(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175413
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】パーティション、バルコニー、バルコニーの施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/00 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
E04B1/00 502N
E04B1/00 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093188
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】青山 勝
(72)【発明者】
【氏名】林 徹
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 有二
(72)【発明者】
【氏名】菅原 大亮
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造や施工に要するコストを抑えてバルコニーとの一体性を演出し、また重厚感も損なわず、住人に好印象を与え、住戸の資産価値の向上も期待できるパーティション、このパーティションが備わったバルコニー、このバルコニーの施工方法を提供する。
【解決手段】住戸Rのバルコニーかつ隣戸間に配置され、住戸Rの外壁Wと直交する表面を形成するパーティション外装材を備え、外装材の表面の意匠は、住戸Rの外壁Wの屋外側表面の意匠と連続している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸のバルコニーかつ隣戸間に配置され、
住戸の外壁と直交する表面を形成する外装材を備え、
外装材の表面の意匠は、住戸の外壁の屋外側表面の意匠と連続している
ことを特徴とするパーティション。
【請求項2】
外装材の表面の意匠は、目地を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のパーティション。
【請求項3】
外装材が取り付けられる下地材と、下地材が取り付けられる枠材とをさらに備え、
下地材は、枠材に対して住戸の外壁の屋外側表面の意匠に応じた高さに配置される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパーティション。
【請求項4】
外装材の最外端と枠材の最外端とで形成された小口を塞ぐカバー部材をさらに備え、
カバー部材の短手方向の幅は、80~130mmである
ことを特徴とする請求項2に記載のパーティション。
【請求項5】
住戸の外壁と、隣戸間に配置されたパーティションとを備え、
外壁は、屋外側表面を形成する外壁外装材を備え、
パーティションは、外壁と直交する表面を形成するパーティション外装材を備え、
外壁外装材の意匠とパーティション外装材の意匠とが連続している
ことを特徴とするバルコニー。
【請求項6】
床の最外端に設けられた手摺を備え、
パーティションは、パーティション上半部と、パーティション下半部とを備え、
パーティション外装材は、パーティション上半部のうち外壁と直交する表面を形成し、
パーティション下半部は、手摺と略同一の高さである
ことを特徴とする請求項5に記載のバルコニー。
【請求項7】
パーティションは、パーティション上半部と、パーティション下半部とを備え、
パーティション上半部は、パーティション外装材が取り付けられる下地材と、下地材が取り付けられる上半部枠材と、パーティション外装材の最外端と上半部枠材の最外端とで形成された小口を塞ぐカバー部材とを備え、
パーティション下半部は、蹴破り戸と、蹴破り戸が取り付けられる下半部枠材とを備える
ことを特徴とする請求項5に記載のバルコニー。
【請求項8】
請求項7に記載のバルコニーの施工方法であって、
住戸の外壁の屋外側表面に外壁外装材を取り付ける工程と、
外壁外装材の意匠及び/又はパーティション外装材の意匠に応じて上半部枠材に対する高さを調整して下地材を取り付ける工程と、
下地材にパーティション外装材を取り付けて外壁外装材の意匠とパーティション外装材の意匠とを連続させる工程と
を含むバルコニーの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築物のバルコニー用のパーティション、このパーティションが備わったバルコニー、このバルコニーの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば集合住宅の住戸に備わるバルコニーは、隣戸間に形成された壁(界壁)で区分けされていた。バルコニー用の界壁には、構造体であり住戸用の界壁でもあるコンクリート製の戸境壁や、構造体ではなくバルコニーに面する住戸の外壁やバルコニー用の手摺に固定される隔て板が採用されていた。
【0003】
例えば特許文献1には、戸境壁のうちバルコニーに面する住戸の外壁よりも外側に位置する戸境壁部分に形成した開口に避難用パーティションが設けられたバルコニー用の界壁が開示されている。これによれば、上記界壁が耐力壁として機能し、上記隔て板と比べて重厚感があり、防犯効果も期待できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような界壁では、上記隔て板と比べて製造や施工に要するコストが嵩むばかりでなく、上記界壁のバルコニー側の表面とバルコニーに面する住戸の外壁の屋外側表面とが同じコンクリートであれば一体性を演出しやすいものの無機質な印象を与えてしまうおそれがある。
【0006】
また、上記界壁はバルコニーの床及び天井と密着していて全く隙間を有しないため遮蔽性が高いものの照射性が低いことから、バルコニー全体が薄暗くなりがちであったり住戸内に日光が届きにくくなったりしてしまうことから、住人にとってのバルコニーの存在価値が低下し、住戸の資産価値の低下を引き起こすおそれもある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、製造や施工に要するコストを抑えてバルコニーとの一体性を演出し、また重厚感も損なわず、住人に好印象を与え、住戸の資産価値の向上も期待できるパーティション、このパーティションが備わったバルコニー、このバルコニーの施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明におけるパーティションは、住戸のバルコニーかつ隣戸間に配置され、住戸の外壁と直交する表面を形成する外装材を備え、外装材の表面の意匠は、住戸の外壁の屋外側表面の意匠と連続していることを特徴とする。上記意匠とは、形状、模様、色彩、又はこれら2つ以上が結合した要素のいずれか又は2組以上である。住戸の外壁の屋外側表面には外装材が取り付けて有っても無くてもよい。双方の意匠が「連続している」状態とは、全部又は一部において視覚及び/又は感覚として規則性及び/又は一体性を認識可能な状態であればよく、例えば直線や点(ドット)のような形状及び/又は模様が同一直線上に位置している状態、同一直線上かつ隙間なくつながっている状態、等間隔に位置している状態である。
【0009】
この構成によれば、バルコニー用のパーティションがコンクリート製の戸境壁でも単なる隔て板でもなく、外装材によりパーティションの表面の意匠が住戸の外壁の屋外側表面の意匠と連続することから、パーティションと外壁との意匠上の差異が感じられにくくなり、パーティションの表面と住戸の外壁の屋外側表面との境目も目立たなくなる効果を期待できる。
【0010】
また、外装材の表面の意匠は、目地を含む。目地は、外装材の表面に擬似的に形成された凹部でも2つの外装材同士の連結部分に相当する凹部でもよく、水平方向の直線でも垂直方向の直線でも斜め方向の直線でもよく、これら2つ以上の組み合わせにより構成されてもよい。目地の寸法は特に限定されないが、例えば深さ1mm~5mm、幅5mm~10mmである。
【0011】
この構成によれば、住戸の外壁の屋外側表面の意匠も上述した目地を含む場合、パーティションの表面の意匠と住戸の外壁の屋外側表面の意匠との双方に含まれる目地が連続することで、厳密には外装材の表面の意匠が住戸の外壁の屋外側表面の意匠と同一でなくても、双方の目地が際立つためパーティションと外壁との差異が感じられにくくなる効果を期待できる。
【0012】
双方の目地が水平方向又は斜め方向の直線の場合、外装材の表面の目地の端部と住戸の外壁の屋外側表面の目地の端部とが一致して一直線状につながっていることが好ましく、また、双方の目地が垂直方向の直線の場合、外装材の表面の目地とこの隣りに位置する住戸の外壁の屋外側表面の目地との間隔を含む全ての目地同士が等間隔に位置していることが好ましい。
【0013】
また、上記パーティションは、外装材が取り付けられる下地材と、下地材が取り付けられる枠材とをさらに備え、下地材は、枠材に対して住戸の外壁の屋外側表面の意匠に応じた高さに配置されることが望ましい。この場合、下地材が横向きであり、外装材の目地が水平方向の直線である。
【0014】
この構成によれば、例えば住戸の外壁の屋外側表面の意匠を基準にする場合、下地材の高さ位置を調整できれば上記意匠に合わせて外装材を取り付けやすくなる効果を期待できる。
【0015】
また、上記パーティションは、外装材の最外端と枠材の最外端とで形成された小口を塞ぐカバー部材をさらに備え、カバー部材の短手方向の幅は、80~130mmであることが望ましい。
【0016】
この構成によれば、屋外に向かって表れる上記小口をカバー部材で隠せることから意匠性が向上すると共に重厚感を与えやすいばかりでなく、虫や鳥や枯れ葉や砂埃といった異物の浸入及び堆積を予防できる効果を期待できる。カバー部材の短手方向の幅が80mmより狭い場合、上記小口を塞ぎきれなかったり上記小口を塞ぐために外装材を薄くしたり枠材を細くしたりすると所望の強度を得られないおそれがあり、130mmより広い場合、上記小口との段差が高くなり過ぎたり段差を低くするために外装材を厚くしたり枠材を太くしたりするとその分コストが嵩むおそれがある。
【0017】
本発明におけるバルコニーは、住戸の外壁と、隣戸間に配置されたパーティションとを備え、外壁は、屋外側表面を形成する外壁外装材を備え、パーティションは、外壁と直交する表面を形成するパーティション外装材を備え、外壁外装材の意匠とパーティション外装材の意匠とが連続していることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、外壁外装材とパーティション外装材との双方を選択できることから、バルコニーの意匠のバリエーションが増えるのみならず、バルコニーをリフォームしやすくなる効果を期待できる。
【0019】
また、上記バルコニーは、床の最外端に設けられた手摺を備え、パーティションは、パーティション上半部と、パーティション下半部とを備え、パーティション外装材は、パーティション上半部のうち外壁と直交する表面を形成し、パーティション下半部は、手摺と略同一の高さであることが望ましい。
【0020】
この構成によれば、例えば曇りガラス式の手摺やルーバー式の手摺により屋外からパーティション下半部を見えなく隠せるため、パーティション下半部にパーティション外装材が不要となる分、資材や施工に要するコストを抑える効果を期待できる。
【0021】
また、パーティションは、パーティション上半部と、パーティション下半部とを備え、パーティション上半部は、パーティション外装材が取り付けられる下地材と、下地材が取り付けられる上半部枠材と、パーティション外装材の最外端と上半部枠材の最外端とで形成された小口を塞ぐカバー部材とを備え、パーティション下半部は、蹴破り戸と、蹴破り戸が取り付けられる下半部枠材とを備えることが望ましい。
【0022】
この構成によれば、パーティション上半部とパーティション下半部との機能を分担でき、パーティション上半部が重厚感の演出を含むバルコニーの意匠性の向上に寄与し、パーティション下半部が災害時の避難経路の確保に寄与する効果を期待できる。
【0023】
また、上述したバルコニーの施工方法は、住戸の外壁の屋外側表面に外壁外装材を取り付ける工程と、外壁外装材の意匠及び/又はパーティション外装材の意匠に応じて上半部枠材に対する高さを調整して下地材を取り付ける工程と、下地材にパーティション外装材を取り付けて外壁外装材の意匠とパーティション外装材の意匠とを連続させる工程とを含む。
【0024】
この構成によれば、まず住戸の外壁の屋外側表面の意匠を外壁外装材で確定させ、外壁外装材の意匠にパーティション外装材の意匠が連続するように下地材の高さを調整し、高さ調整後の下地材にパーティション外装材を取り付けることで双方の外装材の意匠を連続させやすい効果を期待できる。
【0025】
本発明が採用される建築物は、例えば集合住宅・戸建住宅・仮設住宅・学校・病院・高齢者施設・障害者施設・各種商業施設であり、鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)・鉄骨造(S造)・木造といった構造やサイズを限定せず、RC造・SRC造・S造においてはラーメン構造でもよく、RC造においては壁式構造でもよく、ラーメン構造においては順梁でも逆梁でもよく、これらに対してアウトフレーム工法が採用されたものでもよい。
【0026】
本発明における「バルコニー」の意味は、ベランダやテラスと同義であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、製造や施工に要するコストを抑えてバルコニーとの一体性を演出し、また重厚感を損なわず、住人に好印象を与え、住戸の資産価値の向上も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態におけるバルコニーの正面図(a)及び正面図のX1-X1部分断面図(b)である。
【
図3】本発明の一実施形態におけるパーティションの側面図(a)及び(b)である。
【
図5】上記パーティションの上半部の垂直端面図(a)及び水平端面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、
図1~5を参照しつつ、本発明の一実施形態におけるパーティションを含むバルコニー(以下「本バルコニー」という。)について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの部位の引き出し線を想像線(二点鎖線)で示した部分もある。説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の向きを示す用語は、基本的に通常の建築物を基準とし、これ以外を基準にする場合は適宜説明する。
【0030】
本バルコニーを採用可能な集合住宅は、直線状や湾曲状の外廊下に沿って住戸を複数含む外廊下式でも、コの字状や四角状に折れ曲がった内廊下を囲むように住戸を複数含む内廊下式でもよく、例えば階数が20階超の超高層マンション、6~20階の高層マンション、4~5階の中層マンション、2~3階の低層マンションであってもよく、外廊下式は板状型でも雁行型でもこれら以外の型でもよい。
【0031】
本バルコニーは、集合住宅の所定階に位置して左右の少なくとも一方で別の住戸と隣り合っている住戸に備わっており、横幅や奥行といったサイズを限定されない。
【0032】
図1に示すように、本バルコニーは、各階に形成されたコンクリートスラブの一部である床Cb及び天井Ccと、図示しない住戸Rを形成する外壁Wと、外壁Wに形成された屋内外への出入口としての窓Waと、床Cbの上に配置されたデッキDと、住戸Rの左右の隣戸間かつデッキDの上に配置されたパーティションPと、床Cbの最外端に設けられた手摺Hを備えている。デッキDは木目調やタイル調でもよく、有っても無くてもよい。手摺Hはガラスタイプやルーバータイプでもよく、限定されない。
図2は、
図1に示す手摺Hがない状態の本バルコニーの正面図である。
【0033】
図1及び
図2に示すように、外壁Wは、住居Rの屋外側表面を形成する外壁外装材W1を備え、外壁外装材W1より屋内側には図示しないコンクリート壁や断熱材や石膏ボード等による公知の構造を備えてもよい。外壁外装材W1は、外壁Wのうち窓Wa等により形成不可能な箇所を除く全箇所に備えられているが、少なくともパーティションPと近接する箇所のみに備えられていてもよい。
【0034】
図1に示すように、パーティションPは、外壁Wに直交する向きで固定されており、パーティション上半部1と、パーティション下半部2とを備えているが、パーティション上半部1のみで構成されていてもよい。
【0035】
図3(a)はパーティションPの側面図、
図3(b)はパーティションPの表面を形成する外装材及び小口を塞ぐカバーを除いた状態の側面図である。
図3に示すように、パーティション上半部1は、図示しない外壁Wと直交する表面を形成するパーティション外装材11と、パーティション外装材11が取り付けられる横桟に相当する棒状の下地材12と、下地材12が取り付けられる付番しない左右の縦桟とこの縦残と直交する上下の横桟とで形成されるフレーム状の上半部枠材13と、パーティション外装材11の最外端と上半部枠材13の最外端とで形成された小口を塞ぐ筒状のカバー部材14と、上半部枠材13の最上端から突出して図示しない天井Ccに固定される固定部材15とを備えている。パーティション下半部2は、避難経路を形成する蹴破り戸21と、蹴破り戸21が取り付けられるフレーム状の下半部枠材22とを備えている。
【0036】
図4に示すように、外壁外装材W1とパーティション外装材11とは接しない程度に極めて近くに配置されているが、接していてもよい。外壁外装材W1及び/又はパーティション外装材11は、1枚(単数)でも2枚以上(複数)で構成されていてもよい。外壁外装材W1の表面の意匠及びパーティション外装材11の表面の意匠は、例えば木目調、タイル調、レンガ調であり、双方異なっていてもよいが、双方同一であることが好ましい。外壁外装材W1で形成された外壁Wの表面の意匠は水平方向の直線である凹状の外壁目地W1aを含み、パーティション外装材11で形成されたパーティション上半部1の表面の意匠は水平方向の直線である凹状のパーティション目地11aを含む。外壁目地W1a及びパーティション目地11aは、双方の外装材の表面に擬似的に形成されたものであっても、それぞれの表面を形成する2枚以上の外装材同士の連結部分であってよい。外壁目地W1aとパーティション目地11aとは連続しており、換言すると一続きになるように同じ高さに位置している。外壁Wの表面の意匠とパーティション上半部1の表面の意匠とは、外壁目地W1a、パーティション目地11a以外に、その他の形状、模様、色彩、又はこれら2つ以上が結合した要素のいずれか又は2組以上が連続していてもよい。外壁外装材W1の素材及びパーティション外装材11の素材は、例えば窯業系、樹脂系、木質系、金属系であり、双方同一であることが好ましい。
【0037】
図5(a)は
図3(a)に示すパーティション上半部1におけるX2-X2部分の垂直端面図、
図5(b)は上記パーティション上半部1におけるY1-Y1部分の水平端面図である。
図5に示すように、下地材12は、上半部枠材13の左右の縦桟に取り付けられ、上記縦桟に対して任意の高さに調整可能であり、図示しない外壁Wの表面の意匠のうち例えば外壁目地W1aに応じた高さに調整可能であればよく、素材や寸法を限定しない。下地材12は、1本(単数)でも2本以上(複数)であってもよく、パーティション外装材11の枚数や縦幅に応じて決定されてもよい。下地材12は、パーティション外装材11に合う形状であればよく、例えば上下のパーティション外装材11の端部同士がそれぞれ前後方向に重なり合うように連結できる形状であってもよい。
【0038】
図3及び
図5(b)に示すように、上半部枠材13は、図示しないネジ等の固定具や所定の治具を介して図示しない外壁Wに固定され、左右の縦部分に下地材12を取り付けられればよく、寸法や素材を限定しない。上半部枠材13は、下半部枠材22と一体構造であっても別構造であってもよい。上半部枠材13の最上端と図示しない天井Ccとの隙間は30mm程度であり、これより広いと防犯性が低下するおそれがあり、これより狭いと照射性が低下したり固定部材15が取り付けにくくなったりするおそれがある。
【0039】
図5(b)に示すように、カバー部材14は、上記小口より外側に位置する付番しないカバー部と、上半枠部材13の最外端に嵌め込む付番しない嵌合部とを備えているが、上記小口を塞げればいずれの形状や構造でもよい。カバー部材14の短手方向の幅14wは、上記小口を塞げればよいが、80~130mmであり、90~120mmであると好ましく、100~110mmであるとより好ましい。
【0040】
図3に示すように、固定部材15は、一端が上半枠部材13の最上端に図示しないネジ等の固定具で固定され、他端が天井Ccを上記固定具で固定される形状であり、カバー部材14の短手方向の幅と同程度の幅寸法であればよく、素材や形状や寸法を限定しない。この構成によれば、パーティション下半部2より重いパーティション上半部1を備えたパーティションPの安定性・耐風性・耐振性の向上を期待できる。
【0041】
図1及び
図2に示すように、パーティション下半部2は、手摺Hと略同一の高さであり、換言すると、手摺Hより屋内側に位置して手摺Hに隠れて屋外側から見えない程度の高さである。これによりパーティションPは、屋外側から見てパーティション上半部1のみ現れる。パーティション下半部2は、床Cbに接しておらず、換言すると、下半部枠材22と床Cbとの間に所定の間隔を有する。下半部枠材22の外側の縦部分は、手摺Hに所定の治具を介して固定されている。
【0042】
図1~
図5を参照しつつ、本バルコニーの施工方法について説明する。本バルコニーの施工は、住戸Rの施工に含まれており、この施工は従来の方法であってもよい。まず、住戸Rの外壁Wの屋外側表面に外壁外装材11を取り付ける。次に、外壁外装材11で形成された外壁Wの表面に表れる外壁目地W1aの高さ位置とパーティション外装材11で形成されるパーティション上半部1の表面に表れるパーティション目地11aの高さ位置とに応じて、隣戸間に配置済みのパーティションPのうちパーティション上半部1の上半枠部材13に対する高さを調整して下地材12を取り付ける。そして、下地材12にパーティション外装材11を取り付けて、外壁目地W1aとパーティション目地11aとを連続させる。
【0043】
したがって、パーティションPは、住戸Rのバルコニーかつ隣戸間に配置され、パーティション上半部1が住戸Rの外壁Wと直交する表面を形成するパーティション外装材11を備え、外装材11の表面の意匠に含まれるパーティション目地11aは、外壁外装材W1で形成された住戸Rの外壁Wの屋外側表面の意匠に含まれる外壁目地W1aと連続していることから、バルコニー用のパーティションがコンクリート製の戸境壁でも単なる隔て板でもなく、厳密にはパーティションPの表面の意匠が外壁Wの屋外側表面の意匠と同一でなくても、パーティションPと外壁Wとの差異が感じられにくくなり、パーティションPを備えた本バルコニーは、外壁外装材W1とパーティション外装材11との双方を選択できることから、バルコニーの意匠のバリエーションが増えるのみならず、バルコニーをリフォームしやすくなる効果を期待できる。
【0044】
また、パーティションPは、パーティション外装材11が取り付けられる下地材12と、下地材12が取り付けられる上半部枠材13とをさらに備え、下地材12は、上半部枠材13に対して外壁目地W1aに応じた高さに配置されることから、パーティション目地11aを外壁目地W1aに連続させやすくなる効果を期待できる。
【0045】
また、パーティションPは、パーティション外装材11の最外端と上半部枠材13の最外端とで形成された小口を塞ぐカバー部材14をさらに備え、カバー部材14の短手方向の幅が80~130mmであることから、意匠性が向上すると共に重厚感を与えやすいばかりでなく、虫や鳥や枯れ葉や砂埃といった異物の浸入及び堆積を予防できる効果を期待できる。
【0046】
なお、本実施形態に示したパーティションやバルコニーは、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる部位の位置・形状・寸法や、部位同士の関係を含む。
【0047】
図示しないが、例えば
図4に示す外壁目地W1aが垂直方向の直線であってもよく、3つ以上ある場合は等間隔に横並んでいても異なる間隔で横並んでいてもよい。また、
図4に示すパーティション目地11aが垂直方向の直線であってもよく、3つ以上ある場合は等間隔に横並んでいても異なる間隔で横並んでいてもよい。外壁目地もパーティション目地もそれぞれ3つ以上あって等間隔に横並んだ垂直方向の直線である場合、外壁外装材とパーティション外装材との境目を隔てて隣り合う外壁目地とパーティション目地との間隔は、これ以外の目地同士の間隔と等しいことが好ましい。
【符号の説明】
【0048】
R 住居
W 外壁
W1 外壁外装材
W1a 外壁目地
P パーティション
1 パーティション上半部
11 パーティション外装材
11a パーティション目地
12 下地材
13 上半部枠材
14 カバー部材
15 固定部材
2 パーティション下半部
21 蹴破り戸
22 下半部枠材
Cb 床
Cc 天井
D デッキ
H 手摺