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特開2024-175383画像形成装置、制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175383
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20241211BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B65H7/12
G03G15/00 473
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093133
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】小山 弘
(72)【発明者】
【氏名】岡本 晃
(72)【発明者】
【氏名】泉宮 賢二
(72)【発明者】
【氏名】白熊 拓美
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
【Fターム(参考)】
2H072AA04
2H072AA09
2H072AA12
2H072AA23
2H072HA00
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BA13
3F048BB02
3F048BB09
3F048BB10
3F048CA02
3F048CA03
3F048DB16
3F048DC12
3F048DC20
3F048EB02
3F048EB22
3F048EB29
(57)【要約】
【課題】記録媒体として封筒が使用される場合に適切に重送判定を行うことを可能にする。
【解決手段】画像形成装置1は、記録媒体Pの搬送路16に設けられる超音波検知部21と、搬送路16に設けられる厚み検知部22と、記録媒体Pが封筒である場合、ジョブの実行中に、厚み検知部22によって検知される記録媒体Pの厚みに基づいて記録媒体Pの重送を判定する制御部6と、を備える。制御部6は、記録媒体Pが封筒である場合、ジョブの実行開始前に記録媒体Pを搬送路16にテスト搬送し、超音波検知部21による検知結果に基づいて記録媒体Pが重送でないと判定したときに厚み検知部22によって検知される記録媒体Pの厚みを重送判定基準値として設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送路に設けられる超音波検知部と、
前記搬送路に設けられる厚み検知部と、
前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中に、前記厚み検知部によって検知される記録媒体の厚みに基づいて記録媒体の重送を判定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送し、前記超音波検知部による検知結果に基づいて前記記録媒体が重送でないと判定したときに前記厚み検知部によって検知される記録媒体の厚みを重送判定基準値として設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中において前記厚み検知によって検知される記録媒体の厚みを前記重送判定基準値と比較し、前記記録媒体の重送を判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記超音波検知部による封筒のフラップ部に対する検知結果に基づき、前記記録媒体が重送であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送路に設けられ、前記記録媒体の形状を検知する形状検知部、
を更に備え、
前記制御部は、前記形状検知部によって検知される封筒のフラップ部に基づき、前記超音波検知部による封筒のフラップ部に対する検知結果を判定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶媒体が封筒である場合に封筒のサイズ情報を取得する取得部と、
前記記録媒体の搬送方向の長さを検知する長さ検知部と、
を更に備え、
前記制御部は、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送し、前記長さ検知部によって検知される長さと前記サイズ情報とを比較することによって前記記録媒体が重送であるか否かを更に判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送するとき、前記超音波検知部による検知位置を前記記録媒体が通過するときの搬送速度を、ジョブ実行時における通常搬送速度よりも低下させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送し、前記記録媒体が重送でないと判定したとき、前記厚み検知部によって検知される封筒のフラップ部以外の厚みを前記重送判定基準値として設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中に、前記厚み検知によって検知される封筒のフラップ部以外の厚みを前記重送判定基準値と比較することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記記録媒体が封筒でない場合、ジョブの実行中に、前記超音波検知部の検知結果に基づいて前記記録媒体の重送を判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
記録媒体の搬送路に設けられる超音波検知部と、
前記搬送路に設けられる厚み検知部と、
前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中に、前記厚み検知部によって検知される記録媒体の厚みに基づいて記録媒体の重送を判定する制御部と、
を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送させる第1ステップと、
前記第1ステップによって前記記録媒体が搬送されているとき、前記超音波検知部による検知結果に基づいて前記記録媒体が重送であるか否かを判定する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて前記記録媒体が重送でないと判定されたとき、前記厚み検知部によって検知される前記記録媒体の厚みを重送判定基準値として設定する第3ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
記録媒体の搬送路に設けられる超音波検知部と、
前記搬送路に設けられる厚み検知部と、
前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中に、前記厚み検知部によって検知される記録媒体の厚みに基づいて記録媒体の重送を判定する制御部と、
を備える画像形成装置において実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、
前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送させる第1ステップと、
前記第1ステップによって前記記録媒体が搬送されているとき、前記超音波検知部による検知結果に基づいて前記記録媒体が重送であるか否かを判定する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて前記記録媒体が重送でないと判定されたとき、前記厚み検知部によって検知される前記記録媒体の厚みを重送判定基準値として設定する第3ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御方法、及び、プログラムに関し、封筒の重送を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral)などの画像形成装置は、給紙部から印刷用紙などの記録媒体を給紙し、所定の搬送路に沿って記録媒体を搬送する。画像形成装置は、搬送路に沿って搬送される記録媒体が所定位置を通過する際に記録媒体に画像を形成する。給紙部から記録媒体が給紙されるとき、複数枚の記録媒体が重なった状態で重送されることがある。従来、画像形成装置において記録媒体の重送を検知する手法として、厚み検知手法と、超音波検知手法との2つの方式が存在する。
【0003】
厚み検知手法は、基準となる記録媒体1枚当たりの厚み情報を記録媒体のプロファイルデータから取得し、ジョブの実行中に厚み検知センサによって検知される記録媒体の厚みと、厚み情報とを比較し、記録媒体が重送されているか否かを判定する。厚み検知手法は、プロファイルデータが存在しない未知の記録媒体を使用する場合、重送判定のために基準となる厚み情報を設定する作業が必要となる。
【0004】
超音波検知手法は、記録媒体に超音波を照射し、記録媒体を透過した超音波の減衰量を検知することにより記録媒体が重送されているか否かを判定する。例えば、記録媒体が1枚のシートであれば、超音波の減衰量はそれ程大きくならない。これに対し、複数枚のシートが重なった状態になると、複数枚のシートの間の空気層により超音波の減衰量が著しく大きくなる。そのため、超音波検知手法は、記録媒体が1枚のシートで構成される場合、記録媒体の重送判定に利用することができる。この超音波検知手法は、記録媒体の種類に影響が少なく、事前の設定が不要であるため、一般に広く利用されている。
【0005】
しかし、超音波検知手法は、検知原理上、記録媒体が封筒である場合に封筒の重送を検知することが困難である。そのため、画像形成装置において封筒が記録媒体として使用される場合には、超音波検知手法のみで封筒の重送を適切に判定することができないという問題があった。
【0006】
一方、従来、封筒のように複数枚のシートが重なった状態の折り用紙が搬送されるとき、用紙の厚みに基づいて重送を検知する手法が提案されている(例えば特許文献1)。この従来技術では、テスト給紙で折り用紙を搬送し、検出された用紙の厚みを基準値として設定し、その基準値をそれ以降の重送判定に使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-26973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術では、テスト給紙によって搬送される折り用紙が重送されていないことが前提である。テスト給紙においても折り用紙の重送は起こり得る。テスト給紙において重送が発生した場合、上記従来技術では、誤った基準値が設定されてしまう。その結果、折り用紙の重送判定を適切に行うことができなくなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、記録媒体として封筒が使用される場合に適切に重送判定を行うことを可能にした画像形成装置、制御方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、画像形成装置であって、記録媒体の搬送路に設けられる超音波検知部と、前記搬送路に設けられる厚み検知部と、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中に、前記厚み検知部によって検知される記録媒体の厚みに基づいて記録媒体の重送を判定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送し、前記超音波検知部による検知結果に基づいて前記記録媒体が重送でないと判定したときに前記厚み検知部によって検知される記録媒体の厚みを重送判定基準値として設定することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記制御部は、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中において前記厚み検知によって検知される記録媒体の厚みを前記重送判定基準値と比較し、前記記録媒体の重送を判定することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記制御部は、前記超音波検知部による封筒のフラップ部に対する検知結果に基づき、前記記録媒体が重送であるか否かを判定することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3の画像形成装置において、前記搬送路に設けられ、前記記録媒体の形状を検知する形状検知部、を更に備え、前記制御部は、前記形状検知部によって検知される封筒のフラップ部に基づき、前記超音波検知部による封筒のフラップ部に対する検知結果を判定することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記記憶媒体が封筒である場合に封筒のサイズ情報を取得する取得部と、前記記録媒体の搬送方向の長さを検知する長さ検知部と、を更に備え、前記制御部は、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送し、前記長さ検知部によって検知される長さと前記サイズ情報とを比較することによって前記記録媒体が重送であるか否かを更に判定することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項1の画像形背装置において、前記制御部は、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送するとき、前記超音波検知部による検知位置を前記記録媒体が通過するときの搬送速度を、ジョブ実行時における通常搬送速度よりも低下させることを特徴とする構成である。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記制御部は、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送し、前記記録媒体が重送でないと判定したとき、前記厚み検知部によって検知される封筒のフラップ部以外の厚みを前記重送判定基準値として設定することを特徴とする構成である。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項7の画像形成装置において、前記制御部は、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中に、前記厚み検知によって検知される封筒のフラップ部以外の厚みを前記重送判定基準値と比較することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記制御部は、前記記録媒体が封筒でない場合、ジョブの実行中に、前記超音波検知部の検知結果に基づいて前記記録媒体の重送を判定することを特徴とする構成である。
【0019】
請求項10に係る発明は、記録媒体の搬送路に設けられる超音波検知部と、前記搬送路に設けられる厚み検知部と、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中に、前記厚み検知部によって検知される記録媒体の厚みに基づいて記録媒体の重送を判定する制御部と、を備える画像形成装置の制御方法であって、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送させる第1ステップと、前記第1ステップによって前記記録媒体が搬送されているとき、前記超音波検知部による検知結果に基づいて前記記録媒体が重送であるか否かを判定する第2ステップと、前記第2ステップにおいて前記記録媒体が重送でないと判定されたとき、前記厚み検知部によって検知される前記記録媒体の厚みを重送判定基準値として設定する第3ステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0020】
請求項11に係る発明は、記録媒体の搬送路に設けられる超音波検知部と、前記搬送路に設けられる厚み検知部と、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行中に、前記厚み検知部によって検知される記録媒体の厚みに基づいて記録媒体の重送を判定する制御部と、を備える画像形成装置において実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、前記記録媒体が封筒である場合、ジョブの実行開始前に前記記録媒体を前記搬送路に搬送させる第1ステップと、前記第1ステップによって前記記録媒体が搬送されているとき、前記超音波検知部による検知結果に基づいて前記記録媒体が重送であるか否かを判定する第2ステップと、前記第2ステップにおいて前記記録媒体が重送でないと判定されたとき、前記厚み検知部によって検知される前記記録媒体の厚みを重送判定基準値として設定する第3ステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、記録媒体として封筒が使用される場合に適切に重送判定を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】画像形成装置の構成例を示す図である。
図2】超音波検知部の構成を示す図である。
図3】1枚のシートから成る記録媒体P搬送されているときの超音波検知部のセンサ出力の例を示す図である。
図4】記録媒体として封筒が搬送されているときの超音波検知部を示す図である。
図5】封筒が記録媒体として搬送されているときの超音波検知部のセンサ出力の例を示す図である。
図6】厚み検知部の構成例を示す図である。
図7】制御部のハードウェア構成及び機能構成を示すブロック図である。
図8】制御部によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態における画像形成装置1の構成例を示す図である。この画像形成装置1は、給紙ユニット2と、画像形成ユニット3と、排紙ユニット4と、操作パネル5と、制御部6とを備えている。画像形成装置1は、給紙ユニット2から印刷用紙や封筒などの記録媒体Pを給紙し、画像形成ユニット3において記録媒体Pに画像を形成し、画像が形成されたシートを排紙ユニット4から排出する。
【0025】
給紙ユニット2は、複数の給紙部11,12を備えている。給紙部11は、第1給紙部である。給紙部12は、第2給紙部である。これら給紙部11,12は、記録媒体Pが積載される給紙トレイ13を有している。例えば、第1給紙部11の給紙トレイ13と、第2給紙部12の給紙トレイ13には、それぞれ異なる種類の記録媒体Pを積載可能である。給紙トレイ13に積載される記録媒体Pは、印刷用紙などの1枚のシートからなる記録媒体であっても良いし、また封筒などのように2枚のシートが重なった状態に成形された記録媒体であっても良い。
【0026】
各給紙部11,12は、ピックアップローラー14と、給紙ローラー15とを有している。給紙ユニット2は、複数の給紙部11,12のうちの一方のピックアップローラー14と給紙ローラー15とを駆動することにより、記録媒体Pを搬送路16に向けて給紙する。
【0027】
搬送路16は、給紙ユニット2、画像形成ユニット3、及び、排紙ユニット4の内部に形成された記録媒体Pの搬送経路である。給紙部11,12から給紙される記録媒体Pは、その搬送路16を、矢印F1方向へ搬送される。すなわち、記録媒体Pは、搬送路16に沿って、給紙ユニット2、画像形成ユニット3、及び、排紙ユニット4の順に搬送される。例えば、第1給紙部11から給紙される記録媒体Pの搬送路16と、第2給紙部12から給紙される記録媒体Pの搬送路16とは、給紙ユニット2内部の所定位置で合流している。搬送路16は、その合流部よりも下流側において第1給紙部11から給紙される記録媒体Pと、第2給紙部12から給紙される記録媒体Pとを同じ経路で搬送する。
【0028】
給紙ユニット2は、合流部から下流側の搬送路16に、記録媒体Pの重送を検知する重送検知部20を備えている。重送検知部20は、例えば、超音波検知部21と、厚み検知部22と、イメージセンサ23とを備えている。超音波検知部21は、超音波センサによって構成され、搬送路16に沿って搬送される記録媒体Pに超音波を照射し、記録媒体Pを透過する超音波を検知する。厚み検知部22は、搬送路16に沿って搬送される記録媒体Pの厚みを検知するセンサである。イメージセンサ23は、搬送路16に沿って搬送される記録媒体Pを撮像して記録媒体Pの画像データを生成する。例えば、超音波検知部21は、搬送路16において厚み検知部22及びイメージセンサ23よりも上流側に配置される。厚み検知部22は、搬送路16において超音波検知部21及びイメージセンサ23よりも下流側に配置される。イメージセンサ23は、搬送路16において超音波検知部21と厚み検知部22との間に配置される。
【0029】
また、給紙ユニット2は、重送検知部20の下流側に、搬送路16から分岐するパージ経路17を有している。パージ経路17は、重送検知部20によって記録媒体Pの重送が検知された場合に重送状態の記録媒体Pをパージトレイ18へ排出するための経路である。重送状態の記録媒体Pを搬送路16に沿って継続搬送すると、ジャムが発生する可能性が高い。そのため、パージ経路17は、重送が検知された記録媒体Pを早期に搬送路16から離脱させてパージトレイ18へ排出することにより、ジャムの発生を低減する。
【0030】
画像形成ユニット3は、給紙ユニット2から搬送路16に沿って搬送される記録媒体Pに対して画像を形成する。画像形成ユニット3は、記録媒体Pの搬送路16に沿って、レジストローラー19と、画像形成部30と、定着部39とを備えている。
【0031】
レジストローラー19は、給紙ユニット2から搬送されてくる記録媒体Pの先端を挟み込んだ状態で記録媒体Pの搬送を一旦停止させる。これにより、レジストローラー19の上流側において記録媒体Pのループが形成される。その結果、記録媒体Pが斜行補正される。レジストローラー19は、記録媒体Pの斜行補正を行った後、所定のタイミングで回転駆動され、記録媒体Pを画像形成部30に向けて送り出す。
【0032】
画像形成部30は、例えば電子写真方式で記録媒体Pに画像を形成するように構成される。この画像形成部30は、中間転写ベルト33と、複数の作像部34と、転写ローラー38とを備えている。
【0033】
中間転写ベルト33は、駆動ローラー31と従動ローラー32との間に掛け渡された無端ベルトである。駆動ローラー31及び従動ローラー32は上下方向に所定間隔を隔てて配置される。中間転写ベルト33は、駆動ローラー31と従動ローラー32との間を矢印F2方向(時計回り方向)に循環移動する。複数の作像部34は、上下方向に所定間隔で配置される。これら複数の作像部34は、中間転写ベルト33に隣接している。各作像部34は、例えばY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色のトナー像を作成する。各作像部34は、像担持体35と、露光部36と、現像部37とを備える。像担持体35は、例えば感光体ドラムによって構成され、所定方向に回転駆動される。像担持体35は、その外周面の一点で中間転写ベルト33に接合している。露光部36は、像担持体35の表面を露光し、像担持体35の表面に静電潜像を形成する。現像部37は、像担持体35の表面にトナーを含む現像剤を付与することにより、静電潜像をトナーで現像する。これにより、像担持体35の表面にトナー像が形成される。像担持体35の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト33と接する位置で中間転写ベルト33に一次転写される。各作像部34は、中間転写ベルト33に各色のトナー像を順次一次転写していくことにより、中間転写ベルト33の表面にカラー画像を形成する。
【0034】
中間転写ベルト33は、記録媒体Pの搬送路16において転写ローラー38と接触している。中間転写ベルト33に一次転写された画像は、搬送路16に沿って搬送される記録媒体Pが中間転写ベルト33と転写ローラー38との間を通過する際に記録媒体Pに二次転写される。
【0035】
定着部39は、搬送路16において画像形成部30の下流側に設けられる。定着部39は、記録媒体Pに二次転写された画像を記録媒体Pに定着させる。定着部39は、例えば加熱ローラーと加圧ローラーとを有する。定着部39は、画像が形成された記録媒体Pに加熱処理及び加圧処理を施すことにより、画像を記録媒体Pに定着させる。
【0036】
画像形成ユニット3は、上記のようにして画像を形成した記録媒体Pを排紙ユニット4へ搬送する。尚、画像形成ユニット3は、図示を省略する反転経路を有し、第1面に画像が形成された記録媒体Pの表裏を反転させ、記録媒体Pの第2面に画像形成することも可能である。
【0037】
排紙ユニット4は、複数の排紙トレイ43,44を備えている。排紙ユニット4は、記録媒体Pが搬送される搬送路16を途中で2つの搬送路41,42に分岐させており、各排紙トレイ43,44に記録媒体Pを導き、排紙する。
【0038】
操作パネル5は、ユーザーが操作可能なユーザーインタフェースである。操作パネル5は、表示部と操作部とを備えている。表示部は、ユーザーが操作可能な各種の操作画面を表示する。操作部は、ユーザーによる操作を受け付ける。例えば、操作パネル5は、ユーザーによるジョブの実行指示を受け付ける。また、操作パネル5は、各給紙部11,12の給紙トレイ13に積載された記録媒体Pに関する記録媒体情報の入力を受け付ける。記録媒体情報は、給紙トレイ13に積載された記録媒体Pが封筒であるか否かを示す種類情報や、記録媒体Pのサイズ情報などを含んでいる。
【0039】
制御部6は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する。例えば、画像形成装置1においてジョブが実行されるとき、制御部6は、給紙ユニット2における給紙動作、画像形成ユニット3における画像形成動作、及び、排紙ユニット4における排紙動作を制御する。また、制御部6は、搬送路16に沿って記録媒体Pを搬送する動作も制御する。
【0040】
また、制御部6は、給紙トレイ13に記録媒体Pが充填されると、記録媒体Pの種類を判別する。このとき、制御部6は、給紙トレイ13に充填された記録媒体Pが封筒であるか否かを判別する。そして制御部6は、その判別結果に基づき、重送判定処理を実行する。この重送判定処理は、ジョブの実行中に適切な重送判定を行うことを可能にするための処理である。尚、重送判定処理の詳細については後述する。
【0041】
次に、重送検知部20について詳しく説明する。図2は、超音波検知部21の構成を示す図である。図2(a)に示すように、超音波検知部21は、超音波を送信する送信器21aと、超音波を受信する受信器21bとを備えている。送信器21aと受信器21bは、記録媒体Pの搬送路16を挟んで互いに対向するように設置される。例えば、図2(a)に示すように、送信器21aと受信器21bとの間に、記録媒体Pが存在しない場合、送信器21aから送信される超音波は減衰することなく、受信器21bによって受信される。この場合、超音波検知部21の受信器21bから出力されるセンサ出力は、大きくなる。
【0042】
また、図2(b)に示すように、送信器21aと受信器21bとの間に、1枚のシートから成る記録媒体Pが搬送されてきた場合、送信器21aから送信される超音波は、記録媒体Pを伝播する際に減衰する。受信器21bは、その減衰した超音波を受信する。この場合、受信器21bから出力されるセンサ出力は、図2(a)の場合と比較して小さくなる。
【0043】
更に、図2(c)に示すように、1枚のシートから成る記録媒体Pが2枚重なった状態で重送されてきた場合、送信器21aから送信される超音波は、2枚のシート間の空気層により超音波の減衰量が著しく大きくなる。そのため、受信器21bは、ほとんど超音波を受信することができなくなる。その結果、受信器21bから出力されるセンサ出力は、図2(b)の場合と比較すると、著しく小さくなる。
【0044】
図3は、1枚のシートから成る記録媒体Pが搬送されているときの超音波検知部21のセンサ出力の例を示す図である。図3(a)は、図2(b)に示したように送信器21aと受信器21bとの間に1枚のシートから成る記録媒体Pが搬送されてきた場合のセンサ出力を示している。図3(a)の例では、時間T10から時間T11の期間において送信器21aと受信器21bとの間を記録媒体Pが通過している。1枚のシートで構成される記録媒体Pが重送されていない場合、センサ出力は、図3(a)に示すように、記録媒体Pが通過している期間において若干低下する。
【0045】
図3(b)は、図2(c)に示したように送信器21aと受信器21bとの間に1枚のシートから成る記録媒体Pが2枚重なった状態で重送されてきた場合のセンサ出力を示している。図3(b)の例では、時間T10から時間T11の期間において送信器21aと受信器21bとの間を記録媒体Pが通過している。2枚の記録媒体Pが重送されている場合、センサ出力は、図3(b)に示すように、記録媒体Pが通過している期間においてかなり低下する。すなわち、記録媒体Pが重送されている場合のセンサ出力は、記録媒体Pが重送されていない場合と比較して著しく低下する。
【0046】
つまり、記録媒体Pが封筒のように2枚のシートが重なった状態に成形されたものではなく、1枚のシートから成る記録媒体である場合、超音波検知部21は、記録媒体Pが重送されているときと、重送されていないときとでセンサ出力が異なるレベルとなる。そレ故、制御部6は、超音波検知部21のセンサ出力に基づき、記録媒体Pが重送されているか否かを判定することが可能である。
【0047】
次に、図4は、記録媒体Pとして封筒50が搬送されているときの超音波検知部21を示す図である。封筒50は、2枚のシートが重なっている封筒本体部51と、1枚のシートから成るフラップ部52とを有している。
【0048】
図4(a)は、封筒50が重送されていないときの超音波検知部21による検知例を示している。封筒50が重送されていない状態で封筒本体部51が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているとき、送信器21aから送信される超音波は、2枚のシート間の空気層により超音波の減衰量が著しく大きくなる。そのため、受信器21bは、ほとんど超音波を受信することができなくなる。その結果、受信器21bから出力されるセンサ出力は、著しく小さくなる。これに対し、封筒50が重送されていない状態で封筒50のフラップ部52が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているとき、受信器21bは、ある程度減衰した超音波を受信する。この場合、受信器21bから出力されるセンサ出力は、封筒本体部51が通過している場合と比較して大きくなる。
【0049】
図4(b)は、2つの封筒50が完全に重なった状態で重送されているときの超音波検知部21による検知例を示している。2つの封筒50が完全に重なって重送されている状態で封筒本体部51が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているとき、送信器21aから送信される超音波は、2枚のシート間の空気層により超音波の減衰量が著しく大きくなる。そのため、受信器21bは、ほとんど超音波を受信することができなくなる。その結果、受信器21bから出力されるセンサ出力は、著しく小さくなる。また、2つの封筒50が完全に重なっている状態では、2つの封筒の50のフラップ部52も互いに重なっている。そのため、フラップ部52が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているときも、送信器21aから送信される超音波は、2枚のシート(フラップ部52)の間の空気層により超音波の減衰量が著しく大きくなる。そのため、受信器21bは、ほとんど超音波を受信することができなくなる。その結果、受信器21bから出力されるセンサ出力は、著しく小さくなる。
【0050】
図4(c)は、2つの封筒50が搬送方向にずれた状態で重送されているときの超音波検知部21による検知例を示している。2つの封筒50が搬送方向にずれた状態で重送されているとき、搬送路16には、先行する封筒50と、遅行する封筒50とが存在する。先行する封筒50の封筒本体部51が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているとき、送信器21aから送信される超音波は、複数枚のシート間の空気層により超音波の減衰量が著しく大きくなる。その結果、受信器21bは、ほとんど超音波を受信することができなくなる。また、先行する封筒50のフラップ部52が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているとき、そのフラップ部52は遅行する封筒50の封筒本体部51と重なっている。そのため、送信器21aから送信される超音波は、複数枚のシート間の空気層により超音波の減衰量が著しく大きくなる。その結果、受信器21bは、ほとんど超音波を受信することができなくなる。一方、遅行する封筒50の封筒本体部51が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているとき、送信器21aから送信される超音波は、複数枚のシート間の空気層により超音波の減衰量が著しく大きくなる。その結果、受信器21bは、ほとんど超音波を受信することができなくなる。更に、遅行する封筒50のフラップ部52が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているとき、そのフラップ部52は他の封筒と重なっていない。そのため、送信器21aから送信される超音波の減衰量は低減する。その結果、受信器21bから出力されるセンサ出力は、それ以前よりも大きくなる。
【0051】
図5は、封筒50が記録媒体Pとして搬送されているときの超音波検知部21のセンサ出力の例を示す図である。図5(a)は、図4(a)に示したように封筒50が重送されていない場合のセンサ出力を示している。図5(a)の例では、時間T20から時間T22の期間において送信器21aと受信器21bとの間を封筒50が通過している。また、時間T20から時間T21の期間において封筒本体部51が送信器21aと受信器21bとの間を通過しており、時間T21から時間T22の期間においてフラップ部52が送信器21aと受信器21bとの間を通過している。図5(a)に示すように、封筒本体部51が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているときにはセンサ出力のレベルが低くなるのに対し、フラップ部52が送信器21aと受信器21bとの間を通過しているときにはセンサ出力のレベルが上昇する。そのため、超音波検知部21は、封筒50のフラップ部52を検知可能である。
【0052】
図5(b)は、2つの封筒50が完全に重なった状態で重送されている場合のセンサ出力を示している。図5(b)の例では、時間T20から時間T22の期間において2つの封筒50が送信器21aと受信器21bとの間を通過している。しかし、2つの封筒50が完全に重なっている場合、図5(b)に示すように、封筒50が通過している期間においてセンサ出力のレベル変化は現れない。そのため、超音波検知部21は、封筒50のフラップ部52を検知できない。
【0053】
図5(c)は、2つの封筒50が搬送方向にずれた状態で重送されている場合のセンサ出力を示している。図5(c)の例では、時間T20から時間T22の期間において2つの封筒50が送信器21aと受信器21bとの間を通過している。また、時間T21から時間T22の期間において遅行する封筒50のフラップ部52が送信器21aと受信器21bとの間を通過している。図5(c)に示すように、2つの封筒50が搬送方向にすれた状態で重なっている場合、先行又は遅行する一方の封筒50のフラップ部52が送信器21aと受信器21bとの間を通過するときにセンサ出力のレベルが上昇する。そのため、超音波検知部21は、封筒50のフラップ部52を検知可能である。
【0054】
また、2つの封筒50が搬送方向にずれた状態で重送されている場合、時間T20から時間T21までの期間が長くなる。この期間は、封筒50の搬送方向のサイズ(長さ)に対応する。そのため、超音波検知部21によって検知される封筒50のサイズが正常な封筒サイズよりも大きい場合には、2つの封筒50が搬送方向にずれた状態で重送されていることが分かる。
【0055】
次に図6は、厚み検知部22の構成例を示す図である。厚み検知部22は、例えば光センサによって構成される。厚み検知部22は、図6(a)に示すように、所定波長の光を照射する投光部22aと、投光部22aから照射される光を受光する受光部22bとを備えている。尚、投光部22aは、複数波長の光を照射するものであっても良い。投光部22aと受光部22bは、例えば記録媒体Pの搬送路16を挟んで互いに対向するように設置される。図6(a)に示すように、送信器21aと受信器21bとの間に、記録媒体Pが存在しない場合、投光部22aから照射される光はそのまま受光部22bに入射する。そのため、受光部22bの受光光量が大きい。
【0056】
これに対し、図6(b)に示すように、送信器21aと受信器21bとの間に記録媒体Pが存在する場合、受光部22bに入射する光量が低下する。すなわち、受光部22bに入射する光量は、記録媒体Pの厚みに応じて変化する。具体的には、記録媒体Pの厚みが薄くなれば受光部22bによる受光光量が大きくなり、記録媒体Pの厚みが厚くなれば受光部22bによる受光光量が小さくなる。そのため、厚み検知部22は、搬送路16に沿って搬送される記録媒体Pの厚みを検知することができる。尚、超音波検知部21とは異なり、厚み検知部22は、記録媒体Pが封筒50であっても、封筒50の厚みを検知することが可能である。
【0057】
次に、イメージセンサ23は、例えば搬送路16に直交する方向に配列されたラインセンサによって構成され、搬送路16に沿って搬送される記録媒体Pを撮像して記録媒体Pの画像データを生成する。例えば記録媒体Pが封筒50である場合、イメージセンサ23によって生成される画像には、封筒50の画像が含まれる。そのため、制御部6は、封筒50の画像を解析すれば、フラップ部52の有無を検知することができる。このように、イメージセンサ23によって生成される画像から封筒50のフラップ部52を検知可能であることから、イメージセンサ23は、記録媒体Pが封筒50である場合に、記録媒体Pの形状を検知する形状検知部として機能する。
【0058】
また、制御部6は、イメージセンサ23で生成された画像に基づいて封筒50の画像サイズを解析することにより、記録媒体Pの搬送方向のサイズ(長さ)を検知することができる。そのため、イメージセンサ23によって生成される画像は、記録媒体Pが封筒50である場合に、封筒50の封筒50のサイズが正常な封筒サイズよりも大きいか否かを判定するためにも利用することができる。
【0059】
ただし、イメージセンサ23によって生成される画像の場合、2つの封筒50が完全に重なった状態で重送されている画像と、1つの封筒50だけが搬送されている画像とが同じ画像となる。そのため、イメージセンサ23で生成される画像は、記録媒体Pが重送されているか否かを判定するために用いることができない。
【0060】
次に制御部6の機能について説明する。図7は、制御部6のハードウェア構成及び機能構成を示すブロック図である。制御部6は、そのハードウェア構成として、CPU60と、記憶部61とを備えている。CPU60は、記憶部61に記憶されているプログラム62を読み出して実行するハードウェアプロセッサである。記憶部61は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される不揮発性の記憶デバイスである。記憶部61は、プログラム62の他に、記録媒体情報63と、重送判定基準値65とを記憶する。CPU60は、プログラム62を実行することにより、制御部6を、記録媒体検知部71、情報取得部72、重送判定処理部73、及び、ジョブ制御部74として機能する。
【0061】
記録媒体検知部71は、給紙部11,12の給紙トレイ13に記録媒体Pが充填されたことを検知する。例えば、給紙トレイ13が画像形成装置1の装置本体から引き出された後、給紙トレイ13が再び装置本体に再装着されると、記録媒体検知部71は、給紙トレイ13に記録媒体Pが充填されたことを検知する。
【0062】
情報取得部72は、記録媒体検知部71によって給紙トレイ13に記録媒体Pが充填されたことが検知されると、充填された記録媒体Pに関する情報を取得する。例えば、情報取得部72は、操作パネル5の表示部に、給紙トレイ13に充填された記録媒体Pに関する情報を入力可能な操作画面を表示する。情報取得部72は、その操作画面に対するユーザーの操作に基づき、記録媒体Pに関する情報を取得する。記録媒体Pに関する情報は、記録媒体Pの種類情報及びサイズ情報を含んでいる。そのため、記録媒体Pが封筒である場合、記録媒体Pに関する情報は、記録媒体Pが封筒であることを示す情報と、封筒のサイズを示す情報とを含んでいる。
【0063】
情報取得部72は、記録媒体Pに関する情報を取得すると、その取得した情報に基づき、記憶部61の記録媒体情報63を更新する。記録媒体情報63は、記録媒体Pのサイズ情報64を含んでいる。このサイズ情報64は、記録媒体Pが封筒である場合、封筒のサイズ(長さ)を示す情報である。
【0064】
重送判定処理部73は、給紙トレイ13に記録媒体Pが充填された場合に機能し、重送判定処理を実行する。重送判定処理部73は、ジョブの実行中に記録媒体Pの重送判定が適切に行われるようにするため、ジョブの実行開始前に、充填された記録媒体Pのテスト搬送を行う。そして重送判定処理部73は、テスト搬送される記録媒体Pを検知し、重送判定基準値65を生成して記憶部61に保存する。
【0065】
例えば、給紙トレイ13に充填された記録媒体Pが封筒50である場合、重送判定処理部73は、充填された封筒50のテスト搬送を行う。そして重送判定処理部73は、超音波検知部21による検知結果に基づいてテスト搬送される封筒50が重送されているか否かを判定する。重送判定処理部73は、テスト搬送される封筒50が重送されていないと判定すると、厚み検知部22によって検知される封筒50の厚みを重送判定基準65として設定する。詳しく説明すると、重送判定処理部73は、給紙制御部81と、重送判定部82と、厚み検知処理部84と、基準値設定部85とを備えている。
【0066】
給紙制御部81は、給紙トレイ13に充填された記録媒体Pのテスト搬送を行う。すなわち、給紙制御部81は、ジョブの実行が開始される前に、記録媒体Pが充填された給紙トレイ13から記録媒体Pを給紙し、搬送路16に沿って記録媒体Pを搬送する。給紙制御部81によるテスト搬送は、給紙トレイ13に記録媒体Pが充填された後、画像形成装置1においてジョブの実行が開始される前に行われれば良い。
【0067】
テスト搬送される記録媒体Pが封筒50である場合、給紙制御部81は、封筒50が超音波検知部21に到達するとき、封筒50の搬送速度を通常速度よりも低速に切り替える。通常速度とは、ジョブの実行中における封筒50の搬送速度である。尚、給紙制御部81は、封筒50の給紙する時点で封筒の搬送速度を通常速度よりも低速に設定して給紙しても良い。
【0068】
これに対し、テスト搬送される記録媒体Pが1枚のシートである場合、給紙制御部81は、通常速度で記録媒体Pをテスト搬送する。
【0069】
重送判定部82は、テスト搬送される記録媒体Pが超音波検知部21による検知位置を通過する際に、超音波検知部21を駆動し、超音波検知部21による検知結果に基づいて記録媒体Pが重送されているか否かを判定する。重送判定部82は、サイズ判定部83を備えている。サイズ判定部83は、テスト搬送される記録媒体Pのサイズ(長さ)が正常なサイズであるか否かを判定する。
【0070】
例えばテスト搬送される記録媒体Pが封筒50である場合、重送判定部82は、超音波検知部21のセンサ出力において封筒50のフラップ部52が検知されているか否かを判断する。このとき、封筒50の搬送速度が通常速度よりも低速である。そのため、超音波検知部21は、通常速度よりも封筒検知時のサンプル数を増やすことができる。重送判定部82は、通常速度よりも多いサンプル数の中から封筒50のフラップ部52が検知されているか否かを判断する。そのため、重送判定部82は、封筒50のフラップ部52が検知されたか否かを正確に判断することができる。
【0071】
このとき、2枚の封筒50が完全に重なった状態で搬送されていると、重送判定部82は、超音波検知部21のセンサ出力からフラップ部52を検知することができない。超音波検知部21のセンサ出力からフラップ部52を検知することができない場合(図5(b)参照)、重送判定部82は、記録媒体Pである封筒50が重送されていると判定する。
【0072】
また、封筒50のフラップ部52を検知することができない場合、重送判定部82は、イメージセンサ23から得られる画像に基づいて封筒50のフラップ部52を特定しても良い。この場合、重送判定部82は、イメージセンサ23の画像から特定される封筒50のフラップ部52に相当する部分を測定した超音波検知部21のセンサ出力に基づいて封筒50が重送されているか否かを判定するようにしても構わない。この場合、重送判定部82は、超音波検知部21のセンサ出力を記憶部61に一時的に保存しておき、イメージセンサ23から画像を取得したタイミングでフラップ部52に相当する部分のセンサ出力を判定すれば良い。
【0073】
また、超音波検知部21のセンサ出力によって封筒50のフラップ部52が検知されている場合、重送判定部82は、サイズ判定部83を機能させる。サイズ判定部83は、超音波検知部21のセンサ出力によって検知される搬送方向の封筒サイズ(図5(c)参照)が記録媒体情報63のサイズ情報64に記録されているサイズに合致する正常なサイズであるか否かを判断する。サイズ判定部83が正常なサイズであると判断した場合、重送判定部82は、記録媒体Pである封筒50が重送されていないと判定する(図5(a)参照)。これに対し、サイズ判定部83が正常なサイズでないと判断した場合(図5(c)参照)、重送判定部82は、記録媒体Pである封筒50が重送されていると判定する。
【0074】
尚、サイズ判定部83は、超音波検知部21のセンサ出力ではなく、イメージセンサ23から出力される画像データに基づいて封筒サイズが正常なサイズであるか否かを判断しても構わない。
【0075】
また、テスト搬送される記録媒体Pが封筒50ではなく、1枚のシートである場合、重送判定部82は、超音波検知部21のセンサ出力に基づき、記録媒体Pが重送されているか否かを判断する。例えば、センサ出力が図3(a)に示すような態様である場合、重送判定部82は、記録媒体Pが重送されていないと判定する。また、センサ出力が図3(b)に示すような態様である場合、重送判定部82は、記録媒体Pが重送されていると判定する。また、重送判定部82は、サイズ判定部83を機能させ、記録媒体Pの搬送方向のサイズが正常なサイズであるか否かを判断し、その判断結果に基づいて重送されているか否かを判定することもできる。
【0076】
テスト搬送される記録媒体Pが重送されていない場合、重送判定処理部73において厚み検知処理部84が機能する。厚み検知処理部84は、テスト搬送される記録媒体Pが厚み検知部22の検知位置を通過するタイミングで厚み検知部22を駆動する。そして厚み検知処理部84は、厚み検知部22によって検知される記録媒体Pの厚みを取得する。つまり、厚み検知処理部84は、テスト搬送で記録媒体Pが重送されていないとき、厚み検知部22によって検知される記録媒体Pの厚みを取得する。例えばテスト搬送される記録媒体Pが封筒50である場合、厚み検知処理部84は、封筒50のフラップ部52以外の封筒本体部51の厚みを取得する。
【0077】
基準値設定部85は、厚み検知処理部84によって取得される記録媒体Pの厚みを重送判定基準値65として記憶部61に保存する。すなわち、基準値設定部85は、ジョブの実行時において記録媒体Pの重送判定を行うための重送判定基準値65を設定する。したがって、記録媒体Pが封筒50である場合、基準値設定部85は、封筒50のフラップ部52以外の封筒本体部51の厚みを重送判定基準値65として設定する。
【0078】
ジョブ制御部74は、LANなどのネットワークを介してジョブを受信した場合、又は、操作パネル5を介してユーザーによるジョブの実行指示を受け付けた場合に機能する。そして、ジョブ制御部74は、ユーザーによって指定されたジョブの実行を制御する。また、ジョブ制御部74は、ジョブの実行中に記録媒体Pが重送されているか否かを判定する重送判定部86を有している。
【0079】
ジョブ制御部74は、ジョブにおいて指定された給紙部11,12から記録媒体Pを給紙し、搬送路16に沿って記録媒体Pを搬送する。重送判定部86は、その記録媒体Pが重送検知部20の位置を通過する際に、重送検知部20に検知処理を行わせる。そして重送判定部86は、重送検知部20による検知結果に基づいて記録媒体Pが重送されているか否かを判定する。
【0080】
例えば記録媒体Pが封筒50である場合、重送判定部86は、厚み検知部22によって検知される封筒50の厚みに基づいて封筒50が重送されているか否かを判定する。このとき、重送判定部86は、記憶部61から重送判定基準値65を読み出す。また、重送判定部86は、封筒50のフラップ部52以外の封筒本体部51の厚みを検知させる。そして重送判定部86は、厚み検知部22によって検知される封筒50のフラップ部52以外の厚みを重送判定基準値65と比較し、封筒50の厚みが重送判定基準値65よりも大きい場合に封筒50が重送されていると判定する。
【0081】
また、記録媒体Pが封筒50ではなく、1枚のシートである場合、重送判定部86は、超音波検知部21による検知結果に基づいて記録媒体Pが重送されているか否かを判定する。ただし、これに限られず、重送判定部86は、厚み検知部22によって検知される記録媒体Pの厚みと、重送判定基準値65とを比較することによって記録媒体Pが重送されているか否かを判定しても構わない。
【0082】
ジョブの実行中に重送判定部86によって記録媒体Pが重送されていると判定された場合、ジョブ制御部74は、重送されている記録媒体Pをパージ経路17に導く。つまり、ジョブ制御部74は、重送が検知された記録媒体Pを、画像形成部30へ搬送することなく、早期にパージトレイ18へ排出する。これにより、ジャムの発生を防ぐことができる。
【0083】
次に上記構成を有する画像形成装置1の動作について説明する。図8は、制御部6によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理手順は、制御部6のCPU60がプログラム62を実行することによって行われる。
【0084】
制御部6は、給紙トレイ13に記録媒体Pが充填されたことを検知すると(ステップS10)、充填された記録媒体Pに関する情報を取得し、記憶部61の記録媒体情報63を更新する(ステップS11)。記録媒体情報63を更新すると、制御部6は、その記録媒体情報63に基づき、充填された記録媒体Pが封筒50であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0085】
記録媒体Pが封筒50である場合(ステップS12でYES)、制御部6は、ジョブの実行開始前に行う重送判定処理の実行モードとして封筒検知モードを設定する(ステップS13)。そして制御部6は、重送判定処理として、充填された記録媒体Pの給紙を開始する(ステップS14)。これにより、給紙トレイ13に充填された記録媒体Pのテスト搬送が開始される。
【0086】
記録媒体Pのテスト搬送を開始すると、制御部6は、超音波検知部21の検知結果を取得する(ステップS15)。このとき、制御部6は、記録媒体Pの搬送速度を通常速度よりも低速に制御する。これにより、超音波検知部21が封筒50を検知する際のサンプル数を増やすことができる。制御部6は、超音波検知部21による検知結果に基づき、封筒50のフラップ部52を検知できたか否かを判断する(ステップS16)。封筒50のフラップ部52を検知できている場合(ステップS16でYES)、制御部6による処理はステップS17へと進む。
【0087】
封筒のフラップ部52を検知すると、制御部6は、搬送方向における封筒50のサイズを検知する(ステップS17)。制御部6は、検知した封筒50のサイズが正常サイズであるか否かを判断する(ステップS18)。封筒50のサイズが正常サイズである場合(ステップS18でYES)、制御部6は、厚み検知部22の検知結果を取得する(ステップS19)。つまり、制御部6は、封筒50のフラップ部52以外の封筒本体部51の厚みを取得する。そして制御部6は、厚み検知部22から取得した厚みを重送判定基準値65として設定する(ステップS20)。その後、制御部6は、封筒50を搬送路16に沿って継続搬送し、排紙トレイ43,44に排出する(ステップS21)。
【0088】
これに対し、封筒50のフラップ部52を検知できなかった場合(ステップS16でNO)、又は、封筒50のサイズが正常サイズでなかった場合(ステップS18でNO)、制御部6は、テスト搬送中の封筒50が重送であると判定する(ステップS22)。この場合、制御部6は、例えば操作パネル5に重送である旨の通知画面などを表示する重送通知処理を行う(ステップS23)。その後、制御部6は、重送されている封筒50をパージ経路17に搬送してパージトレイ18に排出する(ステップS24)。
【0089】
尚、テスト搬送中の封筒50が重送であった場合には、重送判定基準値65が正常に設定されない。そのため、封筒50の重送を検知した場合、制御部6は、再度テスト搬送以降の処理(ステップS14以降の処理)を繰り返し実行しても良い。
【0090】
一方、給紙トレイ13に充填された記録媒体Pが封筒50でない場合(ステップS12でNO)、制御部6は、ジョブの実行開始前に行う重送判定処理の実行モードとして通常検知モードを設定する(ステップS25)。そして制御部6は、重送判定処理として、充填された記録媒体Pの給紙を開始する(ステップS26)。これにより、給紙トレイ13に充填された記録媒体Pのテスト搬送が開始される。
【0091】
記録媒体Pのテスト搬送を開始すると、制御部6は、超音波検知部21の検知結果を取得する(ステップS27)。このとき、制御部6は、記録媒体Pの搬送速度を通常速度に設定する。そして制御部6は、超音波検知部21による検知結果を取得し、ステップS17へと進む。ステップS17以降の処理は、上記と同様である。
【0092】
画像形成装置1において上記のような処理が行われることにより、ジョブの実行開始前に、重送判定基準値65を設定することができる。そのため、画像形成装置1は、ジョブの実行中に、重送判定基準値65を用いて記録媒体Pの重送判定を適切に行うことができる。特に、記録媒体Pが封筒50である場合、制御部6は、テスト搬送において封筒50が重送であるか否かを判定し、重送でないことを条件として重送判定基準値65を設定している。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、重送判定基準値65として誤った基準値が設定されることはなく、ジョブの実行中に封筒50が搬送される場合であっても適切に重送判定を行うことができるようになる。
【0093】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0094】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置1が電子写真方式でシートに画像を形成する構成である場合を説明した。しかし、画像形成装置1による画像形成方式は電子写真方式には限られない。例えば、画像形成装置1は、インクジェット方式でシートに画像を形成するものであっても構わない。
【0095】
また、上記実施形態では、制御部6のCPU60によって実行されるプログラム62が予め記憶部61に記憶されている例を説明した。しかし、プログラム62は、必ずしも記憶部61に予め記憶されているものに限られない。すなわち、プログラム62は、それ自体が取引の対象となり得るものである。そのため、プログラム62は、インターネットなどのネットワークを介してダウンロード可能な形態で提供されるものであっても良いし、又は、CD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成装置
6 制御部
16 搬送路
21 超音波検知部
22 厚み検知部
23 イメージセンサ(形状検知部)
62 プログラム
63 記録媒体情報
64 重送判定基準値
71 記録媒体検知部
72 情報取得部(取得部)
73 重送判定処理部
74 ジョブ制御部
81 給紙制御部
82 重送判定部
83 サイズ判定部(長さ検知部)
84 厚み検知処理部
85 基準値設定部
86 重送判定部
図1
図2
図3
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図7
図8