(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175409
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ロボット用吸着ハンド、ロボットおよび廃棄物処理システム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
B25J15/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093180
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕
(72)【発明者】
【氏名】川本 直哉
(72)【発明者】
【氏名】香山 実希
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS15
3C707BS26
3C707CV07
3C707CW07
3C707FS01
3C707KS03
3C707KT01
3C707KT06
3C707LW12
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】廃棄物同士が衝突することを回避することが可能で、かつ、複数の廃棄物を吸着して処理能力を向上させることが可能なロボット用吸着ハンドを提供する。
【解決手段】このロボット用吸着ハンド80は、廃棄物としてのビンBを吸着する第1吸着部81と、第1吸着部81の周りに配置され、廃棄物としてのビンBを吸着する第2吸着部82と、第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構83と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を吸着する第1吸着部と、
前記第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する第2吸着部と、
前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構と、を備える、ロボット用吸着ハンド。
【請求項2】
前記水平移動機構は、前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に水平方向の第1方向に移動させる第1水平移動機構と、前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に前記第1方向に交差する水平方向の第2方向に移動させる第2水平移動機構と、を含む、請求項1に記載のロボット用吸着ハンド。
【請求項3】
前記第1方向は、前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ基準状態において前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ方向に直交する方向に沿った方向であり、
前記第2方向は、前記基準状態において前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ方向に沿った方向である、請求項2に記載のロボット用吸着ハンド。
【請求項4】
前記第1水平移動機構を支持する支持部をさらに備え、
前記第1水平移動機構は、前記第2水平移動機構を支持し、
前記第2水平移動機構は、前記第2吸着部を支持する、請求項2に記載のロボット用吸着ハンド。
【請求項5】
前記第2吸着部は、複数設けられており、
前記水平移動機構は、前記複数の第2吸着部の各々に対して設けられている、請求項1に記載のロボット用吸着ハンド。
【請求項6】
前記複数の第2吸着部の2つは、前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ基準状態において前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ方向に沿った方向において、前記第1吸着部に対して両側に配置されている、請求項5に記載のロボット用吸着ハンド。
【請求項7】
ロボットアームと、
前記ロボットアームの先端に接続されたロボット用吸着ハンドと、を備え、
前記ロボット用吸着ハンドは、廃棄物を吸着する第1吸着部と、前記第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する第2吸着部と、前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構と、を含む、ロボット。
【請求項8】
廃棄物を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される廃棄物を撮像する撮像部と、
前記搬送部により搬送される廃棄物を仕分けするロボットと、
前記ロボットによる廃棄物の仕分け動作を制御する制御部と、を備え、
前記ロボットは、ロボットアームと、前記ロボットアームの先端に接続されたロボット用吸着ハンドと、を含み、
前記ロボット用吸着ハンドは、廃棄物を吸着する第1吸着部と、前記第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する第2吸着部と、前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構と、を有する、廃棄物処理システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記第1吸着部が吸着する第1廃棄物の吸着点を取得するとともに、取得した前記第1廃棄物の吸着点の周辺領域に前記第2吸着部による吸着可能範囲を設定し、設定した前記吸着可能範囲内に前記第1廃棄物とは異なる第2廃棄物の吸着点が存在する場合、前記第1吸着部および前記第2吸着部の両方に負圧を発生させるとともに、設定した前記吸着可能範囲内に前記第2廃棄物の吸着点が存在しない場合、前記第2吸着部には負圧を発生させずに前記第1吸着部に負圧を発生させる制御を行う、請求項8に記載の廃棄物処理システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記吸着可能範囲内に前記第2廃棄物の吸着点が存在する場合、前記水平移動機構により前記吸着可能範囲内の前記第2廃棄物の吸着点に対応する位置に前記第2吸着部を移動させて、前記第2吸着部により前記第2廃棄物を吸着する制御を行う、請求項9に記載の廃棄物処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ロボット用吸着ハンド、ロボットおよび廃棄物処理システムに関し、特に、廃棄物を吸着するロボット用吸着ハンド、ロボットおよび廃棄物処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物を吸着するロボット用吸着ハンドが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、廃棄物を吸着するロボットハンドが開示されている。このロボットハンドは、ロボットアームの先端に取り付けられる回転体と、回転体に取り付けられるとともに廃棄物を吸着する複数の保持部とを備える。また、複数の保持部の各々は、回転体の回転軸の方向から見て、等間隔に放射状に配置されているとともに、回転体の回転軸に対して、外側に傾斜した姿勢で取り付けられている。このロボットハンドでは、まず、1つの保持部が1つ目の廃棄物を保持する。そして、1つの保持部が1つ目の廃棄物を保持した状態で、回転体が回転した後、他の保持部が、2つ目の廃棄物を保持する。このロボットハンドでは、複数の廃棄物を個別に連続的に吸着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたロボットハンドでは、複数の廃棄物を吸着して処理能力を向上させることが可能である一方、回転体を回転させながら複数の廃棄物を個別に連続的に吸着するため、2つ目以降の廃棄物を吸着する際に、吸着済みの廃棄物と次の吸着対象の廃棄物とが衝突するおそれがあるという問題点がある。
【0006】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、廃棄物同士が衝突することを回避することが可能で、かつ、複数の廃棄物を吸着して処理能力を向上させることが可能なロボット用吸着ハンド、ロボットおよび廃棄物処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この開示の第1の局面によるロボット用吸着ハンドは、廃棄物を吸着する第1吸着部と、第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する第2吸着部と、第1吸着部に対して第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構と、を備える。
【0008】
この開示の第1の局面によるロボット用吸着ハンドでは、第1吸着部に対して第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構を設ける。これにより、水平移動機構により第1吸着部に対して第2吸着部を相対的に水平方向に移動させることにより、第1吸着部と第2吸着部との相対的な位置を変化させることができるので、別々の廃棄物を同時に吸着可能な位置に第1吸着部と第2吸着部とを配置させることができる。その結果、第1吸着部と第2吸着部とにより複数の廃棄物を同時に吸着することができるので、複数の廃棄物を個別に連続的に吸着する場合と異なり、吸着済みの廃棄物と次の吸着対象の廃棄物とが衝突することがない。これにより、廃棄物同士が衝突することを回避することが可能で、かつ、複数の廃棄物を吸着して処理能力を向上させることができる。また、ロボットが廃棄物同士が衝突したことに起因して動作を停止する構成である場合、第1の局面によるロボット用吸着ハンドでは、廃棄物同士が衝突することを回避することにより、ロボットの停止を回避することができる。
【0009】
上記目的を達成するために、この開示の第2の局面によるロボットは、ロボットアームと、ロボットアームの先端に接続されたロボット用吸着ハンドと、を備え、ロボット用吸着ハンドは、廃棄物を吸着する第1吸着部と、第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する第2吸着部と、第1吸着部に対して第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構と、を含む。
【0010】
この開示の第2の局面によるロボットでは、第1吸着部に対して第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構を設ける。これにより、水平移動機構により第1吸着部に対して第2吸着部を相対的に水平方向に移動させることにより、第1吸着部と第2吸着部との相対的な位置を変化させることができるので、別々の廃棄物を同時に吸着可能な位置に第1吸着部と第2吸着部とを配置させることができる。その結果、第1吸着部と第2吸着部とにより複数の廃棄物を同時に吸着することができるので、複数の廃棄物を個別に連続的に吸着する場合と異なり、吸着済みの廃棄物と次の吸着対象の廃棄物とが衝突することがない。これにより、廃棄物同士が衝突することを回避することが可能で、かつ、複数の廃棄物を吸着して処理能力を向上させることが可能なロボットを提供することができる。また、ロボットが廃棄物同士が衝突したことに起因して動作を停止する構成である場合、第2の局面によるロボットでは、廃棄物同士が衝突することを回避することにより、ロボットの停止を回避することができる。
【0011】
上記目的を達成するために、この開示の第3の局面による廃棄物処理システムは、廃棄物を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される廃棄物を撮像する撮像部と、搬送部により搬送される廃棄物を仕分けするロボットと、ロボットによる廃棄物の仕分け動作を制御する制御部と、を備え、ロボットは、ロボットアームと、ロボットアームの先端に接続されたロボット用吸着ハンドと、を含み、ロボット用吸着ハンドは、廃棄物を吸着する第1吸着部と、第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する第2吸着部と、第1吸着部に対して第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構と、を有する。
【0012】
この開示の第3の局面による廃棄物処理システムでは、第1吸着部に対して第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構を設ける。これにより、水平移動機構により第1吸着部に対して第2吸着部を相対的に水平方向に移動させることにより、第1吸着部と第2吸着部との相対的な位置を変化させることができるので、別々の廃棄物を同時に吸着可能な位置に第1吸着部と第2吸着部とを配置させることができる。その結果、第1吸着部と第2吸着部とにより複数の廃棄物を同時に吸着することができるので、複数の廃棄物を個別に連続的に吸着する場合と異なり、吸着済みの廃棄物と次の吸着対象の廃棄物とが衝突することがない。これにより、廃棄物同士が衝突することを回避することが可能で、かつ、複数の廃棄物を吸着して処理能力を向上させることが可能な廃棄物処理システムを提供することができる。また、ロボットが廃棄物同士が衝突したことに起因して動作を停止する構成である場合、第3の局面による廃棄物処理システムでは、廃棄物同士が衝突することを回避することにより、ロボットの停止を回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、上記のように、廃棄物同士が衝突することを回避することが可能で、かつ、複数の廃棄物を吸着して処理能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の一実施形態による廃棄物処理システムが設けられた廃棄物処理施設の全体構成を示した図である。
【
図2】本開示の一実施形態によるロボットが設けられた廃棄物処理システムの概略を示した平面図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるロボットが設けられた廃棄物処理システムの制御的な構成を示したブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態によるロボットを示した側面図である。
【
図5】本開示の一実施形態によるロボット用吸着ハンドを示した斜視図である。
【
図6】本開示の一実施形態によるロボット用吸着ハンドを示した上面図である。
【
図7】本開示の一実施形態によるロボット用吸着ハンドを示した側面図である。
【
図8】本開示の一実施形態による第1吸着部を示した断面図である。
【
図9】本開示の一実施形態による廃棄物処理システムの廃棄物の吸着点の取得を説明するための図である。
【
図10】本開示の一実施形態による廃棄物処理システムの第1吸着部および第2吸着部により吸着する廃棄物の判断を説明するための図である。
【
図11】本開示の一実施形態による廃棄物処理システムの第1吸着部および第2吸着部により廃棄物を吸着する際の第2吸着部の動作を説明するための図である。
【
図12】本開示の一実施形態による廃棄物処理システムのシステム制御部による廃棄物吸着処理を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図12のステップS3の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1~
図13を参照して、本開示の一実施形態による廃棄物処理システム100の構成について説明する。
【0017】
(廃棄物処理施設の全体構成)
図1に示すように、本開示の一実施形態による廃棄物処理システム100は、廃棄物処理施設200に設けられている。廃棄物処理施設200では、収集された廃棄物を仕分け処理するように構成されている。具体的には、廃棄物処理施設200では、廃棄物としてのビンB(
図2参照)が仕分けられて、仕分けられたビンBがそれぞれ処理される。廃棄物処理施設200は、不適物除去部210と、コンテナ反転装置220と、コンテナ搬送部230aと、ビン搬送部230bと、コンテナ洗浄部240と、を備えている。
【0018】
不適物除去部210では、コンテナ201に収容された廃棄物から、ビンB以外の廃棄物としての不適物が作業者Wにより除去される。不適物は、たとえば、ペットボトルなどのプラスチックごみや、金属ごみなどである。なお、不適物除去部210では、不適物が完全に取り除かれなくてもよい。つまり、不適物除去部210では、ビンB以外の廃棄物のうち目立つものが取り除かれる。不適物が除去されたコンテナ201は、コンテナ搬送部230aによりコンテナ反転装置220に搬送される。
【0019】
コンテナ反転装置220は、コンテナ201を反転させて、コンテナ201内に収容された廃棄物としてのビンBをビン搬送部230b上に移す。コンテナ反転装置220により反転されたコンテナ201は、コンテナ搬送部230aにより再び搬送されて、コンテナ洗浄部240に移動される。コンテナ洗浄部240は、コンテナ201を洗浄するように構成されている。
【0020】
ビン搬送部230bは、廃棄物としてのビンBを廃棄物処理システム100に向けて搬送するように構成されている。ビン搬送部230bは、コンテナ201内に収容された廃棄物としてのビンBが搬入される下層階から、廃棄物処理システム100の仕分け作業が行われる上層階に、廃棄物としてのビンBを搬送する。
【0021】
(廃棄物処理システムの構成)
廃棄物処理システム100では、廃棄物としてのビンB(
図2参照)が、ガラスの色毎に仕分けられて処理される。つまり、廃棄物は、複数の色のビンBを含んでいる。また、廃棄物は、互いに異なる形状のビンBを含んでいる。また、廃棄物は、互いに異なる大きさのビンBを含んでいる。そして、廃棄物処理システム100では、ビンBの大きさおよび形状に関わらず、ビンBが色毎に仕分けられる。たとえば、廃棄物処理システム100では、ビンBが、茶色、無色、緑や青などのその他の色の色毎に収容部50に仕分けられる。なお、廃棄物処理システム100では、茶色、無色、緑、およびその他の色に色毎にビンBが仕分けられてもよい。収容部50は、その他の色のカレット(ガラス屑)が仕分けられるカレット収容部51と、茶色のカレットが仕分けられるカレット収容部52と、無色のカレットが仕分けられるカレット収容部53と、割れ等により仕分けられなかった残渣が収容される残渣収容部54とを含んでいる。収容部50は、仕分け作業が行われる上層階に対して、下層階に配置されている。つまり、仕分けられた廃棄物としてのビンBは、下層階に落とされて、収容部50に収容される。
【0022】
廃棄物処理システム100は、作業者Wとロボット20とが協働して廃棄物としてのビンBを仕分けるように構成されている。廃棄物処理システム100は、搬送部10と、ロボット20と、を備えている。搬送部10は、複数種類の廃棄物としてのビンBを搬送するように構成されている。搬送部10は、コンベアにより構成されている。ロボット20は、搬送部10により搬送される廃棄物としてのビンBを仕分けするとともに、作業者Wと協働可能に構成されている。
【0023】
また、廃棄物処理システム100は、
図2に示すように、システム制御部30と、撮像部40と、複数のシュート50aと、シュート50bおよび50cと、センサ60と、仕切部70と、を備えている。なお、システム制御部30は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0024】
ロボット20は、ロボット制御部21と、複数(2つ)のロボットアーム22および23と、を含んでいる。
【0025】
ロボット制御部21は、ロボットアーム22および23の動作を制御するように構成されている。具体的には、
図3に示すように、ロボット制御部21は、中央演算処理装置としてのCPU21aと、不揮発性のメモリ21bと、を含んでいる。ロボット制御部21は、CPU21aによりメモリ21bに記憶されているプログラムを実行することにより、ロボットアーム22および23の動作を制御するように構成されている。
【0026】
また、ロボット制御部21は、システム制御部30から送信される位置情報を含む仕分け指令に基づいて、廃棄物としてのビンBを色に応じて仕分けるロボットアーム22および23の動作を制御するように構成されている。つまり、ロボット制御部21は、システム制御部30から送信される仕分け指令に基づいて、ロボットアーム22および23を、ビンBを保持する位置に移動させるように制御するように構成されている。また、ロボット制御部21は、アーム駆動部22aの駆動を制御して、ロボットアーム22の動作を制御するように構成されている。また、ロボット制御部21は、アーム駆動部23aの駆動を制御して、ロボットアーム23の動作を制御するように構成されている。アーム駆動部22aおよび23aの各々は、モータと、モータの駆動量(回転角度)を検出するためのエンコーダと、を含んでいる。また、モータおよびエンコーダを含むアーム駆動部22aおよび23aの各々は、ロボットアーム22および23の各々の複数の関節毎に設けられている。
【0027】
図4に示すように、ロボットアーム22は、リンク221と、リンク222と、上下移動部223とを有している。上下移動部223には、ロボット用吸着ハンド80aが取り付けられている。ロボットアーム22は、リンク221が基部20aに対して回転軸線A1を中心に回転するように構成されている。また、ロボットアーム22は、リンク222がリンク221に対して回転軸線A2を中心に回転するように構成されている。これにより、ロボットアーム22は、回転軸線A1およびA2において各リンクを回転させることにより、ロボット用吸着ハンド80aを、所望の水平方向の位置に移動させることが可能である。ロボットアーム22は、上下移動部223がリンク222に対してA3方向に上下移動するように構成されている。これにより、ロボットアーム22は、ロボット用吸着ハンド80aを、所望の高さ位置に移動させることが可能である。
【0028】
ロボットアーム23は、リンク231と、リンク232と、上下移動部233とを有している。上下移動部233には、ロボット用吸着ハンド80bが取り付けられている。ロボットアーム23は、リンク231が基部20aに対して回転軸線A1を中心に回転するように構成されている。また、ロボットアーム23は、リンク232がリンク231に対して回転軸線A4を中心に回転するように構成されている。これにより、ロボットアーム23は、回転軸線A1およびA4において各リンクを回転させることにより、ロボット用吸着ハンド80bを、所望の水平方向の位置に移動させることが可能である。ロボットアーム23は、上下移動部233がリンク232に対してA5方向に上下移動するように構成されている。これにより、ロボットアーム23は、ロボット用吸着ハンド80bを、所望の高さ位置に移動させることが可能である。
【0029】
また、ロボットアーム22および23は、互いに干渉しないように、駆動するように構成されている。
【0030】
システム制御部30は、撮像部40により撮像した廃棄物の画像に基づいて、機械学習を用いて、廃棄物を判別して、ロボット20により廃棄物の仕分けを行わせるように構成されている。具体的には、システム制御部30は、機械学習を用いて、ビンBの色を判別して、ロボット20により廃棄物としてのビンBを色に応じて仕分けさせるように構成されている。
【0031】
図3に示すように、システム制御部30は、中央演算処理装置としてのCPU31と、不揮発性のメモリ32と、を含んでいる。システム制御部30は、CPU31によりメモリ32に記憶されているプログラムを実行して、処理を行うように構成されている。
【0032】
システム制御部30は、撮像部40により撮像した廃棄物の画像に基づいて、機械学習を用いて、廃棄物を判別するとともに、判別した廃棄物の位置を特定する。また、システム制御部30は、判別した廃棄物の位置情報を含む仕分け指令をロボット制御部21に送信する。
【0033】
システム制御部30は、撮像部40による撮像処理を制御する。システム制御部30は、撮像部40により、搬送部10上の廃棄物を所定時間毎に撮像する。また、システム制御部30は、撮像部40により撮像した廃棄物の画像を取得する。
【0034】
システム制御部30は、搬送部10のコンベヤ軸に設置したエンコーダの信号に基づいて搬送部10の搬送速度を取得する。また、システム制御部30は、搬送部10の搬送速度に同期させるようにして、ロボットアーム22および23の搬送部10の流れ方向の動作を制御する。なお、システム制御部30は、搬送部10による廃棄物の搬送速度を所定の速度となるように制御してもよい。また、システム制御部30は、搬送部10の搬送速度と、撮像部40により撮像した画像に基づく廃棄物の位置情報とに基づいて、ロボットアーム22または23により取り上げる廃棄物の位置情報(座標情報)および保持するタイミングの情報(時間情報)を算出して、仕分け指令として、ロボット制御部21に送信する。
【0035】
なお、廃棄物を判別するための機械学習は、予め、複数の種類のビンBが撮像された画像と、この画像に対して人がビンBの色を教示した教示情報と、に基づいて行われる。この機械学習は、システム制御部30により予め行われてもよいし、別の制御部により行われた上で、機械学習の結果がシステム制御部30に反映されてもよい。
【0036】
図2に示すように、撮像部40は、搬送部10により搬送される廃棄物を撮像するように構成されている。撮像部40は、搬送部10の上方に設けられている。また、撮像部40は、搬送部10の搬送方向において、ロボット20よりも上流側に設けられている。撮像部40は、1回の撮像により撮像範囲40aを撮像するように構成されている。撮像部40は、撮像した画像を、システム制御部30に送信するように構成されている。撮像部40は、搬送部10の搬送速度に応じて、時間間隔をあけて撮像するように構成されている。
【0037】
シュート50aは、作業者Wにより仕分けられた廃棄物としてのビンBが投入されるように構成されている。シュート50aは、カレット収容部51、52または53などの対応する収容部50に接続されており、投入された廃棄物としてのビンBを対応する収容部50に導くように構成されている。シュート50aは、搬送部10に対して、作業者Wの作業位置とは反対側に設けられている。
【0038】
シュート50bおよび50cは、ロボット20により仕分けられた廃棄物としてのビンBが投入されるように構成されている。シュート50bおよび50cは、それぞれ、カレット収容部51、52または53などの対応する収容部50に接続されており、投入された廃棄物を対応する収容部50に導くように構成されている。シュート50bおよび50cは、ロボット20の側方に設けられている。シュート50bは、ロボット20のロボットアーム22側に設けられている。シュート50cは、ロボット20のロボットアーム23側に設けられている。また、ロボット20の複数のロボットアーム22および23は、互いに異なるシュート50bおよび50cに廃棄物としてのビンBを仕分けるように構成されている。具体的には、ロボットアーム22は、シュート50bに廃棄物としてのビンBを仕分けるように構成されている。また、ロボットアーム23は、シュート50cに廃棄物としてのビンBを仕分けるように構成されている。
【0039】
センサ60は、ロボット20の動作範囲の境界近傍に設けられている。また、センサ60は、ロボット20の動作範囲内への作業者Wの侵入を検知するように構成されている。
【0040】
仕切部70は、ロボット20の動作範囲の一部の境界近傍に設けられている。仕切部70は、ロボット20の動作範囲内に作業者Wが侵入しないように、空間を仕切っている。仕切部70は、搬送部10の搬送方向と交差する水平方向および上下方向に沿って延びるように配置されている。仕切部70は、搬送部10に対して上方に離間した位置に配置されている。これにより、搬送部10と仕切部70との間を廃棄物が通過することが可能である。また、仕切部70は、透明な部材により形成されている。これにより、搬送部10により搬送される廃棄物を、作業者Wが目視により確認することが可能である。たとえば、仕切部70は、透明なアクリル板を含んでいる。
【0041】
(ロボット用吸着ハンドの構成)
ロボットアーム22の先端に接続されたロボット用吸着ハンド80aと、ロボットアーム23の先端に接続されたロボット用吸着ハンド80bとは、同様の構成を有している。以下では、ロボット用吸着ハンド80aおよび80bを、ロボット用吸着ハンド80として、まとめて説明する。
【0042】
なお、以下では、互いに直交する2つの水平方向をそれぞれX方向およびY方向とする。また、X方向の一方をX1方向とし、X方向の他方をX2方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。X方向およびY方向は、ロボット用吸着ハンド80を基準とした方向である。また、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向とし、下方向をZ2方向とする。
【0043】
ロボット用吸着ハンド80は、廃棄物としてのビンBを吸着して保持するように構成されている。ロボット用吸着ハンド80は、下方の先端部に発生させる負圧により、廃棄物としてのビンBを吸着するように構成されている。ロボット用吸着ハンド80は、負圧発生器24a、24bおよび24c(
図3参照)により負圧が発生させられる。
【0044】
ここで、本実施形態では、
図5および
図6に示すように、ロボット用吸着ハンド80は、廃棄物としてのビンBを吸着する第1吸着部81と、第1吸着部81の周りに配置され、廃棄物としてのビンBを吸着する第2吸着部82と、第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構83と、を備える。また、第2吸着部82は、複数(2つ)設けられており、水平移動機構83は、複数の第2吸着部82の各々に対して設けられている。また、複数の第2吸着部82の2つは、第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶ基準状態において第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶY方向に沿った方向において、第1吸着部81に対して両側に配置されている。なお、第1吸着部81は、ロボット用吸着ハンド80において位置が固定されており、第2吸着部82とは異なり移動しない。
【0045】
第1吸着部81は、パッド部81aと、支持軸部81bとを含む。パッド部81aは、廃棄物としてのビンBに接触して吸着する。パッド部81aは、第1吸着部81のZ2方向側の先端に設けられている。パッド部81aは、蛇腹形状である。また、パッド部81aは、弾性変形可能なゴムなどの材料により形成されており、伸縮可能である。支持軸部81bは、Z2方向側の先端にパッド部81aが取り付けられている。支持軸部81bは、Z方向に沿って延びるように設けられている。
【0046】
複数の第2吸着部82の各々は、パッド部82aと、支持軸部82bとを含む。パッド部82aは、廃棄物としてのビンBに接触して吸着する。パッド部82aは、第2吸着部82のZ2方向側の先端に設けられている。パッド部82aは、蛇腹形状である。また、パッド部82aは、弾性変形可能なゴムなどの材料により形成されており、伸縮可能である。支持軸部82bは、Z2方向側の先端にパッド部82aが取り付けられている。支持軸部82bは、Z方向に沿って延びるように設けられている。
【0047】
複数の水平移動機構83の各々は、第1水平移動機構83aと、第2水平移動機構83bとを含む。第1水平移動機構83aは、第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に水平方向の第1方向に移動させる。第2水平移動機構83bは、第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に第1方向に交差する水平方向の第2方向に移動させる。第1方向は、第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶ基準状態において第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶY方向に直交するX方向に沿った方向である。また、第2方向は、基準状態において第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶY方向に沿った方向である。また、第1方向は、搬送部10の搬送方向に直交する方向に沿った方向でもある。また、第2方向は、搬送部10の搬送方向に沿った方向でもある。
【0048】
第1水平移動機構83aは、X方向に沿って延びるボールねじ軸831と、ボールねじ軸831を回転駆動するステッピングモータとしての第1軸モータ832と、ボールねじ軸831に係合するボールナットに接続されるとともにX方向に沿って移動可能な支持部833とを有する。第1水平移動機構83aは、第1軸モータ832によりボールねじ軸831を回転駆動することにより、ボールナットと共に支持部833をX方向に沿って移動させる。
【0049】
また、第2水平移動機構83bは、Y方向に沿って延びる軸部834と、軸部834をリニア駆動する超音波モータとしての第2軸モータ835と、軸部834の先端側に接続されるとともにY方向に沿って移動可能な支持部836とを有する。第2水平移動機構83bは、第2軸モータ835により軸部834をリニア駆動することにより、軸部834に接続される支持部836をY方向に沿って移動させる。また、第2水平移動機構83bは、Y方向に沿って延びる支持体837をさらに有する。支持体837は、第2軸モータ835を支持するモータ支持部837aと、支持部836を下方から支持するとともにY方向に沿ってガイドするレール部837bとを有する。また、第2軸モータ835を小型軽量な超音波モータとして構成することにより、第2軸モータ835をステッピングモータとして構成する場合に比べて、ロボット用吸着ハンド80の重量を抑制することが可能である。
【0050】
また、本実施形態では、ロボット用吸着ハンド80は、支持部84をさらに備える。支持部84は、第1水平移動機構83aを支持している。具体的には、支持部84は、平面視においてX方向およびY方向に延びる矩形の板形状であり、第1水平移動機構83aをZ2方向側から支持している。また、平面視において支持部84の中央には、第1吸着部81が配置されている。また、平面視において支持部84の外側のY方向の両側には、複数の第2吸着部82の2つが配置されている。また、支持部84に支持される第1水平移動機構83aは、第2水平移動機構83bを支持している。具体的には、第1水平移動機構83aの支持部833は、第2水平移動機構83bの支持体837をZ2方向側から支持している。また、第2水平移動機構83bは、第2吸着部82を支持している。具体的には、第2水平移動機構83bの支持部836は、支持部836を貫通する第2吸着部82の支持軸部82bを支持している。
【0051】
第1水平移動機構83aにおいて、第1軸モータ832によりボールねじ軸831が回転駆動されると、支持部833がX方向に沿って移動される。これにより、支持部833に支持される第2水平移動機構83bがX方向に沿って移動されるとともに、第2水平移動機構83bに支持される第2吸着部82がX方向に沿って第1方向に移動される。また、第2水平移動機構83bにおいて、第2軸モータ835により軸部834がリニア駆動されると、支持部836がY方向に沿って移動される。これにより、支持部836に支持される第2吸着部82がY方向に沿って第2方向に移動される。この際、レール部837bにより支持部836の移動がガイドされる。また、X方向に離間した一対のレール部837bの間の空間を、第2吸着部82の支持軸部82bが移動される。
【0052】
また、第1水平移動機構83aによる第2吸着部82の第1方向の移動可能距離は、第2水平移動機構83bによる第2吸着部82の第2方向の移動可能距離よりも大きい。しかしながら、各水平移動機構による第2吸着部82の移動可能距離は、特に限定されない。第1水平移動機構83aによる第2吸着部82の第1方向の移動可能距離が、第2水平移動機構83bによる第2吸着部82の第2方向の移動可能距離よりも大きくてもよいし、第1水平移動機構83aによる第2吸着部82の第1方向の移動可能距離と、第2水平移動機構83bによる第2吸着部82の第2方向の移動可能距離とが等しくてもよい。
【0053】
また、Y1方向側の水平移動機構83は、第1吸着部81に対してY1方向側において、Y1方向側の第2吸着部82を水平方向に移動させる。具体的には、Y1方向側の水平移動機構83は、支持部84のY1方向側でかつ平面視において支持部84とオーバーラップしない領域において、Y1方向側の第2吸着部82を水平方向に移動させる。また、Y2方向側の水平移動機構83は、第1吸着部81に対してY2方向側において、Y2方向側の第2吸着部82を水平方向に移動させる。具体的には、Y2方向側の水平移動機構83は、支持部84のY2方向側でかつ平面視において支持部84とオーバーラップしない領域において、Y2方向側の第2吸着部82を水平方向に移動させる。Y1方向側の第2吸着部82およびY2方向側の第2吸着部82は、互いに独立して水平方向に移動することが可能である。
【0054】
また、
図7に示すように、Y1方向側の第1水平移動機構83aと、Y1方向側の第2水平移動機構83bの一部とは、X2方向側の側方から見て、第1吸着部81と、Y1方向側の第2吸着部82との間に配置されている。また、Y2方向側の第1水平移動機構83aと、Y2方向側の第2水平移動機構83bの一部とは、X2方向側の側方から見て、第1吸着部81と、Y2方向側の第2吸着部82との間に配置されている。
【0055】
また、第1吸着部81および複数の第2吸着部82の各々は、互いに独立して負圧を発生させることが可能に構成されている。具体的には、第1吸着部81および複数の第2吸着部82の各々には、負圧を伝達する流路が設けられている。より具体的には、第1吸着部81のパッド部81aの内側には、負圧を伝達する流路811が設けられている。また、第1吸着部81の支持軸部81bの内側には、負圧を伝達する流路812が設けられている。流路811は、流路812に接続されている。また、流路812は、チューブなどを介して、負圧発生器24a(
図3参照)に接続されている。負圧発生器24aは、流路812および811を介して、第1吸着部81に負圧を発生させる。これにより、パッド部81aにより廃棄物としてのビンBを吸着して保持することが可能である。
【0056】
また、複数の第2吸着部82の各々のパッド部82aの内側には、負圧を伝達する流路821が設けられている。また、複数の第2吸着部82の各々の支持軸部82bの内側には、負圧を伝達する流路822が設けられている。流路821は、流路822に接続されている。
【0057】
また、Y1方向側の第2吸着部82の流路822は、チューブなどを介して、負圧発生器24b(
図3参照)に接続されている。負圧発生器24bは、Y1方向側の第2吸着部82の流路822および821を介して、Y1方向側の第2吸着部82に負圧を発生させる。これにより、Y1方向側の第2吸着部82のパッド部82aにより廃棄物としてのビンBを吸着して保持することが可能である。
【0058】
また、Y2方向側の第2吸着部82の流路822は、チューブなどを介して、負圧発生器24c(
図3参照)に接続されている。負圧発生器24cは、Y2方向側の第2吸着部82の流路822および821を介して、Y2方向側の第2吸着部82に負圧を発生させる。これにより、Y2方向側の第2吸着部82のパッド部82aにより廃棄物としてのビンBを吸着して保持することが可能である。
【0059】
また、第1吸着部81および複数の第2吸着部82の各々のパッド部は、互いに独立してZ方向に移動することが可能に構成されている。これにより、第1吸着部81および複数の第2吸着部82の各々に、異なる大きさの廃棄物としてのビンBを吸着させることが可能である。
【0060】
具体的には、
図7および
図8に示すように、第1吸着部81の支持軸部81bは、パッド部81aのZ1方向の移動を許容するバッファ部として機能する。支持軸部81bは、固定部813と、固定部813に対してZ方向に移動可能な可動部814と、固定部813と可動部814との間に設けられて固定部813に対して可動部814をZ2方向に付勢する付勢部815とを有する。パッド部81aを介して可動部814がZ1方向に押された場合、圧縮コイルばねとしての付勢部815がZ1方向に圧縮されることにより、可動部814がZ1方向に移動する。これにより、パッド部81aのZ1方向の移動が許容される。また、パッド部81aを介して可動部814がZ1方向に押される状態が解除された場合、付勢部815がZ2方向に可動部814を付勢することにより、可動部814がZ2方向に移動する。これにより、パッド部81aが元の位置に戻る。
【0061】
また、複数の第2吸着部82の各々の支持軸部82bは、パッド部82aのZ1方向の移動を許容するバッファ部として機能する。支持軸部82bは、固定部823と、固定部823に対してZ方向に移動可能な可動部824と、固定部823と可動部824との間に設けられて固定部823に対して可動部824をZ2方向に付勢する付勢部825とを有する。パッド部82aを介して可動部824がZ1方向に押された場合、圧縮コイルばねとしての付勢部825がZ1方向に圧縮されることにより、可動部824がZ1方向に移動する。これにより、パッド部82aのZ1方向の移動が許容される。また、パッド部82aを介して可動部824がZ1方向に押される状態が解除された場合、付勢部825がZ2方向に可動部824を付勢することにより、可動部824がZ2方向に移動する。これにより、パッド部82aが元の位置に戻る。なお、
図8では、便宜上、第1吸着部81の構成のみを示しているが、複数の第2吸着部82の各々の構成も同様である。
【0062】
(廃棄物の吸着制御の構成)
図9~
図11を参照して、システム制御部30による廃棄物としてのビンBの吸着制御の構成について説明する。
【0063】
図9に示すように、システム制御部30は、撮像部40により撮像した廃棄物としてのビンBの画像に基づいて、廃棄物としてのビンBの吸着点Pを取得する。具体的には、システム制御部30は、撮像部40により撮像した画像を取得する。そして、システム制御部30は、人口知能により推論して、廃棄物としてのビンBに対してヒートマップHを作成する。ヒートマップHは、廃棄物としてのビンBの中心と推論される部分に対して値が大きくなるように作成される。廃棄物としてのビンBの中心とは、たとえば、ビンBの重心である。また、システム制御部30は、取得したヒートマップHに基づいて、廃棄物の吸着点Pを取得する。具体的には、システム制御部30は、ヒートマップHの値が大きい場所を、廃棄物の吸着点Pに設定する。なお、ヒートマップの値は、しきい値により処理される。また、システム制御部30は、取得した吸着点Pに基づいて、ロボット20により廃棄物としてのビンBの仕分けを行わせる。つまり、システム制御部30は、吸着点Pに基づく廃棄物としてのビンBの位置情報を、ロボット制御部21に送信する。
【0064】
また、本実施形態では、
図10に示すように、システム制御部30は、撮像部40により撮像された画像に基づいて、第1吸着部81が吸着する第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1を取得するとともに、取得した第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1の周辺領域に第2吸着部82による吸着可能範囲Rを設定し、設定した吸着可能範囲R内に第1廃棄物としてのビンB1とは異なる第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、第1吸着部81および第2吸着部82の両方に負圧を発生させるとともに、設定した吸着可能範囲R内に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在しない場合、第2吸着部82には負圧を発生させずに第1吸着部81に負圧を発生させる制御を行う。
【0065】
具体的には、システム制御部30は、第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1に対して、ロボット用吸着ハンド80におけるY方向に沿った方向の両側に対応する周辺領域に、それぞれ、Y1方向側の第2吸着部82による吸着可能範囲R1、および、Y2方向側の第2吸着部82による吸着可能範囲R2を設定する。吸着可能範囲R1は、Y1方向側の水平移動機構83によりY1方向側の第2吸着部82が移動して廃棄物としてのビンBを吸着することが可能な範囲である。また、吸着可能範囲R1は、Y2方向側の水平移動機構83によりY2方向側の第2吸着部82が移動して廃棄物としてのビンBを吸着することが可能な範囲である。システム制御部30は、第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1を第1吸着部81により吸着すると仮定して、仮定した吸着点P1の位置に対して吸着可能範囲R1およびR2を設定する。
【0066】
そして、システム制御部30は、吸着可能範囲R1およびR2内に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在するか否かを判断する。システム制御部30は、吸着可能範囲R1およびR2の両方に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、第1吸着部81、Y1方向側の第2吸着部82、および、Y2方向側の第2吸着部82に負圧を発生させる制御を行う。
【0067】
また、システム制御部30は、吸着可能範囲R1およびR2のうちの吸着可能範囲R1のみに第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、Y2方向側の第2吸着部82には負圧を発生させずに、第1吸着部81、および、Y1方向側の第2吸着部82に負圧を発生させるように、負圧発生器24a、24bおよび24cを制御する。また、システム制御部30は、吸着可能範囲R1およびR2のうちの吸着可能範囲R2のみに第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、Y1方向側の第2吸着部82には負圧を発生させずに、第1吸着部81、および、Y2方向側の第2吸着部82に負圧を発生させる制御を行う。
【0068】
また、システム制御部30は、吸着可能範囲R1およびR2の両方に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在しない場合、Y1方向側の第2吸着部82、および、Y2方向側の第2吸着部82には負圧を発生させずに、第1吸着部81に負圧を発生させる制御を行う。
【0069】
また、本実施形態では、
図11に示すように、システム制御部30は、吸着可能範囲R内に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、水平移動機構83により吸着可能範囲R内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2に対応する位置に第2吸着部82を移動させて、第2吸着部82により第2廃棄物としてのビンB2を吸着する制御を行う。なお、
図11では、便宜上、第1吸着部81を実線の丸印により示すとともに、移動前の第2吸着部82を破線の丸印により示し、移動後の第2吸着部82を実線の丸印により示している。
【0070】
具体的には、システム制御部30は、吸着可能範囲R1およびR2の両方に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、Y1方向側の水平移動機構83により吸着可能範囲R1内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2に対応する位置に、Y1方向側の第2吸着部82を移動させるとともに、Y2方向側の水平移動機構83により吸着可能範囲R2内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2に対応する位置に、Y2方向側の第2吸着部82を移動させる制御を行う。そして、システム制御部30は、第1吸着部81、Y1方向側の第2吸着部82、および、Y2方向側の第2吸着部82により、第1廃棄物としての1つのビンB1と、第2廃棄物としての2つのビンB2とを同時に吸着する制御を行う。
【0071】
また、システム制御部30は、吸着可能範囲R1およびR2のうちの吸着可能範囲R1のみに第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、Y1方向側の水平移動機構83により吸着可能範囲R1内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2に対応する位置に、Y1方向側の第2吸着部82を移動させる制御を行う。そして、システム制御部30は、第1吸着部81、および、Y1方向側の第2吸着部82により、第1廃棄物としての1つのビンB1と、第2廃棄物としての1つのビンB2とを同時に吸着する制御を行う。
【0072】
また、システム制御部30は、吸着可能範囲R1およびR2のうちの吸着可能範囲R2のみに第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、Y2方向側の水平移動機構83により吸着可能範囲R2内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2に対応する位置に、Y2方向側の第2吸着部82を移動させる制御を行う。そして、システム制御部30は、第1吸着部81、および、Y2方向側の第2吸着部82により、第1廃棄物としての1つのビンB1と、第2廃棄物としての1つのビンB2とを同時に吸着する制御を行う。
【0073】
また、システム制御部30は、吸着可能範囲R1およびR2の両方に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在しない場合、Y1方向側の水平移動機構83によるY1方向側の第2吸着部82、および、Y2方向側の水平移動機構83によるY2方向側の第2吸着部82の各々の移動を行わずに、第1吸着部81により、第1廃棄物としての1つのビンB1を吸着する制御を行う。
【0074】
また、システム制御部30は、ロボット用吸着ハンド80により廃棄物としてのビンBを吸着する際、ロボットアーム22または23により、ロボット用吸着ハンド80を廃棄物としてのビンBに向かって下降させる制御を行う。この際、第1吸着部81および第2吸着部82の各々のパッド部が廃棄物としてのビンBに接触するが、第1吸着部81および第2吸着部82の各々の支持軸部がバッファ部として機能することにより、接触したビンBの大きさに応じた移動量でパッド部がZ1方向に移動される。このため、第1吸着部81および第2吸着部82の各々が吸着する廃棄物としてのビンBの大きさが互いに異なっていたとしても、第1吸着部81および第2吸着部82により、互いに大きさが異なる複数のビンBを同時に吸着することが可能である。
【0075】
また、ロボット用吸着ハンド80により廃棄物としてのビンBを吸着する際に、水平移動機構83による第2吸着部82の移動が行われる場合には、ロボットアーム22または23によるロボット用吸着ハンド80の移動と、水平移動機構83による第2吸着部82の移動とが並行して行われる。すなわち、ロボットアーム22または23により、ロボット用吸着ハンド80が吸着対象の廃棄物としてのビンBに向かって下降されながら、水平移動機構83により、第2吸着部82が吸着可能範囲R内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2に対応する位置に移動される。これにより、第1吸着部81および第2吸着部82により、複数のビンBを同時に吸着する動作をスムーズに行うことが可能である。
【0076】
(廃棄物吸着処理)
図12および
図13を参照して、本実施形態の廃棄物処理システム100のシステム制御部30による廃棄物吸着処理について説明する。
【0077】
図12に示すように、ステップS1において、撮像部40から、搬送部10上の廃棄物としてのビンBの画像が取得される。そして、ステップS2において、取得された画像に基づいて、廃棄物としてのビンBの種類と吸着点Pの位置とが推定されるとともに、取得された撮像画像と、推定された廃棄物としてのビンBの種類および位置とが保存される。
【0078】
そして、ステップS3において、取り位置が決定される。
【0079】
具体的には、
図13に示すように、ステップS31において、吸着可能範囲R1内に、第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在するか否かが判断される。吸着可能範囲R1内に吸着点P2が存在すると判断された場合、ステップS32に進む。
【0080】
そして、ステップS32において、吸着可能範囲R2内に、第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在するか否かが判断される。吸着可能範囲R2内に吸着点P2が存在すると判断された場合、ステップS33に進む。
【0081】
そして、ステップS33において、第1吸着部81、Y1方向側の第2吸着部82、および、Y2方向側の第2吸着部82に負圧が発生される。すなわち、第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1と、吸着可能範囲R1内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2と、吸着可能範囲R2内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2とが、取り位置として決定される。そして、ステップS4(
図12参照)に進む。
【0082】
また、ステップS32において、吸着可能範囲R2内に吸着点P2が存在しないと判断された場合、ステップS34に進む。
【0083】
そして、ステップS34において、第1吸着部81、および、Y1方向側の第2吸着部82に負圧が発生される。すなわち、第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1と、吸着可能範囲R1内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2とが、取り位置として決定される。そして、ステップS4(
図12参照)に進む。
【0084】
また、ステップS31において、吸着可能範囲R1内に吸着点P2が存在しないと判断された場合、ステップS35に進む。
【0085】
そして、ステップS35において、吸着可能範囲R2内に、第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在するか否かが判断される。吸着可能範囲R2内に吸着点P2が存在すると判断された場合、ステップS36に進む。
【0086】
そして、ステップS36において、第1吸着部81、および、Y2方向側の第2吸着部82に負圧が発生される。すなわち、第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1と、吸着可能範囲R2内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2とが、取り位置として決定される。そして、ステップS4(
図12参照)に進む。
【0087】
また、ステップS35において、吸着可能範囲R2内に吸着点P2が存在しないと判断された場合、ステップS37に進む。
【0088】
そして、ステップS37において、第1吸着部81に負圧が発生される。すなわち、第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1が、取り位置として決定される。そして、ステップS4(
図12参照)に進む。
【0089】
そして、
図12に示すように、ステップS4において、ステップS3の処理の結果に応じた吸着対象の廃棄物としてのビンBがロボット用吸着ハンド80により吸着される。この際、ロボットアーム22または23により、ロボット用吸着ハンド80が吸着対象の廃棄物としてのビンBに向かって移動される。また、ステップS3の処理の結果、第2吸着部82による廃棄物としてのビンBの吸着が行われることになっている場合には、ロボットアーム22または23によるロボット用吸着ハンド80の移動に並行して、水平移動機構83による第2吸着部82の移動が行われる。
【0090】
そして、ステップS5において、ロボットアーム22または23によりロボット用吸着ハンド80が移動されることにより、ロボット用吸着ハンド80により吸着した廃棄物としてのビンBがシュート50bまたは50cに回収されて処理される。また、廃棄物としてのビンBが処理された後、ビンBを処理したロボットアーム22または23が定位置に移動される。
【0091】
そして、ステップS6において、処理可能な廃棄物としてのビンBが他に存在するか否かが判断される。処理可能な廃棄物としてのビンBが他に存在すると判断された場合、ステップS3に戻る。そして、ステップS3~S6の処理が繰り返される。また、処理可能な廃棄物としてのビンBが他に存在しないと判断された場合、制御処理が終了される。
【0092】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0093】
本実施形態では、上記のように、第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構83を設ける。これにより、水平移動機構83により第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に水平方向に移動させることにより、第1吸着部81と第2吸着部82との相対的な位置を変化させることができるので、廃棄物としての別々のビンBを同時に吸着可能な位置に第1吸着部81と第2吸着部82とを配置させることができる。その結果、第1吸着部81と第2吸着部82とにより廃棄物としての複数のビンBを同時に吸着することができるので、廃棄物としての複数のビンBを個別に連続的に吸着する場合と異なり、吸着済みの廃棄物としてのビンBと次の吸着対象の廃棄物としてのビンBとが衝突することがない。これにより、廃棄物としてのビンB同士が衝突することを回避することが可能で、かつ、廃棄物としての複数のビンBを吸着して処理能力を向上させることができる。また、ロボット20が廃棄物としてのビンB同士が衝突したことに起因して動作を停止する構成である場合、本実施形態では、廃棄物としてのビンB同士が衝突することを回避することにより、ロボット20の停止を回避することができる。
【0094】
また、本実施形態では、上記のように、水平移動機構83は、第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に水平方向の第1方向に移動させる第1水平移動機構83aと、第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に第1方向に交差する水平方向の第2方向に移動させる第2水平移動機構83bと、を含む。これにより、第1方向と第2方向との2つの方向において第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に移動させることができるので、水平移動機構83が1つの方向のみにおいて第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に移動させる場合に比べて、第1吸着部81に対する第2吸着部82の相対移動の自由度を向上させることができる。
【0095】
また、本実施形態では、上記のように、第1方向は、第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶ基準状態において第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶ方向に直交する方向に沿った方向であり、第2方向は、基準状態において第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶ方向に沿った方向である。これにより、基準状態において第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶ方向に直交する方向に沿った方向と、基準状態において第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶ方向に沿った方向との2つの方向において、第1吸着部81に対して第2吸着部82を相対的に移動させることができるので、第1吸着部81に対する第2吸着部82の相対移動の自由度を効果的に向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、第1水平移動機構83aを支持する支持部84をさらに備え、第1水平移動機構83aは、第2水平移動機構83bを支持し、第2水平移動機構83bは、第2吸着部82を支持する。これにより、簡易な構成で第2吸着部82を支持して移動させることができるので、ロボット用吸着ハンド80の構成が複雑化することを抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、第2吸着部82は、複数設けられており、水平移動機構83は、複数の第2吸着部82の各々に対して設けられている。これにより、第1吸着部81と複数の第2吸着部82とにより、より多くの廃棄物としてのビンBを同時に吸着することができるので、廃棄物としてのビンB同士が衝突することを回避しながら、より多くの廃棄物としてのビンBを吸着して処理能力を向上させることができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、複数の第2吸着部82の2つは、第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶ基準状態において第1吸着部81と第2吸着部82とが並ぶ方向に沿った方向において、第1吸着部81に対して両側に配置されている。これにより、第1吸着部81に対して2つの第2吸着部82をバランスよく配置することができるので、第1吸着部81と2つの第2吸着部82とにより廃棄物としてのビンBをバランスよく吸着することができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、制御部としてのシステム制御部30は、撮像部40により撮像された画像に基づいて、第1吸着部81が吸着する第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1を取得するとともに、取得した第1廃棄物としてのビンB1の吸着点P1の周辺領域に第2吸着部82による吸着可能範囲Rを設定し、設定した吸着可能範囲R内に第1廃棄物としてのビンB1とは異なる第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、第1吸着部81および第2吸着部82の両方に負圧を発生させるとともに、設定した吸着可能範囲R内に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在しない場合、第2吸着部82には負圧を発生させずに第1吸着部81に負圧を発生させる制御を行う。これにより、吸着可能範囲R内に第1廃棄物としてのビンB1とは異なる第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、第1吸着部81および第2吸着部82の両方に負圧を発生させることにより、第1廃棄物としてのビンB1および第2廃棄物としてのビンB2の両方を吸着することができる。また、吸着可能範囲R内に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在しない場合、第2吸着部82には負圧を発生させずに第1吸着部81に負圧を発生させることにより、第2吸着部82に不必要に負圧を発生させずに第1廃棄物としてのビンB1を吸着することができる。
【0100】
また、本実施形態では、上記のように、制御部としてのシステム制御部30は、吸着可能範囲R内に第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2が存在する場合、水平移動機構83により吸着可能範囲R内の第2廃棄物としてのビンB2の吸着点P2に対応する位置に第2吸着部82を移動させて、第2吸着部82により第2廃棄物としてのビンB2を吸着する制御を行う。これにより、第1廃棄物としてのビンB1と第2廃棄物としてのビンB2とを同時に吸着可能な位置に第1吸着部81と第2吸着部82とを配置させた状態で、第1吸着部81と第2吸着部82とにより廃棄物としての複数のビンBを同時に吸着することができる。
【0101】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0102】
たとえば、上記一実施形態では、ロボットは、2つのロボットアームを備える構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ロボットは、1つまたは3つ以上のロボットアームを備える構成でもよい。また、ロボットアームは、垂直多関節型であってもよい。
【0103】
また、上記一実施形態では、ロボットが作業者と協働可能である構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ロボットは、作業者と協働可能でなくてもよい。
【0104】
また、上記一実施形態では、廃棄物としてのビンを色毎に仕分ける構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、廃棄物はビン以外であってもよい。たとえば、廃棄物は、プラスチック、金属、不燃ごみ、ペットボトル、または、缶であってもよい。また、廃棄物を素材や大きさごとに仕分けてもよい。
【0105】
また、上記一実施形態では、廃棄物を判別するシステム制御部と、ロボットの動作を制御するロボット制御部とが別個に設けられている構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、システム制御部とロボット制御部とを共通にして、廃棄物を判別するシステム制御部が、ロボットの動作を制御するようにしてもよい。
【0106】
また、上記一実施形態では、第1吸着部が水平方向に移動されない構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、第1吸着部が水平方向に移動されてもよい。
【0107】
また、上記一実施形態では、水平移動機構が第1水平移動機構と第2水平移動機構とを含み、水平移動機構により第2吸着部が2つの水平方向に移動される構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、水平移動機構により第2吸着部が1つまたは3つ以上の水平方向に移動されてもよい。
【0108】
また、上記一実施形態では、第1方向が基準状態において第1吸着部と第2吸着部とが並ぶ方向に直交する方向に沿った方向であり、第2方向が基準状態において第1吸着部と第2吸着部とが並ぶ方向に沿った方向である構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、第2吸着部を移動させることが可能であれば、第1方向および第2方向は、特に限定されない。
【0109】
また、上記一実施形態では、水平移動機構を支持する支持部が矩形の板形状である構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、水平移動機構を支持することが可能であれば、支持部の形状および大きさなどは特に限定されない。
【0110】
また、上記一実施形態では、支持部が第1水平移動機構を支持し、第1水平移動機構が第2水平移動機構を支持し、第2水平移動機構が第2吸着部を支持する構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、支持部が第2水平移動機構を支持し、第2水平移動機構が第1水平移動機構を支持し、第1水平移動機構が第2吸着部を支持してもよい。
【0111】
また、上記一実施形態では、1つの第1吸着部により1つの廃棄物を吸着する構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、複数の第1吸着部により1つの廃棄物を吸着してもよい。すなわち、2つ以上の第1吸着部を設けてもよい。この場合、複数の第1吸着部の周りに、第2吸着部が配置されることになる。また、複数の第1吸着部により1つの廃棄物を吸着する場合、吸着範囲を広くすることができるので、制御上と実際とで廃棄物の位置が多少ずれていたとしても、廃棄物を確実に吸着することが可能である。一方、上記実施形態のように、1つの第1吸着部により1つの廃棄物を吸着する場合、ロボット用吸着ハンドの重量を軽くすることが可能であるため、ロボットに重量の制限がある場合に有効である。
【0112】
また、上記一実施形態では、1つの第2吸着部により1つの廃棄物を吸着する構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、複数の第2吸着部により1つの廃棄物を吸着してもよい。この場合、1つの水平移動機構により複数の第2吸着部が水平方向に移動されることになる。たとえば、第1吸着部に対してY1方向側およびY2方向側の各々に複数ずつ第2吸着部を設けてもよい。また、複数の第2吸着部により1つの廃棄物を吸着する場合、吸着範囲を広くすることができるので、制御上と実際とで廃棄物の位置が多少ずれていたとしても、廃棄物を確実に吸着することが可能である。一方、上記実施形態のように、1つの第2吸着部により1つの廃棄物を吸着する場合、ロボット用吸着ハンドの重量を軽くすることが可能であるため、ロボットに重量の制限がある場合に有効である。
【0113】
また、上記一実施形態では、第1吸着部に対してY1方向側およびY2方向側に第2吸着部を配置する構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、第1吸着部に対して、X1方向側、X2方向側、または、X方向とY方向とのいずれにも交差する斜め方向側に第2吸着部を配置してもよい。
【0114】
また、上記一実施形態では、第1水平移動機構の駆動部をステッピングモータとし、第2水平移動機構の駆動部を超音波モータとする構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、第2吸着部を移動させることが可能であれば、第1水平移動機構および第2水平移動機構の各々の駆動部をどのようなモータとしてもよい。たとえば、第1水平移動機構の駆動部および第2水平移動機構の各々の駆動部をステッピングモータとしてもよいし、超音波モータとしてもよい。
【0115】
また、上記一実施形態では、廃棄物処理システムが設けられた廃棄物処理施設に、廃棄物がコンテナに入れられて回収されてくる構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、廃棄物はコンテナ以外に入れられて回収されてきてもよい。たとえば、廃棄物は、袋に入れられて回収されてきてもよいし、トラックなどに直接積み込まれて回収されてきてもよい。この場合、廃棄物処理システムの搬送部に廃棄物を投入するための前段階の構成は、廃棄物の回収形態に合わせて適宜変更してもよい。
【0116】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に用いられる。
【0117】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0118】
(項目1)
廃棄物を吸着する第1吸着部と、
前記第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する第2吸着部と、
前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構と、を備える、ロボット用吸着ハンド。
【0119】
(項目2)
前記水平移動機構は、前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に水平方向の第1方向に移動させる第1水平移動機構と、前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に前記第1方向に交差する水平方向の第2方向に移動させる第2水平移動機構と、を含む、項目1に記載のロボット用吸着ハンド。
【0120】
(項目3)
前記第1方向は、前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ基準状態において前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ方向に直交する方向に沿った方向であり、
前記第2方向は、前記基準状態において前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ方向に沿った方向である、項目2に記載のロボット用吸着ハンド。
【0121】
(項目4)
前記第1水平移動機構を支持する支持部をさらに備え、
前記第1水平移動機構は、前記第2水平移動機構を支持し、
前記第2水平移動機構は、前記第2吸着部を支持する、項目2または3に記載のロボット用吸着ハンド。
【0122】
(項目5)
前記第2吸着部は、複数設けられており、
前記水平移動機構は、前記複数の第2吸着部の各々に対して設けられている、項目1~4のいずれか1項に記載のロボット用吸着ハンド。
【0123】
(項目6)
前記複数の第2吸着部の2つは、前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ基準状態において前記第1吸着部と前記第2吸着部とが並ぶ方向に沿った方向において、前記第1吸着部に対して両側に配置されている、項目5に記載のロボット用吸着ハンド。
【0124】
(項目7)
ロボットアームと、
前記ロボットアームの先端に接続されたロボット用吸着ハンドと、を備え、
前記ロボット用吸着ハンドは、廃棄物を吸着する第1吸着部と、前記第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する第2吸着部と、前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構と、を含む、ロボット。
【0125】
(項目8)
廃棄物を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される廃棄物を撮像する撮像部と、
前記搬送部により搬送される廃棄物を仕分けするロボットと、
前記ロボットによる廃棄物の仕分け動作を制御する制御部と、を備え、
前記ロボットは、ロボットアームと、前記ロボットアームの先端に接続されたロボット用吸着ハンドと、を含み、
前記ロボット用吸着ハンドは、廃棄物を吸着する第1吸着部と、前記第1吸着部の周りに配置され、廃棄物を吸着する第2吸着部と、前記第1吸着部に対して前記第2吸着部を相対的に水平方向に移動させる水平移動機構と、を有する、廃棄物処理システム。
【0126】
(項目9)
前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記第1吸着部が吸着する第1廃棄物の吸着点を取得するとともに、取得した前記第1廃棄物の吸着点の周辺領域に前記第2吸着部による吸着可能範囲を設定し、設定した前記吸着可能範囲内に前記第1廃棄物とは異なる第2廃棄物の吸着点が存在する場合、前記第1吸着部および前記第2吸着部の両方に負圧を発生させるとともに、設定した前記吸着可能範囲内に前記第2廃棄物の吸着点が存在しない場合、前記第2吸着部には負圧を発生させずに前記第1吸着部に負圧を発生させる制御を行う、項目8に記載の廃棄物処理システム。
【0127】
(項目10)
前記制御部は、前記吸着可能範囲内に前記第2廃棄物の吸着点が存在する場合、前記水平移動機構により前記吸着可能範囲内の前記第2廃棄物の吸着点に対応する位置に前記第2吸着部を移動させて、前記第2吸着部により前記第2廃棄物を吸着する制御を行う、項目9に記載の廃棄物処理システム。
【符号の説明】
【0128】
10 搬送部
20 ロボット
22、23 ロボットアーム
30 システム制御部(制御部)
40 撮像部
80、80a、80b ロボット用吸着ハンド
81 第1吸着部
82 第2吸着部
83 水平移動機構
83a 第1水平移動機構
83b 第2水平移動機構
84 支持部
100 廃棄物処理システム
P、P1、P2 吸着点
B、B1、B2 ビン(廃棄物、第1廃棄物、第2廃棄物)
R、R1、R2 吸着可能範囲