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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001754
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20231227BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20231227BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20231227BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20231227BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20231227BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20231227BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/262 Z
H01M50/55 101
H01G11/12
H01M50/505
H01M50/264
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100623
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】南田 善隆
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA13
5E078AB01
5E078HA05
5E078JA02
5E078JA07
5E078JA09
5E078JA10
5H040AA01
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY10
5H040CC34
5H040DD03
5H040NN03
5H043AA05
5H043AA13
5H043BA19
5H043BA20
5H043CA04
5H043CA21
5H043FA04
5H043LA21F
(57)【要約】
【課題】蓄電デバイスをジグザグに配置しつつ積み重ねた蓄電モジュールに比べて、導電接続部材の長さを短く、蓄電モジュールを軽量化できる蓄電モジュールを提供すること。
【解決手段】蓄電モジュール1は、ケース幅方向BHにジグザグに配置され、ケース厚み方向CHに積み重ねられた複数の蓄電デバイス200と、隣り合う蓄電デバイス200の外部電極端子部241,251同士を接続する導電接続部材20と、複数の蓄電デバイス200を拘束する拘束具30とを備え、隣り合う蓄電デバイス200の外部電極端子部241,251同士が積み重ね方向GHに並び、導電接続部材20は、積み重ね方向GHに延びて、積み重ね方向GHに並んだ隣り合う蓄電デバイス200の外部電極端子部241,251同士を接続してなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極板が電極板積層方向に積層された電極積層部を含む電極体、
上記電極体を上記電極板積層方向がケース厚み方向に平行な姿勢として、上記電極体を内部に収容したケース、及び、
上記ケースのうち、上記ケース厚み方向に直交するケース高さ方向の一方側の部位にそれぞれ固設された一対の外部電極端子部を有する
複数の蓄電デバイスであって、
各々の上記蓄電デバイスの上記ケース高さ方向の上記一方側がいずれも同方向とされ、
上記ケース厚み方向に平行な積み重ね方向に積み重ねられ、かつ、
上記ケース厚み方向及び上記ケース高さ方向に直交するケース幅方向にジグザグに配置された
複数の蓄電デバイスと、
上記積み重ね方向に隣り合う上記蓄電デバイスの異極または同極の上記外部電極端子部同士を接続する導電接続部材と、
積み重ねられた上記複数の蓄電デバイスを上記積み重ね方向の内側に向けて圧縮して拘束する拘束具と、を備える
蓄電モジュールであって、
上記ケース幅方向にジグザグに配置された複数の上記蓄電デバイスは、
それぞれの上記外部電極端子部が、隣り合う上記蓄電デバイスの上記外部電極端子部同士が上記積み重ね方向に並ぶ、上記ケース幅方向の位置に配置されており、
上記導電接続部材は、
上記積み重ね方向に延びて、上記積み重ね方向に並んだ隣り合う上記蓄電デバイスの上記外部電極端子部同士を接続してなる
蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池やキャパシタなどの蓄電デバイスを複数、そのケース厚み方向に積み重ね、更にこれらをその積み重ね方向に拘束具で拘束してなる蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の角形電池を備える電池モジュールでは、各電池を、各電池のケース長側部同士が重なり、残りのケース上部、ケース底部及び一対のケース短側部がそれぞれ隣り合う電池同士で揃う(面一となる)ように、ケース厚み方向に真っ直ぐに積み重ねている。そして、隣り合う電池の外部電極端子部同士をバスバ等の導電接続部材で電気的に接続すると共に、電池の集合体を、一対のエンドプレート及びこれら間に架け渡す拘束バンド等の拘束具を用いて、電池の積み重ね方向の内側に向けて圧縮して拘束している。
【0003】
しかし、充電の際に電池内に収容された電極体は電極板積層方向に膨張し、電池もこの電極板積層方向と平行な電池のケース厚み方向に膨張するため、ケース厚み方向に積み重ねられた電池の集合体全体も、電池の積み重ね方向に伸びようとする。すると、電池の集合体を積み重ね方向に拘束している拘束具、及び、隣り合う電池の外部電極端子部同士を接続している導電接続部材に、それぞれ積み重ね方向の外側に引っ張る大きな引張力が掛かる。このため、このような引張力が掛かっても問題が生じないように、拘束具や導電接続部材、電池の外部電極端子部を頑丈に形成する必要があった。
【0004】
これに対し、各電池を、積み重ね方向に直交するケース幅方向にジグザグに配置しつつ積み重ね方向に積み重ねて、これらを積み重ね方向に拘束具で拘束した電池モジュールが考えられる。特許文献1の図2等に、このような形態の電池モジュールが開示されている。各電池をジグザグに配置しつつ積み重ねれば、隣り合う電池同士の重なる面積が小さくなり、充電の際に電池の集合体が積み重ね方向に伸びようとする力が小さくなるため、拘束具及び導電接続部材に掛かる上述の引張力が小さくなる。このため、拘束具や導電接続部材、電池の外部電極端子部を簡素化することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-156131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、各電池をジグザグに配置しつつ積み重ねると、特許文献1の図2等に記載されているように、各導電接続部材を積み重ね方向に対して斜めに配置して外部電極端子部同士を接続することになる。このため、各電池を真っ直ぐに積み重ねる場合に比べ、導電接続部材の長さを長くする必要があり、またこれに伴って電池モジュールの重量が増加する新たな課題が生じた。
【0007】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、複数の蓄電デバイスをジグザグに配置しつつ積み重ねた従来の蓄電モジュールに比べて、導電接続部材の長さを短くでき、蓄電モジュールを軽量化することができる蓄電モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、複数の電極板が電極板積層方向に積層された電極積層部を含む電極体、上記電極体を上記電極板積層方向がケース厚み方向に平行な姿勢として、上記電極体を内部に収容したケース、及び、上記ケースのうち、上記ケース厚み方向に直交するケース高さ方向の一方側の部位にそれぞれ固設された一対の外部電極端子部を有する複数の蓄電デバイスであって、各々の上記蓄電デバイスの上記ケース高さ方向の上記一方側がいずれも同方向とされ、上記ケース厚み方向に平行な積み重ね方向に積み重ねられ、かつ、上記ケース厚み方向及び上記ケース高さ方向に直交するケース幅方向にジグザグに配置された複数の蓄電デバイスと、上記積み重ね方向に隣り合う上記蓄電デバイスの異極または同極の上記外部電極端子部同士を接続する導電接続部材と、積み重ねられた上記複数の蓄電デバイスを上記積み重ね方向の内側に向けて圧縮して拘束する拘束具と、を備える蓄電モジュールであって、上記ケース幅方向にジグザグに配置された複数の上記蓄電デバイスは、それぞれの上記外部電極端子部が、隣り合う上記蓄電デバイスの上記外部電極端子部同士が上記積み重ね方向に並ぶ、上記ケース幅方向の位置に配置されており、上記導電接続部材は、上記積み重ね方向に延びて、上記積み重ね方向に並んだ隣り合う上記蓄電デバイスの上記外部電極端子部同士を接続してなる蓄電モジュールである。
【0009】
上述の蓄電モジュールでは、特許文献1と同じく、複数の蓄電デバイスをケース幅方向にジグザグに配置しつつケース厚み方向(積み重ね方向)に積み重ねている。このため、充電の際に蓄電デバイスの集合体が積み重ね方向に延びようとする力が、蓄電デバイスを真っ直ぐに積み重ね方向に積み重ねた場合よりも小さくなるため、拘束具及び導電接続部材に掛かる、積み重ね方向の外側に引っ張る引張力が小さくなる。かくして、拘束具や導電接続部材、蓄電モジュールの外部電極端子部を簡素化することができる。
加えて上述の蓄電モジュールでは、隣り合う蓄電デバイスの外部電極端子部同士が積み重ね方向に並んでおり、導電接続部材が積み重ね方向に延びて、積み重ね方向に並んだ隣り合う蓄電デバイスの外部電極端子部同士を接続している。このため、導電接続部材が積み重ね方向に対して斜めに延びている場合よりも、導電接続部材の長さを短くでき、蓄電モジュールを軽量化することができる。
【0010】
なお、「蓄電デバイス」としては、例えば、リチウムイオン二次電池等の二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタ、全固体電池などが挙げられる。
「電極体」としては、例えば、一枚の帯状の正極板と一枚の帯状の負極板とを帯状のセパレータを介して扁平状に捲回した扁平状捲回型の電極体や、複数の矩形状の電極板(例えば複数枚の矩形状の正極板及び複数枚の矩形状の負極板)をセパレータを介して直方体状に積層した積層型の電極体などが挙げられる。扁平状捲回型の電極体は、平坦部と、平坦部の両側に位置する一対のR部とを有しており、平坦部のうち、複数の電極板がセパレータを介して積層された部位が、前述の「電極積層部」に該当する。一方、積層型の電極体では、複数の電極板がセパレータを介して積層された部位が、前述の「電極体積層部」に該当する。また蓄電デバイスは、電極体を単数備えていても複数備えていてもよい。
「ケース」としては、例えば、金属缶からなるケースや、樹脂からなるケース、ラミネートフィルムからなるケースなどが挙げられる。
【0011】
複数の蓄電デバイスは、蓄電デバイス同士を直接積み重ねてもよいし、スペーサ等を介して間接に積み重ねてもよい。
導電接続部材による蓄電デバイス同士の電気的接続は、直列接続としても並列接続としてもよい。
「拘束具」としては、一対のエンドプレート及びこれら間に架け渡す拘束バンドやボルトを有する拘束具や、蓄電デバイスの集合体を拘束しつつ内部に収容する矩形環状や有底四角筒状のデバイスケースなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る電池の斜視図である。
図2】実施形態1に係る電池のケース高さ方向及びケース幅方向に沿う断面図である。
図3】実施形態1に係る電池モジュールの上面図である。
図4】実施形態1に係る電池モジュールの側面図である。
図5】実施形態2に係る電池の斜視図である。
図6】実施形態2に係る電池モジュールの上面図である。
図7】実施形態2に係る電池モジュールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に本実施形態1に係る電池(蓄電デバイス)200の斜視図を、図2に電池200の断面図を示す。また図3に本実施形態1に係る電池モジュール(蓄電モジュール)1の上面図を、図4に電池モジュール1の側面図を示す。なお、以下では、電池200のケース高さ方向AH、ケース幅方向BH及びケース厚み方向CHを、図1及び図2に示す方向と定めると共に、電池モジュール1のモジュール高さ方向EH、モジュール短手方向FH及びモジュール長手方向(電池の積み重ね方向)GHを、図3及び図4に示す方向と定めて説明する。
【0014】
電池モジュール1は、直方体状であり、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などに搭載される電池モジュールである。また電池モジュール1に含まれる各電池200は、角形(扁平な直方体状)で密閉型のリチウムイオン二次電池である。
【0015】
まず電池200について説明する(図1及び図2参照)。この電池200は、ケース210と、ケース210内に収容された電極体230と、ケース210に支持された一対の電極端子(正極端子240及び負極端子250)等から構成されている。またケース210内には、電解液205が収容されており、その一部は電極体230内に含浸され、残りはケース210の底部に溜まっている。また電極体230は、絶縁フィルムを折り曲げて、ケース高さ方向AHの上方(一方側)AH1に開口する袋状に形成した絶縁ホルダ235に覆われている。
【0016】
このうちケース210は、金属(本実施形態1ではアルミニウム)からなる直方体箱状である。このケース210は、ケース高さ方向AHの上側AH1に位置する矩形状のケース上部211と、これに対向する矩形状のケース底部212と、これらの間を結ぶ4つの矩形状のケース側部(一対のケース長側部213,214及び一対のケース短側部215,216)とを有する。ケース210は、ケース高さ方向AHの上側AH1に開口221cを有する有底角筒状で、ケース底部212、ケース長側部213,214及びケース短側部215,216をなすケース本体部材221と、このケース本体部材221の開口221cを閉塞する形態で溶接された矩形板状で、ケース上部211をなすケース蓋部材222とから構成されている。
【0017】
ケース上部211には、アルミニウムからなる正極端子240が、絶縁部材245を介してケース210と絶縁された状態でケース上部211に固設されている。この正極端子240は、ケース上部211上に設けられた矩形板状の外部正極端子部(外部電極端子部)241と、主にケース210内に配置され、ケース上部211を貫通して外部正極端子部241に繋がる内部正極端子部242とを有する。外部正極端子部241は、ケース上部211のうち、ケース幅方向BHの一方側BH1の端部211a近傍に設けられている。また内部正極端子部242は、ケース210内で電極体230の正極タブ230aに接合し導通している。
【0018】
またケース上部211には、銅からなる負極端子250が、絶縁部材255を介してケース210と絶縁された状態でケース上部211に固設されている。この負極端子250は、ケース上部211上に設けられた矩形板状の外部負極端子部(外部電極端子部)251と、主にケース210内に配置され、ケース上部211を貫通して外部負極端子部251に繋がる内部負極端子部252とを有する。外部負極端子部251は、ケース上部211のうち、ケース幅方向BHの他方側BH2の端部211bから離れた位置に、外部正極端子部241とは非対称に設けられている。具体的には、ケース210のケース幅方向BHの他方側BH2の端から、外部負極端子部251のケース幅方向BHの中心までの距離DN1は、ケース210のケース幅方向BHの一方側BH1の端から、外部正極端子部241のケース幅方向BHの中心までの距離DP1に、距離D1を加えた大きさである(DN1=DP1+D1)。なお、本実施形態1では、この距離D1は、ケース210のケース幅方向BHの幅寸法Waの5分の1(D1=Wa/5)である。また内部負極端子部252は、ケース210内で電極体230の負極タブ230bに接合し導通している。
【0019】
またケース上部211のうち、外部正極端子部241と外部負極端子部251とのケース幅方向BHの中間部位には、安全弁225が設けられている。この安全弁225は、ケース蓋部材222の他の部位よりも薄肉化され、ケース210の内圧が開弁圧を超えたときに破断して開弁し、ケース210内で発生したガスをケース210外に放出する非復帰型の安全弁である。
【0020】
電極体230は、扁平な直方体状であり、複数の矩形状の正極板(電極板)231と、複数の矩形状の負極板(電極板)232とを、樹脂製の多孔質膜からなる矩形状のセパレータ233を介して交互に電極板積層方向DHに積層した積層型の電極体である。電極体230のうち、複数の正極板231と複数の負極板232とがセパレータ233を介して積層された部位が、電極積層部230cである。電極体230は、電極板積層方向DHがケース厚み方向CHに平行な姿勢で、ケース210内に収容されている。従って、本実施形態1の電池200では、充電の際に電極体230が電極板積層方向DHに膨張し、これに伴い電池200がケース厚み方向CHに膨張する。
【0021】
正極板231は、矩形状のアルミニウム箔からなる正極集電箔(不図示)の両主面上にそれぞれ正極活物質層(不図示)を有する。正極板231のうち、ケース高さ方向AHの上側AH1に延びる延出部は、厚み方向に正極活物質層が存在せず、正極集電箔が厚み方向に露出した正極露出部231rとなっており、各々の正極露出部231r同士が厚み方向に重なって前述の正極タブ230aを形成している。この正極タブ230aは、前述のように正極端子240の内部正極端子部242に接合している。
【0022】
負極板232は、矩形状の銅箔からなる負極集電箔(不図示)の両主面上にそれぞれ負極活物質層(不図示)を有する。負極板232のうち、ケース高さ方向AHの上側AH1に延びる延出部は、厚み方向に負極活物質層が存在せず、負極集電箔が厚み方向に露出した負極露出部232rとなっており、各々の負極露出部232r同士が厚み方向に重なって前述の負極タブ230bを形成している。この負極タブ230bは、前述のように負極端子250の内部負極端子部252に接合している。
【0023】
次いで、複数の電池200を積層し、これらを拘束具30で拘束した電池モジュール1について説明する(図3及び図4参照)。この電池モジュール1は、複数の電池200をケース厚み方向CHに平行な積み重ね方向(モジュール長手方向)GHに積層した電池集合体10と、この電池集合体10を積み重ね方向GHの内側GH1に向けて圧縮して拘束した拘束具30とを備える。また積み重ね方向GHに隣り合う電池200の正極端子240の外部正極端子部241と負極端子250の内部負極端子部252とは、それぞれバスバ(導電接続部材)20を介して電気的に接続されており、電池集合体10を構成する各電池200が直列に接続されている。また1つ置きに積み重ね方向GHに隣り合う電池200同士の間隙には、それぞれ冷却部材40が配置されている。
【0024】
電池集合体10を構成する各電池200は、いずれも、ケース高さ方向AHが電池モジュール1のモジュール高さ方向EHと一致し、ケース幅方向BHが電池モジュール1のモジュール短手方向FHと一致し、かつ、ケース厚み方向CHが電池モジュール1の積み重ね方向(モジュール長手方向)GHと一致する姿勢で、ケース厚み方向CHに積み重ねられている。また各電池200は、隣り合う電池200同士においてケース長側部213同士またはケース長側部214同士が対向する(重なる)ように、各電池200の向きを交互に変えて積み重ねられている。また各電池200は、各電池200のケース上部211が面一に、各電池200のケース底部212が面一になるように積み重ねられている。
【0025】
また各電池200は、ケース幅方向BHにジグザグに配置されている。本実施形態1では、隣り合う電池200のケース幅方向BHの位置ズレ量Lを、ケース210の幅寸法Waの5分の1(L=Wa/5)としている。これにより、隣り合う電池200同士は、ケース幅方向BHの位置ズレによって、電極体230の電極積層部230cの一部同士でのみ、積み重ね方向GHに重なり合う配置となっている。具体的には、電極積層部230cのケース幅方向BHの幅寸法をWb(但し、Wb>L)とすると、隣り合う電池200の位置ズレ(位置ズレ量L)によって、隣り合う電池200の電極積層部230cが、幅Wc=Wb-Lに亘って積み重ね方向GHに重なり合っている。
また各電池200のケース幅方向BHの位置ズレ量L=Wa/5は、前述した外部負極端子部251の距離D1と同じであるため(L=Wa/5=D1)、電池集合体10において、隣り合う電池200の正極端子240の外部正極端子部241と負極端子250の外部負極端子部251が積み重ね方向GHに並んでいる。
【0026】
バスバ20は、積み重ね方向GHに延びる矩形板状であり、隣り合う電池200の、積み重ね方向GHに並んだ外部正極端子部241と外部負極端子部251とをそれぞれ接続している。本実施形態1では、バスバ20と外部正極端子部241及び外部負極端子部251とは、それぞれ溶接により接合されている。
【0027】
拘束具30は、金属(本実施形態1ではアルミニウム)からなる矩形板状の一対のエンドプレート31と、これらのエンドプレート31の間に架け渡されてエンドプレート31同士の間をそれぞれ連結する複数の拘束バンド32とを有する。一対のエンドプレート31は、電池集合体10の積み重ね方向GHの外側GH2にそれぞれ配置されており、電池集合体10を積み重ね方向GHの内側GH1に挟持する。拘束バンド32は、金属(本実施形態1ではアルミニウム)からなる帯状である。拘束バンド32は、積み重ね方向GHに伸ばされた状態で、拘束バンド32の両端部32aがそれぞれボルト33によりエンドプレート31に固定されている。これにより、電池集合体10を構成する各電池200は、それぞれ積み重ね方向GH(ケース厚み方向CH及び電極板積層方向DHと同じ)に圧縮され、各電池200の電極体230の電極積層部230cは、電極板積層方向DHに圧縮されている。
【0028】
冷却部材40は、金属(本実施形態1ではアルミニウム)からなる直方体状である。この冷却部材40には、冷却部材40をモジュール高さ方向EHに貫通する流通路40kが設けられている。この流通路40kに冷却媒体(不図示)を流通させることにより、冷却部材40に接する各電池200を冷却することができる。
【0029】
本実施形態1の電池モジュール1では、複数の電池200をケース幅方向BHにジグザグに配置しつつケース厚み方向CH(積み重ね方向GH)に積み重ねている。このため、充電の際に電池集合体10が積み重ね方向GHに延びようとする力が、電池200を真っ直ぐに積み重ね方向GHに積み重ねた場合よりも小さくなるため、拘束具30及びバスバ20に掛かる、積み重ね方向GHの外側GH2に引っ張る引張力が小さくなる。かくして、拘束具30、バスバ20、電池200の外部正極端子部241及び外部負極端子部251を簡素化することができる。
【0030】
加えて電池モジュール1では、隣り合う電池200の外部正極端子部241及び外部負極端子部251が積み重ね方向GHに並んでおり、各バスバ20が積み重ね方向GHに延びて、積み重ね方向GHに並んだ隣り合う電池200の外部正極端子部241及び外部負極端子部251をそれぞれ接続している。このため、バスバ20が積み重ね方向GHに対して斜めに延びている場合よりも、各バスバ20の長さを短くでき、電池モジュール1を軽量化することができる。
【0031】
次いで、電池200及び電池モジュール1の製造方法について説明する。まず電池200を製造する。即ち、正極板231、負極板232及びセパレータ233を積層して電極体230を形成する。次にケース蓋部材222に正極端子240及び負極端子250を固設し、更に正極端子240及び負極端子250を、電極体230の正極タブ230a及び負極タブ230bにそれぞれ溶接して接続する。次にこの電極体230を袋状の絶縁ホルダ235で包んで、これらを別途用意したケース本体部材221内に挿入し、ケース本体部材221の開口221cをケース蓋部材222で塞ぐ。その後、ケース本体部材221とケース蓋部材222とを、ケース蓋部材222の全周に亘って溶接してケース210を形成する。次に電解液205を注液孔(不図示)を通じてケース210内に注液し、注液孔を封止部材(不図示)で封止する。その後、この電池200に初充電や各種検査等を行う。かくして、電池200が製造される。
【0032】
次に複数の電池200をケース厚み方向CH(積み重ね方向GH)に積み重ねると共に、1つ置きに積み重ね方向GHに隣り合う電池200同士の間隙に、それぞれ冷却部材40を配置して、電池集合体10を形成する。その際、各電池200のケース高さ方向AHの上側AH1をいずれも同方向とし、各電池200のケース上部211が面一に、ケース底部212が面一となるように、各電池200を積み重ねる。また隣り合う電池200において、ケース長側部213同士またはケース長側部214同士が対向するように、各電池200の向きを交互に変える。また各電池200をケース幅方向BHにジグザグに配置する。隣り合う電池200のケース幅方向BHの位置ズレ量Lを、ケース210の幅寸法Waの5分の1(L=Wa/5)として、隣り合う電池200の外部正極端子部241と外部負極端子部251を積み重ね方向GHに並べる。
【0033】
次にこの電池集合体10を拘束具30で拘束する。即ち、電池集合体10の積み重ね方向GHの両外側に一対のエンドプレート31を配置し、図示しない圧縮装置を用いて電池集合体10及びエンドプレート31を積み重ね方向GHに圧縮する。この状態で、一対のエンドプレート31の間に複数の拘束バンド32を架け渡し、拘束バンド32の両端部32aをエンドプレート31にボルト33で固定する。その後、圧縮装置による圧縮を解除する。次に隣り合う電池200の外部正極端子部241と外部負極端子部251とにそれぞれバスバ20を溶接する。かくして、電池モジュール1が完成する。
【0034】
(実施形態2)
次いで、第2の実施形態について説明する(図5図7参照)。なお、実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。実施形態1の電池モジュール1では、電池モジュール1を1種類の電池200を積み重ねて形成し、これらの電池200を直列に接続していた。これに対し、本実施形態2の電池モジュール(蓄電モジュール)100では、電池モジュール100を、電極端子の形態が異なる2種類の電池200,300を交互に積み重ねて形成し、これらの電池200,300を並列に接続している。
【0035】
本実施形態2の電池モジュール100に含まれる電池200,300のうち、電池200は、実施形態1に係る電池200と同じである。一方、電池300(図5参照)は、正極端子(電極端子)340の外部正極端子部(外部電極端子部)341及び負極端子(電極端子)350の外部負極端子部(外部電極端子部)351の形成位置が、電池200と異なる。
【0036】
具体的には、電池300の外部負極端子部351は、ケース上部211のうち、ケース幅方向BHの他方側BH2の端部211b近傍に設けられている。
一方、電池300の外部正極端子部341は、ケース上部211のうち、ケース幅方向BHの一方側BH1の端部211aから離れた位置に、外部負極端子部351とは非対称に設けられている。具体的には、ケース210のケース幅方向BHの一方側BH1の端から、外部正極端子部341のケース幅方向BHの中心までの距離DP2は、ケース210のケース幅方向BHの他方側BH2の端から、外部負極端子部351のケース幅方向BHの中心までの距離DN2に、距離D2を加えた大きさである(DP2=DN2+D2)。なお、距離DN2は、電池200における距離DP1と同じ大きさ(DN2=DP1)である。また距離D2は、電池200における距離D1と同じ大きさ(D2=D1)であるため、距離DP2(=DN2+D2)は、電池200における距離DN1(=DP1+D1)と同じ大きさ(DP2=DN1)である。
また安全弁325は、ケース上部211のうち、外部正極端子部341と外部負極端子部351とのケース幅方向BHの中間部位に設けられている。
【0037】
本実施形態2の電池モジュール100(図6及び図7参照)は、複数の電池200と複数の電池300とを交互にケース厚み方向CH(積み重ね方向GH)に積み重ねて、電池集合体110を形成している。具体的には、電池集合体110を構成する各電池200,300は、いずれも、ケース高さ方向AHが電池モジュール100のモジュール高さ方向EHと一致し、ケース幅方向BHが電池モジュール100のモジュール短手方向FHと一致し、かつ、ケース厚み方向CHが電池モジュール100の積み重ね方向(モジュール長手方向)GHと一致する姿勢で、ケース厚み方向CHに積み重ねられている。また各電池200,300は、隣り合う電池200と電池300において、ケース長側部213とケース長側部214が対向する(重なる)ように積み重ねられている。また各電池200,300は、各電池200,300のケース上部211が面一に、各電池200,300のケース底部212が面一になるように積み重ねられている。
【0038】
また各電池200,300は、ケース幅方向BHにジグザグに配置されている。本実施形態2でも、隣り合う電池200,300のケース幅方向BHの位置ズレ量Lを、ケース210の幅寸法Waの5分の1(L=Wa/5)としている。これにより、隣り合う電池200,300同士は、実施形態1と同様に電極体230の電極積層部230cの一部同士でのみ、積み重ね方向GHに重なり合う配置となっている。
また各電池200,300のケース幅方向BHの位置ズレ量L=Wa/5は、電池200の外部負極端子部251の距離D1及び電池300の外部正極端子部341の距離D2と同じ大きさであるため(L=Wa/5=D1=D2)、電池集合体110において、隣り合う電池200,300の外部正極端子部241,341同士と外部負極端子部251,351同士が、それぞれ積み重ね方向GHに並んでいる。
【0039】
また本実施形態2の電池モジュール100は、積み重ね方向GHに帯状に延びる2つのバスバ120を有している。一方のバスバ120は、積み重ね方向GHに一列に並んだ外部正極端子部241,341を接続し、他方のバスバ120は、積み重ね方向GHに一列に並んだ外部負極端子部251,351を接続している。
【0040】
本実施形態2の電池モジュール100でも、複数の電池200,300をケース幅方向BHにジグザグに配置しつつケース厚み方向CH(積み重ね方向GH)に積み重ねている。このため、充電の際に拘束具30及びバスバ120に掛かる、積み重ね方向GHの外側GH2に引っ張る引張力が小さくなるので、拘束具30、バスバ120、外部正極端子部241,341及び外部負極端子部251,351を簡素化することができる。
加えて、隣り合う電池200,300の外部正極端子部241,341同士及び外部負極端子部251,351同士がそれぞれ積み重ね方向GHに並んでおり、バスバ120が積み重ね方向GHに延びて、外部正極端子部241,341同士及び外部負極端子部251,351同士をそれぞれ接続している。このため、バスバ120の長さを短くでき、電池モジュール100を軽量化することができる。その他、実施形態1と同様な部分は、実施形態1と同様な作用効果を奏する。
【0041】
以上において、本発明を実施形態1,2に即して説明したが、本発明は実施形態1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1,100 電池モジュール(蓄電モジュール)
20,120 バスバ(導電接続部材)
30 拘束具
200,300 電池(蓄電デバイス)
210 ケース
211 ケース上部(ケースのうちケース高さ方向の一方側の部位)
230 電極体
230c 電極積層部
231 正極板(電極板)
232 負極板(電極板)
240,340 正極端子(電極端子)
241,341 外部正極端子部(外部電極端子部)
250,350 負極端子(電極端子)
251,351 外部負極端子部(外部電極端子部)
AH ケース高さ方向
AH1 上側(一方側)
BH ケース幅方向
CH ケース厚み方向
DH 電極板積層方向
GH モジュール長手方向(電池の積み重ね方向)
GH1 (積み重ね方向の)内側
GH2 (積み重ね方向の)外側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7