(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175377
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20241211BHJP
B65H 5/22 20060101ALI20241211BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20241211BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B65H5/06 B
B65H5/22 C
B41J11/02
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093116
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 潤
【テーマコード(参考)】
2C058
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2C058AB16
2C058AC07
2C058AC12
2C058AE02
2C058AE09
2C058AF15
2C058AF31
2C058AF38
2C058AF43
2C058DA38
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA14
3F048BB05
3F048CB13
3F048CC16
3F048DA08
3F048DC13
3F049AA01
3F049CA05
3F049CA11
3F049CA22
3F049EA29
3F049FB00
3F049LA01
3F049LB01
(57)【要約】
【課題】シートを搬送ベルトに吸引搬送させた場合に抑制しきれなかったシートの浮き上がりを規制可能なインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】シートSの浮き上がりS1が、第一規制部81(81a、81b)により規制される。これにより、浮き上がりS1が分割される。分割後の浮き上がりS2、S3は、第二規制部82により規制される。即ち、シートSに浮き上がりが生じた場合に、第一規制部81により浮き上がりS1が規制されることで、1箇所の浮き上がりS1が2箇所の浮き上がりS2、S3に分割される。そして、これら浮き上がりS2、S3が第二規制部82により規制されることで、浮き上がりS2、S3は、搬送ベルト3の搬送面3aからの高さが浮き上がり検知部により検知されない高さに抑制される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出してシートに画像を形成する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに対向して配置され、回転することでシートを搬送する無端状の搬送ベルトと、
空気を吸引して前記搬送ベルトにシートを吸着させる吸引部と、
シートの搬送方向に関し前記記録ヘッドよりも上流に配置され、前記搬送ベルトにより搬送されるシートの浮き上がりを検知する浮き上がり検知部であって、前記搬送ベルトの搬送面と直交する第一方向に関し前記搬送面から所定距離離れた位置に検知位置がある浮き上がり検知部と、
前記搬送方向に関し前記浮き上がり検知部よりも上流に配置され、前記搬送ベルトにより搬送されるシートの浮き上がりを規制する規制部材と、を備え、
前記規制部材は、
前記搬送方向に交差する第二方向に延設された軸部と、
前記軸部に前記第二方向に所定間隔を空けて配設され、前記第一方向に関し前記搬送面に前記所定距離よりも近い距離で対面する複数の第一規制部と、
前記軸部に前記第二方向に隣り合う前記第一規制部の間に配設され、前記第一方向に関し前記搬送面に前記第一規制部よりも遠い距離で且つ前記所定距離よりも近い距離で対面する複数の第二規制部と、を有する、
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記第一規制部は、前記軸部が挿通可能な前記軸部の直径より大きい貫通孔を有し、自重により前記搬送面に向けシートを押圧してシートの浮き上がりを規制する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第二規制部は、前記軸部が挿通可能な前記軸部の直径より大きい貫通孔を有し、自重により前記搬送面に向けシートを押圧してシートの浮き上がりを規制する、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記軸部は、金属によって円柱状に形成され、
前記第一規制部及び前記第二規制部は、前記軸部よりも硬度が小さい樹脂によって円筒状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記浮き上がり検知部は、前記第二方向に関し前記搬送ベルトの一端側に配置され、前記搬送ベルトにより搬送されるシートが通過する空間に向けて光を照射する照射部と、前記第二方向に関し前記搬送ベルトの他端側に前記空間を挟んで前記照射部に対向するように配置され、前記照射部から照射された光を受光する受光部とを有し、
前記照射部から照射される光の光路は、前記搬送面から前記所定距離離れた位置に設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト上に吸引され搬送されるシートに対しインクにより画像を形成するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、高生産性かつ高品位な成果物を実現可能な産業用のインクジェット記録装置が望まれている。インクジェット記録装置は、記録ヘッドから吐出されるインクによりシートに画像を形成するので、記録ヘッドとシートとの間隔(プリントギャップと呼ぶ)がシートに形成される画像の品位に大きく影響する。画像品位を確保するため、プリントギャップは例えば1mm程度に設定されるのが好ましい。ただし、プリントギャップが狭いと、搬送中のシートの一部が搬送ベルトから浮いた場合に記録ヘッドに接触しやすくなる。シートが記録ヘッドに接触すると、画像不良が生じたり、あるいは記録ヘッドが破損したりする。
【0003】
そこで、従来では、搬送ベルトにシートを吸引させ搬送させることで、シート端部のめくれやカールといったような搬送ベルトからのシートの浮き上がりを抑制するようにしている(特許文献1)。また、記録ヘッドよりもシートの搬送方向上流に浮き上がり検知部を設け、搬送ベルトからのシートの浮き上がりの有無を検知できるようにしている。浮き上がり検知部によりシートの浮き上がりが検知された場合には、実行中の画像形成ジョブが中断され、インクの吐出停止、シートの搬送停止、記録ヘッドの退避などの処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来の装置では、シートのめくれやカールといった比較的に大きいシートの浮き上がりを抑制するために、シートを搬送ベルトに吸引させて搬送している。しかしながら、シートを搬送ベルトに吸引させるだけでは、シートのめくれやカールに比べて浮き上がりが小さい局所的なシートの浮き上がりを抑制しきれないことがあり、浮き上がり検知部により検知されることが多かった。そのため、従来では、シートの浮き上がりに起因する画像形成ジョブの中断が頻繁に生じて、インクジェット記録装置の生産性が低下する虞があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、シートを搬送ベルトに吸引搬送させた場合に抑制しきれなかったシートの浮き上がりを規制可能なインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出してシートに画像を形成する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対向して配置され、回転することでシートを搬送する無端状の搬送ベルトと、空気を吸引して前記搬送ベルトにシートを吸着させる吸引部と、シートの搬送方向に関し前記記録ヘッドよりも上流に配置され、前記搬送ベルトにより搬送されるシートの浮き上がりを検知する浮き上がり検知部であって、前記搬送ベルトの搬送面と直交する第一方向に関し前記搬送面から所定距離離れた位置に検知位置がある浮き上がり検知部と、前記搬送方向に関し前記浮き上がり検知部よりも上流に配置され、前記搬送ベルトにより搬送されるシートの浮き上がりを規制する規制部材と、を備え、前記規制部材は、前記搬送方向に交差する第二方向に延設された軸部と、前記軸部に前記第二方向に所定間隔を空けて配設され、前記第一方向に関し前記搬送面に前記所定距離よりも近い距離で対面する複数の第一規制部と、前記軸部に前記第二方向に隣り合う前記第一規制部の間に配設され、前記第一方向に関し前記搬送面に前記第一規制部よりも遠い距離で且つ前記所定距離よりも近い距離で対面する複数の第二規制部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートを搬送ベルトに吸引搬送させた場合に抑制しきれなかったシートの浮き上がりを規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】プリントモジュールの制御系を示す制御ブロック図。
【
図4】シートに浮き上がりが生じていない場合を示す模式図。
【
図5】シートに浮き上がりが生じている場合を示す模式図。
【
図6】本実施形態の浮き上がり規制部材を示す模式図。
【
図7】浮き上がり検知部と浮き上がり規制部材を示す断面図。
【
図8】(a)浮き上がり規制前のシートの浮き上がり状態を示す模式図、(b)浮き上がり規制後のシートの浮き上がり状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<インクジェット記録装置>
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。まず、本実施形態のインクジェット記録装置について、
図1を用いて説明する。本実施形態のインクジェット記録装置100は、インクと反応液を用いてシートに画像を形成する所謂枚葉式のインクジェット記録装置である。シートは、例えば普通紙や厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート、並びに布など、インクを受容可能な記録材であればよい。
【0011】
図1に示すように、インクジェット記録装置100は、給紙モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、積載モジュール7000を備える。給紙モジュール1000から供給されるシートSは、各モジュール内を搬送経路に沿って搬送される際に各種処理が行われ、最終的に積載モジュール7000に排出される。
【0012】
なお、給紙モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、積載モジュール7000はそれぞれが別々の筐体を有し、それら筐体が連結されてインクジェット記録装置100を構成してよい。あるいは、1つの筐体に給紙モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、積載モジュール7000が配置されていてもよい。
【0013】
給紙モジュール1000は、シートSを収容する収納庫1500a、1500b、1500cを有し、収納庫1500a~1500cはシートSを収容するために装置正面側へ引き出し可能に設けられている。シートSは、各収納庫1500a~1500cにおいて分離ベルト及び搬送ローラにより1枚ずつ給送されて、プリントモジュール2000へ搬送される。なお、収納庫1500a~1500cは3つであることに限定されず、1つや2つあるいは4つ以上を有していてよい。プリントモジュール2000には、例えば液晶表示部210を有する操作部200が配設されている。プリントモジュール2000については、後述する(
図2参照)。
【0014】
乾燥モジュール3000は、デカップリング部3200、乾燥ベルトユニット3300、温風吹付部3400を有する。乾燥モジュール3000は、後続の定着モジュール4000によるシートSへのインクの定着性を高めるために、シートSに塗布されたインクの液体分を減少させる。画像形成されたシートSは、乾燥モジュール3000内に配置されたデカップリング部3200に搬送される。デカップリング部3200では、上方から吹き付けられる風の風圧によりシートSとベルトとの間に摩擦力を生じさせ、ベルトによりシートSを搬送させている。こうして、ベルト上に載置されたシートSを摩擦力により搬送させることで、シートSがプリントベルトユニット2010とデカップリング部3200に亘って搬送される際のシートSのズレを防ぐようにしている。
【0015】
デカップリング部3200から搬送されたシートSは、乾燥ベルトユニット3300にて吸引搬送されて、ベルト上方に配置された温風吹付部3400から温風が吹き付けられることにより、シートSに塗布されたインクが乾燥される。乾燥モジュール3000によりシートSに塗布されたインクが加熱され水分の蒸発が促進されることで、シートSにインクが飛び散って周囲に縁取りのような線ができる所謂コックリングが生じるのを抑制できる。なお、乾燥モジュール3000は加熱乾燥できる装置であればどのような装置を用いてもよいが、例えば温風乾燥機やヒータが好ましい。ヒータとしては、例えば電熱線、赤外線ヒータによる加熱が安全性やエネルギー効率の点から好ましい。
【0016】
定着モジュール4000は、定着ベルトユニット4100を有する。定着ベルトユニット4100は、乾燥モジュール3000から搬送されたシートSを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることによりインクをシートSに定着させる。
【0017】
冷却モジュール5000は冷却部5100を複数有し、冷却部5100により定着モジュール4000から搬送された高温のシートSを冷却する。冷却部5100は、例えば外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで冷却ボックス内の圧力を高め、冷却ボックスから圧力によりノズルを介して噴き出す風をシートSに当ててシートSを冷却する。冷却部5100は、シートSの搬送経路に対し両側に配置され、シートSの両面を冷却する。
【0018】
冷却モジュール5000には、搬送経路切換え部5002が設けられている。搬送経路切換え部5002は、反転モジュール6000にシートSを搬送する場合と、シートSの両面に画像形成する両面印刷のために両面搬送経路にシートSを搬送する場合とに応じて、シートSの搬送経路を切り換える。
【0019】
反転モジュール6000は、反転部6400を有する。反転部6400は搬送されるシートSの表裏を反転させて、積載モジュール7000に排出する際のシートSの表裏向きを変更する。積載モジュール7000は、トップトレイ7200と積載部7500を有し、反転モジュール6000から搬送されたシートSを積載する。
【0020】
両面印刷時、シートSは搬送経路切換え部5002により冷却モジュール5000の下方の搬送経路に搬送される。その後、シートSは定着モジュール4000、乾燥モジュール3000、プリントモジュール2000、給紙モジュール1000の両面搬送経路を通って、プリントモジュール2000へ戻される。定着モジュール4000の両面搬送部には、シートSの表裏を反転させる反転部4200が設けられている。プリントモジュール2000へ戻されたシートSは、画像形成されていない他方の面にもインクにより画像が形成され、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000を経て積載モジュール7000に排出される。
【0021】
<プリントモジュール>
次に、プリントモジュール2000について、
図2を用いて説明する。
図2に示すように、プリントモジュール2000は、作像前レジ補正部(不図示)、プリントベルトユニット2200、記録部2300を有する。給紙モジュール1000から搬送されたシートSは、作像前レジ補正部により用紙の傾きや位置が補正されてプリントベルトユニット2200へ搬送される。
【0022】
シートSの搬送経路に対し、プリントベルトユニット2200と対向する位置には記録部2300が配置されている。記録部2300は、搬送されるシートSに対して上方から複数の記録ヘッドによりシートS上にインクを吐出して画像を形成する。シートSは、プリントベルトユニット2200により吸引搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランスを確保するようにしている。本実施形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色と反応液に対応した計5つのライン型の記録ヘッド1Y、1M、1C、1K、1Hが搬送方向(矢印X方向)に沿って並べられている。
【0023】
なお、インクの色数及び記録ヘッドの数は5つに限定されない。また、インクを吐出させるインクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。
【0024】
シートSは、プリントベルトユニット2200により搬送される。プリントベルトユニット2200は、無端状の搬送ベルト3、搬送ベルト3を回転自在に張架する複数の張架ローラ51、52、53、54、プラテンユニット2、吸引ファン4を有する。
【0025】
搬送ベルト3は記録ヘッド1Y~1Hの鉛直方向下方に配置され、回転することでシートSを搬送する。本実施形態の場合、搬送ベルト3は回転方向に関して、記録ヘッド1Y~1Hと対向してシートSを吸引搬送する搬送面3aの両側が一対の張架ローラ51、52により張架されている。なお、張架ローラ51、52、53、54のうち少なくとも1つは、搬送ベルト3を回転駆動する駆動ローラである。シートSと記録ヘッド1Y~1Kとのプリントギャップは所定間隔(例えば1mm)に設定されており、記録ヘッド1Y~1KからシートSにインクが吐出されることにより、シートSには高精度且つ高画質の画像が形成される。
【0026】
シートSは、記録ヘッド1Y~1H(詳しくは各ノズルの吐出口)との間隔を所定間隔にすべく、回転する搬送ベルト3の搬送面3aに吸引されて搬送される。そうするために、搬送ベルト3には全周に亘って空気が通過可能な微細な孔が多数形成され、搬送ベルト3及びプラテンユニット2の鉛直方向下方には吸引ファン4が配置されている。吸引部としての吸引ファン4は、空気を下方(矢印Z方向)に向かって吸引して搬送ベルト3の搬送面3aにシートSを吸着させる。なお、ここでは2台の吸引ファン4自体を図示の位置に配置した場合を示したが、これに限らず、不図示であるが別の位置に配置した吸引ファンに接続されているダクトの吸引口が図示した吸引ファン4の位置に配置されてもよい。
【0027】
本実施形態の場合、搬送ベルト3は、張架ローラ51、52により張架された部分であって少なくとも記録ヘッド1Y~1Hと対向する対向領域を含む搬送面3aの下方で、プラテンユニット2により支持されている。吸引ファン4はプラテンユニット2の下方に配置され下方に向かって空気を吸引していることから、搬送ベルト3はプラテンユニット2に摺動しながら回転する。
【0028】
記録ヘッド1Y~1Hよりも搬送方向上流には、浮き上がり検知部2400が配設されている。浮き上がり検知部2400は、搬送ベルト3の搬送面3aと直交する第一方向(ここでは鉛直方向)に関し、搬送ベルト3の搬送面3aからの高さが所定高さよりも高くなったシートSを検知するために設けられる。そして、浮き上がり検知部2400よりも搬送方向上流には、搬送ベルト3の搬送面3aからのシートSの高さを抑制すべく、シートSの搬送ベルト3からの浮き上がりを規制する浮き上がり規制部材80が配設されている。これら浮き上がり検知部2400及び浮き上がり規制部材80については後述する。また、浮き上がり規制部材80よりも搬送方向上流には、シートSの通過を検知するためにシート検知センサ40が配設されている。
【0029】
<制御部>
プリントモジュール2000は制御部300を備え、制御部300はプリントモジュール2000を制御してシートSに画像を形成させる。制御部300は、図示を省略したが、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有する。ROMやRAMには、画像形成ジョブなどの各種プログラム、画像データなどの各種データが記憶される。また、RAMは、各種プログラムの実行に伴う演算処理結果などを一時的に記憶することもできる。
【0030】
次に、制御部300によるプリントモジュール2000の制御系について、
図1及び
図2を参照しながら
図3を用いて説明する。
図3に示すように、制御部300には、プリントベルトユニット2200、記録部2300、操作部200が接続されている。制御部300は、プリントベルトユニット2200を制御してシートSを搬送ベルト3に吸引させながら搬送させ、記録部2300を制御して記録ヘッド1Y~1HからシートSに対しインクと反応液とを吐出させて画像形成を行う。
【0031】
操作部200は、液晶表示部210に各種プログラムや各種データ、あるいは画像形成ジョブ終了や異常発生などの各種表示を表示可能である。操作部200はユーザが操作可能な例えばタッチパネルであってよく、ユーザのタッチ操作に応じて画像形成ジョブなどの各種プログラムの開始入力や各種データ入力などを受け付け可能である。制御部300は液晶表示部210に表示する表示内容を変更する制御を行ったり、操作部200から入力されたデータを受信する制御を行ったりする。
【0032】
また、制御部300には、シート検知センサ40、浮き上がり検知部2400が接続されている。制御部300は、シート検知センサ40によるシートSの検知から所定時間経過後に、記録部2300による画像形成動作を開始する。即ち、シートSがプリントモジュール2000に到達し、シート検知センサ40により検知されると、その検知信号が制御部300に入力される。制御部300は、シート検知センサ40から検知信号が入力されてから所定時間経過後に、記録部2300を制御して記録ヘッド1Y~1Hによる画像形成を開始する。ここでの所定時間とは、搬送ベルト3により搬送されるシートSがシート検知センサ40から記録ヘッド1Yに到達するまでにかかる時間である。制御部300は、シートSのサイズと所定の搬送ベルト3の回転速度とを用いてこの所定時間を求めることができる。
【0033】
制御部300は、浮き上がり検知部2400によりシートSの浮き上がりが検知された場合に、実行中の画像形成ジョブを中断する。その際に、制御部300はプリントベルトユニット2200を制御してシートSの搬送を停止する、記録部2300を制御してインクの吐出を停止する、また不図示の接離機構により記録ヘッド1Y~1Hを搬送ベルト3から離れる向きに退避するなどの処理を行う。なお、制御部300は、シートSの浮き上がりが生じたことによって画像形成ジョブを中断した旨を液晶表示部210に表示させてよい。
【0034】
上記のように、記録ヘッド1Y~1Hよりも搬送方向上流には、浮き上がり検知部2400が配置されている。浮き上がり検知部2400は、搬送ベルト3の搬送面3aから所定量上方の位置まで浮き上がったシートSを検知することで、搬送ベルト3から浮き上がったシートSが記録ヘッド1Y~1Hに接触することにより生じる各種問題を防ぐために設けられている。
【0035】
上記問題として、例えば記録ヘッド1Y~1Hの汚れが挙げられる。具体例として、イエローのインクを吐出している記録ヘッド1YにシートSが接触することでシートS上にイエローのインクが付着する。その後、シートSが後続のマゼンタのインクを吐出する記録ヘッド1Mに接触すると、記録ヘッド1Mにイエローのインクが付着して汚れてしまい得る。そうなると、記録ヘッド1Mからマゼンタとイエローが混ざったインクがシートS上に吐出されることになり、正しい色でシートSに画像を形成するのが難しくなる。また、上記問題として、例えば記録ヘッド1Y~1Hの破損が挙げられる。シートSによる記録ヘッド1Y~1Hへの接触が繰り返されると、記録ヘッド1Y~1Hのノズルが欠損するなどして正常に画像形成できなくなる虞がある。こうした問題を防止するために、本実施形態では、シートSが記録ヘッド1Y~1Hに接触(ヘッドタッチと呼ぶ)する虞がある搬送ベルト3からのシートSの浮き上がりを、浮き上がり検知部2400により検知するようにしている。
【0036】
<浮き上がり検知部>
浮き上がり検知部2400は、搬送ベルト3の搬送面3aからの高さが所定高さより高いシートSを検知するために設けられる。浮き上がり検知部2400について、
図3を参照しながら
図4及び
図5を用いて説明する。
図4及び
図5は浮き上がり検知部2400を示す模式図であって、
図4ではシートSに浮き上がりが生じていない場合を示し、
図5ではシートSに浮き上がりが生じている場合を示した。
【0037】
浮き上がり検知部2400は、照射部31と受光部32とアンプ(不図示)を有している。
図4に示すように、シートSの搬送方向に交差する第二方向(幅方向)に関し、照射部31は搬送ベルト3の一端側に配置され、受光部32は搬送ベルト3の他端側に配置されている。照射部31は、搬送ベルト3を幅方向に横断するように搬送ベルト3により搬送されるシートSが通過する空間に向けてライン状のレーザ光33を照射する。
【0038】
受光部32の内部には複数の受光素子(不図示)が鉛直方向に配列されており、これら受光素子は受光したレーザ光33を電気信号に変換してアンプへ送信する。アンプは受光素子からの電気信号を受けて、複数の受光素子のうち受光部32においてどの位置の受光素子がレーザ光33を受光し、どの位置の受光素子がレーザ光33を受光していないかを測定する。
【0039】
例えば、シートSが
図4に示す状態の場合、照射部31から照射されたレーザ光33の一部が搬送ベルト3及びシートSによって遮光される。そのため、受光部32においては、直線D1より下方の受光素子が遮光によりレーザ光33を受光しておらず、直線D1より上方の受光素子がレーザ光33を受光している状態となる。この場合、アンプは遮光位置を直線D1で示す位置に特定する。ここで言う遮光位置とは、複数の受光素子のうち遮光されている受光素子と受光している受光素子との境界を指す。
【0040】
浮き上がり検知部2400には、鉛直方向に関し搬送ベルト3の搬送面3aから所定距離離れた位置が検知位置DSとして予め設定されている。浮き上がり検知部2400はアンプにより特定された遮光位置(D1)が検知位置DSよりも上方であれば、シートSの浮き上がりを検知したことを表す検知信号を制御部300へ送信する。本実施形態における検知位置DSは、シートSがその位置よりも上方にある場合にヘッドタッチし得る位置である。例えば、上記したようにプリントギャップが「1mm」に設定されている場合、検知位置DSは搬送ベルト3の搬送面3aから例えば「0.8mm」の所定高さ離れた位置に設定されている。なお、検知位置DSは、搬送ベルト3の搬送面3aと記録ヘッド1Y~1Hとの間隔、それらの寸法公差バラツキ、レーザ光33の光路と搬送ベルト3の搬送面3aとの平行性バラツキなどが考慮されて適切な値に設定されてよい。
【0041】
図4に示すように、シートSに浮き上がりが生じていない場合、遮光位置(D1)は検知位置DSよりも下方であるため、浮き上がり検知部2400から制御部300へ検知信号が送信されない。したがって、制御部300は実行中の画像形成ジョブを中断せずに継続する。これは、シートSに浮き上がりが生じていなければ、シートSが記録ヘッド1Y~1Hに接触しないためである。
【0042】
他方、
図5に示すように、シートSに浮き上がりが生じている場合、シートSの浮き上がり箇所Sfによる遮光に応じて、受光部32における遮光位置は直線D2で示す位置に特定される。遮光位置(D2)は検知位置DSよりも上方であるため、浮き上がり検知部2400から制御部300へ検知信号が送信される。その場合、制御部300は実行中の画像形成ジョブを中断し、上記したように、シートSの搬送停止、インクの吐出停止、記録ヘッド1Y~1Hの退避などの処理を行う。
【0043】
こうして、本実施形態では、ヘッドタッチが生じ得るシートSの浮き上がりを、シートSが記録ヘッド1Yに到達する前に検知するようにしている。したがって、シートSに浮き上がりが生じたとしても、検知位置DSを超える遮光位置を測定しなければ、ヘッドタッチが生じる虞がないため、浮き上がり検知部2400から制御部300へ検知信号が送信されず、制御部300は実行中の画像形成ジョブを中断せずに継続する。
【0044】
なお、
図5においては説明を理解しやすくするために、シートSの浮き上がり箇所Sfが図中左端部の位置に生じた例を示したが、これに限らない。シートSの浮き上がり箇所Sfは、シートSにおいて幅方向のどの位置にも、また搬送方向のどの位置にも生じ得る。そうした位置に浮き上がりが生じても、遮光位置が検知位置DSを超えていれば、浮き上がり検知部2400から制御部300へ検知信号が送信される。
【0045】
既に述べた通り、シートSが搬送ベルト3に吸引されて搬送されることで、シート端部のめくれやカールのようなシートSの浮き上がりは検知位置DS「0.8mm」より小さく抑えられ、浮き上がり検知部2400に検知されずまたヘッドタッチは生じない。しかし、浮き上がり規制部材80が配設されていない従来例では、めくれやカールに比較して小さい、搬送ベルト3の搬送面3aからの高さが例えば「1.3mm~1.7mm」程度の局所的に生じ得るシートSの浮き上がりを抑えきれず、浮き上がり検知部2400に検知されていた。それ故、従来例ではシートSの浮き上がりに起因する画像形成ジョブの中断が生じやすく、インクジェット記録装置100の生産性が低下する虞があった。
【0046】
<浮き上がり規制部材>
そこで、上記したように、本実施形態では、浮き上がり規制部材80が浮き上がり検知部2400よりも搬送方向上流に配設されている。本実施形態の浮き上がり規制部材80について、
図6乃至
図8(b)を用いて説明する。
【0047】
図6に示すように、浮き上がり規制部材80は、軸部83と、円筒状に形成された第一規制部81及び第二規制部82とを有する。軸部83は、幅方向に搬送ベルト3を横断するように延設されている。この軸部83に、第一規制部81及び第二規制部82が幅方向に沿ってそれぞれ複数配設されている。第一規制部81は軸部83の幅方向に所定間隔を空けて配設され、第二規制部82は軸部83において幅方向に隣り合う第一規制部81と第一規制部81との間に配設されている。即ち、第一規制部81と第二規制部82とは軸部83に対し交互に挿通されている。
【0048】
また、
図7に示すように、第一規制部81は、鉛直方向に関し搬送ベルト3の搬送面3aに、浮き上がり検知部2400の検知位置DS(所定距離)よりも近い距離で対面するように配設されている。他方、第二規制部82は、鉛直方向に関し搬送ベルト3の搬送面3aに、第一規制部81よりも遠い距離で且つ浮き上がり検知部2400の検知位置DSよりも近い距離で対面するように配設されている。
【0049】
本実施形態の場合、軸部83は例えば金属によって円柱状に形成され、第一規制部81及び第二規制部82は軸部83よりも硬度が小さい樹脂によって円筒状に形成されている。金属としては例えばステンレスが用いられ、樹脂としては例えばポリアセタール又はポリオキシメチレンが用いられる。なお、第二規制部82を設けずに軸部83を太くした構成の場合、搬送されるシートSに金属の軸部83が摺擦してしまってシートSが損傷してしまう可能性があるので、本実施形態では樹脂によって形成された第二規制部82を設けている。
【0050】
円筒状の第一規制部81及び第二規制部82は中心に略同径の貫通孔83aが形成されており、軸部83が貫通孔83aに挿通されている。ここで、貫通孔83aの直径は軸部83が挿通可能に軸部83の直径より大きいため、第一規制部81及び第二規制部82と軸部83との間には隙間が生じている。また、第一規制部81の外径は第二規制部82の外径より大きい。
【0051】
第一規制部81は、搬送ベルト3を吸引搬送されるシートSに浮き上がりが生じた場合に、鉛直方向の最下点である第一規制位置811でシートSを搬送ベルト3に向けて付勢し得る。同様に、第二規制部82は、搬送ベルト3を吸引搬送されるシートSに浮き上がりが生じた場合に、鉛直方向の最下点である第二規制位置821でシートSを搬送ベルト3に向けて付勢し得る。ここで、
図7に示すように、第一規制位置811は、搬送ベルト3の搬送面3aよりも上方の位置である。他方、第二規制位置821は、上記したように第一規制部81の外径が第二規制部82の外径より大きいことから、第一規制位置811よりも搬送面3aから離れた上方の位置である。例えば、第一規制位置811は搬送面3aからの高さが「0.5mm」程度であり、第二規制位置821は搬送面3aからの高さが「0.7mm」程度である。これら第一規制位置811、第二規制位置821は共に、浮き上がり検知部2400の検知位置DSよりも下方の位置である。なお、第一規制位置811は、搬送面3aと同一面上の位置であってもよい(搬送面3aからの高さが0mm)。
【0052】
第一規制部81及び第二規制部82は、軸部83に回動可能に配設されているため、搬送されるシートSに対して連れ回ることで搬送抵抗とはならない。また、第一規制部81及び第二規制部82は、貫通孔83aの範囲内で移動自由に配設されている。そのため、各構成部品の寸法公差バラツキによらず、第一規制部81、第二規制部82はそれぞれの自重により、搬送面3aに向け安定した付勢力でシートSを押圧してシートSの浮き上がりを規制し得る。
【0053】
なお、本実施形態では、幅方向の複数個所でシートSの浮き上がりが生じている場合に、複数個所で浮き上がりのそれぞれで安定した付勢力を発揮させてシートSの浮き上がりを規制するために、複数の第一規制部81及び第二規制部82が設けられている。
【0054】
また、本実施形態では、シートS内の幅方向のどの位置であっても安定した付勢力でシートSを押圧可能とするため、複数の第一規制部81及び第二規制部82を、搬送ベルト3を横断するように幅方向全域に配列しているが、これに限らない。例えば、浮き上がり規制部材80は、第一規制部81と第二規制部82とを一体化した部材を複数個配列した構成であってもよい。
【0055】
上記の浮き上がり規制部材80によるシートSの浮き上がり規制について説明する。
図8(a)は浮き上がり規制前のシートSの浮き上がり状態を示す模式図であり、
図8(b)は浮き上がり規制後のシートSの浮き上がり状態を示す模式図である。即ち、
図8(a)ではシートSの搬送方向上流側から見た場合を示し、
図8(b)ではシートSの搬送方向下流側から見た場合を示している。
【0056】
図8(a)に示すように、シートSの浮き上がりが生じた場合に、鉛直方向の最上点である浮き上がり位置ST1が検知位置DSよりも上方に位置したままでは、めくれやカールと同様に浮き上がり検知部2400により検知される。
図8(a)に示すようなシートSの浮き上がりは頻繁に生じやすく、浮き上がり規制部材80により頻繁に検知されると、成果物の生産性の低下に繋がる。そこで、本実施形態では、そうしたシートSの浮き上がりが生じた場合に、搬送ベルト3の搬送面3aからの高さを浮き上がり検知部2400により検知されない高さに抑制すべく、浮き上がり規制部材80によりシートSの浮き上がりを規制するようにしている。
【0057】
第一規制部81は、搬送面3aに向けシートSを押圧してシートSの浮き上がりS1を規制する。第一規制部81によるシートSの押圧により浮き上がりS1が規制されることで、1箇所の浮き上がりS1が2箇所の浮き上がりに分割される。浮き上がりS1は、
図8(b)に示すように、第一規制部81と隣り合う第一規制部81aとの間に生じる浮き上がりS2と、第一規制部81と隣り合う第一規制部81bとの間に生じる浮き上がりS3の2箇所に分割される。
【0058】
本実施形態では、第一規制部81の外径と第二規制部82の外径とに差を設けることで、第一規制部81に押圧されて変形する浮き上がりS1を退避させる退避空間ESを形成している。退避空間ESを形成することで、浮き上がりS1が第一規制部81に押圧された場合に、そのまま下方へ潰されて折り重なるように変形することがないので、浮き上がりS1が2箇所の浮き上がりS2、S3に分割される。
【0059】
分割後の浮き上がりS2は、第一規制部81と第一規制部81aに挟まれているが故に鉛直方向の上方に高くなる。同様に、分割後の浮き上がりS3も、第一規制部81と第一規制部81bに挟まれているが故に鉛直方向の上方に高くなる。ただし、これら浮き上がりS2及び浮き上がりS3は、幅方向に隣り合う第一規制部81と第一規制部(81a、81b)との間に配設された第二規制部82により浮き上がりが規制される。浮き上がりS2及び浮き上がりS3は第二規制部82により規制されることで、搬送ベルト3の搬送面3aからの高さが浮き上がり検知部2400により検知されない高さに抑制されている。即ち、浮き上がりS2及び浮き上がりS3は鉛直方向の上方に高くなるとしても、第二規制部82に押圧されて、第二規制部82よりも高くならない。したがって、分割後の浮き上がりS2及び浮き上がりS3の最上点は、最も高い場合でも第二規制部82の第二規制位置821となり、この位置は浮き上がり検知部2400の検知位置DSよりも下方の位置である。このようにして、浮き上がり検知部2400の検知位置DSを超えるシートSの浮き上がりS1が生じても、その浮き上がりS1が第一規制部81及び第二規制部82により、最上点が浮き上がり検知部2400の検知位置DSよりも下方の位置である浮き上がりS2、S3に分割される。
【0060】
以上のように、本実施形態では、シートSの浮き上がりS1を浮き上がり規制部材80の第一規制部81により規制することで二つに分割し、分割後の浮き上がりS2、S3を浮き上がり規制部材80の第二規制部82により規制するようにした。即ち、シートSに浮き上がりが生じた場合、第一規制部81により浮き上がりS1が規制されることで、1箇所の浮き上がりS1が2箇所の浮き上がりS2、S3に分割される。そして、これら浮き上がりS2、S3が第二規制部82により規制される。このように、浮き上がり規制部材80によりシートSの浮き上がりが規制されることで、浮き上がりS2、S3は、搬送ベルト3の搬送面3aからの高さが浮き上がり検知部2400により検知されない高さに抑制される。これにより、局所的にシートSの浮き上がりが生じても、浮き上がり検知部2400により検知されることがない。したがって、シートSの浮き上がりに起因する画像形成ジョブの中断が頻繁に生じず、インクジェット記録装置の生産性を向上させ得る。
【0061】
なお、本実施形態では、第一規制部81及び第二規制部82の自重による付勢力でシートSの浮き上がりを規制するようにしたが、これに限らない。例えば、第一規制部81及び第二規制部82にばねのような付勢部材を設け、付勢部材による付勢力でシートSの浮き上がりを規制するようにしてもよい。そうする場合、少なくとも第一規制部81に付勢部材を設けると、シートSの浮き上がりを確実に分割できるので好ましい。
【0062】
なお、浮き上がり検知部2400において、照射部31はライン状のレーザ光を照射するものに限らない。例えば、スポット状レーザやエリア状レーザを照射するものであってもよい。また、受光部32は、受光量によって遮光位置を特定できるものであってもよい。浮き上がり検知部2400は、検知位置DSの設定と、設定された検知位置DSによる光の検知状態と非検知状態の切り分けができるものであれば、どのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1Y、1M、1C、1K、1H…記録ヘッド、3…搬送ベルト、3a…搬送面、4…吸引部(吸引ファン)、31…照射部、32…受光部、80…規制部材(浮き上がり規制部材)、81(81a、81b)…第一規制部、82…第二規制部、83…軸部、83a…貫通孔、100…インクジェット記録装置、2400…浮き上がり検知部、S…シート