(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175450
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】データ処理システム、データ処理システムの制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/74 20060101AFI20241211BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20241211BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20241211BHJP
G01S 11/06 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G01S13/74
H04W84/10 110
H04W64/00 110
G01S11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093243
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 鴻志
【テーマコード(参考)】
5J070
5K067
【Fターム(参考)】
5J070BC05
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】無線通信を用いた測距の精度を向上させることができるデータ処理システム、データ処理システムの制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】データ処理システム100は、画像形成装置102~105および携帯端末101を有する。画像形成装置102、103は、BLE通信と、BLE通信よりも高い精度で測距を行うUWB通信とが可能である。画像形成装置104、105は、BLE通信が可能な一方で、UWB通信が不可能である。携帯端末101は、画像形成装置102、103との間におけるBLE通信の受信電波強度およびUWB通信による測距の結果を用いて、画像形成装置104、105までの各距離を計算するための距離計算式を導出し、画像形成装置104、105との間におけるBLE通信の受信電波強度を距離計算式に代入して、画像形成装置104、105までの各距離を計算するCPU201を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像形成装置、第2の画像形成装置、および携帯端末を有するデータ処理システムであって、
前記第1の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、第1の無線通信と、前記第1の無線通信よりも高い精度で測距を行う第2の無線通信とが可能なものであり、
前記第2の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、前記第1の無線通信が可能な一方で、前記第2の無線通信が不可能なものであり、
前記携帯端末は、
前記第1の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度および前記第2の無線通信による測距の結果を用いて、前記第2の画像形成装置までの距離を計算するための距離計算式を導出する導出手段と、
前記第2の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度を前記距離計算式に代入することによって、前記第2の画像形成装置までの距離を計算する距離計算手段と、を備えることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
前記第2の無線通信による測距の結果である前記第1の画像形成装置までの距離を前記第1の画像形成装置に関する情報とともに表示し、前記距離計算手段で計算された前記第2の画像形成装置までの距離を前記第2の画像形成装置に関する情報とともに表示する表示手段と、
前記表示手段によって距離が表示された前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置の中から前記携帯端末の印刷ジョブに基づく印刷を行わせる画像形成装置をユーザが選択することが可能な選択手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記携帯端末において、
前記表示手段は、前記距離計算手段で計算された前記第2の画像形成装置までの距離を、前記距離計算手段で計算されたものであることを示すマークとともに表示することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、
前記表示手段によって表示される距離の表示順をユーザが変更することが可能な変更手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記携帯端末において、
前記導出手段は、前記第2の無線通信による測距の結果が閾値以上の前記第1の画像形成装置を除外して、前記距離計算式を導出することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記携帯端末において、
前記導出手段は、前記距離計算式をフリスの伝達式に基づいて導出することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
前記携帯端末において、
前記導出手段は、前記第1の画像形成装置が1台である場合、フリスの伝達式の環境変数の値を「2」と仮定して、前記距離計算式を導出することを特徴とする請求項6に記載のデータ処理システム。
【請求項8】
前記携帯端末において、
前記導出手段は、前記第1の画像形成装置が3台以上ある場合、前記第2の無線通信による測距の結果が1番目と2番目に短い2台の前記第1の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度および前記第2の無線通信による測距の結果を用いて、前記距離計算式を導出することを特徴とする請求項6に記載のデータ処理システム。
【請求項9】
前記携帯端末は、
前記第2の無線通信による測距の結果が最も短い前記第1の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度および前記第2の無線通信による測距の結果と、フリスの伝達式の環境変数の値として仮定された「2」とを用いて、前記携帯端末の固有の定数を計算する定数計算手段を備え、
前記携帯端末において、
前記距離計算手段は、前記携帯端末が、前記第1の無線通信が可能な一方で前記第2の無線通信が不可能な第3の画像形成装置しか無線通信ができない環境に移動した場合、前記第3の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度と、前記携帯端末の固有の定数と、フリスの伝達式の環境変数の値として仮定された「2」とを前記距離計算式に代入することによって、前記第3の画像形成装置までの距離を計算することを特徴とする請求項6に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記第1の無線通信は、Bluetooth(登録商標) Low Energyによる無線通信であることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
前記第2の無線通信は、Ultra Wide Bandによる無線通信であることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項12】
前記携帯端末は、スマートフォンまたはタブレット端末であることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項13】
第1の画像形成装置、第2の画像形成装置、および携帯端末を有するデータ処理システムの制御方法であって、
前記第1の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、第1の無線通信と、前記第1の無線通信よりも高い精度で測距を行う第2の無線通信とが可能なものであり、
前記第2の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、前記第1の無線通信が可能な一方で、前記第2の無線通信が不可能なものであり、
前記携帯端末は、
前記第1の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度および前記第2の無線通信による測距の結果を用いて、前記第2の画像形成装置までの距離を計算するための距離計算式を導出する導出工程と、
前記第2の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度を前記距離計算式に代入することによって、前記第2の画像形成装置までの距離を計算する距離計算工程と、を備えることを特徴とするデータ処理システムの制御方法。
【請求項14】
請求項1に記載のデータ処理システムの各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理システム、データ処理システムの制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の社会では、IoT(Internet of Things)と呼ばれる仕組みが普及し始めている。IoTでは、様々な無線通信によって、様々なデバイスがインターネットに接続される。そのような無線通信の1つとしては、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末にも搭載されているBluetooth(登録商標)がある。さらに、Bluetoothには、その拡張仕様であるBluetooth Low Energy(以下、「BLE」と表記する)がある。BLEによる無線通信は、受信電波強度によって、大まかにだが、BLE電波の送信デバイスと受信デバイスとの間の距離を測定することが可能である。
【0003】
また、近年では、携帯端末に搭載され、普及し始めている無線通信に、Ultra Wide Band (以下、「UWB」と表記する)がある。UWBによる無線通信は、BLEによる無線通信を用いた距離の測定が最大で数メートルの誤差の可能性があるのに比べ、センチメートル単位の誤差で距離の測定を行えるため、測距に優位性がある。なお、以下の説明では、BLEによる無線通信を用いた距離の測定を「BLE測距」と表記する場合があり、UWBによる無線通信を用いた距離の測定を「UWB測距」と表記する場合がある。また、BLEによる無線通信を「BLE通信」と略記する場合があり、UWBによる無線通信を「UWB通信」と略記する場合がある。
【0004】
ところで、従来では、携帯端末がその受信電波強度を使用して距離の測定を行うケースが多い。そこで、特許文献1には、携帯端末の受信電波強度を補正するための基準デバイスを、携帯端末と併用することを想定した技術が提案されている。詳細には、ユーザは、携帯端末と合わせて基準デバイスを所持する。そして、画像形成装置から送信された無線信号に対する受信電波強度を示す情報を、携帯端末は測定情報として、基準デバイスは基準情報として、画像形成装置にそれぞれ送信する。画像形成装置は、測定情報と基準情報に基づいて算出された受信感度情報を携帯端末に送信する。携帯端末は、受信感度情報に基づいて閾値情報を補正し、その補正した閾値情報と、画像形成装置から送信された無線信号に対する受信電波強度を用いて、画像形成装置までの距離を特定する。これにより、携帯端末は、その性能や周囲環境によらず、精度を向上させた測距結果を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、BLE測距に適用された場合、数メートル単位の誤差が生じ得る大まかな測距での精度の向上にとどまるので、センチメートル単位の誤差しか生じないUWB測距の精度には到底及ばないという問題があった。そのため、BLE測距のより高精度な補正技術が求められていた。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、無線通信を用いた測距の精度を向上させることができるデータ処理システム、データ処理システムの制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のデータ処理システムは、第1の画像形成装置、第2の画像形成装置、および携帯端末を有するデータ処理システムであって、前記第1の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、第1の無線通信と、前記第1の無線通信よりも高い精度で測距を行う第2の無線通信とが可能なものであり、前記第2の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、前記第1の無線通信が可能な一方で、前記第2の無線通信が不可能なものであり、前記携帯端末は、前記第1の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度および前記第2の無線通信による測距の結果を用いて、前記第2の画像形成装置までの距離を計算するための距離計算式を導出する導出手段と、前記第2の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度を前記距離計算式に代入することによって、前記第2の画像形成装置までの距離を計算する距離計算手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無線通信を用いた測距の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るデータ処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】携帯端末のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】画像形成装置のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】携帯端末のソフトウェアの構成などの一例を示すブロック図である。
【
図5】UWBによる無線通信で測距する際の処理を示すシーケンス図である。
【
図6】第1実施形態に係るデータ処理システムにおいて、携帯端末と各画像形成装置の大まかな位置関係を示す模式図である。
【
図7】第1実施形態において、BLE通信およびUWB通信が可能な携帯端末が、BLE通信およびUWB通信が可能な画像形成装置との間や、BLE通信のみが可能な画像形成装置との間で行うモバイルプリントの動作プロセスを示すシーケンス図である。
【
図8】携帯端末のディスプレイにおけるUI(User Interface)画面の一例を示す図である。
【
図9】携帯端末の印刷アプリケーションのリスト保存部に保存されている第1リストと第2リストの一例を示す図である。
【
図10】携帯端末からBLE通信のみが可能な画像形成装置までの距離をBLE測距の精度よりも高い精度で計算することが可能な式についての導出過程を示す図である。
【
図11】携帯端末からBLE通信のみが可能な画像形成装置までの距離をBLE測距の精度よりも高い精度で計算することが可能な式についての導出過程とその距離の計算結果を示す図である。
【
図12】(a)はステップS712での動作を示すフローチャートであり、(b)はステップS713での動作を示すフローチャートである。
【
図13】第2実施形態に係るデータ処理システムにおいて、携帯端末と各画像形成装置の大まかな位置関係を示す模式図である。
【
図14】第2実施形態において、BLE通信およびUWB通信が可能な携帯端末が、BLE通信およびUWB通信が可能な画像形成装置との間や、BLE通信のみが可能な画像形成装置との間で行うモバイルプリントの動作プロセスを示すシーケンス図である。
【
図15】第3実施形態に係るデータ処理システムにおいて、携帯端末とBLE通信のみが可能な画像形成装置の大まかな位置関係を示す模式図である。
【
図16】第3実施形態において、携帯端末固有の定数の値を求めるための式を示す図である。
【
図17】第3実施形態において、BLE通信およびUWB通信が可能な携帯端末が、BLE通信のみが可能な画像形成装置との間で行うモバイルプリントの動作プロセスを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の各実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。例えば、本発明を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせることもできる。なお、図面間において、同一または対応する構成部材・構成装置・構成部分・処理には、同一の符号を付す。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るデータ処理システム100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、データ処理システム100は、1台の携帯端末101と、4台の画像形成装置102、103、104、105を有する。携帯端末101は、4台の画像形成装置102~105のいずれかに対して、印刷ジョブを送信することができるものである。携帯端末101は、例えば、スマートフォンやタブレット端末などであるが、ノート型パーソナルコンピュータや通信機能付きのデジタルカメラなどであってもよい。各画像形成装置102~105は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、およびファクス送信機能などを有する周辺機器である。従って、各画像形成装置102~105は、複数の機能を併せ持った複合機(MFP)であるが、少なくともプリンタ機能を有する印刷装置などであってもよい。
【0013】
各画像形成装置102~105は、有線LAN106に接続されている。よって、各画像形成装置102~105は、有線LAN106を介して、相互通信で情報のやり取りを行うことができる。有線LAN106には、無線LANターミナル107が接続されている。無線LANターミナル107は、一般的なネットワーク・ルーター機能を有した無線LANの親機であって、家庭内や事務所などの中で、Wi-Fiを通じた無線LANを提供している。さらに、無線LANターミナル107は、図示しないONUまたはモデムを介して、インターネットに接続されている。
【0014】
携帯端末101は、そのWi-Fi機能を有効にすることで、無線LANターミナル107が提供する無線LANのネットワークに参加することができ、また、無線LANターミナル107を介して有線LAN106のネットワークに参加することができる。なお、108は、無線LANターミナル107が送受信するWi-Fi電波である。109は、携帯端末101が送受信するWi-Fi電波である。携帯端末101は、無線LANターミナル107からのWi-Fi電波108が届く無線LANのエリアに入ると、予め設定していた認証情報を利用して、その無線LANのネットワークや有線LAN106のネットワークに自動的に参加することができる。これにより、携帯端末101は、有線LAN106や無線LANターミナル107が提供する無線LANを介して、各画像形成装置102~105と、相互通信で情報のやり取りを行うことができる。
【0015】
111は、携帯端末101が送受信するBLE電波である。112、113、114、115は、各画像形成装置102~105が送受信するBLE電波である。BLE電波111~115は、それらが到達し合う端末・装置の間において、WPAN(Wireless Personal Area Network)を形成する。121は、携帯端末101が送受信するUWB電波である。122、123は、各画像形成装置102、103が送受信するUWB電波である。UWB電波121~123は、それらが到達し合う端末・装置の間において、WPANを形成する。
【0016】
なお、本実施形態において、各画像形成装置104、105は、UWBを搭載していない装置である。各画像形成装置102~105は、データ処理システム100でのBLE通信において、一定間隔でアドバタイズパケットを発信しており、携帯端末101のアプリケーションソフトからペアリングの要請を受けた際にGATT通信を行う。なお、以下の説明では、UWBを搭載していないことを、「UWB非搭載」と表記する。
【0017】
図2は、携帯端末101のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、携帯端末101において、ハードウェアの各構成要素は、システムバス200に接続されている。携帯端末101は、CPU201、ROM202、RAM203、およびNetwork Controller204を有する。携帯端末101は、さらに、無線LAN通信部205、携帯電話データ通信部206、BLE通信部207、およびUWB通信部208を有する。CPU201は、携帯端末101を統括的に制御する制御部である。
【0018】
ROM202は、オペレーティングシステムなどのシステムソフトウェアや、様々なアプリケーションソフトウェアが記憶されたメモリである。なお、以下の説明では、システムソフトウェアおよびアプリケーションソフトウェアを「ソフトウェア」と略記する場合がある。システムソフトウェアやアプリケーションソフトウェアは、CPU201によって実行される。また、アプリケーションソフトウェア(以下、「アプリケーション」と略記する場合がある)には、例えば、通話を制御する通話アプリケーションや、データ通信を制御するデータ通信アプリケーションなどがある。さらに、データ通信アプリケーションには、例えば、印刷アプリケーションや、Mailソフト、Webブラウザなどがある。RAM203は、システムソフトウェアのプログラムやアプリケーションソフトウェアのプログラムをCPU201が実行する際のワークメモリである。さらに、RAM203は、CPU201がプログラムを実行するときにデータなどを一時的に記憶するためのメモリでもある。
【0019】
Network Controller204には、無線LAN通信部205、携帯電話データ通信部206、BLE通信部207、およびUWB通信部208が接続されている。Network Controller204は、無線LANターミナル107が提供する無線LANのネットワークに携帯端末101が参加する際に、無線LAN通信部205による通信制御を行う。Network Controller204は、無線LANターミナル107を介して有線LAN106のネットワークに携帯端末101が参加する際も、無線LAN通信部205による通信制御を行う。
【0020】
Network Controller204は、携帯キャリアが提供する無線通信ネットワークに携帯端末101が参加する際に、携帯電話データ通信部206による通信制御を行う。Network Controller204は、BLE電波が到達し合う端末・装置の間において、データ通信を行うWPANを形成する際に、BLE通信部207による通信制御を行う。Network Controller204は、UWB電波が到達し合う端末・装置の間において、測距などのデータ通信を行うWPANを形成する際に、UWB通信部208による通信制御を行う。
【0021】
なお、一般的に、Network Controller204は、無線LANのネットワークに携帯端末101が参加可能な場合、その無線LANの接続を優先する。ただし、Network Controller204は、携帯端末101が無線LANのエリアから外れた場合、携帯キャリアが提供する無線通信ネットワークに携帯端末101を参加させるように排他制御する。また、Network Controller204は、BLEやUWBによる無線通信については、BLEやUWBによる無線通信の目的を達するために、無線LANのネットワークや、携帯キャリアが提供する無線通信ネットワークとは独立して制御する。携帯端末101は、記憶装置209を有する。記憶装置209は、不揮発性の記憶装置である。記憶装置209には、携帯端末101の再起動後も携帯端末101が保持しておく必要のある各種動作モード設定や、稼働ログなどが記憶される。
【0022】
携帯端末101は、音声制御部210、表示制御部211、入力制御部212、マイク・スピーカ213、ディスプレイ214、およびタッチパネル215を有する。音声制御部210には、マイク・スピーカ213が接続されている。音声制御部210は、例えば、通話アプリケーションが起動され、ユーザが電話をしているときに使用される。その際、音声制御部210は、マイク・スピーカ213にて音声データの入出力を行い、その音声データと音声データ制御プログラムとの仲介を行う。表示制御部211には、ディスプレイ214が接続されている。表示制御部211は、ディスプレイ214にて表示する情報の制御を行う。入力制御部212には、タッチパネル215が接続されている。入力制御部212は、タッチパネル215や携帯端末101のボタンにてユーザが指示した情報の制御を行う。なお、タッチパネル215は、ディスプレイ214上に重ねて設けられることによって、ディスプレイ214と一体化されている。これにより、タッチパネル215は、ディスプレイ214に表示される後述の画面に対してユーザが行ったタップなどのタッチ操作を検出することができる。携帯端末101上で起動するアプリケーションは、音声制御部210、表示制御部211、および入力制御部212を利用して、ネットワーク通信情報や携帯端末101の様々な情報をユーザに提供する。
【0023】
携帯端末101は、位置検出制御部216、方向検出制御部217、加速度検出制御部218、GPSセンサー219、ジャイロセンサー220、および加速度センサー221を有する。位置検出制御部216には、GPSセンサー219が接続されている。位置検出制御部216は、GPSセンサー219から携帯端末101の位置情報を取得し、その位置情報をオペレーティングシステムに提供する。方向検出制御部217には、ジャイロセンサー220が接続されている。方向検出制御部217は、ジャイロセンサー220から携帯端末101の方向情報を取得し、その方向情報をオペレーティングシステムに提供する。加速度検出制御部218には、加速度センサー221が接続されている。加速度検出制御部218は、加速度センサー221から携帯端末101の加速度情報を取得し、その加速度情報をオペレーティングシステムに提供する。位置検出制御部216、方向検出制御部217、および加速度検出制御部218の制御は、CPU201で動作するオペレーティングシステムによって行われる。
【0024】
本実施形態において、携帯端末101は、UWB通信部208を介して、画像形成装置102、103までの各距離を測定するためのデータ通信を行うことが可能である。UWB通信部208は、このような測距のデータ通信の方法として、少なくとも、後述の
図5に示すTWR(Tow Way Ranging)に対応している。携帯端末101は、画像形成装置102、103までの各距離をTWRで測定する場合、UWB通信部208を介して、TWRの測距要求パケットを送信し、その測距要求パケットに対応する各画像形成装置102、103からの測距応答パケットを受信する。さらに、携帯端末101にて、CPU201は、その受信した測距応答パケットに含まれるデータにデータ処理を施して距離を計算することで距離情報を生成し、その距離情報をアプリケーションの要求タイミングに応じて、そのアプリケーションに提供する。この点は、データ処理システム100において、画像形成装置102、103以外でUWBによる無線通信が可能な周辺機器までの距離を、携帯端末101がTWRで測定する場合でも同様である。
【0025】
このようにして、データ処理システム100において、携帯端末101は、画像形成装置102、103との間での各距離情報や、UWBによる無線通信が可能な周辺機器との間での距離情報を提供することが可能である。また、データ処理システム100において、携帯端末101は、各画像形成装置102、103やUWBによる無線通信が可能な周辺機器から測距要求される場合にも対応可能である。このような場合、携帯端末101は、各画像形成装置102、103などからTWRの測距要求パケットを受信すると、その測距要求パケットに対応する測距応答パケットを送信する。
【0026】
なお、本実施形態において、携帯端末101は、携帯電話データ通信部206や、音声制御部210、マイク・スピーカ213などを有しないものであってもよい。また、携帯端末101は、位置検出制御部216や、方向検出制御部217、加速度検出制御部218、GPSセンサー219、ジャイロセンサー220、加速度センサー221などを有しないものであってもよい。
【0027】
次に、各画像形成装置102~105のハードウェアの構成について説明する。
図3は、画像形成装置102のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成装置102は、操作部301、スキャナ部302、プリンタ部303、およびコントローラ304を有する。操作部301は、画像形成装置102を使用するユーザが各種の操作を行うためのものであり、例えば、タッチパネル機能を有するLCDで構成される。スキャナ部302は、図示しないが、スキャナ部302の制御を行うCPUや、原稿読取を行うための照明ランプおよび走査ミラーなどを有する。スキャナ部302は、操作部301からの指示に従って画像情報を読み取る。プリンタ部303は、図示しないが、プリンタ部303の制御を行うCPUや、画像形成を行うための感光体ドラム、定着を行うための定着器などを有する。プリンタ部303は、操作部301からの指示に従って画像データを用紙に印刷する。
【0028】
コントローラ304は、有線LAN106や、無線LAN305、公衆回線306を介して接続されている、携帯端末101などの外部機器との通信を統括的に制御する。なお、無線LAN305は、有線LAN106に接続されている無線LANターミナル107によってWi-Fiで提供される。コントローラ304は、操作部301に接続されている操作部I/F307や、スキャナ部302およびプリンタ部303に接続されているスキャナ・プリンタ通信I/F308を有する。コントローラ304は、さらに、システムバス309および画像バス310を有する。
【0029】
システムバス309には、上述した操作部I/F307やスキャナ・プリンタ通信I/F308に加えて、CPU311、RAM312、ROM313、ハードディスクドライブ(HDD)314、およびNetwork部315が接続されている。システムバス309には、さらに、モデム部316、Image BusI/F317、タイマー318、Wi-Fi通信部319、BLE通信部320、およびUWB通信部321が接続されている。操作部I/F307は、画像形成装置102を使用するユーザが操作部301で入力した情報をCPU311に伝える役割を有する。一方、CPU311は、操作部I/F307を介して、操作部301のLCDに表示する画像データを操作部301に対して出力する。
【0030】
スキャナ・プリンタ通信I/F308は、スキャナ部302およびプリンタ部303のそれぞれと通信を行う。CPU311は、画像形成装置102を統括的に制御する制御部である。RAM312は、CPU311が動作するためのシステムワークメモリであるとともに、画像データを一時的に記憶するための画像メモリである。ROM313には、CPU311によって実行されるブートプログラムなどが予め記憶されている。HDD314には、システムソフトウェアや、様々なアプリケーションソフトウェア、画像データ、カウンタ値などが記憶される。Network部315は、有線LAN106に接続され、有線LAN106上の各画像形成装置103~105との間で、また、有線LAN106上の図示しないその他のデバイスとの間でデータ通信を行う。
【0031】
モデム部316は、公衆回線306に接続され、図示しない外部機器のファクシミリ装置などとの間でデータ通信を行う。Image BusI/F317は、システムバス309と画像バス310との間において、データ構造を変換するバスブリッジとして機能する。タイマー318は、時刻や時間を計測する。Wi-Fi通信部319は、無線LAN305において、携帯端末101などとの間でWi-Fiによる無線通信を行う。BLE通信部320は、携帯端末101などとの間でBLEによる無線通信を行う。UWB通信部321は、携帯端末101や画像形成装置103などとの間でUWBによる無線通信を行う。
【0032】
画像バス310には、上述したImage BusI/F317に加えて、ラスタイメージプロセッサ(RIP)322、スキャナ画像処理部323、およびプリンタ画像処理部324が接続されている。画像バス310には、さらに、画像回転部325、画像圧縮部326、およびデバイスI/F327が接続されている。画像バス310では、画像バス310に接続されている上述した各構成要素の間において、画像データが高速で転送される。RIP322は、印刷ジョブに含まれるPDLコードをビットマップイメージに展開する。なお、印刷ジョブは、例えば、Wi-Fiによる無線通信などを介して、携帯端末101から画像形成装置102に送信される。
【0033】
スキャナ画像処理部323は、スキャナ部302から入力された画像データに対して、補正や、加工、編集などを行う。プリンタ画像処理部324は、プリンタ部303で印刷される画像データに対して、補正や、解像度変換などを行う。画像回転部325は、プリンタ部303で印刷される画像データの回転を行う。画像圧縮部326は、多値画像データをJPEGで、2値画像データをJBIG、MMR、またはMHで圧縮伸張処理を行う。デバイスI/F327は、スキャナ部302およびプリンタ部303のそれぞれをコントローラ304に接続して、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0034】
コントローラ304では、CPU311によって、印刷ジョブ実行時やコピージョブ実行時などの履歴が、ジョブログ情報として、RAM312またはHDD314に記憶・管理されている。印刷ジョブ実行時やコピージョブ実行時などの履歴には、例えば、ユーザ名や、印刷部数、カラー印刷、出力属性情報などがある。なお、画像形成装置103のハードウェアの構成は、画像形成装置102のハードウェアの構成と同様である。また、画像形成装置104、105のハードウェアの構成は、UWB通信部321を除いて、画像形成装置102のハードウェアの構成と同様である。そのため、画像形成装置104、105のハードウェアの構成については、その説明を省略する。
【0035】
図4は、携帯端末101のソフトウェアの構成などの一例を示すブロック図である。
図4には、携帯端末101のソフトウェアの構成に加えて、ソフトウェアが管理するデータ領域が示されている。この点、ドキュメント400は、ソフトウェアがRAM203に記憶して管理するデータ領域である。
図4に示すように、携帯端末101のソフトウェアは、プラットフォーム401、印刷アプリケーション402、およびその他のアプリケーション403などで構成されている。
【0036】
プラットフォーム401は、例えば、Google社のAndroid(登録商標)やApple社のiOS(登録商標)などのプラットフォームで構成することができる。プラットフォーム401は、各種ハードウェアを制御するためのデバイスドライバ群を有しており、プラットフォーム401で動作するアプリケーションに対して、ハードウェアを利用するためのAPIを提供する。プラットフォーム401は、デバイスドライバとして、BLE通信制御部404、UWB通信制御部405、およびWi-Fi通信制御部406を有する。
【0037】
印刷アプリケーション402は、オペレーティングシステムで動作するアプリケーションとして、ROM202にインストールされている。印刷アプリケーション402は、UI部407(表示手段)(指定手段)、画像形成装置探索部408、リスト保存部409、印刷制御部410、Webブラウザ411、および距離計算部412で構成されている。UI部407は、印刷アプリケーション402の固有の機能をユーザに設定させるためのUI(ユーザーインターフェース)を、携帯端末101のディスプレイ214においてユーザに提供する。
【0038】
画像形成装置探索部408は、携帯端末101が参加している有線LAN103のネットワークや、無線LAN305のネットワークにおいて、mDNS(multicast Domain Name System)による探索を行う。探索対象のデバイスは、BLE通信制御部404や、UWB通信制御部405、Wi-Fi通信制御部406などで無線通信が可能なネットワーク機器である。また、画像形成装置探索部408は、mDNSの探索に応答したネットワーク機器のうち、携帯端末101が印刷指示可能な(つまり、印刷アプリケーション402がサポートする)画像形成装置102~105について、それぞれの詳細情報の取得を行う。その取得は、IPP(Internet Printing Protocol)/IPPSによって行われる。なお、上述した探索や取得に用いられる通信方式は、mDNSやIPP/IPPSに限らない。
【0039】
また、画像形成装置探索部408は、BLEによるデータ通信が可能なWPAN内や、UWBによるデータ通信が可能なWPAN内において、携帯端末101が印刷指示可能な画像形成装置102~105を探索する機能についても提供する。さらに、画像形成装置探索部408は、UWB通信制御部405を介して、画像形成装置102、103までの各距離を測定するための通信制御を行う。これにより、画像形成装置探索部408は、距離情報を取得する機能を提供する。
【0040】
リスト保存部409は、RAM203に確保され、後述の第1リストや第2リストなどを保存する。印刷制御部410は、携帯端末101と無線通信が可能な画像形成装置102~105に対する印刷ジョブの生成と、その印刷ジョブを送信する機能を提供する。なお、印刷アプリケーション402は、印刷指示機能のみに限らず、スキャン指示機能などを有していてもよい。Webブラウザ411は、Webページを閲覧する機能などを提供する。距離計算部412は、UWB通信制御部405を介した画像形成装置探索部408の測距結果を用いて、UWB非搭載の画像形成装置104、105までの各距離の計算をBLE測距の精度よりも高い精度で行うための計算処理を行う。なお、計算処理の詳細な説明は、後述の
図7のステップS712とステップS713や
図10や
図11を説明する際に行う。
【0041】
図5は、UWBによる無線通信で測距する際の処理を示すシーケンス図である。
図5は、データ処理システム100の携帯端末101と画像形成装置102、103との間において実施される測距の方法であって、IEEE802.15.4グループにて規定されている、AnchorとTAGとの間を測距する手順を示している。その方法は、AnchorとTAGとの間でフレームが到達する時間(ToA:Time Of Arrival)を計算し、その計算したToAと電波の伝搬速度(光速)とを用いて、AnchorとTAGと間の距離の測定を行う方法である。
【0042】
さらに、
図5は、AnchorとTAGとの間を双方向でフレームの送信を行う、TWRの測距の手順を示している。TWRにおいては、Anchorが測距の主体となり、TAGが測距の対象となる。Anchorは、TAGとの距離を測定する場合、TAGに対してPOLLフレームを発行する。POLLフレームを受信したTAGは、その受信したPOLLフレームが自身宛であることを認識すると、その受信の瞬間から予め定められた時間(T
reply値)が過ぎたときに、RESPフレームをAnchorに対して送信する。そのRESPフレームには、T
reply値が付与されている。
【0043】
Anchorは、RESPフレームを受信すると、POLLフレームの到達に要した時間であり、RESPフレームの到達に要した時間であるToAを計算する。ToAの計算では、
図5に示すように、POLLフレームの発行からRESPフレームを受信したまでの時間(T
round)と、RESPフレームに含まれるT
reply値とが用いられる。さらに、Anchorは、このように計算したToAと、電波の伝搬速度(光速)とを用いて、AnchorからTAGまでの距離を計算する。
【0044】
データ処理システム100において、携帯端末101および画像形成装置102、103は、上述したTWRの測距の方法におけるTAGおよびAnchorのいずれの役割も対応することが可能である。従って、携帯端末101と画像形成装置102、103との間では、それぞれのアプリケーションの要求に応じて、UWB通信部208、321を介したフレームの送受信と計算を行うことで、測距の対象までの距離の測定が可能である。また、上述したTWRの測距の方法は、後述の
図7のステップS710にて用いられる。なお、POLLフレームは、
図2の説明で記載した測距要求パケットを含む。また、RESPフレームは、
図2の説明で記載した測距応答パケットを含む。
【0045】
図6は、第1実施形態に係るデータ処理システム100において、携帯端末101と各画像形成装置102~105の大まかな位置関係を示す模式図である。
図6に示すように、第1実施形態に係るデータ処理システム100では、ユーザが所持する携帯端末101の周辺において、画像形成装置102~105が存在する。携帯端末101および画像形成装置102、103(第1の画像形成装置)は、BLE通信およびUWB通信が可能である。これに対して、画像形成装置104、105(第2の画像形成装置)は、BLE通信のみが可能である。
【0046】
なお、以下の説明では、BLE通信(第1の無線通信)およびUWB通信(第2の無線通信)が可能なことを「BLE・UWB対応」と表記する場合があり、BLE通信のみが可能なことを「BLEのみ対応」と表記する場合がある。
図6では、距離の目安として、601は1m以内のエリアであることを、602は1~5m以内のエリアであることを、603は5~10m以内のエリアであることを示している。以下では、画像形成装置102~105がBLE通信のアドバタイズパケットを一定間隔で送信している場合について説明する。
【0047】
以下、
図7~
図11を用いて、第1実施形態の特徴となる動作を説明する。
図7は、BLE・UWB対応の携帯端末101が、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103との間や、BLEのみ対応の画像形成装置104、105との間で行うモバイルプリントの動作プロセスを示すシーケンス図である。
図7のシーケンス図に示す動作プロセス(データ処理システムの制御方法)は、携帯端末101や画像形成装置102~105をそれぞれ構成する、ハードウェアの各構成要素やソフトウェアの各構成要素により実現される。
【0048】
携帯端末101において、そのソフトウェアの各構成要素は、CPU201(コンピュータ)がROM202に記憶されたプログラムをRAM203に読み出して実行することにより実現される。画像形成装置102~105において、それぞれのソフトウェアの各構成要素は、CPU311(コンピュータ)がHDD314に記憶されたプログラムをRAM312に読み出して実行することにより実現される。なお、上述した点は、後述する
図14や
図17の各シーケンス図についても、同様である。
【0049】
図7のシーケンス図には、印刷ジョブを受信した画像形成装置103の印刷動作が完了するまで、携帯端末101と各画像形成装置102~105との間で相互の通信により協調連動する動作プロセスが示されている。従って、その動作プロセスでは、携帯端末101を操作するユーザが、印刷アプリケーション402を携帯端末101で起動後に、画像形成装置103を探索、選択すると、画像形成装置103に印刷ジョブが送信される。
図7に示すように、ステップS701において、携帯端末101のCPU201は、ユーザ操作に応じて、印刷アプリケーション402を起動させる。
【0050】
図8は、携帯端末101のディスプレイ214におけるUI画面の一例を示す図である。携帯端末101において、印刷アプリケーション402が起動されると、ディスプレイ214の表示画面は、
図8(a)のトップメニュー画面に遷移する。
図8(a)のトップメニュー画面において、ボタン801は、ディスプレイ214の表示画面を、印刷指示対象とする画像形成装置をユーザが選択する際のUI画面に、つまり後述の
図8(b)の探索画面に遷移させるためのボタンである。なお、画像形成装置が選択されていないときのボタン801は、
図8(a)に示すように、未選択である旨が表示される。
【0051】
ボタン802は、ディスプレイ214の表示画面を、携帯端末101内に保存されている写真の中からユーザが選択する写真についての印刷を行わせる際の、UI画面に遷移させるためのボタンである。ボタン803は、ディスプレイ214の表示画面を、携帯端末101内に保存されているPDF等のファイルの中からユーザが選択するファイルについての印刷を行わせる際の、UI画面に遷移させるためのボタンである。なお、画像形成装置が選択されていない場合、ユーザがボタン802、803をタップするタッチ操作を行っても、そのタッチ操作は無効とされる。
【0052】
図7に戻る。ステップS702において、携帯端末101のCPU201は、ボタン801がタップされたことに応じて、プリンタ探索を行う。プリンタ探索では、後述する通信によって、画像形成装置102~105が探索される。さらに、ディスプレイ214の表示画面が、
図8(b)の探索画面に遷移する。ただし、
図8(b)の探索画面は、後述するステップS715の処理が行われた時点での画面である。
図8(b)の探索画面では、各ボタン811、812、813、814において、プリンタ探索の結果(以下、「画像形成装置の探索結果」という)に加えて、携帯端末101から画像形成装置102~105までの各距離が表示される。
【0053】
そのような表示がなされると、携帯端末101のCPU201は、
図8(b)の探索画面の各ボタン811~814を介して、画像形成装置の探索結果の中から印刷指示対象とする画像形成装置をユーザが選択するタッチ操作を受け付ける。なお、各ボタン811~814の詳細な説明は、後述する。
図8(b)の探索画面において、更新ボタン815は、各ボタン811~814などに表示されている画像形成装置の探索結果などを更新表示させるためのボタンである。従って、
図8(b)の探索画面にて、更新ボタン815がタップされると、各ボタン811~814などにおいて、画像形成装置の探索結果などが更新表示される。その際、携帯端末101のCPU201は、後述する通信による探索で再取得した詳細情報や、後述するステップS710やステップS713で再取得した距離情報に基づき、各ボタン811~814などにおける画像形成装置の探索結果などを更新表示する。
【0054】
探索設定ボタン816は、ディスプレイ214の表示画面を、
図8(c)の探索設定画面に遷移させるためのボタンである。従って、携帯端末101のCPU201は、
図8(b)の探索画面において、探索設定ボタン816がタップされたことに応じて、ディスプレイ214の表示画面を、
図8(c)の探索設定画面に遷移させる。なお、
図8(b)の探索画面では、ボタン812、813において、マーク817が表示されているが、マーク817の詳細な説明についても、後述する。
【0055】
図8(c)の探索設定画面は、フィルタ設定ボタン821、822および表示設定ボタン823などを有する。フィルタ設定ボタン821、822は、プリンタ探索の対象を、UWB通信またはBLE通信が可能な画像形成装置であるかどうかで絞り込むためのトグルボタンである。ユーザは、フィルタ設定ボタン821、822をタップするタッチ操作を行うことにより、フィルタ設定ボタン821、822をスライドさせて、フィルタ設定ボタン821、822をONまたはOFFに切り替えることが可能である。
【0056】
フィルタ設定ボタン821がONである場合、プリンタ探索の対象にUWB通信が可能な画像形成装置が追加され、フィルタ設定ボタン821がOFFである場合、プリンタ探索の対象からUWB通信が可能な画像形成装置が除外される。フィルタ設定ボタン822がONである場合、プリンタ探索の対象にBLE通信が可能な画像形成装置が追加され、フィルタ設定ボタン822がOFFである場合、プリンタ探索の対象からBLE通信が可能な画像形成装置が除外される。なお、本実施形態において、フィルタ設定ボタン821、822は、いずれもONにされる。そのため、本実施形態では、UWB通信が可能な画像形成装置102、103と、BLE通信が可能な画像形成装置102~105が、プリンタ探索の対象である。つまり、画像形成装置102~105が、プリンタ探索の対象である。
【0057】
また、表示設定ボタン823は、
図8(b)の探索画面における画像形成装置の探索結果の表示順を、携帯端末101までの距離が近い順または遠い順に変更するためのトグルボタンである。ユーザは、表示設定ボタン823をタップするタッチ操作を行うことにより、表示設定ボタン823をスライドさせる。これにより、ユーザは、
図8(b)の探索画面における画像形成装置の探索結果の表示順を、携帯端末101までの距離が近い順または遠い順に変更することが可能である。なお、
図8(b)の探索画面における画像形成装置の探索結果の表示順は、デフォルトでは、携帯端末101から近い順に設定されている。また、
図8(c)の探索設定画面には、
図8(b)の探索画面における画像形成装置の探索結果の表示順を、画像形成装置の使用頻度を優先して変更する表示設定ボタン824などもある。
【0058】
ここからは、ステップS702で行われる通信の概要、つまり携帯端末101のCPU201が画像形成装置102~105を探索する際に行う通信の概要について説明する。携帯端末101のCPU201は、有線LAN103のネットワークや無線LAN305のネットワークに参加している画像形成装置102~105を探索するため、mDNSで探索要求をブロードキャストする。探索要求に応答する画像形成装置102~105のCPU311は、自身のIPアドレスを携帯端末101に送信する。携帯端末101のCPU201は、受信したIPアドレスを用いて、IPP/IPPSによって、画像形成装置102~105それぞれに対して詳細情報を要求し、さらに、画像形成装置102~105それぞれから詳細情報を取得する。なお、詳細情報には、例えば、デバイス名などを含む。このようにして、携帯端末101のCPU201は、ステップS702において、画像形成装置102~105それぞれの詳細情報を取得する。
【0059】
ただし、携帯端末101のCPU201は、ステップS702におけるmDNSの探索だけでは、携帯端末101から画像形成装置102~105までの各距離などを含んだ距離情報を取得することができない。この点、距離情報を取得する方法として、画像形成装置102~105から送信されるBLE通信のアドバタイズメントパケットを利用することが考えられる。つまり、携帯端末101のCPU201は、BLE通信のアドバタイズメントパケットの受信電波強度を基にして、画像形成装置102~105までの大まかな距離を、つまりBLE測距の結果を取得することができる。しかしながら、AirPrint Bluetooth Beaconのように、フォーマットがあらかじめ決まっているパケットなどは、デバイス名などの独自の情報を含めることができない。そのため、携帯端末101のCPU201は、BLE通信で用いられるパケットの利用だけでは、デバイス名などを含んだ詳細情報を取得できない可能性がある。
【0060】
そこで、BLEのみ対応の画像形成装置104、105については、mDNSの探索で取得した詳細情報に加えて、後述のステップS713でBLEのGATT通信の受信電波強度などを用いて算出された距離が、
図8(b)の探索画面に表示される。一方、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103については、mDNSの探索で取得した詳細情報に加えて、後述のステップS710で行われたUWB測距の結果が、
図8(b)の探索画面に表示される。これにより、ユーザは、探索された画像形成装置102~105について、携帯端末101までの距離を把握し、また、探索された画像形成装置102~105のうち、携帯端末101に相対的に近い装置を把握することもできる。
【0061】
図7に戻る。ステップS703において、携帯端末101のCPU201は、ステップS702のプリンタ探索で取得した詳細情報に含まれるデバイス名などを用いて、第1リストを作成する。第1リストは、上述したように、印刷アプリケーション402のリスト保存部409に保存されるものである。なお、第1リストの説明は、後述する。ステップS704において、携帯端末101のCPU201は、画像形成装置102~105から送信されたBLE通信のアドバタイズパケットを受信する。ステップS705において、携帯端末101のCPU201は、画像形成装置102~105とペアリングを行うことにより、画像形成装置102~105との間において、BLEによる無線通信を行うための認証接続を確立する。ただし、画像形成装置102~105のうち、携帯端末101との間でペアリングが既に行われた装置については、ペアリングは不要である。
【0062】
ステップS706において、携帯端末101のCPU201は、BLEによる無線通信で接続している画像形成装置102~105との間で、BLEのGATT通信を行うことにより、印刷アプリケーション402に必要な情報を交換する。その際、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103は、BLEのGATT通信によって、携帯端末101固有のUWBのTAG情報を受信する。さらに、BLEのGATT通信によって、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103のそれぞれは、UWB通信部321固有のUWBのTAG情報を携帯端末101に送信する。これにより、携帯端末101は、画像形成装置102、103それぞれ固有のUWBのTAG情報を受信する。
【0063】
UWBのTAG情報とは、UWB通信の相手を特定するための情報であって、IEEE802.15.4グループにて規定されている、PANID(Personal Area Network ID)とAddressを少なくとも含む情報である。なお、UWBのTAG情報は、BLE通信のアドバタイズパケットに付加されてもよい。また、携帯端末101のCPU201は、画像形成装置102~105のそれぞれについて、BLEのGATT通信の受信電波強度(以下、「BLEのRSSI」という場合がある)を取得する。
【0064】
さらに、携帯端末101のCPU201は、BLEのGATT通信によって、以下(1)~(4)に記載された各情報を、画像形成装置102~105それぞれから取得する。
(1) 印刷能力(カラー・モノクロ/両面・片面など)についての情報。
(2) UWB通信の可不可についての情報。
(3) BLE通信部320の送信電力PT(以下、「BLEの送信電力PT」という)についての情報。
(4) BLE通信部320の送信利得GT(以下、「BLEの送信利得GT」という)についての情報。
【0065】
なお、本実施形態では、携帯端末101のCPU201は、さらに、BLEのGATT通信によって、以下(5)~(6)に記載された各情報を、画像形成装置102~105それぞれから取得する。
(5) 機種番号
(6) 製造番号
【0066】
ステップS707において、携帯端末101のCPU201は、ステップS706で取得した各種の情報を、印刷アプリケーション402のリスト保存部409に保存されている第1リストに格納する。
図9は、携帯端末101の印刷アプリケーション402のリスト保存部409に保存されている第1リスト901と第2リスト902の一例を示す図である。
図9(a)の第1リスト901は、ステップS707において、BLEのGATT通信が行われた際に取得された各種の情報の格納が完了した後の第1リストである。
図9(a)の第1リスト901には、PAINID、印刷能力、BLEのRSSI、UWB対応、BLEの送信電力P
T、およびBLEの送信利得G
Tの各情報が格納されている。
【0067】
なお、第1リスト901の印刷能力において、「CL」は、カラー印刷とモノクロ印刷が可能であることを示し、「BW」は、モノクロ印刷のみが可能であることを示している。「両面」は、両面印刷と片面印刷が可能であることを示し、「片面」は、片面印刷のみが可能であることを示している。また、第1リスト901のUWB対応において、「〇」は、UWB通信が可能であることを示し、「×」は、UWB通信が不可能であることを示している。なお、第1リスト901のデバイス名には、ステップS703で第1リスト901が作成される際に、ステップS702のプリンタ探索で取得した詳細情報に含まれるデバイス名が格納されている。
【0068】
一方、
図9(b)の第1リスト901は、処理が後述のステップS712に進む時点での、つまりUWBによる無線通信を用いた測距の結果の格納が完了した後の第1リストである。また、
図9(c)の第1リスト901は、処理が後述のステップS714に進む時点での、つまり後述のステップS713で計算された距離の格納が完了した後の第1リストである。さらに、ステップS707では、携帯端末101のCPU201によって、
図9(d)の第2リスト902が作成される。第2リスト902は、第1リスト901と同様にして、印刷アプリケーション402のリスト保存部409に保存される。なお、第2リスト902には、後述のステップS712で求められた定数Nの値と環境変数nの値が格納される。
【0069】
図7に戻る。上述したステップS704~ステップS707の各処理は繰り返し実行され、第1リスト901において最後の格納が行われてから一定時間が経過したときに、処理はステップS708に進む。なお、一定時間が経過したかどうかの判定は、携帯端末101のCPU201に内蔵されている時計を用いて行われる。ステップS708において、携帯端末101のCPU201は、UWBのTAG情報に基づいて、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103に対して、測距要求パケットを送信する。測距要求パケットとは、IEEE802.15.4グループにて規定されている、TWRの測距を実施するために必要な形式のパケットである。従って、測距要求パケットは、少なくも、測距要求、要求元のアドレス情報、および要求先のアドレス情報を含むパケットであればよい。
【0070】
ステップS709において、画像形成装置102、103のCPU311は、測距要求パケットの受信の瞬間から予め定められた時間(Treply値)が過ぎたときに、携帯端末101に対して、測距応答パケットを送信する。ステップS710において、携帯端末101のCPU201は、測距応答パケットを受信することにより、TWRの測距の方法によるUWB測距を実施して、画像形成装置102、103までの各距離を求める。ステップS711において、携帯端末101のCPU201は、求めた画像形成装置102、103までの各距離を、UWB測距の結果として、第1リスト901に格納する。
【0071】
上述したステップS708~ステップS711の各処理は繰り返し実行され、第1リスト901においてUWB測距の結果の最後の格納が行われたときに、処理はステップS712に進む。
図9(b)の第1リスト901は、上述したように、処理がステップS712に進む時点での第1リストである。なお、
図9(b)の第1リスト901において、911は、携帯端末101から画像形成装置102までの距離を示すUWB測距の結果である。912は、携帯端末101から画像形成装置103までの距離を示すUWB測距の結果である。
【0072】
図7に戻る。ステップS712において、携帯端末101のCPU201(導出手段)は、BLEのみ対応の画像形成装置104、105までの各距離をBLE測距の精度よりも高い精度で計算することが可能な式の導出を行う(導出工程)。なお、以下の説明では、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置104、105までの各距離をBLE測距の精度よりも高い精度で計算することが可能な式を、「BLEのみ対応用の距離計算式」と表記する場合がある。ステップS713において、携帯端末101のCPU201(距離計算手段)は、ステップS712で導出した式を用いて、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置104、105までの各距離の計算を行う(距離計算工程)。つまり、携帯端末101のCPU201は、BLEのみ対応用の距離計算式を用いて、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置104、105までの各距離の計算を行う。
【0073】
ここで、ステップS712とステップS713で行われる式の導出と距離計算の概要、つまり携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置104、105までの各距離がBLE測距の精度よりも高い精度で計算されるまでの概要について説明する。
図10は、BLEのみ対応用の距離計算式についての導出過程を示す図である。
図10に示すように、本実施形態では、式1001で示すフリスの伝達式の基本形が変形されることによって、BLEのみ対応用の距離計算式が導出される。これにより、本実施形態では、一般的に知られている公式から、BLEのみ対応用の距離計算式が導出される。1002は、式1001で使用されているP
R、P
T、G
T、G
R、n、D、λの定義である。よって、P
Rは受信電力であり、P
Tは送信電力であり、G
Tは送信利得であり、G
Rは受信利得であり、nは環境変数であり、Dは距離であり、λは波長である。
【0074】
なお、送信電力PTの値と送信利得GTの値は、画像形成装置102~105のBLE通信部320やUWB通信部321の設計時に定めることが可能なものである。そこで、携帯端末101のCPU201は、ステップS706において、上述したBLEの送信電力PTやBLEの送信利得GTに加えて、UWB通信部321の送信電力PTと送信利得GTを、各画像形成装置102~105から取得してもよい。
【0075】
また、環境変数nの値は、電波が空間をどのように伝わっていくかを示す値である。1003によれば、理想空間では環境変数n=2であり、現実空間のうち、電波が反射しながら伝搬する空間では環境変数n<2であり、電波が吸収され減衰しながら伝搬する空間では環境変数n>2である。また、波長λの値は、無線通信で利用される周波数の逆数と電波の伝搬速度(光速)が掛け合わされることによって求められる。なお、BLE通信については、周波数2.4GHzが一般的に利用されていることから、波長λ≒0.12[m]である。
【0076】
式1001については、単位が[mW]の受信電力PRを表す式であるが、単位を[mW]から[dbm]に変換するような変形が行われると、受信電波強度(以下、「RSSI」という)を表す式1004になる。そのためには、常用対数をとった式1001の両辺に「10」をかける。このようにして、式1001の変形が行われると、式1001は式1004になる。ここで、式1004のうち、10lоg10GT+10lоg10GR+10lоg10PT+10nlоg10λを、式1005で示すように、定数Nとする。なお、定数Nのうち、10lоg10GRには、携帯端末101の受信利得GRが含まれている。
【0077】
そして、式1005の定数Nが式1004に代入されると、式1004は式1006になる。式1006は、RSSIを、定数Nと環境変数nと距離Dとから求める式である。式1006を常用対数の真数で表す式に変形し、さらに、その変形した式を「4π」で割ると、式1006は、単位が[m]の距離Dを表す式1007となる。式1007は、距離Dを、定数NとRSSIと環境変数nとから求める式である。この点、距離Dについては、BLE測距は、誤差が最大で数メートルもある大まかな値しか取得できないが、UWB測距は、誤差がセンチメートル単位の値を取得できる。
【0078】
そこで、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103のそれぞれについて、BLEのRSSIの値と、UWB測距の結果である距離Dの値を式1006に代入することによって、2つの方程式からなる連立方程式を作成する。なお、BLEのRSSIの値と、UWB測距の結果である距離Dの値は、
図9(b)の第1リスト901に格納されているものが使用される。このようにして作成された連立方程式を解くことにより、定数Nの値と環境変数nの値が求められる。定数Nの値と環境変数nの値は、
図9(c)の第2リスト902に格納される。なお、上述したようにして求められた環境変数nの値は、携帯端末101とBLE・UWB対応の画像形成装置102、103とが存在する空間、つまりデータ処理システム100における空間で電波がどうように伝わっていくかを示している。
【0079】
そして、定数Nの値と環境変数nの値が式1007に代入されると、式1007は、RSSIの値さえ分かれば、単位が[m]の距離Dを計算できる式となる。従って、BLEのみ対応の画像形成装置104のBLEのRSSIの値さえ分かれば、定数Nの値と環境変数nの値が代入された式1007によって、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置104までの距離の計算が可能である。この点は、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置105までの距離の計算についても、同様である。
【0080】
図11は、BLEのみ対応用の距離計算式についての導出過程と距離の計算結果を示す図である。以下では、
図11を参照して、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置104、105までの各距離が計算されるまでの具体的な過程について説明する。先ず、定数Nの値と環境変数nの値が求められる。そのためには、BLE・UWB対応の画像形成装置102について、そのBLEのRSSIの値と、UWB測距の結果である距離Dの値とが、
図9(b)の第1リスト901から読み出され、
図10の式1006に代入される。これにより、
図11に示すように、BLE・UWB対応の画像形成装置102についての式1101が導出される。
【0081】
同様にして、BLE・UWB対応の画像形成装置103について、そのBLEのRSSIの値と、UWB測距の結果である距離Dの値とが、
図9(b)の第1リスト901から読み出され、
図10の式1006に代入される。これにより、
図11に示すように、BLE・UWB対応の画像形成装置103についての式1102が導出される。このようにして導出された式1101と式1102から、定数Nの値と環境変数nの値が求められる。
図11において、1103の「-50.0」は、求められた定数Nの値を示す。また、1104の「1.8」は、求められた環境変数nの値を示す。
【0082】
次に、定数Nの値である「-50.0」と環境変数nの値である「1.8」が、
図10の式1007に代入される。これにより、
図11に示す式1105が導出される。式1105は、第1実施形態におけるBLEのみ対応用の距離計算式である。式1105によって、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置104、105までの各距離は、画像形成装置104、105それぞれのBLEのRSSIの値のみで精度よく計算される。
【0083】
例えば、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置105までの距離が計算される場合、画像形成装置105のBLEのRSSIの値が、
図9(b)の第1リスト901から読み出され、式1105に代入される。これにより、式1105は式1106となる。1107の「2.5[m]」は、式1106で計算された値であり、つまり携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置105までの距離Dの値である。なお、図示はしないが、同様にして、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置104までの距離を求めることができる。この場合、画像形成装置104のBLEのRSSIの値が、
図9(b)の第1リスト901から読み出され、式1105に代入される。その結果、式1105によって、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置104までの距離Dの値として、「4.2[m]」が計算される。
【0084】
以下では、ステップS712とステップS713における動作フローを詳細に説明する。
図12(a)は、ステップS712における動作を示すフローチャートである。
図12(b)は、ステップS713における動作を示すフローチャートである。先ず、ステップS712における動作フローを詳細に説明する。
図12(a)に示すように、ステップS1201において、携帯端末101のCPU201は、RAM203に確保した第1リスト901を参照する。ステップS1202において、携帯端末101のCPU201は、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、UWB通信が可能かつ未だ後述のステップS1205の代入が終わっていない装置を、処理対象とする。これにより、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103の中から、未だ後述のステップS1205の代入が終わっていない装置の1つが、処理対象とされる。
【0085】
ステップS1203において、携帯端末101のCPU201は、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、処理対象の装置のBLEのRSSIの値を第1リスト901から読み出す。ステップS1204において、携帯端末101のCPU201は、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、処理対象の装置のUWB測距の結果を第1リスト901から読み出す。ステップS1205において、携帯端末101のCPU201は、ステップS1203で読み出したBLEのRSSIの値と、ステップS1204で読み出したUWB測距の結果を式1006に代入する。ステップS1206において、携帯端末101のCPU201は、ステップS1205による代入で得られた式をRAM203に記憶する。
【0086】
ステップS1207において、携帯端末101のCPU201は、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、UWB通信が可能な装置の全てについて、ステップS1205の処理を行ったかどうかを判定する。携帯端末101のCPU201が、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、UWB通信が可能な装置の全てについて、ステップS1205の処理を行っていないと判定する場合、処理はステップS1201に戻る。これにより、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、UWB通信が可能かつ未だステップS1205の代入が終わっていない装置について、ステップS1201~ステップS1206の各処理が実行される。一方、携帯端末101のCPU201が、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、UWB通信が可能な装置の全てについて、ステップS1205の処理を行ったと判定する場合、処理はステップS1208に進む。
【0087】
ステップS1208において、携帯端末101のCPU201は、ステップS1206でRAM203に記憶した式から構成される連立方程式を解くことによって、定数Nの値および環境変数nの値を計算する。なお、BLE・UWB対応の画像形成装置が3台以上ある場合、つまりステップS1206でRAM203に記憶した式が3つ以上ある場合、当該3つ以上の式から、連立方程式を構成する2つの式が選ばれてもよい。これにより、定数Nおよび環境変数nの2つの値が確実に求められる。例えば、この場合、当該3台以上のLE・UWB対応の画像形成装置のうち、UWB測距の結果が1番目と2番目に短い2台のBLE・UWB対応の画像形成装置についての2つの式で、連立方程式を構成する。つまり、携帯端末101までの距離が1番目と2番目に短い2台のBLE・UWB対応の画像形成装置についての2つの式で、連立方程式を構成する。なお、BLEのRSSIの値が1番目と2番目に大きい2台のBLE・UWB対応の画像形成装置についての2つの式で、連立方程式を構成してもよい。
【0088】
ステップS1209において、携帯端末101のCPU201は、ステップS1208で計算した定数Nの値および環境変数nの値を、RAM203に確保した第2リスト902に格納する。なお、第2リスト902において、931は、ステップS1208で計算された定数Nの値である。932は、ステップS1208で計算された環境変数nの値である。さらに、携帯端末101のCPU201は、ステップS1208で計算した定数Nの値および環境変数nの値を式1007に代入することで導出した式1105を、つまりBLEのみ対応用の算出式をRAM203に記憶する。その後、処理は、ステップS713に進む。
【0089】
次に、ステップS713における動作フローを詳細に説明する。
図12(b)に示すように、ステップS1251において、携帯端末101のCPU201は、RAM203に確保した第1リスト901を参照する。ステップS1252において、携帯端末101のCPU201は、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、BLEのみ対応かつ未だ後述のステップS1254の処理が終わっていない装置を、処理対象とする。これにより、BLEのみ対応の画像形成装置104、105の中から、未だ後述のステップS1254の処理が終わっていない装置の1つが、処理対象とされる。
【0090】
ステップS1253において、携帯端末101のCPU201は、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、処理対象の装置のBLEのRSSIの値を第1リスト901から読み出す。ステップS1254において、携帯端末101のCPU201は、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、処理対象の装置について、距離の計算処理を行う。その距離の計算処理において、携帯端末101のCPU201は、ステップS1253で読み出したBLEのRSSIの値を、ステップS1209でRAM203に記憶した式1105、つまりBLEのみ対応用の算出式に代入する。
【0091】
なお、携帯端末101のCPU201は、その距離の計算処理において、ステップS1209で第2リスト902に格納した定数Nの値および環境変数nの値と、ステップS1253で読み出したBLEのRSSIの値を、式1007に代入してもよい。このようにして、携帯端末101のCPU201は、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、処理対象の装置の距離Dの値を計算する。なお、処理対象の装置の距離Dの値とは、携帯端末101から処理対象の装置までの距離の値である。ステップS1255において、携帯端末101のCPU201は、ステップS1254で計算した距離Dの値を、BLEのみ対応の装置の計算距離として、RAM203に確保した第1リスト901に格納する。
【0092】
ステップS1256において、携帯端末101のCPU201は、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、BLEのみ対応の装置の全てについて、ステップS1254の処理を行ったかどうかを判定する。携帯端末101のCPU201が、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、BLEのみ対応の装置の全てについて、ステップS1254の処理を行っていないと判定する場合、処理はステップS1251に戻る。これにより、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、BLEのみ対応かつ未だステップS1254の処理が終わっていない装置について、ステップS1251~ステップS1255の各処理が実行される。一方、携帯端末101のCPU201が、第1リスト901にデバイス名が格納された画像形成装置102~105のうち、BLEのみ対応の装置の全てについて、ステップS1254の処理を行ったと判定する場合、処理はステップS714に進む。
【0093】
図9(c)の第1リスト901は、上述したように、処理がステップS714に進む時点での第1リストである。なお、
図9(c)の第1リスト901において、921は、携帯端末101から画像形成装置104までの距離を示す、BLEのみ対応の装置の計算距離である。922は、携帯端末101から画像形成装置105までの距離を示す、BLEのみ対応の装置の計算距離である。
【0094】
図7に戻る。ステップS714において、携帯端末101のCPU201は、ディスプレイ214における探索画面の表示内容を、
図9(c)の第1リスト901の内容が反映されたものにする。これにより、携帯端末101のディスプレイ214の表示画面は、上述した
図8(b)の探索画面となる。よって、携帯端末101のディスプレイ214には、画像形成装置の探索結果が、携帯端末101から近い順で表示される。さらに、携帯端末101のディスプレイ214には、画像形成装置の探索結果において、携帯端末101から画像形成装置102~105までの各距離があわせて表示される。
【0095】
図8(b)の探索画面において、ボタン811~814は、画像形成装置の探索結果の一覧を構成する。ボタン811には、探索された画像形成装置103についての、アイコンや、対応可能な無線通信のロゴや文字、印刷能力を示す文字、機種番号、携帯端末101までの距離を示す値などの各情報(以下、「装置情報」という)が表示される。同様にして、ボタン812には、探索された画像形成装置105についての、ボタン813には、探索された画像形成装置104についての、ボタン814には、探索された画像形成装置102についての、装置情報が表示される。
【0096】
なお、画像形成装置102、103についての、アイコンや、対応可能な無線通信のロゴや文字、印刷能力を示す文字、機種番号は、「第1の画像形成装置に関する情報」に相当する。また、画像形成装置102、103についての、携帯端末101までの距離は、UWB測距の結果であって、「第2の無線通信による測距の結果」に相当する。これに対して、画像形成装置104、105についての、アイコンや、対応可能な無線通信のロゴや文字、印刷能力を示す文字、機種番号は、「第2の画像形成装置に関する情報」に相当する。また、画像形成装置104、105についての、携帯端末101までの距離は、BLEのみ対応用の距離計算式である式1105で計算された距離であって、「距離計算手段で計算された第2の画像形成装置までの距離」に相当する。
【0097】
なお、ボタン812、813に表示されているマーク817は、携帯端末101までの距離を示す値が、BLEのみ対応用の距離計算式である式1105によって計算された値であることを示している。これにより、ユーザは、マーク817の有無によって、携帯端末101までの距離を示す値が、UWB測距の結果であるか、それとも、BLEのみ対応用の距離計算式である式1105によって計算された値であるかを区別することができる。
【0098】
図7に戻る。ステップS715において、携帯端末101のCPU201は、
図8(b)の探索画面のボタン811~814を介して、画像形成装置の探索結果の中から印刷指示対象とする画像形成装置をユーザが選択するタッチ操作を受け付ける。従って、ユーザは、ボタン811をタップすると、ボタン811にアイコンが表示されている画像形成装置103を、ボタン812をタップすると、ボタン812にアイコンが表示されている画像形成装置105を、印刷指示対象として選択することができる。同様に、ユーザは、ボタン813をタップすると、ボタン813にアイコンが表示されている画像形成装置104を、ボタン814をタップすると、ボタン814にアイコンが表示されている画像形成装置102を、印刷指示対象として選択することができる。
【0099】
このようにして、印刷指示対象とする画像形成装置をユーザが選択すると、携帯端末101のCPU201は、ディスプレイ214の表示画面を、
図8(d)の選択画面に遷移させる。なお、
図8(d)の選択画面は、
図8(b)の探索画面でボタン811がタップされたことによって、印刷指示対象として、画像形成装置103が選択された場合の画面である。従って、以下では、印刷指示対象として、画像形成装置103が選択された場合について説明する。
図8(d)の選択画面は、ボタン831や、上述したボタン802、803などを有する。ボタン831には、ユーザが印刷指示対象として選択した画像形成装置の装置情報が、
図8(b)の探索画面の各ボタン811~814と同様にして表示される。従って、本実施形態では、
図8(d)の選択画面では、ボタン831において、
図8(b)の探索画面のボタン811と同一の装置情報が表示される。なお、ボタン831には、ユーザが印刷指示対象として選択した画像形成装置の、製造番号やIPアドレスなどの各情報が表示されてもよい。
【0100】
図7に戻る。ステップS716において、携帯端末101のCPU201は、
図8(d)の選択画面のボタン802、803を介して、印刷内容とする写真またはファイルをユーザが選択するタッチ操作を受け付ける。そして、ユーザのタッチ操作で印刷内容が選択されると、処理はステップS717に進む。ステップS717において、携帯端末101のCPU201は、ディスプレイ214の表示画面を、
図8(e)の印刷画面に遷移させる。
【0101】
図8(e)の印刷画面は、表示領域841や、ボタン842、843、844などを有する。表示領域841には、ユーザによって選択された印刷内容が表示される。これにより、ユーザは、印刷内容を印刷前に確認することができる。また、ユーザは、表示領域841をタップすると、印刷内容とする写真またはファイルを再び選択することができる。ボタン842には、ユーザが印刷指示対象として選択した画像形成装置の装置情報が表示される。これにより、ユーザは、印刷指示対象の画像形成装置の詳細を印刷前に確認することができる。また、ボタン842がタップされると、ディスプレイ214の表示画面は、
図8(b)の探索画面に遷移する。これにより、ユーザは、印刷指示対象とする画像形成装置を再び選択することができる。なお、ボタン842には、
図8(d)の選択画面のボタン831と同一の装置情報が、つまり画像形成装置103の装置情報が表示されている。
【0102】
ボタン843は、ディスプレイ214の表示画面を、
図8(f)の印刷設定画面に遷移させるためのボタンである。従って、携帯端末101のCPU201は、
図8(e)の印刷画面において、ボタン843がタップされたことに応じて、ディスプレイ214の表示画面を、
図8(f)の印刷設定画面に遷移させる。なお、
図8(f)の印刷設定画面において、ユーザは、印刷の目的に合わせて、用紙サイズ、カラーモード、給紙トレイ、部数、および印刷面などの詳細な印刷設定を行うことができる。
図8(e)の印刷画面において、ボタン844は、印刷を開始させるためのボタンである。携帯端末101のCPU201は、ボタン844を介して、ユーザが印刷を指示するタッチ操作を受け付ける。
【0103】
図7に戻る。ユーザが印刷を指示するタッチ操作を行うと、処理はステップS718に進む。ステップS718において、携帯端末101のCPU201は、
図8(e)の印刷画面において、ボタン844がタップされたことに応じて、印刷指示対象の画像形成装置に印刷ジョブなどを送信する。なお、本実施形態では、印刷指示対象として選択された画像形成装置103に対して、印刷ジョブなどが送信される。ステップS719において、画像形成装置103のCPU311は、受信した印刷ジョブなどに基づいて印刷を行う。その後、
図7の動作プロセスは終了する。
【0104】
以上、
図7の動作プロセスがデータ処理システム100で行われると、携帯端末101が、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103との間におけるUWB測距の結果などを用いて、BLEのみ対応の画像形成装置104までの距離の計算を行う。これにより、データ処理システム100では、画像形成装置104がBLEのみ対応のため無線通信を用いた測距を本来正確にできないものでも、携帯端末101から画像形成装置104までの距離の計算が、BLE測距の精度よりも高い精度で行われる。この点は、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置105までの距離の計算についても、同様である。このようにして、データ処理システム100は、無線通信を用いた測距の精度を向上させることができる。
【0105】
さらに、データ処理システム100は、携帯端末101から画像形成装置102~105までの各距離を、BLE測距の精度よりも高い精度の値で携帯端末101に表示させることができる。そのため、携帯端末101を所持するユーザは、画像形成装置102~105までの各距離をBLE測距の精度よりも高い精度の値で把握した上で、携帯端末101の印刷ジョブに基づく印刷を行わせる装置を画像形成装置102~105の中から選択できる。
【0106】
なお、
図6とは異なり、ユーザが所持する携帯端末101の周辺において、BLE・UWB対応の画像形成装置が1台しか存在しない場合は、環境変数nの値が理想空間における値である「2」と仮定される。そして、当該1台のBLE・UWB対応の画像形成装置についての、BLEのRSSIの値と、UWB測距の結果である距離Dの値とに加えて、環境変数nの値である「2」が式1006に代入される。これにより、定数Nの値が算出される。さらに、このようにして算出された定数Nの値と、環境変数nの値である「2」とが式1007に代入されることで、BLEのみ対応用の距離計算式が算出される。従って、このような場合でも、データ処理システム100では、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置までの距離の計算が、BLE測距の精度よりも高い精度で行われる。
【0107】
また、第1実施形態では、BLEのRSSIの値として、BLEのGATT通信の受信電波強度が式1006に代入されるが、GATT通信の受信電波強度に代えて、アドバタイズメントパケットの受信電波強度が式1006に代入されてもよい。この点は、後述する第2、第3実施形態においても、同様である。
【0108】
<第2実施形態>
以下、
図13~
図14を参照して、第2実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態との差異を中心に説明する。
図13は、第2実施形態に係るデータ処理システム1300において、携帯端末101と各画像形成装置102~105、1301の大まかな位置関係を示す模式図である。
図13に示すように、第2実施形態に係るデータ処理システム1300では、ユーザが所持する携帯端末101の周辺において、上述した画像形成装置102~105に加えて、BLE・UWB対応の画像形成装置1301が存在する。画像形成装置1301は、画像形成装置103と同様な装置であるが、携帯端末101が受信したBLE通信のアドバタイズパケットを発信する端末・装置のうち、極端に遠い位置に存在する装置である。
【0109】
ところで、無線通信を用いた測距の精度は、送信デバイスと受信デバイスが離れるほど、つまり測定距離が長くなるほど、低下することが一般的に知られている。また、受信電波強度の値も、送信デバイスと受信デバイスが離れるほど、より不確実な値になることが一般的に知られている。従って、携帯端末101から極端に遠い位置に存在する装置・端末のUWB測距の結果やBLEのRSSIの値は、信頼性が低く、BLEのみ対応用の距離計算式を導出する過程で用いられると、ステップS713での距離の計算上のノイズになりやすい。そこで、第2実施形態では、UWB測距の結果が閾値以上のBLE・UWB対応の画像形成装置については、
図9(b)の第1リスト901から削除される。
【0110】
図14は、BLE・UWB対応の携帯端末101が、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103、1301との間や、BLEのみ対応の画像形成装置104、105との間で行うモバイルプリントの動作プロセスを示すシーケンス図である。
図14のシーケンス図には、
図7のシーケンス図と同様、印刷ジョブを受信した画像形成装置103の印刷動作が完了するまで、携帯端末101と各画像形成装置102~105、1301との間で相互の通信により協調連動する動作プロセスが示されている。従って、その動作プロセスでは、携帯端末101を操作するユーザが、印刷アプリケーション402を携帯端末101で起動後に、画像形成装置103を探索、選択すると、画像形成装置103に印刷ジョブが送信される。
【0111】
また、
図14の動作プロセスは、基本的には、
図7の動作プロセスと同様である。ただし、
図14の動作プロセスでは、
図7の動作プロセスに対して、ステップS711とステップS712の間にステップS1401とステップS1402が追加されている。
【0112】
ステップS1401において、携帯端末101のCPU201は、
図9(b)の第1リスト901を参照し、UWB測距の結果が閾値以上であるBLE・UWB対応の画像形成装置を特定する。閾値は、ステップS713における距離の計算上のノイズを抑制する観点から予め定められ、印刷アプリケーション402とともにROM202にインストールされている。これにより、携帯端末101のCPU201は、BLE・UWB対応の画像形成装置1301を特定する。
【0113】
ステップS1402において、携帯端末101のCPU201は、ステップS1401で特定したBLE・UWB対応の画像形成装置を
図9(b)の第1リスト901から削除する。これにより、携帯端末101のCPU201は、BLE・UWB対応の画像形成装置1301を
図9(b)の第1リスト901から削除する。このようして、第2実施形態では、UWB測距の結果が閾値以上であるBLE・UWB対応の画像形成装置が除外される
図9(b)の第1リスト901に基づいて、ステップS712における式の導出とステップS713における距離計算が行われる。
【0114】
以上、
図14の動作プロセスがデータ処理システム1300で行われると、信頼性が低いUWB測距の結果やBLEのRSSIの値が式1006に代入された式を含む連立方程式から、定数Nの値と環境変数nの値が求められることを防ぐことができる。これにより、データ処理システム1300は、無線通信を用いた測距の精度をより向上させることができる。
【0115】
なお、第2実施形態では、UWB測距の結果が閾値以上であるBLE・UWB対応の画像形成装置に代えて、BLEのRSSIの値が他の閾値以下であるBLE・UWB対応の画像形成装置が、
図9(b)の第1リスト901から削除されてもよい。この場合も、他の閾値は、ステップS713における距離の計算上のノイズを抑制する観点から予め定められ、印刷アプリケーション402とともにROM202にインストールされる。また、
図9(b)の第1リスト901から削除された画像形成装置は、その削除後のステップS702で再び探索されても、例えば、ステップS703またはステップS707において、
図9(a)の第1リスト901から削除されるようにしてもよい。
【0116】
<第3実施形態>
以下、
図15~
図17を参照して、第3実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態との差異を中心に説明する。
図15は、第3実施形態におけるデータ処理システム1500において、携帯端末101とBELのみ対応の画像形成装置1501の大まかな位置関係を示す模式図である。
図15に示すように、第3実施形態に係るデータ処理システム1500では、ユーザが所持する携帯端末101の周辺において、BELのみ対応の画像形成装置1501(第3の画像形成装置)しか存在しない。なお、画像形成装置1501は、画像形成装置103と同様な装置である。この場合、第1実施形態とは異なり、BLEのRSSIの値およびUWB測距の結果を得ていたBLE・UWB対応の画像形成装置が存在しないので、式1006から導出される連立方程式を解いて、定数Nの値と環境変数nの値を求めることは不可能である。そこで、第3実施形態では、以下の考え方に基づいて、携帯端末101固有のNの値が求められ、さらに、携帯端末101固有の定数Nの値と、理想空間における環境変数n=2が式1007に代入されることで、BLEのみ対応用の距離算出式が導出される。
【0117】
定数Nには、式1005に示すように、送信利得GT、受信利得GR、送信電力PT、環境変数n、および波長λが含まれている。この点、送信利得GTおよび送信電力PTの各値は、画像形成装置のBLE通信部の性能によるため、画像形成装置の設計時にバラツキも含めて設定することが可能である。一方、受信利得GRの値は、携帯端末のアンテナ性能を示すものであるため、ユーザが所持する携帯端末毎によって異なるものである。また、波長λの値は、上述したように、無線通信で利用される周波数の逆数と電波の伝搬速度(光速)が掛け合わされることによって求められる。BLE通信については、周波数2.4GHzが一般的に利用されていることから、波長λ≒0.12[m]である。また、環境変数nの値は、理想空間における「2」と仮定する。
【0118】
よって、送信利得GTおよび送信電力PTの各値が画像形成装置の設計時にメーカによって製品を跨いで統一されていれば、定数Nの値は、携帯端末の受信時におけるアンテナ性能を示す受信利得GRの値によって異なるものになる。そのため、定数Nの値は、ユーザが所持する携帯端末のアンテナの受信能力を示すものと把握することができる。そこで、第3実施形態では、以上の考え方に基づいて、携帯端末101固有の定数Nの値が求められる。
【0119】
図16は、第3実施形態において、携帯端末101固有の定数Nの値を求めるための式1601を示す図である。式1601は、式1006の左辺が定数Nのみとなるような変形を式1006に対して行うことによって導出される。第3実施形態では、先ず、携帯端末101を所持するユーザが、第1実施形態に係るデータ処理システム100下のように、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103が存在する環境において、印刷アプリケーション402を起動させる。これにより、携帯端末101は、第1リスト901を
図9(c)に示すように1度完成させる。その後、携帯端末101は、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103のうち、UWB測距の結果が短い画像形成装置103について、BLEのRSSIの値およびUWB測距の結果を第1リスト901から読み出す。さらに、携帯端末101は、読み出した画像形成装置103のBLEのRSSIの値およびUWB測距の結果と、環境変数n=2とを、式1601に代入する。このようにして、携帯端末101固有の定数Nの値が、つまりユーザが所持する携帯端末101のアンテナの受信能力を示す定数Nの値が求められる。
【0120】
そして、携帯端末101固有の定数Nの値は、携帯端末101のRAM203や記憶装置209に記憶される。従って、その後、携帯端末101が、第3実施形態に係るデータ処理システム1500下のように、携帯端末101の周辺にBELのみ対応の画像形成装置1501しか存在しない環境に移動しても、携帯端末101固有の定数Nの値を使用することができる。この場合、携帯端末101は、携帯端末101固有のNの値と、理想空間における環境変数n=2とを式1007に代入することで、BLEのみ対応用の距離算出式を導出する。さらに、携帯端末101は、導出したBLEのみ対応用の距離算出式に対して、画像形成装置1501のBLEのRSSIの値を代入することで、携帯端末101から画像形成装置1501までの距離を計算する。このようにして、携帯端末101は、その周辺にBELのみ対応の画像形成装置1501しか存在しない環境であっても、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置1501までの距離をBLE測距の精度よりも高い精度で計算することができる。
【0121】
図17は、BLE・UWB対応の携帯端末101が、BLEのみ対応の画像形成装置1501との間で行うモバイルプリントの動作プロセスを示すシーケンス図である。
図17のシーケンス図には、印刷ジョブを受信した画像形成装置1501の印刷動作が完了するまで、携帯端末101と画像形成装置1501との間で相互の通信により協調連動する動作プロセスが示されている。従って、その動作プロセスでは、携帯端末101を操作するユーザが、印刷アプリケーション402を携帯端末101で起動後に、画像形成装置1501を探索、選択すると、画像形成装置1501に印刷ジョブが送信される。ただし、第3実施形態では、第1実施形態における
図7の動作プロセスが行われた後で、携帯端末101がデータ処理システム100からデータ処理システム1500に移動した後、
図17の動作プロセスが行われるケースを説明する。従って、携帯端末101のRAM203には、第1実施形態における
図9(c)の第1リスト901が記憶されている。
【0122】
ステップS1701~ステップS1707は、第1実施形態のステップS701~ステップS707と同様のため、それらの説明は省略する。なお、ステップS1703では、第1実施形態における
図9(c)の第1リスト901とは別の第1リストが作成される。また、データ処理システム1500とは異なり、画像形成装置1501以外にもBELのみ対応の画像形成装置が携帯端末101の周辺に存在する場合、BELのみ対応の画像形成装置それぞれに対して、ステップS1704~ステップS1706が行われる。ステップS1708において、携帯端末101のCPU201は、ステップS1703で作成された第1リストであって、ステップ1707が行われた後の第1リストを参照する。これにより、携帯端末101の周辺にBLE・UWB対応の画像形成装置が不在であることが確認されると、処理はステップS1709に進む。なお、携帯端末101の周辺にBLE・UWB対応の画像形成装置が存在することが確認された場合は、図示されていないが、
図17の動作プロセスは終了する。
【0123】
ステップS1709において、携帯端末101のCPU201(定数計算手段)は、携帯端末101固有の定数Nの値についての定数計算を行う。そのために、携帯端末101のCPU201は、第1実施形態での
図9(c)の第1リスト901から、BLE・UWB対応の画像形成装置のうち、UWB測距の結果が短い画像形成装置について、BLEのRSSIの値およびUWB測距の結果を読み出す。具体的には、第1実施形態における
図9(c)の第1リスト901において、BLE・UWB対応の画像形成装置102、103のうち、UWB測距の結果が短い画像形成装置103について、BLEのRSSIの値およびUWB測距の結果が読み出される。さらに、携帯端末101のCPU201は、読み出したBLEのRSSIの値およびUWB測距の結果と、環境変数n=2とを、式1601に代入することによって、携帯端末101固有の定数Nの値についての定数計算を行う。
【0124】
なお、携帯端末101固有の定数Nの値は、式1005から計算されてもよい。この場合、UWB測距の結果が短い画像形成装置103の送信利得GTおよび送信電力PTの各値、携帯端末101の受信利得GRの値、環境変数n=2、波長λ=0.12が、式1005に代入されることで、携帯端末101固有の定数Nの値が計算される。
【0125】
ステップS1710において、携帯端末101のCPU201は、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置1501までの距離の計算を行う。そのために、携帯端末101のCPU201は、ステップS1709で計算した携帯端末101固有のNの値と、理想空間における環境変数n=2とを式1007に代入することによって、BLEのみ対応用の距離算出式を導出する。さらに、携帯端末101のCPU201は、導出したBLEのみ対応用の距離算出式に対して、画像形成装置1501のBLEのRSSIの値を代入することによって、携帯端末101から画像形成装置1501までの距離を計算する。
【0126】
ステップS1711にて、携帯端末101のCPU2021は、ステップS1710で計算した距離を、ステップ1703で作成した第1リストに格納する。なお、データ処理システム1500とは異なり、画像形成装置1501以外にもBELのみ対応の画像形成装置が携帯端末101の周辺に存在する場合、BELのみ対応の画像形成装置それぞれに対して、ステップS1710~ステップS1711が行われる。ステップS1712~ステップS1717は、第1実施形態のステップS714~ステップS719と同様のため、それらの説明は省略する。その後、
図17の動作プロセスは終了する。
【0127】
以上より、第3実施形態では、ユーザに所持された携帯端末101が、印刷アプリケーション402が普段行われているデータ処理システム100からデータ処理システム1500に移動してきた場合、
図17の動作プロセスが行われる。これにより、データ処理システム1500は、携帯端末101の他にBLEのみ対応の画像形成装置1501しか存在しないものでも、携帯端末101からBLEのみ対応の画像形成装置1501までの距離をBLE測距の精度よりも高い精度で計算できる。
【0128】
<その他>
各実施形態の開示は、以下の構成、方法およびプログラムを含む。
(構成1) 第1の画像形成装置、第2の画像形成装置、および携帯端末を有するデータ処理システムであって、
前記第1の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、第1の無線通信と、前記第1の無線通信よりも高い精度で測距を行う第2の無線通信とが可能なものであり、
前記第2の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、前記第1の無線通信が可能な一方で、前記第2の無線通信が不可能なものであり、
前記携帯端末は、
前記第1の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度および前記第2の無線通信による測距の結果を用いて、前記第2の画像形成装置までの距離を計算するための距離計算式を導出する導出手段と、
前記第2の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度を前記距離計算式に代入することによって、前記第2の画像形成装置までの距離を計算する距離計算手段と、を備えることを特徴とするデータ処理システム。
(構成2) 前記携帯端末は、
前記第2の無線通信による測距の結果である前記第1の画像形成装置までの距離を前記第1の画像形成装置に関する情報とともに表示し、前記距離計算手段で計算された前記第2の画像形成装置までの距離を前記第2の画像形成装置に関する情報とともに表示する表示手段と、
前記表示手段によって距離が表示された前記第1の画像形成装置および前記第2の画像形成装置の中から前記携帯端末の印刷ジョブに基づく印刷を行わせる画像形成装置をユーザが選択することが可能な選択手段と、を備えることを特徴とする構成1に記載のデータ処理システム。
(構成3) 前記携帯端末において、
前記表示手段は、前記距離計算手段で計算された前記第2の画像形成装置までの距離を、前記距離計算手段で計算されたものであることを示すマークとともに表示することを特徴とする構成2に記載のデータ処理システム。
(構成4) 前記携帯端末は、
前記表示手段によって表示される距離の表示順をユーザが変更することが可能な変更手段を備えることを特徴とする構成2又は3に記載のデータ処理システム。
(構成5) 前記携帯端末において、
前記導出手段は、前記第2の無線通信による測距の結果が閾値以上の前記第1の画像形成装置を除外して、前記距離計算式を導出することを特徴とする構成1乃至4のいずれか一つに記載のデータ処理システム。
(構成6) 前記携帯端末において、
前記導出手段は、前記距離計算式をフリスの伝達式に基づいて導出することを特徴とする構成1乃至5のいずれか一つに記載のデータ処理システム。
(構成7) 前記携帯端末において、
前記導出手段は、前記第1の画像形成装置が1台である場合、フリスの伝達式の環境変数の値を「2」と仮定して、前記距離計算式を導出することを特徴とする構成6に記載のデータ処理システム。
(構成8) 前記携帯端末において、
前記導出手段は、前記第1の画像形成装置が3台以上ある場合、前記第2の無線通信による測距の結果が1番目と2番目に短い2台の前記第1の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度および前記第2の無線通信による測距の結果を用いて、前記距離計算式を導出することを特徴とする構成6に記載のデータ処理システム。
(構成9) 前記携帯端末は、
前記第2の無線通信による測距の結果が最も短い前記第1の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度および前記第2の無線通信による測距の結果と、フリスの伝達式の環境変数の値として仮定された「2」とを用いて、前記携帯端末の固有の定数を計算する定数計算手段を備え、
前記携帯端末において、
前記距離計算手段は、前記携帯端末が、前記第1の無線通信が可能な一方で前記第2の無線通信が不可能な第3の画像形成装置しか無線通信ができない環境に移動した場合、前記第3の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度と、前記携帯端末の固有の定数と、フリスの伝達式の環境変数の値として仮定された「2」とを前記距離計算式に代入することによって、前記第3の画像形成装置までの距離を計算することを特徴とする構成6乃至8のいずれか一つに記載のデータ処理システム。
(構成10) 前記第1の無線通信は、Bluetooth(登録商標) Low Energyによる無線通信であることを特徴とする構成1乃至9のいずれか一つに記載のデータ処理システム。
(構成11) 前記第2の無線通信は、Ultra Wide Bandによる無線通信であることを特徴とする構成1乃至10のいずれか一つに記載のデータ処理システム。
(構成12) 前記携帯端末は、スマートフォンまたはタブレット端末であることを特徴とする構成1乃至11のいずれか一つに記載のデータ処理システム。
(方法1) 第1の画像形成装置、第2の画像形成装置、および携帯端末を有するデータ処理システムの制御方法であって、
前記第1の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、第1の無線通信と、前記第1の無線通信よりも高い精度で測距を行う第2の無線通信とが可能なものであり、
前記第2の画像形成装置は、前記携帯端末との間において、前記第1の無線通信が可能な一方で、前記第2の無線通信が不可能なものであり、
前記携帯端末は、
前記第1の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度および前記第2の無線通信による測距の結果を用いて、前記第2の画像形成装置までの距離を計算するための距離計算式を導出する導出工程と、
前記第2の画像形成装置との間における前記第1の無線通信の受信電波強度を前記距離計算式に代入することによって、前記第2の画像形成装置までの距離を計算する距離計算工程と、を備えることを特徴とするデータ処理システムの制御方法。
(プログラム1) 構成1乃至12のいずれか一つに記載のデータ処理システムの各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0129】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。本発明は、上述の各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークや記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータの1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0130】
100 データ処理システム
101 携帯端末
102、103 画像形成装置(第1の画像形成装置)
104、105 画像形成装置(第2の画像形成装置)
201 CPU(導出手段)(距離計算手段)