(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175391
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】溶接器具の冷却システムおよびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B23K 11/36 20060101AFI20241211BHJP
B23K 11/11 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B23K11/36 310
B23K11/11 570Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093152
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】藤田 章吾
(72)【発明者】
【氏名】村松 良崇
(72)【発明者】
【氏名】谷 明紀
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 拓也
【テーマコード(参考)】
4E165
【Fターム(参考)】
4E165BA01
4E165BB22
4E165CA18
4E165CA21
4E165EA18
(57)【要約】
【課題】溶接器具を再稼働させた場合でも、溶接器具を十分に冷却することが可能な溶接器具の冷却システムを提供する。
【解決手段】この溶接器具12の冷却システム100では、ロボット10を用いた溶接工程に用いられる溶接器具12に冷却媒体を流入させるポンプ20と、溶接器具12から流出した冷却媒体を冷却する放熱器30と、ポンプ20、溶接器具12、および、放熱器30を介して、冷却媒体が循環する循環流路60と、ポンプ20から流出した冷却媒体を、溶接器具12を迂回して放熱器30に流入させるためのバイパス流路80と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを用いた溶接工程に用いられる溶接器具に冷却媒体を流入させるポンプと、
前記溶接器具から流出した冷却媒体を冷却する放熱器と、
前記ポンプ、前記溶接器具、および、前記放熱器を介して、冷却媒体が循環する循環流路と、
前記ポンプから流出した冷却媒体を、前記溶接器具を迂回して前記放熱器に流入させるためのバイパス流路と、を備える、溶接器具の冷却システム。
【請求項2】
前記溶接器具から流出した冷却媒体の温度を検出する温度検出部と、
冷却媒体が流れる流路を前記循環流路と前記バイパス流路とを切り替える切替バルブと、
前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度に基づいて、前記切替バルブを制御する切替バルブ制御部と、を備える、請求項1に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項3】
前記切替バルブ制御部は、
前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値を超えている場合、前記循環流路を冷却媒体が流れるように前記切替バルブを切り替え、
前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値以下の場合、前記バイパス流路を冷却媒体が流れるように前記切替バルブを切り替える、請求項2に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項4】
前記ロボットを制御するロボットコントローラを備え、
前記ロボットコントローラは、前記切替バルブ制御部を兼ねている、請求項2に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項5】
前記放熱器に冷却風を送風する送風ファンと、
前記溶接器具から流出した冷却媒体の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度に基づいて、前記送風ファンのオンオフを切り替えるファン制御部と、を備える、請求項1に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項6】
前記ロボットを制御するロボットコントローラを備え、
前記ロボットコントローラは、前記ファン制御部を兼ねている、請求項5に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項7】
前記ロボットコントローラは、前記ロボットコントローラの内部を冷却するためのコントローラ用ファンを含み、
前記コントローラ用ファンは、前記送風ファンを兼ねており、
前記放熱器は、前記コントローラ用ファンから送風される空気の下流に配置されている、請求項6に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項8】
前記放熱器は、並列または直列に複数配置されており、
前記送風ファンは、複数の前記放熱器ごとに配置され、
前記ファン制御部は、前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度に基づいて、前記複数の送風ファンの各々のオンオフを切り替える、請求項5に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項9】
前記複数の放熱器は、直列に配置され、
直列に配置される前記複数の放熱器の冷却能力は、冷却媒体の流れる方向に沿って順に小さくなる、請求項8に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項10】
前記放熱器から流出した冷却媒体が貯留される貯留部と、
前記放熱器から流出した冷却媒体を前記貯留部の内部に霧状に噴霧するノズル部と、を備える、請求項1に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項11】
前記循環流路から分岐され、前記溶接器具を制御する溶接器具制御部を介して冷却媒体が循環する溶接器具制御部流路を備える、請求項1に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項12】
前記放熱器に冷却用の霧を噴霧する噴霧部を備える、請求項1に記載の溶接器具の冷却システム。
【請求項13】
ロボットと、
前記ロボットに取り付けられた溶接器具を冷却する冷却装置と、を備え、
前記冷却装置は、
前記溶接器具に冷却媒体を流入させるポンプと、
前記溶接器具から流出した冷却媒体を冷却する放熱器と、
前記ポンプ、前記溶接器具、および、前記放熱器を介して、冷却媒体が循環する循環流路と、
前記ポンプから流出した冷却媒体を、前記溶接器具を迂回して前記放熱器に流入させるためのバイパス流路と、を含む、ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、溶接器具の冷却システムおよびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶接器具の冷却システムが開示されている。特許文献1には、ロボット本体と、ロボット本体の先端に取り付けられるスポットガンと、スポットガンを冷却する冷却装置と、を備えるスポット溶接ロボットが開示されている。このスポット溶接ロボットでは、冷却装置は、給水ホースと、排水ホースと、ポンプと、ファンとを含む。給水ホースは、スポットガンに水を供給する。排水ホースは、スポットガンにおいて高温となった水を排水する。ファンは、排水ホースに流れる水を冷却する。ポンプは、水を給水ホースに送り込む。冷却に用いられる水は、ポンプ、給水ホース、スポットガン、および、排水ホースを循環する。特許文献1では、1台のスポット溶接ロボットに対して1台の冷却装置が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に開示されている溶接器具の冷却システムでは、スポットガンを冷却するための水が、ポンプ、給水ホース、スポットガン、および、排水ホースを循環しているため、スポットガンのメンテナンスなどの際には、水の循環を停止する必要がある。このため、水が周囲の温度などによって上昇してしまい、スポットガンを再稼働させた際に十分にスポットガンを冷却できなくなるという問題点が考えられる。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、溶接器具を再稼働させた場合でも、溶接器具を十分に冷却することが可能な溶接器具の冷却システムおよびロボットシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の第1の局面による溶接器具の冷却システムは、ロボットを用いた溶接工程に用いられる溶接器具に冷却媒体を流入させるポンプと、溶接器具から流出した冷却媒体を冷却する放熱器と、ポンプ、溶接器具、および、放熱器を介して、冷却媒体が循環する循環流路と、ポンプから流出した冷却媒体を、溶接器具を迂回して放熱器に流入させるためのバイパス流路と、を備える。
【0007】
この開示の第1の局面による溶接器具の冷却システムは、上記のように、ポンプから流出した冷却媒体を、溶接器具を迂回して放熱器に流入させるためのバイパス流路を備える。これにより、溶接器具がメンテナンス中などの場合でも、冷却媒体の流れを止めることなくバイパス流路を介して冷却媒体を放熱器に流入させて冷却できる。このため、溶接器具の待機中に、冷却媒体が周囲の温度などによって上昇することが抑制されるので、溶接器具を再稼働させた場合でも、溶接器具を十分に冷却できる。
【0008】
この開示の第2の局面によるロボットシステムは、ロボットと、ロボットに取り付けられた溶接器具を冷却する冷却装置と、を備え、冷却装置は、溶接器具に冷却媒体を流入させるポンプと、溶接器具から流出した冷却媒体を冷却する放熱器と、ポンプ、溶接器具、および、放熱器を介して、冷却媒体が循環する循環流路と、ポンプから流出した冷却媒体を、溶接器具を迂回して放熱器に流入させるためのバイパス流路と、を含む。
【0009】
この開示の第2の局面によるロボットシステムは、上記のように、冷却装置は、ポンプから流出した冷却媒体を、溶接器具を迂回して放熱器に流入させるためのバイパス流路を含む。溶接器具がメンテナンス中などの場合でも、冷却媒体の流れを止めることなくバイパス流路を介して冷却媒体を放熱器に流入させて冷却できる。このため、溶接器具の待機中に、冷却媒体が周囲の温度などによって上昇することが抑制されるので、溶接器具を再稼働させた場合でも、溶接器具を十分に冷却することが可能なロボットシステムを提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、溶接器具の冷却システムおよびロボットシステムは、溶接器具を再稼働させた場合でも、溶接器具を十分に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態によるロボットシステムおよび冷却システムを示す図である。
【
図2】一実施形態によるロボットシステムおよび冷却システムのブロック図である。
【
図4】ロボットコントローラによる循環流路とバイパス流路との切り替え動作を説明するためのフロー図である。
【
図5】ロボットコントローラによる送風ファンのオンオフの切り替え動作を説明するためのフロー図である。
【
図6】変形例によるロボットおよび溶接器具を示す図である。
【
図7】変形例による放熱器および噴霧部を示す図である。
【
図8】変形例によるロボットコントローラおよび放熱器を示す図である。
【
図9】変形例による並列に配置された複数の放熱器を示す図である。
【
図10】変形例によるノズル部および安全弁を示す図である。
【
図11】変形例による枠部内に配置された複数の放熱器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を具体化した本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態による溶接器具12の冷却システム100、および、冷却システム100を備えるロボットシステム1について説明する。
図1に示すように、溶接器具12の冷却システム100、および、ロボットシステム1は、ロボット10に取り付けられた溶接器具12を冷却するためのシステムである。なお、冷却システム100は、冷却装置の一例である。
【0014】
(ロボット)
まず、ロボット10の構成について説明する。ロボット10は、ロボット本体部10aと、ロボットコントローラ15と、を含む。ロボット本体部10aは、ロボットアーム11と、ロボットアーム11の先端に取り付けられる溶接器具12と、溶接トランス13と、溶接器具制御部14と、を含む。ロボットアーム11は、たとえば、垂直多関節型のロボットアーム11である。また、溶接器具12は、たとえば、スポット溶接のための接合ガンである。溶接トランス13は、溶接器具12に流れる電流の電圧を変換する。また、溶接器具制御部14は、溶接器具12を制御する。具体的には、溶接器具制御部14は、配線を介して溶接器具12に接続されている。配線は、ロボットアーム11の内部または外部を介して、溶接器具12に接続されている。溶接器具制御部14は、溶接器具12に流す電流を制御している。溶接器具制御部14は、タイマーと呼ばれる。
【0015】
ロボットコントローラ15について説明する。ロボットコントローラ15は、ロボットアーム11の動作を制御する。
図2に示すように、ロボットコントローラ15は、メイン制御部15aと、サーボ制御部15bと、駆動回路部15cと、を含む。メイン制御部15a、および、サーボ制御部15bは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を含む。メイン制御部15aは、ロボットアーム11の関節軸を制御する。サーボ制御部15bは、メイン制御部15aからの指令に基づいて関節軸のサーボモータに供給される電力を制御する。駆動回路部15cは、サーボモータに駆動電力を供給する。また、ロボットコントローラ15は、溶接器具制御部14の動作を制御する。
【0016】
(冷却システム)
次に、冷却システム100の構成について説明する。
図1に示すように、冷却システム100は、ポンプ20と、放熱器30と、送風ファン40と、循環流路60と、溶接器具制御部流路62と、バイパス流路80と、貯留部50と、温度検出部70と、切替バルブ90と、を備えている。循環流路60は、ポンプ20と、放熱器30と、貯留部50と、を接続する。また、冷却システム100は、たとえば、1台のロボット10に対して1つ配置されている。
【0017】
ポンプ20の構成について説明する。ポンプ20は、溶接器具12に冷却媒体を流入させる。具体的には、ポンプ20は、循環流路60を介して、溶接器具12に冷却媒体を流入させる。また、冷却媒体は、たとえば、水である。
【0018】
放熱器30の構成について説明する。放熱器30は、溶接器具12から流出した冷却媒体を冷却する。放熱器30は、たとえば、ラジエータである。本実施形態では、放熱器30は、直列に複数配置されている。たとえば、放熱器30は、直列に3個配置されている。また、直列に配置される放熱器30のサイズは、冷却媒体の流れる方向に沿って順に小さくなる。すなわち、直列に配置される放熱器30の冷却能力は、冷却媒体の流れる方向に沿って順に小さくなる。たとえば、複数の放熱器30は、水平面に沿って配置されている。
【0019】
送風ファン40の構成について説明する。送風ファン40は、放熱器30に冷却風を送風する。また、送風ファン40は、複数の放熱器30ごとに配置されている。また、複数の送風ファン40は、個別にオンオフする。
【0020】
貯留部50の構成について説明する。貯留部50は、放熱器30から流出した冷却媒体が貯留される。貯留部50は、たとえば、箱状のタンクである。本実施形態では、放熱器30から流出した冷却媒体を貯留部50の内部に霧状に噴霧するノズル部51が配置されている。放熱器30から流出した冷却媒体が流れる循環流路60の先端部が、貯留部50の内部に突出しており、ノズル部51は、循環流路60の先端部に取り付けられている。ノズル部51は、たとえば、下方に向かって冷却媒体を噴霧する。貯留部50には、冷却媒体が貯留されており、ノズル部51の下端と貯留された冷却媒体の上面との間には空気が存在する。ノズル部51は、貯留された冷却媒体の上面に向かって、冷却媒体を噴霧する。
【0021】
循環流路60の構成について説明する。循環流路60は、ポンプ20、溶接器具12、および、放熱器30を介して、冷却媒体が循環する。具体的には、循環流路60の一端は、ポンプ20の冷却媒体を吐出する吐出口に接続されている。また、
図3に示すように、循環流路60は、ロボットアーム11の内部を介して、溶接器具12の内部に配置されている。なお、循環流路60は、ロボットアーム11の外部を介して、溶接器具12の内部に配置されていてもよい。また、循環流路60は、溶接トランス13の内部にも配置されている。また、循環流路60は、溶接器具12の先端で折り返し、ロボットアーム11の内部を介して、ロボットアーム11の外部に引き出される。また、
図1に示すように、ロボットアーム11の外部に引き出された循環流路60は、放熱器30の冷却媒体の流入口に接続されている。また、循環流路60は、放熱器30の冷却媒体の流出口と、貯留部50とを接続する。また、循環流路60は、貯留部50の冷却媒体の流出口と、ポンプ20の冷却媒体が流入する流入口とを接続する。循環流路60は、たとえば、配管である。
【0022】
また、本実施形態では、溶接器具制御部流路62は、循環流路60から分岐されており、溶接器具制御部14を介して冷却媒体を循環する。具体的には、循環流路60とバイパス流路80とが分岐する切替バルブ90よりも下流側において、溶接器具制御部流路62は、循環流路60から分岐されている。また、溶接器具制御部流路62は、溶接器具制御部14の内部に配置され、溶接器具制御部14の内部の機器を冷却する。また、溶接器具制御部流路62は、溶接器具制御部14の外部に引き出され、ロボットアーム11から引き出された循環流路60と合流する。溶接器具制御部流路62も、たとえば、配管である。
【0023】
温度検出部70の構成について説明する。温度検出部70は、溶接器具12から流出した冷却媒体の温度を検出する。たとえば、温度検出部70は、ロボットアーム11から循環流路60が引き出される部分に配置されている。温度検出部70は、たとえば、フロースイッチである。フロースイッチは、冷却媒体の流量および冷却媒体の温度を検出する。
【0024】
バイパス流路80の構成について説明する。本実施形態では、バイパス流路80は、ポンプ20から流出した冷却媒体を、溶接器具12を迂回して放熱器30に流入させる。具体的には、バイパス流路80は、ポンプ20の吐出口に接続される循環流路60から分岐して放熱器30の流入口に接続される循環流路60に接続されている。バイパス流路80も循環流路60と同様に、たとえば、配管である。循環流路60からバイパス流路80が分岐する部分には、切替バルブ90が配置されている。切替バルブ90は、冷却媒体が流れる流路を循環流路60とバイパス流路80とに切り替える。切替バルブ90は、たとえば、三方弁である。また、切替バルブ90は、ロボットコントローラ15からの指令により、冷却媒体を循環流路60に流す状態と、冷却媒体をバイパス流路80に流す状態とを切り替える。なお、切替バルブ90は、ロボットコントローラ15からの指令により、循環流路60とバイパス流路80とに流す冷却媒体の割合を変更してもよい。
【0025】
また、バイパス流路80と循環流路60とが合流する部分の上流側には、逆止弁61が配置されている。これにより、冷却媒体がバイパス流路80を流れている際に、冷却媒体がロボットアーム11側に逆流することが防止される。なお、
図1において、循環流路60のうち、高温の冷却媒体が流れる部分を斜線で表している。高温の冷却媒体が流れる部分は、ロボットアーム11の下流側、および、溶接器具制御部14の下流側である。
【0026】
冷却システム100に対するロボットコントローラ15の関わりについて説明する。本実施形態では、ロボットコントローラ15は、切替バルブ90を制御する切替バルブ制御部を兼ねている。また、ロボットコントローラ15は、送風ファン40を制御するファン制御部を兼ねている。そして、本実施形態では、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度に基づいて、切替バルブ90を制御する。具体的には、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値を超えている場合、循環流路60を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。また、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値以下の場合、バイパス流路80を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。たとえば、溶接器具12による溶接工程が実行されている状態では、溶接器具12の温度が高くなるので、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値を超える。この場合、ロボットコントローラ15は、循環流路60を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。これにより、溶接器具12が冷却される。また、溶接器具12による溶接工程が停止されている状態では、溶接器具12の温度が低くなるので、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値以下となる。この場合、ロボットコントローラ15は、バイパス流路80を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。これにより、放熱器30によって冷却媒体が冷却される。その結果、次に冷却媒体により溶接器具12を冷却する際に、冷却媒体の温度が十分に低温となっている。なお、溶接器具12による溶接工程が停止されている状態とは、ロボット10および溶接器具12を用いた溶接工程が一時的に停止されている場合、ロボット10および溶接器具12のメンテナンスのため溶接工程が停止されている場合、ロボットシステム1のシステムの変更のため溶接工程が停止されている場合、および、溶接工程のラインの再構築のため溶接工程が停止されている場合など、を含む。
【0027】
また、本実施形態では、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度に基づいて、送風ファン40のオンオフを切り替える。具体的には、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度に基づいて、複数の送風ファン40の各々のオンオフを切り替える。
【0028】
次に、
図4を参照して、ロボットコントローラ15による切替バルブ90の制御について説明する。なお、以下に説明するロボットコントローラ15による切替バルブ90の制御は、一例でありこれに限られるものではない。
【0029】
ステップS1において、ロボットコントローラ15は、ロボット10および溶接器具12を用いた溶接工程が停止されているか否かを判定する。
【0030】
ステップS1において、yesの場合に、ステップS2において、ロボットコントローラ15は、バイパス流路80を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。これにより、冷却媒体が、放熱器30、貯留部50およびポンプ20を循環し、冷却される。
【0031】
ステップS1において、noの場合に、ロボットコントローラ15は、ステップS3において、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値を超えているか否かを判定する。ステップS3において、yesの場合、ステップS4において、ロボットコントローラ15は、循環流路60を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。そして、ステップS1に戻る。
【0032】
ステップS3において、noの場合に、ステップS5に進み、ロボットコントローラ15は、バイパス流路80を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。そして、ステップS1に戻る。
【0033】
次に、
図5を参照して、ロボットコントローラ15による送風ファン40の制御について説明する。なお、以下に説明するロボットコントローラ15による送風ファン40の制御は、一例でありこれに限られるものではない。
【0034】
ステップS11において、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度Tが第1閾値Th1以上か否かを判定する。ステップS11において、yesの場合、ステップS12において、ロボットコントローラ15は、複数の送風ファン40の全てをオン状態にする。ステップS11においてnoの場合、ステップS13において、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度Tが第1閾値Th1よりも小さい第2閾値Th2以上か否かを判定する。ステップS13において、yesの場合、ステップS14において、ロボットコントローラ15は、複数の送風ファン40の一部をオン状態にする。ステップS13においてnoの場合、ステップS15において、ロボットコントローラ15は、複数の送風ファン40の全てをオフ状態にする。ステップS11からステップS15までの動作は、ロボット10および溶接器具12を用いた溶接工程が実行されている間繰り返される。
【0035】
[本実施形態の効果]
冷却システム100は、ポンプ20から流出した冷却媒体を、溶接器具12を迂回して放熱器30に流入させるためのバイパス流路80を備える。これにより、溶接器具12がメンテナンス中などの場合でも、冷却媒体の流れを止めることなくバイパス流路80を介して冷却媒体を放熱器30に流入させて冷却できる。このため、溶接器具12の待機中に、冷却媒体が周囲の温度などによって上昇することが抑制されるので、溶接器具12を再稼働させた場合でも、溶接器具12を十分に冷却できる。
【0036】
冷却システム100は、溶接器具12から流出した冷却媒体の温度を検出する温度検出部70と、冷却媒体が流れる流路を循環流路60とバイパス流路80とを切り替える切替バルブ90と、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度に基づいて、切替バルブ90を制御するロボットコントローラ15と、を備える。これにより、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度に基づいて、溶接器具12を冷却する必要がない場合には、冷却媒体がバイパス流路80を流れるように切替バルブ90を切り替えることができる。また、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度に基づいて、溶接器具12を冷却する必要がある場合には、冷却媒体がバイパス流路80を流れるように切替バルブ90を切り替えることができる。
【0037】
ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値を超えている場合、循環流路60を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替え、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値以下の場合、バイパス流路80を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。これにより、溶接器具12が高温になり冷却媒体の温度が高温になった場合、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値を超えていることに基づいて、循環流路60を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。その結果、溶接器具12を適切に冷却できる。また、溶接器具12が低温になり冷却媒体の温度が低温になった場合、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値以下になることに基づいて、バイパス流路80を冷却媒体が流れるように切替バルブ90を切り替える。その結果、溶接器具12を冷却する必要がない場合にまで、溶接器具12を冷却することを抑制できる。また、冷却媒体が溶接器具12を迂回してバイパス流路80を流れるので、冷却媒体が溶接器具12を流れることによる圧損を抑制できる。その結果、ポンプ20を駆動する電力の省電力化を図ることができる。
【0038】
ロボットコントローラ15は、切替バルブ90を制御する切替バルブ制御部を兼ねている。これにより、切替バルブ90を切り替えるための切替バルブ制御部をロボットコントローラ15とは別個に配置する場合と異なり、冷却システム100の構成の複雑化を抑制できる。
【0039】
冷却システム100は、放熱器30に冷却風を送風する送風ファン40と、溶接器具12から流出した冷却媒体の温度を検出する温度検出部70と、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度に基づいて、送風ファン40のオンオフを切り替えるロボットコントローラ15と、を備える。これにより、冷却媒体を冷却する必要がない場合には、送風ファン40をオフすることができるので、冷却システム100の省電力化を図ることができる。
【0040】
ロボットコントローラ15は、送風ファン40のオンオフを切り替えるファン制御部を兼ねている。これにより、ファン制御部をロボットコントローラ15とは別個に配置する場合と異なり、冷却システム100の構成の複雑化を抑制できる。
【0041】
放熱器30は、直列に複数配置されており、送風ファン40は、複数の放熱器30ごとに配置され、ロボットコントローラ15は、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度に基づいて、複数の送風ファン40の各々のオンオフを切り替える。これにより、冷却媒体の温度に応じて、稼働する送風ファン40の台数を切り替えることにより、省電力化を図りながら適切に冷却媒体を冷却できる。また、放熱器30を直列に複数配置した場合では、放熱器30を並列に複数配置した場合と比べて、冷却効果を向上できる。
【0042】
複数の放熱器30は、直列に配置され、直列に配置される複数の放熱器30の冷却能力は、冷却媒体の流れる方向に沿って順に小さくなる。これにより、冷却媒体が最初に流入する放熱器30のサイズが大きくなりので、冷却媒体に流入する際の冷却媒体の抵抗を低減できる。また、比較的大きい放熱器30を直列に複数配置すると冷却媒体に対する冷却能力が過度になる場合がある。そこで、直列に配置される放熱器30の冷却能力を、冷却媒体の流れる方向に沿って順に小さくすることにより、冷却媒体に対する冷却能力に適した放熱器30の冷却能力を選択することができる。その結果、比較的大きい放熱器30を直列に複数配置する場合と異なり、複数の放熱器30を配置するスペースが大きくなることを抑制できる。
【0043】
冷却システム100は、放熱器30から流出した冷却媒体が貯留される貯留部50と、放熱器30から流出した冷却媒体を貯留部50の内部に霧状に噴霧するノズル部51と、を備える。これにより、ノズル部51から霧状に冷却媒体を噴霧することにより、冷却媒体を冷却できる。
【0044】
冷却システム100は、循環流路60から分岐され、溶接器具12を制御する溶接器具制御部14を介して冷却媒体が循環する溶接器具制御部流路62を備える。これにより、溶接器具12に加えて、冷却媒体により溶接器具制御部14も冷却できる。
【0045】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0046】
上記実施形態では、溶接器具12がロボットアーム11に接続されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図6に示すように、溶接器具12が台200に取り付けられていてもよい。そして、ロボットアーム210によって把持されたワーク220が溶接器具12の近傍まで運ばれてもよい。なお、溶接器具12の内部には、上記実施形態と同様に循環流路60が配置されている。
【0047】
上記実施形態では、冷却媒体が水である例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、冷却媒体が不凍液であってもよい。これにより、冷却媒体が凍結することを抑制できる。
【0048】
上記実施形態では、バイパス流路80が、直列に配置された複数の放熱器30の上流側の循環流路60に接続されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、バイパス流路80が、放熱器30同士を接続する循環流路60に接続されていてもよい。
【0049】
上記実施形態では、バイパス流路80が、1本である例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、複数本のバイパス流路80が配置されていてもよい。
【0050】
上記実施形態では、フロースイッチにより冷却媒体の温度が検出される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、温度のみを検出する温度計によって冷却媒体の温度が検出されてもよい。
【0051】
上記実施形態では、温度検出部70は、ロボットアーム11から循環流路60が引き出される部分に配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、温度検出部70が、逆止弁61の近傍でかつ逆止弁61の上流側の循環流路60に配置されていてもよい。
【0052】
上記実施形態では、ロボットコントローラ15が、切替バルブ90を制御する切替バルブ制御部と、送風ファン40のオンオフを切り替えるファン制御部とを兼ねている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ロボットコントローラ15とは別個に、切替バルブ制御部とファン制御部とが配置されていてもよい。
【0053】
上記実施形態では、ロボットコントローラ15が、温度検出部70に検出された冷却媒体の温度に基づいて、切替バルブ90および送風ファン40を制御する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ロボットコントローラ15は、切替バルブ90が切り替えられてから一定の時間が経過した際に切替バルブ90を切り替えてもよいし、送風ファン40のオンオフから一定の時間が経過した際に送風ファン40のオンオフを切り替えてもよい。
【0054】
上記実施形態では、送風ファン40によって送風される空気によって放熱器30を流れる冷却媒体が冷却される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図7に示す変形例による放熱器30のように、冷却用の霧を噴霧する噴霧部110を配置して、噴霧部110から噴霧される霧により放熱器30を流れる冷却媒体を冷却してもよい。これにより、噴霧部110から噴霧される霧により、冷却媒体を効果的に冷却できる。また、放熱器30として、熱交換器を適用し、溶接器具12から流出した冷却媒体と、この冷却媒体と別個の冷却媒体との熱交換によって、溶接器具12を冷却する冷却媒体を冷却してもよい。
【0055】
上記実施形態では、複数の送風ファン40が、個別にオンオフする例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、複数の送風ファン40が、同時にオンまたは同時にオフしてもよい。これにより、複数の送風ファン40のオンオフを制御するロボットコントローラ15の制御負荷を軽減できる。
【0056】
上記実施形態では、複数の送風ファン40が、ロボットコントローラ15と別個に配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図8に示すように、ロボットコントローラ120は、ロボットコントローラ120の内部を冷却するためのコントローラ用ファン121を含んでいる。そして、放熱器30は、コントローラ用ファン121から送風される空気の下流に配置されていてもよい。具体的には、ロボットコントローラ120の筐体122には、コントローラ用ファン121からの空気が排気される孔部123が形成されている。放熱器30は、孔部123の近傍に配置される。これにより、コントローラ用ファン121と別個に送風ファン40を配置する場合と異なり、冷却システム100の構成の複雑化を低減できるとともに、冷却システム100の省電力化を図ることができる。なお、ロボットコントローラ120は、切替バルブ制御部の一例である。
【0057】
上記実施形態では、複数の放熱器30が直列に配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図9に示すように、複数の放熱器30が並列に配置されていてもよい。なお、複数の放熱器30のサイズは、互いに異なっていてもよいし、全て同じであってもよい。このように、放熱器30を並列に複数配置することにより、放熱器30に流入する冷却媒体の抵抗を低減できる。
【0058】
上記実施形態では、直列に配置される複数の放熱器30のサイズは、冷却媒体の流れる方向に沿って順に小さくなる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、直列に配置される複数の放熱器30のサイズが全て同じであってもよい。また、直列に配置される複数の放熱器30のサイズは、冷却媒体の流れる方向に沿って順に大きくなってもよい。また、直列に配置される複数の放熱器30のサイズは、冷却媒体の流れる方向に沿って順に変化しなくてもよい。
【0059】
上記実施形態では、貯留部50において、ノズル部51は下方に向かって冷却媒体を噴霧する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、ノズル部51が貯留部50の底部から上方に向かって冷却媒体を噴霧してもよい。また、ノズル部51が貯留部50の側面から横方に向かって冷却媒体を噴霧してもよい。また、
図10に示すように、ノズル部51に接続される循環流路60に安全弁としてのリリーフ弁53を配置してもよい。循環流路60の内圧が所定の圧力以下の場合、冷却媒体がノズル部51から噴霧されるが、冷却媒体はリリーフ弁53からは排出されない。循環流路60の内圧が所定の圧力を超えると、冷却媒体がノズル部51から噴霧されながら、冷却媒体はリリーフ弁53からも排出される。なお、循環流路60の内圧が所定の圧力を超えた場合、ノズル部51からの冷却媒体の噴霧が停止され、リリーフ弁53のみから冷却媒体が排出されてもよい。
【0060】
上記実施形態では、複数の放熱器30が水平面に沿って配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図11に示すように、複数の放熱器30が鉛直方向に沿って配置されていてもよい。
図11では、下方から、サイズの大きい順に放熱器30が配置されているが、上方から、サイズの大きい順に放熱器30を配置するなど、複数の放熱器30の配置の順序は適宜設定可能である。上方から、サイズの大きい順に放熱器30を配置して、上方から下方に冷却媒体を流すことにより、冷却媒体を流すための力として重力を利用できるので、ポンプ20の消費電力を低減できる。また、鉛直方向に沿って配置されている複数の放熱器30を囲むように、円錐台形状の枠部130を配置してもよい。これにより、放熱器30から発生する熱によって上昇する空気によって枠部130の外部から空気が枠部130の内部に取り入れられることにより、放熱器30を冷却できる。この場合、送風ファン40を省略することが可能である。
【0061】
上記実施形態では、冷却システム100が、1台のロボット10に対して1つ配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、冷却システム100が、複数台のロボット10に対して1つ配置されていてもよい。
【0062】
上記実施形態では、放熱器30がラジエータである例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、放熱器30として冷却塔を用いてもよい。
【0063】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0064】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0065】
(項目1)
ロボットを用いた溶接工程に用いられる溶接器具に冷却媒体を流入させるポンプと、
前記溶接器具から流出した冷却媒体を冷却する放熱器と、
前記ポンプ、前記溶接器具、および、前記放熱器を介して、冷却媒体が循環する循環流路と、
前記ポンプから流出した冷却媒体を、前記溶接器具を迂回して前記放熱器に流入させるためのバイパス流路と、を備える、溶接器具の冷却システム。
【0066】
(項目2)
前記溶接器具から流出した冷却媒体の温度を検出する温度検出部と、
冷却媒体が流れる流路を前記循環流路と前記バイパス流路とを切り替える切替バルブと、
前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度に基づいて、前記切替バルブを制御する切替バルブ制御部と、を備える、項目1に記載の溶接器具の冷却システム。
【0067】
(項目3)
前記切替バルブ制御部は、
前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値を超えている場合、前記循環流路を冷却媒体が流れるように前記切替バルブを切り替え、
前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度が所定の閾値以下の場合、前記バイパス流路を冷却媒体が流れるように前記切替バルブを切り替える、項目2に記載の溶接器具の冷却システム。
【0068】
(項目4)
前記ロボットを制御するロボットコントローラを備え、
前記ロボットコントローラは、前記切替バルブ制御部を兼ねている、項目2または項目3に記載の溶接器具の冷却システム。
【0069】
(項目5)
前記放熱器に冷却風を送風する送風ファンと、
前記溶接器具から流出した冷却媒体の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度に基づいて、前記送風ファンのオンオフを切り替えるファン制御部と、を備える、項目1にから項目4までのいずれか1項記載の溶接器具の冷却システム。
【0070】
(項目6)
前記ロボットを制御するロボットコントローラを備え、前記ロボットコントローラは、前記ファン制御部を兼ねている、項目5に記載の溶接器具の冷却システム。
【0071】
(項目7)
前記ロボットコントローラは、前記ロボットコントローラの内部を冷却するためのコントローラ用ファンを含み、
前記コントローラ用ファンは、前記送風ファンを兼ねており、
前記放熱器は、前記コントローラ用ファンから送風される空気の下流に配置されている、項目6に記載の溶接器具の冷却システム。
【0072】
(項目8)
前記放熱器は、並列または直列に複数配置されており、
前記送風ファンは、複数の前記放熱器ごとに配置され、
前記ファン制御部は、前記温度検出部に検出された冷却媒体の温度に基づいて、前記複数の送風ファンの各々のオンオフを切り替える、項目5から項目7までのいずれか1項に記載の溶接器具の冷却システム。
【0073】
(項目9)
前記複数の放熱器は、直列に配置され、
直列に配置される前記複数の放熱器の冷却能力は、冷却媒体の流れる方向に沿って順に小さくなる、項目8に記載の溶接器具の冷却システム。
【0074】
(項目10)
前記放熱器から流出した冷却媒体が貯留される貯留部と、
前記放熱器から流出した冷却媒体を前記貯留部の内部に霧状に噴霧するノズル部と、を備える、項目1から項目9までのいずれか1項に記載の溶接器具の冷却システム。
【0075】
(項目11)
前記循環流路から分岐され、前記溶接器具を制御する溶接器具制御部を介して冷却媒体が循環する溶接器具制御部流路を備える、項目1から項目10までのいずれか1項に記載の溶接器具の冷却システム。
【0076】
(項目12)
前記放熱器に冷却用の霧を噴霧する噴霧部を備える、項目1から項目11までのいずれか1項に記載の溶接器具の冷却システム。
【0077】
(項目13)
ロボットと、
前記ロボットに取り付けられた溶接器具を冷却する冷却装置と、を備え、
前記冷却装置は、
前記溶接器具に冷却媒体を流入させるポンプと、
前記溶接器具から流出した冷却媒体を冷却する放熱器と、
前記ポンプ、前記溶接器具、および、前記放熱器を介して、冷却媒体が循環する循環流路と、
前記ポンプから流出した冷却媒体を、前記溶接器具を迂回して前記放熱器に流入させるためのバイパス流路と、を含む、ロボットシステム。
【符号の説明】
【0078】
1 ロボットシステム
10 ロボット
12 溶接器具
14 溶接器具制御部
15 ロボットコントローラ(切替バルブ制御部、ファン制御部)
20 ポンプ
30 放熱器
40 送風ファン
50 貯留部
51 ノズル部
60 循環流路
62 溶接器具制御部流路
70 温度検出部
80 バイパス流路
90 切替バルブ
100 冷却システム(冷却装置)
110 噴霧部
120 ロボットコントローラ(切替バルブ制御部)
121 コントローラ用ファン