(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017542
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】微粒子分離装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/66 20060101AFI20240201BHJP
B01D 24/48 20060101ALI20240201BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240201BHJP
B01D 43/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B01D29/38 520A
B01D29/38 510A
B01D29/36 C
B01D29/04 510B
B01D29/04 520B
B01D29/04 530A
B01D43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120255
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 紘斗
(72)【発明者】
【氏名】小島 力
(72)【発明者】
【氏名】新井 義雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 景太
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116BB01
4D116BC05
4D116DD04
4D116FF12B
4D116KK02
4D116QA06B
4D116QA06D
4D116QA06E
4D116QA37B
4D116QA37G
4D116QA46B
4D116QA46G
4D116QA57B
4D116QA57G
4D116QA60B
4D116QA60G
4D116QC02B
4D116QC20
4D116QC22D
4D116QC23A
4D116QC23B
4D116QC24
4D116QC26
4D116QC29
4D116RR01
4D116RR04
4D116RR16
4D116RR28
4D116UU20
4D116VV10
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】環境への影響が小さく、低コストで微粒子を回収可能な微粒子分離装置を提供する。
【解決手段】液体が流通する第一流路と、第一流路に配置されて微粒子を捕捉して液体を透過させるフィルターと、第一流路に接続される流路と、第一流路及び第二流路の接続位置に配置され、第一流路から第二流路への液体の流入を規制する第一状態と、第一流路から第二流路へ液体を流入させる第二状態と、を切り替える第一弁と、第二流路に配置され、第一弁が第二状態のときに第二流路内の液体に定在波を発生させて微粒子を捕捉する捕捉部と、第二流路の捕捉部よりも下流側で捕捉された微粒子を回収する回収部と、を備え、第二流路は、第一弁が第二状態であるときの液体の流通方向で、フィルターよりも下流側で第一弁を介して第一流路に接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流通する第一流路と、
前記第一流路に配置され、前記液体に含まれる微粒子を捕捉して前記液体を透過させるフィルターと、
前記第一流路に接続される第二流路と、
前記第一流路及び前記第二流路の接続位置に配置され、前記第一流路から前記第二流路への前記液体の流入を規制する第一状態と、前記第一流路から前記第二流路へ前記液体を流入させる第二状態と、を切り替える第一弁と、
前記第二流路に配置され、前記第一弁が前記第二状態であるときに前記第二流路内の前記液体に超音波を送信することで、前記液体に含まれる前記微粒子を捕捉する捕捉部と、
前記第二流路の前記捕捉部よりも下流側に設けられ、前記捕捉部により捕捉された前記微粒子を回収する回収部と、を備え、
前記第二流路は、前記第一弁が前記第二状態であるときの前記液体の流通方向で、前記フィルターよりも下流側で前記第一弁を介して前記第一流路に接続される、微粒子分離装置。
【請求項2】
前記第一流路は、前記液体が導入される導入部、前記フィルターが配置されるフィルター部、及び前記液体が排出される排出部を含み、
前記第一弁は、前記導入部と前記フィルター部との間に配置され、前記第一弁が前記第一状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、
前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記排出部から前記フィルター部に向かって液体を流通させる流通方向反転部をさらに備える、
請求項1に記載の微粒子分離装置。
【請求項3】
前記第二流路は、前記第一弁が前記第二状態であるときの前記液体の流通方向における前記捕捉部の下流側で、前記捕捉部で捕捉された前記微粒子を含む前記液体を前記回収部に送る回収流路と、それ以外の前記液体が流通する浄化流路と、を含み、前記浄化流路が、前記第一流路の前記フィルター部及び前記排出部の間に接続される、
請求項2に記載の微粒子分離装置。
【請求項4】
前記第一流路は、前記液体が導入される導入部、前記フィルターが配置されるフィルター部、及び前記液体が排出される排出部を含み、
前記第一弁は、前記フィルター部と前記排出部との間に配置され、前記第一弁が前記第一状態であるときに前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態であるときに前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、
前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記フィルターで捕捉された前記微粒子を前記排出部側に通して前記フィルターを清掃するフィルター清掃部をさらに備える、
請求項1に記載の微粒子分離装置。
【請求項5】
前記第一流路は、前記液体が導入される導入部、前記フィルターが配置されるフィルター部、及び前記液体が排出される排出部を含み、
前記液体を貯留するタンクと、
前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記タンクに貯留された前記液体を、前記フィルター部の上流側に導入するタンク導入部と、を備える、
請求項1に記載の微粒子分離装置。
【請求項6】
前記タンクは、前記フィルターにより前記微粒子が捕捉された後の前記液体、及び前記捕捉部により前記微粒子が捕捉された後の前記液体の、少なくとも一方の前記液体が貯留される、
請求項5に記載の微粒子分離装置。
【請求項7】
前記第一弁は、前記導入部と前記フィルター部との間に配置され、前記第一弁が前記第一状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、
前記タンク導入部は、前記フィルター部及び前記排出部の間に接続され、
前記第二流路は、前記第一弁が前記第二状態であるときの前記液体の流通方向における前記捕捉部の下流側で、前記捕捉部で捕捉された前記微粒子を含む前記液体を前記回収部に送る回収流路と、それ以外の前記液体が流通する浄化流路と、を含み、前記浄化流路が前記タンクに接続され、
前記浄化流路及び前記タンクの間に設けられ、前記浄化流路と前記タンクとの間での前記液体の流通を許容する開状態及び、前記浄化流路と前記タンクとの間で前記液体の流通を規制する閉状態に切り替え可能な開閉弁を備え、
前記第一弁が前記第一状態であるときに、前記第一流路を流れる前記液体の一部が前記タンク導入部を介して前記タンクに貯留されるとともに、前記開閉弁が閉状態に切り替えられ、
前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記タンクに貯留された前記液体が前記タンク導入部から前記第一流路に導入されて前記フィルター部に当該液体が流れるとともに、前記開閉弁が開状態に切り替えられて、前記浄化流路から前記タンクに前記液体が導入される、
請求項6に記載の微粒子分離装置。
【請求項8】
前記第一弁は、前記フィルター部と前記排出部との間に配置され、前記第一状態において前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態において前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、
前記タンク導入部は、前記フィルター部及び前記導入部の間に接続され、
前記第一弁と前記排出部との間で前記第一流路に接続されて、前記第一弁が前記第一状態であるときに、前記第一流路を流れる前記液体の一部を前記タンクに流すタンク流路と、
前記タンク流路内に設けられて、前記第一流路から前記タンクへの前記液体の流通を許容する貯留許可状態及び、前記タンクから前記第一流路への前記液体の流通を規制する逆流抑制状態に切り替え可能な貯留制御弁と、を備える、
請求項6に記載の微粒子分離装置。
【請求項9】
前記フィルターに捕捉された前記微粒子による前記フィルターの目詰まり度合いを検出する検出部と、
前記第一弁の状態を切り替え制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部により検出される前記目詰まり度合いが所定の閾値以下である場合に前記第一弁を第一状態とし、前記目詰まり度合いが前記閾値を超える場合に前記第一弁を前記第二状態とする、
請求項1に記載の微粒子分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃液に含まれる微粒子をフィルターにより取り除く微粒子分離装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の装置は洗濯機であり、洗濯槽から排出された液体が流れる排水流路Aと、排水流路Aに設けられた2つの排水弁と、これらの排水弁を介して排水流路Aに連通され、これらの排水弁間を連結する排水流路Bと、を備える。排水流路Aには第1フィルターが設けられ、排水流路Bには第2フィルターが設けられる。そして、洗濯機の運転中、排水流路Bへの液体の流通を止めて排水流路Aに液体を流し、第1フィルターで液体中の微粒子を捕捉し、微粒子が除去された液体を外部に流す。一方、運転終了後、排水弁を制御して排水流路Aと排水流路Bとの間で液体を流通可能、つまり、循環流路を形成する。そして、排水流路Aと排水流路Bとで、洗濯機の運転時とは逆方向に液体を流すことで、第1フィルターに積もった微粒子を排水流路Bに流し、第2フィルターで捕捉させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、第1フィルターに積もった微粒子を第2フィルターに移動させるだけである。よって、第2フィルターのフィルター性能が低下すると、第2フィルターの掃除、又は、廃棄及び交換が必要となる。第2フィルターに溜まった微粒子を掃除する場合、第2フィルターを取り外して洗浄等を行なう必要があるが、洗浄時の廃液に微粒子が含まれて、そのまま下水に流すことは環境を汚染する懸念がある。また、第2フィルターを乾燥させてエアクリーナー等により掃除する場合でも、空気中に微粒子が飛散する恐れがある。第2フィルターを廃棄及び交換する場合、微粒子を捕捉可能な第2フィルターを新たに購入する必要があり、コストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一態様の微粒子分離装置は、液体が流通する第一流路と、前記第一流路に配置され、前記液体に含まれる微粒子を捕捉して前記液体を透過させるフィルターと、前記第一流路に接続される第二流路と、前記第一流路及び前記第二流路の接続位置に配置され、前記第一流路から前記第二流路への前記液体の流入を規制する第一状態と、前記第一流路から前記第二流路へ前記液体を流入させる第二状態と、を切り替える第一弁と、前記第二流路に配置され、前記第一弁が前記第二状態であるときに前記第二流路内の前記液体に超音波を送信することで、前記液体に含まれる前記微粒子を捕捉する捕捉部と、前記第二流路の前記捕捉部よりも下流側に設けられ、前記捕捉部により捕捉された前記微粒子を回収する回収部と、を備え、前記第二流路は、前記第一弁が前記第二状態であるときの前記液体の流通方向で、前記フィルターよりも下流側で前記第一弁を介して前記第一流路に接続される。
【0006】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一流路は、前記液体が導入される導入部、前記フィルターが配置されるフィルター部、及び前記液体が排出される排出部を含み、前記第一弁は、前記導入部と前記フィルター部との間に配置され、前記第一弁が前記第一状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記排出部から前記フィルター部に向かって液体を流通させる流通方向反転部をさらに備えることが好ましい。
【0007】
上記態様の微粒子分離装置において、前記第二流路は、前記第一弁が前記第二状態であるときの前記液体の流通方向における前記捕捉部の下流側で、前記捕捉部で捕捉された前記微粒子を含む前記液体を前記回収部に送る回収流路と、それ以外の前記液体が流通する浄化流路と、を含み、前記浄化流路が、前記第一流路の前記フィルター部及び前記排出部の間に接続されることが好ましい。
【0008】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一流路は、前記液体が導入される導入部、前記フィルターが配置されるフィルター部、及び前記液体が排出される排出部を含み、前記第一弁は、前記フィルター部と前記排出部との間に配置され、前記第一弁が前記第一状態であるときに前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態であるときに前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記フィルターで捕捉された前記微粒子を前記排出部側に通して前記フィルターを清掃するフィルター清掃部をさらに備える構成としてもよい。
【0009】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一流路は、前記液体が導入される導入部、前記フィルターが配置されるフィルター部、及び前記液体が排出される排出部を含み、前記液体を貯留するタンクと、前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記タンクに貯留された前記液体を、前記フィルター部の上流側に導入するタンク導入部と、を備えることが好ましい。
【0010】
上記態様の微粒子分離装置において、前記タンクは、前記フィルターにより前記微粒子が捕捉された後の前記液体、及び前記捕捉部により前記微粒子が捕捉された後の前記液体の、少なくとも一方の前記液体が貯留されることが好ましい。
【0011】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一弁は、前記導入部と前記フィルター部との間に配置され、前記第一弁が前記第一状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、前記タンク導入部は、前記フィルター部及び前記排出部の間に接続され、前記第二流路は、前記第一弁が前記第二状態であるときの前記液体の流通方向における前記捕捉部の下流側で、前記捕捉部で捕捉された前記微粒子を含む前記液体を前記回収部に送る回収流路と、それ以外の前記液体が流通する浄化流路と、を含み、前記浄化流路が前記タンクに接続され、前記浄化流路及び前記タンクの間に設けられ、前記浄化流路と前記タンクとの間での前記液体の流通を許容する開状態及び、前記浄化流路と前記タンクとの間で前記液体の流通を規制する閉状態に切り替え可能な開閉弁を備え、前記第一弁が前記第一状態であるときに、前記第一流路を流れる前記液体の一部が前記タンク導入部を介して前記タンクに貯留されるとともに、前記開閉弁が閉状態に切り替えられ、前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記タンクに貯留された前記液体が前記タンク導入部から前記第一流路に導入されて前記フィルター部に当該液体が流れるとともに、前記開閉弁が開状態に切り替えられて、前記浄化流路から前記タンクに前記液体が導入されることが好ましい。
【0012】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一弁は、前記フィルター部と前記排出部との間に配置され、前記第一状態において前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態において前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、前記タンク導入部は、前記フィルター部及び前記導入部の間に接続され、前記第一弁と前記排出部との間で前記第一流路に接続されて、前記第一弁が前記第一状態であるときに、前記第一流路を流れる前記液体の一部を前記タンクに流すタンク流路と、前記タンク流路内に設けられて、前記第一流路から前記タンクへの前記液体の流通を許容する貯留許可状態及び、前記タンクから前記第一流路への前記液体の流通を規制する逆流抑制状態に切り替え可能な貯留制御弁と、を備える構成としてもよい。
【0013】
本態様の微粒子分離装置において、前記フィルターに捕捉された前記微粒子による前記フィルターの目詰まり度合いを検出する検出部と、前記第一弁の状態を切り替え制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部により検出される前記目詰まり度合いが所定の閾値以下である場合に前記第一弁を第一状態とし、前記目詰まり度合いが前記閾値を超える場合に前記第一弁を前記第二状態とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第一実施形態に係る洗濯機の概略構成を示す図。
【
図2】本実施形態の微粒子分離装置の概略構成を示す模式図。
【
図3】流体デバイスにおける第二流路の概略を示す模式図。
【
図4】超音波送信部が設けられる位置での流体デバイスの概略構成を示す断面図。
【
図5】第一実施形態の微粒子分離装置による動作を示すフローチャート。
【
図6】第一実施形態において第一弁が第一状態であるときの液体の流れを示す図。
【
図7】第一実施形態において第一弁が第二状態であるときの液体の流れを示す図。
【
図8】第二実施形態の微粒子分離装置の概略構成を示す模式図。
【
図9】第二実施形態の微粒子分離装置による動作を示すフローチャート。
【
図10】第二実施形態において第一弁が第一状態であるときの液体の流れを示す図。
【
図11】第二実施形態において第一弁が第二状態であるときの液体の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一実施形態]
以下、本開示に係る第一実施形態について説明する。
図1は、第一実施形態に係る洗濯機1の概略構成を示す図である。
[洗濯機1の全体構成]
本実施形態では、微粒子分離装置を備える機器の一例として、
図1に示すような洗濯機1を例示して説明する。
洗濯機1は、
図1に示すように、水道10からの液体(水)が洗濯槽11に導入され、洗濯槽11で衣服を洗濯した後に排水となった液体(洗濯排水)が排水管12から排出される装置である。ここで、本実施形態では、排水管12に対して、本開示の微粒子分離装置20が装着されている。この微粒子分離装置20は、排水管12から排出される洗濯排水に含まれるマイクロ繊維などの微粒子を除去して外部(例えば下水13)に排出する装置である。
【0016】
[微粒子分離装置20の構成]
図2は、第一実施形態の微粒子分離装置20の概略構成を示す模式図である。
本実施形態の微粒子分離装置20は、第一流路21と、第二流路22と、フィルター23と、流体デバイス24と、回収部25と、タンク26と、検出部27と、制御部50と、を備える。微粒子分離装置20は、洗濯機1の排水管12に対して着脱可能に装着される。したがって、既存のいかなる洗濯機1に対しても、本実施形態の微粒子分離装置20を組み込むことができる。
【0017】
第一流路21は、流路の一端部に導入部211が設けられている。この導入部211が洗濯機1の排水管12に接続されることで、排水管12から液体(洗濯排水)が第一流路21内に導入される。また、第一流路21の他端部は、排出部212であり、第一流路21を流通した液体が下水等の外部に排出される。
【0018】
第一流路21の導入部211及び排出部212の間には、フィルター部213が設けられており、このフィルター部213には、第一流路を閉塞するようにフィルター23が設置される。
このフィルター23は、例えば、10μmから20μmのマイクロ繊維等の微粒子を捕捉するメッシュフィルターである。つまり、フィルター23は、微粒子を捕捉し液体を透過させる多数の孔を有する。フィルター23の孔径は特に限定されず、50μm程度の孔径のメッシュフィルターであっても、網目部に微粒子が付着及び積層することで、微粒子を捕捉することが可能である。
【0019】
第一流路21のフィルター部213と排出部212との間には、タンク26と第一流路21とを接続するタンク流路261が接続されている。
第一流路21において、フィルター23を透過した微粒子が除去された液体の一部は、タンク流路261からタンク26内に入って貯留される。タンク流路261からタンク26内に導入されなかった液体は、そのまま排出部212に流されて排出される。
また、第一流路21において、タンク流路261の接続位置と、排出部212との間には、第二弁32が設けられている。この第二弁32は、第一流路21から排出部212への液体の流れを許容する開状態と、第一流路21から排出部212への液体の流れを規制する閉状態に切り替え可能な電磁弁である。
【0020】
さらに、第一流路21には、フィルター23の目詰まり度合いを検出する検出部27が設けられている。検出部27としては、フィルター23の目詰まり度合いを検出可能な構成であれば、いかなる構成であってもよい。
例えば、検出部27は、第一流路21を流れる液体の流速を測定する流速計であってもよい。この場合、
図2に示すように、フィルター23の下流側に検出部27である流速計を設ける。フィルター23に微粒子が堆積して液体がフィルター23を透過しにくくなると、液体の流速が減少するので、検出部27は、測定される流速に基づいて目詰まり度合いを検出することができる。
また、検出部27は、フィルター23の重量を測定する重量計であってもよい。フィルター23に対して微粒子が堆積することで、フィルター23の重量が増加する。したがって、検出部27は、フィルターの重量の増加量に基づいて目詰まり度を検出することができる。なお、第一流路21内に設置されたフィルター23の重量の増加量を計測する手法としては、フィルター23の共振周波数を計測し、共振周波数の変化から重量変化を検出することができる。
【0021】
第一流路21のフィルター部213と導入部211との間には、第二流路22が接続される。具体的には、第一流路21と第二流路22との接続位置に第一弁31が設けられており、第二流路22は、第一弁31を介して第一流路21に接続される。
本実施形態では、第一弁31は、制御部50により制御され、第一流路21を開放して第二流路22を閉塞する第一状態と、第一流路21を閉塞して第二流路22を開放する第二状態と、を切り替える。
つまり、第一状態では、第一弁31は、導入部211から導入された液体をフィルター部213に向かって流通させ、第一流路21から第二流路22への液体の流通を規制する。
また、第二状態では、第一弁31は、導入部211から導入された液体のフィルター部213及び第二流路22への流入を規制し、第一流路21のフィルター部213側から第二流路22への液体の流通を許容する。
【0022】
第二流路22は、上述のように第一弁31を介して第一流路21に接続される。
第二流路22には、流体デバイス24が設けられている。
図3は、流体デバイス24における第二流路22の概略を示す模式図であり、
図4は、超音波送信部241が設けられる位置での流体デバイス24の概略構成を示す断面図である。
本実施形態では、第二流路22の少なくとも一部には、
図3に示すような流体デバイス24が設けられている。この流体デバイス24は、
図4に示すように、第二流路22の一部を構成する第一壁部221、第二壁部222、第三壁部223、及び第四壁部224を有する。ここで、第二流路22を流れる液体の流通方向を+Xとする。第一壁部221及び第二壁部222はX方向に直交するY方向において互いに対向する。第一壁部221および第二壁部222の間の流路幅Lは、既知の値である。第三壁部223及び第四壁部224は、X方向及びY方向に直交するZ方向において対向する。第三壁部223から第四壁部224までの距離(高さ)は特に限定されないが、均一な高さに設定されることが好ましく、これにより、第二流路22を流れる液体の流速を一定にできる。
流体デバイス24における第二流路22は、例えば、凹溝を形成されたベース基板と、当該凹溝を覆うリッド基板とによって構成することができ、各基板として、ガラス基板やシリコン基板などを利用できる。
【0023】
そして、本実施形態では、流体デバイス24に、本開示の捕捉部である超音波送信部241が設けられている。この超音波送信部241は、第二流路22を流れる液体に対して所定の周波数の超音波を送信することで、当該液体中にY方向に沿った定在波SWを発生させる。これにより、定在波SWの節の位置で微粒子が捕捉される。
なお、超音波送信部241を設ける位置としては、特に限定されない。例えば、本実施形態では、
図3に示すように、第一壁部221の一部が超音波発信面となるように、超音波送信部241を設ける。
具体的には、本実施形態の超音波送信部241は、素子基板242、素子基板242に支持される振動膜243と、振動膜243に設けられる圧電素子244と、を備えている。
素子基板242は、Si等の半導体基板で構成される。この素子基板242は、厚み方向がY方向に沿うように配置されている。また、素子基板242には、厚み方向に沿って素子基板242を貫通する開口部242Aが設けられている。
【0024】
振動膜243は、例えばSiO2膜およびZrO2膜など、複数種類の膜を積層した積層体等より構成されている。この振動膜243は、素子基板242に支持されると共に、開口部242Aの一方側(第二流路22側とは反対側)を閉塞する。
また、振動膜243のうち、素子基板242の厚み方向から見た際に開口部242Aと重なる部分は、超音波の送信を行う振動部243Aを構成する。
【0025】
圧電素子244は、振動部243Aに対して第二流路22とは反対側の面に設けられている。この圧電素子244は、図示を省略するが、振動部243A上に下部電極、圧電膜および上部電極が順に積層されることにより構成されている。
なお、
図4には、説明の簡略化のため、1つの振動部243A及び圧電素子244を備える超音波送信部241を模式的に示しているが、実際には、振動部243A及び圧電素子244により構成される素子が複数アレイ状に配置された超音波送信部241が用いられる。
【0026】
このような超音波送信部241では、圧電素子244に駆動信号が入力されると、下部電極と上部電極との間に電圧が印加され、圧電膜が伸縮する。これにより、振動部243Aは、振動部243Aの短辺方向の寸法などに応じた所定の発振周波数で振動する。振動部243Aの振動は、液体の粗密波に変換されることで超音波の伝搬が行われる。また、本実施形態では、超音波送信部241の超音波送信面は、第一壁部221と略同一面であり、超音波送信面から第二流路22を挟んで対向する第二壁部222までの距離はLとなる。これにより、Y方向に沿って伝搬された超音波は、第一壁部221と第二壁部222との間で反射を繰り返して第二流路22内に定在波SWを発生させる。
このような構成の薄膜型の超音波送信部241では、低電力で強い音圧の超音波を第二流路22内の液体に伝搬させることができる。つまり、第一壁部221を介してバルク型の圧電素子を配置する場合、バルク型の圧電素子を振動させて発生させた超音波を、第一壁部221を介して液体に伝搬させることになる。この場合、バルク型の圧電素子と、第一壁部221を構成するベース基板との音響インピーダンスの差、第一壁部221と液体との音響インピーダンスの差により、超音波が反射及び減衰されることで、液体に伝搬される超音波の音圧が低下し、より大きい駆動電力が必要となる。これに対して、本実施形態では、振動部243Aの振動によって第二流路22内の液体に直接超音波が出力されるため、振動部243Aの音響インピーダンスによらず、液体に強い音圧の超音波を伝搬させることができる。
【0027】
なお、
図4に示す構成は、第一壁部221に設けられる薄膜側の超音波素子の一例であるが、本開示の超音波送信部241としては、この構成に限定されない。例えば、振動膜243が素子基板242の第二流路22側に設けられる構成としてもよく、この場合、第一壁部221と超音波送信面とをより正確に面一にできる。
また、超音波送信部241の厚み方向がY方向に沿うものとしたが、例えば、超音波送信部241が第一壁部221や第二壁部222に直交する第三壁部223や第四壁部224に設けられ、厚み方向がZ方向に沿うものであってもよい。このような構成でも、超音波送信部241から出力された超音波は、振動部243Aを中心に放射状に拡散されるため、このうちY方向に向かって進む超音波が、第二流路22の第一壁部221及び第二壁部222で反射を繰り返すことで、第二流路22内に定在波SWを発生させることができる。
【0028】
また、流体デバイス24に設けられる第二流路22において、超音波送信部241の下流側には、分岐部225が設けられている。この分岐部225は、回収流路225Aと、浄化流路225Bとを含む。回収流路225Aは、流体デバイス24により形成された定在波SWの節に対応する位置に設けられている。これにより、定在波SWの節で捕捉された微粒子は液体の流れによって回収流路225Aに流れ込む。一方、浄化流路225Bは、定在波SWの腹に対応する位置に設けられており、微粒子の含有量が少ない液体が流れ込む。ここで、第二流路22を流れる液体の大部分は分岐部225において浄化流路225Bに流れるため、浄化流路225Bは、超音波送信部241の下流側の第二流路22を構成する流路となる。言い換えると、第二流路22に対して回収流路225Aが接続され、捕捉された微粒子を含む液体が回収流路225Aに流れ込み、それ以外の液体がそのまま浄化流路225Bである第二流路22に沿って流れる。
【0029】
ところで、
図3に示す例では、1次の定在波SWが形成される例であり、節の位置が1つであり、腹の位置が2つであるため、1つの回収流路225Aと、2つの浄化流路225Bが設けられる。一方、超音波送信部241により発生させる定在波SWとしては、2次以上であってもよく、この場合より多くの節が現れる。したがって、2次以上の定在波SWを発生させる場合では、各節に対応してそれぞれ回収流路225Aを設け、各腹に対応してそれぞれ浄化流路225Bを設ける。
また、
図3の示す例では、1つの超音波送信部241及び分岐部225が設けられる例であるが、第二流路22に沿って、複数の超音波送信部241及び分岐部225が設けられてもよい。つまり、1つ目の超音波送信部241の下流側に1つ目の分岐部225が設けられ、1つ目の分岐部225の各浄化流路225Bに対して、2つ目の超音波送信部241を設けてもよい。この際、各浄化流路225Bを合流させた流路に対して2つ目の超音波送信部241を配置してもよく、各浄化流路225Bのそれぞれに超音波送信部241を配置してもよい。2つ目の超音波送信部241の下流側にも同様に、回収流路225Aと浄化流路225Bとを設ける。以降、同様にして、複数の超音波送信部241及び分岐部225を配置することで、浄化流路225Bに流れる液体に含まれる微粒子を限りなく減らすことができる。
【0030】
回収流路225Aは、上述のように、超音波送信部241により発生した定在波SWの節で捕捉された微粒子を含む液体(以降、濃縮液体と称する)が流れ込む流路であり、回収部25に接続される。
この回収部25は、例えば、紙や布が設置されており、濃縮液体が吸収される。紙や布に濃縮液体を吸収させる方法であれば、濃縮液体の回収に係るコストを低減でき、容易に微粒子を回収することができる。
【0031】
また、浄化流路225B、つまり、回収流路225Aとは分岐された第二流路22は、
図2に示すように、第三弁33を介してタンク26に接続される。第三弁33は、本開示の開閉弁に相当する電磁弁であり、制御部50の制御により、第二流路22とタンク26との間で液体が流通可能な開状態と、第二流路22とタンク26との間での液体の流通を規制する閉状態とを切り替える。
本実施形態では、第一弁31が第二状態であるときに、第二流路22を構成する浄化流路225Bは、タンク26及びタンク流路261を介して、第一流路21のフィルター部213及び排出部212の間に接続されることになる。
【0032】
タンク26には、上述したように、微粒子が除去された液体が貯留される。
本実施形態では、第一弁31が第一状態であるとき、つまり、第二流路22への液体の流入が規制されるときに、フィルター23によって微粒子が除去された液体が第一流路21からタンク26に流入して貯留される。この際、第二弁32は、開状態となり、タンク26に貯留されない液体は、排出部212から排出される。また、第三弁33は、閉状態となるように制御され、タンク26から第二流路22へ液体の流入が規制される。
【0033】
一方、第一弁31が第二状態に切り替えられた場合、第二弁32は閉状態に切り替えられ、第三弁33は開状態に切り替えられる。これにより、排出部212からの液体の排出が規制され、タンク26に貯留された液体がタンク流路261から第一流路21内に流れ込む。すなわち、本実施形態のタンク流路261は、本開示のタンク導入部としても機能する。第一流路21に流れ込んだ液体は、第一弁31から第二流路22を通り、タンク26に戻る。つまり、第二状態では、第一流路21及び第二流路22により循環流路が形成され、タンク26は第二状態において第一流路21の排出部212側から導入部211側に液体を流通させる。
さらに、第一流路21または第二流路22には、タンク26とともに本開示の流通方向反転部を構成するポンプ40が設けられており、ポンプ40によって循環流路内に液体を循環させる。ポンプ40の設けられる位置としては、特に限定されないが、例えば、
図2に示すように、第二流路22の第一流路21との接続位置(第一弁31)の近傍であってもよい。または、タンク流路261にポンプ40を設ける構成としてもよく、その他の場所であってもよい。なお、本実施形態では、流通方向反転部としてポンプ40が設けられる例を示すが、タンク26の水圧を利用して、第一流路21の液体の流通方向を反転させるものであってもよい。
【0034】
次に、制御部50について説明する。
制御部50は、微粒子分離装置20の全体動作を制御する。この制御部50は、
図2に示すように、各種プログラムや各種データが記憶されるメモリー51と、メモリー51に記憶されたプログラムを実行するプロセッサー52とを含む。
メモリー51には、流体デバイス24の超音波送信部241により定在波SWを発生させるための駆動周波数の値などが記憶されている。
【0035】
プロセッサー52は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され、メモリー51に記憶されたプログラムを実行することで、目詰まり判定部521、流通制御部522、及び捕捉制御部523として機能する。
目詰まり判定部521は、検出部27により検出される目詰まり度合いに基づいて、フィルター23の洗浄の有無を判定する。例えば、目詰まり度合いが所定の閾値以上である場合に、フィルター23の洗浄が必要と判定する。検出部27が流速計である場合、例えば、流速の逆数を目詰まり度合いとして算出してもよく、検出部27によりフィルター23の重量変化を測定する場合、当該重量変化を目詰まり度合いとしてもよい。また、検出部27が流速計である場合、流速が所定値以下になった場合にフィルター23が目詰まりしているため、洗浄が必要と判定してもよい。
【0036】
流通制御部522は、目詰まり判定部521の判定結果に基づいて、第一弁31、第二弁32、第三弁33、及びポンプ40を制御し、流路を流れる液体の流通方向を制御する。
捕捉制御部523は、流通制御部522により第一弁31が第二状態に切り替えられた場合に、超音波送信部241を制御して、第二流路22の液体中に定在波SWを発生させる。
【0037】
[微粒子分離装置20の動作]
次に、上述したような洗濯機1に装着された微粒子分離装置20の動作について説明する。
図5は、本実施形態の微粒子分離装置20による動作を示すフローチャートである。また、
図6は、第一弁31が第一状態であるときの液体の流れを示す図であり、
図7は、第一弁31が第二状態であるときの液体の流れを示す図である。なお、
図6及び
図7において、ハッチ入りの矢印は微粒子を含む液体の流れを示し、ハッチ無しの矢印は微粒子が除去された液体の流れを示している。
制御部50の流通制御部522は、微粒子分離装置20の初期状態として、第一弁31を第一状態とし、第二弁32を開状態とし、第三弁33を閉状態とするように、各弁31,32,33を制御する(ステップS1)。
【0038】
洗濯機1を通常運転させると、洗濯槽11に対して液体(水道水)が導入され、洗濯槽11に投入された衣服の洗濯処理が実施される。洗濯処理が終わると、洗濯機1は、排水管12から洗濯槽11内の液体(排水)を排出する。
これにより、微粒子分離装置20の第一流路21の導入部211から、第一流路21の内部に液体が流入する。ステップS1により、初期状態では、
図6に示すように、第一流路21から第二流路22への液体の流入が規制される。また、第二弁32が開状態であるため、第一流路21に導入された液体は、第一流路21に沿って排出部212側に流れ、フィルター部213において、微粒子がフィルター23によってせき止められ、微粒子を含まない液体がフィルター23を透過し、排出部212から排出される。また、フィルター23を透過した液体の一部は、タンク流路261からタンク26に流れ、タンク26内に貯留される。
【0039】
また、第一弁31が第一状態であるとき、目詰まり判定部521は検出部27を制御してフィルター23の目詰まり度合いを監視する(ステップS2)。ステップS2による目詰まり度合いの監視は、一定周期であってもよく、常に監視を継続してもよい。
そして、目詰まり判定部521は、検出部27により検出される目詰まり度合いが所定の閾値を超えるか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3において、Noと判定される場合、つまり、目詰まり度合いが閾値未満である場合、フィルター23が目詰まりしていないと判定し、ステップS2に戻る。
【0040】
一方、ステップS3において、YESと判定された場合、つまり、目詰まり度合いが閾値を超える場合、目詰まり判定部521は、フィルター23が目詰まりしており、洗浄が必要と判定する。
この場合、流通制御部522は、第一弁31を第二状態に、第二弁32を閉状態、第三弁を開状態に切り替え、ポンプ40を駆動させる(ステップS4)。さらに、捕捉制御部523は、超音波送信部241を駆動させて、第二流路22内に定在波SWを発生させる(ステップS5)。
これにより、
図7に示すように、タンク26に貯留された液体が、第一流路21内に流れ込み、第一流路21の排出部212から導入部211に向かう方向に液体が流れる。第一流路21を流れる液体の流通方向が第一状態とは逆になるため、フィルター23の導入部211側の面に堆積した微粒子が液体の流れによって第一弁31側に流れ、第二流路22内に入る。これにより、フィルター23が洗浄される。
また、第二流路22に入った微粒子は、定在波SWの節の位置で捕捉され、そのまま回収流路225Aに流され、回収部25で回収される。回収流路225Aに流れ込まなかった液体、つまり、微粒子が除去された液体は、第三弁33を通ってタンク26に戻る。
また、ポンプ40によって、第一流路21及び第二流路22により構成される循環流路で液体が循環される。これにより、新たに水道水などの液体を導入することなく、低コストでフィルター23の洗浄を行うことができる。
【0041】
そして、制御部50は、一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS6)。
ステップS6でNOと判定される場合は、ステップS5を継続してステップS6に戻る。つまり、第二流路22への液体の流通及び超音波送信部241による定在波SWの形成を継続し、フィルター23の洗浄、及び微粒子の回収部25への回収を続ける。
一方、ステップS6でYESと判定される場合、流通制御部522は、ステップS1と同様に、第一弁31、第二弁32、第三弁33を初期状態に戻し、ポンプ40を停止させる(ステップS7)。
【0042】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の微粒子分離装置20は、第一流路21、第二流路22、第一流路21に配置されるフィルター23、第二流路22に配置される超音波送信部241、第一流路21及び第二流路22の接続位置に設けられる第一弁31、及び回収部25を備える。第一流路21には液体が導入され、フィルター23は、第一流路21に流れる液体の中の微粒子を透過させず、液体を透過させる。第二流路22は、第一弁31を介して第一流路21に接続される。第一弁31は、第一流路21から第二流路22への液体の流入を規制する第一状態と、第一流路21から第二流路22へ液体を流入させる第二状態と、を切り替える。捕捉部である超音波送信部241は、第一弁31が第二状態となるときに、第二流路22を流れる液体に超音波を送信して定在波SWを発生させて、定在波SWの節で微粒子を捕捉する。回収部25は、定在波SWの節で捕捉された微粒子を回収する。そして、本実施形態では、第二流路22は、第一弁31が第二状態に切り替えられた時の液体の流通方向において、フィルター23よりも下流側で第一弁31を介して第一流路21に接続されている。
すなわち、本実施形態では、第二状態では、第一流路21内の液体は、排出部212から導入部211側に向かう方向に流れることで、フィルター23の導入部211側に堆積してフィルター23を目詰まりさせていた微粒子が押し流される。そして、押し流された微粒子は、第二流路22に流れ込み、超音波送信部241によって発生させられる定在波SWの節で捕捉されて回収部25に送られる。
これにより、第一弁31が第二状態に切り替わったときに流れる液体の流れによって、フィルター23に堆積した微粒子を除去することができ、さらに、当該微粒子を回収部25に回収することができる。このような構成では、フィルター23を取り外して交換したり、フィルター23を取り外して清掃したりする必要がない。
例えば、フィルター23から除去した微粒子を、別途設けられた第二フィルターで除去する場合、当該第二フィルターに微粒子が堆積してしまい、第二フィルターの交換や清掃が必要になる。しかしながら、微粒子を好適に捕捉するためのメッシュフィルターを交換の度に準備するのはコスト高となる。また、第二フィルターを洗い流すとその廃液が下水に流れ込むことになり、第二フィルターを乾燥させてエアクリーナー等を用いて清掃する場合でも大気中に微粒子が飛散してしまい、環境に悪影響を与える。これに対して、本実施形態では、上記のような第二フィルターを用いる必要がなく、定在波SWの節で捕捉された微粒子が直接回収部25に流される。よって、回収部25に、一般的な紙や布といった液体を吸収可能なものを設置すればよく、高価なメッシュフィルターを用いる場合に比べて低コストで微粒子を回収することができる。また、フィルターを取り外して清掃する必要がないので、フィルターに付着した微粒子が周囲に飛散したり下水に流れ込んだりすることを抑制でき、環境への影響を小さくできる。
【0043】
本実施形態の微粒子分離装置20では、第一流路21は、液体が導入される導入部211、フィルターが配置されるフィルター部213、及び液体が排出される排出部212を含む。そして、第一弁31は、導入部211とフィルター部213との間に配置される。この第一弁31は、第一状態に切り替わったときに、導入部211からフィルター部213への液体の流入を許容して第二流路22への流入を規制する。また、第一弁31は、第二状態に切り替わったときに、導入部211からフィルター部213への液体の流入を規制して、フィルター部213から第二流路22への液体の流入を許容する。
そして、本実施形態では、第一弁31が第二状態に切り替わった際に、排出部212からフィルター部213に向かって液体を流通させる流通方向反転部を備える。例えば、本実施形態では、第一弁31が第二状態に切り替わると、第二弁32が閉状態、第三弁33が開状態となることで、タンク26に貯留された液体が第一流路21内に流れ込み、第一流路21内を流れる液体の流通方向が第一状態とは逆転する。また、ポンプ40は、第一流路21及び第二流路22により構成される循環流路において、第一流路21の排出部212側から導入部211側に向かう方法に液体を流通させる。
これにより、上述したように、フィルター23に堆積された微粒子を第二流路22に流すことができ、定在波SWで捕捉した微粒子を回収部25で回収することができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、第二流路22は、第二状態における液体の流通方向の超音波送信部241が設けられる位置の下流側で、超音波送信部241で発生させられる定在波SWで捕捉された微粒子を含む液体を回収部25に送る回収流路225Aと、それ以外の液体が流通する浄化流路225Bと、を含む。そして、浄化流路225Bは、タンク26、タンク流路261を介して、第一流路21のフィルター部213及び排出部212の間に接続される。
これにより、第一流路21及び第二流路22による循環流路が形成されることになり、水道水等の液体を新たに流路内に導入することなく、フィルター23に堆積した微粒子を回収部25に送ることができる。
【0045】
本実施形態では、第一流路21には、フィルター部213と排出部212との間にタンク流路261が接続され、タンク流路261を介して第一流路21にタンク26が接続される。そして、第一弁31が第二状態に切り替わったときに、タンク26に貯留された液体がフィルター部の上流側(すなわち、排出部212側)に導入され、第一流路21の排出部212側から導入部211側に向かって液体を流すことができる。
【0046】
本実施形態では、タンク26には、第一弁31が第一状態となるときに、フィルター23により微粒子が除去された後の液体の一部が貯留される。また、第一弁31が第二状態になるときに、超音波送信部241により発生させられた定在波SWによって微粒子が捕捉された後の液体、つまり、回収流路225Aから回収部25に送られなかった微粒子が除去された液体がタンク26に流入する。
これにより、タンク26内に、微粒子を含まない液体を貯留することができ、別途水道管等から液体をタンク26内に導入する必要がなく、節水を図れる。
【0047】
本実施形態の微粒子分離装置20は、フィルター23に捕捉された微粒子によるフィルターの目詰まり度を検出する検出部27と、第一弁の状態を切り替え制御する制御部50と、を備える。制御部50は、検出部27により検出される目詰まり度合いが所定の閾値以下である場合に第一弁31を第一状態とし、目詰まり度合いが閾値を超える場合に第一弁31を第二状態とする。
これにより、本実施形態の微粒子分離装置20では、フィルター23の清掃を自動で実施することができ、フィルター23の目詰まり度合いが常に閾値以下である状態を維持することができる。
【0048】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
上記第一実施形態では、第一弁31が第一状態に切り替えられたとき、第二状態に切り替えられたときとで、第一流路21を流れる液体の流通方向が反転し、液体の流れによってフィルター23に堆積した微粒子を除去する構成を例示した。これに対して、本実施形態では、第二状態においても液体の流通方向を反転させない点で上記第一実施形態と相違する。
【0049】
図8は、第二実施形態の微粒子分離装置20Aの概略構成を示す模式図である。
本実施形態の微粒子分離装置20Aは、第一実施形態と同様、第一流路21と、第二流路22と、フィルター23と、流体デバイス24と、回収部25と、タンク26と、検出部27と、制御部50と、を備える。
ここで、本実施形態では、第一弁31Aは、フィルター部213と排出部212との間に設けられており、この第一弁31Aを介して第一流路21と第二流路22とが接続される。
この第一弁31Aは、第一実施形態と同様に、第一状態と、第二状態とで切り替え可能となる。第一状態では、第一弁31Aは、第一流路21に沿ってフィルター部213から排出部212に向かう液体の流通を許容し、第一流路21から第二流路22への液体の流入を規制する。第二状態では、第一弁31Aは、第一流路21のフィルター部213から排出部212側への液体の流通を規制し、第二流路22を開放して第一流路21から第二流路22への液体の流入を許容する。
【0050】
また、第二流路22の第一弁31Aとは反対側の端部、つまり、回収流路225Aから分離された浄化流路225Bは、第一流路21において第一弁31Aと排出部212との間に接続される。ここで、浄化流路225Bと第一流路21との接続位置には、第四弁34が設けられている。第四弁34は、第一弁31Aが第一状態であるときに、第一流路21を開放して、第一流路21に沿ってフィルター部213から排出部212への液体の流通を許容し、第一流路21と第二流路22との間の液体の流通を規制する(第三状態)。また、第四弁34は、第一弁31Aが第二状態であるときに、第一流路21の排出部212側からフィルター部213への液体の流入を規制し、第二流路22から第一流路21の排出部212側への液体の流入を許容する(第四状態)。
なお、第四弁34が設けられることで、本実施液体では、第二弁32は設けられていなくてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、タンク26と第一流路21とを接続するタンク流路261は、第一流路21において第一弁31Aと第四弁34との間に設けられており、タンク流路261には、第五弁35が配置されている。
この第五弁35は、タンク流路261を閉じる閉状態と、タンク流路を開放する開状態で切り替え可能である。第五弁35が開状態とは、第一流路21とタンク26との間で液体の流通を許容する貯留許可状態である。第五弁35が開状態とは、タンク26から第一流路21への液体の流通を規制して、液体の逆流を防ぐ逆流抑制状態である。
【0052】
本実施形態では、第一流路21のフィルター部213と、導入部211との間にタンク導入部を構成するタンク導入路262が接続されており、このタンク導入路262の他端は、タンク26に接続されている。
タンク導入路262には、ポンプ40が設けられ、第一弁31Aが第二状態であるときに、ポンプ40によってタンク26に貯留された液体が第一弁31Aに向かって流され、第二流路22から第一弁31Aを介して第一流路21内に流入する。
【0053】
第一流路21とタンク導入路262との接続位置には、第六弁36が設けられている。
第六弁36は、第一弁31Aが第一状態であるときに、導入部211からフィルター部213への液体の流通を許容し、第一流路21からタンク導入路262への液体の流入を規制する(第五状態)。一方、第六弁36は、第一弁31Aが第二状態であるときに、導入部211からフィルター部213への液体の流入を規制し、タンク導入路262から第一流路21への液体の流入を許容する(第六状態)。
【0054】
さらに、本実施形態では、第一弁31Aが第二状態であるときに、フィルター23に堆積した微粒子を下流側に流してフィルター23を清掃するフィルター清掃部28が設けられている。
フィルター清掃部28としては、フィルター23に蓄積された微粒子を下流側に流せる構成であれば、特に限定されない。例えばフィルター清掃部28として、フィルター23の裏表を反転させる反転機構であってもよい。本実施形態では、第一弁31Aが第一状態であるときと、第二状態であるときとで、フィルター23に対する液体の流れ方向が変化しない。したがって、フィルター23の裏表を反転させることで、フィルター23の導入部211側の面が、排出部212側に移動し、上流側から導入される液体がフィルター23を通過した後、堆積した微粒子を下流側に押し流すことができる。
【0055】
また、フィルター清掃部28として、フィルター23に超音波を送信し、超音波によりフィルター23を清掃してもよい。この場合、フィルター23に対して超音波が送信されるように、第一流路21に例えばバルク型の超音波素子を固定する。フィルター23に堆積された微粒子に超音波が印加されることで、微粒子が振動し、フィルター23のメッシュ孔をすり抜ける。
或いは、フィルター23自体にバルク型圧電素子を固定し、フィルター23を振動させてもよい。フィルター23が振動することで、メッシュ孔の孔径が変動し、微粒子がメッシュ孔を通り抜けて下流側に流すことができる。
【0056】
また、本実施形態の制御部50のプロセッサー52は、例えば、メモリー51に記憶されたプログラムを実行することで、目詰まり判定部521、流通制御部522、及び捕捉制御部523に加え、さらに洗浄制御部524として機能する。
洗浄制御部524は、流通制御部522により各弁31A,34,35,36が制御され、第一弁31Aが第二状態とされた際に、フィルター清掃部28を制御して、フィルター23を清掃する。
【0057】
[微粒子分離装置20Aの動作]
図9は、本実施形態の微粒子分離装置20Aによる動作を示すフローチャートである。
図10は、第一弁31Aが第一状態であるときの液体の流れを示す図であり、
図11は、第一弁31Aが第二状態であるときの液体の流れを示す図である。
すなわち、制御部50の流通制御部522は、微粒子分離装置20Aの初期状態として、第一弁31Aを第一状態とし、第四弁34を第三状態とし、第五弁35を開状態(貯留許可状態)とし、第六弁36を第五状態とする(ステップS1A)。
これにより、
図10に示すように、微粒子分離装置20Aの第一流路21の導入部211から、第一流路21の内部に液体が流通し、微粒子がフィルター23によってせき止められ、液体(水)がフィルター23を透過し、排出部212から排出される。
この時、第一弁31Aから第二流路22への液体の流入、及び第四弁34から第二流路22への液体の流入が抑制される。また、フィルター23を透過した液体の一部は、タンク流路261からタンク26に流れ、タンク26内に貯留される。
【0058】
また、第一実施形態と同様に、ステップS2及びステップS3を実施することで、検出部27はフィルター23の目詰まり度合いを監視し、目詰まり判定部521は、検出部27により検出される目詰まり度合いが所定の閾値を超えるか否かを判定する。
ステップS3において、Noと判定される場合、第一実施形態と同様、ステップS2に戻る。また、ステップS3において、YESと判定された場合、目詰まり判定部521はフィルター23の洗浄が必要と判定する。
【0059】
そして、ステップS3でYESと判定される場合、流通制御部522は、第一弁31Aを第二状態とし、第四弁34を第四状態とし、第五弁35を閉状態(逆流抑制状態)とし、第六弁36を第六状態とし、ポンプ40を駆動させる(ステップS4A)。
これにより、
図11に示すように、タンク26に貯留された液体が、タンク導入路262から第六弁36を介して第一流路21内に流れ込み、導入部211からの液体の流入が規制される。第一流路21を流れる液体は、第四弁34側からフィルター部213のフィルター23を透過して、第一弁31Aから第二流路22に入る。
【0060】
そして、捕捉制御部523は、ステップS5を実施して超音波送信部241を駆動させて、第二流路22内に定在波SWを発生させる。さらに、本実施液体では、洗浄制御部524が、フィルター清掃部28を制御して、フィルター23を清掃する(ステップS5A)。これにより、フィルター23に堆積した微粒子が液体に乗って下流側(第一弁31A側)に流される。
また、第二流路22に入った微粒子は、定在波SWの節の位置で捕捉され、そのまま回収流路225Aに流され、回収部25で回収される。回収流路225Aに流れ込まなかった液体、つまり、微粒子が除去された液体は、第四弁34を通って第一流路21の排出部212側に流されて外部に排出される。
【0061】
この後、制御部50は、第一実施形態と同様、ステップS6を実施して、所定の一定時間が経過したか否かを判定する。また、ステップS6でYESと判定された場合は、流通制御部522は、ステップS1Aと同様に、第一弁31Aを第一状態とし、第四弁34を第三状態とし、第五弁35を開状態(貯留許可状態)とし、第六弁36を第五状態とし、ポンプ40を停止させる(ステップS7A)。
【0062】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の微粒子分離装置20Aでは、第一弁31Aは、フィルター部213と排出部212との間に配置される。そして、第一弁31Aが第一状態であるとき、当該第一弁31Aは、フィルター部213から排出部212側への液体の流入を許容して第二流路22への流入を規制する。また、第一弁31Aが第二状態であるとき、当該第一弁31Aは、フィルター部213から排出部212側への液体の流入を規制し、フィルター部213から第二流路22への液体の流入を許容する。また、第一弁31Aが第二状態であるときに、フィルター23で捕捉された微粒子を排出部212側(第一弁31A側)に通してフィルター23を清掃するフィルター清掃部28をさらに備える。
本実施形態では、第一弁31Aが第二状態となった場合でも、第一流路21において、導入部211側から排出部212側に向かって液体が流れるが、フィルター清掃部28により、フィルター23を清掃して、堆積した微粒子を第二流路22に流すことができる。そして、第二流路22において、上記第一実施形態と同様に、超音波送信部241により形成された定在波SWの節で微粒子を捕捉し、捕捉した微粒子を回収部25で回収することができる。
これにより、上記第一実施形態と同様の効果を奏することができ、回収部25に、一般的な紙や布といった液体を吸収可能なものを設置すればよく、高価なメッシュフィルターを用いる場合に比べて低コストで微粒子を回収することができる。また、フィルターを取り外して清掃する必要がないので、フィルターに付着した微粒子が周囲に飛散したり下水に流れ込んだりすることを抑制でき、環境への影響を小さくできる。
【0063】
また、本実施形態では、第一弁31Aが第二状態であるときに、タンク26に貯留された液体を、フィルター部213の上流側に導入するタンク導入路262を備える。
これにより、フィルター23を清掃して堆積した微粒子を下流側に流す際に、水道水等を新たに導入する必要がなく、タンク26に貯留しておいた液体を用いることができ、節水を図れる。
【0064】
さらに、本実施形態では、第一実施形態と同様、第一状態において、第一流路21を流れる微粒子が除去された液体を、タンク流路261からタンク26に貯留することができる。そして、本実施形態では、タンク流路261に、第五弁35が設けられており、第五弁35は、第一弁31Aが第一状態であるときに、第一流路21からタンク26への液体の流通を許容する開状態となり、第一弁31Aが第二状態であるときに、タンク26から第一流路21への液体の流通を規制する閉状態となる。
これにより、第一弁31Aが第二状態のときに、タンク26の液体が逆流して第一流路21内に流れる不都合を抑制できる。
【0065】
[変形例]
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、および各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
【0066】
(変形例1)
第一実施形態では、第一弁31が第二状態に切り替わるときに、導入部211から導入された液体のフィルター部213及び第二流路22への流入を規制したが、これに限定されない。例えば、第一弁31が第二状態に切り替わるときに、導入部211から導入された液体のフィルター部213への流入を規制し、導入部211から第二流路22への液体の流通を許容してもよい。
この場合、上記第一実施形態と同様、タンク26から導入された液体によって、フィルター23に積層またはフィルター23を詰まらせている微粒子が取り除かれて、第二流路22に流入する。これに加え、排水管12から導入された液体が第二流路22に導入される。このような場合、第二流路22に流れる液体の量が増大し、液体の流速が高まる。よって、流体デバイス24から送信する超音波のパワーを、当該流速に応じたパワーに制御することがより好ましい。例えば、第二流路22に、液体の流速を計測する流速計測手段を設け、制御部50が、測定された流速に応じて流体デバイス24から出力させる超音波のパワーを変更してもよい。
また、第一弁31は、第二状態において、第一流路21においてフィルター部213側から導入部211側への液体の流入を規制してもよく、これにより、液体の逆流を防ぐことができる。例えば、第一弁31は、第二状態において、第一流路21の導入部211側から第二流路22への液体の流入経路と、第一流路21のフィルター部213側から第二流路22への液体の流入経路をそれぞれ個別に形成し、各流入経路に逆流を防ぐ逆止弁が設けられる構成としてもよい。
【0067】
[変形例2]
第二実施形態において、第一流路21と第二流路22との接続位置に第四弁34が設けられ、タンク流路261に第五弁35が設けられる例を示した。上記第二実施形態では、第一弁31Aが第二状態であるときに、第五弁が閉状態となってタンク26に貯留された液体がタンク流路261を介して第一流路21に流入するのが抑制される。そして、第四弁34が第四状態となって、第二流路22(浄化流路225B)を流れた液体は、そのまま排出部212から外部に排出される。
これに対して、第二実施形態において、第一弁31Aが第二状態となった場合に、第一実施形態と同様に、第一流路21と第二流路22とで循環流路が形成される構成としてもよい。
すなわち、第四弁34は、第一弁31Aが第一状態であるときに、第一流路21のフィルター部213から排出部212及びタンク流路261への液体の流入を許容して、第二流路22への液体の流入を規制する(第五状態)。一方、第四弁34は、第一弁31Aが第二状態であるときに、第一流路21のフィルター部213と排出部212との間を閉塞することで第二流路22から第一流路21への液体の流入を規制し、第二流路22とタンク流路261とを接続する。これにより、第一弁31Aが第二状態であるときに、第二流路22を流れた液体(微粒子が除去された液体)は、タンク流路261からタンク26に流れ、再び第二流路22に流れる循環流路を形成できる。
【0068】
(変形例3)
第一実施形態及び第二実施形態では、第一流路21にタンク26を接続し、第一弁31,31Aが第一状態であるときに、第一流路21を流れる液体の一部をタンク26に貯留した。これに対して、タンク26が設けられず、別途、水道管等の液体の供給源から液体が導入されてもよい。
この場合、第一実施形態においては、タンク流路261と第一流路21との接続位置に、供給源からの液体を導入すればよい。また、第二実施形態においては、タンク導入路262と第一流路21との接続位置に、供給源からの液体を導入すればよい。この場合、流通方向反転部は、供給源であり、供給源からの液体の水圧によって第一流路21を流れる液体を反転させてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、洗濯機1の排水管12に対して微粒子分離装置20、20Aが着脱可能に取り付けられる例を示したが、洗濯機1等の装置に組み込まれていてもよい。この場合、洗濯槽11に導入される水道10から水を直接微粒子分離装置20,20Aに供給されるようにしてもよい。
【0070】
(変形例4)
上記実施形態では、微粒子分離装置20、20Aが組み込まれる装置として洗濯機1を一例として挙げたが、微粒子を含む液体を排出するいかなる装置に微粒子分離装置20,20Aを適用してもよい。例えば、研磨や切削等の加工処理を行う工場等において、製造品を洗浄した際に排水される洗浄液から、微粒子を除去する際に微粒子分離装置20、20Aを用いてもよい。
【0071】
(変形例5)
上記実施形態では、検出部27によってフィルター23の目詰まり度合いを検出して、目詰まり度合いに応じてフィルター23を清掃する例を示した。これに対して、ユーザがフィルター23の清掃を要求する旨を制御部50に入力することで、制御部50が各弁31~36及びポンプ40を制御してフィルター23を清掃し、微粒子を回収する構成としてもよい。
【0072】
[本開示のまとめ]
本開示の第一態様の微粒子分離装置は、液体が流通する第一流路と、前記第一流路に配置され、前記液体に含まれる微粒子を捕捉して前記液体を透過させるフィルターと、前記第一流路に接続される第二流路と、前記第一流路及び前記第二流路の接続位置に配置され、前記第一流路から前記第二流路への前記液体の流入を規制する第一状態と、前記第一流路から前記第二流路へ前記液体を流入させる第二状態と、を切り替える第一弁と、前記第二流路に配置され、前記第一弁が前記第二状態であるときに前記第二流路内の前記液体に超音波を送信することで、前記液体に含まれる前記微粒子を捕捉する捕捉部と、前記第二流路の前記捕捉部よりも下流側に設けられ、前記捕捉部により捕捉された前記微粒子を回収する回収部と、を備え、前記第二流路は、前記第一弁が前記第二状態であるときの前記液体の流通方向で、前記フィルターよりも下流側で前記第一弁を介して前記第一流路に接続される。
【0073】
本態様では、第一弁が第二状態になるときに第一流路のフィルターよりも液体の流れの下流側に第一弁を介して第二流路が接続され、フィルターに堆積した微粒子が液体ともに第二流路に流される。そして、捕捉部が送信する超音波により、第二流路に流れた液体に含まれる微粒子が捕捉され、捕捉された微粒子を含む液体が回収部に送られる。
このような本態様では、フィルターに堆積した微粒子を超音波で捕捉した上で回収部に送るため、微粒子だけを分離する高性能なメッシュフィルターが不要であり、このような高価なメッシュフィルターの交換を行う必要がない。つまり、本態様では、回収部に液体の吸収効率が高い紙や布等を配置しておけばよく、従来に比べて微粒子の回収に係るコストを低減できる。また、フィルターを別途水道水で洗浄したり、エアクリーナーで清掃したりする必要がないので、微粒子が下水に流されたり、周囲に飛散したりせず、環境への影響も小さくできる。
【0074】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一流路は、前記液体が導入される導入部、前記フィルターが配置されるフィルター部、及び前記液体が排出される排出部を含み、前記第一弁は、前記導入部と前記フィルター部との間に配置され、前記第一弁が前記第一状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記排出部から前記フィルター部に向かって液体を流通させる流通方向反転部をさらに備えることが好ましい。
これにより、第一流路の流れを反転させることで、フィルターに堆積された微粒子を容易に第二流路に流して、回収部で回収することができる。
【0075】
上記態様の微粒子分離装置において、前記第二流路は、前記第一弁が前記第二状態であるときの前記液体の流通方向における前記捕捉部の下流側で、前記捕捉部で捕捉された前記微粒子を含む前記液体を前記回収部に送る回収流路と、それ以外の前記液体が流通する浄化流路と、を含み、前記浄化流路が、前記第一流路の前記フィルター部及び前記排出部の間に接続されることが好ましい。
これにより、第一流路及び第二流路による循環流路が形成され、水道水等の液体を新たに流路内に導入することなく、フィルターに堆積した微粒子を回収部に送ることができる。
【0076】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一流路は、前記液体が導入される導入部、前記フィルターが配置されるフィルター部、及び前記液体が排出される排出部を含み、前記第一弁は、前記フィルター部と前記排出部との間に配置され、前記第一弁が前記第一状態であるときに前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態であるときに前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記フィルターで捕捉された前記微粒子を前記排出部側に通して前記フィルターを清掃するフィルター清掃部をさらに備える構成としてもよい。
これにより、上記態様と同様の効果を奏することができ、回収部に液体を吸収可能な紙や布等を設置すればよく、高価なメッシュフィルターを用いることなく、低コストで微粒子を回収することができる。また、このようなメッシュフィルターを取り外して清掃する必要がないので、メッシュフィルターに付着した微粒子が周囲に飛散したり下水に流れ込んだりすることを抑制でき、環境への影響を小さくできる。
【0077】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一流路は、前記液体が導入される導入部、前記フィルターが配置されるフィルター部、及び前記液体が排出される排出部を含み、前記液体を貯留するタンクと、前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記タンクに貯留された前記液体を、前記フィルター部の上流側に導入するタンク導入部と、を備えることが好ましい。
これにより、フィルターを清掃して堆積した微粒子を下流側に流す際に、水道水等を新たに導入する必要がなく、タンクに貯留しておいた液体を用いることができ、節水を図れる。
【0078】
上記態様の微粒子分離装置において、前記タンクは、前記フィルターにより前記微粒子が捕捉された後の前記液体、及び前記捕捉部により前記微粒子が捕捉された後の前記液体の、少なくとも一方の前記液体が貯留されることが好ましい。
これにより、タンクに貯留される液体に微粒子が含まれず、タンクに貯留された水を第一流路に流した際の、フィルターへの微粒子の付着を抑制できる。
【0079】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一弁は、前記導入部と前記フィルター部との間に配置され、前記第一弁が前記第一状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態であるときに前記導入部から前記フィルター部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、前記タンク導入部は、前記フィルター部及び前記排出部の間に接続され、前記第二流路は、前記第一弁が前記第二状態であるときの前記液体の流通方向における前記捕捉部の下流側で、前記捕捉部で捕捉された前記微粒子を含む前記液体を前記回収部に送る回収流路と、それ以外の前記液体が流通する浄化流路と、を含み、前記浄化流路が前記タンクに接続され、前記浄化流路及び前記タンクの間に設けられ、前記浄化流路と前記タンクとの間での前記液体の流通を許容する開状態及び、前記浄化流路と前記タンクとの間で前記液体の流通を規制する閉状態に切り替え可能な開閉弁を備え、前記第一弁が前記第一状態であるときに、前記第一流路を流れる前記液体の一部が前記タンク導入部を介して前記タンクに貯留されるとともに、前記開閉弁が閉状態に切り替えられ、前記第一弁が前記第二状態であるときに、前記タンクに貯留された前記液体が前記タンク導入部から前記第一流路に導入されて前記フィルター部に当該液体が流れるとともに、前記開閉弁が開状態に切り替えられて、前記浄化流路から前記タンクに前記液体が導入されることが好ましい。
これにより、第一弁が第二状態にとなるときに、第一流路及び第二流路により循環流路が形成され、かつ、フィルターに堆積した微粒子を第二流路に流す際にタンクに貯留された液体を用いることができる。これにより、新たな液体を導入することなく、フィルターに付着した微粒子が除去されるまで、第一流路及び第二流路に液体を循環させることができ、より低コストでフィルターを清掃することができる。
【0080】
本態様の微粒子分離装置において、前記第一弁は、前記フィルター部と前記排出部との間に配置され、前記第一状態において前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を許容して前記第二流路への流入を規制し、前記第二状態において前記フィルター部から前記排出部への前記液体の流入を規制して前記フィルター部から前記第二流路への前記液体の流入を許容し、前記タンク導入部は、前記フィルター部及び前記導入部の間に接続され、前記第一弁と前記排出部との間で前記第一流路に接続されて、前記第一弁が前記第一状態であるときに、前記第一流路を流れる前記液体の一部を前記タンクに流すタンク流路と、前記タンク流路内に設けられて、前記第一流路から前記タンクへの前記液体の流通を許容する貯留許可状態及び、前記タンクから前記第一流路への前記液体の流通を規制する逆流抑制状態に切り替え可能な貯留制御弁と、を備える構成としてもよい。
これにより、第一弁が第二状態にとなり、フィルターに堆積した微粒子を第二流路に流す際にタンクに貯留された液体を用いることができる。これにより、新たな液体を導入することなく、低コストでフィルターを清掃することができる。
【0081】
本態様の微粒子分離装置において、前記フィルターに捕捉された前記微粒子による前記フィルターの目詰まり度合いを検出する検出部と、前記第一弁の状態を切り替え制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部により検出される前記目詰まり度合いが所定の閾値以下である場合に前記第一弁を第一状態とし、前記目詰まり度合いが前記閾値を超える場合に前記第一弁を前記第二状態とすることが好ましい。
これにより、自動でフィルターの目詰まり度合いを検出して、フィルターの清掃を行うことができる。よって、フィルターにおける過剰な微粒子の堆積を抑制し、これによるフィルターの寿命低下が抑制される。
【符号の説明】
【0082】
20,20A…微粒子分離装置、21…第一流路、22…第二流路、23…フィルター、24…流体デバイス、25…回収部、26…タンク、27…検出部、28…フィルター清掃部、31,31A…第一弁、32…第二弁、33…第三弁、34…第四弁、35…第五弁、36…第六弁、40…ポンプ、50…制御部、51…メモリー、52…プロセッサー、211…導入部、212…排出部、213…フィルター部、225…分岐部、225A…回収流路、225B…浄化流路、241…超音波送信部(捕捉部)、261…タンク流路、262…タンク導入路、521…目詰まり判定部、522…流通制御部、523…捕捉制御部、524…洗浄制御部、SW…定在波。