(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017537
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】工業炉に対するバーナーの取付構造
(51)【国際特許分類】
F23C 5/02 20060101AFI20240201BHJP
F23M 7/00 20060101ALI20240201BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F23C5/02 301
F23M7/00
F27D1/00 U
F27D1/00 R
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120238
(22)【出願日】2022-07-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】514032773
【氏名又は名称】CYC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸示
【テーマコード(参考)】
3K091
4K051
【Fターム(参考)】
3K091BB07
3K091BB25
3K091EB12
3K091EB17
4K051AA03
4K051AB03
(57)【要約】
【課題】バーナーを工業炉から取り外した際における工業炉内からの熱風や火炎の噴出を有効に防止することができる新規な工業炉に対するバーナーの取付構造を提供する。
【解決手段】工業炉(炭化炉1)の外側に筒状噴射口を備えたバーナー21が配置され、工業炉の側壁に形成された開口4の近傍には支軸6が突設され、この支軸6には該支軸6が内部に遊嵌されたリング部14と上記開口4を閉塞する蓋部12とを備えた開口閉塞部材13が配置され、筒状噴射口が上記開口4から完全に取り外された状態においては、上記開口閉塞部材13が上記支軸6を中心に該開口閉塞部材13の自重によって回動し、上記蓋部12により上記開口4が閉塞される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業炉の側壁には該工業炉の内部空間に連通する開口が形成されてなるとともに、この工業炉の外側には、該開口側及びその逆方向にスライド機構を介してスライド自在に支持されたバーナーが配置され、
上記バーナーは、バーナー本体と該バーナー本体の先端に形成され上記開口に挿入される筒状噴射口とを備えてなる一方、
上記工業炉の外側には、上記開口を閉塞する蓋部と、この蓋部の外周面に基端を有し先端側には内側が中空状に成形されたリング部を有する軸部と、を備えた開口閉塞部材が配置されてなるとともに、上記工業炉の側壁であって上記開口の中心の上方には、上記リング部内に遊嵌された支軸が突設されてなり、
上記開口内に筒状噴射口が挿入された取付状態においては、上記蓋部の外周面は上記バーナーの外表面の所定部位に当接しており、該バーナーが上記側壁から離間する方向にスライド操作される過程では、上記蓋部の外周面は該バーナーの外表面の所定部位に摺接し、その後該蓋部の外周面は該バーナーの筒状噴射口の外表面に摺接し、該筒状噴射口が上記開口から完全に取り外された状態においては、上記開口閉塞部材が上記支軸を中心に該開口閉塞部材の自重によって回動し、上記蓋部により上記開口が閉塞されることを特徴とする工業炉に対するバーナーの取付構造。
【請求項2】
工業炉の側壁には該工業炉の内部空間に連通する開口が形成されてなるとともに、この工業炉の外側には、該開口側及びその逆方向にスライド機構を介してスライド自在に支持されたバーナーが配置され、
上記バーナーは、バーナー本体と該バーナー本体の先端に形成され上記開口に挿入される筒状噴射口とを備えてなる一方、
上記工業炉の外側には、上記開口を閉塞する蓋部と、この蓋部の外周面に基端を有し先端側には内側が中空状に成形されたリング部を有する軸部と、を備えた開口閉塞部材が配置され、上記工業炉の側壁であって上記開口の近傍には、上記リング部内に遊嵌された支軸が突設されてなるとともに、該支軸の近傍又は上記開口の近傍には、上記開口閉塞部材の自重による回動を規制し、上記蓋部による開口の閉塞状態を維持するストッパーが配置されてなり、
上記開口内に筒状噴射口が挿入された取付状態においては、上記蓋部の外周面は上記バーナーの外表面の所定部位に当接しており、該バーナーが上記側壁から離間する方向にスライド操作される過程では、上記蓋部の外周面は該バーナーの外表面の所定部位に摺接し、その後該蓋部の外周面は該バーナーの筒状噴射口の外表面に摺接し、該筒状噴射口が上記開口から完全に取り外された状態においては、上記開口閉塞部材が上記支軸を中心に該開口閉塞部材の自重によって回動し、上記蓋部により上記開口が閉塞されることを特徴とする工業炉に対するバーナーの取付構造。
【請求項3】
前記工業炉の側壁には、一端が該外壁の外側面よりも外側に突設されてなるとともに該工業炉の内部空間に連通する円筒部材が配置され、該円筒部材の一端が前記開口とされてなり、
前記蓋部は、上記円筒部材の一端の開口面積よりも広い面積を有する円盤板部と、この円盤板部の外周から前記工業炉の側壁方向に起立してなる円筒部と、この円筒部内に収容され背面は上記開口を閉塞するとともにセラミックウールからなる断熱材が収容されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの工業炉に対するバーナーの取付構造。
【請求項4】
前記工業炉の側壁に形成された開口には、先端が該側壁から突出した円筒部材が配置されてなる一方、前記開口閉塞部材を構成する蓋部には、該円筒部材に形成された開口を完全に閉塞した際に該円筒部材に当接するストッパーが設けられてなることを特徴とする請求項1記載の工業炉に対するバーナーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化炉、溶解炉、加熱炉、焼却炉その他の工業炉に対するバーナーの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭化炉や溶解炉等の各種の工業炉には、該工業炉内に収容された被処理物を熱分解するために該工業炉の外側にバーナーが取り付けられている。こうしたバーナーは、ガスや油などの燃料を燃焼して生み出される熱エネルギーを間接的又は直接的に炉内に供給し、上記被処理物を熱処理するものである。したがって、上記工業炉に新たに取り付ける場合は勿論、該バーナーの修理や交換が必要となった場合には、該工業炉から取り外される。
【0003】
例えば、実公昭45-8542号公報(特許文献1)や特開2000-146114号公報(特許文献2)には、それぞれバーナーの取付構造が開示されている。上記特許文献1に係るバーナーの取付構造は、バーナーが該バーナーの上方に固定された案内板に支持片を介して吊り下げられた状態で支持され、該バーナーの先端に配置された筒状噴出口が工業炉の側壁に形成された開口内に挿入可能となされているとともに、上記案内板には上記支持片を側壁方向又はその逆方向にスライド自在とする長孔が形成されている。したがって、このバーナーの取付構造では、それまで工業炉に取り付けられていたバーナーを取り外す場合には、該バーナーを上記長孔の長さ方向にスライド操作することにより、該バーナーの筒状噴射口は側壁に形成された開口から抜かれ、該側壁から離間される。また、上記特許文献2に開示されたバーナーの取付構造では、バーナーの荷重を下側から支持する支持台上に互いに平行に配置された左右のガイドレールが固定され、バーナーはこれらの左右のガイドレール上をスライド自在とされてなるものである。したがって、それまで筒状噴射口が工業用炉の側壁に形成された開口内に挿入された状態から、バーナーを取り外す場合には、該バーナーを上記側壁側とは反対方向にスライド操作することにより、該バーナーの筒状噴射口は上記開口から抜かれ、該側壁から離間される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭45-8542号公報
【特許文献2】特開2000-146114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、それまで工業炉に取り付けられていたバーナーを取り外すタイミングには様々なものが想定されるが、とりわけ、バーナーが運転・駆動されている状態において該バーナー自体に異変が生じ、或いは工業炉内において異常な内圧が発生した場合等のように該工業炉自体に何らかの不具合が発生したとき、バーナーの駆動を一旦停止するとともに該バーナーを工業炉から取り外すことが多い。例えば、また、バーナーの駆動により工業炉内を加圧している最中に、該バーナーが停電等により停止した場合を挙げることができる。こうした停電によりバーナーの駆動が停止した場合には、工業炉内の気体(熱風)がバーナー側に噴射され、この結果バーナーが破損してしまうことから、上記停電の際には一刻も早くバーナーを取り外すことが要求される。
【0006】
しかしながら、こうしたタイミングでバーナーを取り外す場合、工業炉内の内圧は極めて高く、また炭化炉等のように乾留ガスを燃料として燃焼している場合があるところ、こうした中で上記特許文献1,2に開示されたバーナーの取付構造により該バーナーを工業炉から取り外した場合、その瞬間に、それまで上記筒状噴射口が挿入されていた工業炉の開口からは、該工業炉内の熱風又は火炎が勢いよく外部に噴出し、作業者の安全性が極めて脅かされる事態となる。したがって、こうした危険な事態を回避するには、バーナーの取り外しの際、作業者は防護服等を装着する等の防火対策が必要となり、そうした防火対策を採らない場合には、工業炉内の温度が常温にまで低下するのを待った上でバーナーの取り外し作業を行わざるを得ない。とりわけ溶解炉では、炉内の温度が常温となった場合には、必然的に炉内に収容されている被処理物(被溶解物)も常温となるが、この被処理物が常温となった後に再び元の(バーナーを交換する前の)温度に戻すためには相当な時間を要することとなり、作業効率は極めて悪く生産性は圧倒的に低下する。
【0007】
そこで、本発明は、上述した各特許文献に開示された工業炉に対するバーナーの取付構造が有する課題を解決するために提案されたものであって、バーナーを工業炉から取り外した際における工業炉内からの熱風や火炎の噴出を有効に防止することができる新規な工業炉に対するバーナーの取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、第1の発明(請求項1記載の発明)は、工業炉の側壁には該工業炉の内部空間に連通する開口が形成されてなるとともに、この工業炉の外側には、該開口側及びその逆方向にスライド機構を介してスライド自在に支持されたバーナーが配置され、上記バーナーは、バーナー本体と該バーナー本体の先端に形成され上記開口に挿入される筒状噴射口とを備えてなる一方、上記工業炉の外側には、上記開口を閉塞する蓋部と、この蓋部の外周面に基端を有し先端側には内側が中空状に成形されたリング部を有する軸部と、を備えた開口閉塞部材が配置されてなるとともに、上記工業炉の側壁であって上記開口の中心の上方には、上記リング部内に遊嵌された支軸が突設されてなり、上記開口内に筒状噴射口が挿入された取付状態においては、上記蓋部の外周面は上記バーナーの外表面の所定部位に当接しており、該バーナーが上記側壁から離間する方向にスライド操作される過程では、上記蓋部の外周面は該バーナーの外表面の所定部位に摺接し、その後該蓋部の外周面は該バーナーの筒状噴射口の外表面に摺接し、該筒状噴射口が上記開口から完全に取り外された状態においては、上記開口閉塞部材が上記支軸を中心に該開口閉塞部材の自重によって回動し、上記蓋部により上記開口が閉塞されることを特徴とするものである。
【0009】
この第1の発明に係る工業炉に対するバーナーの取付構造では、バーナーがスライド機構を介してスライド操作され、該バーナーを構成する筒状噴射口が開口から取り外される(抜かれる)と、上記開口閉塞部材が上記支軸を中心に該開口閉塞部材の自重によって回動し、上記蓋部により上記開口が閉塞される。すなわち、この第1の発明では、上記筒状噴射口が開口から抜かれると、上記蓋部の自重により瞬時に該開口は閉塞される。したがって、この発明によれば、バーナーを工業炉から取り外す際に、該工業炉内の熱風や火炎が上記開口から外部に噴出される事態を回避することができ、ひいてはバーナーの故障や点検のため、或いは工業炉の不具合を原因にバーナーを取り外す際、工業炉内が常温になるまで待つなどの必要はなく、この結果、作業効率や生産性は格段に向上する。
【0010】
なお、この第1の発明を構成するスライド機構は、少なくともバーナーが工業炉に形成された開口方向及びその逆方向にスライド自在に支持してなる機構であれば良く、先に記載した特許文献1のように、上記バーナーを該バーナーの上方から吊り下げる等してその荷重を支持してなるものであっても良いし、先に記載した特許文献2のように、該バーナーを下側からその荷重を支持してなるものであっても良い。また、上記工業炉の側壁に形成された開口の形状は、バーナーを構成する筒状噴射口の形状に対応したものであれば良く、該筒状噴射口が円筒状である場合には、上記開口はこの筒状噴射口が挿入できるように円筒状の開口とされる。また、上記開口閉塞部材は、上記開口を閉塞する蓋部と、この蓋部の外周面に基端を有し先端側には内側が中空状に成形されたリング部と、を備えている。このリング部の内径は、筒状噴射口が上記開口から完全に取り外された際に上記開口閉塞部材が上記支軸を中心に該開口閉塞部材の自重による回動を保障するために、該支軸の軸部の外径よりも大径とされている必要がある。換言すれば、上記軸部は上記リング部内に遊嵌されている。なお、この第1の発明では、上記支軸の配置位置は、上記工業炉の開口の中心の上方に固定されている必要があるが、蓋部が開口を閉塞した状態において該蓋部を構成要素とする開口閉塞部材が該閉塞状態を維持しそれ以上自重で回動することを阻止するストッパーが配置されていることを前提に、該開口の近傍(例えば側方)であっても良い(請求項2記載の発明参照)。
【0011】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、工業炉の側壁には該工業炉の内部空間に連通する開口が形成されてなるとともに、この工業炉の外側には、該開口側及びその逆方向にスライド機構を介してスライド自在に支持されたバーナーが配置され、上記バーナーは、バーナー本体と該バーナー本体の先端に形成され上記開口に挿入される筒状噴射口とを備えてなる一方、上記工業炉の外側には、上記開口を閉塞する蓋部と、この蓋部の外周面に基端を有し先端側には内側が中空状に成形されたリング部を有する軸部と、を備えた開口閉塞部材が配置され、上記工業炉の側壁であって上記開口の近傍には、上記リング部内に遊嵌された支軸が突設されてなるとともに、該支軸の近傍又は上記開口の近傍には、上記開口閉塞部材の自重による回動を規制し、上記蓋部による開口の閉塞状態を維持するストッパーが配置されてなり、上記開口内に筒状噴射口が挿入された取付状態においては、上記蓋部の外周面は上記バーナーの外表面の所定部位に当接しており、該バーナーが上記側壁から離間する方向にスライド操作される過程では、上記蓋部の外周面は該バーナーの外表面の所定部位に摺接し、その後該蓋部の外周面は該バーナーの筒状噴射口の外表面に摺接し、該筒状噴射口が上記開口から完全に取り外された状態においては、上記開口閉塞部材が上記支軸を中心に該開口閉塞部材の自重によって回動し、上記蓋部により上記開口が閉塞されることを特徴とするものである。
【0012】
この第2の発明に係る工業炉へのバーナーの取付構造は、上記第1の発明と比較した場合、支軸の配置位置が開口の近傍である点と、工業炉の側壁には、該支軸の固定位置よりも低い位置には、上記開口閉塞部材の自重による回動を規制し、上記蓋部による開口の閉塞状態を維持するストッパーが配置されてなる点とが相違するのみで、他の構成が変わるものではない。すなわち、この第2の発明では、上記蓋部により上記開口が閉塞された状態においては、上記ストッパーにより上記開口閉塞部材全体の更なる回動が規制される。したがって、上記ストッパーの配置位置は、該ストッパーに上記蓋部を当接させることにより該蓋部を含めた開口閉塞部材全体の回動を規制して該蓋部による開口の閉塞状態を維持させる場合には、上記支軸の固定位置よりも低い位置とする一方、上記ストッパーを上記軸部に当接させることにより該蓋部を含めた開口閉塞部材全体の回動を規制して該蓋部による開口の閉塞状態を維持させる場合には、該ストッパーの配置位置は上記支軸の近傍とする。
【0013】
上記第2の発明に係る工業炉へのバーナーの取付構造であっても、バーナーが開口から取り除かれると、上記開口閉塞部材が上記支軸を中心に該開口閉塞部材の自重によって回動し、上記ストッパーにより該開口閉塞部材全体の荷重が支持された状態で上記蓋部により上記開口が閉塞される。
【0014】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記工業炉の側壁には、一端が該外壁の外側面よりも外側に突設されてなるとともに該工業炉の内部空間に連通する円筒部材が配置され、該円筒部材の一端が前記開口とされてなり、前記蓋部は、上記円筒部材の一端の開口面積よりも広い面積を有する円盤板部と、この円盤板部の外周から前記工業炉の側壁方向に起立してなる円筒部と、この円筒部内に収容され背面は上記開口を閉塞するとともにセラミックウールからなる断熱材が収容されてなることを特徴とするものである。
【0015】
この第3の発明に係る工業炉へのバーナーの取付構造では、上記蓋部により開口が閉塞されると、該開口と上記円盤板部との間には上記セラミックウールからなる断熱材が収容されていることから、工業炉内からの熱風により円盤板部や円筒部が急速に高熱となることを相当程度抑制することができるばかりではなく、前記スライド機構を介して作業者がバーナーを開口方向に押圧することにより、このバーナーを構成する筒状噴射口の先端により上記セラミックウールが撓むことから、工業炉内の熱風等が上記円筒部材の先端から僅かな隙間を通って外部に噴出することも防止することができる。
【0016】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1の発明において、前記工業炉の側壁に形成された開口には、先端が該側壁から突出した円筒部材が配置されてなる一方、前記開口閉塞部材を構成する蓋部には、該円筒部材に形成された開口を完全に閉塞した際に該円筒部材に当接するストッパーが設けられてなることを特徴とするものである。
【0017】
この第4の発明に係る工業炉へのバーナーの取付構造では、上記開口閉塞部材を構成する蓋部が上記円筒部材を完全に閉塞した際、上記ストッパーが該円筒部材の外周面に当接し、それ以上の回動方向への回動が停止される。こうしたストッパーを備えた開口閉塞部材により、該開口閉塞部材の回動が開始された後に振り子のように揺動することを防止することができ、ひいては上記円筒部材の開口が完全に閉塞されるまでの時間を短縮化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、バーナーを工業炉から取り外した際における工業炉内からの熱風や火炎の噴出を有効に防止することができ、ひいてはバーナーの故障や点検のため、或いは工業炉の不具合を原因にバーナーを取り外す際、工業炉内が常温になるまで待つなどの必要はなく、この結果、この発明によれば、作業効率や生産性は格段に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】炭化炉にバーナーが完全に取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図2】蓋部のみを断面とした開口閉塞部材の側面図である。
【
図4】炭化炉からバーナーが完全に取り外された状態を示す側面図である。
【
図5】
図1に示す状態における開口閉塞部材の状態を示す正面図である。
【
図8】スライド台車を構成する架台等を示す平面図である。
【
図9】レールベースの上面の構成を示す平面図である。
【
図11】第1のベースプレートを示す背面図である。
【
図17】炭化炉からバーナーが取り外される途中における開口閉塞部材の状態を示す正面図である。
【
図18】炭化炉からバーナーが完全に取り外された際における開口閉塞部材の状態を示す正面図である。
【
図19】開口閉塞部材の配置位置の他の例を模式的に示す正面図である。
【
図20】開口閉塞部材の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する形態に係る工業炉に対するバーナーの取付構造は、本発明を工業炉である炭化炉に適用したものである。そこで、先ず上記炭化炉側の各構成について説明し、次いでにバーナー側の構成を説明し、その後に該バーナーのスライド操作に伴う作用・効果を説明する。
【0021】
図1に示すように、工業炉の一種である炭化炉1は、全体形状が箱状に成形され、H型鋼等のベース部材2上に載置され固定されてなるものであり、内部には炭化処理する有機物が収容される図示しない炭化ボックスや後述するバーナーによる炎が噴射される燃焼室等が形成されている。そして、この炭化炉1の最も外側には4つの側壁3を備え、これらの側壁3の特定の側壁3には、円筒状に形成された開口4が形成されている。この開口4は、上記図示しない燃焼室に連通してなるものであり、円筒状に形成された第1の部位4aと、この第1の部位4aに連通し該第1の部位4a側から内側に亘って徐々に拡径された第2の部位4bとから構成されている。そして、上記第1の部位4aには、金属材料により円筒状に成形された円筒部材5の基端側が固定され、該円筒部材5の先端の外周には炭化炉側フランジ部5aが形成されている。
【0022】
また、上記円筒部材5が配置された位置の上方には、円柱状に成形された支軸6が上記側壁3の壁面から水平に突設されている。また、この支軸6の固定位置は、上記円筒部材5の中心の上方とされている。そして、この支軸6の外周にはネジ6aが螺刻されており、
図2に示すように、後述する開口閉塞部材11を構成するリング部14を挟持するように、2つのナット7,8,9,10が該ネジ6aに螺着されている。
【0023】
そして、上記支軸6には、
図2又は
図3に示すように、開口閉塞部材11が連結されている。この開口閉塞部材11は、
図3に示すように、蓋部12と軸部13とリング部14とを備えてなり、上記蓋部12は、
図2に示すように、円盤状に成形された円盤板部12aと、この円盤板部12aの外周から上記円筒部材5方向に起立してなる円筒部12bと、この円筒部12b内に収容され背面は上記円筒部材5の開口を閉塞するとともにセラミックウールからなる断熱材12cとから構成されている。また、上記軸部13は、基端(下端)が上記円筒部12bの外周に溶接されてなるものであり、先端(上端)には上記リング部14が溶接されている。このリング部14は中空状に成形され、その内径寸法は上記支軸6の外径寸法よりも大径とされている。そして、この開口閉塞部材11は、上記ナット7とナット10との間において位置決めされた状態で上記支軸6に連結されている。したがって、上記開口閉塞部材11全体は、上記支軸6を中心に回動自在とされ、該開口閉塞部材11に何らかの部材が当接していない状態においては、
図3に示すように、上記蓋部12の中心は上記支軸6の直下に位置される。なお、上記ナット7,8,9,10は、上記リング部14の取付位置を調整することにより、上記開口閉塞部材11全体の取付位置を調整するものであり、該開口閉塞部材11が後述するように自重により回動した際、上記蓋部12の内側面と上記炭化炉1の側壁3から突出した上記円筒部材5の先端との間が極僅かな隙間が形成されるようにしたものである。また、上記ナット7,10により自重により回動する開口閉塞部材11に適度な抵抗を付与することもできる。
【0024】
次に、バーナー側の構成について、
図4を参照しながら説明する。なお、この
図4は、後述するように、バーナー21を上記炭化炉1から取り外した後の状態を示す側面図である。上記バーナー21は、内部にファンや燃料供給機構等が配置されたバーナー本体22と、このバーナー本体22の先端形成された拡径部23と、この拡径部23の先端に固定され長方形状に成形されたフランジ板24と、上記拡径部23の外径よりも小径に成形されたバーナー側円筒部25と、このバーナー側円筒部25の先端に基端が着脱自在に固定されてなる先端側円筒部材26と、を備えている。上記先端側円筒部材26は、本発明を構成する筒状噴射口であるとともに、上記炭化炉1に固定された円筒部材5内に挿入されるものであり、したがって該先端側円筒部材26の外径は、この円筒部材5の内径よりも若干短いものとされている。また、上記バーナー側円筒部25と上記先端側円筒部材26との外径は同じものとされている。そして、上記フランジ板24は、長方形状に成形され肉厚は10~20mm程度とされた板体である。
【0025】
そして、上記バーナー21は、
図1又は
図4に示すように、スライド機構31により、上記炭化炉1の側壁3側及びその逆方向にスライド自在とされている。この実施の形態において、上記スライド機構31は、上記バーナー21の荷重を該バーナー21の下方で支持しながらスライドさせるものであり、該バーナー21が載置されるスライド台車32と、このスライド台車32を支持するレールベース33と、を備えている。上記スライド台車32は、
図7に示すように、上記バーナー21が載置固定される架台35と、この架台35の正面側(側壁3側)端部から起立してなる正面板部36と、該架台35の背面側に配置され作業者がスライド操作する際に把持されるハンドル37と、を備えている。上記架台35は、
図8に示すように、上記側壁3側及びその逆方向に長さを有し長方形状に成形された一方の架台半体38と、この一方の架台半体38と同一形状に成形され該一方の架台半体38に平行に配置された他方の架台半体39と、を備えている。そして、これら一方の架台半体38の他端側(側板3側とは反対側)には、一方の円筒管40の下端が溶接され、上記他方の架台半体39の他端側には、上記一方の円筒管40と平行に起立してなる他方の円筒管41の下端が溶接されている。また、上記正面板部36の下端は、上記一方及び他方の架台半体38,39の一端(側板3側)に溶接されてなるとともに、中央よりやや上端側には、
図7に示すように、上記バーナー21のバーナー側円筒部24が挿通される円形状の開口36aが形成されている。また、この正面板部36の正面は、バーナー21が炭化炉1の側壁3に完全に取り付けられた際、上記炭化炉側フランジ部5aの外側面に接合される部位である。なお、この正面板部36の上端面は、炭化炉1の側壁3に固定された支軸6の固定位置よりもやや下方に位置してなるとともに、上記フランジ板24の上端面と互いに面一とされている。また、
図6又は
図7若しくは
図8に示すように、上記正面板部36の背面から上記一方の架台半体38の一側と他側とには、それぞれ長さ方向が傾斜してなる補強板43,44が溶接され、該正面板部36の背面から上記他方の架台半体39の一側と他側とには、それぞれ長さ方向が傾斜してなる補強板45,46が溶接されている。
【0026】
そして、上記一方の円筒管40と他方の円筒管41とには、上記ハンドル37が固定されている。このハンドル37は、
図7に示すように、作業者が把持する水平把持部37aと、この水平把持部37aの左右両端から円弧状の折曲部37b,37cを介して垂下してなる左右の脚部37d,37eとから構成され、上記左右の脚部47d,47eの下端側が上記一方又は他方の円筒管40,41内に挿入され固定されている。また、上記架台35を構成する一方の架台半体38の裏面には、
図6又は
図7に示すように、第1及び第2のキャスター48,49が取り付けられており、また、上記他方の架台半体39との裏面には、第3及び第4のキャスター50,51が固定されている(第1のキャスター48は、
図5参照)。これら第1ないし第4のキャスター48・・・51は、後述する一方又は他方のガイドレール54,55上を転動する車輪48a・・・51aと、該車輪48a・・・51aを回動自在に支持してなる車輪支持体48b・・・51bとから概ね構成されている。なお、上記車輪48a・・・51aの外周には、断面V字状の溝部(符号は省略する。)が成形されている。
【0027】
また、上記レールベース33は、
図9又は
図10に示すように、上記側壁3側及びその逆方向に長さを有してなる板体であり、該レールベース33の上面の一側側には、上記第1及び第2の車輪48a,49aが支持される一方のガイドレール54が固定され、該レールベース33の上面の他側側には、上記第3及び第4の車輪50a,51aが支持される他方のガイドレール55が固定されている。なお、これら一方及び他方のガイドレール54,55の長さは、上記レールベース33の長さよりもやや短いものとされてなるとともに、該一方のガイドレール54の両端には、上記第1又は第2の車輪48a,49aに当接し上記バーナー21のスライド範囲を規制するともに、上記スライド台車32がレールベース33上から脱落する事態を防止する第1及び第2の起立片57,58が固定され、上記他方のガイドレール55の両端には、上記第3又は第4のキャスター本体50a,51aに当接しバーナー21のスライド範囲を規制するともに、上記スライド台車32がレールベース33上から脱落する事態を防止する第3及び第4の起立片59,60が固定されている。なお、上記レールベース33は、
図4又は
図5に示すように、工場等のような図示しない炭化処理施設に、冒頭で記載した炭化炉1が設置される図示しない床上に支持される第1ないし第4のベースプレート63,65,66(第2のベースプレートは図示しない)が固定されている。これら第1ないし第4のベースプレート63,65,66は、第1のベースプレート63を示す
図11に表されたように、長方形状に成形されてなるものであり、
図12に示すように、該第1のベースプレート63の両端側に一方又は他方の貫通穴63a,63bが形成され、該一方の貫通穴73aには、
図11に示すように、外周のネジが螺刻されたボルト軸68が起立した状態で固定され、このボルト軸68は、レールベース33に開設された軸挿通穴(符号は省略する。)に挿通されてなるとともに、一方及び他方のナット69,70が螺着されて、
図5に示すように、該一方のナット69と他方のナット70とにより上記レールベース33が挟持されている。他の第2ないし第4のベースプレート63,65,66も同じように、上記一方及び他方のナット(符号は省略する。)により上記レールベース33に固定されている。したがって、第1ないし第4のベースプレート63,65,66は、上記それぞれのナット69,70によるレールベース33の挟持位置を適宜変更することにより、上記バーナー21を水平に又はがたつきがない状態で設置することができる。なお、上記他方の貫通穴63bは、
図5に示すように、上記レールベース33を上記炭化処理施設の床等に固定する図示しないアンカーボルトを挿通する部位として使用される。
【0028】
また、この実施例では、
図1に示すように、上記バーナー21の駆動中に該バーナー21の位置を固定する目的で、バーナー固定具72が使用される。このバーナー固定具72は、上記一方のガイドレール54と他方のガイドレール55上にそれぞれ配置されて使用されるものである。
図1には、他方のガイドレール55上に載置された状態が図示されており、これと同じように、上記一方のガイドレール54にも上記バーナー固定具72が使用される。そして、このバーナー固定具72は、
図13に示すように、固定具本体73と、この固定具本体73にスライド自在に取り付けられた調整板74とから構成されている。上記固定具本体73は、
図14に示すように、長方形状に成形された上面板部73aと、この上面板部73aの一側から垂下してなる一方の側板部73bと、上記上面板部73の他側から垂下し上記一方の側板部73bに面対向してなる他方の側板部73cと、上記一側は上記一方の側板部73bの下端に接続され他側は上記他方の側板部73cに接続されてなる底板部73dとから構成され、この底板部73には、上記一方のガイドレール54又は他方のガイドレール55の形状に対応した三角形状の凹溝73eが形成されている。なお、上記上面板部73aであって後述する調整板74を取り付けるために使用されるネジ76,77が挿通され螺着される図示しないネジ穴が該上面板部73aの幅方向に並んで形成されている。また、上記調整板74は、この固定具本体73を構成する上面板部73a上に取り付けられるものであって、
図15に示すように、上記上面板部73aの幅と同じ幅を有する長方形状の板体であって、上記ネジ76,77が挿通される長孔74a,74bが穿設されている。なお、この調整板74は、上記一方のガイドレール54と他方のガイドレール55上にそれぞれ配置された場合、その先端が上記第2のキャスター49又は第4のキャスター51を構成する車輪支持体49b,51bに当接する部位である。また、上記固定具本体73の背面側には傾斜板78が固定され、上端側には円形状の開口78aが穿設されている。なお、上記傾斜板78は、上端が上記上面板部73aよりも上方に突出する長さとされ、該上面板部73aとの間で鈍角を形成する角度とされている。なお、
図16に示すように、この傾斜板78の下端にも、上記凹溝73aと同一形状とされた切欠き78bが形成されている。そして、上述したように、それぞれの調整板74が上記一方のガイドレール54又は他方のガイドレール55上に載置され、該調整板74の先端が上記車輪支持体49b,51bに当接された際、上記傾斜板78の背面の中途部は、上記第2の起立片58又は第4の起立片60に当接されている。なお、上記調整板74の先端が上記車輪支持体49b,51bに当接された際、上記傾斜板78の背面の中途部と上記第2の起立片58又は第4の起立片60との間に空間が形成される場合又は該第2の起立片58又は第4の起立片60に傾斜板74が当接することなく、このバーナー固定具72が一方又は他方のガイドレール54,55上に装着できない場合には、上記長孔74a,74bの長さの範囲内において調整板74をスライド操作し、最も適切な位置で上記ネジ76,77により固定すれば良い。
【0029】
以下、上述した各構成を前提に、炭化炉1に対してバーナー21が取り付けられた状態から、該バーナー21が取り外された状態について説明する。先ず、バーナー21が取り付けられた状態は、
図1に示すように、該バーナー21を構成する先端側円筒部材26の全ては円筒部材5内及び上記第1の部位4a内を通過し、その先端は第2の部位4b内に位置している。また、上記バーナー側円筒部25の先端は、上記円筒部材5内に位置している。そして、この時、上記円筒部材5の先端に形成された炭化炉側フランジ部5aの外側面は、上記正面板部36の正面に接合されているとともに、上記開口閉塞部材11を構成する蓋部12は、
図5に示すように、該正面板部36(又は該正面板部36とフランジ板24)の上端に支持された状態とされている。なお、この際には、上述したバーナー固定具72がそれぞれ上記一方のガイドレール54と他方のガイドレール55上にそれぞれ配置されており、不用意に上記バーナー21がスライドされないようにされている。
【0030】
そして、上述した状態(
図1に示す状態)から、バーナー固定具72をそれぞれ一方及び他方のガイドレール54,55上から取り除き、作業者が上記ハンドル37の水平把持部37aを把持しながら
図1中左方向に上記スライド台車32を移動させると、このスライド台車32(バーナー21)は、上記一方及び他方のガイドレール54,55にガイドされながらスライドされ、こうした動作により上記先端側円筒部材26やバーナー側円筒部25は、上記側壁3に形成された開口4(第1の部位4a及び第2の部位4b)から抜かれる。また、上記動作(操作)により、それまで正面板部36(又は該正面板部36とフランジ板24)の上端面に支持されていた上記蓋部12は、該蓋部12の周面と正面板部36(又は該正面板部36とフランジ板24)の上端面に摺接し、その後は、該蓋部12自重により上記軸部13を中心に回動し、
図17に示すように、上記バーナー側円筒部25の外周面に該蓋部12の周面が支持され摺接しながらやがて上記先端側円筒部材26の外周面に支持され摺接する。そして、この先端側円筒部材26が上記円筒部材5から完全に抜かれると、それまで該先端側円筒部材26に支持されていた上記蓋部12は、その自重により上記支軸6を中心に自動的に回動し、最終的には、
図18に示すように、該蓋部12により上記円筒部材5の開口は閉塞される。なお、上記蓋部12の背面に配置された断熱材12cは、セラミックウールからなり押圧することにより多少撓むことから、上記蓋部12により完全に円筒部材5が閉塞された後において、バーナー21全体を蓋部12側に僅かにスライドさせて、上記先端側円筒部材26の先端により蓋部12を押圧することにより、セラミックウールである断熱材12cが撓んで炭化炉1内の炎や熱風を完全に遮断させることができる。
【0031】
したがって、上述した実施の形態に係るバーナーの取付構造によれば、バーナー21を炭化炉1等の工業炉から取り外す際に、該炭化炉1内の熱風や火炎が上記円筒部材5(開口4)から外部に噴出される事態を回避することができ、ひいてはバーナー21の故障や点検のため、或いは炭化炉1の不具合を原因にバーナー21を取り外す際、該炭化炉1内が常温になるまで待つなどの必要はなく、この結果、このバーナーの取付構造によれば、作業効率や生産性は格段に向上することができる。
【0032】
なお、上述した実施の形態では、開口閉塞部材11を構成する蓋部12により上記円筒部材5の開口を閉塞した状態において、該開口閉塞部材11の回動の中心となる部位である上記支軸6は、該円筒部材5の中心の上方に位置してなるものを図示して説明したが、本発明は、こうした構成に限定されるものではなく、例えば
図19に示す構造であっても良い。この構造は、一点鎖線で示す円筒部材5(開口)の中心よりもやや上方位置に、上記支軸16を炭化炉1の側壁3から突設し、上記リング部14をこの支軸16に遊嵌させる一方、
図19に示すように蓋部12により円筒部材5を完全に閉塞された場合には、該蓋部12に当接し該蓋部12を含めた開口閉塞部材11全体を支持するストッパー81を上記側壁3から突設するか、或いは、上記軸部13の一側に当接し開口閉塞部材11全体を支持するストッパー82を上記側壁3から突設するものである。なお、先に説明した実施の形態に係る構成を前提とした場合、こうしたストッパー81又はストッパー82の何れかを上記側壁3に突設することにより、バーナー21を完全に炭化炉1に取り付けた場合、該ストッパー81又はストッパー82の先端が上記正面板部36に当接することから、該正面板部36には、該ストッパー81又はストッパー82の先端側が挿通される挿通穴を形成すれば良い。こうした構成による場合であっても、先に説明した実施の形態に係るバーナーの取付構造と同様の作用効果を奏することができる。
【0033】
また、この工業炉に対するバーナーの取付構造では、先に説明した開口閉塞部材11に代えて
図20ないし
図22に示す開口閉塞部材11のように、ストッパー91を蓋部12の外周に配置したものであっても良い。このストッパー91は、
図21に示すように、上記蓋部12の中央から側方に水平に位置した部位に固定されてなるものであって、先に説明したように、自重で回動して上記円筒部材5を完全に閉塞した際に、該円筒部材5の外周に形成された炭化炉側フランジ部5aの外周面に当接し、それ以上の回動方向への回動を停止するものである。すなわち、このストッパー91は、基端が上記蓋部12(円筒部12b)の外周に溶接され該蓋部12から放射方向に長さを有する軸部91aと、この軸部91aから湾曲部(符号は省略する。)を介して略直角に湾曲され上記側壁3方向に長さを有する当接軸部91bとから構成されている。
図22に示すように、上記当接軸部91bは、上記炭化炉側フランジ部5aの外周面に当接する部位である。こうしたストッパー91を備えた開口閉塞部材11により、該開口閉塞部材11の回動が開始された後に振り子のように揺動することを防止することができ、ひいては上記円筒部材5の開口が完全に閉塞されるまでの時間を短縮化することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 炭化炉
3 側壁
4 開口
5 円筒部材
6 支軸
11 開口閉塞部材
12 蓋部
12c 断熱材
14 リング部
21 バーナー
81 ストッパー
82 ストッパー
91 ストッパー
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業炉の側壁には該工業炉の内部空間に連通する開口が形成されてなるとともに、この工業炉の外側には、該開口側及びその逆方向にスライド機構を介してスライド自在に支持されたバーナーが配置され、
上記バーナーは、バーナー本体と該バーナー本体の先端に形成され上記開口に挿入される筒状噴射口とを備えてなる一方、
上記工業炉の外側には、上記開口を閉塞する蓋部と、この蓋部の外周面に基端を有し先端側には内側が中空状に成形されたリング部を有する軸部と、を備えた開口閉塞部材が配置されてなるとともに、上記工業炉の側壁であって上記開口の中心の上方には、上記リング部内に遊嵌された支軸が突設されてなり、
上記開口内に筒状噴射口が挿入された取付状態においては、上記蓋部の外周面は上記バーナーの外表面の所定部位に当接しており、該バーナーが上記側壁から離間する方向にスライド操作される過程では、上記蓋部の外周面は該バーナーの外表面の所定部位に摺接し、その後該蓋部の外周面は該バーナーの筒状噴射口の外表面に摺接し、該筒状噴射口が上記開口から完全に取り外された状態においては、上記開口閉塞部材が上記支軸を中心に該開口閉塞部材の自重によって回動し、上記蓋部により上記開口が閉塞されることを特徴とする工業炉に対するバーナーの取付構造。
【請求項2】
工業炉の側壁には該工業炉の内部空間に連通する開口が形成されてなるとともに、この工業炉の外側には、該開口側及びその逆方向にスライド機構を介してスライド自在に支持されたバーナーが配置され、
上記バーナーは、バーナー本体と該バーナー本体の先端に形成され上記開口に挿入される筒状噴射口とを備えてなる一方、
上記工業炉の外側には、上記開口を閉塞する蓋部と、この蓋部の外周面に基端を有し先端側には内側が中空状に成形されたリング部を有する軸部と、を備えた開口閉塞部材が配置され、上記工業炉の側壁であって上記開口の近傍には、上記リング部内に遊嵌された支軸が突設されてなるとともに、該支軸の近傍又は上記開口の近傍には、上記開口閉塞部材の自重による回動を規制し、上記蓋部による開口の閉塞状態を維持するストッパーが配置されてなり、
上記開口内に筒状噴射口が挿入された取付状態においては、上記蓋部の外周面は上記バーナーの外表面の所定部位に当接しており、該バーナーが上記側壁から離間する方向にスライド操作される過程では、上記蓋部の外周面は該バーナーの外表面の所定部位に摺接し、その後該蓋部の外周面は該バーナーの筒状噴射口の外表面に摺接し、該筒状噴射口が上記開口から完全に取り外された状態においては、上記開口閉塞部材が上記支軸を中心に該開口閉塞部材の自重によって回動し、上記蓋部により上記開口が閉塞されることを特徴とする工業炉に対するバーナーの取付構造。
【請求項3】
前記工業炉の側壁には、一端が該側壁の外側面よりも外側に突設されてなるとともに該工業炉の内部空間に連通する円筒部材が配置され、該円筒部材の一端が前記開口とされてなり、
前記蓋部は、上記円筒部材の一端の開口面積よりも広い面積を有する円盤板部と、この円盤板部の外周から前記工業炉の側壁方向に起立してなる円筒部と、この円筒部内に収容され背面は上記開口を閉塞するとともにセラミックウールからなる断熱材が収容されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの工業炉に対するバーナーの取付構造。
【請求項4】
前記工業炉の側壁に形成された開口には、先端が該側壁から突出した円筒部材が配置されてなる一方、前記開口閉塞部材を構成する蓋部には、該円筒部材に形成された開口を完全に閉塞した際に該円筒部材に当接するストッパーが設けられてなることを特徴とする請求項1記載の工業炉に対するバーナーの取付構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記工業炉の側壁には、一端が該側壁の外側面よりも外側に突設されてなるとともに該工業炉の内部空間に連通する円筒部材が配置され、該円筒部材の一端が前記開口とされてなり、前記蓋部は、上記円筒部材の一端の開口面積よりも広い面積を有する円盤板部と、この円盤板部の外周から前記工業炉の側壁方向に起立してなる円筒部と、この円筒部内に収容され背面は上記開口を閉塞するとともにセラミックウールからなる断熱材が収容されてなることを特徴とするものである。