(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175467
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】車両用クッションパネル及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20241211BHJP
A47C 7/02 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B60N2/68
A47C7/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093265
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝日 恒司
(72)【発明者】
【氏名】安井 洋介
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB04
3B087DB05
(57)【要約】
【課題】運転時に変形を抑制できる車両用クッションパネル及び車両用シートを得る。
【解決手段】車両用クッションパネル10は、車両用シートにおけるシートクッションの内部に配置されると共に、シート前後方向及びシート幅方向に延在された底壁部16と、該底壁部16のシート幅方向両端部及びシート後端部からシート上側へ延出された周壁部18と、を含んで構成されたパネル本体11と、パネル本体11における底壁部16の前端部から周壁部18に亘って延在された前部横ビード20と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートにおけるシートクッションの内部に配置されると共に、シート前後方向及びシート幅方向に延在された底壁部と、該底壁部のシート幅方向両端部及びシート後端部からシート上側へ延出された周壁部と、を含んで構成されたパネル本体と、
前記パネル本体における前記底壁部の前端部から前記周壁部に亘って延在された前部横ビードと、
を有する車両用クッションパネル。
【請求項2】
前記前部横ビードよりもシート後方側には、前記底壁部から前記周壁部に亘って中央部横ビードが形成されている、請求項1に記載の車両用クッションパネル。
【請求項3】
前記底壁部の後端部から前記周壁部に亘って後部縦ビードが形成されている、請求項1に記載の車両用クッションパネル。
【請求項4】
前記周壁部は、前記底壁部のシート幅方向両端に沿ってシート前後方向に延在された側壁部と、該側壁部の後端同士をシート幅方向に繋ぐ後壁部と、を含んで構成されており、
前記側壁部から前記後壁部に亘って周壁ビードが形成されている、請求項1に記載の車両用クッションパネル。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の車両用クッションパネルと、
前記クッションパネルが内部に配置されて乗員の臀部及び大腿部を支持可能なシートクッションと、
前記シートクッションのシート後端部に接続されてシート上下方向に延在するとともに乗員の背部を支持可能なシートバックと、
を有する車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用クッションパネル及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉄製でパネル状のクッションパネルが開示されている。特許文献1に記載のクッションパネルには、座骨と対応する位置に複数の貫通孔を形成することで、座圧を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クッションパネルは、乗員が車両の運転時に着座姿勢を維持する機能が要求される。このため、クッションパネルの変形を抑制できる構造が好ましいが、上記特許文献1に記載のクッションパネルは、貫通孔によって十分な剛性を確保できない可能性があり、変形を抑制する観点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、運転時に変形を抑制できる車両用クッションパネル及び車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る車両用クッションパネルは、車両用シートにおけるシートクッションの内部に配置されると共に、シート前後方向及びシート幅方向に延在された底壁部と、該底壁部のシート幅方向両端部及びシート後端部からシート上側へ延出された周壁部と、を含んで構成されたパネル本体と、前記パネル本体における前記底壁部の前端部から前記周壁部に亘って延在された前部横ビードと、を有する。
【0007】
請求項1に係る車両用クッションパネルでは、車両用シートにおけるシートクッションの内部に配置されるパネル本体を備えており、パネル本体は、底壁部と周壁部とを含んで構成されている。パネル本体の底壁部は、シート前後方向及びシート幅方向に延在されており、周壁部は、底壁部のシート幅方向両端部及びシート後端部からシート上側へ延出されている。これにより、周壁部が無い構造と比較して、剛性が向上する。
【0008】
また、パネル本体における底壁部の前端部から周壁部に亘って横ビードが延在されている。これにより、底壁部の前端部と周壁部との接続部分の剛性を高めることができ、車両用シートの側方から乗員が着座した際に該接続部分に荷重が入力されてもパネル本体の変形を抑制できる。また、乗員が車両用シートに浅く腰を掛けた状態から座り直す場合には、パネル本体の前端部に比較的大きな荷重が入力されるが、横ビードによってパネル本体の前端部の剛性を向上させることで、パネル本体の変形を抑制できる。さらに、横ビードを形成することで剛性を向上させているため、パネル本体の板厚を厚くすることなく、パネル本体の変形を抑制できる。
【0009】
請求項2に係る車両用クッションパネルは、請求項1において、前記横ビードよりもシート後方側には、前記底壁部から前記周壁部に亘って中央部横ビードが形成されている。
【0010】
請求項2に係る車両用クッションパネルでは、中央部横ビードによって、特に周壁部のシート前後方向中央部分が変形するのを効果的に抑制できる。
【0011】
請求項3に係る車両用クッションパネルは、請求項1において、前記底壁部の後端部から前記周壁部に亘って後部縦ビードが形成されている。
【0012】
請求項3に係る車両用クッションパネルでは、乗員の体重がパネル本体のシート後方側に偏った場合であってパネル本体の変形を抑制できる。
【0013】
請求項4に係る車両用クッションパネルは、請求項1において、前記周壁部は、前記底壁部のシート幅方向両端に沿ってシート前後方向に延在された側壁部と、該側壁部の後端同士をシート幅方向に繋ぐ後壁部と、を含んで構成されており、前記側壁部から前記後壁部に亘って周壁ビードが形成されている。
【0014】
請求項4に係る車両用クッションパネルでは、乗員の体重がパネル本体のシート後方側かつシート幅方向一端側に偏った場合であってパネル本体の変形を抑制できる。
【0015】
請求項5に係る車両用シートは、請求項1~4の何れか1項に記載の車両用クッションパネルと、前記クッションパネルが内部に配置されて乗員の臀部及び大腿部を支持可能なシートクッションと、前記シートクッションのシート後端部に接続されてシート上下方向に延在するとともに乗員の背部を支持可能なシートバックと、を有する。
【0016】
請求項5に係る車両用シートでは、請求項1~4の何れかに記載の効果を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明に係る車両用クッションパネル及び車両用シートによれば、運転時に変形するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る車両用シートの概略図である。
【
図2】第1実施形態に係る車両用クッションパネルの斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る車両用クッションパネルの平面図であり、シート前部に体重が偏った際に荷重が入力される領域を示した図である。
【
図4】第1実施形態に係る車両用クッションパネルの平面図であり、シート側部に体重が偏った際に荷重が入力される領域を示した図である。
【
図5】第1実施形態に係る車両用クッションパネルの平面図であり、シート後部に体重が偏った際に荷重が入力される領域を示した図である。
【
図6】第2実施形態に係る車両用クッションパネルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して第1実施形態に係る車両用クッションパネル10について説明する。なお、各図の矢印FR、矢印UP及び矢印RHはそれぞれ、車両用クッションパネル10が搭載された車両用シートSのシート前側、シート上側及びシート右側を示している。前後左右上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート幅方向の左右、シート上下方向の上下を示すものとする。
【0020】
(車両用シートS)
図1に示されるように、本実施形態に係る車両用クッションパネル10(以下、適宜「クッションパネル10」と称する。)が搭載された車両用シートSは、シートクッション12及びシートバック14を含んで構成されている。
【0021】
シートクッション12は、シート前後方向及びシート幅方向に延在されており、乗員の臀部及び大腿部をシート下方側から支持可能に構成されている。また、シートクッション12の内部には、クッションパネル10が配置されている。クッションパネル10は、シートクッション12の底部を構成しており、図示しないシートクッションフレームによって支持されている。
【0022】
クッションパネル10の上側には図示しないシートクッションパッドが設けられており、シートクッションパッドは、図示しないシート表皮によって被覆されている。
【0023】
シートクッション12のシート後端部には、シートバック14が接続されている。シートバック14は、シート上下方向に延在して乗員の背部をシート後方側から支持可能とされており、図示しないシートバックフレーム及びシートバックパッドを含んで構成されている。なお、シートクッション12とシートバック14との接続部分には、シートバック14の角度を変更可能なリクライニング機構を設けてもよい。
【0024】
(クッションパネル10)
図2に示されるように、クッションパネル10は、金属板をプレス加工することによって形成されており、パネル本体11を備えている。
【0025】
パネル本体11は、底壁部16と周壁部18とを含んで構成されている。底壁部16は、シート前後方向及びシート幅方向に延在されており、中央部分に略矩形状の貫通孔16Aが形成されている。
【0026】
底壁部16における貫通孔16Aのシート前方側は、底壁部16における一般部よりも高い位置に形成された前壁部16Bとされている。前壁部16Bは、シート幅方向に延在されており、前壁部16Bのシート幅方向両端部が周壁部18に接続されている。
【0027】
周壁部18は、底壁部16のシート幅方向両端部及びシート後端部からシート上側へ延出されており、右側壁部18A、左側壁部18B及び後壁部18Cを含んで構成されている。右側壁部18Aは、貫通孔16Aのシート右側に沿ってシート前後方向に延在されており、底壁部16と連続する曲面によって構成されている。また、右側壁部18Aの上端部分は、前壁部16Bよりもシート上方まで延在されており、シート右側へ湾曲している。
【0028】
左側壁部18Bは、右側壁部18Aと左右対称に形成されている。具体的には、左側壁部18Bは、貫通孔16Aのシート左側に沿ってシート前後方向に延在されており、底壁部16と連続する曲面によって構成されている。また、左側壁部18Bの上端部分は、前壁部16Bよりもシート上方まで延在されており、シート左側へ湾曲している。
【0029】
右側壁部18Aと左側壁部18Bとの後端同士が後壁部18Cによってシート幅方向に繋がれている。後壁部18Cは、貫通孔16Aのシート後側に沿ってシート幅方向に延在されており、前壁部16Bよりもシート上方まで延在されている。また、後壁部18Cのシート右側端部は、右側壁部18Aと連続する曲面によって接続されており、後壁部18Cのシート左側端部は、左側壁部18Bと連続する曲面によって接続されている。
【0030】
ここで、パネル本体11には、複数のビードが形成されており、本実施形態では一例として、前部横ビード20、中央部第一横ビード22、中央部第二横ビード24、後部縦ビード26及び周壁ビード28が形成されている。前部横ビード20、中央部第一横ビード22、中央部第二横ビード24、後部縦ビード26及び周壁ビード28は、何れもパネル本体11を下に凹ませて形成されている。
【0031】
(前部横ビード20)
図3に示されるように、前部横ビード20は、パネル本体11の前部に左右一対設けられている。具体的には、右側の前部横ビード20は、パネル本体11の前端部かつ右端部に形成されており、底壁部16の前端部から右側壁部18Aに亘ってシート幅方向に延在されている。前部横ビード20のシート幅方向内側端部は、貫通孔16Aの右側の孔縁からシート前方へ延ばした仮想線上に位置しており、前部横ビード20のシート幅方向外側端部は、右側壁部18Aにおけるシート上下方向の中央部よりもやや上方に位置している。
【0032】
ここで、
図3における二点鎖線で囲った領域100は、乗員が車両用シートSに着座した際の着座位置が前方に偏った場合に、パネル本体11に大きな荷重が作用する領域を指している。そして、右側の前部横ビード20のシート幅方向内側端部は、領域100に入っており、前部横ビード20の右側部分は、平面視でシート右側に向かって徐々にシート後方側に位置するように傾斜している。
【0033】
左側の前部横ビード20は、パネル本体11のシート幅方向の中心線に対して右側の前部横ビード20と左右対称に形成されている。具体的には、左側の前部横ビード20は、パネル本体11の前端部かつ左端部に形成されており、底壁部16の前端部から左側壁部18Bに亘ってシート幅方向に延在されている。前部横ビード20のシート幅方向内側端部は、貫通孔16Aの左側の孔縁からシート前方へ延ばした仮想線上に位置しており、領域100に入っている。前部横ビード20のシート幅方向外側端部は、左側壁部18Bにおけるシート上下方向の中央部よりもやや上方に位置しており、前部横ビード20の左側部分は、平面視でシート左側に向かって徐々にシート後方側に位置するように傾斜している。
【0034】
(中央部横ビード)
図4に示されるように、前部横ビード20よりもシート後方側には、中央部第一横ビード22が形成されている。中央部第一横ビード22は、パネル本体11におけるシート前後方向の中央部よりもやや前部に左右一対設けられている。具体的には、右側の中央部第一横ビード22は、貫通孔16Aのシート右側に形成されており、底壁部16から右側壁部18Aに亘ってシート幅方向に延在されている。また、中央部第一横ビード22は、前部横ビード20よりも長さが短く、前部横ビード20に対して三分の一程度の長さに形成されている。
【0035】
ここで、
図4における二点鎖線で囲った領域102は、乗員が車両用シートSに着座した際の着座位置が左右に偏った場合に、パネル本体11に大きな荷重が作用する領域を指している。そして、右側の中央部第一横ビード22は、その全体が右側の領域102内に配置されている。具体的には、右側の中央部第一横ビード22のシート幅方向内側端部は、右側の領域102の境界部分に位置しており、右側の中央部第一横ビード22のシート幅方向外側端部は、右側壁部18Aの下端部に位置している。
【0036】
左側の中央部第一横ビード22は、パネル本体11のシート幅方向の中心線に対して右側の中央部第一横ビード22と左右対称に形成されている。具体的には、左側の中央部第一横ビード22は、貫通孔16Aのシート左側に形成されており、底壁部16から左側壁部18Bに亘ってシート幅方向に延在されている。また、中央部第一横ビード22は、前部横ビード20よりも長さが短く、前部横ビード20に対して三分の一程度の長さに形成されている。
【0037】
左側の中央部第一横ビード22は、その全体が左側の領域102内に配置されている。具体的には、左側の中央部第一横ビード22のシート幅方向内側端部は、左側の領域102の境界部分に位置しており、左側の中央部第一横ビード22のシート幅方向外側端部は、左側壁部18Bの下端部に位置している。
【0038】
中央部第一横ビード22よりもシート後方側には、中央部第二横ビード24が形成されている。中央部第二横ビード24は、パネル本体11におけるシート前後方向の中央部よりもやや後部に左右一対設けられている。具体的には、右側の中央部第二横ビード24は、貫通孔16Aのシート右側に形成されており、底壁部16から右側壁部18Aに亘ってシート幅方向に延在されている。また、中央部第二横ビード24は、前部横ビード20よりも長さが短く、前部横ビード20に対して三分の一程度の長さに形成されている。
【0039】
さらに、右側の中央部第二横ビード24は、一部が右側の領域102内に配置されている。具体的には、右側の中央部第二横ビード24のシート幅方向内側端部は、領域102外で右側の中央部第一横ビード22よりもシート幅方向内側に位置している。右側の中央部第二横ビード24のシート幅方向外側端部は、右側壁部18Aの下端部で中央部第一横ビード22よりもシート幅方向内側に位置している。また、中央部第二横ビード24は、平面視でシート幅方向外側に向かうにつれてシート後方側に傾斜されている。
【0040】
左側の中央部第二横ビード24は、パネル本体11のシート幅方向の中心線に対して右側の中央部第二横ビード24と左右対称に形成されている。具体的には、左側の中央部第二横ビード24は、貫通孔16Aのシート左側に形成されており、底壁部16から左側壁部18Bに亘ってシート幅方向に延在されている。また、中央部第二横ビード24は、前部横ビード20よりも長さが短く、前部横ビード20に対して三分の一程度の長さに形成されている。
【0041】
さらに、左側の中央部第二横ビード24は、一部が左側の領域102内に配置されている。具体的には、左側の中央部第二横ビード24のシート幅方向内側端部は、領域102外で左側の中央部第一横ビード22よりもシート幅方向内側に位置している。左側の中央部第二横ビード24のシート幅方向外側端部は、左側壁部18Bの下端部で中央部第一横ビード22よりもシート幅方向内側に位置している。また、中央部第二横ビード24は、平面視でシート幅方向外側に向かうにつれてシート後方側に傾斜されている。
【0042】
(後部縦ビード26)
図5に示されるように、後部縦ビード26は、パネル本体11における後端部に左右一対設けられている。具体的には、左右一対の後部縦ビード26は、それぞれ貫通孔16Aのシート後側に形成されており、底壁部16の後端部から後壁部18Cに亘ってシート前後方向に延在されている。また、後部縦ビード26は、中央部第一横ビード22及び中央部第二横ビード24よりも長さが短く、右側の後部縦ビード26と左側の後部縦ビード26とは、パネル本体11のシート幅方向の中心線に対して左右対称に形成されている。
【0043】
ここで、
図5における二点鎖線で囲った領域104は、乗員が車両用シートSに着座した際の着座位置が後方に偏った場合に、パネル本体11に大きな荷重が作用する領域を指している。そして、左右一対の後部縦ビード26は、それぞれ全体が領域104内に配置されている。具体的には、後部縦ビード26の前端部は、底壁部16の後端部に位置しており、後部縦ビード26の後端部は、後壁部18Cにおけるシート上下方向の中央部分に位置している。
【0044】
(周壁ビード28)
周壁ビード28は、パネル本体11における後端部に左右一対設けられている。具体的には、右側の周壁ビード28は、パネル本体11における後端部かつ右端部の角部分に形成されており、右側壁部18Aから後壁部18Cに亘って延在されている。
【0045】
右側の周壁ビード28は、平面視でシート幅方向外側へ向かうにつれてシート前方側に位置するように湾曲しており、周壁ビード28のシート幅方向内側端部(左端部)は領域104内に位置している。また、周壁ビード28のシート幅方向外側端部(右端部)は、右側壁部18Aの後端かつ上端に位置している。
【0046】
左側の周壁ビード28は、平面視でシート幅方向外側へ向かうにつれてシート前方側に位置するように湾曲しており、周壁ビード28のシート幅方向内側端部(右端部)は領域104内に位置している。また、周壁ビード28のシート幅方向外側端部(左端部)は、左側壁部18Bの後端かつ上端に位置している。
【0047】
(作用)
次に、本実施形態に係るクッションパネル10を備えた車両用シートSの作用を説明する。
【0048】
本実施形態のクッションパネル10は、シートクッション12の内部に配置されるパネル本体11を備えており、パネル本体11は、底壁部16と周壁部18とを含んで構成されている。パネル本体11の底壁部16は、シート前後方向及びシート幅方向に延在されており、周壁部18は、底壁部16のシート幅方向両端部及びシート後端部からシート上側へ延出されている。これにより、周壁部18が無い構造と比較して、剛性が向上する。
【0049】
また、
図3に示されるように、パネル本体11における底壁部16の前端部から側壁部に亘って前部横ビード20が延在されている。これにより、底壁部16の前端部と周壁部18との接続部分の剛性を高めることができ、車両用シートSの側方から乗員が着座した際に領域100に荷重が入力されてもパネル本体11の変形を抑制できる。また、乗員が車両用シートSに浅く腰を掛けた状態から座り直す場合には、パネル本体11の領域100に比較的大きな荷重が入力されるが、前部横ビード20によってパネル本体11の前端部の剛性を向上させることで、パネル本体11の変形を抑制できる。さらに、前部横ビード20を形成することで剛性を向上させているため、パネル本体11の板厚を厚くすることなく、パネル本体11の変形を抑制できる。
【0050】
さらにまた、本実施形態では、前部横ビード20よりもシート後方側に中央部第一横ビード22及び中央部第二横ビード24が形成されている。これにより、特に周壁部18のシート前後方向中央部分と底壁部16との接続部分の剛性が向上し、
図4に示す領域102に大きな荷重が入力された場合でもパネル本体11が変形するのを抑制できる。
【0051】
また、本実施形態では、後部縦ビード26によって特に後壁部18Cと底壁部16との接続部分の剛性が向上し、
図5に示す領域104に大きな荷重が入力された場合でもパネル本体11が変形するのを抑制できる。
【0052】
さらに、本実施形態では、周壁ビード28によって特に周壁部18における右側壁部18Aと後壁部18Cとの接続部分、及び左側壁部18Bと後壁部18Cとの接続部分の剛性が向上し、乗員の体重がパネル本体11のシート後方側かつシート幅方向一端側に偏った場合であってパネル本体の変形を抑制できる。
【0053】
さらにまた、本実施形態では、前部横ビード20、中央部第一横ビード22、中央部第二横ビード24、後部縦ビード26及び周壁ビード28は、パネル本体11を下方に凹ませて形成されている。これにより、乗員が車両用シートSに着座した際の異物感がなく、乗員の快適性を確保しつつ、パネル本体11の変形を抑制できる。
【0054】
<第2実施形態>
次に、
図6を参照して第2実施形態に係る車両用クッションパネル50(以下、適宜「クッションパネル50」と称する。)について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0055】
図6に示されるように、本実施形態のクッションパネル50は、ビードを除いて第1実施形態と同様の構成とされている。
【0056】
パネル本体11の前部には、左右一対の前部横ビード52が形成されている。前部横ビード52は、第1実施形態の前部横ビード20と略同じ位置に形成されている。ここで、前部横ビード52は、パネル本体11の一部を上方に突出させて形成されている点で第1実施形態と異なる。
【0057】
中央部第一横ビード54、中央部第二横ビード56、後部縦ビード58及び周壁ビード60はそれぞれ、第1実施形態の中央部第一横ビード22、中央部第二横ビード24、後部縦ビード26及び周壁ビード28と略同じ位置に形成されている。また、中央部第一横ビード54、中央部第二横ビード56、後部縦ビード58及び周壁ビード60はそれぞれ、パネル本体11の一部を上方に突出させて形成されている点で第1実施形態と異なる。
【0058】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0059】
本実施形態では、パネル本体11に形成されているビードが全て上方に突出している。これにより、パネル本体11の下方の部品との干渉を抑制できる。その他の作用については第1実施形態と同様である。
【0060】
以上、第1実施形態及び第2実施形態に係クッションパネル10,50について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記第1実施形態では、前部横ビード20、中央部第一横ビード22、中央部第二横ビード24、後部縦ビード26及び周壁ビード28が形成された構成としたが、これに限定されず、一部のビードのみが形成された構成を採用してもよい。すなわち、前部横ビード20、後部縦ビード26及び周壁ビード28のみが形成された構成としてもよく、前部横ビード20、中央部第一横ビード22及び中央部第二横ビード24のみが形成された構成としてもよい。さらに、前部横ビード20のみが形成された構成としてもよい。
【0061】
また、前部横ビード20、中央部第一横ビード22、中央部第二横ビード24、後部縦ビード26及び周壁ビード28の形状は特に限定されず、他の形状としてもよい。例えば、中央部第一横ビード22及び中央部第二横ビード24を前部横ビード20と同程度の長さに形成してもよい。さらに、前部横ビード20を左右に一対形成したが、これに限定されず、前壁部16Bを介して右側壁部18Aから左側壁部18Bまで延設された1つの横ビードとしてもよい。
【0062】
さらに、上記実施形態では、パネル本体11に略矩形状の貫通孔を形成したが、これに限定されない。例えば、パネル本体11に略円形の貫通孔を形成してもよい。また、貫通孔が形成されていないパネル本体11を用いてもよいが、軽量化の観点で貫通孔を形成するのが好ましい。
【0063】
上記実施形態に関して、以下の付記を開示する。
【0064】
(付記1)
車両用シートにおけるシートクッションの内部に配置されると共に、シート前後方向及びシート幅方向に延在された底壁部と、該底壁部のシート幅方向両端部及びシート後端部からシート上側へ延出された周壁部と、を含んで構成されたパネル本体と、
前記パネル本体における前記底壁部の前端部から前記側壁部に亘って延在された前部横ビードと、
を有する車両用クッションパネル。
(付記2)
前記前部横ビードよりもシート後方側には、前記底壁部から前記周壁部に亘って中央部横ビードが形成されている、付記1に記載の車両用クッションパネル。
(付記3)
前記底壁部の後端部から前記周壁部に亘って後部縦ビードが形成されている、付記1又は付記2に記載の車両用クッションパネル。
(付記4)
前記周壁部は、前記底壁部のシート幅方向両端に沿ってシート前後方向に延在された側壁部と、該側壁部の後端同士をシート幅方向に繋ぐ後壁部と、を含んで構成されており、
前記側壁部から前記後壁部に亘って周壁ビードが形成されている、付記1~付記3の何れか1に記載の車両用クッションパネル。
(付記5)
付記1~4の何れか1項に記載の車両用クッションパネルと、
前記クッションパネルが内部に配置されて乗員の臀部及び大腿部を支持可能なシートクッションと、
前記シートクッションのシート後端部に接続されてシート上下方向に延在するとともに乗員の背部を支持可能なシートバックと、
を有する車両用シート。
【符号の説明】
【0065】
10,50 車両用クッションパネル
11 パネル本体
12 シートクション
14 シートバック
16 底壁部
18 周壁部
18A 右側壁部
18B 左側壁部
18C 後壁部
20,52 前部横ビード
22,54 中央部第一横ビード(中央部横ビード)
24,56 中央部第二横ビード(中央部横ビード)
26,58 後部縦ビード
28,60 周壁ビード
S 車両用シート