述するベアリングセット45の内ベアリング45aを連結するためのネジ孔33が形成されている。内壁部22の裏面には、後述するカウンターウェイト(釣り合い錘)55を取り付けるカウンターウェイト取り付け座48が形成されている。
【0089】
次に、図6図9図15等に基づいて、胴体部2内部の機構について説明する。なお、図示において内部の配線については省略している。
図8は、胴体部2を取り外した固定部2A内の機構配置の状態である。ベースフレーム35は、ヒートシンクを兼ねたアルミ合金製であり、固定部2Aに対して図示しないネジによって固定されている。ベースフレーム35は円板状の外形とされ、その外周には冷却用の多数のフィン36が一体形成されている。ベースフレーム35の表裏には、複数の機器制御基板が配置されている。ベースフレーム35の裏面に接する位置には、第1の基板38が配置されている。第1の基板38は、制御部MC(第1の制御部の一例)、及び通信部37(第1の通信部の一例)等の電子部品が実装された基板である。第1の基板38の下方には、バッテリー等を搭載した電源基板となる第2の基板39が配置されている。第1の基板38の裏面には、ドップラセンサ34が搭載されたモジュール52が配置されている。制御部MCは、ドップラセンサ34を用いて動体を検知する動体検知部として機能(動体検知機能)する。ベースフレーム35上方のベースフレーム35に隣接した位置には、音の到来方向を検知するための第3の基板40が配置されている。通信部37は、アンテナ部分の感度を向上させるため、ベースフレーム35のフィン36が切り欠かれた位置から側方外方に突出させられている。ベースフレーム35側方には、端子13、電源用ジャック14、及びマイクロSDカード用ソケット15等が実装された第4の基板41が配置されている。マイクロフォン42及びそのモジュール46は、差し込みスロット29内に収容されている。ベースフレーム35の裏面には、第1のモータ43が配置されている。第1のモータ43は、ステッピングモータであって正逆回転が可能となっている。図9に示すように、第1のモータ43のモータ軸43aは、ベースフレーム35上方に突出させられている。モータ軸43a先端には、ピニオン44が固着されている。
【0090】
ベースフレーム35上には、プラスチック製のベアリングセット45が配置されている。図6図7及び図16(a)に示すように、ベアリングセット45は、内ベアリング45aと外ベアリング45bとを備える。内ベアリング45aは外ベアリング45bの内側に配置され、両者は内周面と外周面の関係で相対的に滑らかに回転可能とされている。内ベアリング45aと外ベアリング45bとの間には、より滑らかさを与えるためグリースが塗布されてもよい。内ベアリング45a(第1の回転部材の一例)は、相対的に硬く、強度の高い材料を用いて形成されることが望ましく、本実施形態では、リン青銅で例示される金属材料を用いて形成される。このようにするのは、内ベアリング45aの回転による破損(割れ)を抑制し、これを原因とした回転時の異音の発生を抑制するためである。外ベアリング45b(第2の回転部材の一例)は、樹脂材料のような内ベアリング45aと異なる材料で形成されてもよいし、内ベアリング45aと同じ材料で形成されてもよい。外ベアリング45bは、ベースフレーム35に対して、図示しないネジによって回転を阻止するように配置されている。ベアリングセット45には、プラスチック製の水平回転用ギア47が冠着されている。水平回転用ギア47は、内ベアリング45aとのみネジ49を介して回転軸が同軸となるように連結されている。つまり、内ベアリング45aと水平回転用ギア47とは一体的に同軸で回転し、かつベースフレーム35上に載置されてベースフレーム35に対しては回転自在とされている。水平回転用ギア47は、第1のモータ43のモータ軸43aのピニオン44と噛合されている。
【0091】
内ベアリング45aは、可動部2Bの接続部31の裏面(下面)に固着されている。内ベアリング45aは、図10(b)に示す可動部2B側のネジ孔33に対して、図9に示されるネジ49によって連結されている。内ベアリング45aの回転中心は、可動部2B(情報処理装置1の本体1A)の中心位置と一致する。つまり、可動部2Bと内ベアリング45aとは回転軸が同軸となるように連結されている。水平回転用ギア47の回転軸心方向は、図5に示す第3の軸Rの軸心方向と一致する。
【0092】
第1のモータ43が駆動されると、その回転力はピニオン44から水平回転用ギア47に伝達され、次いで水平回転用ギア47と連結された内ベアリング45aに伝達される。更に、回転力は内ベアリング45aが連結固定された可動部2Bに伝達される。このような駆動伝達機構によって、固定部2Aに対して可動部2Bが水平方向に回転することとなる。その際には同径となる可動部2Bの下縁24が固定部2Aの上縁6上に載置され、一種のモノレールとしてガイドレール26によって脱落が防止された状態で左右方向に自在に周回する。
【0093】
図9に示すように、ベースフレーム35上であって水平回転用ギア47の外側位置には、上方に向かって第1の係合突起50が形成されている。図10(b)に示すように、可動部2Bの裏面であって回転中心から第1の係合突起50と等距離となる位置には、第2の係合突起51が形成されている。可動部2Bが固定部2A上に配置され、かつ標準の位置(つまり、固定部2Aの前方側に可動部2Bの凹部28が配置された状態)において、第1の係合突起50と第2の係合突起51とは180度位相がずれた位置(つまり、回転中心をはさんだ対向位置)に配置される。可動部2Bを180度近く回転させると、第1の係合突起50と第2の係合突起51とが衝突してそれ以上の回転が防止される。
【0094】
また、図9に示すように、ベースフレーム35上であって、第1の係合突起50の外側位置であって水平回転用ギア47の回転中心から等距離となる互いに隣接した位置には、2つのセンサ用突起53が形成されている。図15に示すように、第3の基板40の裏面であって回転中心から突起53と等距離となる位置には、回転位置検出手段としての1つのマイクロスイッチ54が配置されている。マイクロスイッチ54は、突起53から180度位相がずれた位置(つまり、回転中心をはさんだ対向位置)に配置される。可動部2Bとともに、マイクロスイッチ54が左方あるいは右方に約180度(実際には2つの突起53間は10度離れているので約175度)回転してドグが突起53を検出することで、第1のモータ43の左右方向の回転初期位置の値を更新することができる。この更新された初期位置の値に基づいて、標準の位置を更新することができる。図6に示すように、カウンターウェイト取り付け座48には、角形ワッシャーからなるカウンターウェイト55が配置されている。固定部2Aの底板部4の上面には、複数の(ここでは2つの)スピーカ装置56が配置されている。
【0095】
次に、頭部3と頭部3周辺の構成を説明する。
頭部3は(収容領域Sから外に露出される部分が)、球体の一部が1つの平面でカットされた残余である球欠状の形状に構成されている。カット状に形成された前面部分は、円形形状に現れ情報処理装置1の顔部62を構成する。頭部3は、ヘッドホルダー61によって支持され、可動部2B上に回転可能に配置されている。頭部3は、顔部62の向く方向(面方向)と平行となる略中央位置、つまり球体の直径付近で前後に分割され、それぞれ前側ケース3Aと後側ケース3Bとされている。頭部3は、前側ケース3A側によってヘッドホルダー61に支持されており、上部側機器はカウンターウェイト55を除いてすべて前側ケース3Aに配置されている。後側ケース3Bは、前側ケース3Aに対してネジ60によって着脱可能に固着されている。
【0096】
まず、前側ケース3A側について説明する。
図12に示すように、前側ケース3Aは、前面に顔部62を構成するための平面部63を備えている。平面部63の中央には、長方形形状の開口部64が形成されている。開口部64上方位置には、カメラ用孔65(図6参照)が形成されている。開口部64下方位置には、マイクロフォン用の音取得口となる孔66が形成されている。開口部64内にはタッチパネル部67が配置される。タッチパネル部67は、ユーザインタフェース(UI)として機能する。タッチパネル部67は、具体的には、液晶ディスプレイ(LCD)で例示される表示部と、タッチセンサで例示される操作部とを有する。平面部63には薄い円板形状の透明なカバープレート68が配置されている。タッチパネル部67上にカバープレート68が配置された状態で、頭部3前面に顔部62が構成される。カバープレート68のタッチパネル部67と重複する部分以外(つまり、タッチパネル部67の周囲)は、スモーク状の不透明なパネルであり、タッチパネル部67背景とともに顔部62全体が統一された濃色の背景となっている(ただし、図示では塗りつぶさず描写している)。カバープレート68上部のカメラ用孔65位置に対応する位置には、透明パネル71が配置されている。カバープレート68下部位置には平面部63に形成された孔66に対応するマイクロフォン用の音取得口となる孔72が形成されている。
【0097】
前側ケース3Aの平面部63と面一となる上方左右斜め位置には、ケース外方に膨出した第1の収容部73と第2の収容部74とが形成されている。第1の収容部73内には、照明部77が収容されている。第2の収容部74内には、照明部78が収容されている。照明部77、78は、例えば発光ダイオード(LED)で例示される発光体を備える。照明部77、78は、例えば、それぞれ高輝度の白色光を発する。照明部77、78は、情報処理装置1の配置された空間領域を照らす。また、照明部77、78は、それぞれ発光輝度を変更可能に構成されている。第1の収容部73と第2の収容部74は頭部3を正面側から目視した際に、あたかも「耳」や「角」といった身体の部位のように理解される部分でもある。
【0098】
次に、後側ケース3B側について説明する。
図8図12図14等に示すように、半球状の外観に構成された後側ケース3Bは、下側に大きな切り欠き79が形成されている。ヘッドホルダー61は、切り欠き79から下方に突出させられている。ここでは、切り欠き79を通過して可動部2B上に立設されている。後側ケース3Bの裏面上部位置には、カウンターウェイト55を取り付けるカウンターウェイト取り付け座80が形成されている。カウンターウェイト取り付け座80は、ヘッドホルダー61と取り付けられたカウンターウェイト55と干渉しない位置に形成されている。頭部3は、可動部2Bの収容領域Sに収容される。収容状態において外壁部21の上端部23位置がちょうど球としての頭部3の直径位置に配置される。収容領域Sを構成する内壁部22と頭部3との曲率は略一致しており、かつ両者は近接して両者間には若干の隙間が形成される。
【0099】
次に、図6図7図11図14等に基づいて頭部3内部の機構について説明する。尚、図示においては内部の配線は省略している。
まず、図5図13(b)に示す第2の軸Q回りの回転に関する機構から説明する。第2の軸Q回りの回転は、図14の実線と仮想線のように、頭部3の前後方向への首振り回転動作となる。頭部3は、例えば標準状態から前に35度、後に5度回転できるようにするとよい。第2の軸Q回りの回転は、第2の回転となる。頭部3を支持するヘッドホルダー61は、直方体形状のベース部61aと、ベース部61aから上方に延出された長尺の脚部61bと、脚部61b上端に形成された左右一対の平行に配置された軸受けプレート61cとを備える。ヘッドホルダー61のベース部61aは、胴体部2(可動部2B)の収容凹部32内に配置されている。ヘッドホルダー61は、可動部2B裏面側から図示しないネジによって、ベース部61aを介して可動部2Bに対して固着されている。軸受けプレート61cの前方寄りには、軸受け孔82が形成されている。
【0100】
ヘッドホルダー61の前方には、ベースフレーム83が配置されている。ベースフレーム83は、略円形となる円板状の本体83aと、本体83aから後方に延出される一対のアーム83bとを備える。図7に示すように、それぞれのアーム83bは後端寄り外側に軸部84が突設形成されている。図7に示すように、ベースフレーム83は、左右のアーム83bの軸部84が軸受けプレート61cの軸受け孔82に嵌挿されることで、ヘッドホルダー61に回転可能に支持されている。
【0101】
一方、装置正面側から見て、右方(図7では左方)に配置されたヘッドホルダー61の軸受けプレート61cの内側には、第2のモータ85が配置されている。第2のモータ85はステッピングモータであって正逆回転が可能となっている。図11に示すように、第2のモータ85のモータ軸85aは軸受けプレート61c外側に突出させられている。モータ軸85a先端には、ピニオン86が固着されている。
【0102】
第2のモータ85が取り付けられた軸受けプレート61cの外面には、カム装置87が配置されている。カム装置87は、扇型歯車88を備えている。扇型歯車88は、ピニオン86に噛合されている。図7及び図11に示すように、カム装置87は、アーム83bの軸部84に対して、ネジ105によって固着されている。つまり、ネジ105は、カム軸の軸心方向であって、アーム83bの軸部84と一致する。この方向は第2の軸Qの軸心方向となる。第2のモータ85が駆動されると、その回転力はピニオン86から扇型歯車88に伝達され、カム軸(ネジ105)を回転させる。ネジ105と軸部84とは連れ回りし、軸部84の回転に伴ってベースフレーム83は回転する。この回転は、狭い範囲での回転であるため揺動ともいえる。
【0103】
カム装置87のネジ105の下方位置には、2つの係合突起90が形成されている。カム装置87の揺動に伴ってこの係合突起90と干渉する位置には、回転位置検出手段としての1つのマイクロスイッチ91が配置されている。2つの係合突起90は、カム装置87の揺動量に応じた最大と最小の振り幅位置に対応して配置されている。係合突起90がカム装置87の揺動(つまりベースフレーム83の揺動)に伴って移動する際に、マイクロスイッチ91のドグがその位置を検出することで、ベースフレーム83が揺動しすぎないように保護されている。また、時々第2のモータ85の駆動制御をして、マイクロスイッチ91に係合突起90を検出させることで、第2のモータ85の上下方向の回転初期位置の標準の位置を更新することができる。
【0104】
次に、図5図14に示す第1の軸P回りの回転に関する機構について説明する。第1の軸P回りの回転は、時計回り方向への首振り回転であって第1の回転となる。第1の軸Pは顔部62中心を通過する。第1の軸P回りの回転は、頭部3を図13(a)の向かって最も左に回転した状態と、図13(c)の向かって最も右に回転した状態との間を揺動する。頭部3は、回転していない図13(b)からそれぞれ等角度で左右に(実施の形態では15度ずつ)揺動する。なお、第3のモータ92の制御によってもっと大きく揺動させることも可能である。
【0105】
ベースフレーム83の後面には、第3のモータ92が配置されている。第3のモータ92はステッピングモータであって正逆回転が可能となっている。図6図11等に示すように、第3のモータ92のモータ軸92aはベースフレーム83前方に突出させられている。モータ軸92a先端には、ピニオン97が固着されている。
【0106】
図11及び図12に示すように、ベースフレーム83の前方には、ベースフレーム83側から順にベアリングセット93、顔部回転用ギア94、ケースホルダー95、及び第5の基板96等が重複状に配置されている。
【0107】
図6に示すように、ケースホルダー95は、ネジ100によって前側ケース3Aに連結固定されている。ケースホルダー95上部位置には、カメラ98が配置されている。カメラ98のレンズ位置は、カメラ用孔65と一致する。カメラ98は、情報処理装置1が配置された空間領域を撮影する撮影部に相当する。カメラ98は、例えば、CMOS及びCCDで例示される撮像素子及びレンズを有する。カメラ98は、少なくとも情報処理装置1の正面側を撮影する。カメラ98は、より広範囲を撮影できるように広角レンズを有してもよい。カメラ98は、魚眼カメラ、半天球カメラ等と呼ばれるものとすると、より広範囲を撮影できる。第5の基板96は、マイクロフォン99が搭載され、タッチパネル部67、及び照明部77、78、カメラ98を含む情報処理装置1の各部を制御する。第5の基板96は、前側ケース3Aに装着されている。
【0108】
図6図7及び図16(b)に基づいて、第3のモータ92からの駆動をベアリングセット93、顔部回転用ギア94を介してケースホルダー95に伝達する駆動伝達機構について説明する。ベースフレーム83前面には、プラスチック製のベアリングセット93が配置されている。ベアリングセット93は、内ベアリング93aと外ベアリング93bとから構成されている。内ベアリング93aは、外ベアリング93bの内側に配置され、両者は内周面と外周面の関係で相対的に滑らかに回転可能とされている(より滑らかさを与えるためグリースが両者間に塗布されている)。外ベアリング93bは、ベースフレーム83に対して固着されている。ベアリングセット93前面には、プラスチック製の顔部回転用ギア94が冠着されている。
【0109】
顔部回転用ギア94は、内ベアリング93a及びケースホルダー95とネジ106を介して連結されている。つまり、内ベアリング93aと顔部回転用ギア94とは、一体的に同軸で回転し、かつベースフレーム35に対しては外ベアリング93bを介して回転自在とされている。顔部回転用ギア94は、第3のモータ92のモータ軸92aのピニオン97と噛合されている。
【0110】
第3のモータ92が駆動されると、その回転力はピニオン44から顔部回転用ギア94に伝達される。顔部回転用ギア94は、内ベアリング93aとケースホルダー95と一体的に連結されているため、この回転力はケースホルダー95に伝達される。ケースホルダー95は、ネジ106によって前側ケース3Aに連結固定されているため、このケースホルダー95の顔部62の回転(時計回り方向の左右の回転)は、頭部3の首をあたかもかしげるような回転動作となる(第1の回転)。
【0111】
ここで、図7図12に示すように、ベースフレーム83前面であって上部左右位置には2つの第1の係合突起101が形成されている。一方、ベースフレーム83前面に対向するケースホルダー95の後面であって2つの第1の係合突起101の間には1つの第2の係合突起102が形成されている。固定されているベースフレーム83に対してケースホルダー95は時計回り方向に回転するが、第2の係合突起102は第1の係合突起101の内側に衝突してそれ以上の回転が防止される。つまり、ベースフレーム83は2つの第1の係合突起101によって規制された狭い範囲の(本実施の形態では30度の角度とされている)間を揺動する。
【0112】
また、図6及び図11等に示すように、ベースフレーム83上部には回転位置検出手段としての1つのマイクロスイッチ103が配置されている。図6に示すように、前側ケース3Aの内部における上部位置には左右一対の補強リブを兼ねた係合片104が形成されている(図5は断面図であるので一方の係合片104のみが図示される)。
【0113】
頭部3とともに(ケースホルダー95とともに)、マイクロスイッチ103が時計回りに左方あるいは右方に回転し、ドグが係合片104を検出することで第3のモータ92の時計回り方向の回転初期(デフォルト)位置の値を更新することができる。また、ドグが係合片104を検出することで、それ以上の回転が妨げられる。この更新された初期位置の値に基づいて標準の位置を更新することができる。係合片104の間隔は、第1の係合突起101よりもわずかに狭く第1の係合突起101と第2の係合突起102が衝突するよりもマイクロスイッチ103が先に係合片104を検出するため、通常の使用において外力が作用しない限りは、第1の係合突起101と第2の係合突起102の衝突はない。
【0114】
<2-3.情報処理装置1の物理的構成の他の例>
情報処理装置1の物理的構成は、以下のような構成としてもよい。以下、<2-2.情報処理装置1の物理的構成>の項で説明した要素と同じ要素は、同じ符号を用いて説明する。
【0115】
(2-3-1)情報処理装置1は、図17及び図18に示す構成としてもよい。図17は、情報処理装置1の外観を示す図である。図18は、情報処理装置1から前側ケース3Aを除去した図である。この例では、マイクロフォン用の音取得口となる孔72が、頭部3の頭頂部付近に配置されている。さらに、マイクロフォン201は、孔72から入射した音を検知する。マイクロフォン201は、マイクホルダ202によって保持されている。マイクホルダ202は、第6の基板203上に実装される。第6の基板203(マイクロフォン201)と第5の基板96とは電気的に接続されている。このようにすると、孔72が顔部62側のような正面側に設けられる場合に比べて、情報処理装置1の正面以外の方向からも、音を検知しやすくなる。情報処理装置1の後方や側方の音も検知する場合に望ましい構成である。
【0116】
(2-3-2)情報処理装置1は、図19に示す構成としてもよい。情報処理装置1は、頭部3の回転可能な方向を上下方向とし、左右方向の回転をしないようにする。ただし、このこの場合も、可動部2Bが左右方向に回転することにより、顔部62の向く方向を左右方向に変更することは可能である。図19の情報処理装置1の頭部3側の機構部に示すように、上述したベースフレーム83及びケースホルダー95に代えて、ベースフレーム204が設けられる。ベースフレーム204は、ヘッドホルダー61よりも正面側に配置されている。ベースフレーム204は、略円形となる円板状の本体204aと、本体204aから後方に延出される一対のアーム204bとを備える。それぞれのアーム204bは、後端寄り外側に軸部84が突設形成されている。ベースフレーム204は、左右のアーム204bの軸部84が軸受けプレート61cの軸受け孔82(図6参照)に嵌挿されることで、ヘッドホルダー61に対して回転可能に支持されている。
【0117】
ベースフレーム204の正面側には、第5の基板96が支持されている。ベースフレーム204は、ネジによって前側ケース3Aに連結固定されている。ベースフレーム204上部位置にカメラ98が配置されている。カメラ98のレンズ位置はカメラ用孔65と一致する。カメラ98の上方には、第6の基板203、マイクホルダ202、及びマイクロフォン201が配置される。本構成によると、情報処理装置1において、頭部3の回転可能な方向は減るが、情報処理装置1を構成する部品数の削減になり、情報処理装置1の製造コストを低減させる効果が期待できる。
【0118】
(2-3-3)情報処理装置1は、図20及び図21に示す構成としてもよい。図20図21は、情報処理装置1から固定部2Aを除去した図である。図20及び図21に示すように、ドップラセンサ34が搭載されたモジュール52の正面側に、反射体210が設けられる。反射体210は、例えば金属材料を用いて形成した反射性の部材で、ドップラセンサ34からのマイクロ波(電磁波の一例)の一部を反射する。反射体210は、正面側から見たときにドップラセンサ34を挟んだ両側に位置するように配置されている。このようにするのは、情報処理装置1の正面側以外の方向についても、動体の検知精度を向上させるためである。
【0119】
図22に示すように、反射体210は、第1の部位211と、第2の部位212と、第3の部位213とを有する。第1の部位211、第2の部位212、及び第3の部位213の各部位は板状である。第3の部位213は、板面が水平又はほぼ水平となるように配置される。第1の部位211及び第2の部位212は、第3の部位213のうちの情報処理装置1の正面側の辺と連結している。第1の部位211及び第2の部位212は、第3の部位213に対して直交又はほぼ直交するように折り曲げられた部位である。情報処理装置1の正面側から見て、第1の部位211と第2の部位212との間には隙間Gが設けられている。ドップラセンサ34が出射したマイクロ波は、例えば隙間Gを通過して、情報処理装置1の正面側に伝搬する。一方、第1の部位211又は第2の部位212で反射したマイクロ波の反射波は、情報処理装置1の正面側以外の方向に伝搬する。このようにすると、情報処理装置1から見て、方向による人の検知精度のばらつきが低減されるという知見を発明者らは得た。なお、反射体210の具体的構成はこれに限らない。
【0120】
(2-3-4)頭部3に設けられた基板(例えば第5の基板96)と、胴体部2に設けられた基板(第1の基板38、第2の基板39、第3の基板40、及び第4の基板41の少なくともいずれか)とを配線(ケーブル)を用いて電気的に接続する場合において、当該配線が内ベアリング45aの内側を通過するときは、捻じれに対する強度の高い配線とすることが望ましい。例えば、これ以外の部位の配線は、内ベアリング45aの内側を通過する配線よりもねじれに対する強度が低くすることも可能である。このようにすると、胴体部2の回転によって、内ベアリング45aの内側を通過する配線が捻じれてしまい、断線してしまう可能性を低減できる。その結果、情報処理装置1の耐久性が向上する。
【0121】
<2-4.情報処理装置1の電気的構成>
図23は、情報処理装置1の電気的な構成を示すブロック図である。制御部MCには上記の第1~第3のモータ43、85、92、ドップラセンサ34、マイクロフォン42、マイクロフォン99、タッチパネル部67、照明部77、78、カメラ98、スピーカ装置56、通信部37、端子13、マイクロSDカード用ソケット15、マイクロスイッチ54、91、103等がそれぞれ接続されている。
【0122】
制御部MCは、CPU等のプロセッサ、ROM、及びRAM等の主記憶装置、HDD、SSD等の補助記憶装置(以下「メモリ」という。)、バス、時刻を計る計時部としてのリアルタイムクロック(RTC)等を備え、情報処理装置1の各部を制御する。制御部MCのROM、又は補助記憶装置内には、情報処理装置1の各種機能を実行させるためのプログラムが記憶されている。制御部MCは、このプログラムをRAMに読みだして各種機能を実行する。
【0123】
制御部MCは、情報処理装置1におけるユーザの音声を認識する音声認識の機能を実行する。音声認識機能は、後述する対話機能のような、情報処理装置1と人との対話に関する機能において、人の音声を認識するために実行される。音声認識には、音声認識エンジン(音声認識部の一例)が用いられる。音声認識エンジンは、マイクロフォン201に入力された音声(つまり、ユーザの発話を示す音声)を認識して、これをテキストデータに変換する。音声認識エンジンとしては、情報処理装置1が内部に有する音声認識エンジン(つまり、ローカル)が用いられるが、これに代えて又は加えて、情報処理装置1と通信回線NWを介して通信可能なサーバ装置等の外部装置に備えられた音声認識エンジンが用いられてもよい。
【0124】
タッチパネル部67は、ユーザインタフェース(UI)として機能するもので、上述したとおりの構成とするとよい。制御部MCは、例えば情報処理装置1の顔を表す画像である顔画像を、タッチパネル部67に表示させる。顔画像は、顔の少なくとも一部を表す画像である。また、制御部MCは、顔画像107以外にも、各種動作設定を行うための画像や、カメラ98により撮影された画像、通信端末300から取得した情報に基づく画像等を表示させる。カメラ98は、顔部62の近くに設けられているため、情報処理装置1が見ている画像を撮影している画像、と観念することもできる。制御部MCは、照明部77及び78を所定の輝度で発光させる制御を行う。照明部77及び78は、情報処理装置1の周辺が暗い場合に、明るく照らすために使用される。マイクロフォン99は、音を検知し、検知した音を示す音声信号を制御部MCに出力する。マイクロSDカード用ソケット15は、挿入されるmicroSDカードのデータの読み取り及び書き換えをする。通信部37は、例えば通信回路及びアンテナを有し、通信回線NWと通信する。ドップラセンサ34は、マイクロ波を使用したセンサであって、電磁波としてのマイクロ波を発射し、反射してきたマイクロ波の周波数と、発射した電磁波の周波数とを比較し、人等の動体が存在するかどうかを検知する。制御部MCは、第1~第3のモータ43、85、92(駆動手段の一例)を制御し、これらに所定のパルス電力を与えることで、頭部3や可動部2Bを回転させる。
【0125】
マイクロフォン42は、三角形の頂点に配置される3つのマイクロフォン42を同時に使用することで、これらの間での音の到達時間の差によって音源方向を特定することができる方向検知部として機能する。マイクロフォン42による音源方向を特定する原理について概要を説明する。原理的に複数のマイクロフォンを使用し、音源(例えば、人の声)からの音の到達時間差Tdiffに基づいて音源方向を特定することができる。音は平面波とみなす。2つのマイクロフォンでも可能であるが、同一直線上にない3つのマイクロフォンを使用することがより正確である。本実施の形態では、3つの正三角形かつ水平面に配置されたマイクロフォン42を使用する。音源方向の計算上このような配置がよい。本実施の形態では制御部MCは、各マイクロフォン42の取得した電気信号の位相差から到達時間差Tdiffを求める。制御部MCは到達時間差Tdiffに基づいて基準方向に対する音源角度を算出する。制御部MCは一定の繰り返しタイミングで算出ルーチンを行う。このように音の到来方向が確定すると、制御部MCはその方向に顔部62を向ける制御を行う機能を実行する。
【0126】
[3.通信端末300の電気的構成]
図24は、通信端末300の電気的構成を示すブロック図である。図24に示すように、通信端末300は、制御部301と、音声入出力部302と、通信部303と、UI(User Interface)部304と、記憶部305と、位置情報取得部306とを備える。
【0127】
制御部301は、CPU、ROM及びRAMを有するコンピュータを備える(第1の制御部の一例)。CPUは、ROMや記憶部305に記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、通信端末300の各部を制御する。音声入出力部302は、マイクロフォンやスピーカを有し、通信端末300において音声の入出力に関わる機能を実現する。音声入出力部302は、例えば、後述する通話機能における音声の入出力を行う。通信部303は、例えば無線通信回路やアンテナを備え、通信回線NWに接続するためのインタフェースである。UI部304は、例えばタッチパネル部を備え、ユーザU3からの操作を受け付けるとともに、画像の表示により情報を報知する。記憶部305は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)を備え、制御部301が実行するプログラムとして、OSやこのOS上で動作するアプリケーション305Aを記憶する。アプリケーション305Aは、情報処理装置1と通信して各種機能を実現するためのアプリケーションプログラムである。アプリケーション305Aの機能は、ファームウェアやアプリケーションプログラム以外のプログラムで実現されてもよい。位置情報取得部306は、現在位置の位置情報を取得する。位置情報取得部306は、例えばGNSS衛星からの信号を受信して測位し、現在位置の位置情報(緯度情報・経度情報)を取得するとよい。
【0128】
[4.情報処理装置1の機能]
情報処理装置1は、ユーザとの対話に関する対話機能を実行する。対話機能は、ユーザと音声による対話を行うための機能で、情報処理装置1とユーザとの疑似的な対話を実現する機能である。対話機能は、ユーザが情報処理装置1と実際の対話をしているような感覚を得られるようにする機能であるとよい。対話としては、情報処理装置1の音声の出力による情報処理装置1側からの発話と、その発話の内容に対するユーザからの応答を認識してさらにその応答に対する発話とを含むとよい。対話機能は、情報処理装置1側からユーザに対して発話する(例えば声掛けする)一方向の発話のみを行う機能としてもよい。
【0129】
制御部MCは、対話機能の一つとして、「おしゃべり機能」を実行する機能を実行する。おしゃべり機能は、情報処理装置1のユーザである夫U1及び妻U2の少なくとも一方との対話(つまり、おしゃべり)を疑似的に実現する機能である。おしゃべり機能は、ユーザの発話と、この発話に対する応答として情報処理装置1が発話すること、及び情報処理装置1の発話と、これに対する応答としてユーザが発話することの一方、又は両方を含むとよい。おしゃべり機能は、例えば特許文献1に記載されている方法、特にシナリオに従って行われる方法としてもよいが、人工知能を利用する方法等その他のアルゴリズムに基づいて行われてもよい。おしゃべり機能は、例えば、日常会話や世間話といった人同士が自然に行う対話を疑似的に実現するものとするとよい。
【0130】
制御部MCは、おしゃべり機能以外の特徴的な対話機能として、「収集機能」、及び「死亡後対話機能」を実行する機能を実行する。
【0131】
収集機能、及び死亡後対話機能に関する発明者の着想の経緯と、各機能の概要を説明する。情報処理装置1は、老夫婦である夫U1と妻U2との日常生活の対話の内容(対話あるいは会話の内容を示すデータといってもよい。)を収集し、蓄積する。そして情報処理装置1が、もし老夫婦のいずれか一方が亡くなった際に、普段夫婦間で行われていた会話を、残された方との間で行うことができるようにすると、情報処理装置1をより魅力的なものとすることができると発明者は考えた。例えば、夫婦間でしか行われなかった会話(例えば、話し掛け)が、伴侶を失った後も情報処理装置1との間で継続できれば、喜ぶ方も方いると考えられるからである。
【0132】
収集機能は、夫U1と妻U2とが行った対話の内容を収集する処理を行う機能である。収集機能は、本実施形態では、夫U1及び妻U2が存命している期間(第1の期間の一例)に実行される。収集する対話の内容としては、夫U1と妻U2とが行った対話の中で、夫U1、及び妻U2が発話した内容とするとよい。蓄積する対話の内容としては、夫U1、及び妻U2が発話した内容を直接又は間接的に特定する情報とするとよい。収集する対話の内容としては、例えば、発話した内容そのものであってもよい。あるいは、収集する対話の内容としては、対話の内容(例えば、文脈)から抽出した話題や、対話の内容から抽出したキーワード(例えば、単語)といった、対話の内容がなんであるかを把握できる内容とするとよい。このような対話の内容の解析方法については、形態素解析や、深層学習その他の機械学習を使用する方法等、従来から提案されている方法が採用されるとよい。また、収集する対話の内容は、その内容を発した人(つまり、話者)を特定して収集されるとよい。誰が話者であるかについては、音声の特徴(例えば、声紋)に基づいて判断するとよい等、公知の方法が採用されるとよい。収集する対話の内容を記録したデータとしては、例えば音声認識により得られたテキストデータとするよいが、音声データの形式であってもよく、具体的なデータ形式は問わない。
【0133】
死亡後対話機能は、夫U1と妻U2との一方が死亡した後に、他方の人に対して発話する処理(第1の発話処理。例えば、話し掛ける処理)を少なくとも含む対話を行う機能である。以下では、死亡後対話機能として、夫U1と妻U2とが老夫婦で、そのうちの一方である夫U1が死亡し、その後に妻U2を相手として対話する場合の機能を説明する。この場合の死亡後対話機能は、夫U1が死亡した後の期間(第2の期間の一例)に実行される。
【0134】
<4-1.対話機能に関する全体動作>
図25は、情報処理装置1の対話機能に関する全体動作の一例を示すフローチャートである。制御部MCは、例えば、おしゃべり機能に係る処理を行う(ステップS1)のと並行して、収集機能、又は死亡後対話機能に係る処理を行うとよい(ステップS2~S4)。例えば、制御部MCは、ステップS2では、夫U1が生存中であるか、死亡後であるか否かに基づいて、モードを判定する。そして、制御部MCは、夫U1の生存中である第1のモードである場合は、収集機能に係る処理を行い(ステップS3)、夫U1の死亡後である第2のモードである場合は、死亡後対話機能に係る処理を行う(ステップS4)。制御部MCは、情報処理装置1の電源がオンされている期間は、図25の処理を繰り返し実行するとよい。例えば、制御部MCは、おしゃべり機能に係る対話処理と、収集機能に係る対話処理とを適当な割合で織り交ぜながら行うとよい。例えば、制御部MCは、おしゃべり機能に係る対話処理と、死亡後対話機能に係る対話処理とを適当な割合で織り交ぜながら行うとよい。
【0135】
続いて、対話機能の詳細を、図26を参照しつつ説明する。
【0136】
<4-2.収集機能>
制御部MCは、収集機能に属する機能として、以下の各機能を実現するとよい。
【0137】
(4-2-1.特別な日を特定する機能(特別日特定機能))
制御部11は、特別な日を特定する機能(以下「特別日特定機能」という。)を実行する。特別日特定機能は、夫U1及び妻U2の少なくとも一方にとって特別な日を特定する機能である。特別な日としては、夫U1及び妻U2の少なくとも一方にとって通常とは違う性質を持つ日とするとよく、夫U1及び妻U2の少なくとも一方の主観に基づく特別な日、又は客観的にみて特別な日のいずれとしてもよい。例えば、特別な日としては、夫U1及び妻U2の少なくとも一方に関連するイベントがある日、又は過去にあった日とするとよい。特別な日としては、例えば記念日とするとよい。夫U1、及び妻U2の一方にとっての記念日としては、例えば、それぞれの誕生日がある。夫U1、及び妻U2の一方にとっての記念日としては、何かしらの記念日であればよく、何らかの賞を受賞した日や、思い出に残るイベントがあった日などとしてもよい。夫U1、及び妻U2の両方にとっての記念日としては、結婚記念日、子供の誕生日、その他の何かしらの記念日とするとよい。
【0138】
特別日特定機能においては、例えば以下の1つ又は複数の方法により、特別な日を特定するとよい。
【0139】
(4-2-1-1)ユーザによる登録(入力)
制御部MCは、ユーザにより登録(入力)された特別な日を特定するとよい。ユーザとしては、夫U1、妻U2、又はユーザU3とするとよいが、それ以外のユーザでもよい。制御部MCは、所定の登録画面をタッチパネル部67に表示させて、そのユーザに特別な日の登録を促す。登録画面には、特別な日の種類と日付(例えば、何年何月何日)とを組み合わせを入力する欄が含まれるとよい。情報処理装置1は、例えば、特別な日の種類については、あらかじめ用意されているとよく、適切な種類を選択した上で、日付を入力・登録できるように構成されているとよい。制御部MCは、入力された特別な日の種類と日付とを対応付けてメモリに記録させる。特別な日の登録は、情報処理装置1の初回の起動時等の初期設定として行われるようにするとよいが、それ以降の任意のタイミングで行えるようにしてもよい。
【0140】
(4-2-1-2)質問-応答
制御部MCは、特別な日を特定するための質問をユーザに対して行い、そのユーザからの応答に基づいて特別な日を特定するとよい。このようにすると、特別な日の種類やそれがいつであるかをより正確に特定できる。ユーザとしては、夫U1や妻U2とするとよいが、それ以外のユーザでもよい。質問は例えば音声により出力され、ユーザからの応答も音声により入力されるとよい。制御部MCは、例えば、「結婚記念日を教えてください。」というメッセージを、スピーカ装置56により出力するとよい。このように、質問は、例えば、特別な日の種類を指定して、その日がいつであるかを問いかける質問とするとよい。この質問を聞いたユーザは、この質問への回答となる内容を発話するとよい。ユーザは、例えば、結婚記念日の問いかけに対する応答として、例えば「1970年1月1日だよ。」のように、特別な日がいつであるかを応答するとよい。制御部MCは、入力された音声を認識して、質問した特別な日を特定する。制御部MCは、入力された特別な日の種類と日付とを対応付けてメモリに記録させる。
【0141】
制御部MCは、例えば、特別な日を特定するための質問を直接的な表現で行うとよい。制御部MCは、例えば「今日はあなたの結婚記念日を教えてもらえますか?」といった質問をするとよい。あるいは、制御部MCは、例えば、特別な日を特定するための質問を間接的な表現で行うことよい。このようにすると、特別な日についての情報が収集されていることを、夫U1又は妻U2に知られにくくすることができる。直接的な表現としては、特別な日の種類のフレーズと、その日がいつであるかを問いかけるフレーズとを含む質問とするとよい。
【0142】
制御部MCは、例えば、特別な日を特定するための質問を間接的な表現で行うようにしてもよい。間接的な表現としては、特別な日の種類のフレーズを含まないか、あるいは言い回しを変えた表現とするとい。例えば、特別な日として入籍日を質問する場合に、直接的な表現としては「入籍日はいつ?」があるが、間接的な表現としては、「結婚したのはいつ?」、「結婚してからどれくらい経った?」等の遠回しな言い回しがある。
【0143】
制御部MCは、情報処理装置1の初回の起動時等の初期設定として、特別な日を特定するための質問をしてもよいが、それ以降のタイミングで行ってもよい。制御部MCは、例えば複数種類の特別な日について、その種類ごとに異なるタイミングで、質問をするとよい。例えば、制御部MCはある質問をして特別な日を特定すると、所定の時間長の期間の経過後に、別の種類の特別な日を特定するための質問をするとよい。例えば、制御部MCは、少なくとも24時間は空けるなどして、特別な日を特定するための質問が少なくとも1日に1回以下となるようにするとよい。このようにすると、質問の頻度が高くなって夫U1や妻U2に違和感を与えてしまう可能性を低くすることができる。
【0144】
制御部MCは、おしゃべり機能による対話を行う機能と並行して(つまり、同時期に)、特別日特定機能の質問を行うようにすることで、日ごろの対話の中でさりげなく特別な日を質問することになり、自然な形で特別な日の情報を収集することができる。
【0145】
(4-2-1-3)日常会話等の夫U1と妻U2との対話に基づく収集
制御部MCは、日常会話等の夫U1と妻U2との対話に基づいて、特別な日を特定するとよい。このようにすると、夫U1や妻U2が、いつのまにか情報処理装置1が特別な日を知ってくれていたという感覚を与えることができる。制御部MCは、電源がオンされている期間において、音声認識機能を継続的に動作させておき、マイクロフォン99により検知された音声を認識する。制御部MCは、認識した音声(例えば、テキストデータ)を解析して、特別な日を特定するとよい。例えば、制御部MCは、特別な日を特定するキーワードをあらかじめ記憶しておき、そのキーワードに基づいて特別な日の種類を特定する。例えば結婚記念日であれば、「結婚記念日」、「結婚」等である。さらに、制御部MCは、そのキーワードを含む対話の中で発せられた時期(例えば、日付)を特定するキーワードに基づいて、特別な日がいつであるかを特定するとよい。例えば、「〇〇年」や、「〇月〇日」、「〇年前」といったキーワードがある。制御部MCは、文脈を特定したり、音声認識により得た文字列を、形態素解析を用いて分割し、分割した単語を解析したりして、特別な日の種類とその日付と特定してもよい。解析の方法はこれ以外の方法でもよい。制御部MCは、入力された特別な日の種類と日付とを対応付けてメモリに記録させる。このようにすると、夫U1や妻U2にとっては、人間同士の会話(例えば、普段の会話)から自然に情報処理装置1が特別な日を理解してくれる感覚を得られる。
【0146】
なお、制御部MCは、夫U1と妻U2との対話に基づいて取集した特別な日が正しいかどうかを、夫U1又は妻U2等のユーザとの対話や、タッチパネル部67への表示等により、確認してもよい。仮に間違っていた場合は、制御部MCは、ユーザからの応答(入力)に基づいて修正する機能を有してもよい。
【0147】
(4-2-1-4)所定のサービスのアカウントからの取得
制御部MCは、誕生日などの特別な日の情報を、夫U1及び妻U2の少なくとも一方が利用する所定のサービスのアカウントから取得してもよい。制御部MCは、通信部37を介して所定のサーバ装置(例えば、サービスを提供するサーバ)にアクセスして、そのサービスに関する情報を取得するとよい。例えば、情報処理装置1をgoogle(登録商標)のアカウントとリンクさせて、制御部MCは特別な日を取得し特定するとよい。この場合のサービスとしては、スケジュールやカレンダーなどのサービスがある。また、所定のサービスは、SNS(Social Networking System)としてもよい。Facebook(登録商標)などにはライフイベント(例えば、いつ結婚したかや子供が産まれた)などの情報を多く共有している人もいる。そこで、制御部MCは、SNSに投稿された投稿情報(例えば、日記)を解析して、特別な日の種類と日付とを取得し、メモリに記憶させてもよい。
【0148】
(4-2-1-5)上記の複数の方法の組み合わせ
制御部MCは、上記の複数の方法を組み合わせて、特別な日を特定するとよい。制御部MCは、いずれかの方法を優先的に使用して特別な日を特定し、所定期間内に特定できない種類の特別な日については、別の方法を使用して特別な日を特定してもよい。例えば、制御部MCは、「(4-2-1-3)日常会話等の夫U1と妻U2との対話に基づく収集」又は「(4-2-1-4)所定のサービスのアカウントからの取得」で特別な日の特定を試み、所定期間内に特定できなかった種類の特別な日については、「(4-2-1-1)ユーザによる登録」により登録を促したり、「(4-2-1-2)質問-応答」の方法を用いたりしてもよい。
【0149】
(4-2-2.対話内容の収集処理)
制御部MCは、夫U1と妻U2との対話の内容を収集する処理においては、マイクロフォン99により検知された音声を認識して対話の内容を特定し、メモリに蓄積するとよい。ここにおいて、制御部MCは、所定の時間的単位毎に分類して(言い換えると、所定の時間的単位を軸として)、対話の内容を収集するとよい。時間的単位と対話の内容の収集との関係としては、例えば以下のようにするとよい。図26(a)は、収集される対話の内容を説明する図である。制御部MCのメモリには、夫U1と妻U2とが過去に行った対話の内容とを示すデータが、例えばデータベース化して記憶されるとよい。図26(a)の「時間的単位」の欄には、特別な日やその他の時間的単位の種類や、その日にちや時刻等の情報が格納されているとよい。また、「対話内容」の欄において「〇〇「××××」」という表記は、話者が〇〇で、その話者が発話した内容が「××××」であることを意味する。この例では、「××××」は、実際に話者が発話した内容が記載されているものとする。
【0150】
(4-2-2-1)制御部MCは、所定の時間的単位として、特別日特定機能により特定した特別な日毎に、対話の内容を収集するとよい。制御部MCは、例えば、結婚記念日、賞を受賞した日その他の思い出に残るイベントがあった日、子供の誕生日、その他の何かしらの記念日のそれぞれを分類して、対話の内容を収集する。そのような対話の内容として、「結婚記念日おめでとう」や「今日は〇〇の誕生日だね」(「〇〇」は、例えば子供であるユーザU3の名前)がある。このようにして、各種類の特別な日に夫U1と妻U2との間でどのような対話がなされたかを特定する情報を収集することができる。このようにすると、夫U1や妻U2にとって思い出深い日である特別な日の対話を収集しておくことができる。
【0151】
(4-2-2-2)制御部MCは、それ以外の所定の時間的単位として、曜日及び時刻の少なくとも一方を時間的単位として対話の内容を収集するとよい。制御部MCは、例えば、平日と休日とを時間的単位として対話の内容を収集するとよい。あるいは、制御部MCは、食事をする時間、寝る時間、散歩に行く時間といった、夫U1と妻U2の生活習慣に応じた時間的単位を設定して、対話の内容を収集するとよい。このようにすると、生活習慣に応じた時間的単位ごとにどのような対話が行われているかを特定することができる。
【0152】
食事をする時間、寝る時間、散歩行く時間といった時間は人ごとに異なる。そこで、生活習慣に応じた時間的単位については、制御部MCは、例えば、マイクロフォン99で検出した音声を解析することで特定するとよい。例えば、制御部MCは、「そろそろ散歩に行く時間ですよ」といった対話を検出すると、散歩が行われると判断する。そして、制御部MCは、複数の日の散歩が行われる時刻を特定し、その特定した時刻を含む時間帯を、散歩に対応する時間的単位とするとよい。なお、時間的単位は、例えば、その他の暦に基づく単位としてもよく、ある時間的な要素に基づいて区切られていればよい。
【0153】
<4-3.解析機能>
制御部MCは、解析機能を実行する。解析機能は、メモリに蓄積された対話の内容(例えば、図26(a)の内容)を解析して、死亡後対話機能において情報処理装置1側の発話に用いるデータ(以下、「発話用データ」という。)を生成する機能である。図26(b)は、生成される発話用データを説明する図である。この発話用データは、例えばテキストデータであるが、音声データなどであってもよい。制御部MCは、メモリに蓄積した対話の内容を解析して、発話用データを生成するとよい。制御部MCは、生成した発話用データを、例えばデータベース化してメモリに記憶させておく。制御部MCは、発話用データに基づいて発話する処理において、その生成の基となった対話の内容に応じて、発話する内容を変更するように、その発話用データを生成するとよい。このようにすると、夫U1と妻U2とが実際に行った対話の内容に応じたオリジナリティのある内容で、妻U2に対して発話する処理を行うことができる。
【0154】
制御部MCは、制御部MCは、上記時間的単位ごとに分類した発話用データを生成するとよい。例えば、制御部MCは、図26(b)に示すように、収集した対話の内容に含まれる発話内容そのものを示す発話用データを生成するとよい。このようにすると、実際に夫U1が発した言葉を含む発話用データを生成できる。図26(b)に示すように、夫U1が死亡した場合には、少なくとも夫U1側の発話内容に基づいて、発話用データが生成されるとよい。
【0155】
制御部MCは、収集した対話の内容に含まれる発話内容を改変した発話用データを生成してもよい。このようにすると、実際に発した言葉ではないが別の言葉を発話用データとして生成できる。発話用データの生成方法としては、例えば話題を特定したり、対話の中に含まれたキーワードを抽出したりするとよい。制御部MCは、これらの話題に関する発話用データを生成したり、抽出したキーワードを含む発話用データを生成したりするとよい。なお、制御部MCは、解析機能による解析を対話の内容の収集期間と並列に行ってもよいが、死亡判定機能による死亡判定後に、一括して行うなどしてもよい。
【0156】
<4-4.死亡判定機能>
制御部MCは、死亡判定機能を実行する。死亡判定機能は、いずれかのユーザが死亡したことを判定する機能である。死亡判定機能においては、例えば以下の1つ又は複数の方法により、ユーザが死亡したかどうかを判定するとよい。制御部MCは、死亡判定機能によりユーザが死亡したと判定する前は、夫U1と妻U2との対話の内容を収集する処理を行い、死亡したと判定した後はその収集する処理を停止(終了)させる、つまり、収集する処理をしないようにするとよい。
【0157】
(4-4-1)ユーザによる登録(入力)
制御部MCは、ユーザによる登録(入力)に応じて死亡判定するとよい。制御部MCは、所定の設定画面をタッチパネル部67に表示させて、いずれかのユーザに死亡したことの情報の入力を促す。設定画面には、誰が死亡したかと、その死亡日を入力したことを示す情報を入力するための情報が表示される。制御部MCは、例えば妻U2又ユーザU3により、夫U1が死亡されたことを示す情報が入力(登録)されると、夫U1が死亡したと判定するとよい。制御部MCは、入力された死亡日と死亡したユーザの情報とを対応付けてメモリに記録させる。
【0158】
(4-4-2)質問-応答
制御部MCは、いずれかのユーザが死亡したかどうかを確認するための質問をし、その質問に対する応答に基づいて、そのユーザが死亡したことを判定する。質問は例えば音声により出力され、応答も音声により入力されるとよい。制御部MCは、例えば、「最近〇〇さんはいかがお過ごしですか?」や「ご夫婦に何か変化はありましたか?」というメッセージを、スピーカ装置56により出力するとよい。
【0159】
制御部MCは、収集した対話の内容に基づいて、夫U1と妻U2との対話がない期間が所定の条件を満たした場合、夫U1の不在の理由を質問し、その問い合わせに対する応答に基づいて、夫U1が死亡したことを判定するとよい。このようにすると、夫U1と妻U2との対話がない期間が所定の条件を満たした場合、夫U1が不在であることを気にしていることを表現しつつ、情報処理装置1とユーザとの質問及び応答という対話の形式で、夫U1が死亡したことを判定することができる。
【0160】
所定の条件としては、特定の話者、ここでは夫U1が発話したことを所定期間継続して認識していないこととするとよい。この場合、制御部MCは、その話者であるユーザ(つまり、夫U1)を対象として、そのユーザが死亡したかどうかを確認するための質問をするとよい。この質問を聞いたユーザは、この質問への回答となる発話をするとよい。例えば、夫U1が生存している場合には、妻U2は、「元気です」、「旅行に行っています」、「出張中です」、「入院中です」といった応答をし、夫U1が死亡したのであれば「先日なくなりました」、「死亡しました」といった応答をするとよい。あるいは、制御部MCは、「元気です」、「旅行に行っています」、「出張中です」、「入院中です」、「死亡しました」と記した選択肢をソフトボタンによりタッチパネル部67に表示させ、その選択肢に対する入力により応答を受け付けてもよい。
【0161】
いすれのユーザも死亡していない場合にも、このような質問がなされることから、制御部MCは、ユーザの気分を害することがないような、間接的な表現により死亡の有無を確認するための質問をすることが望ましい。例えば、制御部MCは、死亡に関する直接的な表現を含むのではなく、最近の状況を質問するようにするとよい。制御部MCは、例えば死亡したユーザを特定する情報をメモリに記憶させる。さらに、制御部MCは、入力された死亡日と死亡したユーザの情報を対応付けてメモリに記録させてもよい。
【0162】
なお、所定の条件としては、例えば、上記のように特定のユーザが不在である可能性に基づいて決められているとよいが、ある単位期間毎に質問するといった方法が採用されてもよい。
【0163】
(4-4-3)通信により外部の装置から取得されたデータ
制御部MCは、通信部37を介して行う通信により外部の装置から取得されたデータに基づいて、いずれかのユーザが死亡したことを判定するとよい。このようにすると、情報処理装置1が、人為的な操作なしにいずれかのユーザが死亡したことを判定することができる。例えば、妻U2等は夫U1が死亡したことを入力するという操作をしなくてもよく、残された人への心理的な配慮をすることができる。データとしては、ユーザの死亡を直接又は間接的に特定するデータとするとよく、特に、ユーザの死亡の有無によって内容の異なるデータとするとよい。制御部MCは、データとしては、例えば、ユーザの銀行口座、又は課金口座が凍結された情報を取得するとよい。制御部MCは、これ以外にも、役所などの公的機関からデータを取得してもよい。
【0164】
(4-4-4)音声の取得
制御部MCは、音声を取得して、取得した音声に基づいて、いずれかのユーザが死亡したことを判定するとよい。このようにすると、情報処理装置1が、人為的操作なしにユーザが死亡したことを判定することができる。また、妻U2等は夫U1が死亡したことを入力するという操作をしなくてもよく、残された人への心理的な配慮をすることができる。
【0165】
制御部MCは、例えば、通信端末300やその他の通信端末と通話処理を行う通話機能を実行しているときに、この通話機能で対話された内容に基づいて、いずれかのユーザが死亡したことを判定するとよい。例えば、制御部MCは、銀行との通話内容、葬儀屋との通話内容、生命保険会社との通話内容(例えば、保険の解約)、又は通信端末300を使用する家族との通話内容に基づいて、そのユーザが死亡したことを判定するとよい。この際に、制御部MCは、通話相手の電話番号やその他の通話相手を特定する情報や、実際に通話ではなされた内容を解析して、ユーザが死亡したことを判定するとよい。
【0166】
あるいは、制御部MCは、マイクロフォン99で取得した音声に基づいて判定してもよく、例えば平常時にいない人物、例えば親戚が来ていること基づいて、いずれかのユーザが死亡したことを判定してもよい。
【0167】
<4-5.死亡後対話機能>
制御部MCは、死亡後対話機能を実行する。死亡後対話機能は、情報処理装置1を使用するいずれかのユーザの死亡後に行われる対話機能である。死亡後対話機能は、収集機能より収取された対話の内容に基づいて、残されたユーザとの対話処理を行う機能である。死亡後対話機能は、本実施形態では、夫U1の死亡後に、妻U2に対して発話する処理を少なくとも含む対話処理を行う機能である。死亡後対話機能において制御部MCは、本実施形態では、<4-3.解析機能>で説明した解析機能の解析結果に基づき生成した発話用データに基づいて、対話処理を行うとよい。
【0168】
(4-5-1)死亡後対話機能の基本
制御部MCは、収集期間に対話の内容を収集し、死亡判定後の期間になったと判定した場合に、死亡後対話機能に係る対話処理を行う。このようにすると、生前の期間に夫U1と妻U2とが行った対話を収集しておき、死亡判定後の期間に行う情報処理装置1と妻U2との対話処理に反映させることで、死亡判定後の期間における情報処理装置1を使った発話(対話)の質を向上させることができる。
【0169】
(4-5-2)特別な日の対話処理
制御部MCは、特別日特的機能により特定した特別な日になったかどうかを判定し、特別な日になったと判定した場合には、その特別な日に対応する発話用データに基づいて、妻U2に対して発話する処理を行う。このようにすると、妻U2は、特別な日に実際に行った対話に基づく発話を情報処理装置1から聞くことができる。特別な日には、普段と違った対話が行われることも少なくないので、妻U2は、夫U1が不在である場合でも、情報処理装置1からの発話の内容を聞いて、特別な日であることを認識し、非日常感を得ることができる。特別な日に対応する対話の内容としては、その特別な日(ただし、年は異なっていてもよい。)に過去に収集された対話の内容とするとよい。例えば、制御部MCは、結婚記念日について「1970年1月1日だよ。」という対話が収集されていた場合、毎年の「1月1日」に、結婚記念日に収集した発話用データに基づいて妻U2に対して発話する処理を行うとよい。このようにすると、記念日等の特別な日にどのような会話が行われているのかを学習・蓄積しておき、それを妻U2との対話に反映させることができる。例えば、制御部MCは、結婚記念日には「結婚した日は、ものすごく雪が降ったね」といった思い出話に関する発話を行う処理を行う。誕生日であれば「お誕生日おめでとう」等がある。また、制御部MCは、「結婚して〇年だね。おめでとう」といった発話をしてもよい。それ以外の特別な日についても、制御部MCは、その特別な日の性質にあった発話を、発話用データに基づいて行うことができる。
【0170】
(4-5-3)それ以外の時間的単位に応じた対話処理
制御部MCは、所定の時間的単位ごとに分類して収集した対話の内容のうち、現在、つまり発話する処理を行うタイミングに対応する時間的単位に収集された対話の内容に基づいて、発話する処理を行うとよい。このようにすると、妻U2は、発話する処理を行うタイミングに合った内容でその発話を聞くことができる。制御部MCは、例えば、曜日及び時刻の少なくとも一方を時間的単位として収集した対話の内容に基づいて、現在の曜日及び時刻の少なくとも一方の性質にあった発話を、発話用データに基づいて行うとよい。また、制御部MCは、食事をする時間、寝る時間、散歩行く時間といった、夫U1と妻U2の生活習慣に応じた時間的単位に収集された対話の内容に基づいて、発話する処理を行うとよい。例えば、制御部MCは、いつも散歩に行く時間になった場合には、「そろそろ散歩に行く時間ですよ。」という発話をする。それ以外にも、制御部MCは、寝る時間であれば「そろそろ寝ましょうか。」、食事をする時間であれば「ご飯食べた?」等の発話をするとよい。
【0171】
(4-5-4)死亡後対話機能の発話する処理の内容のその他の例
制御部MCは、特別な日や所定の時間的単位に基づく内容を、天気、気温等の周辺の環境に関するデータに基づいて変更するとよい(決めるとよい)。例えば、制御部MCは、センサや外部のサーバから天気、気温等の周辺の環境に関するデータを取得して、発話の内容を決定するとよい。例えば、制御部MCは、周辺の環境に応じた内容を、発話する内容に含めるとよい。例えば、制御部MCは、いつも散歩に行く時間になると、暑い日には「そろそろ散歩に行く時間ですよ。帽子をかぶって日射病には気を付けてね」という発話をし、寒い日には「そろそろ散歩に行く時間ですよ。コートを着て出かけてね」という発話をし、雨天であれば「そろそろ散歩に行く時間ですよ。傘を忘れずにね」という発話をするとよい。このようにすると、環境に応じて発話のバリエーションが多様にすることができる。
【0172】
(4-5-5)応答状況に基づく死亡後対話機能の発話する処理の制御
制御部MCは、妻U2からの応答の状況に応じて、妻U2に対して発話する頻度及びタイミングの少なくとも一方を変更するとよい。応答の状況としては、例えば、発話に対して何らかの応答をしたこととするとよい。何らかの応答を示したということは、妻U2が情報処理装置1の発話に興味・関心があると推測できるからである。応答の状況としては、発話に対する応答が肯定的であることとするとよい。肯定的な応答を示したということは、妻U2が対話に興味・関心があると推測できるからである。例えば、発話に対する応答があった確率や、肯定的であった確率が高いほど、発話の頻度を高くするとよい。これ以外にも、対話処理におけるやり取りが多く続いた回数や、否定的な応答をした回数などを考慮して、発話する処理の頻度を変えるとよい。このように、対話への興味・関心を反映した頻度で、発話する処理を行うことができる。制御部MCは、発話する処理のタイミングについては、例えば、発話に対して妻U2の応答があった時刻を含む所定の時間帯、又は肯定的な応答があった時刻を含む所定の時間帯については、その後も妻U2に対して発話する処理をし、妻U2の応答がなかった時刻を含む所定の時間帯、又は否定的な応答があった時刻を含む所定の時間帯については、その後は発話しないようにしてもよい。
【0173】
(4-5-6)情報処理装置1の周囲の状況に基づく発話する処理の制御
制御部MCは、人の存在を検知する機能により周囲の人の存在を検知し、人の存在が検知された場合に、妻U2に対して発話するとよい。このようにすると、周囲の人の存在を検知した場合に発話する処理を行うので、誰もいない状況において発話する処理が開始されてしまうのを抑えることができる。特に、制御部MCは、空間領域(例えば機器設置場所であるリビング)に人が入ってきたことを検知した場合に、発話をするとよい。人の存在を検知する機能としては、例えばドップラセンサ34を用いて人の存在を検知するとよい。あるいは、人の存在を検知する機能としては、例えばカメラ98やマイクロフォン99を用いて人の存在を検知する。特に、カメラ98の画像を用いた画像認識や、マイクロフォン99を用いて声紋を認識するなどして個人を認識し、妻U2がいると判定した場合に、発話する処理を行うと、より妻U2に向けた発話する処理を精度良く行うことができる。
【0174】
制御部MCは、妻U2が居る空間領域に他の人がいる場合は、妻U2に対する発話を停止させるとよい。このようにすると、妻U2が居る空間領域に他の人がいる場合は発話する処理を停止させるので、妻U2と第三者との対話を妨げることを抑え、夫U1や妻U2のプライバシーに配慮することができる。例えば、制御部MCは、人の存在を検知する機能を用いて他の人の存在を検知するとよい。制御部MCは、例えばドップラセンサ34を用いて、複数の人の存在を検知した場合は、発話する処理を停止させるとよい。制御部MCは、例えばカメラ98やマイクロフォン99を用いて人の存在を検知する。特に、カメラ98の画像を用いた画像認識や、マイクロフォン99を用いて声紋を認識するなどして個人を認識し、妻U2以外の他人がいると判定した場合に、発話する処理を停止させるとよい。
【0175】
また、制御部MCは、インターホンの音(ピンポンという音)や呼び鈴等の人の訪問を知らせる所定の音を検知した場合は、発話する処理を停止させるとよい。このようにすると、妻U2以外の他の人が空間領域に入る可能性のある場合に、発話を停止させることができる。
【0176】
(4-6-7)空間領域の状況に基づく発話する処理の制御
制御部MCは、妻U2が居る空間領域の状況を特定し、特定した状況に基づいて発話する処理を行うとよい。制御部MCは、例えば、その空間領域の構成を特定し、特定した構成に基づいて発話をする処理を実行する頻度及びタイミングの一方を制御するとよい。このようにすると、妻U2がいる空間の構成を考慮した頻度又はタイミングで発話する処理を行うことができる。例えば、制御部MCは、部屋の構成をさりげなく妻U2に聞く、又はあらかじめユーザが設定しておき、発話頻度やタイミング決めるとよい。制御部MCは、部屋や大きさ、形状等を考慮して、どのくらいの人を検知する機能でどの程度の距離で人を検知したら発話をするかを決定するとよい。例えば、部屋が大きいほど遠い距離でも発話をするなどするとよく、すなわち検出に幅を持たせるとよい。
【0177】
制御部MCは、妻U2がいる空間領域の種類を特定し、特定した種類に基づいて発話する処理を制御するとよい。例えば、情報処理装置1が寝室にあるか、又はリビングにあるかで、妻U2による使用状況が異なるからである。制御部MCは、情報処理装置1が寝室にある場合は夜間には発話しないようにするが、情報処理装置1がリビングにある場合は発話してもよい。また、制御部MCは、寝室にある場合は「おやすみ」等のキーワードを発する等、空間の種類に応じたキーワードを発してもよい。あるいは、制御部MCは、発話内容のほか、発生頻度やタイミングを制御するとよい。例えば、制御部MCは、部屋の種類をさりげなく妻U2に聞く、又はユーザが設定して、発話頻度やタイミング決めるとよい。
【0178】
制御部MCは、妻U2が居る空間領域において取得した音声に基づいて、静かな場合に発話をする処理を行うとよい。このようにすると、妻U2が居る空間が静かな場合に発話する処理を行うので、妻U2にとって対話のしやすいタイミングで発話する処理を行うことができる。静かであるかについては、周波数帯の音圧レベルを参照するなど、公知の静寂であるか否かの判断手法が用いられるとよい。これに代えて、制御部MCは、妻U2が静かな空間に居たいと考える可能性もあり、能動的に発話しないようにするとしてもよい。例えば、静かなときの発話に対する応答があるか又は肯定的であれば、以後も静かなときは発話し、応答がない場合や応答が否定的である場合は、以後静かなときは発話しないようにしてもよい。
【0179】
<4-7>発話の態様
以上は、制御部はMCが、死亡後対話機能において、夫U1が憑依していることを演出する発話を行っていた。第1の人が憑依していることを演出としては、情報処理装置1自体があたかも夫U1のように振る舞う演出で、発話する処理の内容としても、情報処理装置が夫U1であるかのような内容である。すなわち、夫U1が情報処理装置1に乗り移って発話している印象を与えるようにする。このようにすると、妻U2は、夫U1が情報処理装置1に憑依したような感覚を得ることができる。例えば、発話する処理の内容において、夫U1の人の口癖などの特徴が反映されてもよい。
【0180】
これに代えて、制御部MCは、夫U1とは異なる第三者の立場で発話する処理を行うとよい。このようにすると、妻U2は、夫U1に代わって情報処理装置1が対話の相手をしてくれるという感覚を得ることができる。例えば、制御部MCは、「〇〇さんだったら、「××」というと思うよ」等の、夫U1ならこう言うだろうという推測表現をしてもよいし、「〇〇さんが「××」と言っていたよ」という伝聞形式で話してもよい。このように、死亡したのが旦那さんなら、旦那さんならこう答えるだろう見たいな発話がよい。
【0181】
情報処理装置1の発話の声は、情報処理装置1のキャラクタの声とするとよいが、亡くなった人の声とするなど不在になった人の声を再現してもよい。これについては、夫U1の声をあらかじめ登録しておき、人工知能技術やその他の公知の技術や音声合成の機能を利用して、夫U1の声を再現して発話する処理を行うとよい。
【0182】
<4-8>不在の理由の他の例
以上、夫U1が死亡した場合の死亡後対話機能を説明したが、夫U1が存命中で不在と判定した場合の対話機能に適用してもよい。存命中で不在として例えば、入院(例えば長期入院)があり、そのような場合でも対話が行われることで、妻U2はさみしさを紛らわすことができる。この場合に、「旦那さんは~~~と思ってるかもよ。」と自宅にいる妻U2に発話するといったように、伝聞形式の方が望ましい。不在の理由としては、入院や出張その他の理由による不在である状況とするとよく、ある程度長期の不在である状況とするとよいが、短期的な不在の状況であってもよい。
【0183】
制御部MCは、不在の理由に応じて、発話する処理を異ならせてもよく、例えば、夫U1が死亡後であるのか、又は存命中で不在であるのかによって、使用する対話用データを異ならせて、異なる内容で発話するよう発話する処理を行ってもよい。
【0184】
第1実施形態の説明は以上である。以下で説明する第2実施形態~第6実施形態においては、情報処理装置1は、おしゃべり機能、収集機能、及び死亡後対話機能を実行してもよいし、実行する機能を有しなくてもよい。情報処理装置1は、おしゃべり機能を実行する場合は、おしゃべり機能の一部の機能として、各実施形態で説明する対話に係る機能を実行してもよい。あるいは、情報処理装置1は、収集機能及び死亡後対話機能を実行する場合、死亡判定機能による死亡の判定の前、後、又は前後の両方のいずれにおいて、各実施形態で説明する対話に係る機能を実行してもよい。
【0185】
[5.第2実施形態]
本実施形態の情報処理装置1、及び通信端末300の構成は、上述した第1実施形態と同じでよい。本実施形態では、図27に示すように、情報処理装置1を使用するユーザが、ユーザU3の子供であるユーザU4である場合(動作例1)と、上述した第1実施形態と同様、夫U1や妻U2である場合(動作例2)を例に挙げて説明する。
【0186】
制御部MCは、対話機能の一つとして、ユーザの顔色に基づいて発話する処理である第2の発話処理を行う。制御部MCは、カメラ98により撮像したユーザの顔色を判断し、そのユーザに向けて発話する処理(例えば、声掛け)を行うとよい。さらに、制御部MCは、カメラ98により撮像したユーザの脈拍数を判断して、そのユーザに向けて発話する処理を行うとよい。このように発明者が考えた経緯として、昨今の世界情勢でのカメラを使っての体温を測る方法が知られていること、また、スマホカメラで「顔の色」から脈拍数を測定するアプリケーションがあるという実情もある。
【0187】
第2の発話処理において、情報処理装置1側が発話する内容としては、顔色から把握される人の状況を反映した内容とするとよく、心理状態、健康状態、体調等に関するものとするとよい。動作例を説明すると、以下の通りである。
【0188】
(動作例1)
制御部MCは、例えばユーザがユーザU4の場合に、まず、朝の状態での顔色を取得して、メモリに記憶しておく。そして、制御部MCは、ユーザU4が学校から帰ってきた時刻等の所定のタイミングに、朝の状態での顔色と現在の顔色とを比較し、その比較結果に応じた発話を行う。制御部MCは、例えば、日焼けした状態である場合(例えば、顔部分の赤色成分の値が大きくなっていた場合)には、「日に焼けたねぇ。今日はしっかり休もう!」といった内容の発話をするとよい。さらに、制御部MCは、ユーザU4の脈拍数を測定し、測定した脈拍数が所定値以上である場合には、「走って帰ってきた?大丈夫?」といった内容の発話をするとよい。
【0189】
別のパターンとして、子供であるユーザU4が、下校や登校時に不審者から声をかけられたりする事例もありうる。そこで、制御部MCは、顔色、及び脈波数の少なくとも一方に基づいて、ユーザU4に何らかの異常(例えば、心理状態の異常)を検知(察知)した場合には、「大丈夫?だれかに教える?」といった内容の発話をするとよい。このように、制御部MCは、ユーザU4を気遣うメッセージを表示や音声で出力するとよい。例えば、子供が言葉にすると難しい場合もあるが、気が動転していたりしたら誰かにすぐ伝えたいという気持ちも落ち着くこともある。
【0190】
さらに、制御部MCは、ユーザU4に何らかの異常を検知した場合に、所定の通知先への通知の有無を質問しても(尋ねても)よい。例えば、ユーザU4が「教える!」とか「大丈夫!」という発話で応答をし、又はタッチパネル部67に表示された選択肢を操作して、情報処理装置1に対して応答する。制御部MCは、ユーザU4からの応答に基づいて通知をすると判断した場合、例えば、あらかじめ登録してある通信端末300を通話処理により呼び出して通話を開始させる。このようにして、ユーザU4からユーザU3(例えば両親)へと電話をつなぐようにしてもよい。
【0191】
(動作例2)
ユーザが夫U1、及び妻U2のような老人の場合の動作例を説明する。制御部MCは、朝、昼、晩等の、所定のタイミングでのユーザの顔色、及び心拍数の少なくとも一方を認識し、パターン化して記憶しておく。制御部MCは、カメラ98により撮像したユーザの顔色、及び心拍数の少なくとも一方を認識すると、その認識をしたタイミングに対応するパターンと比較して、その比較結果に応じた発話を行う。例えば、制御部MCは、比較結果において普段と顔色及び心拍数の差異がない又は小さい場合は、「いつも通り元気みたいだね!」と発話するとよい。制御部MCは、比較結果により体調が良くなっていると判断した場合は、「今日は昨日より体調がよさそうだね!」という内容を発話し、疲れていると判断した場合は「昨日より疲れている?」という発話をするとよい。パターンは、ユーザごとの顔色や心拍数のパターンを事前に登録しメモリに記憶しておくと、そのユーザの顔色の変化や状況をより正確に判定した上で、適切な内容で発話することができる。制御部MCは、顔色及び心拍数の少なくとも一方に基づいて、体調がすぐれない等の所定の条件を満たした場合は、夫U1又は妻U2の明示の指示なしに又は指示に応じて、所定の通信端末300に通知(通報)してもよい。このようにすると、夫U1、及び妻U2の状況を離れて暮らす家族であるユーザU3にお知らせをすることができる。
【0192】
このような本実施形態の機能を達成することで、情報処理装置1の見守りに係る機能がより質の高いものとなる。
【0193】
[第3実施形態]
本実施形態の情報処理装置1、及び通信端末300の構成は、上述した第1実施形態と同じでよい。本実施形態では、図28に示すように、通信端末300として、通信端末300-3と、通信端末300-4とが存在する。本実施形態において、通信端末300-3、及び通信端末300-4は、携帯端末の一例である。通信端末300-3は、ユーザU3により所持、使用され、通信端末300-4は、その子供(夫U1及び妻U2からみて孫)であるユーザU4により所持、使用されるものとする。また、ユーザU3、U4が、それぞれ通信端末300-3、300-4を持って車両500に乗って外出する場合を想定する。また、夫U1及び妻U2だけでなく、ユーザU3及びユーザU4も情報処理装置1を所持、使用しており、それが、ユーザU3及びユーザU4の自宅に設置されているものとする。以下では、夫U1、及び妻U2が所持、使用する情報処理装置1を「情報処理装置1X」とし、ユーザU3、U4が所持、使用する情報処理装置1を「情報処理装置1Y」として区別する。
【0194】
情報処理装置1X、及び情報処理装置1Yの制御部MCは、対話機能の一つとして、通信端末300-3、又は通信端末300-4の現在位置に基づいて、当該現在位置に関する内容の発話をする処理である第3の発話処理を行う。このようにすると、情報処理装置1Xや1Yが、通信端末300-3、300-4の現在位置に関する内容の発話を行うので、通信端末300-3、300-4のユーザの現在位置がどのような場所であるかを知ることができる。特に、制御部MCは、発話の内容としては、通信端末300-3、又は通信端末300-4の現在位置がどのような場所であるかという、現在位置の属性に関する内容が含まれていると、ユーザU4の現在位置がどのような場所であるかを分かりやすくすることができる。発話される現在位置に関する内容としては、ユーザと関連する内容とすると、例えば情報処理装置1X,1Yに対してより親近感を覚えることができる。例えば、以下の動作例のようにするとよい。
【0195】
(動作例1)
息子であるユーザU4は、墓参りに行く場合に、お墓の位置情報を事前に通信端末300-4に入力し、登録しておく。通信端末300-4の制御部301は、位置情報取得部306により現在の位置情報(つまり、息子の位置情報)を測定し、アプリケーション305Aに基づいて、ユーザU4がお墓に行った旨を特定する情報を、通信部303を用いて情報処理装置1Xに送信する。制御部301は、お墓に行ったことを、現在の位置情報と、事前に登録しておいた位置情報との位置関係(例えば同一性)に基づいて判定するとよい。祖父母である夫U1、妻U2の自宅にある情報処理装置1Xの制御部MCは、ユーザU4がお墓に行った旨を特定する情報を、通信部37を用いて受信すると、受信した情報に応じて発話する処理を行う。制御部MCは、例えば、「今日、息子さんはお墓参りに行ったみたい。」という発話をするとよい。このようにするメリットとしてお墓参りなど家族として大事なことをやってくれているとの安心感を得られる。
【0196】
情報処理装置1Xは、通信端末300-4からの情報を受信すると、その情報に基づいて墓参りであることを発話してもよいが、例えば、時期的に墓参りの時期(例えば、お彼岸の時期)である場合に、お墓参りに関する発話をしてもよい。言い換えると、制御部MCは、お墓に行った旨を特定する情報を受信した場合でも、時期的に墓参りの時期でないときには、お墓参りに関する発話をしない、又は「お墓の近くに行ったみたいだよ。」という具合に実際にお墓参りをしたことを含まない表現の発話としてもよい。
【0197】
(動作例2)
孫であるユーザU3、又はは子供であるユーザU4が、スポーツ大会に出場する場合を考える。この場合、通信端末300-3、又は300-4の制御部301は、位置情報取得部306により現在の位置情報を測定し、アプリケーション305Aに基づいて、ユーザU3又はU4がスポーツ大会に出場した旨を特定する情報を、通信部303を用いて情報処理装置1Xに送信する。制御部301は、スポーツ大会に出場したことを、現在の位置情報と、事前に登録しておいた位置情報との位置関係(例えば同一性)に基づいて判定するとよい。祖父母である夫U1、妻U2の自宅にある情報処理装置1Xは、ユーザU3又はU4がスポーツ大会に出場した旨を特定する情報を、通信部37を用いて受信すると、受信した情報に応じて発話する処理を行う。制御部MCは、例えば、「今日は〇〇にいたみたい。大会だったのかな?」と発話するとよい。情報処理装置1Xの制御部MCは、スポーツ大会に関連づく競技場等に長時間いることを条件として、スポーツ大会に出場した旨を特定する情報を送信してもよい。なお、競技場などのように場所の属性がユーザ特有のものではなく、どのユーザにとっても共通である場合は、アプリケーション305Aにあらかじめ登録されていたり、例えば所定の地図データ(例えば、Google Map(登録商標)等の地図サービスに係る地図データ)から取得されてもよい。
【0198】
あるいは、制御部MCは、通信端末300-3又は300-4のユーザのスケジュールを取得し、通信端末300-3又は300-4-の現在位置とスケジュールに関する内容を発話する第3の発話処理を行ってもよい。このようにすると、通信端末300-3又は300-4のユーザのスケジュールから特定される行動を反映して、通信端末300-3又は300-4の現在位置とスケジュールとに関する内容の発話をすることができる。例えば、制御部301は、スケジュールに、通信端末300-3又は300-4の現在位置と関連するイベントが含まれている場合には、そのイベントに参加したことを特定する情報を、情報処理装置1Xに送信するとよい。例えば、制御部MCは、スケジュールに、ある日時にスポーツ大会が登録されていれば、その日時においてスポーツ大会に関する発話をするとよい。
【0199】
以上の動作例1、2で説明した場所の属性やイベント、発話の内容は一例に過ぎない。これと同様に、制御部MCは、所定の通信端末の位置情報と所定の位置との位置関係に基づいて、当該所定の位置に関する発話をするとよく、例えば、その位置で行われるイベントに関する発話をするとよい。さらに、制御部MCは、時期を考慮して発話内容を決定するとよい。さらに、制御部MCは、その発話の内容の信ぴょう性をより高めるために、携帯端末のユーザのスケジュールを取得して、その発話をするかどうかを判断するとよい。
【0200】
なお、動作例1、2では、通信端末300-3、300-4が車両500に乗せられた状態で移動し、情報処理装置1Xに発話させるための情報を送信する場合を説明したが、車両500での移動に限らず、徒歩その他の方法の移動手段が用いられてもよい。また、通信端末300-3、300-4に代えて、ドライブレコーダ、ナビゲーション装置、レーダー探知機等の車両500に取り付けて使用される車載機器によって、同様の機能が実現されてもよい。あるいは、通信端末300-3,300-4に代えて情報処理装置1Yが車両500に乗せられてダッシュボート上等に取り付けられ、情報処理装置1Yが情報処理装置1Xに発話させるための情報を送信してもよい。
【0201】
(動作例3)
(動作例1)の補足として、通信端末300-3の位置情報と300-4の位置情報とが所定の位置関係を有する場合は、制御部MCは、そのような所定の位置関係である場合に特有の発話をしてもよい。所定の位置関係としては、例えば同じ場所にあることとするとよい。例えば、通信端末300-3と300-4との位置情報が、どちらも学校で同じ位置にあることを示す場合、情報処理装置1Xは「今日は授業参観だったのかな?」と発するとよい。
【0202】
さらに、制御部MCは、時期に応じた内容の発話をしてもよい。例えば、入学シーズンである場合、ユーザU3の帰宅時には、情報処理装置1Yは「入学おめでとう!」と発する第3の発話処理を行うとよい。さらに、祖父母宅にある情報処理装置1Xは、「〇〇君今日は入学式だったみたい!」と発するとよい。このようにすると、祖父母のメリットとしては離れて住む孫や子供の状況を知ることができるし、情報処理装置1X、1Yの双方のユーザにとってうれしいというメリットがある。
【0203】
また、逆に、ユーザU4が遠くから家に帰ってきて一人だった場合、情報処理装置1Yは、「とうとう〇〇は行っちゃったみたいだね。でも僕がいるから安心して!」(「〇〇」は、ユーザU3のこと)という励ますような発話(声掛け)をしてもよい。このようにすると、ユーザU4は少しはさみしくなくなる。情報処理装置1Yの制御部MCは、通信端末300-3の位置情報に基づいて、通信端末300-3のユーザU3が家にいないことを特定して、このような発話をするとよい。
【0204】
[第4実施形態]
本実施形態の情報処理装置1X、1Y、及び通信端末300の構成は、上述した第3実施形態と同じでよい。本実施形態では、図29に示すように、情報処理装置1Yが車両500に乗せられてダッシュボート上等に取り付けて使用される。取り付けの方法は特に問わないが、例えば、両面テープ等の接着性又は粘着性を有する取付部材や、ブラケット等と呼ばれる取付部材が用いられるとよい。情報処理装置1Yは、位置情報取得部306と同様の位置情報取得部(図示略)を有するとよい。
【0205】
本実施形態において、情報処理装置1Yの制御部MCは、対話機能の一つとして、自装置(言い換えると、情報処理装置1Yの筐体)の現在位置の位置情報に基づいて、当該現在位置に関する内容を発話する処理である第4の発話処理を行う。このようにすると、情報処理装置1Yが現在位置に関する内容の発話を行うので、現在位置がどのような場所であるかを知らせることができる。特に、制御部MCは、発話の内容としては、現在位置がどのような場所であるかという現在位置の属性に関する内容が含まれているとよい。
【0206】
情報処理装置1Yの制御部MCは、例えば、車両500に乗せられた状態で、自装置の位置情報取得部を用いて、自装置の現在位置(車両500の現在位置、ユーザU3、U4の現在位置と言い換えてもよい。)の位置情報を取得し、メモリに逐次記憶させておく。この際、制御部MCは、位置情報とともに、その位置の属性を対応付けて記憶させるとよい。属性については、所定の地図データ(例えば、Google Map(登録商標)等の地図サービスに係る地図データ)から取得されてもよい。属性としては、例えば、その位置にある施設等で、例えば公園や史跡等がある。
【0207】
制御部MCは、自装置の位置情報取得部を用いて、自装置の現在位置の位置情報を取得し、その位置情報と、メモリに記憶しておいた位置情報、さらにはその位置の属性に応じて発話する処理を行う。制御部MCは、例えば、2回目以降に同じ場所を再び訪れた場合は、「わぁここは〇〇がはじめて連れて行ってくれた公園だね!」とか、「この道は〇〇と初めてドライブした道だね!」等の発話をするとよい。
【0208】
また、情報処理装置1Yの制御部MCは、子供であるユーザU4の出生地情報と現在の位置情報との位置関係に基づいて、ユーザU4の出生地の近くに立ち寄った場合、「ここは〇〇くんが生まれた場所の近くだよ。」と発してもよい。なお、出生地等のユーザに関連する属性については、あらかじめ情報処理装置1Yに登録されてメモリに記憶されているとよい。
【0209】
このようにすると、ユーザは、情報処理装置1と一緒に出掛け、コミュニケーションをとっているような感覚を得ることができる。本実施形態において、ユーザにとっては、情報処理装置1Yに覚えておいてほしくない場所があることもあると考えられる。そこで、情報処理装置1Yの制御部MCは、ユーザ(例えば、ユーザU3又はU4)の操作に応じて、メモリに記憶しておいた位置(場所)に関する情報を削除する機能か、又はメモリに記憶しておいた位置に基づく発話(つまり、思い出を共有する機能)を停止する機能を実行すると特によい。制御部MCは、所定の削除メニュー又は共有停止のメニューを表示させて、ユーザが設定できるようにしてもよい。
【0210】
[第5実施形態]
本実施形態では、図30に示すシステム構成のように、祖父母である夫U1又は妻U2が、通信端末300Xを所有しているものとする。通信端末300Xは、例えば、通信端末300と同様の構成を有するとよい。通信端末300Xの制御部301は、アプリケーション305Aを用いて、位置情報取得部306で取得された現在位置の位置情報を逐次メモリ記録させる。通信端末300Xの制御部301は、夫U1又は妻U2が帰宅して情報処理装置1Xに近づくと、通信部303を用いて、情報処理装置1Xに、記録しておいた位置情報を送信する(共有させる)。この送信は、情報処理装置1Xから所定距離範囲内に通信端末300Xが存在する場合に行うようにするとよい。そのため、通信端末300Xと情報処理装置1Xとの通信は、通信可能距離が制限されている近距離無線通信や無線LAN通信等が用いられてもよい。制御部MCは、通信部37を用いて、通信端末300Xからの情報を受信する。
【0211】
そして、情報処理装置1Xの制御部MCは、遠方にいる家族であるユーザU3の情報処理装置1Y宛てに、通信端末300Xから取得した位置情報を送信する。情報処理装置1Yの制御部MCは、「今日はおじいちゃんたち〇〇に行ったみたい」(「〇〇」は場所を示す。)と通知をするとよい。位置情報と場所(位置の属性)との関係は、上述した第3、第4実施形態と同様の方法で特定されるとよい。例えば、場所の属性として、病院を登録しておけば、祖父母がちゃんと病院にいったとかの情報共有も可能にすることができる。
【0212】
また、祖父母の通信端末300X(例えばスマホアプリ)と、情報処理装置1Xとの通信による接続(リンクといってもよい。)が一定時間ない場合には、情報処理装置1Xの制御部MCは、情報処理装置1Yへ通知する。そして、情報処理装置1Yの制御部MCは、「おじいちゃん〇時間家にいないみたい。」という内容の発話をして、不在である旨をユーザU3、U4に知らせてもよい。このようにするメリットとして、痴呆で行方不明になったときの捜索場所の情報にすることもできる。また、普段からの位置情報の履歴を情報処理装置1Yに共有し、情報処理装置1Yが「よくこの公園にいるみたい」や「本屋にいるみたい」のように、場所を特定する発話をすると、家族は捜索しやすくなる。
【0213】
本実施形態では、情報処理装置1Yが位置情報を受信し通知していたが、通信端末300(300-3、300-4)が位置情報を受信し通知をしてもよい。また、通信端末300Xが、情報処理装置1Y又は通信端末300(300-3、300-4)に直接、位置情報を送信してもよい。この場合、情報処理装置1Yと通信端末300Xとの位置関係によらず位置情報を通知してもよい。
【0214】
[第6実施形態]
本実施形態は、第5実施形態と同様の図30に示すシステム構成を前提とする。祖父母の通信端末300Xの制御部301は、自装置に内蔵する電池(バッテリといってもよい。)の残量を測定して、測定した電池残量を、通信部303を用いて情報処理装置1Xに送信する。この送信は、上述した第5実施形態と同様、情報処理装置1Xから所定距離範囲内に通信端末300Xが存在する場合に行うようにするとよい。情報処理装置1Xの制御部MCは、受信した電池残量を、情報処理装置1Yに送信するとよい。情報処理装置1Yは、電池残量の情報をユーザU3に通知する。例えば、制御部MCは、発話、タッチパネル部67への表示その他の方法により通知するとよい。このような通信端末300Xの電池残量の測定、及び通知は、15分毎等所定時間ごとに逐次行われるようにして、定期的に電池残量を確認できるようにするとよい。
【0215】
情報処理装置1Yにおいて制御部MCは、通信端末300Xの電池残量に応じて、夫U1や妻U2の安否を気遣う発話をしてもよい。例えば、制御部MCは、電池残量を夜間にやっても受信しなかったり、所定時間継続して受信しなかったりした場合は、「夜間なのに帰ってないのかな」や「ずっとおじいちゃんたちからのお知らせが無くて心配」等の発話をしてもよい。また、制御部MCは、電池残量が時間の経過とともに減少していき電池残量の通知がなくなった場合には、自然に通信端末30Xの電源が切れたとして、その旨をユーザU3に通知してもよい。ユーザU3のような遠方に離れた家族は、「自然に電池がなくなる…ってことは何か家であったのかな?」等の推測をすることができ、遠方に居る祖父母等の自宅内での事故その他の問題の発生を未然に防ぐことができる。
【0216】
本実施形態では、情報処理装置1Yが電池残量を受信し通知をしていたが、通信端末300(300-3、300-4)が電池残量を受信し通知をしてもよい。また、通信端末300Xが、情報処理装置1Y又は通信端末300(300-3、300-4)に直接、電池残量を送信してもよい。この場合、情報処理装置1Yと通信端末300Xとの位置関係によらず電池残量を通知してもよい。
【0217】
[7.変形例]
本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。以下は、本発明の変形例の一例である。
【0218】
上述した実施形態で説明した情報処理装置1の対話機能の一部を有しない構成としてもよい。例えば、情報処理装置1は、収集機能を実行しない構成とし、死亡後対話機能においては、製品出荷前にメモリにあらかじめ記憶しておいた発話用データに基づいて、実施形態と同様の趣旨の発話をしてもよい。あるいは、収集機能がAIスピーカなど、情報処理装置1以外の装置により実現されてもよい。また、情報処理装置1で実行していた機能の一部が、外部装置、例えばサーバ装置で実行されてもよい。例えば、対話内容の解析機能等、対話内容の検知、及び発話以外の機能が、情報処理装置1の外部に実装されると、情報処理装置1の機能構成を簡単にすることができる。
【0219】
これ以外にも、上述した実施形態で情報処理装置1が有していた要素の一部が外部要素により実現されてもよいし、通信端末300が有していた要素の一部が外部要素により実現されてもよい。例えば、動体検知機能が情報処理装置1の外部の装置により実現されてもよい。情報処理装置1の物理的構成は適宜変更されてよく、そのような変形例の一部を説明すると以下のとおりである。
【0220】
動体の検知の方法は、上述した実施形態で説明した方法に限られない。動体の検知はドップラセンサ以外のセンサが用いられてもよく、電磁波として赤外光を発する赤外センサ、電磁波として超音波を発する超音波センサ等が用いられてもよい。また、カメラ98の撮影画像やその他のカメラの撮影画像を解析して動体を検知する技術が用いられてもよい。また、制御部MCは、マイクロフォンにより収音した音に基づいて、人の声や、足音等の所定の音を検知した場合に、動体を検知したかどうかを判定してもよい。
【0221】
顔部62には、表示及び操作を受け付ける機能を実行するタッチパネル部67が用いられていたが、これに代えて、操作部は物理ボタンその他の操作手段とし、顔部62には表示部のみが設けられてもよい。また、顔部62は、顔画像を表示することによって複数の表情を表現していたが、物理的な構成により複数の表情を表現してもよい。例えば、目を階へ開閉する機構や口を開閉する機構等を組み合わせて複数の表情を表現できるからである。また、上述した実施形態で音の到来方向に応じて顔部の向きを変更していたが、これに代えて又は組み合わせて目の視線を音の到来方向に応じて変更する構成が採用されてもよい。
【0222】
胴体部2を構成する固定部2Aと可動部2Bの筐体形状については上記は一例であり、他の形状で構成することも可能である。
第1~第3のモータ43、85、92はステッピングモータ以外の他の駆動手段を使用するようにしてもよい。他の駆動手段とは、例えばサーボモータや油圧シリンダ、空圧シリンダ等である。
第1の収容部73と第2の収容部74は、頭部3を正面側から目視した際にあたかも「耳」や「角」のように理解されるが、例えば顔部62を円形ではなく円形部分の一部に斜め上方に突出する部分を設け、その部分を「耳」としてあたかも顔部62の一部として同一面上に構成するようにしてもよい。つまり、顔部62と「耳」を分けなくともよい。
第1の収容部73と第2の収容部74に収容される照明部77、78を頭部3の顔部62内、あるいは頭部3以外の別位置に配置し、頭部3にこの第1の収容部73と第2の収容部74のような突部を設けずにかえって顔部62が回転していることをわかりにくくしてもよい。
3軸は直交していたが、直交していなくともよい。第1の軸Pと第2の軸Qとは同一平面上に存在していなくともよい。第3の軸Rと第2の軸Qとは同一平面上に存在していなくともよい。
顔部62は頭部3と第1の回転をするが、その際に顔画像に表示される目を回転させないような制御も可能である。つまり、制御部MCは第3のモータ92を制御する際に、その回転量に応じて顔画像の表示を傾けて常に目が水平に配置されるように制御するようにしてもよい。これによって、顔部62が回転しても顔部62の構成要素である「目」自体は基本位置のままで表示される。これによって頭部3だけが独立して回転しているような不思議な印象をあたえることができる。
3つ以外の数の複数のマイクロフォンを使って音源方向を求めるようにしてもよい。
マイクロスイッチ54、91、103以外の検出手段として、例えばリミットスイッチや近接スイッチ等を用いてもよい。
上記では頭部3自体は2つの軸回りでの回転動作であったが、頭部3自体を3軸回りで動かす構成としてもよい。
胴体部2内の頭部3の下部に球面状の部分を設け、その部分を曲面モータで2軸ないし3軸回りに動かすようにしてもよい。
例えば曲面リニアモーターを使い、リニアモーターで頭部3を浮上させ、左右上下回転を自在に動かすようにしてもよい。個々の電磁石のONオン/オフ、S/N反転、磁力の強弱を制御するようにしてもよい。
頭部3は、リンク又は紐等で回転駆動するようにしてもよい。カム駆動としてもよい。球面関節制御、特に広角球面間接制御にて頭部3を回転させるようにしてもよい。
ヘリコプターのスタビライザー式で主翼の回転面=例えば頭部3の一つの軸の回転方向(例えば頭部3の直径面)としてもよい。頑丈なサーボホーンとロッドエンドボールエンドを使うとよい。よりスムースな動きにするために構造的に可能な限り長いサーボホーンを使うとよい。頭の直径面は金属部品の方がよい。ただし、色々な部品が詰め込まれるので円形にする必要は無い。サーボホーン、ロッドエンドボールエンド、直径面以外にサーボモータ又はステッピングモータの回転軸に力が掛かるので、回転軸をサポートする機構を設けると良い。胴体の凹球面と頭の凸球面の勘合を合わせるのは難しいので、胴体と頭を1~2mm離した方がよい。ヘリの構造であれば、頭の上下左右の傾きに加えて頭の回転も可能となる。
【0223】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0224】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0225】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品・画像等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0226】
1 :情報処理装置
1A :本体
2 :胴体部
3 :頭部
34 :ドップラセンサ
37 :通信部
38 :第1の基板
39 :第2の基板
40 :第3の基板
41 :第4の基板
42 :マイクロフォン
45 :ベアリングセット
45a :内ベアリング
45b :外ベアリング
52 :モジュール
56 :スピーカ装置
67 :タッチパネル部
77 :照明部
78 :照明部
96 :第5の基板
107 :顔画像
107A :顔画像
107B :顔画像
201 :マイクロフォン
202 :マイクホルダ
203 :第6の基板
204 :ベースフレーム
204a :本体
204b :アーム
205A :アプリケーション
210 :反射体
211 :第1の部位
212 :第2の部位
213 :第3の部位
300 :通信端末
301 :制御部
302 :音声入出力部
303 :通信部
304 :UI部
305 :記憶部
305A :アプリケーション
306 :位置情報取得部
400 :アプリ画面
401 :カメラ調整画面
470 :指示画像
480 :通話画面
481 :撮影画像表示領域
491 :通知画面
492 :通知画面
1000 :システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30