IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車載アンテナ及びアンテナ搭載車両 図1
  • 特開-車載アンテナ及びアンテナ搭載車両 図2
  • 特開-車載アンテナ及びアンテナ搭載車両 図3
  • 特開-車載アンテナ及びアンテナ搭載車両 図4
  • 特開-車載アンテナ及びアンテナ搭載車両 図5
  • 特開-車載アンテナ及びアンテナ搭載車両 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175441
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】車載アンテナ及びアンテナ搭載車両
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20241211BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20241211BHJP
   H01Q 5/371 20150101ALN20241211BHJP
【FI】
H01Q1/32 A
H01Q1/22 C
H01Q5/371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093233
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レ ディン タン
(72)【発明者】
【氏名】吉本 博
(72)【発明者】
【氏名】内田 正彦
(72)【発明者】
【氏名】栗田 寿美江
(72)【発明者】
【氏名】長村 雄也
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA07
5J046AA12
5J046AB17
5J046LA08
5J046LA20
5J047AA07
5J047AA12
5J047AB17
5J047EC02
(57)【要約】
【課題】高さが低くコンパクトで広帯域の電波を受信する車載アンテナを提供する。
【解決手段】ボデー10に立設された給電ピン31と、水平面内で給電ピン31から車両後方に延びる第1放射エレメント32と、水平面内で給電ピン31から車両前方に延びる第2放射エレメント35と、を備え、第1放射エレメント32は、第1先端部32aが第1絶縁部材37を介してボデー10に固定され、第2放射エレメント35は、第1放射エレメント32よりも長く、第2先端部35aがボデー10に接続され、給電ピン31と第2先端部35aの間の中間部36が第2絶縁部材38を介してボデー10に固定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボデーに取付けられる車載アンテナであって、
前記ボデーに立設された給電ピンと、
水平面内で前記給電ピンから第1方向に延びる第1放射エレメントと、
水平面内で前記給電ピンから前記第1方向と反対の第2方向に延びる第2放射エレメントと、を備え、
前記第1放射エレメントは、第1先端部が第1絶縁部材を介して前記ボデーに固定され、
前記第2放射エレメントは、前記第1放射エレメントよりも長く、第2先端部が前記ボデーに接続され、前記給電ピンと前記第2先端部の間の中間部が第2絶縁部材を介して前記ボデーに固定されていること、
を特徴とする車載アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の車載アンテナであって、
前記第2放射エレメントは、前記給電ピンに近い近位部と前記給電ピンから遠い遠位部とを含み、前記遠位部の太さは前記近位部の太さよりも太く、前記中間部は前記近位部の前記遠位部の側の部分であること、
を特徴とする車載アンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載の車載アンテナであって、
前記第1放射エレメントは、前記第1先端部から下方向に延びる端部セグメントを備え、前記端部セグメントは前記第1先端部とともに前記第1絶縁部材を介して前記ボデーに固定されていること、
を特徴とする車載アンテナ。
【請求項4】
ボデーに車載アンテナが取付けられたアンテナ搭載車両であって、
前記ボデーは、窓開口と、前記窓開口に取付けられた窓ガラスとを備え、
前記窓ガラスは、周縁部に不透明のマスキング領域が設けられており、
前記車載アンテナは、前記窓ガラスの厚さ方向に前記マスキング領域と重なるように前記ボデーに取付けられていること、
を特徴とするアンテナ搭載車両。
【請求項5】
請求項4に記載のアンテナ搭載車両であって、
前記車載アンテナは、
前記窓開口の上辺または下辺に立設された給電ピンと、
水平面内で前記給電ピンから第1方向に延びる第1放射エレメントと、
水平面内で前記給電ピンから前記第1方向と反対の第2方向に延びる第2放射エレメントと、を備え、
前記第1放射エレメントは、第1先端部が第1絶縁部材を介して前記窓開口の前記上辺または前記下辺に固定され、
前記第2放射エレメントは、前記第1放射エレメントよりも長く、第2先端部が前記窓開口の縦辺に接続され、前記給電ピンと前記第2先端部の間の中間部が第2絶縁部材を介して前記窓開口の前記上辺または前記下辺に固定されており、
前記給電ピンと前記第1放射エレメントと前記第2放射エレメントとは、前記窓ガラスの厚さ方向に前記マスキング領域と重なるように配置されていること、
を特徴とするアンテナ搭載車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のボデーに取付けられる車載アンテナの構造及びその車載アンテナを搭載したアンテナ搭載車両の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
いろいろな広帯域の車載アンテナが提案されている。例えば、特許文献1には、エレメント長がUHF帯域の電波の波長に約「1/2」を乗じた長さに形成されているループ型アンテナとエレメント長がVHF帯域の電波の波長に約「1/4」を乗じた長さに形成されているモノポール型アンテナとを一体化し、各アンテナに共通の給電点から給電する車載アンテナが開示されている。また、特許文献2には、直径0.01波長以上の給電素子および直径0.01波長以上の短絡導体を用いることで給電点でのインピーダンスマッチングを可能とした広帯域アンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-13847号公報
【特許文献2】特開2004-88198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車両にデジタルテレビ(DTV)を搭載する要求がある。この場合、DTVの広帯域の周波数を受信するアンテナが車両に搭載される。広帯域の周波数を受信するには、特許文献1に開示されているように、複数のアンテナを車両の窓ガラスに取付ける方法が用いられることがある。この場合、乗員からアンテナが見えてしまい美観上好ましくないという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、乗員から見えないように配置可能でかつ広帯域の電波を受信可能な車載アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載アンテナは、車両のボデーに取付けられる車載アンテナであって、前記ボデーに立設された給電ピンと、水平面内で前記給電ピンから第1方向に延びる第1放射エレメントと、水平面内で前記給電ピンから前記第1方向と反対の第2方向に延びる第2放射エレメントと、を備え、前記第1放射エレメントは、第1先端部が第1絶縁部材を介して前記ボデーに固定され、前記第2放射エレメントは、前記第1放射エレメントよりも長く、第2先端部が前記ボデーに接続され、前記給電ピンと前記第2先端部の間の中間部が第2絶縁部材を介して前記ボデーに固定されていること、を特徴とする。
【0007】
これにより、第2放射エレメントが、第1放射エレメントが受信する周波数よりも高周波の電波を受信するとともに、車載アンテナの入力インピーダンスを調整するので、広帯域でインピーダンスマッチングが図れる。このため、本開示の車載アンテナは、広帯域で高いゲインを得ることができる。また、本開示の車載アンテナは、第1放射エレメントと第2放射エレメントとをそれぞれ絶縁部材を介してボデーに固定するので、ボデーと第1放射エレメントの間、及びボデーと第2放射エレメントの間に相互結合が発生し広帯域の電波を受信することができる。また、本開示の車載アンテナは、構成がコンパクトで、乗員から見えないようにボデーに取付けることができる。
【0008】
本開示の車載アンテナにおいて、前記第2放射エレメントは、前記給電ピンに近い近位部と前記給電ピンから遠い遠位部とを含み、前記遠位部の太さは前記近位部の太さよりも太く、前記中間部は前記近位部の前記遠位部の側の部分でもよい。
【0009】
これにより、車載アンテナの入力インピーダンスが調整され、広帯域でのインピーダンスマッチングが図れる。このため、広帯域でゲインを高くすることができる。
【0010】
本開示の車載アンテナにおいて、前記第1放射エレメントは、前記第1先端部から下方向に延びる端部セグメントを備え、前記端部セグメントは前記第1先端部とともに前記第1絶縁部材を介して前記ボデーに固定されてもよい。
【0011】
これにより、第1放射エレメントの受信する低周波領域での車載アンテナの入力インピーダンスが調整され、低周波領域でのインピーダンスマッチングが図れる。このため、低周波領域でのゲインを高くすることができる。
【0012】
本開示のアンテナ搭載車両は、ボデーに車載アンテナが取付けられたアンテナ搭載車両であって、前記ボデーは、窓開口と、前記窓開口に取付けられた窓ガラスとを備え、前記窓ガラスは、周縁部に不透明のマスキング領域が設けられており、前記車載アンテナは、前記窓ガラスの厚さ方向に前記マスキング領域と重なるように前記ボデーに取付けられていること、を特徴とする。
【0013】
これにより、車載アンテナが乗員の目に触れないようにでき、車両の美観を向上できる。
【0014】
本開示のアンテナ搭載車両において、前記車載アンテナは、前記窓開口の上辺または下辺に立設された給電ピンと、水平面内で前記給電ピンから第1方向に延びる第1放射エレメントと、水平面内で前記給電ピンから前記第1方向と反対の第2方向に延びる第2放射エレメントと、を備え、前記第1放射エレメントは、第1先端部が第1絶縁部材を介して前記窓開口の前記上辺または前記下辺に固定され、前記第2放射エレメントは、前記第1放射エレメントよりも長く、第2先端部が前記窓開口の縦辺に接続され、前記給電ピンと前記第2先端部の間の中間部が第2絶縁部材を介して前記窓開口の前記上辺または前記下辺に固定されており、前記給電ピンと前記第1放射エレメントと前記第2放射エレメントとは、前記窓ガラスの厚さ方向に前記マスキング領域と重なるように配置されてもよい。
【0015】
これにより、高さの低いコンパクトな構成で、広帯域でインピーダンスマッチングが図れ、ゲインの高いアンテナとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の車載アンテナは、高さの低いコンパクトな構成で乗員から見えないように配置可能でかつ広帯域の電波を受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態のアンテナ搭載車両とリアクォータパネルを示す立面図である。
図2図1に示すA-A断面であって、リアクォータパネルと車載アンテナの断面を示す立面図である。
図3図1に示すB部詳細であって、クォータガラスを取り外した状態を示す立面図である。
図4】実施形態の車載アンテナの周波数に対する電圧定在波比(VSWR)の変化を示すグラフである。
図5図4に示す低周波領域G1と高周波領域G2における電流分布図である。
図6】他の実施形態の車載アンテナを示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら実施形態のアンテナ搭載車両100と、アンテナ搭載車両100に取付けられた車載アンテナ30の構成について説明する。尚、以下の説明ではアンテナ搭載車両100は、車両100という。尚、各図に示す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、車両100の前側、上側、右側をそれぞれ示している。また、各矢印FR、UP、RHの反対方向は、後側、下側、左側を示す。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両100の前後方向の前後、左右方向の左右、上下方向の上下を示すものとする。
【0019】
図1に示すように、車両100は、ボデー10と、ボデー10に取付けられた車載アンテナ30とを備えている。
【0020】
ボデー10は、リアドアの後方のリアクォータパネル11を含んでいる。リアクォータパネル11には、リアクォータウィンドウ20が設けられている。リアクォータウィンドウ20は、リアクォータパネル11に設けられた窓開口14と、窓開口14に取付けられたリアクォータガラス21とで構成される。リアクォータガラス21は請求項に記載の窓ガラスである。
【0021】
図2に示すように、リアクォータパネル11は、アウタパネル12とインナパネル13とで構成されている。アウタパネル12の窓開口14の外周部には、アウタパネル12の車両外側面から車両内側に向かって凹んだ段部15が設けられている。段部15の下辺16と、上辺18と、前縦辺17と、後縦辺19とは窓開口14を区画する。下辺16には車載アンテナ30が取付けらけれている。車載アンテナ30の構成については、後で図3を参照しながら説明する。
【0022】
段部15の車両外側面には、接着剤25によってリアクォータガラス21が取付けられている。図1に示すように、リアクォータガラス21は中央の透明領域24と周縁部のマスキング領域22を備えている。マスキング領域22は、例えば、黒色等に着色されており、不透明である。リアクォータガラス21を段部15に取付けると、マスキング領域22の下部は車載アンテナ30とリアクォータガラス21の厚さ方向に重なる。これにより、車載アンテナ30が外部から見えないようになる。また、リアクォータパネル11の車室内側には、内装パネル50が取付けられている。内装パネル50は先端部51がリアクォータガラス21の内面のマスキング領域22に接し、車載アンテナ30を車両100の内側から覆っている。これにより、車載アンテナ30は、車室内からも見えないように構成されている。このように、車載アンテナ30が乗員の目に触れることがなく、車両100の美観を向上できる。
【0023】
次に車載アンテナ30について説明する。図3に示すように、車載アンテナ30は、給電ピン31と、第1放射エレメント32と、第2放射エレメント35と、第1絶縁部材37と、第2絶縁部材38とを含むT型のアンテナである。
【0024】
給電ピン31は、窓開口14の下辺16に立設されている金属製の板状部材である。給電ピン31は下辺16から車両上方向に向かって延びている。給電ピン31の下端には、コネクタ40が取付けられている。コネクタ40には、第1放射エレメント32と第2放射エレメント35とに給電を行うケーブルが接続される。
【0025】
第1放射エレメント32は、水平偏波のDTVの電波を受信できるように給電ピン31の上部から水平面内で車両後方に向かって延びる金属製の細長い短冊状の板部材である。下辺16から第1放射エレメント32の上端面までの車両上下方向の高さは、高さH1である。ここで、車両後方は請求項に記載の第1方向である。第1放射エレメント32の車両後方の第1先端部32aは第1絶縁部材37を介して下辺16に固定されている。第1絶縁部材37は樹脂等で構成されている。
【0026】
第2放射エレメント35は、第1放射エレメント32よりも長い金属製の細長い短冊状の板部材である。第2放射エレメント35は水平偏波のDTVの電波を受信できるように給電ピン31の上部から水平面内で車両前方に向かって延びている。ここで、車両前方は車両後方の反対方向で請求項に記載の第2方向である。第2放射エレメント35の車両前方の第2先端部35aは、窓開口14の前縦辺17に接続されている。第2放射エレメント35は、給電ピン31に近い近位部33と、給電ピン31から遠い遠位部34とを含んでいる。遠位部34の太さは近位部33の太さよりも太くなっている。遠位部34の太さと高さH22により車載アンテナ30の入力インピーダンスが調整される。このため、遠位部34の太さと高さH22は、広帯域でのインピーダンスマッチングが図れるような太さに調整されている。
【0027】
また、給電ピン31と第2先端部35aとの間の中間部36は、第2絶縁部材38を介して下辺16に固定されている。図3に示すように、中間部36は、近位部33の遠位部34の側の部分である。近位部33の上端面の下辺16からの車両上下方向の高さは、高さH21である。また、遠位部34の上端面の下辺16からの高さは、高さH22である。
【0028】
図3に示すように、リアクォータガラス21を段部15に取付けた際のマスキング領域22の下部の下辺16からの高さは、高さH3となる。そして、第1放射エレメント32の上端の下辺16からの高さH1と、近位部33の上端の下辺16からの高さH21と、遠位部34の下辺16からの高さH22とは、いずれも高さH3よりも低くなっている。したがって、先に説明したように、リアクォータガラス21を段部15に取付けると、給電ピン31と第1放射エレメント32と第2放射エレメント35とは、マスキング領域22の下部とリアクォータガラス21の厚さ方向に重なる。これにより、車載アンテナ30が外部から見えないようになる。
【0029】
次に、図4図5を参照しながら車載アンテナ30の特性について説明する。図4に示すように、低周波領域G1では、第1放射エレメント32が電波を受信し、高周波領域G2では第2放射エレメント35が電波を受信する。この場合の低周波領域G1と高周波領域G2の電流分布を図5示す。図5においては、電流が大きいほど色が白くなり、電流が小さいほど色が黒くなる。図5の左の図に示すように、低周波領域G1では、第1放射エレメント32の色が白くなっており、第1放射エレメント32の電流が大きくなっていることが分かる。また、図5の右の図では、第2放射エレメント35の近位部33の色が白くなっており、近位部33の電流が大きくなっていることが分かる。また、第2放射エレメント35が車載アンテナ30の入力インピーダンスを調整するので、広帯域でインピーダンスマッチングが図れる。更に、第1先端部32aと中間部36とを第1、第2絶縁部材37、38を介して下辺16にそれぞれ固定することにより、ボデー10と第1放射エレメント32の間、及びボデー10と第2放射エレメント35の間に相互結合が発生する。これらにより、車載アンテナ30は、下辺16からの各高さH1、H21、H22が、マスキング領域22の下辺16からの高さH3よりも低くなるように構成しても、図4に示すように、DTVの電波の下限周波数F1と上限周波数F2との間で電圧定在波比(VSWR)を所定の閾値Rs未満に低減し、車載アンテナ30のゲインを高くすることができる。
【0030】
以上説明したように、車載アンテナ30は、第1放射エレメント32と第2放射エレメント35とが低周波領域G1と高周波領域G2とをそれぞれ受信するとともに、第2放射エレメント35により広帯域でインピーダンスマッチングを図り、更に、ボデー10との間に発生する相互結合により、DTVの周波数範囲での電圧定在波比(VSWR)を低減する。これにより、車載アンテナ30は、下辺16からの各高さH1、H21、H22が、マスキング領域22の下辺16からの高さH3よりも低いコンパクトな構成で広帯域の電波を高いゲインで受信することができ、乗員から見えないように配置できる。
【0031】
次に図6を参照しながら他の実施形態の車載アンテナ130について説明する。先に図1から4を参照して説明した車載アンテナ30と同一の部位には、同一の符号を付して説明は省略する。
【0032】
車載アンテナ130は、第1放射エレメント32の第1先端部32aから下方向に延びる端部セグメント39を備えている。端部セグメント39は、第1先端部32aとともに第1絶縁部材37を介して下辺16に固定されている。これ以外の構成は先に説明した車載アンテナ30と同一である。
【0033】
端部セグメント39を設けることにより、第1放射エレメント32の受信する低周波領域G1での車載アンテナ30の入力インピーダンスが調整され、低周波領域G1でのインピーダンスマッチングが図れる。このため、低周波領域G1でのゲインを高くすることができる。また、車載アンテナ130は、車載アンテナ30と同様、高さが低くコンパクトで広帯域の電波を受信することができる。
【0034】
以上の説明では、第1放射エレメント32は給電ピン31から車両後方に延び、第2放射エレメント35は、給電ピン31から車両前方に延びることとして説明したが、これに限らない。例えば、第1放射エレメント32が給電ピン31から車両前方に延び、第2放射エレメント35が給電ピン31から車両後方に延び、第2先端部35aが後縦辺19に接続するようにしてもよい。
【0035】
また、給電ピン31が窓開口14の上辺18から下方向に立設され、第1放射エレメント32が第1絶縁部材37を介して上辺18に固定され、第2放射エレメント35が第2絶縁部材38を介して上辺18に固定されるよう構成してもよい。
【0036】
この場合も、リアクォータガラス21を段部15に取付けた際にマスキング領域22の上部が車載アンテナ30とリアクォータガラス21の厚さ方向に重なり、車載アンテナ30が乗員の目に触れることがなくなり、車両100の美観が向上する。
【0037】
また、車載アンテナ30は、リアクォータパネル11の窓開口14以外の窓開口に取付けてもよい。例えば、リアパネルのリアウィンドウ用の窓開口に取付けてもよい。この場合、第1放射エレメント32と第2放射エレメント35とは車両幅方向の第1方向と第1方向と反対の第2方向に延びる。例えば、第1放射エレメント32は車両右方向に延び、第2放射エレメント35は車両左方向に延びるように構成してもよい。
【0038】
また、ボデー10の構造に応じて遠位部34の太さを調整して車載アンテナ30の入力インピーダンスを調整し、広帯域でのインピーダンスマッチングを図ってもよい。また、遠位部34の太さが近位部33の太さを同一となるよう構成してもよい。
【0039】
尚、以上の説明では、第1放射エレメント32と第2放射エレメント35とは水平面内で延びると説明したが、ここでの水平とは、厳密な水平である必要はなく、水平偏波のDTVの電波を受信可能な程度に水平であればよい。従って第1放射エレメント32と第2放射エレメント35とは厳密な水平の面に対して多少の傾斜のある面内で延びるようにしてもよい。
【0040】
また、以上の説明では車載アンテナ30、130は、DTVの電波を受信することとして説明したが、これに限らず、例えば、WiFi、V2X等の電波の送受信を行うアンテナにも適用できる。
【符号の説明】
【0041】
10 ボデー、11 リアクォータパネル、12 アウタパネル、13 インナパネル、14 窓開口、15 段部、16 下辺、17 前縦辺、18 上辺、19 後縦辺、20 リアクォータウィンドウ、21 リアクォータガラス、22 マスキング領域、24 透明領域、25 接着剤、30、130 車載アンテナ、31 給電ピン、32 第1放射エレメント、33 近位部、34 遠位部、35 第2放射エレメント、36 中間部、37 第1絶縁部材、38 第2絶縁部材、39 端部セグメント、40 コネクタ、50 内装パネル、51 先端部、100 車両(アンテナ搭載車両)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6