(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175407
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ボイラシステムおよびボイラシステムの運転方法
(51)【国際特許分類】
F23J 15/00 20060101AFI20241211BHJP
F23K 5/20 20060101ALI20241211BHJP
F23K 5/22 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
F23J15/00 Z
F23K5/20
F23K5/22
F23J15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093178
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
【テーマコード(参考)】
3K068
3K070
【Fターム(参考)】
3K068AA11
3K068AB21
3K070DA03
3K070DA07
3K070DA09
3K070DA16
3K070DA30
3K070DA48
(57)【要約】
【課題】アンモニアを含む第1燃料とアンモニアを含まない第2燃料を混焼させる際に排ガスの温度が上昇することを抑制する。
【解決手段】ボイラ10と、第1バーナ210Aへアンモニア燃料を供給する第1燃料供給系統210と、第2バーナへ固体燃料を供給する第2燃料供給系統と、ボイラ10から排出される排ガスと熱媒体との熱交換をする第1熱交換器221と、脱硫部224を通過した排ガスと第1熱交換器221により加熱された熱媒体との熱交換をする第2熱交換器222と、アンモニア気化器231と、第1熱交換器221と第2熱交換器222との間で熱媒体を循環させる第1循環系統240と、第1熱交換器221とアンモニア気化器231との間で熱媒体を循環させる第2循環系統250と、を備え、アンモニア気化器231は、液体のアンモニア燃料との熱交換により第2循環系統250を流通する熱媒体を冷却するボイラシステム100を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを含む第1燃料を燃焼させる第1バーナと、アンモニアを含まない第2燃料を燃焼させる第2バーナとを有するボイラと、
前記第1バーナへ前記第1燃料を供給する第1燃料供給系統と、
前記第2バーナへ前記第2燃料を供給する第2燃料供給系統と、
前記ボイラから排出される排ガスと熱媒体との熱交換をする第1熱交換器と、
前記第1熱交換器を通過した前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫部と、
前記脱硫部を通過した前記排ガスと前記第1熱交換器により加熱された前記熱媒体との熱交換をする第2熱交換器と、
前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料を気化させるアンモニア気化器と、
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記熱媒体を循環させる第1循環系統と、
前記第1熱交換器と前記アンモニア気化器との間で前記熱媒体を循環させる第2循環系統と、を備え、
前記アンモニア気化器は、前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料との熱交換により前記第2循環系統を流通する前記熱媒体を冷却するボイラシステム。
【請求項2】
前記ボイラと前記脱硫部との間に配置され、前記ボイラから排出される前記排ガスに含まれる煤塵を除去する電気集塵機を備える請求項1に記載のボイラシステム。
【請求項3】
前記アンモニア気化器へ供給される液体の前記第1燃料を海水で予熱するアンモニア予熱器を備える請求項1または請求項2に記載のボイラシステム。
【請求項4】
前記第2循環系統に配置され、前記第1熱交換器から前記アンモニア気化器へ供給される前記熱媒体を前記ボイラで生成される蒸気により加熱する熱媒体加熱器を備える請求項1または請求項2に記載のボイラシステム。
【請求項5】
前記アンモニア気化器は、前記第2循環系統を流通する前記熱媒体および前記ボイラで生成される蒸気との熱交換により前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料を気化させる請求項1または請求項2に記載のボイラシステム。
【請求項6】
ボイラシステムの運転方法であって、
前記ボイラシステムは、
アンモニアを含む第1燃料を燃焼させる第1バーナと、アンモニアを含まない第2燃料を燃焼させる第2バーナとを有するボイラと、
前記第1バーナへ前記第1燃料を供給する第1燃料供給系統と、
前記ボイラから排出される排ガスと熱媒体との熱交換をする第1熱交換器と、
前記第1熱交換器を通過した前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する湿式の脱硫部と、
前記脱硫部を通過した前記排ガスと前記第1熱交換器により加熱された前記熱媒体との熱交換をする第2熱交換器と、
前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料を気化させるアンモニア気化器と、
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記熱媒体を循環させる第1循環系統と、
前記第1熱交換器と前記アンモニア気化器との間で前記熱媒体を循環させる第2循環系統と、を有し、
前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料との熱交換により前記第2循環系統を流通する前記熱媒体を冷却する熱媒体冷却工程を備えるボイラシステムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボイラシステムおよびボイラシステムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脱炭素化に有効な技術として、発電機等を駆動する蒸気を発生させるための燃料としてアンモニア燃料を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、石炭等の固体燃料を用いる石炭焚きボイラにおける排ガス処理システムとして、ボイラからの排ガスを空気予熱器で熱回収し、電気集塵装置で除塵し、湿式脱硫装置で脱硫し、再加熱器で昇温させた後、煙突から排出する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示される石炭焚きボイラが有する複数のバーナの一部に石炭等の固体燃料を供給し、複数のバーナの他の一部にアンモニア燃料を供給することで、固体燃料とアンモニア燃料を混焼させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-148357号公報
【特許文献2】特開2019-013893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、固体燃料とアンモニア燃料を混焼させると、全てのバーナに固体燃料を供給する場合に比べ、ボイラから排出される排ガスの温度が上昇する傾向がある。ボイラから排出される排ガスの温度が上昇すると、排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する脱硫部等の排ガス処理装置の性能に影響が生じてしまう。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、アンモニアを含む第1燃料とアンモニア燃料を混焼させる際に排ガスの温度が上昇することを抑制することが可能なボイラシステムおよびボイラシステムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示に係るボイラシステムは、アンモニアを含む第1燃料を燃焼させる第1バーナと、前記アンモニアを含まない第2燃料を燃焼させる第2バーナとを有するボイラと、前記第1バーナへ前記第1燃料を供給する第1燃料供給系統と、前記第2バーナへ前記第2燃料を供給する第2燃料供給系統と、前記ボイラから排出される排ガスと熱媒体との熱交換をする第1熱交換器と、前記第1熱交換器を通過した前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する湿式の脱硫部と、前記脱硫部を通過した前記排ガスと前記第1熱交換器により加熱された前記熱媒体との熱交換をする第2熱交換器と、前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料を気化させるアンモニア気化器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記熱媒体を循環させる第1循環系統と、前記第1熱交換器と前記アンモニア気化器との間で前記熱媒体を循環させる第2循環系統と、を備え、前記アンモニア気化器は、前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料との熱交換により前記第2循環系統を流通する前記熱媒体を冷却する。
【0007】
本開示に係るボイラシステムの運転方法において、前記ボイラシステムは、アンモニアを含む第1燃料を燃焼させる第1バーナと、前記アンモニアを含まない第2燃料を燃焼させる第2バーナとを有するボイラと、前記第1バーナへ前記第1燃料を供給する第1燃料供給系統と、前記第2バーナへ前記第2燃料を供給する第2燃料供給系統と、前記ボイラから排出される排ガスと熱媒体との熱交換をする第1熱交換器と、前記第1熱交換器を通過した前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する湿式の脱硫部と、前記脱硫部を通過した前記排ガスと前記第1熱交換器により加熱された前記熱媒体との熱交換をする第2熱交換器と、前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料を気化させるアンモニア気化器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記熱媒体を循環させる第1循環系統と、前記第1熱交換器と前記アンモニア気化器との間で前記熱媒体を循環させる第2循環系統と、を有し、前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料との熱交換により前記第2循環系統を流通する前記熱媒体を冷却する熱媒体冷却工程を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、アンモニアを含む第1燃料とアンモニアを含まない第2燃料を混焼させる際に排ガスの温度が上昇することを抑制することが可能なボイラシステムおよびボイラシステムの運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るボイラを示す概略構成図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係るボイラシステムにおけるボイラ水の循環系統を示す概略構成図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るボイラシステムにおける第1燃料供給系統および排ガス処理系統を示す概略構成図である。
【
図4】本開示の第2実施形態に係るボイラシステムにおける第1燃料供給系統および排ガス処理系統を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下に、本開示の第1実施形態に係るボイラシステム100について、図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含む。
【0011】
図1は、本開示の第1実施形態に係るボイラ10を示す概略構成図である。本実施形態のボイラ10は、固体燃料を粉砕した微粉燃料およびアンモニアを含むアンモニア燃料をバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能なボイラである。固体燃料としては、バイオマス燃料や石炭などが使用される。
【0012】
ボイラ10は、火炉11と燃焼装置20と燃焼ガス通路12とを有する。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11の内壁面を構成する火炉壁11aは、複数の伝熱管と、伝熱管同士を接続するフィンとで構成され、微粉燃料の燃焼により発生した熱を、伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して回収するとともに、火炉壁11aの温度上昇を抑制している。
【0013】
燃焼装置20は、火炉11の下部領域に設置されている。本実施形態の燃焼装置20は、火炉壁11aに装着された複数の微粉燃料バーナ(第2バーナ)21A,21B,21C(以下、一括して「微粉燃料バーナ21」と記載する場合がある。)と、アンモニア燃料バーナ(第1バーナ)210Aと、を有する。微粉燃料バーナ21は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたもの(例えば、四角形の火炉11の各コーナ部に設置された4個)を1セットとして、鉛直方向に沿って複数段配置されている(
図1に示す例では3段)。アンモニア燃料バーナ210Aは、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたもの(例えば、四角形の火炉11の各コーナ部に設置された4個)を1セットとして1段又は複数段配置されている(
図1に示す例では1段)。
【0014】
なお、
図1では、1セットの微粉燃料バーナ21のうちの2個のみを記載し、各セットに符号21A,21B,21Cを付している。火炉11の形状やバーナの段数、一つの段におけるバーナの数、バーナの配置などは、この実施形態に限定されるものではない。
【0015】
微粉燃料バーナ21A,21B,21Cは、それぞれ、複数の微粉燃料供給管22A,22B,22C(以下、一括して「微粉燃料供給管22」と記載する場合がある。)を介して、複数の微粉燃料供給部31A,31B,31C(以下、一括して「微粉燃料供給部31」と記載する場合がある。)に連結されている。
【0016】
微粉燃料供給部31A,31B,31Cは、例えば、内部に粉砕テーブル(図示略)が駆動回転可能に支持されていて、粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラ(図示略)が粉砕テーブルの回転に連動回転可能に支持されて構成されている竪型ローラミルである。粉砕ローラと粉砕テーブルが協働して粉砕された固体燃料は、微粉燃料供給部31A,31B,31Cに供給される一次空気(搬送用ガス、酸化性ガス)により、微粉燃料供給部31A,31B,31Cが備える分級機(図示略)に搬送される。
【0017】
分級機では、微粉燃料バーナ21A,21B,21Cでの燃焼に適した粒径以下の微粉燃料(第2燃料)と、該粒径より大きな粗粉燃料とに分級される。微粉燃料は、分級機を通過して、一次空気と共に微粉燃料供給管22A,22B,22Cを介して微粉燃料バーナ21A,21B,21Cに供給される。分級機を通過しなかった粗粉燃料は、微粉燃料供給部31A,31B,31Cの内部で、自重により粉砕テーブル上に落下し、再粉砕される。
以上において、微粉燃料バーナ21は、固体燃料である微粉燃料を燃焼させるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、固体燃料以外の他の炭素を含む燃料(例えば、天然ガス・合成ガス等の気体燃料や炭化水素系液体燃料)を燃焼させるバーナであってもよい。
【0018】
第1燃料供給系統(アンモニア燃料供給系統)210は、アンモニアを含むアンモニア燃料(第1燃料)をアンモニア燃料バーナ210Aに供給する装置である。アンモニア燃料は、燃料供給配管210aを介してアンモニア燃料バーナ210Aに供給される。第1燃料供給系統210を含むアンモニア燃料の燃料供給については、後述する。
【0019】
本実施形態のボイラシステム100において、ボイラ10は、アンモニア燃料バーナ210A(第1バーナ)によりアンモニア燃料(第1燃料)を燃焼させ、微粉燃料バーナ(第2バーナ)21A,21B,21Cにより微粉燃料(第2燃料)を燃焼させて、蒸気を生成する。なお、アンモニア燃料バーナ(第1バーナ)210Aと微粉燃料バーナ(第2バーナ)21の数や配置は、
図1の形態に限定されない。
【0020】
本実施形態のボイラシステム100において、第1燃料供給系統210は、アンモニア燃料バーナ210Aへアンモニア燃料を供給する系統である。また、本実施形態のボイラシステム100において、微粉燃料供給部31A,31B,31Cおよび微粉燃料供給管22A,22B,22Cは、微粉燃料バーナ21A,21B,21Cへ微粉燃料を供給する系統(第2燃料供給系統)である。
【0021】
微粉燃料バーナ21およびアンモニア燃料バーナ210Aの装着位置における火炉11の炉外側には、風箱(エアレジスタ)23が設けられており、この風箱23には風道(空気ダクト)24の一端部が連結されている。風道24の他端部には、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32が連結されている。押込通風機32から供給された空気は、風道24に設置された空気予熱器42で加熱され(詳細は後述する)、風箱23を介して微粉燃料バーナ21に二次空気(燃焼用空気、酸化性ガス)として供給され、火炉11の内部に投入される。
【0022】
燃焼ガス通路12は、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路12には、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102A,102B,102C(以下、一括して「過熱器102」と記載する場合がある。)、再熱器103A,103B(以下、一括して「再熱器103」と記載する場合がある。)、節炭器104が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。なお、各熱交換器の配置や形状は、
図1に記載した形態に限定されない。
【0023】
燃焼ガス通路12の下流側には、熱交換器で熱回収された燃焼ガスが排出される煙道13が連結されている。煙道13には、風道24との間に空気予熱器(エアヒータ)42が設けられており、風道24を流れる空気と、煙道13を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、微粉燃料供給部31A,31B,31Cに供給する一次空気や微粉燃料バーナ21及びアンモニア燃料バーナ210Aに供給する二次空気を加熱することで、水や蒸気との熱交換後の燃焼ガスから、さらに熱回収を行う。
【0024】
煙道13には、空気予熱器42よりも上流側の位置に、脱硝装置43が設けられていてもよい。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を、煙道13内を流通する燃焼ガスに供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
【0025】
煙道13の空気予熱器42より下流側には、ガスダクト41が連結されている。ガスダクト41は、ボイラ10から排出される燃焼ガス(以下、排ガスとも呼ぶ)を、後述する排ガス処理系統220へ導く。
【0026】
ボイラ10において、微粉燃料供給部31A,31B,31Cが駆動すると、微粉燃料が、一次空気とともに微粉燃料供給管22A,22B,22Cを介して微粉燃料バーナ21A,21B,21Cに供給される。また、空気予熱器42で加熱された二次空気が、風道24から風箱23を介して微粉燃料バーナ21に供給される。微粉燃料バーナ21A,21B,21Cは、燃料と一次空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に、二次空気を火炉11に吹き込む。
【0027】
また、ボイラ10において、アンモニア燃料を使用する場合は、第1燃料供給系統210から燃料供給配管210aを介してアンモニア燃料バーナ210Aにアンモニア燃料が供給される。また、空気予熱器42で加熱された二次空気が、風道24から風箱23を介してアンモニア燃料バーナ210Aに供給される。アンモニア燃料バーナ210Aは、アンモニア燃料を火炉11に吹き込むと共に、二次空気を火炉11に吹き込む。
【0028】
火炉11に吹き込まれた微粉燃料混合気及びアンモニア燃料が着火し、二次空気と反応することで火炎を形成する。火炉11内の下部領域で火炎が形成され、高温の燃焼ガスが火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路12に流入する。なお、本実施形態では、酸化性ガス(一次空気、二次空気)として空気を用いるが、空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、供給される燃料量に対する酸素量の比率を適正な範囲に調整することで、火炉11において安定した燃焼が実現される。
【0029】
燃焼ガス通路12に流入した燃焼ガスは、燃焼ガス通路12の内部に配置された過熱器102、再熱器103、節炭器104で水や蒸気と熱交換した後、煙道13に排出され、脱硝装置43で窒素酸化物が除去され、空気予熱器42で一次空気及び二次空気と熱交換した後、さらにガスダクト41に排出される。
図3に示すように、ボイラ10から排出される排ガスは、電気集塵機223で灰などが除去され、脱硫装置224で硫黄酸化物が除去された後、煙突225から系外に排出される。なお、燃焼ガス通路12における各熱交換器及び煙道13からガスダクト41における各装置の配置は、燃焼ガス流れに対して、必ずしも上述の記載順に配置されなくともよい。
【0030】
次に、ボイラ10を含むボイラシステム100において、ボイラ水をボイラ10に供給し、ボイラ水から蒸気を生成して蒸気タービン111へ供給する構成について説明する。
図2は、本開示の第1実施形態に係るボイラシステム100におけるボイラ水の循環系統を示す概略構成図である。なお、
図2では燃焼ガス通路12内の各熱交換器(過熱器102A,102B,102C,再熱器103A,103B,節炭器104)の位置を正確に示しているものではなく、各熱交換器の燃焼ガス流れに対する配置順も
図2に限定されるものではない。
【0031】
図2に示すように、本実施形態のボイラシステム100は、ボイラ10に設けられた熱交換器と、ボイラ10で生成した蒸気によって回転駆動される蒸気タービン111と、蒸気タービン111に連結され蒸気タービン111の回転力によって発電を行う発電機113とを備える。
【0032】
蒸気タービン111は、例えば、高圧タービン111Aと中圧タービン111Bと低圧タービン111Cから構成される。ボイラ10の過熱器102で加熱された蒸気が高圧タービン111Aを回転駆動した後、ボイラ10の再熱器103で再過熱され、中圧タービン111B、及び低圧タービン111Cを回転駆動する。低圧タービン111Cには、復水器112が連結されており、低圧タービン111Cを回転駆動した蒸気が、この復水器112で冷却水(例えば、海水や河川水など)との熱交換によって凝縮されて復水となる。
【0033】
復水器112は、給水ラインL1を介して節炭器104に連結されている。給水ラインL1には、例えば、復水ポンプ121、低圧給水ヒータ122、ボイラ給水ポンプ123、高圧給水ヒータ124が設けられている。低圧給水ヒータ122と高圧給水ヒータ124には、蒸気タービン111を駆動する蒸気の一部が抽気されて、抽気ライン(図示略)を介して熱源として供給され、節炭器104へ供給される給水が加熱される。
【0034】
例えば、ボイラ10が貫流ボイラの場合について説明する。節炭器104は、火炉壁11aを構成する伝熱管に連結されている。節炭器104で加熱された給水は、火炉壁11aを構成する伝熱管を通過する際に、火炉11内の火炎から輻射を受けて加熱され、汽水分離器125へと導かれる。汽水分離器125にて分離された蒸気は、過熱器102へと供給され、汽水分離器125にて分離されたドレン水は、汽水分離器ドレンタンク126へ流入し、ドレン水ラインL2を介して復水器112へと導かれる。
【0035】
燃焼ガスが燃焼ガス通路12を流れるとき、この燃焼ガスは、過熱器102、再熱器103、節炭器104で熱回収される。一方、ボイラ給水ポンプ123から供給された給水は、節炭器104で予熱された後、火炉壁11aを構成する伝熱管を通過する際に加熱されて蒸気となり、汽水分離器125に導かれる。汽水分離器125で分離された蒸気は、過熱器102A、過熱器102B、過熱器102Cに導入され、燃焼ガスによって過熱される。
【0036】
過熱器102で生成された過熱蒸気は、蒸気ラインL3を介して高圧タービン111Aに供給され、高圧タービン111Aを回転駆動する。高圧タービン111Aから排出された蒸気は、蒸気ラインL4を介して、再熱器103A、再熱器103Bに導入されて再度過熱される。再過熱された蒸気は、蒸気ラインL5を介して、中圧タービン111Bを経て低圧タービン111Cに供給され、中圧タービン111Bおよび低圧タービン111Cを回転駆動する。蒸気タービン111の回転軸が発電機113を回転駆動することにより、発電が行われる。低圧タービン111Cから排出された蒸気は、復水器112で冷却されることで復水となり、給水ラインL1を介して、再び、節炭器104に送られる。
【0037】
次に、
図3を参照して、本実施形態のボイラシステム100における第1燃料供給系統210および排ガス処理系統220について説明する。
図3は、本開示の第1実施形態に係るボイラシステム100における第1燃料供給系統210および排ガス処理系統220を示す概略構成図である。排ガス処理系統220は、固体燃料およびアンモニア燃料を混焼させて生成される排ガスを処理して大気中に放出する系統である。
【0038】
図3に示すように、排ガス処理系統220は、第1熱交換器221と、第2熱交換器222と、電気集塵機223と、脱硫装置(脱硫部)224と、煙突225と、を有する。また、
図3に示すように、本実施形態のボイラシステム100は、アンモニア気化器231と、アンモニア予熱器232と、熱媒体加熱器233と、第1循環系統240と、第2循環系統250と、を備える。
【0039】
第1熱交換器221は、ボイラ10から排出される排ガスと、第1循環系統240および第2循環系統250を流通する熱媒体(例えば、水)との熱交換をする装置である。第1熱交換器221は、ボイラ10から排出される排ガスを合流位置P1から分岐位置P2に向けて導かれる熱媒体により冷却し、電気集塵機223へ供給する。また、第1熱交換器221は、合流位置P1から導入される熱媒体を排ガスにより加熱して分岐位置P2へ導く。
【0040】
第2熱交換器222は、脱硫装置224を通過した排ガスと第1熱交換器221により加熱された熱媒体との熱交換をする装置である。第2熱交換器222は、脱硫装置224を通過した排ガスを分岐位置P2から導かれる熱媒体で加熱し、煙突225へ供給する。また、第2熱交換器222は、分岐位置P2から導かれる熱媒体を排ガスにより冷却して合流位置P1へ導く。
【0041】
第1熱交換器221と第2熱交換器222は、ボイラ10から排出される未処理の排ガスと脱硫装置224を通過した排ガスとを、互いに直接的に接触することなく熱媒体を介して間接的に熱交換させるノンリーク式のガス-ガスヒータを構成する。
【0042】
電気集塵機223は、排ガスに含まれる煤塵に電荷を与え、集塵極に電気的に引き寄せることで煤塵を捕集する装置である。電気集塵機223は、ボイラ10と脱硫装置224との間に配置される。電気集塵機223の集塵性能は、排ガス中の煤塵の電気抵抗値が増加するのに応じて低下する。これは、煤塵の電気抵抗値が排ガスの温度の上昇に応じて高くなると、集塵極への煤塵の付着力が強くなって逆電離現象が生じるからである。
【0043】
脱硫装置224は、第1熱交換器221を通過した排ガスに含まれる硫黄酸化物(二酸化硫黄等)を除去する装置である。脱硫装置224は、排ガスをアルカリ剤のスラリーや吸収剤(例えば、水)に接触させることにより、排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する。湿式の脱硫装置224を通過する際に、排ガスの温度が低下する。
【0044】
排ガスの温度が所定の温度よりも低い場合、煙突から225から排出される際に排ガスが露点を下回って、排ガス中の水蒸気が凝縮し白煙が発生してしまう。白煙の発生を避けるため、脱硫装置224を通過した排ガスを第2熱交換器222で加熱してから煙突225へ供給する。煙突225は、脱硫装置224を通過し、第2熱交換器222で加熱された排ガスを大気中へ放出する。
【0045】
第1循環系統240は、第1熱交換器221と第2熱交換器222との間で熱媒体を循環させる。第1循環系統240は、熱媒体を、合流位置P1から第1熱交換器221を経由して分岐位置P2へ導き、第2熱交換器222を経由して再び合流位置P1へ導くように循環させる。熱媒体は、第1循環系統240に配置される循環ポンプ241を動作させることにより第1循環系統240を循環する。
【0046】
第2循環系統250は、第1熱交換器221とアンモニア気化器231との間で熱媒体を循環させる。第2循環系統250は、熱媒体を、合流位置P1から第1熱交換器221を経由して分岐位置P2へ導き、アンモニア気化器231を経由して再び合流位置P1へ導くように循環させる。熱媒体は、第2循環系統250に配置される循環ポンプ251を動作させることにより第2循環系統250を循環する。
【0047】
アンモニア気化器231は、第1燃料供給系統210を流通する液体のアンモニア燃料を気化させる装置であり、例えば、シェルアンドチューブ式の熱交換器である。アンモニア気化器231には、第1熱交換器221で排ガスにより加熱され、更に熱媒体加熱器233で加熱された熱媒体が供給される。
【0048】
アンモニアタンク260に貯留された液体のアンモニア燃料は、給送ポンプ211により給送され、燃料供給配管210aを流通する。燃料供給配管210aを流通する液体のアンモニア燃料は、アンモニア気化器231に導かれる。アンモニア気化器231は、第2循環系統250を流通する熱媒体との熱交換により第1燃料供給系統210を流通する液体のアンモニア燃料を気化させる。アンモニア気化器231は、第1燃料供給系統210を流通する液体のアンモニア燃料との熱交換により第2循環系統250を流通する熱媒体を冷却する。
【0049】
アンモニア気化器231で気化されたアンモニア燃料は、アンモニア燃料バーナ210Aに供給される。第1燃料供給系統210からアンモニア燃料バーナ210Aへアンモニア燃料を供給する供給状態と、第1燃料供給系統210からアンモニア燃料バーナ210Aへアンモニア燃料を供給しない遮断状態とは、バーナ弁210Bにより切り替えられる。
【0050】
アンモニア予熱器232は、アンモニア気化器231へ供給される液体のアンモニア燃料を海水で予熱する装置であり、例えば、シェルアンドチューブ式の熱交換器である。アンモニア予熱器232には、海水が供給される。燃料供給配管210aを流通する液体のアンモニア燃料は、アンモニア予熱器232に導かれる。
【0051】
アンモニア予熱器232は、海水との熱交換により第1燃料供給系統210を流通する液体のアンモニア燃料を予熱する。なお、アンモニア気化器231に導かれる熱媒体の温度がアンモニアタンク260からアンモニア気化器231に導かれるアンモニア燃料を気化させるのに十分な温度である場合には、アンモニア予熱器232を設けないようにしてもよい。
【0052】
熱媒体加熱器233は、第2循環系統250に配置され、第1熱交換器221からアンモニア気化器231へ供給される熱媒体をボイラ10で生成される蒸気により加熱する装置である。熱媒体加熱器233には、ボイラ10から抽気ライン233aを介して蒸気が抽気される。なお、分岐位置P2から第2循環系統250に導かれる熱媒体の温度がアンモニア気化器231でアンモニア燃料を気化させるのに十分な温度である場合には、熱媒体加熱器233を設けないようにしてもよい。
【0053】
アンモニア気化器231およびアンモニア予熱器232が配置される燃料供給配管210aにおいて、アンモニア気化器231とバーナ弁210Bとの間には、温度センサ(検出部)281および圧力センサ(検出部)282が配置されている。温度センサ281は、アンモニア気化器231を通過したアンモニア燃料の温度を検出するセンサである。圧力センサ282は、アンモニア気化器231を通過したアンモニア燃料の圧力を検出するセンサである。また、第1熱交換器221を通過した排ガスの温度を検出する温度センサ283と、脱硫装置224を通過した排ガスの温度を検出する温度センサ284が配置されている。
【0054】
図3に示すように、本実施形態のボイラシステム100は、循環ポンプ241および循環ポンプ251を含むボイラシステム100の各部を制御する制御部270を備える。温度センサ281が検出するアンモニア燃料の温度、圧力センサ282が検出するアンモニア燃料の圧力、温度センサ283,284が検出する排ガスの温度は、制御部270に伝達される。
【0055】
制御部270は、温度センサ283が検出する排ガスの温度が検出する温度が所定の目標温度(例えば、90℃程度あるいは90℃を中心とした温度範囲)となり、かつ温度センサ284が検出する排ガスの温度が検出する温度が所定の下限温度(例えば、90℃)以上となるように、循環ポンプ241の吐出量を制御する。制御部270は、温度センサ283が検出する排ガスの温度が検出する温度が所定の目標温度を上回る場合、あるいは温度センサ284が検出する排ガスの温度が検出する温度が所定の下限温度を下回る場合は、第1循環系統240を循環する熱媒体の流量が増加するように循環ポンプ241の吐出量を制御する。
【0056】
制御部270は、温度センサ281が検出するアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲(目標値)となるように循環ポンプ251の吐出量を制御する。制御部270は、温度センサ281が検出するアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲を下回る場合、アンモニア気化器231に供給される熱媒体の流量が多くなるように、循環ポンプ251の吐出量を増加させる。また、制御部270は、温度センサ281が検出するアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲を上回る場合、アンモニア気化器231に供給される熱媒体の流量が少なくなるように、循環ポンプ251の吐出量を減少させる。
【0057】
制御部270は、圧力センサ282が検出する圧力が所定の目標圧力範囲(目標値)となるように循環ポンプ251の吐出量を制御する。制御部270は、圧力センサ282が検出するアンモニア燃料の圧力が所定の目標圧力範囲を下回る場合、アンモニア気化器231に供給される熱媒体の流量が多くなるように、循環ポンプ251の吐出量を増加させる。また、制御部270は、圧力センサ282が検出するアンモニア燃料の圧力が所定の目標圧力範囲を上回る場合、アンモニア気化器231に供給される熱媒体の流量が少なくなるように、循環ポンプ251の吐出量を減少させる。
【0058】
制御部270は、温度センサ281が検出するアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲を下回る場合において、循環ポンプ251の吐出量を増加させるだけでは、温度センサ281が検出するアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲とならない場合は、抽気ライン233aを介してボイラ10から熱媒体加熱器233へ蒸気を供給する。同様に、制御部270は、圧力センサ282が検出するアンモニア燃料の圧力が所定の目標圧力範囲を下回る場合において、循環ポンプ251の吐出量を増加させるだけでは、圧力センサ282が検出するアンモニア燃料の圧力が所定の目標圧力範囲とならない場合は、抽気ライン233aを介してボイラ10から熱媒体加熱器233へ蒸気を供給する。
【0059】
以上において、制御部270は、温度センサ281が検出したアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲(目標値)となり、圧力センサ282が検出する圧力が所定の目標圧力範囲(目標値)となるように循環ポンプ251の吐出量を制御するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、制御部270は、温度センサ281が検出したアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲(目標値)をとなるか、または圧力センサ282が検出する圧力が所定の目標圧力範囲(目標値)となるように循環ポンプ251の吐出量を制御してもよい。
【0060】
また、本実施形態のボイラシステム100は、温度センサ281および圧力センサ282を備えるものとしたが、温度センサ281または圧力センサ282のいずれか一方のみを備えるものであってもよい。ボイラシステム100が温度センサ281のみを備える場合、制御部270は、温度センサ281が検出したアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲(目標値)となるように循環ポンプ241および循環ポンプ251の吐出量を制御する。ボイラシステム100が圧力センサ282のみを備える場合、制御部270は、圧力センサ282が検出したアンモニア燃料の圧力が所定の目標圧力範囲(目標値)となるように循環ポンプ241および循環ポンプ251の吐出量を制御する。
【0061】
以上で説明した本実施形態のボイラシステム100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態のボイラシステム100によれば、アンモニア燃料バーナ210Aがアンモニア燃料を燃焼させ、微粉燃料バーナ21が固体燃料を燃焼させることにより、ボイラ10で蒸気が生成される。ボイラ10から排出された排ガスは、第1熱交換器221において熱媒体との熱交換により冷却され、湿式の脱硫装置224に導入される。湿式の脱硫装置224において硫黄酸化物を除去する際に排ガスの温度が低下するが、第2熱交換器222を通過する際に排ガスが加熱される。脱硫装置224を通過した低温の排ガスを加熱することで、白煙の発生を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態のボイラシステム100によれば、第1熱交換器221と第2熱交換器222との間で熱媒体を循環させる第1循環系統240を有するため、第1熱交換器221が高温の排ガスから回収した熱により脱硫装置224を通過した低温の排ガスを適切に加熱することができる。また、第1熱交換器221とアンモニア気化器231との間で熱媒体を循環させる第2循環系統250を有するため、第1熱交換器221により加熱された熱媒体を液体のアンモニアにより冷却して第1熱交換器221による排ガスの冷却性能を高めることができる。したがって、本実施形態のボイラシステム100によれば、固体燃料とアンモニア燃料を混焼させる際に排ガスの温度が上昇することを抑制することができる。特に、ボイラ10でのアンモニア混焼率を増加させる際には、ボイラ10における火炎輻射の低下に伴う収熱状態の変化により、ボイラ10出口の排ガス温度が上昇することが予想されるため有効である。
【0063】
また、本実施形態のボイラシステム100によれば、電気集塵機223によりボイラ10から排出される排ガスに含まれる煤塵を適切に除去することができる。また、固体燃料とアンモニア燃料を混焼させる際に排ガスの温度が上昇することが抑制されるため、排ガス中の煤塵の電気抵抗値が増加して電気集塵機223の集塵性能が低下することが防止される。
【0064】
また、本実施形態のボイラシステム100によれば、アンモニア気化器231へ供給される液体のアンモニア燃料を海水で予熱することができるため、ボイラシステム100の熱効率を向上させることができる。
【0065】
また本実施形態のボイラシステム100によれば、第1熱交換器221からアンモニア気化器231へ供給される熱媒体の熱量が液体のアンモニア燃料を気化させるのに十分な熱量でない場合には、熱媒体加熱器233において、アンモニア気化器231へ供給される熱媒体を、ボイラ10で生成される蒸気により補助的に加熱して不足する熱量を補うことができる。
【0066】
〔第2実施形態〕
以下に、本開示の第2実施形態に係るボイラシステム100Aについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0067】
第1実施形態のボイラシステム100は、熱媒体加熱器233がボイラ10から抽気される蒸気により第1熱交換器221から導入される熱媒体を加熱し、アンモニア気化器231へ供給するものであった。それに対して、本実施形態のボイラシステム100Aは、ボイラ10から抽気される蒸気をアンモニア気化器231へ直接的に供給するものである。
【0068】
図4は、本開示の第2実施形態に係るボイラシステム100Aにおける第1燃料供給系統210および排ガス処理系統220を示す概略構成図である。
図4に示すように、本実施形態のボイラシステム100Aは、第1実施形態のボイラシステム100が備える熱媒体加熱器233を備えない。本実施形態のボイラシステム100Aは、ボイラ10からアンモニア気化器231へ蒸気を抽気する抽気ライン231aを有する。
【0069】
アンモニア気化器231は、第2循環系統250を流通する熱媒体およびボイラ10で生成される蒸気との熱交換により第1燃料供給系統210を流通する液体のアンモニア燃料を気化させる。なお、制御部270は、温度センサ281が検出するアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲を下回る場合に、抽気ライン231aを介してボイラ10からアンモニア気化器231へ蒸気を抽気するよう制御弁231bを制御する。また、制御部270は、温度センサ281が検出するアンモニア燃料の温度が所定の目標温度範囲である場合は、抽気ライン231aを介してボイラ10からアンモニア気化器231へ蒸気を抽気しないよう制御弁231bを制御する。
【0070】
本実施形態のボイラシステム100Aによれば、第1熱交換器221からアンモニア気化器231へ供給される熱媒体の熱量が液体のアンモニア燃料を気化させるのに十分な熱量でない場合には、ボイラ10で生成される蒸気をアンモニア気化器231へ供給することにより、不足する熱量を補うことができる。
【0071】
以上説明した各実施形態に記載のボイラシステムおよびボイラシステムの運転方法は例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るボイラシステム(100)は、アンモニアを含む第1燃料を燃焼させる第1バーナ(210A)と、アンモニアを含まない第2燃料を燃焼させる第2バーナ(21)とを有するボイラ(10)と、前記第1バーナへ前記第1燃料を供給する第1燃料供給系統(210)と、前記第2バーナへ前記第2燃料を供給する第2燃料供給系統(22A,22B,22C)と、前記ボイラから排出される排ガスと熱媒体との熱交換をする第1熱交換器(221)と、前記第1熱交換器を通過した前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する湿式の脱硫部(224)と、前記脱硫部を通過した前記排ガスと前記第1熱交換器により加熱された前記熱媒体との熱交換をする第2熱交換器(222)と、前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料を気化させるアンモニア気化器(231)と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記熱媒体を循環させる第1循環系統(240)と、前記第1熱交換器と前記アンモニア気化器との間で前記熱媒体を循環させる第2循環系統(250)と、を備え、前記アンモニア気化器は、前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料との熱交換により前記第2循環系統を流通する前記熱媒体を冷却する。
【0072】
本開示の第1態様に係るボイラシステムによれば、第1バーナが第1燃料を燃焼させ、第2バーナが第2燃料を燃焼させることにより、ボイラで蒸気が生成される。ボイラから排出された排ガスは、第1熱交換器において熱媒体との熱交換により冷却され、湿式の脱硫部に導入される。湿式の脱硫部において硫黄酸化物を除去する際に排ガスの温度が低下するが、第2熱交換器を通過する際に排ガスが加熱される。脱硫部を通過した低温の排ガスを加熱することで、白煙の発生を抑制することができる。
【0073】
本開示の第1態様に係るボイラシステムによれば、第1熱交換器と第2熱交換器との間で熱媒体を循環させる第1循環系統を有するため、第1熱交換器が高温の排ガスから回収した熱により脱硫部を通過した低温の排ガスを適切に加熱することができる。また、第1熱交換器とアンモニア気化器との間で熱媒体を循環させる第2循環系統を有するため、第1熱交換器により加熱された熱媒体を液体の第1燃料により冷却して第1熱交換器による排ガスの冷却性能を高めることができる。したがって、本開示の第1態様に係るボイラシステムによれば、第2燃料と第1燃料を混焼させる際に排ガスの温度が上昇することを抑制することができる。
【0074】
本開示の第2態様に係るボイラシステムは、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記ボイラと前記脱硫部との間に配置され、前記ボイラから排出される前記排ガスに含まれる煤塵を除去する電気集塵機(223)を備える。
【0075】
本開示の第2態様に係るボイラシステムによれば、電気集塵機によりボイラから排出される排ガスに含まれる煤塵を適切に除去することができる。また、第2燃料と第1燃料を混焼させる際に排ガスの温度が上昇することが抑制されるため、排ガス中の煤塵の電気抵抗値が増加して電気集塵装置の集塵性能が低下することが防止される。
【0076】
本開示の第3態様に係るボイラシステムは、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記アンモニア気化器へ供給される液体の前記第1燃料を海水で予熱するアンモニア予熱器(232)を備える。
【0077】
本開示の第3態様に係るボイラシステムによれば、アンモニア気化器へ供給される液体の第1燃料を海水で予熱することができるため、ボイラシステムの熱効率を向上させることができる。
【0078】
本開示の第4態様に係るボイラシステムは、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2循環系統に配置され、前記第1熱交換器から前記アンモニア気化器へ供給される前記熱媒体を前記ボイラで生成される蒸気により加熱する熱媒体加熱器(233)を備える。
【0079】
本開示の第4態様に係るボイラシステムによれば、第1熱交換器からアンモニア気化器へ供給される熱媒体の熱量が液体の第1燃料を気化させるのに十分な熱量でない場合には、熱媒体加熱器において、アンモニア気化器へ供給される熱媒体をボイラで生成される蒸気により加熱して不足する熱量を補うことができる。
【0080】
本開示の第5態様に係るボイラシステムは、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記アンモニア気化器は、前記第2循環系統を流通する前記熱媒体および前記ボイラで生成される蒸気との熱交換により前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料を気化させる。
【0081】
本開示の第5態様に係るボイラシステムによれば、第1熱交換器からアンモニア気化器へ供給される熱媒体の熱量が液体の第1燃料を気化させるのに十分な熱量でない場合には、ボイラで生成される蒸気をアンモニア気化器へ供給することにより、不足する熱量を補うことができる。
【0082】
本開示の第6態様に係るボイラシステムの運転方法において、前記ボイラシステムは、アンモニアを含む第1燃料を燃焼させる第1バーナと、アンモニアを含まない第2燃料を燃焼させる第2バーナとを有するボイラと、前記第1バーナへ前記第1燃料を供給する第1燃料供給系統と、前記ボイラから排出される排ガスと熱媒体との熱交換をする第1熱交換器と、前記第1熱交換器を通過した前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する湿式の脱硫部と、前記脱硫部を通過した前記排ガスと前記第1熱交換器により加熱された前記熱媒体との熱交換をする第2熱交換器と、前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料を気化させるアンモニア気化器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で前記熱媒体を循環させる第1循環系統と、前記第1熱交換器と前記アンモニア気化器との間で前記熱媒体を循環させる第2循環系統と、を備え、前記第1燃料供給系統を流通する液体の前記第1燃料との熱交換により前記第2循環系統を流通する前記熱媒体を冷却する熱媒体冷却工程を備える。
【0083】
本開示の第6態様に係るボイラシステムの運転方法によれば、第1バーナが第1燃料を燃焼させ、第2バーナが第2燃料を燃焼させることにより、ボイラで蒸気が生成される。ボイラから排出された排ガスは、第1熱交換器において熱媒体との熱交換により冷却され、湿式の脱硫部に導入される。湿式の脱硫部において硫黄酸化物を除去する際に排ガスの温度が低下するが、第2熱交換器を通過する際に排ガスが加熱される。脱硫部を通過した低温の排ガスを加熱することで、下流側機器における水分の結露による腐食を防止できるとともに、白煙の発生を抑制することができる。
【0084】
本開示の第6態様に係るボイラシステムの運転方法によれば、第1熱交換器と第2熱交換器との間で熱媒体を循環させる第1循環系統を有するため、第1熱交換器が高温の排ガスから回収した熱により脱硫部を通過した低温の排ガスを適切に加熱することができる。また、第1熱交換器とアンモニア気化器との間で熱媒体を循環させる第2循環系統を有するため、第1熱交換器により加熱された熱媒体を液体のアンモニアにより冷却して第1熱交換器による排ガスの冷却性能を高めることができる。したがって、本開示の第7態様に係るボイラシステムの運転方法によれば、第2燃料と第1燃料を混焼させる際に排ガスの温度が上昇することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0085】
10 ボイラ
20 燃焼装置
21 微粉燃料バーナ(第2バーナ)
31 微粉燃料供給部
100,100A ボイラシステム
210 第1燃料供給系統
210A アンモニア燃料バーナ(第1バーナ)
210B バーナ弁
210a 燃料供給配管
211 給送ポンプ
220 排ガス処理系統
221 第1熱交換器
222 第2熱交換器
223 電気集塵機
224 脱硫装置
225 煙突
231 アンモニア気化器
231a 抽気ライン
231b 制御弁
232 アンモニア予熱器
233 熱媒体加熱器
233a 抽気ライン
240 第1循環系統
241 循環ポンプ
250 第2循環系統
251 循環ポンプ
260 アンモニアタンク
270 制御部
281 温度センサ
282 圧力センサ
283,284 温度センサ
L1 給水ライン
L2 ドレン水ライン
L3 蒸気ライン
L4 蒸気ライン
L5 蒸気ライン
P1 合流位置
P2 分岐位置