(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175401
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】表示システムおよび眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20241211BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20241211BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20241211BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20241211BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241211BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20241211BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G02F1/1335 510
G02F1/1334
G02F1/1347
G02F1/13363
G02F1/13 505
G02F1/13357
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093170
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健太郎
【テーマコード(参考)】
2H088
2H149
2H189
2H291
2H391
【Fターム(参考)】
2H088EA22
2H088EA35
2H088GA10
2H088HA08
2H088HA15
2H088HA18
2H088HA28
2H088JA05
2H088JA06
2H088MA20
2H149AA02
2H149BA02
2H149DA05
2H149DA12
2H149EA02
2H189AA04
2H189AA21
2H189AA22
2H189AA27
2H189AA32
2H189AA35
2H189HA16
2H189JA05
2H189JA06
2H189LA10
2H189LA16
2H189LA17
2H189LA20
2H189MA15
2H189NA09
2H291FA22X
2H291FA30X
2H291FA71Y
2H291FA85Y
2H291FA95X
2H291FD04
2H291FD12
2H291GA19
2H291GA23
2H291HA06
2H291HA07
2H291JA02
2H291LA21
2H291LA40
2H291MA20
2H291NA62
2H291NA64
2H291PA42
2H391AA25
2H391AB05
2H391CB03
2H391EA13
2H391EA16
2H391EA26
2H391EB02
2H391FA01
2H391FA02
(57)【要約】
【課題】 利便性を向上させることが可能な表示システムを提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る表示システムは、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、前記第1面の側および前記第2面の側からそれぞれ視認可能である第1表示領域を有する第1表示パネルと、前記第1表示領域の一部に重なる光学素子と、を備え、前記光学素子は、直線偏光を吸収する偏光素子、および透過する直線偏光に対して1/2波長の位相差を付与する位相差素子の少なくとも一方を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、前記第1面の側および前記第2面の側からそれぞれ視認可能である第1表示領域を有する第1表示パネルと、
前記第1表示領域の一部に重なる光学素子と、を備え、
前記光学素子は、直線偏光を吸収する偏光素子、および透過する直線偏光に対して1/2波長の位相差を付与する位相差素子の少なくとも一方を含む、
表示システム。
【請求項2】
前記光学素子は、前記第1面と前記偏光素子との間に設けられた前記位相差素子を含む、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記第1表示パネルの第1端部に光を照射する第1光源ユニットをさらに備え、
前記第1表示パネルは、第1液晶層をさらに有し、
前記第1液晶層は、筋状のポリマーと、液晶分子と、を含み、
前記第1端部は、前記第1液晶層の前記ポリマーの第1延出方向に沿って延びる、
請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記第1面に向かい合う第3面と、前記第3面の反対側の第4面と、を有し、前記第3面の側および前記第4面の側からそれぞれ視認可能である第2表示領域を有する第2表示パネルをさらに備え、
前記光学素子は、前記第1表示パネルと前記第2表示パネルとの間に設けられるとともに、前記第1表示領域および前記第2表示領域の一部に重なり、
前記光学素子は、前記偏光素子を含む、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項5】
前記光学素子は、前記位相差素子をさらに含む、
請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記第1表示パネルの第1端部に光を照射する第1光源ユニットと、前記第2表示パネルの第2端部に光を照射する第2光源ユニットと、をさらに備え、
前記第1表示パネルは、第1液晶層をさらに有し、
前記第2表示パネルは、第2液晶層をさらに有し、
前記第1液晶層および前記第2液晶層は、筋状のポリマーと、液晶分子と、をそれぞれ含み、
前記第1端部は、前記第1液晶層の前記ポリマーの第1延出方向に沿って延び、
前記第2端部は、前記第2液晶層の前記ポリマーの第2延出方向に沿って延び、
前記第1延出方向は、前記第2延出方向と直交する、
請求項4または5に記載の表示システム。
【請求項7】
前記第1表示パネルの第1端部に光を照射する第1光源ユニットと、前記第2表示パネルの第2端部に光を照射する第2光源ユニットと、をさらに備え、
前記第1表示パネルは、第1液晶層をさらに有し、
前記第2表示パネルは、第2液晶層をさらに有し、
前記第1液晶層および前記第2液晶層は、筋状のポリマーと、液晶分子と、をそれぞれ含み、
前記第1端部は、前記第1液晶層の前記ポリマーの第1延出方向に沿って延び、
前記第2端部は、前記第2液晶層の前記ポリマーの第2延出方向に沿って延び、
前記第1延出方向は、前記第2延出方向に平行である、
請求項4または5に記載の表示システム。
【請求項8】
前記位相差素子は、透過する直線偏光に位相差を付与する変調モードと、透過する直線偏光の振動面を維持する無変調モードと、を切り替え可能に構成されている、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項9】
前記偏光素子は、直線偏光を吸収する吸収モードと、前記直線偏光を透過する透過モードと、を切り替え可能に構成されている、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項10】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、前記第1面の側および前記第2面の側から視認可能である第1表示領域を有する表示パネルと、
透過する直線偏光に対して1/2波長の位相差を付与する位相差素子と、前記位相差が付与された直線偏光を吸収する偏光素子と、を有する眼鏡と、を備える、
表示システム。
【請求項11】
前記位相差素子は、透過する直線偏光に位相差を付与する変調モードと、透過する直線偏光の振動面を維持する無変調モードと、を切り替え可能に構成されている、
請求項10に記載の表示システム。
【請求項12】
前記変調モードと前記無変調モードとを切り替えるためのリモコンをさらに備える、
請求項11に記載の表示システム。
【請求項13】
透過する直線偏光に対して1/2波長の位相差を付与する位相差素子と、
前記位相差素子を透過し、位相差が付与された直線偏光を吸収する偏光素子と、を有する、
眼鏡。
【請求項14】
前記位相差素子は、透過する直線偏光に位相差を付与する変調モードと、透過する直線偏光の振動面を維持する無変調モードと、を切り替え可能に構成されている、
請求項13に記載の眼鏡。
【請求項15】
制御信号に基づいて、前記変調モードと前記無変調モードとを切り替える制御部をさらに備える、
請求項14に記載の眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示システムおよび眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高分子分散液晶層(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)を有する表示パネル、光源などを備えた表示装置が提案されている。高分子分散液晶層は、光を散乱する散乱状態と、光を透過する透明状態とを切り替えることが可能である。表示装置は、散乱状態において、画像を表示することが可能となる。表示パネルを透明状態に切り替えると、ユーザは、表示パネルを透かして背景を視認することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような表示装置であれば、ユーザは、表示パネルを挟んで、表示された画像を両側から視認することができる。表示される画像によっては、一方のユーザにのみ当該画像を見せたい場合もあり、この点においては利便性が低い。
【0005】
そこで、本実施形態の目的は、利便性を向上させることが可能な表示システムおよび眼鏡を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示システムは、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、前記第1面の側および前記第2面の側からそれぞれ視認可能である第1表示領域を有する第1表示パネルと、前記第1表示領域の一部に重なる光学素子と、を備え、前記光学素子は、直線偏光を吸収する偏光素子、および透過する直線偏光に対して1/2波長の位相差を付与する位相差素子の少なくとも一方を含む。
【0007】
一実施形態に係る表示システムは、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、前記第1面の側および前記第2面の側から視認可能である第1表示領域を有する表示パネルと、透過する直線偏光に対して1/2波長の位相差を付与する位相差素子と、前記位相差が付与された直線偏光を吸収する偏光素子と、を有する眼鏡と、を備える。
【0008】
一実施形態に係る眼鏡は、透過する直線偏光に対して1/2波長の位相差を付与する位相差素子と、前記位相差素子を透過し、位相差が付与された直線偏光を吸収する偏光素子と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された表示パネルの構成例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された表示パネルの概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示された表示パネルを示す拡大断面図である。
【
図5】
図5は、光源ユニットが放つ光の経路の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、光源ユニットが放つ光の経路の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る表示システムの概略的な側面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る表示システムについて説明するための図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図11】
図11は、位相差素子の構成例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る表示システムについて説明するための図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係る表示システムについて説明するための図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図15】
図15は、偏光素子の構成例を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第4実施形態に係る表示システムについて説明するための図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態に係る表示システムについて説明するための図である。
【
図18】
図18は、第5実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図20】
図20は、第6実施形態に係る表示システムが備える眼鏡の構成例を示す図である。
【
図21】
図21は、第7実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図22】
図22は、第7実施形態に係る表示システムの概略的な側面図である。
【
図23】
図23は、第7実施形態に係る表示システムについて説明するための図である。
【
図24】
図24は、第8実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図25】
図25は、第9実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図26】
図26は、第9実施形態に係る表示システムの概略的な側面図である。
【
図27】
図27は、第9実施形態に係る表示システムについて説明するための図である。
【
図28】
図28は、第10実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図29】
図29は、第11実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図30】
図30は、第12実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【
図31】
図31は、第12実施形態に係る表示システムについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態について図面を参照しながら説明する。開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと呼び、Y軸に沿った方向を第2方向Yと呼び、Z軸に沿った方向を第3方向Zと呼ぶ。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視と呼ぶ。
【0012】
本実施形態においては、表示装置の一例として、高分子分散型液晶を適用した透光性の高い液晶表示装置(いわゆる透明ディスプレイ)を備える表示システムを開示する。ただし、本実施形態にて開示する構成は、他種の表示装置にも適用可能である。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る表示システム100の構成を示す図である。
図2は、
図1に示された表示パネルPNL1の構成例を示す平面図である。
図3は、
図2に示された表示パネルPNL1の概略的な断面図である。
図4は、
図3に示された表示パネルPNL1を示す拡大断面図である。
【0014】
図3および
図4においては、表示パネルPNL1の構造を模式的に示している。ここでは、第2方向Yおよび第3方向Zによって規定されるY-Z平面に平行な表示パネルPNL1の断面において、主要部のみを説明する。
【0015】
表示システム100は、表示装置DSPを備えている。表示装置DSPは、表示パネルPNL1(第1表示パネル)と、光源ユニットLU1(第1光源ユニット)と、光学素子OEと、コントローラCNTと、を備えている。
【0016】
図1に示す例においては、表示システム100は、ユーザU1とユーザU2との間に位置している。一例では、ユーザU1が第3方向Zの反対の方向に表示パネルPNL1を観察し、ユーザU2が第3方向Zに表示パネルPNL1を観察している。
【0017】
表示パネルPNL1は、第1方向Xおよび第2方向Yによって規定されるX-Y平面に平行な平板状に形成されている。表示パネルPNL1は、
図2に示すように、第3方向Zに重ねられたアレイ基板AR1および対向基板CT1を備えている。
【0018】
対向基板CT1は、アレイ基板AR1に向かい合う。アレイ基板AR1および対向基板CT1の平面視における形状は、
図2に示す例において、いずれも第1方向Xに長尺な矩形状である。ただし、アレイ基板AR1および対向基板CT1の形状は、この例に限られない。
【0019】
アレイ基板AR1の第2方向Yにおける幅は、対向基板CT1の第2方向Yにおける幅よりも大きい。これにより、アレイ基板AR1は、対向基板CT1に重ならない実装領域MAを有している。実装領域MAには、図示されていないが、フレキシブル回路基板や集積回路が実装される。
【0020】
表示パネルPNL1は、
図2に示すように、画像を表示する表示領域DA1(第1表示領域)と、表示領域DA1を囲む額縁状の周辺領域SA1と、を有している。表示領域DA1および周辺領域SA1は、いずれもアレイ基板AR1と対向基板CT1とが重なる部分に形成されている。表示領域DA1は、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。
【0021】
表示パネルPNL1は、アレイ基板AR1と対向基板CT1の間に封止された液晶層LC1(第1液晶層)をさらに有している。
図2の下方に拡大して模式的に示すように、液晶層LC1は、ポリマー31と、液晶分子32とを含む高分子分散型液晶によって構成されている。
【0022】
一例では、ポリマー31は液晶性ポリマーである。ポリマー31は、第1方向Xに沿って延びる筋状に形成され、第2方向Yに並んでいる。ポリマー31の延出方向(第1延出方向)は、第1方向Xに平行である。
図1においては、ポリマーの延出方向を延出方向D1として示す。液晶分子32は、ポリマー31の隙間に分散され、その長軸が第1方向Xに沿うように配向される。
【0023】
ポリマー31および液晶分子32の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。一例では、ポリマー31の配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子32の配向方向は、液晶層LC1に印加される電圧に応じて変化する。
【0024】
液晶層LC1に電圧が印加されていない状態においては、ポリマー31および液晶分子32のそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LC1に入射する光が液晶層LC1内でほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。
【0025】
液晶層LC1に電圧が印加された状態においては、ポリマー31および液晶分子32のそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶層LC1に入射する光が液晶層LC1内で散乱される(散乱状態)。
【0026】
表示パネルPNL1は、液晶層LC1において光源ユニットLU1からの出射光を透過する透明状態と、液晶層LC1において光源ユニットLU1からの出射光を散乱する散乱状態と、を切り替え可能に構成されている。
【0027】
図2の上方に拡大して示すように、表示領域DA1には、複数の走査線Gと、複数の信号線Sとが配置されている。複数の走査線Gは、第1方向Xに延びるとともに、第2方向Yに並んでいる。複数の信号線Sは、第2方向Yに延びるとともに、第1方向Xに並んでいる。
【0028】
各画素PXは、スイッチング素子SWと、画素電極PEと、共通電極CEと、容量CSと、を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線Gおよび信号線Sと電気的に接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。
【0029】
液晶層LC1(特に、液晶分子32)は、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって駆動される。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極と、画素電極PEと同電位の電極との間に形成される。
【0030】
アレイ基板AR1と対向基板CT1は、
図3に示すように、シール材SEによって貼り合わされている。シール材SEは、平面視において表示領域DA1を囲う形状を有している。液晶層LC1は、シール材SEで囲われた空間に封止されている。
【0031】
アレイ基板AR1は、
図3に示すように、主面F1(第1面)と、主面F1の反対側の主面F2と、主面F1,F2を繋ぐ側面E11,E12とを有している。対向基板CT1は、液晶層LC1を介して主面F2に向かい合う主面F3と、主面F3の反対側の主面F4(第2面)と、主面F3,F4を繋ぐ側面E21,E22とを有している。主面F1~F4は、例えばX-Y平面に平行な面である。
【0032】
表示パネルPNL1において、主面F4は、主面F1の反対側の面に相当する。
図1に示す例においては、主面F1はユーザU1に向かい合う面に相当し、主面F4はユーザU2に向かい合う面に相当する。表示領域DA1は、主面F1の側および主面F4の側からそれぞれ視認可能である。
【0033】
側面E11,E12,E21,E22は、第1方向Xに延びている。アレイ基板AR1において、側面E11および側面E12は、この順で第2方向Yに並んでいる。対向基板CT1において、側面E21および側面E22は、この順で第2方向Yに並んでいる。側面E21は、表示パネルPNL1の端部ED1(第1端部)を構成している。側面E21は、ポリマー31の延出方向D1に沿って延びている。
【0034】
アレイ基板AR1は、
図4に示すように、透明基板10と、画素電極PEと、配向膜14と、を備えている。対向基板CT1は、
図4に示すように、透明基板20と、共通電極CEと、配向膜22と、を備えている。透明基板10においては、液晶層LC1の反対側の面が主面F1に相当する。透明基板20においては、液晶層LC1の反対側の面が主面F4に相当する。
【0035】
透明基板10,20は、ガラス基板、プラスチック基板などの絶縁基板である。画素電極PEおよび共通電極CEは、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成されている。
【0036】
画素電極PEは、画素PX毎に配置されている。共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置されている。配向膜14,22は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜であってもよいし、第3方向Zに略平行な配向規制力を有する垂直配向膜であってもよい。
【0037】
液晶層LC1は、配向膜14と配向膜22との間に位置している。一例では、配向膜14,22の配向処理方向は第1方向Xに平行であり、配向膜14,22は第1方向Xに沿った配向規制力を有している。
【0038】
図1に示したポリマー31は、例えば、液晶性モノマーが配向膜14および22の配向規制力によって第1方向Xに配向した状態で重合されることにより、第1方向Xに沿って延びた筋状に形成される。液晶層LC1は、画素電極PEと共通電極CEとの間に位置している。
【0039】
光源ユニットLU1は、
図2に示すように、実装領域MAに沿って配置されている。光源ユニットLU1は、
図1に示すように、表示パネルPNL1の端部ED1に向かい合っている。具体的には、光源ユニットLU1は、側面E21に向かい合っている。光源ユニットLU1は、端部ED1に光を照射する。
【0040】
光源ユニットLU1との観点において、側面E11,E21は光源ユニットLU1の側(入光側)に相当し、側面E12,E22は光源ユニットLU1の反対側(反入光側)に相当する。
【0041】
光源ユニットLU1は、
図2に示す例において、第1方向Xに並ぶ複数の光源LS1を備えている。例えば、複数の光源LS1は、赤色の光を放つ発光素子と、緑色の光を放つ発光素子と、青色の光を放つ発光素子とを含む。これらの発光素子は、第1方向Xに並んでいてもよいし、第3方向Zに積層されていてもよい。発光素子としては、LED(Light Emitting Diode)を用いることができる。
【0042】
コントローラCNTは、表示パネルPNL1および光源ユニットLU1をそれぞれ制御する。コントローラCNTは、例えば第1映像信号を含む第1制御信号を表示パネルPNL1に供給する。
【0043】
コントローラCNTは、第1制御信号を表示パネルPNL1に供給するのに同期して、第1光源制御信号を光源ユニットLU1に供給する。これにより、表示パネルPNL1には、第1映像信号に基づいた表示画像が表示される。ここで、表示画像とは、例えば、文字、写真、イラスト、動画などである。
【0044】
続いて、光源LS1が放つ光Lの経路の例について説明する。
図5および
図6は、光源ユニットLU1が放つ光Lの経路の一例を説明するための図である。
図5においては、透明状態を示し、
図6においては散乱状態を示している。
【0045】
光源LS1から放たれた光Lは、第2方向Yに向かって進行する。光源LS1は、表示パネルPNL1の端部ED1に光を照射する。光源LS1から放たれた光Lは、側面E21に入射する。この光Lは、主面F4と主面F1との間で全反射を繰り返しながら反入光側に向かう。
【0046】
図5に示すように、透明状態の画素PX(画素電極PE)の近傍においては、光Lが液晶層LC1でほとんど散乱されない。そのため、光Lは主面F1,F4の外にほとんど漏れ出すことはない。
【0047】
なお、透明状態の画素PXの近傍において、主面F1,F4に入射する外光は、ほとんど散乱されることなく液晶層LC1を透過する。すなわち、主面F1の側から表示パネルPNL1を見た場合には主面F4の側の背景が視認可能であり、主面F4の側から表示パネルPNL1を見た場合には主面F1の側の背景が視認可能である。
【0048】
図6に示すように、散乱状態の画素PX(画素電極PE)の近傍においては、光Lが液晶層LC1で散乱される。散乱された光は、主面F1,F4から出射し、表示画像としてユーザU1,U2に視認される。
【0049】
言い換えると、表示パネルPNL1は、散乱状態では、光源ユニットLU1から照射された光を散乱し、主面F1および主面F4から表示光DL1として出射する。表示光DL1は、第1方向Xに平行な振動面を有する直線偏光である。本明細書において、第1方向Xに平行な振動面を有する直線偏光を第1直線偏光と称し、第2方向Yに平行な振動面を有する直線偏光を第2直線偏光と称する場合がある。
【0050】
画素電極PEに印加する電圧を所定範囲で段階的に規定することにより、散乱度(輝度)の階調表現を実現することも可能である。例えば、表示装置DSPによる画像を表示する方式としては、複数の光源のうち赤色の発光素子を点灯させて赤色の画像を表示する第1サブフレーム、緑色の発光素子を点灯させて緑色の画像を表示する第2サブフレーム、青色の発光素子を点灯させて青色の画像を表示する第3サブフレームを繰り返すフィールドシーケンシャル方式を用い得る。
【0051】
光学素子OEは、偏光素子、および位相差素子の少なくとも一方を含んでいる。本実施形態において、光学素子OEは、
図1に示すように、位相差素子41と、偏光素子51と、を含んでいる。
【0052】
位相差素子41および偏光素子51は、
図1に示す例において、X-Y平面に平行な平板状に形成されている。位相差素子41の大きさは、平面視において、例えば偏光素子51の大きさと実質的に等しい。ここで実質的に等しいとは、許容される製造上の誤差を含む。
【0053】
位相差素子41は、透過する光(直線偏光)に位相差を付与する。具体的には、位相差素子41は、透過する光(直線偏光)に対して約1/2波長の位相差を付与する。本実施形態において、位相差素子41は、例えばλ/2板である。λは、一波長の長さに相当する。
【0054】
偏光素子51は、直線偏光を吸収する。偏光素子51は、吸収軸AAを有している。吸収軸AAとは、偏光素子51で吸収される光のX-Y平面内の振動方向を示すものである。吸収軸AAは、
図1に示す例において、第2方向Yに平行である。これにより、偏光素子51は、第2直線偏光を吸収する。吸収軸AAは、ポリマー31の延出方向D1に直交している。
【0055】
偏光素子51は、図示されていないが、X-Y平面において、吸収軸AAと直交する透過軸を有している。透過軸とは、偏光素子51を透過する光のX-Y平面内の振動方向を示すものである。本実施形態において、偏光素子51は、例えば偏光フィルムである。
【0056】
図7は、本実施形態に係る表示システム100の概略的な側面図である。
図7においては、表示システム100を第3方向Zの反対の方向に見ている。
【0057】
光学素子OEは、
図7に示す例において、アレイ基板AR1の側に設けられている。表示パネルPNL1、位相差素子41および偏光素子51は、この順で第3方向Zに並んで設けられている。言い換えると、位相差素子41は、表示パネルPNL1の主面F1と偏光素子51との間に設けられている。
【0058】
図7に示す例において、位相差素子41は、アレイ基板AR1の主面F1と、偏光素子51と、に接している。例えば、位相差素子41は主面F1に接着され、偏光素子51は位相差素子41に接着されている。ここでは光学素子OEが表示パネルPNL1に接着される構造を示すが、光学素子OEと表示パネルPNL1とは、例えば後述の
図8に示すように、互いに離間するように設けられる構造であってもよい。光学素子OEと表示パネルPNL1とが互いに離間する場合、光学素子OEと表示パネルPNL1との間には、空気層が設けられる。さらに、位相差素子41と偏光素子51とは、互いに離間するよう設けられる構造であってもよい。この場合、位相差素子41と偏光素子51との間には、空気層が設けられる。
【0059】
続いて、光学素子OEと表示領域DA1との関係について、説明する。
光学素子OEは、第3方向Zにおいて、表示領域DA1の一部に重なっている。言い換えると、光学素子OEは、表示領域DA1の全体とは重なっていない。
【0060】
表示領域DA1は、第1領域A11と、第2領域A12と、を有している。第1領域A11は表示領域DA1のうち光学素子OEに重なる領域に相当し、第2領域A12は表示領域DA1のうち光学素子OEに重ならない領域に相当する。
図1においては、表示領域DA1のうち、第1領域A11に斜線を付して示している。
【0061】
第1領域A11の大きさは、表示領域DA1の大きさよりも小さい。言い換えると、第1領域A11の大きさは、第2領域A12の大きさよりも小さい。第1領域A11の大きさは、例えば表示領域DA1の大きさの半分以下である。表示領域DA1における第1領域A11の位置および大きさは、光学素子OEの位置および大きさによって、適宜設定することができる。
【0062】
図8は、本実施形態に係る表示システム100について説明するための図である。
【0063】
主面F1から出射される表示光DL1が位相差素子41を透過すると、表示光DL1の振動面は90度回転する。表示パネルPNL1から出射される表示光DL1は、第1直線偏光である。
【0064】
第1直線偏光は、位相差素子41を透過すると、第2直線偏光に変換される。偏光素子51は、第2方向Yに平行な吸収軸AAを有している。そのため、主面F1から出射される表示光DL1のうち、位相差素子41を透過する光のほとんどは、偏光素子51で吸収される。
【0065】
主面F1の側から表示パネルPNL1を見るユーザU1のうち、第1領域A11を見るユーザU11および第2領域A12を見るユーザU12を想定し、主面F4の側から表示パネルPNL1を見るユーザU2のうち、第1領域A11を見るユーザU21および第2領域A12を見るユーザU22を想定する。
【0066】
第3方向Zにおいて、ユーザU11と表示パネルPNL1との間には光学素子OEが位置し、ユーザU12と表示パネルPNL1との間には光学素子OEが位置していない。
【0067】
そのため、第1領域A11からの表示光DL1はユーザU11によってほとんど視認されないが、第2領域A12からの表示光DL1はユーザU12によって視認される。すなわち、ユーザU11は第1領域A11の表示画像をほとんど視認できないが、ユーザU12は第2領域A12の表示画像を視認できる。これに対し、主面F4の側から表示領域DA1を見るユーザU21,U22は、第1領域A11および第2領域A12の表示画像を視認できる。
【0068】
これにより、第1領域A11に画像を表示することによって、主面F4の側に位置するユーザU2には表示画像を視認させ、主面F1の側に位置するユーザU1には表示画像を視認させないようにすることができる。これにより、表示システム100の利便性を向上させることができる。第1領域A11の位置および大きさによって、ユーザU11が視認できる表示画像の位置および大きさを適宜設定することができる。
【0069】
ここで、透過状態である表示パネルPNL1を自然光が第3方向Zに透過する場合を想定する。
【0070】
表示パネルPNL1を透過する自然光NLのうち、第1領域A11を透過する自然光NLは、偏光素子51において、吸収軸AAに平行な振動成分が吸収される。第1領域A11を透過する自然光NLは、偏光素子51の透過率が約50%である。
【0071】
これに対し、第2領域A12を透過する自然光NLは、表示パネルPNL1によってほとんど吸収されない。自然光NLが第3方向Zの反対の方向に表示パネルPNL1を透過する場合も同様である。
【0072】
これにより、第2領域A12においては、第1領域A11と比較して、高い透明度(透過率)を確保することができる。そのため、第2領域A12においては、第1領域A11と比較して、主面F1,F4のそれぞれの側からユーザU1,U2および背景を視認しやすい。これにより、表示システム100を挟んで向かい合うユーザU1,U2がコミュニケーションを取りやすくなる。
【0073】
以上のように構成された表示システム100であれば、利便性を向上させることができる。
【0074】
なお、本実施形態において、光学素子OEがアレイ基板AR1の側に設けられる例を開示するが、光学素子OEは対向基板CT1の側に設けられてもよい。この場合、位相差素子41は、対向基板CT1の主面F4の側に設けられる。
【0075】
光学素子OEは、アレイ基板AR1の側と対向基板CT1の側にそれぞれ設けられてもよい。この場合、アレイ基板AR1の側に設けられる光学素子OEは、第3方向Zにおいて、対向基板CT1の側に設けられる光学素子OEに重なってもよいし、重ならなくてもよい。
【0076】
本実施形態において、表示領域DA1が1つの第1領域A11を有する例を開示するが、表示領域DA1が複数の第1領域A11を有するように光学素子OEが設けられてもよい。
【0077】
本実施形態において、位相差素子41の大きさが偏光素子51の大きさと実質的に等しい例を開示するが、位相差素子41の大きさは偏光素子51の大きさよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0078】
表示システム100は、導光体をさらに備えてもよい。導光体は、例えばプリズムレンズなどのレンズを用いることができる。導光体は、例えば側面E21と複数の光源LS1との間に設けられる。表示パネルPNL1は、アレイ基板AR1および対向基板CT1をそれぞれ覆う透明なカバー部材(例えば、カバーガラス)をさらに備えてもよい。
【0079】
次に、他の実施形態について説明する。以下に説明する他の実施形態については、主に第1実施形態との相違点について説明する。なお、以下に述べる他の実施形態において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略あるいは簡略化する場合がある。
【0080】
[第2実施形態]
図9は、本実施形態に係る表示システム100Aの構成を示す図である。本実施形態においては、第1実施形態と比較して、光学素子OEが位相差素子を含んでいない点で相違する。
【0081】
光学素子OEは、偏光素子51を含み、位相差素子を含んでいない。偏光素子51は、第1方向Xに平行な吸収軸AAを有している。言い換えると、吸収軸AAは、ポリマー31の延出方向D1に平行である。
【0082】
これにより、偏光素子51は、第1直線偏光を吸収する。すなわち、偏光素子51は、第1直線偏光である表示光DL1を吸収する。その結果、第1領域A11からの表示光DL1は、主面F1の側から表示領域DA1を観察するユーザにほとんど視認されない。
【0083】
本実施形態においては、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態であれば、表示システム100Aを構成する部材の点数を削減し、表示システム100Aにおける製造のコストを削減できる。
【0084】
[第3実施形態]
図10は、本実施形態に係る表示システム100Bの構成を示す図である。本実施形態においては、第1実施形態と比較して、位相差素子が相違する。
【0085】
光学素子OEは、位相差素子43と、偏光素子51と、を含んでいる。偏光素子51は、例えば第1実施形態において説明した偏光フィルムである。具体的には、偏光素子51は、第2方向Yに平行な吸収軸AAを有している。これにより、偏光素子51は、第2直線偏光を吸収する。
【0086】
位相差素子43は、自身を透過する光(直線偏光)に対して位相差を付与する機能を有し、付与する位相差を可変する機能を有し、自身を透過する光の振動面をX-Y平面内で可変する機能を有している。このような位相差素子は、アクティブ位相差素子と呼ばれる場合がある。
【0087】
位相差素子43は、変調モードと、無変調モードと、を有している。位相差素子43は、変調モードにおいて自身を透過する光(直線偏光)に位相差を付与し、無変調モードにおいて自身を透過する光(直線偏光)の振動面を維持する。
【0088】
位相差素子43は、コントローラCNTによって制御される。具体的には、位相差素子43は、コントローラCNTからの制御信号によって、変調モードと無変調モードとを切り替え可能に構成されている。
【0089】
ここで、位相差素子43に適用可能な構成の一例について説明する。
図11は、位相差素子43の構成例を説明するための図である。
【0090】
位相差素子43は、例えば、液晶素子によって構成されている。位相差素子43は、基板SUB1と、基板SUB2と、基板SUB1と基板SUB2との間に保持された液晶層LC2と、を備えている。
【0091】
基板SUB1は、透明基板61と、複数の第1制御電極63と、配向膜65と、を備えている。透明基板61は、液晶層LC2とは反対側の主面F5を有している。主面F5は、表示パネルPNL1の主面F1に向かい合っている。主面F5は、例えば表示パネルPNL1の主面F1に接している。主面F5は、表示パネルPNL1の主面F1から離間するように設けられてもよい。
【0092】
基板SUB2は、透明基板71と、第2制御電極73と、配向膜75と、を備えている。透明基板71は、液晶層LC2とは反対側の主面F6を有している。主面F6は、偏光素子51に向かい合っている。主面F6は、例えば偏光素子51に接している。主面F6は、偏光素子51から離間するように設けられてもよい。
【0093】
第2制御電極73は、液晶層LC2を介して複数の第1制御電極63に向かい合っている。第1制御電極63および第2制御電極73は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成されている。
【0094】
第1制御電極63および第2制御電極73は、コントローラCNTによる制御に基づき、液晶層LC2に電圧を印加する。配向膜65,75は、例えば水平配向膜である。一例では、配向膜65の配向処理方向は第1方向Xに平行であり、配向膜75の配向処理方向は第2方向Yに平行である。
【0095】
液晶層LC2は、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。液晶層LC2に含まれる液晶分子LMは、電圧が印加されない状態では90°ツイスト配向している。
【0096】
言い換えると、第1制御電極63の近傍における液晶分子LMは、その長軸が第1方向Xに沿うように初期配向しており、第2制御電極73の近傍における液晶分子LMは、その長軸が第2方向Yに沿うように初期配向している。
【0097】
液晶分子LMは、電圧が形成された状態ではその長軸が電界に沿うように配向される。例えば、液晶層LC2に電圧が印加されていない状態は変調モードに相当し、液晶層LC2に電圧が印加された状態は無変調モードに相当する。
【0098】
位相差素子43は、表示パネルPNL1の一画素単位で位相差を制御することができる。なお、位相差素子43は、自身を透過する光に対して所定の位相差を付与したり、位相差を付与しなかったりする機能を備えていればよく、ここで説明した構成に限定されない。
【0099】
図12および
図13は、本実施形態に係る表示システム100Bについて説明するための図である。
【0100】
図12は、液晶層LC2に電圧が印加された状態(無変調モード)である。この場合、第1制御電極63と第2制御電極73とが向かい合う領域には、第3方向Zに沿った電界が形成されるため、液晶分子LMはその長軸が第3方向Zに沿うように垂直配向している。
【0101】
図13は、液晶層LC2に電圧が印加されていない状態(変調モード)である。この場合、第1制御電極63と第2制御電極73とが向かい合う領域には、電界が形成されないため、液晶分子LMは、初期配向状態に維持され、ツイスト配向している。
【0102】
表示パネルPNL1の主面F1から出射される表示光DL1は、第1直線偏光である。主面F1からの表示光DL1は、位相差素子43に入射する。
【0103】
図12において、位相差素子43の主面F5から入射する第1直線偏光は、垂直配向した液晶分子LMの影響をほとんど受けず、その振動面が維持され、液晶層LC2を透過する。位相差素子43を透過した表示光DL1は、偏光素子51を透過する。位相差素子43は、無変調モードにおいて、透過する光(直線偏光)に位相差を付与しない。
【0104】
図13において、位相差素子43の主面F1から入射する第1直線偏光は、ツイスト配向した液晶分子LMの影響を受けて、その振動面が回転し、液晶層LC2を透過した後に、第2直線偏光に変換される。
【0105】
すなわち、位相差素子43は、変調モードにおいて、透過する光に約λ/2の位相差を付与する。位相差素子43を透過した表示光DL1のほとんどは、偏光素子51で吸収される。
【0106】
したがって、ユーザU1は、位相差素子43が無変調モードである場合には、第1領域A11の表示画像を視認でき、位相差素子43が変調モードである場合には、第1領域A11の表示画像をほとんど視認できない。主面F4の側に位置するユーザU2は、変調モードおよび無変調モードにおいて、第1領域A11の表示画像を視認できる。
【0107】
第1領域A11において、表示光DL1は、変調モードにおいてはユーザU2によってのみ視認されユーザU1には視認されないが、無変調モードにおいてはユーザU1およびユーザU2の双方に視認される。
【0108】
本実施形態においては、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態における位相差素子43は、変調モードと、無変調モードと、を切り替えることができる。これにより、本実施形態に係る表示システム100Bによれば、表示領域DA1の表示画像のうち、第1領域A11の表示画像を、双方のユーザU1,U2で共有するか、一方のユーザU2のみが視認するかを切り替えることができる。これにより、表示システム100Bの利便性をさらに向上させることができる。
【0109】
[第4実施形態]
図14は、本実施形態に係る表示システム100Cの構成を示す図である。本実施形態においては、第1実施形態と比較して、偏光素子が相違する。光学素子OEは、位相差素子41と、偏光素子53と、を含んでいる。位相差素子41は、例えば第1実施形態において説明したλ/2板である。
【0110】
偏光素子53は、自身を透過する光の透過率を可変する機能(調光機能)を有している。このような偏光素子は、アクティブ偏光素子を呼ばれる場合がある。偏光素子53は、吸収モードと、透過モードと、を有している。
【0111】
偏光素子53は、吸収モードにおいて直線偏光を吸収し、透過モードにおいて、直線偏光を透過する。偏光素子53は、コントローラCNTによって制御される。具体的には、偏光素子53は、コントローラCNTからの制御信号によって、吸収モードと透過モードとを切り替え可能に構成されている。
【0112】
偏光素子53としては、例えば、ゲスト-ホスト液晶素子、懸濁粒子素子(Suspended Particle Device :SPD)、エレクトロクロミック素子、エレクトロデポジション素子などの電気化学反応素子などが好ましい。
【0113】
ここで、偏光素子53に適用可能な構成の一例として、偏光素子53がゲスト-ホスト液晶素子によって構成される例について説明する。
図15は、偏光素子53の構成例を説明するための図である。
【0114】
偏光素子53は、基板SUB3と、基板SUB4と、基板SUB3と基板SUB4との間に保持された液晶層LC3と、を備えている。基板SUB3は、透明基板81と、複数の第3制御電極83と、配向膜85と、を備えている。透明基板81は、液晶層LC3とは反対側に主面F7を有している。主面F7は、位相差素子41に向かい合っている。主面F7は、例えば位相差素子41に接している。主面F7は、位相差素子41から離間するように設けられてもよい。
【0115】
基板SUB4は、透明基板91と、第4制御電極93と、配向膜95と、を備えている。透明基板91は、液晶層LC3とは反対側に主面F8を有している。
【0116】
第4制御電極93は、液晶層LC3を介して複数の第3制御電極83に向かい合っている。第3制御電極83および第4制御電極93は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成されている。
【0117】
第3制御電極83および第4制御電極93は、コントローラCNTによる制御に基づき、液晶層LC3に電圧を印加する。配向膜85,95は、例えば水平配向膜である。一例では、配向膜85,95のそれぞれの配向処理方向は、第2方向Yに平行である。
【0118】
液晶層LC3は、ゲスト-ホスト液晶層である。液晶層LC3は、ゲスト分子として可視光に対する吸収性能(吸収率)に異方性を有する色素(例えば二色性色素)LCGと、ホスト分子としてネマティック液晶の液晶分子LCHと、を含んでいる。
【0119】
色素は、分子の長軸方向に振動する偏光成分を、分子の短軸方向に振動する偏光成分よりも強く吸収する吸収性能を有している。このような液晶層LC3においては、液晶分子LCHの配向に付随させて色素LCGを所望の方向に配向させることができる。
【0120】
一例では、液晶層LC3は、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。液晶層LC3に含まれる液晶分子LCHは、電圧が印加されない状態では配向膜85,95のそれぞれの配向規制力により第2方向Yに沿って初期配向している。
【0121】
色素LCGは、液晶分子LCHの配向に付随して第2方向Yに沿って初期配向している。液晶分子LCHは、電圧が形成された状態ではその長軸が電界に沿うように配向され、色素LCGも同様に、その長軸が液晶分子LCHの長軸に平行となるように配向される。
【0122】
例えば、液晶層LC3に電圧が印加されていない状態は吸収モードに相当し、液晶層LC3に電圧が印加された状態は透過モードに相当する。偏光素子53は、表示パネルPNL1の一画素単位で透過率を制御することができる。
【0123】
なお、液晶層LC3が負の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成され、配向膜85,95が垂直配向膜であってもよい。このような構成例の場合には、液晶層LC3に電圧が印加されていない状態は透過モードに相当し、液晶層LC3に電圧が印加された状態は吸収モードに相当する。
【0124】
図16および
図17は、本実施形態に係る表示システム100Cについて説明するための図である。
【0125】
図16は、液晶層LC3に電圧が印加されていない状態(吸収モード)である。この場合、第3制御電極83と第4制御電極93とが向かい合う領域には、電界が形成されないため、液晶分子LCHおよび色素LCGは、初期配向状態に維持され、第2方向Yに沿って水平配向している。
【0126】
図17は、液晶層LC3に電圧が印加された状態(透過モード)である。この場合、偏光素子53において、第3制御電極と第4制御電極93とが向かい合う領域には、第3方向Zに沿った電界が形成されるため、液晶分子LCHおよび色素LCGはその長軸が第3方向Zに沿うように垂直配向している。
【0127】
表示パネルPNL1の主面F1から出射される表示光DL1は、第1直線偏光である。主面F1からの表示光DL1は、位相差素子41を透過し、第2直線偏光に変換される。
【0128】
図16において、偏光素子53の主面F7から入射する第2直線偏光は、その振動面が水平配向した色素LCGの長軸と略平行となる。このため、第2直線偏光は、色素LCGによって吸収される。
【0129】
図17において、偏光素子53の主面F7から入射する第2直線偏光は、その振動面が垂直配向した色素LCGの長軸と交差あるいは直交する。このため、第2直線偏光は、色素LCGでほとんど吸収されることなく、偏光素子53を透過する。
【0130】
したがって、ユーザU1は、偏光素子53が透過モードである場合には、第1領域A11の表示画像を視認でき、偏光素子53が吸収モードである場合には、第1領域A11の表示画像をほとんど視認できない。主面F4の側に位置するユーザU2は、透過モードおよび吸収モードにおいて、第1領域A11の表示画像を視認できる。
【0131】
第1領域A11においては、表示光DL1は、吸収モードにおいてはユーザU2によってのみ視認されユーザU1には視認されないが、透過モードにおいてはユーザU1およびユーザU2の双方に視認される。
【0132】
本実施形態においては、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態における偏光素子53は、吸収モードと、透過モードと、を切り替えることができる。これにより、本実施形態に係る表示システム100Cによれば、表示領域DA1の表示画像のうち、第1領域A11の表示画像を、双方のユーザU1,U2で共有するか、一方のユーザU2のみが視認するかを切り替えることができる。これにより、表示システム100Cの利便性をさらに向上させることができる。
【0133】
なお、本実施形態における偏光素子53は、第2実施形態に係る表示システム100Bに適用してもよい。
【0134】
[第5実施形態]
図18は、本実施形態に係る表示システム100Dの構成を示す図である。
図19は、
図18に示された眼鏡G10の構成例を示す図である。本実施形態においては、第1実施形態と比較して、表示システム100Dが眼鏡G10を備えている点で相違する。
【0135】
表示システム100Dは、表示装置DSPと、眼鏡G10と、を備えている。眼鏡G10は、表示装置DSPとともに使用する付属品(アクセサリ)の一例である。眼鏡G10は、
図19に示すように、フレーム1と、フレーム1に設けられたレンズ部材2A,2Bと、を備えている。
【0136】
レンズ部材2A,2Bは、ユーザが眼鏡G10を使用した際、ユーザの目に向かい合う。レンズ部材2Bは、レンズ部材2Aと同様に構成されている。ここでは、レンズ部材2Aについて説明する。
【0137】
レンズ部材2Aは、光学素子OEを有している。光学素子OEは、位相差素子41と、偏光素子51と、を含んでいる。位相差素子41および偏光素子51は、この順でユーザに向かう方向に積層されている。
【0138】
位相差素子41および偏光素子51は、例えば、第1実施形態において説明したλ/2板および偏光フィルムである。具体的には、偏光素子51は、第2方向Yに平行な吸収軸AAを有している。これにより、偏光素子51は、第2直線偏光を吸収する。
【0139】
眼鏡G10を使用するユーザが第3方向Zの反対の方向に表示パネルPNL1の主面F1を観察する場合を想定する。
【0140】
液晶層LC1のポリマー31の延出方向D1は、第1方向Xに平行である。そのため、表示パネルPNL1の表示光DL1は、第1直線偏光である。主面F1から出射される表示光DL1は、眼鏡G10の位相差素子41を透過すると、第2直線偏光に変換される。
【0141】
偏光素子51は、第2方向Yに平行な吸収軸AAを有している。そのため、主面F1から出射される表示光DL1のうち、眼鏡G10の位相差素子41を透過する光のほとんどは、偏光素子51で吸収される。
【0142】
眼鏡G10を使用するユーザには、表示領域DA1からの表示光DL1はほとんど視認されない。言い換えると、ユーザが眼鏡G10を使用すると、表示領域DA1の表示画像をほとんど視認できない。これは、主面F4の側から表示パネルPNL1を観察するユーザが眼鏡G10を使用する場合も同様である。これに対し、眼鏡G10を使用していないユーザは、表示領域DA1の表示画像を視認できる。
【0143】
ユーザが眼鏡G10を使用するか否かによって、表示領域DA1の表示画像をユーザに視認させたり、視認させなかったりすることができる。
【0144】
以上のように構成された表示システム100Dであれば、利便性を向上させることができる。複数のユーザに眼鏡G10を使用させることによって、複数のユーザが表示画像を視認することを制限できる。
【0145】
本実施形態において、表示装置DSPは、光学素子OEを備えていない。そのため、表示パネルPNL1を透過する自然光NLは、ほとんど吸収されない。そのため、表示パネルPNL1の高い透明度を確保できるため、眼鏡G10を使用しない場合においては、主面F1,F4のそれぞれの側からユーザを視認しやすい。
【0146】
なお、本実施形態においては、眼鏡G10が位相差素子41および偏光素子51を含む例を開示するが、眼鏡G10が偏光素子51を含み、表示装置DSPが位相差素子41を含んでもよい。例えば、位相差素子41は、表示領域DA1の全体に重なってもよいし、表示領域DA1の一部に重なってもよい。
【0147】
他の例として、表示システム100Dは、眼鏡G10が偏光素子51のみを含み、眼鏡G10および表示装置DSPが位相差素子41を含まなくてもよい。この場合、偏光素子51の吸収軸AAは、ポリマー31の延出方向D1に平行であることが好ましい。例えば、ポリマー31の延出方向D1が第1方向Xに平行である場合、偏光素子51の吸収軸AAは第1方向Xに平行である。
【0148】
[第6実施形態]
図20は、本実施形態に係る表示システム100Eが備える眼鏡G10Aの構成例を示す図である。本実施形態においては、第5実施形態と比較して、位相差素子が相違する。
【0149】
位相差素子43は、例えば、第3実施形態において説明した位相差素子と同様に構成されている。具体的には、位相差素子43は、変調モードと無変調モードとを切り替え可能に構成されている。
【0150】
眼鏡G10Aは、
図20に示すように、制御部3をさらに備えている。制御部3は、例えばフレーム1の任意の場所に設けられる。制御部3は、位相差素子43に電気的に接続される。
【0151】
表示システム100Eは、コントローラCNT10をさらに備えてもよい。制御部3は、コントローラCNT10と通信可能に接続されている。制御部3は、コントローラCNT10と有線によって接続されてもよいし、無線によって接続されてもよい。
【0152】
コントローラCNT10は、一例では、リモコンである。コントローラCNT10は、変調モードと無変調モードとを切り替えることができる。具体的には、制御部3は、コントローラCNT10から出力される制御信号に基づいて、変調モードと無変調モードとを切り替える。
【0153】
本実施形態においては、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態における位相差素子43は、変調モードと、無変調モードとを切り替えることができる。本実施形態における眼鏡G10Aであれば、コントローラCNT10を有するユーザが操作することによって、眼鏡G10Aを使用するユーザに対して、表示画像を視認させたり、視認させなかったり、を切り替えることができる。
【0154】
これにより、表示システム100Eの利便性を向上させることができる。なお、第5実施形態および本実施形態における偏光素子51には、第4実施形態における偏光素子53をそれぞれ適用してもよい。
【0155】
この場合、制御部3は、偏光素子53を制御してもよい。具体的には、制御部3は、コントローラCNT10から出力される制御信号に基づいて、吸収モードと透過モードとを切り替えてもよい。
【0156】
[第7実施形態]
図21は、本実施形態に係る表示システム100Fの構成を示す図である。
図22は、本実施形態に係る表示システム100Fの概略的な側面図である。本実施形態においては、上述の各実施形態と比較して、表示システム100Fが複数の表示パネルを備えている点で相違する。
【0157】
表示システム100Fは、表示装置DSP1を備えている。表示装置DSP1は、表示パネルPNL1(第1表示パネル)と、表示パネルPNL2(第2表示パネル)と、光源ユニットLU1(第1光源ユニット)と、光源ユニットLU2(第2光源ユニット)と、光学素子OEと、コントローラCNTと、を備えている。
【0158】
表示パネルPNL2は、X-Y平面に平行な平板状に形成されている。表示パネルPNL2は、表示パネルPNL1に向かい合っている。光学素子OEは、表示パネルPNL1と表示パネルPNL2との間に位置している。
【0159】
表示パネルPNL2は表示パネルPNL1と同様に構成され、光源ユニットLU2は光源ユニットLU1と同様に構成されている。表示パネルPNL2は、
図22に示すように、第3方向Zに重ねられたアレイ基板AR2および対向基板CT2を備えている。
【0160】
表示パネルPNL2は、画像を表示する表示領域DA2(第2表示領域)を有している。表示領域DA2は、第3方向Zにおいて、表示領域DA1に重なっている。表示領域DA2の大きさは、例えば、表示領域DA1の大きさと実質的に等しい。
【0161】
表示パネルPNL2は、アレイ基板AR2と対向基板CT2の間に封止された液晶層LC4(第2液晶層)をさらに有している。液晶層LC4は、ポリマー31と、液晶分子32とを含む高分子分散型液晶によって構成されている。
【0162】
液晶層LC4のポリマー31は、第2方向Yに沿って延びる筋状に形成され、第1方向Xに並んでいる。液晶層LC4のポリマー31の延出方向(第2延出方向)は、第2方向Yに平行である。
【0163】
図21においては、液晶層LC4のポリマー31の延出方向を延出方向D2として示す。液晶層LC4の液晶分子32は、ポリマー31の隙間に分散され、その長軸が第2方向Yに沿うように配向される。液晶層LC4のポリマーの延出方向D2は、液晶層LC1のポリマーの延出方向D1と直交している。
【0164】
表示パネルPNL2は、表示パネルPNL1と同様に、コントローラCNTによって、透明状態と、散乱状態と、を切り替え可能に構成されている。
【0165】
アレイ基板AR2は、
図22に示すように、主面F11(第4面)と、主面F11の反対側の主面F12と、主面F11,F12を繋ぐ側面E31,E32とを有している。対向基板CT2は、液晶層LC4を介して主面F12に向かい合う主面F13と、主面F13の反対側の主面F14(第3面)と、主面F13,F14を繋ぐ側面E41,E42とを有している。主面F11~F14は、例えばX-Y平面に平行な面である。
【0166】
表示パネルPNL2において、主面F11は、主面F14の反対側の面に相当する。主面F14は表示パネルPNL1の主面F1に向かい合う面に相当し、主面F11はユーザU1に向かい合う面に相当する。表示領域DA2は、主面F11の側および主面F14の側からそれぞれ視認可能である。
【0167】
側面E31,E32,E41,E42は、第2方向Yに延びている。アレイ基板AR2において、側面E31および側面E32は、この順で第1方向Xに並んでいる。対向基板CT2において、側面E41および側面E42は、この順で第1方向Xに並んでいる。側面E41は、表示パネルPNL2の端部ED2(第2端部)を構成している。側面E41は、液晶層LC2のポリマー31の延出方向D2に沿って延びている。
【0168】
光源ユニットLU2は、端部ED2に光を照射する。光源ユニットLU2は、
図21に示すように、表示パネルPNL2の端部ED2に向かい合っている。具体的には、光源ユニットLU2は、
図22に示すように、側面E41に向かい合っている。
【0169】
光源ユニットLU2との観点において、側面E31,E41は光源ユニットLU2の側(入光側)に相当し、側面E32,E42は光源ユニットLU2の反対側(反入光側)に相当する。光源ユニットLU2は、第2方向Yに並ぶ複数の光源LS2を備えている。
【0170】
コントローラCNTは、表示パネルPNL1,PNL2および光源ユニットLU1,LU2をそれぞれ制御する。コントローラCNTは、例えば第2映像信号を含む第2制御信号を表示パネルPNL2に供給する。コントローラCNTは、第2制御信号を表示パネルPNL2に供給するのに同期して、第2光源制御信号を光源ユニットLU2に供給する。これにより、表示パネルPNL2には、第2映像信号に基づいた表示画像が表示される。
【0171】
表示パネルPNL2は、散乱状態では、光源ユニットLU2から照射された光を散乱し、主面F11および主面F14から表示光DL2(
図23に示す)として出射する。表示光DL2は、第2方向Yに平行な振動面を有する直線偏光(第2直線偏光)である。
【0172】
本実施形態において、光学素子OEは、偏光素子51を含み、位相差素子を含んでいない。表示パネルPNL1、偏光素子51および表示パネルPNL2は、この順で第3方向Zに並んで設けられている。
【0173】
偏光素子51は、
図22に示すように、表示パネルPNL1の主面F1と表示パネルPNL2の主面F14とにそれぞれ向かい合っている。言い換えると、偏光素子51は、表示パネルPNL1と表示パネルPNL2との間に設けられている。偏光素子51は、表示パネルPNL1と表示パネルPNL2とに接着される構造であってもよいし、表示パネルPNL1と表示パネルPNL2とのそれぞれと空気層を介して離間して設けられる構造であってもよい。
【0174】
これに対し、光学素子OEが設けられない領域において、表示パネルPNL1と表示パネルPNL2との間には隙間が形成されるが、当該隙間には図示しない透明層が形成されてもよい。当該透明層は、例えば透明基板10,20(
図4に示す)と実質的に等しい屈折率を有するものを用いてもよいし、空気層であってもよい。
【0175】
偏光素子51は、第2方向Yに平行な吸収軸AAを有している。これにより、偏光素子51は、第2直線偏光を吸収する。偏光素子51は、例えば第1実施形態において説明した偏光フィルムである。
【0176】
光学素子OEは、第3方向Zにおいて、表示領域DA1,DA2の一部に重なっている。表示領域DA1は、第1領域A11と、第2領域A12と、を有している。表示領域DA2は、第1領域A21と、第2領域A22と、を有している。
【0177】
第1領域A11,A21は光学素子OEに重なる領域であり、第2領域A12,A22は光学素子OEに重ならない領域である。
図21においては、第1領域A11,A21に斜線を付して示している。第1領域A11の大きさは、第1領域A21の大きさと実質的に等しい。
【0178】
第1領域A11,A21の大きさは、表示領域DA1,DA2の大きさよりも小さい。第1領域A11,A21の大きさは、表示領域DA1,DA2の大きさの半分以下である。表示領域DA1,DA2における第1領域A11,A21の位置および大きさは、光学素子OEの位置および大きさによって、適宜設定することができる。
【0179】
図23は、本実施形態に係る表示システム100Fについて説明するための図である。
【0180】
主面F11の側から第1領域A21を見るユーザU11と、主面F4の側から第1領域A11を見るユーザU21と、を想定する。
【0181】
表示パネルPNL1から出射される表示光DL1は、第1直線偏光である。主面F1から出射される表示光DL1は、偏光素子51を透過し、さらに表示パネルPNL2を透過する。
【0182】
表示パネルPNL2から出射される表示光DL2は、第2直線偏光である。主面F14から出射される表示光DL2は、偏光素子51で吸収され、表示パネルPNL1を透過しない。
【0183】
したがって、表示パネルPNL2からの表示光DL2はユーザU21によってほとんど視認されないが、表示パネルPNL1からの表示光DL1はユーザU11によって視認される。すなわち、ユーザU21は表示パネルPNL2の表示画像をほとんど視認できない。
【0184】
続いて、主面F11の側から第2領域A22を見るユーザU12と、主面F4の側から第2領域A12を見るユーザU22と、を想定する。
【0185】
主面F14から出射される表示光DL2は表示パネルPNL1を透過し、主面F1から出射される表示光DL1は表示パネルPNL2を透過する。したがって、表示パネルPNL1,PNL2からの表示光DL1,DL2は、ユーザU1,U2の双方によって視認される。
【0186】
表示パネルPNL1において、第1領域A11では、表示パネルPNL2の表示画像はほとんど表示されない。したがって、ユーザU21は、表示パネルPNL2の表示画像の鏡像(左右反転画像)をほとんど視認することなく、表示パネルPNL1の表示画像を視認でき、視認性を向上させることができる。
【0187】
ここで、透過状態である表示パネルPNL1,PNL2を自然光が第3方向Zに透過する場合を想定する。
【0188】
表示パネルPNL1を透過する自然光NLのうち、第1領域A11を透過する自然光NLは、偏光素子51において、吸収軸AAに平行な振動成分が吸収され、表示パネルPNL2を透過する。第1領域A11を透過する自然光NLは、偏光素子51の透過率が約50%である。これに対し、第2領域A12を透過する自然光NLは、表示パネルPNL1,PNL2によってほとんど吸収されない。
【0189】
これにより、第2領域A12においては、第1領域A11と比較して、高い透明度を確保することができる。自然光NLが第3方向Zの反対の方向に表示パネルPNL1,PNL2を透過する場合も同様である。
【0190】
そのため、第2領域A12,A22においては、第1領域A11,A21と比較して、主面F4,F11のそれぞれの側からユーザおよび背景を視認しやすい。これにより、表示システム100Fを挟んで向かい合うユーザがコミュニケーションを取りやすくなる。以上のように構成された表示システム100Fであれば、利便性を向上させることができる。
【0191】
本実施形態において、偏光素子51は表示パネルPNL2の表示光DL2を吸収するように構成されている例を開示するが、偏光素子51は表示パネルPNL1の表示光DL1を吸収するように構成されてもよい。具体的には、偏光素子51は、第1方向Xに平行な吸収軸AAを有してもよい。
【0192】
本実施形態において、表示パネルPNL1のアレイ基板AR1が表示パネルPNL2の対向基板CT2に向かい合う例を開示するが、表示パネルPNL1のアレイ基板AR1が表示パネルPNL2のアレイ基板AR2に向かい合うように構成されてもよい。
【0193】
[第8実施形態]
図24は、本実施形態に係る表示システム100Gの構成を示す図である。本実施形態においては、第7実施形態と比較して、偏光素子が相違する。
【0194】
光学素子OEは、偏光素子53を備えている。偏光素子は、例えば、第4実施形態において説明した偏光素子と同様に構成されている。具体的には、偏光素子53は、コントローラCNTからの制御信号によって、吸収モードと透過モードとを切り替え可能に構成されている。
【0195】
本実施形態においては、第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0196】
[第9実施形態]
図25は、本実施形態に係る表示システム100Hの構成を示す図である。
図26は、本実施形態に係る表示システム100Hの概略的な側面図である。本実施形態においては、第7実施形態と比較して、光学素子OEが位相差素子を含んでいる点で相違する。
【0197】
光学素子OEは、位相差素子41と、偏光素子51と、を含んでいる。位相差素子41は、例えば第1実施形態において説明したλ/2板である。
【0198】
表示パネルPNL1、位相差素子41、偏光素子51および表示パネルPNL2は、この順で第3方向Zに並んで設けられている。位相差素子41は、
図26に示すように、アレイ基板AR1の主面F1と偏光素子51とにそれぞれ向かい合っている。言い換えると、位相差素子41は、アレイ基板AR1と偏光素子51との間に設けられている。位相差素子41は、アレイ基板AR1と偏光素子51とに接着される構造であってもよいし、アレイ基板AR1と偏光素子51とのそれぞれと空気層を介して離間して設けられる構造であってもよい。
【0199】
偏光素子51は、
図26に示すように、位相差素子41と対向基板CT2の主面F14とにそれぞれ向かい合っている。言い換えると、偏光素子51は、位相差素子41と対向基板CT2との間に設けられている。偏光素子51は、対向基板CT2に接着される構造であってもよいし、対向基板CT2と空気層を介して離間して設けられる構造であってもよい。
【0200】
図27は、本実施形態に係る表示システム100Hについて説明するための図である。
【0201】
主面F11の側から第1領域A21を見るユーザU11と、主面F4の側から第1領域A11を見るユーザU21と、を想定する。
【0202】
表示パネルPNL1から出射される表示光DL1は、第1直線偏光である。主面F1から出射される表示光DL1は、位相差素子41を透過すると、第2直線偏光に変換される。
【0203】
偏光素子51は、第2方向Yに平行な吸収軸AAを有している。そのため、主面F1から出射される表示光DL1のうち、位相差素子41を透過する光のほとんどは、偏光素子51で吸収され、表示パネルPNL2を透過しない。
【0204】
表示パネルPNL2から出射される表示パネルPNL2は、第2直線偏光である。主面F14から出射される表示光DL2は、偏光素子51で吸収され、表示パネルPNL1を透過しない。
【0205】
したがって、表示パネルPNL1からの表示光DL1はユーザU11によってほとんど視認されず、表示パネルPNL2からの表示光DL2はユーザU21によってほとんど視認されない。すなわち、ユーザU11,U21は表示パネルPNL1,PNL2の表示画像をほとんど視認できない。
【0206】
本実施形態においては、第7実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態に係る光学素子OEは、位相差素子41および偏光素子51を含んでいる。これにより、表示パネルPNL1,PNL2において、第1領域A11,A21では、表示パネルPNL1,PNL2の表示画像はほとんど表示されない。したがって、双方のユーザU11,U21は、表示画像の鏡像をほとんど視認することなく、第1領域A11,A21の表示画像をそれぞれ視認でき、視認性をさらに向上させることができる。
【0207】
[第10実施形態]
図28は、本実施形態に係る表示システム100Iの構成を示す図である。本実施形態においては、第9実施形態と比較して、偏光素子が相違する。
【0208】
光学素子OEは、位相差素子41と、偏光素子53と、を備えている。偏光素子53は、例えば、第4実施形態において説明した偏光素子と同様に構成されている。具体的には、偏光素子53は、コントローラCNTからの制御信号によって、吸収モードと透過モードとを切り替え可能に構成されている。
【0209】
本実施形態においては、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0210】
[第11実施形態]
図29は、本実施形態に係る表示システム100Jの構成を示す図である。本実施形態においては、第9実施形態と比較して、位相差素子が相違する。
【0211】
光学素子OEは、位相差素子43と、偏光素子51と、を備えている。位相差素子43は、例えば、第3実施形態において説明した位相差素子と同様に構成されている。位相差素子43は、コントローラCNTからの制御信号によって、変調モードと無変調モードとを切り替え可能に構成されている。
【0212】
本実施形態においては、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態における偏光素子51には、第4実施形態において説明した偏光素子を適用してもよい。
【0213】
[第12実施形態]
図30は、本実施形態に係る表示システム100Kの構成を示す図である。本実施形態においては、第9実施形態と比較して、表示パネルPNL2の液晶層LC4のポリマーの延出方向D2が第1方向Xに平行である点で相違する。
【0214】
光学素子OEは、位相差素子41と、偏光素子51と、を含んでいる。位相差素子41は、例えば第1実施形態において説明したλ/2板である。偏光素子51は、例えば第1実施形態において説明した偏光フィルムである。偏光素子51は、第1方向Xに平行な吸収軸AAを有している。これにより、偏光素子51は、第1直線偏光を吸収する。
【0215】
表示パネルPNL2は、表示パネルPNL1と同様に構成されている。端部ED2の延出方向は、
図30に示すように、端部ED1の延出方向に平行である。液晶層LC1のポリマー31の延出方向D1は、液晶層LC4のポリマー31の延出方向D2に平行である。
【0216】
表示パネルPNL1、偏光素子51、位相差素子41および表示パネルPNL2は、この順で第3方向Zに並んで設けられている。偏光素子51は、アレイ基板AR1の主面F1と位相差素子41とにそれぞれ向かい合っている。言い換えると、偏光素子51は、アレイ基板AR1と位相差素子41との間に設けられている。偏光素子51は、表示パネルPNL1と位相差素子41とに接着される構造であってもよいし、表示パネルPNL1と位相差素子41とのそれぞれと空気層を介して離間して設けられる構造であってもよい。
【0217】
位相差素子41は、偏光素子51と対向基板CT2の主面F14とにそれぞれ向かい合っている。言い換えると、位相差素子41は、偏光素子51と対向基板CT2との間に設けられている。位相差素子41は、表示パネルPNL2に接着される構造であってもよいし、表示パネルPNL2と空気層を介して離間して設けられる構造であってもよい。
【0218】
図31は、本実施形態に係る表示システム100Kについて説明するための図である。
【0219】
主面F11の側から第1領域A21を見るユーザU11と、主面F4の側から第1領域A11を見るユーザU21と、を想定する。
【0220】
表示パネルPNL2から出射される表示光DL2は、第1直線偏光である。主面F14から出射される表示光DL2は、位相差素子41を透過すると、第2直線偏光に変換される。
【0221】
偏光素子51は、第1方向Xに平行な吸収軸AAを有している。そのため、主面F14から出射される表示光DL2のうち、位相差素子41を透過する光は、偏光素子51を透過し、さらに表示パネルPNL1を透過する。
【0222】
表示パネルPNL1から出射される表示光DL1は、第1直線偏光である。主面F1から出射される表示光DL1のほとんどは、偏光素子51で吸収され、表示パネルPNL2を透過しない。
【0223】
したがって、表示パネルPNL1からの表示光DL1はユーザU11によってほとんど視認されないが、表示パネルPNL2からの表示光DL2はユーザU21によって視認される。すなわち、ユーザU11は表示パネルPNL1の表示画像をほとんど視認できない。
【0224】
本実施形態においては、第9実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態において、光学素子OEが位相差素子41と、偏光素子51と、を含む例を開示するが、光学素子OEは位相差素子41を含まないように構成されてもよい。
【0225】
なお、本実施形態における位相差素子には、第3実施形態における位相差素子を適用してもよい。本実施形態における偏光素子には、第4実施形態における偏光素子を適用してもよい。
【0226】
以上、本発明の実施形態として説明した表示システムを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示システムも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0227】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0228】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0229】
100…表示システム、3…制御部、31…ポリマー、32…液晶分子、41,43…位相差素子、51,53…偏光素子、CNT,CNT10…コントローラ、D1,D2…延出方向、DA1,DA2…表示領域、DSP…表示装置、ED1…端部、ED2…端部、F1…主面(第1面)、F4…主面(第2面)、F11…主面(第4面)、F14…主面(第3面)、G10,G10A…眼鏡、LC1,LC2…液晶層、LU1,LU2…光源ユニット、OE…光学素子、PNL1,PNL2…表示パネル。