(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175412
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】パネルの製造方法およびパネル
(51)【国際特許分類】
B32B 3/18 20060101AFI20241211BHJP
B32B 37/14 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B32B3/18
B32B37/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093185
(22)【出願日】2023-06-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、防衛装備庁、請負事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西部 浩司
(72)【発明者】
【氏名】堀苑 英毅
(72)【発明者】
【氏名】岡 功介
(72)【発明者】
【氏名】石田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】田悟 友晴
(72)【発明者】
【氏名】加茂 宗太
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AG00
4F100AG00B
4F100AK01
4F100AK01B
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100AT00B
4F100BA03
4F100BA06
4F100CA23
4F100CA23B
4F100CB00B
4F100DC01
4F100DC01B
4F100DC11B
4F100DC21B
4F100DG01
4F100DG01B
4F100DJ01
4F100DJ01B
4F100EH31
4F100EH31B
4F100EJ08A
4F100EJ08C
4F100EJ42A
4F100EJ42B
4F100EJ42C
4F100EJ82
4F100JB13A
4F100JB13C
4F100JK01
4F100JK01B
4F100JK07B
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】締結孔の周囲を補強する樹脂の強度を良好に確保可能なパネルの提供。
【解決手段】複数の空洞を有するコア10の両面に外板20が固定されたパネル100の製造方法は、コア10に対して、パネル100に形成する締結孔30の形成位置を含む範囲に、貫通孔12を形成する貫通孔形成ステップと、貫通孔12に少なくとも短繊維を含む強化繊維としてのガラスフィラー14を含む樹脂13を充填する充填ステップと、コア10の両面に外板20を配置し、コア10と外板20とに加熱処理を施し、コア10と外板20とを接合してパネル化するパネル化ステップと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空洞を有するコアの両面に外板が固定されたパネルの製造方法であって、
前記コアに対して、前記パネルに形成する締結孔の形成位置を含む範囲に、貫通孔を形成する貫通孔形成ステップと、
前記貫通孔に少なくとも短繊維を含む強化繊維を含む樹脂を充填する充填ステップと、
前記コアの両面に前記外板を配置し、前記コアと前記外板とに加熱処理を施し、前記コアと前記外板とを接合してパネル化するパネル化ステップと、
を備えることを特徴とするパネルの製造方法。
【請求項2】
前記強化繊維の重量は、前記強化繊維を含む前記樹脂の全体の重量に対して、1%以上5%未満であることを特徴とする請求項1に記載のパネルの製造方法。
【請求項3】
前記充填ステップは、前記樹脂を複数回に分けて充填することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルの製造方法。
【請求項4】
前記コアは、コア基材がハニカムコアおよび発泡コアのいずれか一方であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルの製造方法。
【請求項5】
前記外板は、繊維強化複合材であり、
前記パネル化ステップは、加熱処理によりプリプレグの状態の前記外板を硬化させる処理を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルの製造方法。
【請求項6】
前記貫通孔形成ステップは、1つの前記締結孔の前記形成位置を囲む範囲に前記貫通孔を形成するステップであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルの製造方法。
【請求項7】
前記充填ステップの前に、前記貫通孔の内部に弾性体を配置する弾性体配置ステップをさらに備え、
前記充填ステップは、前記弾性体配置ステップの後、前記弾性体の周囲に前記強化繊維を含む前記樹脂を充填させるステップであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルの製造方法。
【請求項8】
前記貫通孔の内面に発泡剤を含む接着剤を配置する接着剤配置ステップと、
前記接着剤の内側にダミーコアを配置するダミーコア配置ステップと、
前記接着剤を硬化させる硬化ステップと、
前記貫通孔の内部から前記ダミーコアを取り除くダミーコア除去ステップと、
をさらに備え、
前記充填ステップは、前記ダミーコア除去ステップの後、前記接着剤の内側に前記強化繊維を含む前記樹脂を充填させるステップであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルの製造方法。
【請求項9】
前記パネル化ステップの後、前記樹脂が充填された前記貫通孔の位置において、前記コアと前記外板とを貫通する前記締結孔を形成する締結孔形成ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルの製造方法。
【請求項10】
前記強化繊維は、ガラスフィラーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパネルの製造方法。
【請求項11】
複数の空洞を有するコアと、
前記コアの両面に固定された外板と、
を備え、
前記コアは、締結孔の形成位置を含む範囲に貫通孔が形成されており、
前記貫通孔には、少なくとも短繊維を含む強化繊維を含む樹脂が充填されている、
ことを特徴とするパネル。
【請求項12】
前記樹脂が充填された前記貫通孔の位置において、前記コアと前記外板とを貫通する前記締結孔をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載のパネル。
【請求項13】
前記強化繊維は、ガラスフィラーであることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルの製造方法およびパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被締結部材を他の構造体に締結具によって締結するための技術が知られている。例えば、特許文献1には、繊維強化樹脂製構造体に設けられたボルト等の締結用具挿通孔の内部に、高弾性率の連続繊維を巻回して配置する締結部構造が開示されている。また、特許文献2には、樹脂をマトリックスとして強化繊維を含有し、板状に形成された被締結部材に締結用の貫通孔を形成し、貫通孔の周囲に樹脂よりも圧縮弾性率の高い補強部材を配置する被締結部材の締結構造が開示されている。また、特許文献3には、締結部材が挿入可能な樹脂成型体である被締結部材の締結用の貫通孔の内部に、樹脂をマトリックスとして強化繊維を含有する繊維強化複合材である補強部材を配置する被締結部材の締結構造が開示されている。
【0003】
また、被締結部材として、コアとなる部材の両面に外板を固定した、いわゆるサンドイッチパネルが知られている。例えば、特許文献4には、ハニカム構造で形成されたコアの両面に、繊維強化複合材で形成された第1表皮および第2表皮を接着させるパネルの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-172628号公報
【特許文献2】特開2011-17400号公報
【特許文献3】特開2011-02069号公報
【特許文献4】特許第5721557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献4に記載されたパネルは、他の構造物に締結具を用いて締結される。パネルを他の構造物に締結するには、上記特許文献1から特許文献3に記載された構造のように、パネルに締結孔を形成する必要がある。しかしながら、パネルのコアが例えばハニカムコア、発泡コア等である場合、内部に空洞が多く、局所的な荷重に弱いため、コアを貫通する締結孔を形成することができない。そこで、パネルに締結孔を形成すべき位置において、予めコアに樹脂を充填すること(いわゆるポッティング)によって、締結孔の周囲を樹脂によって補強することが考えられる。
【0006】
ここで、ポッティングにより樹脂が充填されたコアを含むパネルの形成過程において、パネルに加熱処理を施すことがある。例えば、外板が繊維強化複合材である場合には、プリプレグの状態の繊維強化複合材を硬化成形するために、コアを含むパネル全体に加熱処理を施すことがある。また、例えば、コアと外板とを接着するための接着剤を硬化させるために、パネルに加熱処理を施すこともある。
図15は、樹脂が充填されたパネルに加熱処理を施し、その後に冷却される場合の樹脂に働く力の様子の一例を示す説明図である。
図15中の左図は、パネル200に加熱処理を施している状態を示し、
図15中の右図は、その後の冷却過程を示す。なお、
図15の例では、外板230が繊維強化複合材である例を示す。また、
図15では、左図中に白抜き矢印で示すように、下側の外板230側で樹脂220が圧縮し、上側の外板230側で樹脂220が膨張している例を示している。
【0007】
左図に示すように、樹脂220が膨張すると、コア210に形成した樹脂充填用の貫通孔210aが図中に破線で示す状態から拡張される。なお、プリプレグの状態の外板230も樹脂220によって拡張された後、熱硬化することになる。外板230が例えば金属部材等である場合には、外板230の変形量はより小さくなると考えられるが、貫通孔210aが樹脂220の膨張によって拡張する点は同様である。その後、冷却過程において、樹脂220が収縮しようとするものの、加熱処理後にはコア210が外板230に接着されており、貫通孔210aの形状はほとんど変化しない。その結果、右図に白抜き矢印で示すように、樹脂220とコア210との間に引張応力が生じることになる。この引張応力に起因して、樹脂220に割れが生じる可能性があり、樹脂220によって締結孔の周囲を良好に補強できない可能性がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、締結孔の周囲を補強する樹脂の強度を良好に確保可能なパネルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の空洞を有するコアの両面に外板が固定されたパネルの製造方法であって、前記コアに対して、前記パネルに形成する締結孔の形成位置を含む範囲に、貫通孔を形成する貫通孔形成ステップと、前記貫通孔に少なくとも短繊維を含む強化繊維を含む樹脂を充填する充填ステップと、前記コアの両面に前記外板を配置し、前記コアと前記外板とに加熱処理を施し、前記コアと前記外板とを接合してパネル化するパネル化ステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成により、コアの貫通孔に少なくとも短繊維を含む強化繊維を含む樹脂が充填されるため、強化繊維が樹脂の割れの進展を極めて良好に抑制する。すなわち、樹脂の靱性が向上する。その結果、加熱処理に伴って樹脂が膨張し、その後の冷却過程において、コアおよび外板と接着した状態で樹脂が収縮し、樹脂に引張応力が生じたとしても、樹脂に割れが発生することを抑制することができる。したがって、本発明によれば、締結孔の周囲を補強する樹脂の強度を良好に確保可能なパネルを得ることができる。
【0011】
また、前記強化繊維の重量は、前記強化繊維を含む前記樹脂の全体の重量に対して、1%以上5%未満であることが好ましい。
【0012】
この構成により、強化繊維により樹脂の割れの発生を抑制しつつ、強化繊維が含まれることよる樹脂の粘度の上昇、すなわち流動性の低下を抑制して、コアの製造容易性を確保することができる。
【0013】
また、前記充填ステップは、前記樹脂を複数回に分けて充填することが好ましい。
【0014】
この構成により、樹脂を比較的に少量ずつ充填させるため、多量を充填させる場合に比べて、樹脂の内部から気体が分離されやすくなり、樹脂にボイドが発生することを抑制することができる。また、樹脂の内部に強化繊維をできる限り均等に存在させることができる。
【0015】
また、前記コアは、コア基材がハニカムコアおよび発泡コアのいずれか一方であることが好ましい。
【0016】
この構成により、内部に空洞が多く、局所的な荷重に弱いハニカムコアまたは発泡コアを有するパネルについて、締結孔の周囲を補強する樹脂の強度を良好に確保することができる。
【0017】
また、前記外板は、繊維強化複合材であり、前記パネル化ステップは、加熱処理によりプリプレグの状態の前記外板を硬化させる処理を含むことが好ましい。
【0018】
この構成により、加熱処理によりプリプレグの状態の外板を硬化させる必要があるパネルについて、締結孔の周囲を補強する樹脂の強度を良好に確保することができる。
【0019】
また、前記貫通孔形成ステップは、1つの前記締結孔の前記形成位置を囲む範囲に前記貫通孔を形成するステップであることが好ましい。
【0020】
この構成により、貫通孔の大きさをできる限り小さくし、1つの貫通孔に充填される樹脂を減らすことができる。その結果、樹脂に割れが発生することを良好に抑制することができる。
【0021】
また、前記充填ステップの前に、前記貫通孔の内部に弾性体を配置する弾性体配置ステップをさらに備え、前記充填ステップは、前記弾性体配置ステップの後、前記弾性体の周囲に前記強化繊維を含む前記樹脂を充填させるステップであることが好ましい。
【0022】
この構成により、貫通孔を拡大させる方向の樹脂の膨張を、弾性体によって吸収することができる。その結果、冷却過程において、樹脂に生じる引張応力を低減させることができるため、樹脂の割れの発生を抑制することができる。
【0023】
また、前記貫通孔の内面に発泡剤を含む接着剤を配置する接着剤配置ステップと、前記接着剤の内側にダミーコアを配置するダミーコア配置ステップと、前記接着剤を硬化させる硬化ステップと、前記貫通孔の内部から前記ダミーコアを取り除くダミーコア除去ステップと、をさらに備え、前記充填ステップは、前記ダミーコア除去ステップの後、前記接着剤の内側に前記樹脂を充填させるステップであることが好ましい。
【0024】
この構成により、貫通孔を拡大させる方向の樹脂の膨張を、発泡剤を含む接着剤によって吸収することができる。その結果、冷却過程において、樹脂に生じる引張応力を低減させることができるため、樹脂の割れの発生を抑制することができる。
【0025】
また、前記パネル化ステップの後、前記樹脂が充填された前記貫通孔の位置において、前記コアと前記外板とを貫通する前記締結孔を形成する締結孔形成ステップをさらに備えることが好ましい。
【0026】
この構成により、締結孔が形成されるパネルについて、締結孔の周囲を補強する樹脂の強度を良好に確保することができる。
【0027】
また、前記強化繊維は、ガラスフィラーであることが好ましい。
【0028】
この構成により、樹脂の靱性をより良好に向上させることができる。
【0029】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の空洞を有するコアと、前記コアの両面に固定された外板と、を備え、前記コアは、締結孔の形成位置を含む範囲に貫通孔が形成されており、前記貫通孔には、少なくとも短繊維を含む強化繊維を含む樹脂が充填されている、ことを特徴とする。
【0030】
この構成により、コアの貫通孔に少なくとも短繊維を含む強化繊維を含む樹脂が充填されるため、強化繊維が樹脂の割れの進展を極めて良好に抑制する。すなわち、樹脂の靱性が向上する。その結果、加熱処理に伴って樹脂が膨張し、その後の冷却過程において、コアおよび外板と接着した状態で樹脂が収縮し、樹脂に引張応力が生じたとしても、樹脂に割れが発生することを抑制することができる。したがって、本発明によれば、締結孔の周囲を補強する樹脂の強度を良好に確保可能なパネルを得ることができる。
【0031】
また、前記樹脂が充填された前記貫通孔の位置において、前記コアと前記外板とを貫通する前記締結孔をさらに備えることが好ましい。
【0032】
また、前記強化繊維は、ガラスフィラーであることが好ましい。
【0033】
この構成により、樹脂の靱性をより良好に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかるパネルを他の構造物に締結した状態を示す説明図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかるパネルの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3の各ステップを模式的に示す説明図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態にかかるコア形成ステップの手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、貫通孔形成ステップを示す説明図である。
【
図8】
図8は、ガラスフィラーを含む樹脂を準備する様子を示す説明図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態にかかるパネルの製造方法において、コア形成ステップの手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、弾性体配置ステップおよび充填ステップの様子を示す説明図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態にかかるパネルの製造方法において、コア形成ステップの手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、接着剤配置ステップ、ダミーコア配置ステップ、接着シート硬化ステップ、ダミーコア除去ステップおよび充填ステップの様子を示す説明図である。
【
図14】
図14は、変形例にかかるコアを模式的に示す斜視図である。
【
図15】
図15は、樹脂が充填されたパネルに加熱処理を施し、その後に冷却される場合の樹脂に働く力の様子の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明にかかるパネルの製造方法およびパネルの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態にかかるパネルを他の構造物に締結した状態を示す説明図である。
図1に示すパネル100は、例えば航空機の扉部分に適用される。なお、パネル100は、航空機の扉以外の部分に適用されてもよいし、例えば車両といった他の装置に適用されてもよい。パネル100は、
図1に示すように、コア10と、外板20とを備える。パネル100は、コア10の両面に外板20が固定された、いわゆるサンドイッチパネルである。パネル100には、締結具としてのボルト2を挿入するための締結孔30が複数形成されている。
【0037】
図2は、コアを模式的に示す斜視図である。第1実施形態において、コア10は、ハニカムコアであるコア基材11(
図6参照)により形成されている。より詳細には、コア基材11は、六角形または長方形状に形成されたセルが、互いに隣り合って複数配列された構造となっている。なお、コア基材11は、複数の空洞を有するものであればよく、例えば発泡コアやロールコア等であってもよい。また、コア基材11の材料は、貫通孔12を形成可能であり、樹脂13を充填するポッティングが可能であれば、いかなるものであってもよい。
【0038】
コア基材11には、一方の端面10aから他方の端面10bまでを貫通する貫通孔12が形成されている。貫通孔12は、
図2に示すように、1つの締結孔30の形成位置30Aを囲む範囲(形成位置30Aの1つずつを囲む範囲)に形成される。ここでの形成位置30Aとは、パネル100に締結孔30を形成すべき位置、形成する予定の位置を意味する。そして、貫通孔12の内部には、
図1および
図2に示すように、樹脂13が充填されている。第1実施形態において、樹脂13は、二液混合の常温硬化型樹脂、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を用いることができる。樹脂13は、強化繊維として、ガラスフィラー14(
図8参照)を含んでいる。ここで、強化繊維の一つずつの繊維長が大きい場合、樹脂13の流動性が低下し、貫通孔12の隅々まで充填しきれない可能性がある。そのため、強化繊維は、少なくとも所定の繊維長以下の短繊維を含むものとされる。強化繊維は、すべてが所定の繊維長以下の短繊維であることが、より好ましい。所定の繊維長は、例えば、1mm以上5mm以下である。強化繊維がガラスフィラー14の場合、所定の繊維長は、3mmが最適値である。また、強化繊維(ガラスフィラー14)の重量は、強化繊維(ガラスフィラー14)を含む樹脂13の全体の重量に対して、1%以上5%未満とされる。
【0039】
外板20は、コア10の両面、すなわち端面10aおよび端面10bの双方に1つずつ固定される。第1実施形態において、各外板20は、強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させた繊維強化複合材である。各外板20は、図示しない接着シートを介して端面10a、10bに接着されて固定される(接合される)。なお、各外板20自体に接着性がある場合には、接着シートは省略されてもよい。以下の説明においては、適宜、一方の端面10aに固定される外板20を「第1外板21」と称し、他方の端面10bに固定される外板20を「第2外板22」と称する。
【0040】
パネル100は、
図1に示すように、締結具としてのボルト2およびナット3により他の構造物1に締結される。他の構造物1には、ボルト2を挿入可能な締結孔1aが形成されている。なお、
図1においては、説明のため、締結孔1a、30aを実際よりも大きく記載しているが、締結孔1a、30aは、ボルト2に対応した大きさに形成されればよい。パネル100は、第1外板21が他の構造物1に当接した状態で、締結孔1aを介して締結孔30にボルト2が挿入される。そして、第2外板22側で、ボルト2にナット3がねじ込まれることにより、パネル100が構造物1に締結により固定される。
【0041】
次に、第1実施形態にかかるパネルの製造方法について説明する。
図3は、第1実施形態にかかるパネルの製造方法の一例を示すフローチャートであり、
図4は、
図3の各ステップを模式的に示す説明図である。第1実施形態にかかるパネルの製造方法は、
図3に示すように、コア形成ステップS10と、第1外板積層ステップS20と、第1加熱硬化ステップS30と、コア積層ステップS40と、第2外板積層ステップS50と、第2加熱硬化ステップS60と、締結孔形成ステップS70とを備える。
【0042】
コア形成ステップS10は、コア10を形成するステップである。コア形成ステップS10は、コア積層ステップS40よりも前であれば、いかなるタイミングで行われてもよい。以下、コア形成ステップS10について、
図5から
図9を参照しながら詳細に説明する。
図5は、第1実施形態にかかるコア形成ステップの手順の一例を示すフローチャートであり、
図6は、コア基材を示す斜視図であり、
図7は、貫通孔形成ステップを示す説明図であり、
図8は、ガラスフィラーを含む樹脂を準備する様子を示す説明図であり、
図9は、充填ステップを示す説明図である。
【0043】
図5に示すように、コア形成ステップS10は、コア基材準備ステップS110と、貫通孔形成ステップS120と、充填ステップS130とを備える。
【0044】
コア基材準備ステップS110は、コア基材11を準備するステップである。コア基材11は、
図6に示すように、ハニカム構造を有するハニカムコアである。
【0045】
貫通孔形成ステップS120は、コア10(コア基材11)に対して、パネル100に締結孔30を形成する形成位置30Aを含む範囲に貫通孔12を形成するステップである。第1実施形態において、貫通孔12は、
図2および
図7に示すように、パネル100に締結孔30が形成される形成位置30Aの1つずつを囲む範囲に形成される。貫通孔12は、例えば図示しない切削装置を用いて形成することができる。
【0046】
充填ステップS130は、貫通孔12にガラスフィラー14を含む樹脂13を充填する、いわゆるポッティングを行うステップである。ガラスフィラー14を含む樹脂13は、
図8に示すように、もとになる樹脂13A、ガラスフィラー14、および図示しない硬化剤を混合し、撹拌により混練させることで得ることができる。このとき、ガラスフィラー14の重量は、ガラスフィラー14を含む樹脂13の全体の重量に対して、1%以上5%未満とされる。
【0047】
図9に示すように、充填ステップS130では、得られたガラスフィラー14を含む樹脂13を貫通孔12の内部に複数回に分けて充填する。本実施形態では、1回ごとの樹脂13の充填量は、同一とされる。ただし、1回ごとに樹脂13の充填量を変化させてもよい。樹脂13は、1回の充填ごとに、樹脂13からボイドが抜ける程度の時間の経過を待ち、その後、新たな樹脂13を充填する。樹脂13が二液混合の常温硬化型樹脂の場合、貫通孔12に樹脂13をすべて充填した後、常温で所定時間の経過を待つことによって完全硬化させる。また、樹脂13が熱可塑性樹脂である場合には、貫通孔12に樹脂13をすべて充填した後、冷却により完全硬化させる。なお、樹脂13が熱硬化性樹脂である場合には、貫通孔12に樹脂13をすべて充填した後、加熱により完全硬化させる。これにより、各貫通孔12にガラスフィラー14を含む樹脂13が充填され、
図1に示すコア10が形成される。なお、樹脂13を貫通孔12の内部に1回で充填してもよい。
【0048】
図3および
図4の説明に戻る。第1外板積層ステップS20は、第1外板21となる繊維強化複合材21Aを型4上に積層するステップである。第1実施形態において、第1外板積層ステップS20は、プリプレグの状態の繊維強化複合材21Aを型4上に積層する。
【0049】
第1加熱硬化ステップS30は、プリプレグの状態である繊維強化複合材21Aに加熱処理を施して硬化させるステップである。より詳細には、
図4に示すように、型4上の繊維強化複合材21Aを例えばプラスチックフィルム等の封止部材5で封止する。次に、封止部材5内の繊維強化複合材21Aに加熱処理および加圧処理を施すことで、プリプレグの状態である繊維強化複合材21Aの樹脂を硬化させる。これにより、第1外板21が形成される。
【0050】
コア積層ステップS40は、第1外板21上に図示しない接着シートを介してコア10を積層するステップである。すなわち、第1外板21上に、図示しない接着シートを介してコア10の端面10aを当接させる。それにより、コア10と第1外板21とが接着される(接合される)。なお、上述したように、第1外板21が接着性を有する場合、接着シートは省略されてもよい。
【0051】
第2外板積層ステップS50は、積層された第1外板21およびコア10上に、図示しない接着シートを介して第2外板22となる繊維強化複合材22Aを積層するステップである。第1実施形態において、第2外板積層ステップS50は、プリプレグの状態の繊維強化複合材22Aを図示しない接着シートを介してコア10の端面10b上に積層する。それにより、コア10と第2外板22となる繊維強化複合材22Aとが接着される(接合される)。なお、上述したように、第2外板22が接着性を有する場合、接着シートは省略されてもよい。
【0052】
第2加熱硬化ステップS60は、プリプレグの状態である繊維強化複合材22Aに加熱処理を施して硬化させるステップである。より詳細には、
図4に示すように、積層された第1外板21、コア10および繊維強化複合材22Aを例えばプラスチックフィルム等の封止部材5で封止する。そして、封止部材5内の第1外板21、コア10および繊維強化複合材22Aに加熱処理および加圧処理を施すことで、プリプレグの状態である繊維強化複合材22Aの樹脂を硬化させ、第2外板22を形成する。これにより、コア10、第1外板21および第2外板22がパネル化(一体化)されてパネル100が形成される。したがって、第1外板積層ステップS20から第2加熱硬化ステップS60は、コア10の両面に外板20を配置し、コア10と外板20とに加熱処理を施し、コア10と外板20とを接合してパネル化するパネル化ステップを構成する。
【0053】
締結孔形成ステップS70は、パネル化されたコア10および外板20に複数の締結孔30を形成するステップである。より詳細には、
図4に示すように、樹脂13が充填された各貫通孔12の位置において、例えば図示しない切削装置に設けられた切削工具6によりコア10および外板20を貫通させることで、締結孔30を形成する。これにより、
図1に示すように、締結孔30が形成されたパネル100が形成される。
【0054】
ここで、上述した第2加熱硬化ステップS60では、プリプレグの状態である繊維強化複合材22Aを硬化させるために、第1外板21、コア10および繊維強化複合材22Aのすべてに加熱処理を施す。このような加熱処理により、樹脂13に寸法変化が生じる。つまり、樹脂13が常温硬化型樹脂または熱硬化性樹脂であり、加熱により軟化して膨張する場合、樹脂13が貫通孔12を拡張させる方向に膨張する。その後、冷却過程において、樹脂13が収縮しようとするものの、加熱処理後にはコア10は第1外板21および第2外板22に接着されており、貫通孔12の形状はほとんど変化しない。その結果、樹脂13とコア10との間に引張応力が生じることになる。この引張応力に起因して、樹脂13に割れが生じる可能性があり、樹脂13によって締結孔30の周囲を良好に補強できない可能性がある。第1実施形態では、上述したように、コア10の貫通孔12にガラスフィラー14を含む樹脂13が充填されるため、ガラスフィラー14が樹脂13の割れの進展を極めて良好に抑制する。つまり、樹脂13の靱性が向上する。その結果、コア10および外板20と接着した状態で樹脂13が収縮し、樹脂13に引張応力が生じたとしても、樹脂13に割れが発生することを抑制することができる。
【0055】
以上説明したように、第1実施形態にかかるパネル100、パネルの製造方法は、樹脂13に割れが発生することを抑制することができる。したがって、締結孔30の周囲を補強する樹脂13の強度を良好に確保することができる。
【0056】
本実施形態では、樹脂13が強化繊維としてガラスフィラー14を含むものとした。これにより、樹脂13の靱性をより良好に向上させることができる。ただし、樹脂13に含まれる強化繊維は、樹脂13の靱性を良好に向上させることができるものであれば、ガラスフィラー14に限られない。強化繊維は、例えば、炭素繊維等の他の無機繊維であってもよい。また、強化繊維は、アラミド繊維等の有機繊維であってもよい。
【0057】
また、強化繊維(ガラスフィラー14)の重量は、強化繊維(ガラスフィラー14)を含む樹脂13の全体の重量に対して、1%以上5%未満である。
【0058】
この構成により、ガラスフィラー14により樹脂13の割れの発生を抑制しつつ、ガラスフィラー14が含まれることよる樹脂13の粘度の上昇、すなわち流動性の低下を抑制して、コア10の製造容易性を確保することができる。
【0059】
また、充填ステップS130は、樹脂13を複数回に分けて充填する。
【0060】
この構成により、樹脂13を比較的に少量ずつ充填させるため、多量を充填させる場合に比べて、樹脂13の内部から気体が分離されやすくなり、樹脂13にボイドが発生することを抑制することができる。また、樹脂13の内部にガラスフィラー14をできる限り均等に存在させることができる。
【0061】
また、コア10は、コア基材11がハニカムコアである。
【0062】
この構成により、内部に空洞が多く、局所的な荷重に弱いハニカムコアを有するパネル100について、締結孔30の周囲を補強する樹脂13の強度を良好に確保することができる。
【0063】
また、外板20は、繊維強化複合材であり、パネル化ステップ(
図3のステップS20からステップS60)は、加熱処理によりプリプレグの状態の外板20(第2外板22)を硬化させる処理(
図3の第2加熱硬化ステップ)を含む。
【0064】
この構成により、加熱処理によりプリプレグの状態の外板20(第2外板22)を硬化させる必要があるパネル100について、締結孔30の周囲を補強する樹脂13の強度を良好に確保することができる。
【0065】
また、貫通孔形成ステップS120は、1つの締結孔30の形成位置30Aを囲む範囲に貫通孔12を形成するステップである。
【0066】
この構成により、貫通孔12の大きさをできる限り小さくし、1つの貫通孔12に充填される樹脂13を減らすことができる。その結果、樹脂13に割れが発生することを良好に抑制することができる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかるパネルの製造方法について説明する。
図10は、第2実施形態にかかるパネルの製造方法において、コア形成ステップの手順の一例を示すフローチャートである。
【0068】
第2実施形態において、コア形成ステップS10は、第1実施形態にかかるコア形成ステップS10のコア基材準備ステップS110、貫通孔形成ステップS120および充填ステップS130に加えて、弾性体配置ステップS122を備えている。第2実施形態にかかるパネルの製造方法は、弾性体配置ステップS122が加わること以外、第1実施形態にかかるパネルの製造方法と同様である。そのため、弾性体配置ステップS122および充填ステップS130以外のステップについては、説明を省略する。
【0069】
図11は、弾性体配置ステップおよび充填ステップの様子を示す説明図である。弾性体配置ステップS122では、
図11に示すように、貫通孔形成ステップS120で形成された貫通孔12の内部に弾性体40を配置する。弾性体40は、樹脂13が加熱により膨張する際に、膨張を吸収可能な弾性率を有し、例えばスポンジ状の部材を用いることができる。第2実施形態において、充填ステップS130では、
図11に示すように、貫通孔12の内部に配置された弾性体40の周囲に、ガラスフィラー14を含む樹脂13を充填する。なお、第2実施形態においても、充填ステップS130は、樹脂13を複数回に分けて充填する。
【0070】
この構成により、貫通孔12を拡大させる方向の樹脂13の膨張を、弾性体40によって吸収することができる。その結果、冷却過程において、樹脂13に生じる引張応力を低減させることできるため、樹脂13の割れの発生を抑制することができる。なお、弾性体40は、上述した締結孔形成ステップS70において、切削工具6により締結孔30を形成する際に、貫通孔12の内部から除去することができる。
【0071】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかるパネル100の製造方法について説明する。
図12は、第3実施形態にかかるパネルの製造方法において、コア形成ステップの手順の一例を示すフローチャートである。
【0072】
第3実施形態において、コア形成ステップS10は、第1実施形態にかかるコア形成ステップS10のコア基材準備ステップS110、貫通孔形成ステップS120および充填ステップS130に加えて、接着剤配置ステップS124、ダミーコア配置ステップS125、接着剤硬化ステップS126およびダミーコア除去ステップS127を備えている。第3実施形態にかかるパネルの製造方法は、接着剤配置ステップS124からダミーコア除去ステップS127が加わること以外、第1実施形態にかかるパネルの製造方法と同様である。そのため、接着剤配置ステップS124からダミーコア除去ステップ127および充填ステップS130以外のステップについては、説明を省略する。
【0073】
図13は、接着剤配置ステップ、ダミーコア配置ステップ、接着シート硬化ステップ、ダミーコア除去ステップおよび充填ステップの様子を示す説明図である。
【0074】
接着剤配置ステップS124は、
図13に示すように、貫通孔12の内面に、発泡剤を含む接着剤42を配置するステップである。接着剤42は、本実施形態において、シート状に形成され、貫通孔12の全周に亘って内面に貼着られる。なお、接着剤42は、シート状に形成されるものに限られず、内面に塗布等により配置されるものであってもよい。
【0075】
ダミーコア配置ステップS125は、貫通孔12の内面に配置された接着剤42の内側にダミーコア44を配置するステップである。本実施形態では、ダミーコア44は、例えば熱硬化性樹脂を用いることができる。なお、予め硬化させた樹脂で形成されたダミーコア44を接着剤42の内側に配置してもよい。また、金属材料で形成されたダミーコア44を接着剤42の内側に配置してもよい。
【0076】
接着剤硬化ステップS126は、接着剤42を硬化させるステップである。接着剤硬化ステップS126は、例えば加熱処理により接着剤42を硬化させる。このとき、接着剤42の内側にダミーコア44を配置しておくことで、発泡剤を含む接着剤42の発泡(膨張)の程度を調整することができる。すなわち、後工程の充填ステップS130において、樹脂13を充填する空間をダミーコア44によって確保することができる。
【0077】
ダミーコア除去ステップS127は、貫通孔12の内部からダミーコア44を取り除くステップである。ダミーコア除去ステップS127は、例えば図示しない切削装置に設けられた切削工具6を用いて、接着剤42の内側からダミーコア44をくり抜くことが考えられる。なお、ダミーコア44は、樹脂により形成される場合、例えば薬液を用いて除去されてもよい。
【0078】
第3実施形態において、充填ステップS130は、ダミーコア除去ステップS127でダミーコア44が除去された接着剤42の内側に、ガラスフィラー14を含む樹脂13を充填させるステップである。第3実施形態においても、充填ステップS130は、樹脂13を複数回に分けて充填させる。
【0079】
この構成により、貫通孔12を拡大させる方向の樹脂13の膨張を、発泡剤を含む接着剤42によって吸収することができる。その結果、冷却過程において、樹脂13に生じる引張応力を低減させることができるため、樹脂13の割れの発生を抑制することができる。
【0080】
第1実施形態から第3実施形態では、ガラスフィラー14の重量は、ガラスフィラー14を含む樹脂13の全体の重量に対して、1%以上5%未満とした。ただし、樹脂13の割れの発生を抑制することができれば、ガラスフィラー14の重量は、ガラスフィラー14を含む樹脂13の全体の重量に対して、1%未満であってもよい。また、樹脂13の粘度の上昇、すなわち流動性の低下を抑制して、コア10の製造容易性を確保することができれば、ガラスフィラー14の重量は、ガラスフィラー14を含む樹脂13の全体の重量に対して、5%以上であってもよい。
【0081】
第1実施形態から第3実施形態では、貫通孔形成ステップS120は、締結孔30が形成される形成位置30Aの1つずつを囲む範囲に貫通孔12を形成するものとしたが、貫通孔12の形成範囲は、これに限られない。
図14は、変形例にかかるコアを模式的に示す斜視図である。図示するように、貫通孔12は、締結孔30が形成される複数の形成位置30Aを囲む範囲に形成されてもよい。それにより、貫通孔12を形成する数を低減でき、また、貫通孔12に樹脂13を充填する工程数を削減することができる。
【0082】
第1実施形態から第3実施形態では、プリプレグの状態の繊維強化複合材21Aを硬化させて第1外板21を形成し(第1加熱硬化ステップS30)、第1外板21上にコア10を積層する(コア積層ステップS40)ものとした。ただし、第1加熱硬化ステップS30は、省略されてもよい。すなわち、第2加熱硬化ステップS60において、繊維強化複合材21A、22Aを同時に硬化させることにより、第1外板21および第2外板22を形成してもよい。
【0083】
第1実施形態から第3実施形態では、外板20は、繊維強化複合材であるものとした。ただし、外板20は、繊維強化複合材以外の材料(例えば金属材料)で形成され、加熱処理により硬化する接着剤によりコア10に固定されるものであってもよい。この場合、上述したパネル化ステップ(
図3のステップS20からステップS60)を構成する第1加熱硬化ステップS30は、省略される。また、第2加熱硬化ステップS60は、コア10と外板20とを接着させる接着剤を硬化させて、コア10と外板20とを接合するための処理となる。このように、パネル化ステップにおいて、コア10と外板20とを接着させる接着剤を硬化させるために加熱処理を行う場合であっても、第1実施形態から第3実施形態で示したパネルの製造方法によれば、樹脂13に割れが発生することを良好に抑制することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 構造物
1a 締結孔
2 ボルト
3 ナット
4 型
5 封止部材
6 切削工具
10 コア
10a 端面
10b 端面
11 コア基材
12 貫通孔
13、13A 樹脂
14 ガラスフィラー
20 外板
21 第1外板
21A、22A 繊維強化複合材
22 第2外板
30 締結孔
30A 形成位置
40 弾性体
42 接着剤
44 ダミーコア
100 パネル