IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元工業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社秋田新電元の特許一覧

特開2024-175365ウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法
<>
  • 特開-ウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法 図1
  • 特開-ウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法 図2
  • 特開-ウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法 図3
  • 特開-ウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法 図4
  • 特開-ウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法 図5
  • 特開-ウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175365
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20241211BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H01L21/306 K
H01L21/304 642A
H01L21/304 651D
H01L21/304 648G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093100
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591132955
【氏名又は名称】株式会社秋田新電元
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】塚本 英之
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨 悟
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043EE01
5F043EE35
5F043EE40
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB42
5F157BB02
5F157BB08
(57)【要約】
【課題】ウェーハを均一性良く処理液で処理するために、処理液槽内でウェーハを回転させるウェーハ回転部材を提供する。
【解決手段】本発明は、ウェーハを処理液槽に入れるためのウェーハキャリア内で前記ウェーハを回転させる回転軸11と、前記回転軸11に配置され、前記ウェーハキャリアの外側に位置し、前記処理液槽内で処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸11を回転させる抵抗部材12と、前記回転軸11に形成され、前記ウェーハキャリア内で前記ウェーハを支持する溝13を有するウェーハ回転部材である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを処理液槽に入れるためのウェーハキャリア内で前記ウェーハを回転させる回転軸と、
前記回転軸に配置され、前記ウェーハキャリアの外側に位置し、前記処理液槽内で処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させる抵抗部材と、
前記回転軸に形成され、前記ウェーハキャリア内で前記ウェーハを支持する溝と、
を有することを特徴とするウェーハ回転部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記抵抗部材は、前記回転軸の長手方向に対して垂直方向に前記回転軸から延びた処理液抵抗部を有し、
前記処理液抵抗部は、前記処理液に対する浮力及び抗力を発生させる形状を有していることを特徴とするウェーハ回転部材。
【請求項3】
請求項2において、
前記ウェーハキャリアに前記回転軸が回転可能に設置され、前記ウェーハが前記回転軸に支持された前記ウェーハキャリアを前記処理液槽の前記処理液に浸漬させる際に、前記処理液抵抗部は、重力方向の厚みより重力方向に対して垂直方向の幅が広く形成されていることを特徴とするウェーハ回転部材。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記処理液抵抗部は、L字形状を有することを特徴とするウェーハ回転部材。
【請求項5】
請求項2又は3において、
前記処理液抵抗部は、第1の処理液抵抗部及び第2の処理液抵抗部を有し、
前記第2の処理液抵抗部は、前記第1の処理液抵抗部より短く下方に延びた形状を有することを特徴とするウェーハ回転部材。
【請求項6】
請求項2又は3において、
前記処理液抵抗部の先端側はスプーン形状を有し、前記スプーン形状はスプーンが下向きになるような形状であることを特徴とするウェーハ回転部材。
【請求項7】
請求項2又は3において、
前記抵抗部材は、前記回転軸から延びた前記処理液抵抗部と反対側に前記回転軸から延びた前記処理液抵抗部より短い部材を有することを特徴とするウェーハ回転部材。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項において、
前記処理液がエッチング液であることを特徴とするウェーハ回転部材。
【請求項9】
ウェーハを処理液槽に入れるためのウェーハキャリアであって、
キャリア本体と、
前記キャリア本体の底部に配置され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを回転させる回転軸と、
前記回転軸に配置され、前記キャリア本体の外側に位置し、前記処理液槽内で処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させる抵抗部材と、
前記回転軸に形成され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを支持する溝と、
を有することを特徴とするウェーハキャリア。
【請求項10】
処理液を入れる処理液槽と、
前記処理液槽にウェーハを入れるためのウェーハキャリアと、
前記ウェーハキャリアを前記処理液槽内で上下に移動させる上下移動機構と、を有し、
前記ウェーハキャリアは、
キャリア本体と、
前記キャリア本体の底部に配置され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを回転させる回転軸、
前記回転軸に配置され、前記キャリア本体の外側に位置し、前記処理液槽内で前記処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させる抵抗部材と、
前記回転軸に形成され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを支持する溝と、
を有することを特徴とするウェーハ処理装置。
【請求項11】
処理液が入れられた処理液槽に、ウェーハが支持されたウェーハキャリアを浸漬する工程(a)と、
前記ウェーハキャリアを前記処理液槽内で上下に移動させることで、前記ウェーハを前記処理液により処理する工程(b)と、を有し、
前記ウェーハキャリアは、
キャリア本体と、
前記キャリア本体の底部に配置され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを回転させる回転軸と、
前記回転軸に配置され、前記キャリア本体の外側に位置し、前記処理液槽内で前記処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させる抵抗部材と、
前記回転軸に形成され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを支持する溝と、を有し、
前記工程(b)は、前記ウェーハキャリアを前記処理液槽内で上下に移動させることで、前記抵抗部材が前記処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させ、前記キャリア本体内で前記ウェーハを回転させ、前記ウェーハを前記処理液により処理する工程であることを特徴とするウェーハ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メサ型ダイオードを製造する工程には、ウェーハを処理液で処理する工程、例えば薬液を混合したエッチング液を用いてシリコンをエッチングする工程がある。この工程は、レジストでパターニングされたシリコンウェーハをキャリアに入れ、そのキャリアをエッチング液槽に浸漬し、所望の深さまでエッチングを行う工程である。この工程では、シリコンをエッチングする際、所望の深さまで均一にエッチングする必要がある。この技術に関連する事項が特許文献1に記載されている。
【0003】
しかし、上記のエッチング工程において、十分に均一にエッチングできないことがある。
そこで、ウェーハを均一性良く処理液で処理することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-80714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の種々の態様は、ウェーハを均一性良く処理液で処理するために、処理液槽内でウェーハを回転させるウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0007】
[1]ウェーハを処理液槽に入れるためのウェーハキャリア内で前記ウェーハを回転させる回転軸と、
前記回転軸に配置され、前記ウェーハキャリアの外側に位置し、前記処理液槽内で処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させる抵抗部材と、
前記回転軸に形成され、前記ウェーハキャリア内で前記ウェーハを支持する溝と、
を有することを特徴とするウェーハ回転部材。
【0008】
本発明の一態様に係る上記[1]のウェーハ回転部材は、処理液槽内で処理液に対する浮力及び抗力を利用して回転軸を回転させる抵抗部材を有する。このため、回転軸に形成された溝にウェーハを支持したウェーハキャリアを処理液槽に入れ、処理液槽内でウェーハキャリアを移動させることで、抵抗部材に処理液に対する浮力及び抗力が加えられ、回転軸が回転する。これにより、ウェーハキャリア内でウェーハを回転させることができる。
【0009】
[2]上記[1]において、
前記抵抗部材は、前記回転軸の長手方向に対して垂直方向に前記回転軸から延びた処理液抵抗部を有し、
前記処理液抵抗部は、前記処理液に対する浮力及び抗力を発生させる形状を有していることを特徴とするウェーハ回転部材。
【0010】
[3]上記[2]において、
前記ウェーハキャリアに前記回転軸が回転可能に設置され、前記ウェーハが前記回転軸に支持された前記ウェーハキャリアを前記処理液槽の前記処理液に浸漬させる際に、前記処理液抵抗部は、重力方向の厚みより重力方向に対して垂直方向の幅が広く形成されていることを特徴とするウェーハ回転部材。
【0011】
本発明の一態様に係る上記[3]によれば、処理液抵抗部が重力方向の厚みより重力方向に対して垂直方向の幅を広く形成しているため、処理液槽内でウェーハキャリアを上下に移動させることで、処理液抵抗部に処理液に対する浮力及び抗力が加えられ、回転軸が回転する。これにより、ウェーハキャリア内でウェーハを回転させることができる(図1(A)、(B)参照)。
【0012】
[4]上記[2]又は[3]において、
前記処理液抵抗部は、L字形状を有することを特徴とするウェーハ回転部材。
なお、本明細書において「L字形状」とは、Lが完全な直角部分を有するもののみを含むのではなく、Lの直角部分が曲線となるようなものも含む意味である。

[5]上記[2]又は[3]において、
前記処理液抵抗部は、第1の処理液抵抗部及び第2の処理液抵抗部を有し、
前記第2の処理液抵抗部は、前記第1の処理液抵抗部より短く下方に延びた形状を有することを特徴とするウェーハ回転部材。
[6]上記[2]又は[3]において、
前記処理液抵抗部の先端側はスプーン形状を有し、前記スプーン形状はスプーンが下向きになるような形状であることを特徴とするウェーハ回転部材。
[7]上記[2]又は[3]において、
前記抵抗部材は、前記回転軸から延びた前記処理液抵抗部と反対側に前記回転軸から延びた前記処理液抵抗部より短い部材を有することを特徴とするウェーハ回転部材。
【0013】
[8]上記[1]から[3]のいずれか一項において、
前記処理液がエッチング液であることを特徴とするウェーハ回転部材。
【0014】
本発明の一態様に係る上記[5]のウェーハ回転部材では、処理液がエッチング液であるため、ウェーハを均一性良くエッチングすることが可能となる。
【0015】
[9]ウェーハを処理液槽に入れるためのウェーハキャリアであって、
キャリア本体と、
前記キャリア本体の底部に配置され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを回転させる回転軸と、
前記回転軸に配置され、前記キャリア本体の外側に位置し、前記処理液槽内で処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させる抵抗部材と、
前記回転軸に形成され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを支持する溝と、
を有することを特徴とするウェーハキャリア。
【0016】
[10]処理液を入れる処理液槽と、
前記処理液槽にウェーハを入れるためのウェーハキャリアと、
前記ウェーハキャリアを前記処理液槽内で上下に移動させる上下移動機構と、を有し、
前記ウェーハキャリアは、
キャリア本体と、
前記キャリア本体の底部に配置され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを回転させる回転軸と、
前記回転軸に配置され、前記キャリア本体の外側に位置し、前記処理液槽内で前記処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させる抵抗部材と、
前記回転軸に形成され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを支持する溝と、
を有することを特徴とするウェーハ処理装置。
【0017】
本発明の一態様に係る上記[7]のウェーハ処理装置は、処理液槽内で処理液に対する浮力及び抗力を利用して回転軸を回転させる抵抗部材を有する。このため、回転軸に形成された溝にウェーハを支持したウェーハキャリアを処理液槽に入れ、処理液槽内でウェーハキャリアを上下移動機構により上下に移動させることで、抵抗部材に処理液に対する浮力及び抗力が加えられ、回転軸が回転する。これにより、ウェーハキャリア内でウェーハを回転させることができ、ウェーハを均一性良く処理液で処理することができる。
【0018】
[11]処理液が入れられた処理液槽に、ウェーハが支持されたウェーハキャリアを浸漬する工程(a)と、
前記ウェーハキャリアを前記処理液槽内で上下に移動させることで、前記ウェーハを前記処理液により処理する工程(b)と、を有し、
前記ウェーハキャリアは、
キャリア本体と、
前記キャリア本体の底部に配置され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを回転させる回転軸と、
前記回転軸に配置され、前記キャリア本体の外側に位置し、前記処理液槽内で前記処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させる抵抗部材と、
前記回転軸に形成され、前記キャリア本体内で前記ウェーハを支持する溝と、を有し、
前記工程(b)は、前記ウェーハキャリアを前記処理液槽内で上下に移動させることで、前記抵抗部材が前記処理液に対する浮力及び抗力を利用して前記回転軸を回転させ、前記キャリア本体内で前記ウェーハを回転させ、前記ウェーハを前記処理液により処理する工程であることを特徴とするウェーハ処理方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明の種々の態様によれば、ウェーハを均一性良く処理液で処理するために、処理液槽内でウェーハを回転させるウェーハ回転部材、ウェーハキャリア、ウェーハ処理装置及びウェーハ処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(A)は本発明の一態様に係るウェーハ回転部材を正面から視た図であり、(B)は(A)に示すウェーハ回転部材を側面から視た図である。
図2】本発明の一態様に係るウェーハキャリアを正面から視た模式図である。
図3】(A)~(C)は、ウェーハ処理装置によってウェーハを処理する方法を示す模式図である。
図4】本実施形態の第1の変形例によるウェーハ回転部材を示す模式図である。
図5】本実施形態の第2の変形例によるウェーハ回転部材を示す模式図である。
図6】本実施形態の第3の変形例によるウェーハ回転部材を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
図1(A)は、本発明の一態様に係るウェーハ回転部材を正面から視た図であり、図1(B)は、図1(A)に示すウェーハ回転部材を側面から視た図である。
図2は、本発明の一態様に係るウェーハキャリアを正面から視た模式図である。図2に示すウェーハキャリア30は、図1(A)、(B)に示すウェーハ回転部材12が設置され、ウェーハ10が保持された状態を示している。
図3(A)~(C)は、ウェーハ処理装置によってウェーハを処理する方法を示す模式図である。
【0023】
図1(A)、(B)に示すウェーハ回転部材は回転軸11を有している。この回転軸11は、図2に示すウェーハ10を処理液槽20に入れるためのウェーハキャリア30内でウェーハ10を回転させるものである。この回転軸11には抵抗部材12が配置されている。この抵抗部材12は、図2及び図1(B)に示すようにウェーハキャリア30の外側に位置している。この抵抗部材12によって図3(B)、(C)に示すように処理液槽20内で処理液21に対する浮力22及び抗力23を利用して回転軸11を回転させることができるようになっている。回転軸11には、図1(B)に示すようにウェーハキャリア30内でウェーハ10を支持するウェーハセット溝13が複数形成されている。複数のウェーハセット溝13の一方側(回転軸11の端部側)に抵抗部材12が回転軸11の長手方向に対して垂直方向に配置されている。つまり、複数のウェーハセット溝13の各々にウェーハキャリア30内でウェーハ10が支持され、処理液槽20内で抵抗部材12が回転することによって回転軸11が回転され、それによってウェーハ10がウェーハキャリア30内で回転するように構成されている(図3(B)、(c)参照)。
【0024】
上記のウェーハ回転部材は、処理液槽20内で処理液21に対する浮力22及び抗力23を利用して回転軸11を回転させる抵抗部材12を有する。このため、図3(A)に示すように、回転軸11に形成されたウェーハセット溝13にウェーハ10を支持したウェーハキャリア30を処理液槽20に入れ、図3(B)に示すように、ウェーハキャリア30を下方に移動させることで抵抗部材12に処理液21に対する浮力22が加えられ、図3(C)に示すように、ウェーハキャリア30を上方に移動させることで、抵抗部材12に処理液21に対する抗力23が加えられ、それによって矢印41、42のように回転軸11が回転する。これにより、ウェーハキャリア30内でウェーハ10を矢印43、44のように回転させることができる。
【0025】
図1(A)、(B)に示すように、抵抗部材12は、回転軸11の長手方向に対して垂直方向に回転軸11から延びた処理液抵抗部12aを有する。この処理液抵抗部12aは、処理液21に対する浮力22及び抗力23を発生させる形状を有している。
【0026】
上記の浮力22及び抗力23を発生させる形状とは、ウェーハキャリア30に回転軸11が回転可能に設置され、ウェーハ10が回転軸11に支持されたウェーハキャリア30を処理液槽20の処理液21に浸漬させる際に、図1(A)、(B)に示すように、処理液抵抗部12aが、重力方向45の厚み12bより重力方向45に対して垂直方向の幅12cが広く形成されているような形状であるとよい。このような形状とした場合、処理液槽20内でウェーハキャリア30を上下に移動させることで、処理液抵抗部12aに処理液21に対する浮力22及び抗力23が効率的に加えられ、回転軸11が回転する。これにより、ウェーハキャリア30内でウェーハ10を回転させることができる。
【0027】
抵抗部材12は、図1(A)に示すように、回転軸11から延びた処理液抵抗部12aと反対側に回転軸11から延びた処理液抵抗部12aより短い部材12dを有するとよい。このように部材12dを処理液抵抗部12aより短く形成することで、抵抗部材12を回転軸11に対して左右非対称にすることができる。これにより、処理液抵抗部12aに処理液21に対する浮力22及び抗力23をより効率的に加えることができ、回転軸11を効率よく回転さえることができる。
【0028】
また、処理液抵抗部12aは回転軸11から直線上に延びるより途中で重力方向45に曲げられた形状であるとよい。これにより、処理液抵抗部12aが回転軸11から直線上に延びる場合に比べて処理液抵抗部12aに処理液21に対する浮力22及び抗力23をより効率的に加えることができる。
【0029】
図3(A)~(C)に示す処理液21は例えばエッチング液であるとよい。この場合、ウェーハ回転部材によってウェーハ10を回転させながらエッチング処理することができる。このため、ウェーハ10を均一性良くエッチングすることが可能となる。
【0030】
上述したウェーハ回転部材をキャリア本体30aに取り付けたウェーハキャリア30について詳細に説明する。
【0031】
図2に示すように、ウェーハキャリア30はキャリア本体30aを有し、キャリア本体30aの底部にはキャリア本体30a内でウェーハ10を回転させる回転軸11が配置されている。回転軸11には、前述したようにキャリア本体30aの外側に位置し、処理液槽20内で処理液21に対する浮力22及び抗力23を利用して回転軸11を回転させる抵抗部材12が配置されている。この回転軸11には、前述したようにキャリア本体30a内でウェーハ10を支持する溝13が形成されている。
【0032】
上述したウェーハキャリア30を用いたウェーハ処理装置について図3を参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
ウェーハ処理装置は、処理液21を入れる処理液槽20と、この処理液槽20にウェーハ10を入れるためのウェーハキャリア30と、ウェーハキャリア30を処理液槽20内で上下に移動させる上下移動機構40を有している。このウェーハキャリア30の構成は、前述したとおりである。
【0034】
本実施形態によるウェーハ処理装置によれば、処理液槽20内で処理液21に対する浮力22及び抗力23を利用して回転軸11を回転させる抵抗部材12を有する。このため、回転軸11に形成された溝13にウェーハ10を支持したウェーハキャリア30を処理液槽20に入れ、処理液槽20内でウェーハキャリア30を上下移動機構40により上下に移動させることで、図3(B)、(C)に示すように抵抗部材12に処理液21に対する浮力22及び抗力23が加えられ、回転軸11が回転する。これにより、ウェーハキャリア30内でウェーハ10を回転させることができ、ウェーハ10を回転させない場合に比べてウェーハ10を均一性良く処理液で処理することができる。
【0035】
次に、上記のウェーハ処理装置を用いたウェーハ処理方法について説明する。
まず、図3(A)に示すように、処理液21が入れられた処理液槽20に、ウェーハ10が支持されたウェーハキャリア30を浸漬する(工程(a))。
【0036】
次いで、ウェーハキャリア30を処理液槽20内で上下に移動させることで、ウェーハ10を処理液21により処理する(工程(b))。ここでのウェーハキャリア30の構成は前述したとおりである。
【0037】
上記の工程(b)は、ウェーハキャリア30を上下移動機構40により処理液槽20内で上下に移動させることで、抵抗部材12が処理液21に対する浮力22及び抗力23を利用して回転軸11を回転させ、キャリア本体30a内でウェーハ10を回転させ、ウェーハ10を処理液21により処理する工程である。
【0038】
詳細には、図3(B)に示すように、ウェーハキャリア30を処理液槽20内で下方に移動させることで、処理液21に対する浮力22が抵抗部材12の処理液抵抗部12aに発生し、ウェーハ回転部材の回転軸11が矢印41のように回転する。これにより、キャリア本体30a内でウェーハ10を矢印43のように回転させることができる。次いで、図3(C)に示すように、ウェーハキャリア30を処理液槽20内で上方に移動させることで、処理液21に対する抗力23が抵抗部材12の処理液抵抗部12aに発生し、ウェーハ回転部材の回転軸11が矢印42のように回転する。これにより、キャリア本体30a内でウェーハ10を矢印44のように回転させることができる。このようなウェーハキャリア30の上下移動を繰り返すことにより、ウェーハ10を矢印43、44のように同一の回転方向に回転させながら処理液21により処理することができる。
【0039】
本実施形態によるウェーハ処理方法によれば、処理液槽20内でウェーハ10を回転させることで、ウェーハ10を均一性良く処理液21で処理することが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態では、図1(A)に示すウェーハ回転部材を用いているが、ウェーハ回転部材の形状はこれに限定されず、以下のように変更して実施することも可能である。
【0041】
図4は、本実施形態の第1の変形例によるウェーハ回転部材を示す模式図であり、図1(A)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
図4に示すウェーハ回転部材における回転軸11から延びた処理液抵抗部51は、回転軸11から延びる途中で重力方向45に直角に近い形状になるように大きく曲げられているとよい。この形状は視る方向を変えればL字形状である。これにより、処理液抵抗部12aに加えられる処理液21に対する浮力22及び抗力23をより大きくできることが期待される。
【0043】
図5は、本実施形態の第2の変形例によるウェーハ回転部材を示す模式図であり、図1(A)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
図5に示すウェーハ回転部材における抵抗部材12は、図1(A)に示す回転軸11から延びた処理液抵抗部12a(ここでは「第1の処理液抵抗部12a」とする)に加えて、回転軸11から第1の処理液抵抗部12aより短く下方に延びた第2の処理液抵抗部53を有する。第2の処理液抵抗部53についても、幅と厚みの関係は第1の処理液抵抗部12aと同様とする。これにより、処理液槽20内でウェーハキャリア30を上下に移動させることで、第1及び第2の処理液抵抗部12a、53に処理液21に対する浮力22及び抗力23を効率的に加えることが可能となる。
【0045】
図6は、本実施形態の第3の変形例によるウェーハ回転部材を示す模式図であり、図1(A)と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0046】
図6に示すウェーハ回転部材における回転軸11から延びた処理液抵抗部54の先端側は、スプーン形状を有している。このスプーン形状はスプーンが下向きになるような形状である。これにより、処理液抵抗部54に加えられる処理液21に対する浮力22及び抗力23をより大きくできることが期待される。
【符号の説明】
【0047】
10 ウェーハ
11 回転軸
12 抵抗部材
12a 処理液抵抗部材
12b 処理液抵抗部の重力方向の厚み
12c 処理液抵抗部の重力方向に対して垂直方向の幅
12d 回転軸から延びた処理液抵抗部より短い部材
13 溝
20 処理液槽
21 処理液
22 浮力
23 抗力
30 ウェーハキャリア
30a キャリア本体
40 上下移動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6