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特開2024-175369留置ブレーキ装置及び留置ブレーキシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175369
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】留置ブレーキ装置及び留置ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 15/36 20060101AFI20241211BHJP
   F16D 49/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B60T15/36 A
F16D49/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093107
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】黒光 将
【テーマコード(参考)】
3D049
3J058
【Fターム(参考)】
3D049AA04
3D049BB01
3D049CC03
3D049HH05
3D049HH20
3D049HH43
3D049HH45
3D049JJ07
3D049QQ01
3D049RR04
3J058AA03
3J058AA06
3J058AA13
3J058AA23
3J058AA28
3J058AA30
3J058AA33
3J058AA38
3J058BA16
3J058CC04
3J058CC07
3J058CC32
3J058CC72
3J058CC76
3J058CD03
3J058CD04
3J058DB21
3J058FA21
(57)【要約】
【課題】連結後に不緩解状態での車両の引きずりを防止する留置ブレーキ装置及び留置ブレーキシステムを提供する。
【解決手段】留置ブレーキ装置11及び留置ブレーキシステム10は、貨物列車1の付随車3に設けられ、付随車3を留置させる留置ブレーキの留置ブレーキ力をブレーキばね24によって付随車3の車輪を制動するブレーキ梃子32に出力するとともに、圧縮空気が供給されるとブレーキばね24の押付力をピストン22が打ち消す留置ブレーキシリンダ20と、付随車3が貨物列車1を構成する連結車4と連結されると、連結車4から引き通される空気溜め管5の圧縮空気を留置ブレーキシリンダ20に供給してピストン22がブレーキばね24の押付力を打ち消し、留置ブレーキを緩解させる切替弁13と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物列車の付随車に設けられ、前記付随車を留置させる留置ブレーキの留置ブレーキ力を弾性部材によって前記付随車の車輪を制動するブレーキ梃子に出力するとともに、圧縮空気が供給されると前記弾性部材の押付力をピストンが打ち消す留置ブレーキシリンダと、
前記付随車が前記貨物列車を構成する連結車と連結されると、前記連結車から引き通される空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダに供給して前記ピストンが前記弾性部材の押付力を打ち消し、前記留置ブレーキを緩解させる切替弁と、を備える
留置ブレーキ装置。
【請求項2】
前記切替弁は、
前記空気溜め管の圧力が入力されるパイロット圧力室と、
前記パイロット圧力室のパイロット圧力により、前記空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダと排気ポートとを導通させる排気位置から、前記空気溜め管と前記留置ブレーキシリンダとを導通させる供給位置に切り替えられる弁部と、を有する
請求項1に記載の留置ブレーキ装置。
【請求項3】
前記切替弁は、前記パイロット圧力が所定値未満であるときに前記排気位置になるように前記弁部を押し付けるばねを有する
請求項2に記載の留置ブレーキ装置。
【請求項4】
前記パイロット圧力室は、前記付随車内の前記空気溜め管の両端に設けられるコックの外側の配管と導通しており、
前記弁部を前記排気位置から前記供給位置に切り替える手動操作部を有する
請求項2に記載の留置ブレーキ装置。
【請求項5】
前記手動操作部は、操作レバーであって、
前記切替弁は、前記弁部を前記排気位置になるように押し付けるばねを有し、
前記操作レバーが操作されると、前記弁部が前記供給位置に押し付けられる
請求項4に記載の留置ブレーキ装置。
【請求項6】
前記空気溜め管の圧力を検知する検知部と、
前記切替弁を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検知部が検知した前記空気溜め管の圧力が所定圧力以上となると、前記空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダに供給するように前記切替弁を切り替える
請求項1に記載の留置ブレーキ装置。
【請求項7】
貨物列車の付随車の車輪に押し付けられる摩擦材と、
前記摩擦材を押し付けるブレーキ梃子と、
前記付随車を留置させる留置ブレーキの留置ブレーキ力を弾性部材によって前記ブレーキ梃子に出力するとともに、圧縮空気が供給されると前記弾性部材の押付力をピストンが打ち消す留置ブレーキシリンダと、
前記付随車が前記貨物列車を構成する連結車と連結されると、前記連結車から引き通される空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダに供給して前記ピストンが前記弾性部材の押付力を打ち消し、前記留置ブレーキを緩解させる切替弁と、を備え、
前記切替弁は、
前記空気溜め管の圧力が入力されるパイロット圧力室と、
前記パイロット圧力室の圧力により、前記空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダと排気ポートとを導通させる排気位置から、前記空気溜め管と前記留置ブレーキシリンダとを導通させる供給位置に切り替えられる弁部と、を有する
留置ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留置ブレーキ装置及び留置ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の手ブレーキ装置は、牽引車により牽引される各貨車に設けられている。作業員が手ブレーキ装置を操作することで貨車の留置ブレーキとして使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-37067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の手ブレーキ装置は、作業員が列車の発車前に全ての手ブレーキ装置が完全に緩解されているか否かを目視で確認している。このため、作業員の確認漏れによって、手ブレーキ装置が不緩解状態で車両が出発する車両の引きずりが発生するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する留置ブレーキ装置は、貨物列車の付随車に設けられ、前記付随車を留置させる留置ブレーキの留置ブレーキ力を弾性部材によって前記付随車の車輪を制動するブレーキ梃子に出力するとともに、圧縮空気が供給されると前記弾性部材の押付力をピストンが打ち消す留置ブレーキシリンダと、前記付随車が前記貨物列車を構成する連結車と連結されると、前記連結車から引き通される空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダに供給して前記ピストンが前記弾性部材の押付力を打ち消し、前記留置ブレーキを緩解させる切替弁と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、付随車が連結車に連結されることで空気溜め管に導入された圧縮空気を利用して、留置ブレーキシリンダに圧縮空気を供給することで、自動で留置ブレーキを緩解することができ、連結後に不緩解状態での車両の引きずりを防止することができる。
【0007】
上記留置ブレーキ装置について、前記切替弁は、前記空気溜め管の圧力が入力されるパイロット圧力室と、前記パイロット圧力室のパイロット圧力により、前記空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダと排気ポートとを導通させる排気位置から、前記空気溜め管と前記留置ブレーキシリンダとを導通させる供給位置に切り替えられる弁部と、を有することが好ましい。
【0008】
上記留置ブレーキ装置について、前記切替弁は、前記パイロット圧力が所定値未満であるときに前記排気位置になるように前記弁部を押し付けるばねを有することが好ましい。
上記留置ブレーキ装置について、前記パイロット圧力室は、前記付随車内の前記空気溜め管の両端に設けられるコックの外側の配管と導通しており、前記弁部を前記排気位置から前記供給位置に切り替える手動操作部を有することが好ましい。
【0009】
上記留置ブレーキ装置について、前記手動操作部は、操作レバーであって、前記切替弁は、前記弁部を前記排気位置になるように押し付けるばねを有し、前記操作レバーが操作されると、前記弁部が前記供給位置に押し付けられることが好ましい。
【0010】
上記留置ブレーキ装置について、前記空気溜め管の圧力を検知する検知部と、前記切替弁を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部が検知した前記空気溜め管の圧力が所定圧力以上となると、前記空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダに供給するように前記切替弁を切り替えることが好ましい。
【0011】
上記課題を解決する留置ブレーキシステムは、貨物列車の付随車の車輪に押し付けられる摩擦材と、前記摩擦材を押し付けるブレーキ梃子と、前記付随車を留置させる留置ブレーキの留置ブレーキ力を弾性部材によって前記ブレーキ梃子に出力するとともに、圧縮空気が供給されると前記弾性部材の押付力をピストンが打ち消す留置ブレーキシリンダと、前記付随車が前記貨物列車を構成する連結車と連結されると、前記連結車から引き通される空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダに供給して前記ピストンが前記弾性部材の押付力を打ち消し、前記留置ブレーキを緩解させる切替弁と、を備え、前記切替弁は、前記空気溜め管の圧力が入力されるパイロット圧力室と、前記パイロット圧力室の圧力により、前記空気溜め管の圧縮空気を前記留置ブレーキシリンダと排気ポートとを導通させる排気位置から、前記空気溜め管と前記留置ブレーキシリンダとを導通させる供給位置に切り替えられる弁部と、を有する。
【0012】
上記構成によれば、付随車が連結車に連結されることで空気溜め管に導入された圧縮空気をパイロット圧力として、切替弁の弁部が排気位置から供給位置に切り替えられるので、留置ブレーキシリンダに圧縮空気を供給することで、自動で留置ブレーキを緩解することができ、連結後に不緩解状態での車両の引きずりを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、連結後に不緩解状態での車両の引きずりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】留置ブレーキシステムの第1実施形態の概略構成を示す図。
図2】同実施形態の留置ブレーキシステムの概略構成を示す図。
図3】同実施形態の留置ブレーキシステムの概略構成を示す図。
図4】同実施形態の留置ブレーキシステムの概略構成を示す図。
図5】留置ブレーキシステムの第2実施形態の概略構成を示す図。
図6】同実施形態の留置ブレーキシステムの概略構成を示す図。
図7】同実施形態の留置ブレーキシステムの概略構成を示す図。
図8】留置ブレーキシステムの第3実施形態の概略構成を示す図。
図9】同実施形態の留置ブレーキシステムの概略構成を示す図。
図10】同実施形態の留置ブレーキシステムの概略構成を示す図。
図11】同実施形態の留置ブレーキシステムの概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、図1図4を参照して、留置ブレーキ装置及び留置ブレーキシステムの第1実施形態について説明する。留置ブレーキ装置及び留置ブレーキシステムは、貨物列車の付随車に備えられる。
【0016】
(貨物列車1)
図1図4に示すように、貨物列車1は、牽引車2と、牽引車2に牽引される付随車3とから構成される。牽引車2には、1又は複数の付随車3が連結される。複数の付随車3が連結される場合には、付随車3に別の付随車3が連結される。付随車3と連結される牽引車2又は付随車3を連結車4とする。貨物列車1は、牽引車2から圧縮空気が供給される空気溜め管5が引き通されている。牽引車2と付随車3との間、及び付随車3と付随車3との間は、連結ホース6によって空気溜め管5が連結されている。空気溜め管5の両端には、圧縮空気の連通と遮断とを切り替える車端コック5Aが設けられている。連結ホース6が空気溜め管5から外されたときに、車端コック5Aは供給状態から遮断状態に操作される。各付随車3には、空気溜め管5に供給された圧縮空気を溜めるタンク7が設けられている。
【0017】
(留置ブレーキシステム10)
付随車3には、付随車3を停止させる留置ブレーキシステム10が設けられている。留置ブレーキシステム10は、留置ブレーキ装置11を備えている。
【0018】
留置ブレーキ装置11は、ユニットブレーキ12と、切替弁13とを備えている。ユニットブレーキ12は、留置ブレーキシリンダ20と、伝達駆動部30とを備えている。留置ブレーキシリンダ20は、ブレーキばね24によるブレーキ力を出力する。伝達駆動部30は、留置ブレーキシリンダ20から出力されたブレーキ力を制輪子頭37に伝達する。伝達駆動部30は、中空状の本体31を備えている。
【0019】
(留置ブレーキシリンダ20)
留置ブレーキシリンダ20は、有底筒状のシリンダ21を備えている。シリンダ21は、本体31の図中左側に接続されている。留置ブレーキシリンダ20は、ブレーキばね24と、ブレーキばね24によって付勢されるピストン22とを備えている。ピストン22には、ピストンロッド23が一体に設けられている。ピストンロッド23の先端は、本体31内に突出している。ピストンロッド23の先端外周には、プッシュロッド25が軸方向に移動可能に嵌められている。ピストンロッド23とプッシュロッド25とは、ボール26によって連結されている。ピストンロッド23の外周には、凹部23Aが設けられている。ボール26が凹部23Aに係合することで、ピストンロッド23とプッシュロッド25とが連結される。プッシュロッド25の外周には、ボール26のピストンロッド23の径方向の位置を規制するラッチ27が設けられている。ラッチ27は、ばね27Aによってボール26がピストンロッド23とプッシュロッド25とを連結する位置になるよう押し付けている。プッシュロッド25には、ラッチ27を移動させる解放レバー28が設けられている。解放レバー28が操作されると、ラッチ27がばね27Aの押付力に抗して移動して、ボール26がピストンロッド23の径方向外側へ移動して、ピストンロッド23とプッシュロッド25との連結が解除される。ピストンロッド23とプッシュロッド25との連結が解除されると、プッシュロッド25が留置ブレーキシリンダ20側へ移動する。
【0020】
プッシュロッド25の先端は、連結ピン25Aを介してブレーキ梃子32に回動可能に連結されている。ブレーキ梃子32は、本体31に固定される支軸33を回転中心として回転する。ブレーキ梃子32の一端(図中上側)は、プッシュロッド25を介してピストン22に連結されている。ブレーキばね24は、弾性部材に相当し、付随車3を留置させる留置ブレーキの留置ブレーキ力をブレーキ梃子32に出力する。ピストン22は、圧縮空気が供給されるとブレーキばね24の押付力を打ち消す。
【0021】
シリンダ21の底部(図中左側)には、圧縮空気をシリンダ21内に供給する供給口20Aが設けられている。圧縮空気は、シリンダ21とピストン22とに囲まれた作動室21Aに供給される。留置ブレーキシリンダ20は、作動室21Aに圧縮空気が供給されると、ピストン22がシリンダ21の底部に近づく方向(図中左側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。一方、図2に示すように、留置ブレーキシリンダ20は、作動室21Aから圧縮空気が排出されると、ピストン22がブレーキばね24によってシリンダ21から突出する方向(図中右側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中時計回りに回転させる。
【0022】
(伝達駆動部30)
伝達駆動部30は、上記ブレーキ梃子32と、ブレーキ梃子32の他端に設けられる球面貫通孔32Aに嵌合する球面軸受34と、球面軸受34が外周面に固定される円筒状のさや棒35とを備えている。伝達駆動部30は、さや棒35の内面に螺合して設けられる押棒36と、さや棒35の外周面に設けられる隙間調整器40とを備えている。押棒36の基端側は、さや棒35の内部にねじ結合されている。押棒36の先端側には、制輪子頭37が連結ピン36Aを介して回動可能に取り付けられている。本体31には、連結ピン31Bを介して回転可能にハンガー38が設けられている。制輪子頭37は、連結ピン31Bを介してハンガー38に回動可能に取り付けられている。制輪子頭37には、車輪70の踏面70Aに押し当てられる制輪子71が取り付けられる。制輪子71は、摩擦材に相当する。
【0023】
ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aへ押されて、制輪子71が車輪70の踏面70Aに押し当てられ、車輪70の回転が制動される。なお、留置ブレーキシリンダ20によってブレーキ梃子32が図中時計回りに回転されるときは、回転量が大きいほど制輪子71が車輪70の踏面70Aに押し当てられる量、言い換えれば摩擦量が大きくなる。一方、ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aから離間する側へ移動して、車輪70の回転の制動が解除される。
【0024】
隙間調整器40は、車輪70及び制輪子71の摩耗に応じて車輪70の踏面70Aと制輪子71との隙間を常に一定値に保持するためのものである。ブレーキ梃子32の図中右側の下端寄りには、隙間調整器40に当接する梃子腕部32Bが設けられている。
【0025】
(切替弁13)
切替弁13は、連結車4と連結されると、連結車4から引き通される空気溜め管5の圧縮空気を留置ブレーキシリンダ20に供給してピストン22がブレーキばね24の押付力を打ち消し、留置ブレーキを緩解させる。切替弁13は、パイロット圧力室13Aと、弁部14と、を有する。パイロット圧力室13Aは、空気溜め管5の圧力が入力される。パイロット圧力室13Aは、空気溜め管5に設けられる車端コック5Aの外側の配管と導通している。弁部14は、パイロット圧力室13Aの圧力により、空気溜め管5の圧縮空気を留置ブレーキシリンダ20と排気ポート13Bとを導通させる排気位置(図1参照)から、空気溜め管5と留置ブレーキシリンダ20とを導通させる供給位置(図2参照)に切り替えられる。切替弁13は、ばね15を有する。ばね15は、パイロット圧力が所定値未満であるときに排気位置(図1参照)になるように弁部14を押し付ける。切替弁13は、操作レバー16を有する。操作レバー16は、弁部14を排気位置(図1参照)から供給位置(図2参照)に切り替える。操作レバー16が操作されると、弁部14が供給位置(図2参照)に押し付けられる。空気溜め管5に圧縮空気が供給されていない場合には、タンク7の圧縮空気が留置ブレーキシリンダ20の供給口20Aから作動室21Aに供給される。操作レバー16は、手動操作部に相当する。パイロット圧力の所定値は、空気溜め管5に圧縮空気が供給されているときに最低限得られる圧力である。
【0026】
(作用)
次に、図1図4を参照して、上記のように構成された留置ブレーキシステム10の作用について説明する。
【0027】
(車両連結時)
付随車3と連結車4とが連結されていない状態(図1参照)から付随車3と連結車4とが連結された状態(図2参照)になるときについて説明する。
【0028】
図2に示すように、連結車4の空気溜め管5と付随車3の空気溜め管5とが連結ホース6によって連結され、各車端コック5Aが遮断状態から連通状態に切り替えられる。連結されたことによって付随車3の空気溜め管5に圧縮空気が供給されると、切替弁13のパイロット圧力室13Aに圧縮空気が供給される。これにより、切替弁13の弁部14は、排気位置(図1参照)から供給位置(図2参照)に切り替わる。空気溜め管5の圧縮空気が留置ブレーキシリンダ20の供給口20Aから作動室21Aに供給されると、留置ブレーキシリンダ20のピストン22がシリンダ21の底部に近づく方向(図中左側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aから離間する側へ移動して、車輪70の回転の制動が解除される。よって、留置ブレーキが緩解される。
【0029】
(車両非連結時)
付随車3と連結車4とが連結された状態(図2参照)から付随車3と連結車4とが連結されていない状態(図1参照)になるときについて説明する。
【0030】
図1に示すように、各車端コック5Aが連通状態から遮断状態に切り替えられ、連結ホース6が連結車4の空気溜め管5と付随車3の空気溜め管5とから外される。付随車3の空気溜め管5の車端コック5Aよりも外側が大気開放されることによって、切替弁13のパイロット圧力室13Aの圧縮空気が排出される。これにより、切替弁13の弁部14は、供給位置(図2参照)から排気位置(図1参照)に切り替わる。作動室21Aの圧縮空気が切替弁13を介して排出される。作動室21Aの圧縮空気が排出されると、留置ブレーキシリンダ20のピストン22がブレーキばね24によってシリンダ21から突出する方向(図中右側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aへ押されて、制輪子71が車輪70の踏面70Aに押し当てられ、車輪70の回転が制動される。よって、留置ブレーキが作用する。
【0031】
(手動解放時)
付随車3と連結車4とが連結されていない状態(図1参照)において留置ブレーキを手動解放するときについて説明する。手動解放は、操作レバー16又は解放レバー28の操作によって行うことができる。
【0032】
図3に示すように、操作レバー16が操作されると、切替弁13の弁部14が排気位置(図1参照)から供給位置(図3参照)に押し付けられる。タンク7の圧縮空気が留置ブレーキシリンダ20の供給口20Aから作動室21Aに供給されると、留置ブレーキシリンダ20のピストン22がシリンダ21の底部に近づく方向(図中左側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aから離間する側へ移動して、車輪70の回転の制動が解除される。よって、留置ブレーキが緩解される。
【0033】
また、図4に示すように、留置ブレーキシリンダ20の解放レバー28が操作されると、ラッチ27がばね27Aの押付力に抗して移動して、ボール26がピストンロッド23の径方向外側へ移動して、ピストンロッド23とプッシュロッド25との連結が解除される。ピストンロッド23とプッシュロッド25との連結が解除されると、プッシュロッド25が留置ブレーキシリンダ20側へ移動して、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aから離間する側へ移動して、車輪70の回転の制動が解除される。よって、留置ブレーキが緩解される。
【0034】
このように、付随車3の空気溜め管5に連結ホース6が連結されて圧縮空気が供給されるだけで、切替弁13によって留置ブレーキシリンダ20を動作させて、留置ブレーキを緩解させることができる。よって、連結後に不緩解状態で車両が走行する引きずりを防止することができる。また、付随車3の空気溜め管5から連結ホース6が外されて圧縮空気が排出されるだけで、切替弁13によって留置ブレーキシリンダ20を動作させて、留置ブレーキを作用させることができる。よって、連結の解放後に緩解状態で車両が動き出すことを防止することができる。
【0035】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)付随車3が連結車4に連結されることで空気溜め管5に導入された圧縮空気を利用して、留置ブレーキシリンダ20に圧縮空気を供給することで、自動で留置ブレーキを緩解することができ、連結後に不緩解状態での車両の引きずりを防止することができる。
【0036】
(1-2)付随車3が連結車4に連結されることで導入された空気溜め管5の圧力をパイロット圧力として、切替弁13の弁部14が排気位置から供給位置に切り替えられるので、電力を必要とすることなく、付随車3の連結に連動して自動で留置ブレーキを緩解させることができる。
【0037】
(1-3)切替弁13が排気位置になるようにばね15が弁部14を押し付けるので、付随車3の連結が解除されてパイロット圧がなくなると切替弁13を排気位置に切り替えて、排気位置に維持することができる。
【0038】
(1-4)付随車3と連結車4との連結が解除されると、パイロット圧力が無くなるため、切替弁13の弁部14は排気位置に位置し、留置ブレーキが作動する。しかしながら、連結解除前に予め空気溜め管5の両端の車端コック5Aが閉じられて空気溜め管5の圧力が維持された状況で操作レバー16を操作して切替弁13の弁部14を供給位置に切り替えることができるので、手動で留置ブレーキを緩解させることができる。このため、例えば、連結解除した付随車3単体を人力で移動させるといった運用が可能となる。
【0039】
(1-5)切替弁13の弁部14が排気位置になるようにばね15が押し付けるので、操作レバー16の操作が解放されると弁部14が排気位置に切り替わり、切替弁13を排気位置に維持することができる。
【0040】
(第2実施形態)
以下、図5図7を参照して、留置ブレーキ装置及び留置ブレーキシステムの第1実施形態について説明する。この実施形態の留置ブレーキシステムは、切替弁13の動作を制御部が制御する点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0041】
(留置ブレーキシステム10)
図5図7に示すように、留置ブレーキ装置11は、検知部60と、制御部61と、を備えている。検知部60は、付随車3の車端コック5Aよりも外側の空気溜め管5の圧力を検知して、制御部61に検知結果を出力する。切替弁13は、電磁弁である。制御部61は、切替弁13を制御する。制御部61は、検知部60が検知した空気溜め管5の圧力が所定圧力以上となると、空気溜め管5の圧縮空気を留置ブレーキシリンダ20に供給するように切替弁13を排気位置(図5参照)から供給位置(図6参照)に切り替える。一方、制御部61は、検知部60が検知した空気溜め管5の圧力が所定圧力未満となると、留置ブレーキシリンダ20の作動室21Aの圧縮空気を排気するように切替弁13を供給位置(図6参照)から排気位置(図7参照)に切り替える。所定圧力は、空気溜め管5に圧縮空気が供給されているときに最低限得られる圧力である。
【0042】
(作用)
次に、図5図7を参照して、上記のように構成された留置ブレーキシステム10の作用について説明する。
【0043】
(車両連結時)
付随車3と連結車4とが連結されていない状態(図5参照)から付随車3と連結車4とが連結された状態(図6参照)になるときについて説明する。
【0044】
図6に示すように、連結車4の空気溜め管5と付随車3の空気溜め管5とが連結ホース6によって連結され、各車端コック5Aが遮断状態から連通状態に切り替えられる。連結されたことによって付随車3の空気溜め管5に圧縮空気が供給されると、検知部60は、空気溜め管5の圧力が所定圧力以上であることを検知する。制御部61は、所定圧力以上の圧縮空気が空気溜め管5に供給されているので、切替弁13を排気位置(図5参照)から供給位置(図6参照)に切り替える。空気溜め管5の圧縮空気が留置ブレーキシリンダ20の供給口20Aから作動室21Aに供給されると、留置ブレーキシリンダ20のピストン22がシリンダ21の底部に近づく方向(図中左側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aから離間する側へ移動して、車輪70の回転の制動が解除される。よって、留置ブレーキが緩解される。
【0045】
(車両非連結時)
付随車3と連結車4とが連結された状態(図6参照)から付随車3と連結車4とが連結されていない状態(図5参照)になるときについて説明する。
【0046】
図5に示すように、各車端コック5Aが連通状態から遮断状態に切り替えられ、連結ホース6が連結車4の空気溜め管5と付随車3の空気溜め管5とから外される。付随車3の空気溜め管5の車端コック5Aよりも外側が大気開放されることによって、検知部60は、空気溜め管5の圧力が所定圧力未満であることを検知する。制御部61は、所定圧力未満の圧縮空気が空気溜め管5に供給されているので、切替弁13を供給位置(図6参照)から排気位置(図5参照)に切り替える。これにより、作動室21Aの圧縮空気が切替弁13を介して排出される。作動室21Aの圧縮空気が排出されると、留置ブレーキシリンダ20のピストン22がブレーキばね24によってシリンダ21から突出する方向(図中右側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aへ押されて、制輪子71が車輪70の踏面70Aに押し当てられ、車輪70の回転が制動される。よって、留置ブレーキが作用する。
【0047】
(手動解放時)
付随車3と連結車4とが連結されていない状態(図5参照)において留置ブレーキを手動解放するときについて説明する。
【0048】
図7に示すように、操作レバー16が操作されると、切替弁13の弁部14が排気位置(図5参照)から供給位置(図7参照)に押し付けられる。タンク7の圧縮空気が留置ブレーキシリンダ20の供給口20Aから作動室21Aに供給されると、留置ブレーキシリンダ20のピストン22がシリンダ21の底部に近づく方向(図中左側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aから離間する側へ移動して、車輪70の回転の制動が解除される。よって、留置ブレーキが緩解される。
【0049】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)付随車3と連結車4との連結が解除されると空気溜め管5の圧力が低下して、付随車3が連結車4に連結されると空気溜め管5に圧縮空気が導入されて圧力が上昇する。検知部60によって空気溜め管5の圧力を検知することで、付随車3と連結車4との連結に連動して自動で留置ブレーキを緩解させることができる。
【0050】
(第3実施形態)
以下、図8図11を参照して、留置ブレーキ装置及び留置ブレーキシステムの第1実施形態について説明する。この実施形態の留置ブレーキシステムは、ユニットブレーキ12が常用ブレーキを備え、パーキングブレーキとして留置ブレーキシリンダが設けられている点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
(留置ブレーキシステム10)
図8図11に示すように、付随車3には、付随車3を停止させる留置ブレーキシステム10が設けられている。留置ブレーキシステム10は、留置ブレーキ装置11を備えている。
【0052】
留置ブレーキ装置11は、ユニットブレーキ12と、切替弁13とを備えている。ユニットブレーキ12は、留置ブレーキシリンダ20と、空気ブレーキシリンダ50と、伝達駆動部30とを備えている。留置ブレーキシリンダ20は、ブレーキばね24によるブレーキ力を出力する。空気ブレーキシリンダ50は、空気によるブレーキ力を出力する。伝達駆動部30は、留置ブレーキシリンダ20又は空気ブレーキシリンダ50から出力されたブレーキ力を制輪子頭37に伝達する。
【0053】
(留置ブレーキシリンダ20)
留置ブレーキシリンダ20は、第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。留置ブレーキシリンダ20のプッシュロッド25の先端は、連結ピン55を介して留置ブレーキレバー56に回動可能に連結されている。留置ブレーキレバー56は、本体31に固定される支軸57を回転中心として回転する。留置ブレーキレバー56の基端は、プッシュロッド25に連結ピン55を介して連結されている。プッシュロッド25には、ブレーキばね24によってブレーキ力が出力されていることを外部に表示する留置ブレーキ表示器58が接続されている。
【0054】
(空気ブレーキシリンダ50)
空気ブレーキシリンダ50は、有底筒状のシリンダ51を備えている。シリンダ51は、本体31の図中左側に接続されている。空気ブレーキシリンダ50は、ばね52と、ばね52によって付勢されるピストン53とを備えている。ピストン53の先端は、本体31内に突出して、連結ピン53Aを介してブレーキ梃子32に回動可能に連結されている。ブレーキ梃子32は、本体31に固定される支軸33を回転中心として回転する。ブレーキ梃子32の一端(図中上側)は、ピストン53に連結されている。
【0055】
シリンダ51の底部(図中左側)には、圧縮空気をシリンダ51内に供給する供給口50Aが設けられている。圧縮空気は、シリンダ51とピストン53とに囲まれた作動室51Aに供給される。空気ブレーキシリンダ50は、作動室51Aに圧縮空気が供給されると、ピストン53がシリンダ51から突出する方向(図中右側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中時計回りに回転させる。一方、空気ブレーキシリンダ50は、作動室51Aから圧縮空気が排出されると、ピストン53がばね52によってシリンダ51の底面側(図中左側)に移動して、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。
【0056】
留置ブレーキレバー56の先端は、ブレーキ梃子32とピストン53とを連結する連結ピン53Aに当接している。留置ブレーキレバー56が支軸57を回転中心として回転すると、ブレーキ梃子32が支軸33を回転中心として回転する。
【0057】
(伝達駆動部30及び切替弁13)
伝達駆動部30及び切替弁13は、第1実施形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0058】
(作用)
次に、図8図11を参照して、上記のように構成された留置ブレーキシステム10の作用について説明する。
【0059】
(車両連結時)
付随車3と連結車4とが連結されていない状態(図8参照)から付随車3と連結車4とが連結された状態(図9参照)になるときについて説明する。
【0060】
図9に示すように、連結車4の空気溜め管5と付随車3の空気溜め管5とが連結ホース6によって連結され、各車端コック5Aが遮断状態から連通状態に切り替えられる。連結されたことによって付随車3の空気溜め管5に圧縮空気が供給されると、切替弁13のパイロット圧力室13Aに圧縮空気が供給される。これにより、切替弁13の弁部14は、排気位置(図8参照)から供給位置(図9参照)に切り替わる。空気溜め管5の圧縮空気が留置ブレーキシリンダ20の供給口20Aから作動室21Aに供給されると、留置ブレーキシリンダ20のピストン22がシリンダ21の底部に近づく方向(図中右側)に移動して、留置ブレーキレバー56を図中時計回りに回転させる。留置ブレーキレバー56が支軸57を中心に図中時計回りに回転すると、ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転して、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aから離間する側へ移動して、車輪70の回転の制動が解除される。よって、留置ブレーキが緩解される。
【0061】
(車両非連結時)
付随車3と連結車4とが連結された状態(図9参照)から付随車3と連結車4とが連結されていない状態(図8参照)になるときについて説明する。
【0062】
図8に示すように、各車端コック5Aが連通状態から遮断状態に切り替えられ、連結ホース6が連結車4の空気溜め管5と付随車3の空気溜め管5とから外される。付随車3の空気溜め管5の車端コック5Aよりも外側が大気開放されることによって、切替弁13のパイロット圧力室13Aの圧縮空気が排出される。これにより、切替弁13の弁部14は、供給位置(図9参照)から排気位置(図8参照)に切り替わる。作動室21Aの圧縮空気が切替弁13を介して排出される。作動室21Aの圧縮空気が排出されると、留置ブレーキシリンダ20のピストン22がブレーキばね24によってシリンダ21から突出する方向(図中左側)に移動して、留置ブレーキレバー56を図中反時計回りに回転させる。留置ブレーキレバー56が支軸57を中心に図中反時計回りに回転すると、ブレーキ梃子32を図中時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中時計回りに回転して、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aへ押されて、制輪子71が車輪70の踏面70Aに押し当てられ、車輪70の回転が制動される。よって、留置ブレーキが作用する。
【0063】
(手動解放時)
付随車3と連結車4とが連結されていない状態(図8参照)において留置ブレーキを手動解放するときについて説明する。手動解放は、操作レバー16又は解放レバー28の操作によって行うことができる。
【0064】
図10に示すように、操作レバー16が操作されると、切替弁13の弁部14が排気位置(図8参照)から供給位置(図10参照)に押し付けられる。タンク7の圧縮空気が留置ブレーキシリンダ20の供給口20Aから作動室21Aに供給されると、留置ブレーキシリンダ20のピストン22がシリンダ21の底部に近づく方向(図中右側)に移動して、留置ブレーキレバー56を図中時計回りに回転させる。留置ブレーキレバー56が支軸57を中心に図中時計回りに回転すると、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aから離間する側へ移動して、車輪70の回転の制動が解除される。よって、留置ブレーキが緩解される。
【0065】
また、図11に示すように、留置ブレーキシリンダ20の解放レバー28が操作されると、ラッチ27がばね27Aの押付力に抗して移動して、ボール26がピストンロッド23の径方向外側へ移動して、ピストンロッド23とプッシュロッド25との連結が解除される。ピストンロッド23とプッシュロッド25との連結が解除されると、プッシュロッド25が留置ブレーキシリンダ20側へ移動して、留置ブレーキレバー56を図中時計回りに回転させる。留置ブレーキレバー56が支軸57を中心に図中時計回りに回転すると、ブレーキ梃子32を図中反時計回りに回転させる。ブレーキ梃子32が支軸33を中心に図中反時計回りに回転すると、さや棒35及び押棒36とともに制輪子71が車輪70の踏面70Aから離間する側へ移動して、車輪70の回転の制動が解除される。よって、留置ブレーキが緩解される。
【0066】
このように、付随車3の空気溜め管5に連結ホース6が連結されて圧縮空気が供給されるだけで、切替弁13によって留置ブレーキシリンダ20を動作させて、留置ブレーキを緩解させることができる。よって、連結後に不緩解状態で車両が走行する引きずりを防止することができる。また、付随車3の空気溜め管5から連結ホース6が外されて圧縮空気が排出されるだけで、切替弁13によって留置ブレーキシリンダ20を動作させて、留置ブレーキを作用させることができる。よって、連結の解放後に緩解状態で車両が動き出すことを防止することができる。
【0067】
次に、第3実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)~(1-5)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(3-1)常用ブレーキを備えるユニットブレーキ12に切替弁13及び留置ブレーキシリンダ20を追加することで、留置ブレーキシステム10を付随車3に設けることができる。
【0068】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
・上記各実施形態では、空気溜め管5の端部に車端コック5Aを設けた。しかしながら、車端コック5Aを省略してもよい。空気溜め管5に車端コック5Aがなかったとしても、空気溜め管5に連結ホース6が連結されると、空気溜め管5に圧縮空気が供給され、空気溜め管5から連結ホース6が外されると、空気溜め管5から圧縮空気がなくなる。
【0070】
・上記各実施形態では、留置ブレーキシリンダ20に手動解放するための構成であるボール26、ラッチ27、解放レバー28等を設けた。しかしながら、留置ブレーキシリンダ20に設けた手動解放するための構成を省略してもよい。
【0071】
・上記第1,3実施形態において、空気溜め管5とパイロット圧力室13Aとを接続する配管にコックを設けて、手動でコックを閉じることで圧縮空気の供給を止めて、留置ブレーキを作用させてもよい。
【0072】
・上記第1,3実施形態において、手動解放を行うために切替弁13に設けた操作レバー16を省略してもよい。
・上記第1,3実施形態では、空気溜め管5に圧縮空気が供給されなくなると、ばね15によって切替弁13の弁部14が排気位置に戻るようにした。しかしながら、ばね15を省略して、タンク7の圧縮空気によって切替弁13の弁部14を排気位置に戻るようにしてもよい。
【0073】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0074】
・上記各実施形態において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0075】
1…貨物列車
2…牽引車
3…付随車
4…連結車
5…空気溜め管
5A…車端コック
6…連結ホース
7…タンク
10…留置ブレーキシステム
11…留置ブレーキ装置
12…ユニットブレーキ
13…切替弁
13A…パイロット圧力室
13B…排気ポート
14…弁部
15…ばね
16…手動操作部としての操作レバー
20…留置ブレーキシリンダ
20A…供給口
21…シリンダ
21A…作動室
22…ピストン
23…ピストンロッド
23A…凹部
24…弾性部材としてのブレーキばね
25…プッシュロッド
25A…連結ピン
26…ボール
27…ラッチ
27A…ばね
28…解放レバー
30…伝達駆動部
31…本体
32…ブレーキ梃子
32A…球面貫通孔
32B…梃子腕部
33…支軸
34…球面軸受
35…さや棒
36…押棒
36A…連結ピン
37…制輪子頭
38…ハンガー
40…隙間調整器
50…空気ブレーキシリンダ
50A…供給口
51…シリンダ
51A…作動室
52…ばね
53…ピストン
53A…連結ピン
55…連結ピン
56…留置ブレーキレバー
57…支軸
58…留置ブレーキ表示器
60…検知部
61…制御部
70…車輪
70A…踏面
71…摩擦材としての制輪子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11