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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175449
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/43 20200101AFI20241211BHJP
   D06F 33/69 20200101ALI20241211BHJP
【FI】
D06F33/43
D06F33/69
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093241
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】田中 惇朗
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AB23
3B167AB32
3B167AE03
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE12
3B167BA28
3B167BA40
3B167BA69
3B167BA74
3B167HA21
3B167HA31
3B167HA56
3B167JA72
3B167JC22
3B167KA02
3B167KA10
3B167KA63
3B167KA65
3B167KA71
3B167LA10
3B167LA23
3B167LC02
3B167LC08
3B167LC09
3B167LC14
3B167LG11
(57)【要約】
【課題】誤操作があっても適切なコースで槽洗浄が実行可能な衣類処理装置を提供する。
【解決手段】衣類処理装置は、筐体と、筐体内部に設けられた水槽と、水槽に貯留された水を加温する加温装置と、加温装置の動作を制御して水槽の洗浄運転を実行する制御装置と、水槽に貯留された水の電気伝導度を検出する検知部と、検知部の検知結果に基づいて水槽内の洗浄処理剤の有無を判定する判定処理を実行する判定処理部と、を備える。制御装置は、洗浄運転として、水槽に貯留された水の目標温度が洗浄処理剤の使用に適する第1温度に設定された標準コースと、水槽に貯留された水の目標温度が第1温度よりも高温である第2温度に設定された高温コースと、から選択して実行可能である。制御装置は、洗浄運転の実行前又は実行中に判定処理部に判定処理を実行させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内部に設けられた水槽と、
前記水槽に貯留された水を加温する加温装置と、
前記加温装置の動作を制御して前記水槽の洗浄運転を実行する制御装置と、
前記水槽に貯留された水の電気伝導度を検出する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記水槽内の洗浄処理剤の有無を判定する判定処理を実行する判定処理部と、を備え、
前記制御装置は、前記洗浄運転として、前記水槽に貯留された水の目標温度が前記洗浄処理剤の使用に適する第1温度に設定された標準コースと、前記水槽に貯留された水の目標温度が前記第1温度よりも高温である第2温度に設定された高温コースと、から選択して実行可能であり、
前記制御装置は、前記洗浄運転の実行前又は実行中に前記判定処理部に前記判定処理を実行させる、
衣類処理装置。
【請求項2】
ユーザによる前記洗浄運転のコースの設定を受け付ける設定受付部を備え、
前記制御装置は、前記設定受付部が受け付けた前記洗浄運転のコースが前記高温コースであり、かつ、前記判定処理の結果前記洗浄処理剤があると判定された場合に、前記洗浄運転のコースを前記標準コースに切り替える変更処理を実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
ユーザによる前記洗浄運転のコースの設定を受け付ける設定受付部を備え、
前記制御装置は、前記設定受付部が受け付けた前記洗浄運転のコースが前記標準コースであり、かつ、前記判定処理の結果前記洗浄処理剤がないと判定された場合に、前記洗浄運転のコースを前記高温コースに切り替える変更処理を実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
ユーザによる前記洗浄運転のコースの設定を受け付ける設定受付部と、
前記設定受付部が受け付けた前記洗浄運転のコースの異常をユーザに報知する報知処理を実行する報知処理部と、を備え、
前記報知処理部は、前記設定受付部が受け付けた前記洗浄運転のコースが高温コースであり、かつ、前記判定処理の結果前記洗浄処理剤があると判定された場合、又は、前記設定受付部が受け付けた前記洗浄運転のコースが標準コースであり、かつ、前記判定処理の結果前記洗浄処理剤がないと判定された場合、前記報知処理部を実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
ユーザによる前記洗浄運転のコースの設定を受け付ける設定受付部と、
水槽から前記筐体外部に通じる排水経路と、
前記排水経路を開閉する排水弁と、を備え、
前記制御装置は、前記設定受付部が受け付けた前記洗浄運転のコースが高温コースであり、かつ、前記判定処理の結果前記洗浄処理剤があると判定された場合、前記排水弁を開く排水動作を含む排出処理を実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
外部の給水源から前記水槽に水を供給する給水経路と、
前記給水経路を開閉する給水弁と、を備え、
前記排出処理は、前記排水動作と、当該排水動作後に行われる前記排水弁を閉じた状態で前記給水弁を開く給水動作と、当該給水動作後に行われる前記排水動作と、を含む、
請求項5に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記排出処理は、複数回の前記給水動作を含む、
請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記検知部の検知結果に基づいて前記給水動作の繰り返し回数を決定する、
請求項7に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの清潔意識が高まり、水槽内等、ユーザが手作業で清掃できない部分に関しても清潔性が求められている。そのため、自動的に槽内を洗浄する洗浄運転が可能な洗濯機が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、内部に洗濯水を溜める外槽と、前記外槽内に配設され衣類が収容される内槽と、前記外槽に給水する給水行程と、前記内槽を前記外槽に貯水した水に浸漬するつけ置き行程と、前記外槽内の水を排出する排水行程とを実行し前記外槽及び前記内槽を洗浄する槽洗浄手段と、を備え、前記槽洗浄手段は、前記外槽に給水された水の温度に応じて前記つけ置き行程において前記内槽を水に浸漬する時間を変更する洗濯機が開示されている。
【0004】
槽洗浄運転としては、例えば塩素系漂白剤を用い、時間をかけて槽内のカビや汚れを除去するコースや、漂白剤の効果を発揮するために水温を例えば30℃まで上げて洗浄するコースが存在する。また、塩素系漂白剤の臭いが苦手なユーザや、漂白剤等の洗浄処理剤を用いず低コストで槽内を清潔にしたいユーザのために、例えば60℃の温水で洗浄処理剤を用いず槽洗浄するコースも存在する。近年では、1つの洗濯機が、複数種類の槽洗浄コースを備えている場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-165358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗浄処理剤として一般的に使用される塩素系漂白剤は、40℃を超える高温で急激に分解が進み、刺激臭が発生する可能性がある。そのため、40℃を超える温水での槽洗浄コースには、塩素系漂白剤を使用してはいけない。しかし、槽洗浄コースを複数実行可能な洗濯機の場合、ユーザが誤った操作をしてしまった結果、60℃の温水で塩素系漂白剤が使用されてしまう虞もある。
【0007】
そこで、誤操作があっても適切なコースで槽洗浄が実行可能な衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の衣類処理装置は、筐体と、前記筐体内部に設けられた水槽と、前記水槽に貯留された水を加温する加温装置と、前記加温装置の動作を制御して前記水槽の洗浄運転を実行する制御装置と、前記水槽に貯留された水の電気伝導度を検出する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて前記水槽内の洗浄処理剤の有無を判定する判定処理を実行する判定処理部と、を備える。前記制御装置は、前記洗浄運転として、前記水槽に貯留された水の目標温度が前記洗浄処理剤の使用に適する第1温度に設定された標準コースと、前記水槽に貯留された水の目標温度が前記第1温度よりも高温である第2温度に設定された高温コースと、から選択して実行可能である。前記制御装置は、前記洗浄運転の実行前又は実行中に前記判定処理部に前記判定処理を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態による洗濯機の一例の構成を概略的に示す縦断面図
図2】第1実施形態による洗濯機の一例の電気的な構成を示すブロック図
図3】第1実施形態による洗濯機の一例の槽洗浄運転における制御装置の処理の一例を示すチャート
図4】第1実施形態による洗濯機の一例の槽洗浄運転における制御装置の処理を示すフローチャート
図5】第2実施形態による洗濯機の一例の電気的な構成を示すブロック図
図6】第2実施形態による洗濯機の一例の報知処理部により操作パネルに表示された報知内容の一例を示す図(その1)
図7】第2実施形態による洗濯機の一例の報知処理部により操作パネルに表示された報知内容の一例を示す図(その2)
図8】第2実施形態による洗濯機の一例の槽洗浄運転における制御装置の処理の一例を示すフローチャート
図9】第3実施形態による洗濯機の一例の判定処理及び排出処理における給排水動作の繰り返し回数の一例を示すチャート
図10】第3実施形態による洗濯機の一例の排出処理における制御装置による各構成に対する制御の一例を示すタイミングチャート
図11】第3実施形態による洗濯機の一例の槽洗浄運転における制御装置の処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図4を参照して説明する。衣類処理装置としての洗濯機10は、図1及び図2に示すように、筐体11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、扉15、ベローズ16、接続口17、給水経路18、給水弁19、排水経路20、排水弁21、操作パネル22、及び加温装置23を備えている。なお図1において、洗濯機10の設置面側、つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面の反対側、つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。また、洗濯機10を正面から見た場合の左右方向を、洗濯機10の左右方向とする。洗濯機10は、例えば回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。本実施形態では、洗濯機10は、回転槽13の回転軸が後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。
【0012】
洗濯機10は、例えばヒートポンプ式やヒータ式の乾燥機能を有していても良いし、備えていなくてもよい。筐体11は、例えば鋼材又は樹脂材等の部材によって全体として矩形の箱状に構成されており、洗濯機10の外殻を構成する。筐体11の前面部111には洗濯物を出し入れ可能な開口部112が形成されている。
【0013】
水槽12は、筐体11の内部に配置されて、図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12の内部に回転可能に配置されている。水槽12及び回転槽13は、いずれも円筒状に形成されている。水槽12は、円筒状の一方の端部に開口部121が形成され、他方の端部に水槽端板122が設けられている。開口部121は、傾斜した水槽12において水槽端板122よりも上側に位置している。水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収容する洗濯槽として機能する。また、回転槽13は、複数のバッフル133と、複数の孔134とを有する。複数のバッフル133は、回転槽13の筒状部分の内側に設けられ、回転槽モータ14の回転に伴って回転槽13の内部に収容された衣類等の洗濯物を撹拌し掻き上げる。孔134は、回転槽13の内周壁の全域に亘って形成されており、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程において、水が出入する通水口としての機能を有する。
【0014】
回転槽モータ14は、水槽12の外側にあって水槽端板122に設けられている。回転槽モータ14は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。回転槽モータ14の軸部141は、水槽端板122を貫いて水槽12の内側へ突出し、回転槽端板132の中心部に固定されている。これにより、回転槽モータ14は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。この場合、回転槽モータ14の軸部141、回転槽13の回転軸、及び水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。
【0015】
扉15は、筐体11の前面部111に回動可能に設けられて、開口部112を開閉する。図1に示すように、扉15は筐体11の内部側に向かって突出している。ベローズ16は、開口部112と水槽12の開口部121とを接続する。衣類等の洗濯物は、扉15を開放した状態で、開口部121、131を通して回転槽13内に出し入れされる。
【0016】
接続口17は、筐体11の天面部において、例えば左奥部に露出するように設けられている。接続口17は、例えばホースを介して外部の水源に接続される。給水経路18は、接続口17から水槽12及び回転槽13までを接続する経路である。給水経路18は、一方の端部が給水弁19に接続されており、他方の端部が水槽12の上部に接続されている。本実施形態では、給水経路18の下流側の端部は、水槽12の上部の開口部121付近に設けられた注水口124に接続されている。給水弁19は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。給水弁19は、制御装置30に電気的に接続されており、制御装置30の制御を受けて開閉する。接続口17、給水経路18及び給水弁19は、共に、例えば水道などの外部の給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う給水機構を構成する。
【0017】
ユーザは、衣類などを洗濯する洗濯運転に使用する洗濯処理剤又は槽洗浄運転の際に使用する洗浄処理剤を、給水経路18中に設けられた図示しない注水ケースに投入してもよいし、回転槽13内に直接投入してもよい。注水ケースに処理剤が投入されると、給水弁19が開放されて給水経路18に水が供給されると、処理剤は、注水ケースに流入した水に溶かされながら、給水経路18を下って水槽12に供給される。
【0018】
図1に示す排水経路20は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁21に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外へ引き出されている。排水弁21は、例えば電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁で構成されている。排水弁21は、水槽12の底部に設けられた排水部123と、排水経路20との間に設けられており排水経路20を開閉する。排水部123は、水槽12の底部において背面側つまり最も低くなった部分に設けられている。排水部123と、排水経路20と、排水弁21とは共に、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出する排水機構を構成する。
【0019】
操作パネル22は、図1に示すように筐体11の天面部の前側部分に設けられている。操作パネル22には、詳細は図示しないが、電源スイッチ、スタートキー、ユーザが運転コースの設定等を行うための各種操作キーなどが設けられている。なお、電源スイッチは、操作パネル22とは別に設けても良い。ユーザは、操作パネル22を操作して、詳細は後述する槽洗浄運転の有無や、槽洗浄運転のコースなどを設定することができる。
【0020】
加温装置23は、水槽12の下部に配置されている。加温装置23は、水槽12内に貯留された水を加熱する機能を有する。加温装置23は、出力が可変に構成された例えば電熱線ヒータであって、水槽12内の水を目標温度まで加熱する機能を有する。
【0021】
洗濯機10は、制御装置30、重量検知部31、処理剤検知部32、洗浄処理部33、設定受付部34、及び判定処理部35を備える。制御装置30は、図2に示すようにCPU301やROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域302を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯機10の動作全体の制御を行う。回転槽モータ14、給水弁19、排水弁21、操作パネル22、加温装置23、及び処理剤検知部32は、制御装置30に電気的に接続されており、制御装置30の制御を受けて動作する。
【0022】
また、制御装置30の記憶領域302は、例えば洗浄処理部33、設定受付部34、及び判定処理部35を実現するためのプログラムを記憶している。制御装置30は、記憶領域302に記憶されている上記プログラムをCPU301において実行することにより、洗浄処理部33、設定受付部34、及び判定処理部35を仮想的に実現する。なお、洗浄処理部33、設定受付部34、及び判定処理部35は、制御装置30と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0023】
重量検知部31は、回転槽13内に収容された衣類などの洗濯物の重量を検知する機能を有する。重量検知部31は、例えば回転槽モータ14に流れる電流を計測する図示しない電流計によって実現することができる。重量検知部31は、例えば回転槽13を回転させた際に回転槽モータ14に流れる電流を計測することで回転槽モータ14に作用している負荷を測定し、その負荷に基づいて回転槽13内に主要されている洗濯物の重量を検知することができる。また、重量検知部31は、例えば回転槽モータ14の回転数を検知するエンコーダ等を用いて実現することもできる。この場合、重量検知部31は、目標回転数とその実際の回転数との差から回転槽モータ14の負荷を測定し、その負荷に基づいて洗濯物の重量を検知する。
【0024】
処理剤検知部32は、水槽12内に貯留された水中に塩素系漂白剤等の洗浄処理剤が含まれることを検知する機能を有する。また、処理剤検知部32は、水槽12内に貯留された水中の塩素系漂白剤等の洗浄処理剤の濃度を検知できる構成であっても良い。処理剤検知部32は、水槽12内例えば、水槽12の下部付近に配置することができる。例えば、処理剤検知部32は、水槽12内に貯留された水の電気伝導度を検知する機能を有する。本実施形態では、処理剤検知部32は、一対の金属板を有しており、水槽12内に貯留された水中で当該金属板の間に電流を流して電気抵抗を測定することで、水槽12に貯留された水の電気伝導率を計算して取得する。
【0025】
洗浄処理部33は、回転槽モータ14、給水弁19、排水弁21、加温装置23、重量検知部31、及び処理剤検知部32を必要に応じて動作させることにより、槽洗浄運転を実行することができる。この場合、洗浄処理部33は、槽洗浄運転のコースとして、標準コースと、高温コースとを、選択的に実行することができる。ユーザは、例えば操作パネル22を操作することにより、標準コースと、高温コースとのうち所望のコースを選択して洗濯機10に実行させることができる。
【0026】
標準コースは、水温が塩素系漂白剤等の洗浄処理剤の使用に適する所定の第1温度である水を使用して槽洗浄を行うコースである。すなわち、標準コースにおける水槽12内に貯留された水の目標温度は第1温度に設定される。洗浄処理部33は、加温装置23を駆動し又は駆動せずに標準コースを実行する。つまり、水温が所定の第1温度であれば、加温装置23を駆動しなくても良いし駆動しても良い。所定の第1温度は、例えば40℃未満の範囲内、好適には20℃以上40℃未満の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の第1温度は、30℃に設定されている。
【0027】
高温コースは、水温が塩素系漂白剤等の洗浄処理剤の使用に適さない所定の第2温度である水を使用して槽洗浄を行うコースである。すなわち、高温コースにおける水槽12内に貯留された水の目標温度は第2温度に設定される。所定の第2温度は、所定の第1温度よりも高温であり、例えば50℃以上の範囲内、好適には50℃以上65℃未満の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の第2温度は、60℃に設定されている。
【0028】
設定受付部34は、ユーザが例えば操作パネル22を操作して入力した槽洗浄の運転コースを受け付ける。洗浄処理部33は、設定受付部34が受け付けた運転コースの情報を取得して、記憶領域302に記憶されたプログラムに従って槽洗浄コースを実行する。
【0029】
図3に一例を示すように、判定処理部35は、処理剤検知部32の検知結果に基づいて、水槽12内に貯留された水に塩素系漂白剤等の洗浄処理剤が含まれているか否かを判定する。この場合、例えば記憶領域302は、洗浄処理剤の有無の判定基準となる電気伝導の閾値Tを記憶している。判定処理部35は、処理剤検知部32の検知した電気伝導度xと閾値Tとを比較して、電気伝導度xが閾値T以上であれば、水槽12内に貯留された水に塩素系漂白剤等の洗浄処理剤が含まれていると判定し、閾値T未満であれば、水槽12内に貯留された水に塩素系漂白剤等の洗浄処理剤が含まれていないと判定する。
【0030】
洗浄処理部33は、判定処理部35の判定結果に基づいて、異常があった場合洗浄運転の内容を変更する変更処理を実行する。変更処理は、例えば加温装置23の駆動の有無又は程度を変更する処理を含む。この場合、「異常」とは、ユーザの操作入力に基づいて設定受付部34が受け付けた槽洗浄運転のコースの内容と、判定処理部35が判定した洗浄処理剤の有無との間に齟齬が生じることを指す。具体的には、「異常」は、設定受付部34が受け付けた前記洗浄運転のコースが高温コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤があると判定された場合と、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが標準コースであり、かつ、前記判定処理の結果前記洗浄処理剤がないと判定された場合とを含む。
【0031】
本実施形態では、変更処理は、適切な運転コースに設定を変更する処理である。例えば、洗浄処理部33は、設定受付部34が受け付けた前記洗浄運転のコースが高温コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤があると判定された場合、変更処理として、洗浄運転のコースを標準コースに変更する。これにより、使用に適さない高温で洗浄処理剤が使用された結果、刺激臭が発生することを抑制できる。また、洗浄処理部33は、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが標準コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤がないと判定された場合、変更処理として、洗浄運転のコースを高温コースに変更する。これにより、洗浄処理剤なしでも洗浄効果の高い高温で槽洗浄が実行されるので、洗浄効果が増す。
【0032】
図4のフローチャートを参照して、本実施形態における制御装置30による槽洗浄運転における処理内容について説明する。この場合、フローチャートのスタート時点で、洗濯機10の電源が入っており、標準コース又は高温コースのいずれかが選択されているものとする。
【0033】
ユーザの操作パネル22に対する操作等により槽洗浄運転が実行されると(スタート)、制御装置30は、ステップS11において、排水弁21を閉じた状態で給水弁19を開放して、水槽12に給水する給水動作を実行する。ステップS12において、制御装置30は、処理剤検知部32を動作させる。ステップS13において、制御装置30は、判定処理部35により判定処理を実行する。
【0034】
判定処理の結果、処理剤なしと判定された場合(ステップS14でNo)、制御装置30は、処理をステップS15に進める。ステップS15において、制御装置30は、設定受付部34が受け付けた設定は高温コースか否かを判定する。設定受付部34が受け付けた設定が高温コースではなかった場合(ステップS15でNo)、制御装置30は、処理をステップS16に進める。ステップS16において、制御装置30は、変更処理を実行する。この場合の変更処理は、コースの設定を標準コースから高温コースに変更する処理である。その後、制御装置30は処理をステップS17に進める。
【0035】
設定受付部34が受け付けた設定が高温コースであった場合(ステップS15でYes)、制御装置30は、処理をステップS17に進める。ステップS17において、制御装置30は回転槽モータ14、給水弁19、排水弁21、及び加温装置23を適宜動作させて、60℃の温水を使用して高温コースを実行する。高温コースの内容が終了すると、制御装置30は、処理を終了する(エンド)。
【0036】
ステップS13の判定処理の結果、処理剤ありと判定された場合(ステップS14でYes)、制御装置30は、処理をステップS18に進める。ステップS18において、制御装置30は、設定受付部34が受け付けた設定は標準コースか否かを判定する。設定受付部34が受け付けた設定が標準コースではなかった場合(ステップS18でNo)、制御装置30は、処理をステップS19に進める。ステップS19において、制御装置30は、変更処理を実行する。この場合の変更処理は、コースの設定を高温コースから標準コースに変更する処理である。その後、制御装置30は処理をステップS20に進める。
【0037】
設定受付部34が受け付けた設定が標準コースであった場合(ステップS18でYes)、制御装置30は、処理をステップS20に進める。ステップS20において、制御装置30は回転槽モータ14、給水弁19、排水弁21、及び加温装置23を適宜動作させて、30℃の温水を使用して標準コースを実行する。標準コースの内容が終了すると、制御装置30は、処理を終了する(エンド)。このようにして、制御装置30による槽洗浄運転における処理内容が実行される。
【0038】
なお、制御装置30は、槽洗浄運転開始後ステップS11の給水動作前に、重量検知部31によって重量を検知して、回転槽13内に取り出し忘れた洗濯物等が収容されていないか確認しても良い。少量の洗濯物が入っているとアンバランスが発生して回転槽モータ14の負荷が大きくなりがちである。そのため、制御装置30は給水動作前にアンバランス異常の有無を事前に確認しても良い。
【0039】
以上説明した本実施形態によれば、衣類処理装置としての洗濯機10は、筐体11と、筐体11内部に設けられた水槽12と、水槽12に貯留された水を加温する加温装置23と、加温装置23の動作を制御して水槽12の洗浄運転を実行する制御装置30と、水槽12に貯留された水の電気伝導度を検出する検知部としての処理剤検知部32と、処理剤検知部32の検知結果に基づいて水槽12内の洗浄処理剤の有無を判定する判定処理を実行する判定処理部35と、を備える。制御装置30は、洗浄運転として、水槽12に貯留された水の目標温度が洗浄処理剤の使用に適する第1温度に設定された標準コースと、水槽12に貯留された水の目標温度が第1温度よりも高温である第2温度に設定された高温コースと、から選択して実行可能である。制御装置30は、洗浄運転の実行前又は実行中に判定処理部35に判定処理を実行させる。
【0040】
これによれば、例えばユーザが誤って高温コースにおいて塩素系漂白剤等の洗浄処理剤を使用してしまった場合等に、刺激臭等が発生する前に異常を検出することができる。したがって、誤操作があっても適切なコースで槽洗浄が実行可能な衣類処理装置が提供される。
【0041】
洗濯機10は、ユーザによる洗浄運転のコースの設定を受け付ける設定受付部34を備える。制御装置30は、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが高温コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤があると判定された場合に、洗浄運転のコースを標準コースに切り替える変更処理を実行する。
【0042】
これにより、例えば高温コースに設定したにもかかわらずユーザが誤って塩素系漂白剤等の洗浄処理剤を投入した場合、自動的に高温コースの実行を阻害し、刺激臭等が発生することを抑制することができる。
【0043】
洗濯機10は、ユーザによる洗浄運転のコースの設定を受け付ける設定受付部34を備える。制御装置30は、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが標準コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤がないと判定された場合に、洗浄運転のコースを高温コースに切り替える変更処理を実行する。
【0044】
これにより、例えば標準コースに設定したにもかかわらずユーザが誤って洗浄処理剤を投入しなかった場合、自動的に高温コースに切り替えることで、洗浄効率を高め、水槽12内をより確実に洗浄することができる。
【0045】
(第2実施形態)
図5図8を参照して第2実施形態について説明する。本実施形態では、洗濯機10は、更に報知処理部36を備える。報知処理部36は、判定処理部35の判定結果に基づいて、異常があった場合ユーザに報知する報知処理を実行する。
【0046】
報知処理は、設定受付部34が受け付けた槽洗浄運転のコースの設定内容と、判定処理部35による判定処理の結果との間に齟齬がある場合に、その異常をユーザに報知する処理である。報知処理部36は、例えば操作パネル22に、図6又は図7に示すような画面を表示することにより、ユーザに異常を報知すると共に、設定の変更を促す。これにより、ユーザは、異常の発生を認識し、適切な運転コースに設定を変更することができる。
【0047】
制御装置30の記憶領域302は、例えば報知処理部36を実現するためのプログラムを記憶している。制御装置30は、記憶領域302に記憶されている上記プログラムをCPU301において実行することにより、報知処理部36を仮想的に実現する。なお、報知処理部36は、制御装置30と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0048】
設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが高温コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤があると判定された場合、報知処理部36は、例えば、図6に示す表示例100を操作パネル22に表示する。表示例100では、「誤って漂白剤を投入していませんか?」とのメッセージが操作パネル22に表示されている。また、ユーザは、設定の変更を希望する場合、表示画面中の「変更する」ボタン101を操作することで、高温コースから標準コースに設定を変更することができる。ユーザは、設定の変更を希望しない場合、表示画面中の「変更しない」ボタン102を操作することで、高温コースを続行することができる。
【0049】
また、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが標準コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤がないと判定された場合、報知処理部36は、例えば図7に示す表示例200を操作パネル22に表示する。表示例200では、「漂白剤が投入されていません。」とのメッセージが操作パネル22に表示されている。また、ユーザは、設定の変更を希望する場合、表示画面中の「変更する」ボタン201を操作することで、標準コースから高温コースに設定を変更することができる。ユーザは、設定の変更を希望しない場合、表示画面中の「変更しない」ボタン202を操作することで、標準コースを続行することができる。
【0050】
なお、報知処理部36は、操作パネル22への表示と共に、図示しない音声出力部からアラーム音、メッセージなどを発することで、ユーザに異常を報知しても良い。
【0051】
図8のフローチャートを参照して、本実施形態における制御装置30による槽洗浄運転における処理内容について説明する。本実施形態におけるフローチャートは、上記第1実施形態の図4に示すフローチャートと概ね同一であるが、一部が異なっている。図4と異なる部分について説明する。
【0052】
ステップS15において、設定が高温コースでない場合(ステップS15でNo)、制御装置30は、ステップS21に処理を進める。ステップS21において、制御装置30は、報知処理を実行する。この場合、報知処理によって報知する内容は、例えば図7に示す表示例200のように、設定が標準コースであるにもかかわらず洗浄処理剤が検知されないことを報知するものである。
【0053】
ステップS22において、制御装置30は、設定受付部34が設定を変更する操作を受け付けたか否かを判定する。設定の変更操作を受け付けた場合(ステップS22でYes)制御装置30は、処理をステップS16に進める。設定の変更操作を受け付けない場合(ステップS22でNo)制御装置30は、処理をステップS20に進める。
【0054】
一方、ステップS18において、設定が標準コースでない場合(ステップS18でNo)、制御装置30は、ステップS23に処理を進める。ステップS23において、制御装置30は、報知処理を実行する。この場合、報知処理によって報知する内容は、例えば図6に示す表示例100のように、設定が高温コースであるにもかかわらず洗浄処理剤が検知されたことを報知するものである。
【0055】
ステップS24において、制御装置30は、設定受付部34が設定を変更する操作を受け付けたか否かを判定する。設定の変更操作を受け付けた場合(ステップS24でYes)制御装置30は、処理をステップS19に進める。設定の変更操作を受け付けない場合(ステップS24でNo)制御装置30は、処理をステップS17に進める。
【0056】
なお、本実施形態では、ステップS22、又はステップS24において、設定受付部34が変更操作を受け付けなかった場合、当初の設定内容で槽洗浄運転が実行される構成であるが、他の実施形態では、設定受付部34が変更操作を受け付けなかった場合、槽洗浄運転を実行しない構成としても良い。
【0057】
以上説明した本実施形態によっても、上記実施形態と同一の効果が奏される。
【0058】
本実施形態によれば、洗濯機10は、ユーザによる洗浄運転のコースの設定を受け付ける設定受付部34と、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースの異常をユーザに報知する報知処理を実行する報知処理部36と、を備える。報知処理部36は、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが高温コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤があると判定された場合、又は、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが標準コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤がないと判定された場合、報知部処理を実行する。
【0059】
これによれば、前者の場合、ユーザが誤って洗浄処理剤を投入している又は高温コースを選択していると考えられるので、ユーザにその旨を通知して、最適なコース設定に変更を促すことができる。また後者の場合、ユーザが誤って洗浄処理剤を投入し損じている又は標準コースを選択していると考えられるので、ユーザにその旨を通知して、洗浄処理剤の投入又は最適なコース設定に変更を促すことができる。
【0060】
(第3実施形態)
図9図11を参照して第3実施形態について説明する。本実施形態では、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが高温コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤があると判定された場合、制御装置30は排出処理を実行する。
【0061】
排出処理は、水槽12から洗浄処理剤を排出する処理である。具体的には、排出処理は、排水弁21を開いて水槽12に貯留された水を機外に排出する排水動作を含む。排水動作によって、洗浄処理剤の大部分は水槽12に貯留されていた水と共に機外に排出される。
【0062】
しかし、洗浄処理剤の濃度が高い場合には、一度の排水動作では、水槽12から洗浄処理剤を十分に除去することができない可能性がある。本実施形態では、排出処理は、複数回の排水動作と、給水動作とを含む。すなわち排出処理は、排水動作と、当該排水動作後に行われる給水動作と、更に当該給水動作後に行われる排水動作との繰り返しを含む。これにより、水槽12に存在する洗浄処理剤を効果的に排出し、水槽12内の洗浄処理剤の濃度を効果的に低下させることができる。
【0063】
制御装置30は、排出処理における給排水動作の繰り返し回数nを、適宜変更することができる。この場合、制御装置30は、給排水動作の繰り返し回数nを、洗浄処理剤の濃度に基づいて決定する。本実施形態では、処理剤検知部32は検知した電気伝導率から水槽12内に貯留された水中の洗浄処理剤の濃度を推定可能である。記憶領域302は、例えば図9に一例を示すような処理剤検知部32の検知結果つまり電気伝導度(T、T1、T2、…)と、推定される洗浄処理剤の濃度(C、C1、C2…)のチャートを記憶している。更に、記憶領域302は、推定された洗浄処理剤の濃度に応じた給排水動作の繰り返し回数nを記憶している。この場合、洗浄処理剤の濃度が高いほど、給排水動作の繰り返し回数nが大きくなるように設定されている。制御装置30は、処理剤検知部32の検知結果と、記憶領域302に記憶されたチャートとを照合して、給排水動作の繰り返し回数nを設定する。
【0064】
繰り返し回数nは、排出処理実行後の水槽12内の洗浄処理剤の濃度が、所定の濃度未満となるように設定されている。繰り返し回数nは、現実の洗濯機10を使用した実験によって求めても良いし、コンピュータシミュレーションによって求めても良い。
【0065】
図10に示すタイミングチャートを参照して、制御装置30による排出処理について説明する。図10に示す例では、給排水動作の繰り返し回数n=3に設定されている。制御装置30は、排出処理が開始されると、例えば1分間排水動作を実行する。排水動作において、給水弁19は閉じており、排水弁21は開いている。また、排水動作において、回転槽モータ14及び加温装置23は動作していない。なお、図面において、回転槽モータ14と加温装置23が動作することをONと、動作していないことをOFFと表示している。
【0066】
初回の排水動作後、制御装置30は、1回目の給水動作を例えば1分間実行する。給水動作において、給水弁19は開いており、排水弁21は閉じている。また、給水動作において、回転槽モータ14及び加温装置23は動作していない。
【0067】
制御装置30は、初回排水動作後、1回目の排水動作を例えば1分間実行する。続いて、制御装置30は、2回目の給排水動作を実行する。更に、洗浄処理部33は、繰り返し回数n=3回目つまり最後の給水動作を例えば1分間実行する。その後、制御装置30は、撹拌動作を2分間実行する。撹拌動作は、水槽12に水が貯留された状態で、回転槽モータ14を所定の回転数で回転させる動作である。この場合、撹拌動作において、給水弁19と排水弁21とは閉じており、加温装置23は動作していない。その後、洗浄処理部33は、繰り返し回数n=3回目最後の排水動作を例えば1分間実行する。これにより、複数回給排水を繰り返すことで、水槽12内に残留する洗浄処理剤の濃度を極力低下させることができる。更に、最後の排水動作前に撹拌動作を実行することで、回転槽13を回転させ、給排水動作のみでは洗い流せなかった部位に付着した洗浄処理剤を洗い流すことができる。
【0068】
図11のフローチャートを参照して、本実施形態における制御装置30による槽洗浄運転における処理内容について説明する。この場合、槽洗浄運転の開始時(図11のスタート時)において、ユーザの操作入力により、高温コースが設定されているものとする。
【0069】
ユーザの操作パネル22に対する操作等により槽洗浄運転が実行されると(スタート)、制御装置30は、ステップS31において、排水弁21を閉じた状態で給水弁19を開放して、水槽12に給水する給水動作を実行する。ステップS32において、制御装置30は、処理剤検知部32を動作させる。ステップS33において、制御装置30は、判定処理部35により判定処理を実行する。
【0070】
判定処理の結果、洗浄処理剤なしと判定された場合(ステップS34でNo)、制御装置30は、処理をステップS37に進める。洗浄処理剤ありと判定された場合(ステップS34でYes)、制御装置30は、処理をステップS35に進める。
【0071】
ステップS35において、制御装置30は、例えば図10に一例を示すような排出処理を実行する。排出処理が終わると、制御装置30は、ステップS36において、再び給水動作を実行する。制御装置30は、ステップS37において、回転槽モータ14、給水弁19、排水弁21、及び加温装置23を適宜動作させて、60℃の温水を使用して高温コースを実行する。高温コースの内容が終了すると、制御装置30は、処理を終了する(エンド)。
【0072】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0073】
本実施形態によれば、洗濯機10は、ユーザによる洗浄運転のコースの設定を受け付ける設定受付部34と、水槽12から筐体11外部に通じる排水経路20と、排水経路20を開閉する排水弁21と、を備える。制御装置30は、設定受付部34が受け付けた洗浄運転のコースが高温コースであり、かつ、判定処理の結果洗浄処理剤があると判定された場合、排水弁21を開く排水動作を含む排出処理を実行する。
【0074】
これによれば、ユーザの誤操作があったとしても洗浄処理剤を機外に排出してしまうので、塩素系漂白剤等の洗浄処理剤が高温に曝され、刺激臭が発生することを抑制できる。
【0075】
洗濯機10は、外部の給水源から水槽12に水を供給する給水経路18と、給水経路18を開閉する給水弁19と、を備える。排出処理は、排水動作と、当該排水動作後に行われる排水弁21を閉じた状態で給水弁19を開く給水動作と、当該給水動作後に行われる排水動作と、を含む。
【0076】
これにより、水槽12内に残留した洗浄処理剤を希釈することができるため、ユーザの誤操作があっても、刺激臭が発生することが抑制される。
【0077】
排出処理は、複数回の給水動作を含む。
【0078】
これにより、給排水動作を繰り返すことで、水槽12内に残留した洗浄処理剤をより確実に希釈することができる。
【0079】
制御装置30は、処理剤検知部32の検知結果に基づいて給水動作の繰り返し回数nを決定する。
【0080】
洗浄処理剤が所定の濃度以下となることが予測される回数、給排水動作を繰り返すことで、水槽内に残留した洗浄処理剤をさらに一層確実に希釈することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、繰り返し回数nは、初回の給水動作前に処理剤検知部32が検知した検知結果に基づいて設定される構成となっているが、これに限らない。例えば、制御装置30は、給水動作が実行される度に処理剤検知部32によって洗浄処理剤の有無及び又はその濃度を検知させても良い。そして、その場合、制御装置30は、検知された洗浄処理剤の有無及び又はその濃度に基づいて、次回の給水動作を実行するか否かを設定しても良い。
【0082】
なお、上記各実施形態は、相互に組み合わせることができる。また、2以上の実施形態の特徴部分のみを抽出して組み合わせることもできる。
【0083】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
10…洗濯機(衣類処理装置)、11…筐体、12…水槽、14…回転槽モータ、18…給水経路、19…給水弁、20…排水経路、21…排水弁、23…加温装置、30…制御装置、32…処理剤検知部(検知部)、25…制御装置、30…投入機構、33…判定処理部、34…設定受付部、36…報知処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11