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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175470
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】乗物シート用ロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/30 20060101AFI20241211BHJP
   B60N 2/32 20060101ALI20241211BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20241211BHJP
【FI】
B60N2/30
B60N2/32
E05B83/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093272
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶則
(72)【発明者】
【氏名】坂野 大輔
【テーマコード(参考)】
2E250
3B087
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ09
2E250KK01
2E250LL20
2E250PP04
2E250PP06
3B087CA02
3B087CA12
3B087CB15
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】 異音やガタツキの発生を抑制可能な乗物シート用ロック装置の一例を開示する。
【解決手段】 ロック装置10は、貫通穴に挿入された連結ピン11を当該貫通穴の内周面側に押圧する押圧カム14を備える。なお、貫通穴は、連結ピン11が貫通挿入された穴である。これにより、当該ロック装置10では、連結ピン11を当該貫通穴の内周面側に押圧することができるので、貫通穴と連結ピン11との嵌め合いがすきまばめであっても、異音やガタツキの発生を抑制でき得る。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートに連結ピンを介して回転可能に連結されたロック装置であって、車体に設けられたストライカーと当該乗物用シートとを係合させるためのロック装置において、
前記ストライカーと係合するフックであって、当該ストライカーと係合可能な位置と係合不可な位置との間で変位可能なフックと、
前記フックを変位可能に支持するベースフレームであって、前記連結ピンが貫通挿入される貫通穴が設けられたベースフレームと、
前記貫通穴に挿入された前記連結ピンを当該貫通穴の内周面側に押圧する押圧カムと
を備える乗物シート用ロック装置。
【請求項2】
前記押圧カムは、前記連結ピンを押圧可能な位置と押圧不可な位置との間で変位可能に前記ベースフレームに支持されている請求項1に記載の乗物シート用ロック装置。
【請求項3】
前記押圧カムには、前記連結ピンを押圧する押圧部が少なくとも2箇所設けられており、
第1の前記押圧部と第2の前記押圧部とは、前記連結ピンの軸線方向において離間している請求項2に記載の乗物シート用ロック装置。
【請求項4】
前記押圧カムは、前記第1の押圧部が設けられた第1押圧カム、及び前記第2の押圧部が設けられた第2押圧カムを有して構成されており、
前記第1押圧カム及び前記第2押圧カムは、それぞれ独立して前記連結ピンを押圧可能な位置と押圧不可な位置との間で変位可能である請求項3に記載の乗物シート用ロック装置。
【請求項5】
前記第1押圧カム及び前記第2押圧カムは、同一の中心軸線を中心に回転可能に前記ベースフレームに支持されている請求項4に記載の乗物シート用ロック装置。
【請求項6】
前記フックが係合不可な位置にあるときには、前記第1押圧カム及び前記第2押圧カムが押圧不可な位置にある請求項5に記載の乗物シート用ロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用シートに連結ピンを介して回転可能に連結されたロック装置であって、車体に設けられたストライカーと当該乗物用シートとを係合させるためのロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のロック装置は、支持軸を介して回転可能に乗物用シートに連結された構成である。当該構成は、車両に固定されたストライカーと乗物用シートとの位置ずれがあった場合であっても、その位置ずれを吸収して、ロック装置とストライカーとの係合を可能とするためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-265484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロック装置は、支持軸が貫通挿入される貫通穴が設けられている。そして、貫通穴と支持軸との嵌め合いは、すきまばめ(JIS B 0401等参照)である。このため、乗物用シート又は車体に加振力が作用すると、異音やガタツキが発生してしまう。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、異音やガタツキの発生を抑制可能な乗物シート用ロック装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
乗物用シート(1)に連結ピン(11)を介して回転可能に連結され、車体に設けられたストライカー(9)と当該乗物用シート(1)とを係合させるためのロック装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0007】
すなわち、当該構成要件は、ストライカー(9)と係合するフック(12)であって、当該ストライカー(9)と係合可能な位置と係合不可な位置との間で変位可能なフック(12)と、フック(12)を変位可能に支持するベースフレーム(13)であって、連結ピン(11)が貫通挿入される貫通穴(13C、13D)が設けられたベースフレーム(13)と、貫通穴(13C、13D)に挿入された連結ピン(11)を当該貫通穴(13C、13D)の内周面側に押圧する押圧カム(14)とである。
【0008】
これにより、当該乗物シート用ロック装置(以下、ロック装置と記す。)では、連結ピン(11)を当該貫通穴(13C、13D)の内周面側に押圧することができるので、貫通穴(13C、13D)と連結ピン(11)との嵌め合いがすきまばめであっても、異音やガタツキの発生を抑制でき得る。
【0009】
なお、当該ロック装置は、例えば、以下の構成であってもよい。
すなわち、押圧カム(14)は、連結ピン(11)を押圧可能な位置と押圧不可な位置との間で変位可能にベースフレーム(13)に支持されていることが望ましい。
【0010】
また、押圧カム(14)には、連結ピン(11)を押圧する押圧部(14C、14D)が少なくとも2箇所設けられており、第1の押圧部(14C)と第2の押圧部(14D)とは、連結ピン(11)の軸線方向において離間していることが望ましい。
【0011】
これにより、軸線方向で離間した少なくとも2箇所にて連結ピン(11)を貫通穴(13C、13D)の内周面側に押圧できるので、連結ピン(11)に傾きが発生することを抑制でき得る。延いては、連結ピン(11)のガタツキを確実に抑制でき得る。
【0012】
押圧カム(14)は、第1の押圧部(14C)が設けられた第1押圧カム(14A)、及び第2の押圧部(14D)が設けられた第2押圧カム(14B)を有して構成されており、第1押圧カム(14A)及び第2押圧カム(14B)は、それぞれ独立して連結ピン(11)を押圧可能な位置と押圧不可な位置との間で変位可能であることが望ましい。これにより、連結ピン(11)が少なくとも2箇所にて、確実に貫通穴(13C、13D)の内周面側に押圧され得る。
【0013】
第1押圧カム(14A)及び第2押圧カム(14B)は、同一の中心軸線を中心に回転可能にベースフレーム(13)に支持されていることが望ましい。
さらに、フック(12)が係合不可な位置にあるときには、第1押圧カム(14A)及び第2押圧カム(14B)が押圧不可な位置にあることが望ましい。これにより、フック(12)が係合不可な位置にあるときには、ベースフレーム(13)、つまりロック装置が回転可能な状態となる。したがって、次回、ストライカー(9)とフック(12)とが係合する際に、ストライカー(9)とロック装置との位置ずれが確実に吸収され得る。
【0014】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る乗物用シートを示す図である。
図2】第1実施形態に係る乗物用シートのタンブル状態を示す図である。
図3】第1実施形態に係るロック装置を示す図である。
図4】第1実施形態に係るロック装置の分解図である。
図5】第1実施形態に係るロック装置の構造を示す図である。
図6】第1実施形態に係るロック装置を示す図である。
図7】第1実施形態に係るロック装置を示す図である。
図8】第1実施形態に係るロック装置の構造を示す図である。
図9】第1実施形態に係るロック装置の構造を示す図である。
図10】第1実施形態に係るロック装置を示す図である。
図11】第1実施形態に係るロック装置を示す図である。
図12】第1実施形態に係るロック装置の構造を示す図である。
図13】第1実施形態に係るロック装置の構造を示す図である。
図14】第1実施形態に係るロック装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0017】
本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシート(以下、乗物用シートという。)に本開示に係るロック装置が適用された例である。各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び部材又は部位の形状等を理解し易くするために記載されたものである。
【0018】
したがって、当該ロック装置は、各図に付された方向に限定されない。各図に示された方向は、本実施形態に係る乗物用シートが車両に組み付けられた状態における方向である。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示さない。
【0019】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示されたロック装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0020】
(第1実施形態)
<1.乗物用シートの概要>
乗物用シート1は、図1に示されるように、シートクッション3及びシートバック5等を少なくとも備える。シートクッション3は着席者の臀部を支持するための部位である。シートバック5は着席者の背部を支持するための部位である。
【0021】
シートクッション3の前端側は、ヒンジ7を介して乗物に対して回転可能に連結されている。シートバック5は、シートクッション3の後端側に回転可能に連結されている。このため、乗物用シート1は、例えば、図2に示されるタンブル状態とすることができる。
【0022】
タンブル状態では、シートバック5は、シートクッション3に近接するように倒伏し、かつ、シートクッション3は、当該シートクッション3の後端側が上方に位置した状態となる。これにより、当該乗物用シート1より後方側の空間の利便性が向上する。
【0023】
シートクッション3の後端側下部には、図1に示されるように、本実施形態に係るロック装置10が設けられている。ロック装置10は、車体に設けられたストライカー9と乗物用シート1とを係合連結するための係合機構である。ストライカー2とロック装置10との係合連結が解除されると、乗物用シート1はタンブル状態に遷移可能となる。
【0024】
当該ロック装置10は、図3に示された連結ピン11を介してシートクッション3に回転可能に連結されている。具体的には、シートクッション3には、ブラケット3Aが設けられている。連結ピン11は、ブラケット3Aを貫通してロック装置10を当該ブラケット3Aに対して回転可能に連結する。
【0025】
<2.ロック装置>
<2.1 概略構成>
ロック装置10は、図4に示されるように、フック12、ベースフレーム13及び押圧カム14等を少なくとも備える。フック12は、ストライカー9と係合する部材であって、当該ストライカー9と係合可能な位置と係合不可な位置との間で変位可能な部材である。
【0026】
本実施形態に係るフック12は、軸部12Aを回転中心として、係合可能な位置(以下、ロック位置という。)と係合不可な位置(以下、非ロック位置という。)との間で回転変位する。ベースフレーム13は、フック12を変位可能に支持する部材である。
【0027】
なお、軸部12Aにはバネ12Dが設けられている。バネ12Dは、フック12を非ロック位置に変位させる弾性力を発揮する。このため、フック12の位置を拘束するものが無い場合には、当該フック12は、非ロック位置となる。
【0028】
具体的には、本実施形態に係るベースフレーム13は、第1フレーム板13A及び第2フレーム板13Bにて構成されている。第1フレーム板13Aは、軸部12Aの軸線方向において、フック12を挟んで一方側に配置されている。
【0029】
第2フレーム板13Bは、当該軸線方向において、フック12を挟んで他方側に配置されている。そして、軸部12Aの軸線方向一端側は、第1フレーム板13Aに支持されている。軸部12Aの軸線方向他端側は、第2フレーム板13Bに支持されている。
【0030】
なお、軸部12Aの軸線方向一端側及び他端側それぞれには、図5に示されるように、鍔状のフランジ部12Cが設けられている。フランジ部12Cは、軸部12Aがベースフレーム13から脱落することを防止する脱落防止部である。本実施形態に係るフランジ部12Cは、軸部12Aにカシメ加工が施されて形成された部位である。
【0031】
第1フレーム板13A及び第2フレーム板13Bそれぞれには、図4に示されるように、連結ピン11が貫通挿入される貫通穴13C、13Dが設けられている。そして、貫通穴13C、13Dと連結ピン11との嵌め合いは、すきまばめ(JIS B 0401等参照)である。
【0032】
連結ピン11には、図5に示されるように、フランジ部11A、雄ねじ部11B及び円柱部11Cが設けられている。フランジ部11Aは、連結ピン11の軸線方向一端側(本実施形態では、第1フレーム板13A側)に設けられた鍔状の部位である。
【0033】
雄ねじ部11Bは、軸線方向他端側(本実施形態では、第2フレーム板13B側)に設けられている。円柱部11Cは、フランジ部11Aと雄ねじ部11Bとの間に設けられた円柱状の部位であって、雄ねじ部11Bより大きな直径寸法を有する部位である。
【0034】
そして、フランジ部11Aは第1フレーム板13A側に位置している。連結ピン11は、第1フレーム板13A側からブラケット3A及びベースフレーム13を貫通している。このため、円柱部11Cの外周面が貫通穴13C、13Dの内周面に対向する。
【0035】
なお、本実施形態に係る貫通穴13Cは、第1フレーム板13Aに設けられらた円筒状の円筒部13Eにより構成されている。円筒部13Eの内周面と円柱部11Cの外周面との間には、滑り軸受を構成するブッシング15が配置されている。
【0036】
雄ねじ部11Bには、図6に示されるように、ナット11Dが締め込まれている。これにより、ブラケット3Aとロック装置10とが連結ピン11を介して連結される。なお、連結ピン11には、規制アーム16が連結されている。
【0037】
規制アーム16は、連結ピン11を中心とするロック装置10の回転角を規制するための部材である。すなわち、規制アーム16は、クッションフレーム(図示せず。)等に接触することにより、連結ピン11に対して回転することが規制されている。
【0038】
規制アーム16の先端側には、連結ピン11と平行な軸線を有する規制ピン16Aが設けられている。規制ピン16Aは、ベースフレーム13(本実施形態では、第1フレーム板13A)に設けられた凹部13Fに嵌り込んでいる。
【0039】
凹部13Fは、連結ピン11の軸線方向と直交する方向(図6では、前方)に窪んだ部位である。当該凹部13Fの開口幅(図6では、上下方向寸法)は、規制ピン16Aの直径寸法より大きい。
【0040】
このため、規制ピン16Aと凹部13Fの内縁とが接触すると(図3参照)、ロック装置10は、当該接触した状態を超えて更に回転することができない。さらに、規制アーム16の先端側には、バネ16Bが設けられている。
【0041】
バネ16Bは、規制アーム16の先端側とベースフレーム13(本実施形態では、第1フレーム板13A)とに連結されている。そして、当該バネ16Bは、凹部13Fの内縁と規制ピン16Aとを接触させる向きの弾性力をベースフレーム13に作用させる。
【0042】
このため、図7に示されるように、フック12がストライカー9と係合したときに、ベースフレーム13が、ストライカー9に対してフック12と反対側から当該ストライカー9に圧接する。つまり、フック12及びベースフレーム13がストライカー9に圧接する。
【0043】
<2.2 押圧カム>
押圧カム14は、図8に示されるように、貫通穴13C、13Dに挿入された連結ピン11を当該貫通穴13C、13Dの内周面側に押圧する部材である。当該押圧カム14は、変位可能にベースフレーム13に支持されている。
【0044】
具体的には、当該押圧カム14は、連結ピン11を押圧可能な位置(図8参照)と押圧不可な位置(図9参照)との間で変位可能である。なお、押圧カム14は、フック12が非ロック位置にあるときには、図9に示されるように、押圧不可な位置にある。
【0045】
すなわち、押圧カム14には、第1押圧部14C及び第2押圧部14Dが少なくとも設けられている。第1押圧部14C及び第2押圧部14Dは、連結ピン11を押圧するように当該連結ピン11に接触する部位である。当該第1押圧部14Cと第2押圧部14Dとは、連結ピン11の軸線方向において互いに離間している。
【0046】
具体的には、押圧カム14は、第1押圧部14Cが設けられた第1押圧カム14A、及び第2押圧部14Dが設けられた第2押圧カム14Bを有して構成されている。第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bは、カム軸14Eを介して押圧可能な位置(以下、押圧位置という。)と押圧不可な位置(以下、非押圧位置という。)との間で揺動可能に支持されている。
【0047】
カム軸14Eは、ベースフレーム13(本実施形態では、第2フレーム板13B)に連結されている。つまり、第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bは、同一の中心軸線を中心に回転可能にベースフレーム13に支持されている。
【0048】
第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bは、カム軸14Eに対してそれぞれ独立して揺動可能である。つまり、第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bは、それぞれ独立して連結ピン11を押圧位置と非押圧位置との間で変位できる。
【0049】
押圧カム14のカム軸14E側には、バネ14F、14Gが設けられている。バネ14F、14Gは、押圧カム14を押圧位置に変位させる弾性力を発揮する。このため、押圧カム14の位置を拘束するものが無い場合には、当該押圧カム14は、押圧位置となる。
【0050】
なお、バネ14Fは第1押圧カム14Aに弾性力を作用させる。バネ14Gは、第2押圧カム14Bに弾性力を作用させる。本実施形態に係るバネ14F、14Gは、1本の線材により構成された捻りコイルバネである。
【0051】
<2.3 フックを作動させるための構成>
ロック装置10は、図10に示されるように、フック12、ベースフレーム13及び押圧カム14に加えて、解除レバー17、ポール18、フックカム19及びバネ20等を少なくとも備える。
【0052】
解除レバー17は、図6に示されるように、操作ケーブル21を介して利用者又はアクチュエータにより回転操作される。当該解除レバー17は、バネ17Aにより、図6に示される初期位置に保持される。
【0053】
つまり、解除レバー17は、操作ケーブル21が操作され、当該操作ケーブル21のインナーケーブル21Aに張力が作用したときに初期位置から解除位置(図11参照)に回転変位する。そして、当該張力が消失すると、解除レバー17は初期位置に復帰する。
【0054】
なお、初期位置は、フック12をロック位置に保持可能とし、かつ、押圧カム14を押圧位置とするための位置である。解除位置は、ロック位置にあるフック12を非ロック位置に変位可能とし、かつ、押圧カム14を非押圧位置とするための位置である。
【0055】
ポール18は、フック12を非ロック位置に保持する位置(図12参照)と当該位置から離脱した位置(図8参照)との間で回転変位可能である。以下、フック12を非ロック位置に保持するためのポール18の位置を非ロック保持位置という。
【0056】
ポール18が非ロック保持位置にあるときには、図12に示されるように、当該ポール18に設けられた凹部18Bにフック12に設けられた凸部12Fが接触している。このため、フック12は非ロック位置に保持される。ポール18が上記離脱した位置にあるときには、図13に示されるように、凸部12Fは凹部18Bから離脱した位置となる。
【0057】
なお、ポール18は、図10に示されるように、解除レバー17の軸部17Bと同軸に配置されている。当該ポール18には、解除レバー17と係合するピン18Aが設けられている。このため、ポール18は、解除レバー17と連動して回転する。
【0058】
フックカム19は、フック12をロック位置に保持する位置(図8参照)とフック12の回転変位を許容する位置(図9参照)との間で回転変位可能である。以下、図8に示されるフックカム19の位置をロック保持位置という。
【0059】
なお、フックカム19がロック保持位置にあるときには、当該フックカム19は、図8に示されるように、フック12に設けられた被押圧部12Eに圧接する。このため、フック12の回転が規制されため、フック12はロック位置に保持される。
【0060】
バネ20は、フックカム19を保持位置に変位させる弾性力を作用させる。そして、解除レバー16が初期位置にあるとき、ポール18は、フック12の回転変位を許容する位置にある。このとき、フックカム19とポール18とは、図8に示されるように、非接触状態である。
【0061】
解除レバー17が解除位置側に変位すると、これに連動してポール18が非ロック保持位置側に変位するため、当該ポール18とフックカム19とが接触する(図9参照)。このため、解除レバー16が解除位置まで変位すると、ロック保持位置にあるフックカム19は、フック12の回転変位を許容する位置(図9参照)となる。
【0062】
<2.4 押圧カムを変位させるための構成>
本実施形態では、図13に示されるように、ポール18には、カムピン18Cが設けられている。カムピン18Cは、押圧カム14を押圧位置から非押圧位置に変位させるためカムである。なお、本実施形態に係るカムピン18Cは、ピン18Aと同軸上に配置されている。
【0063】
すなわち、押圧カム14(本実施形態では、第2押圧カム14B)には、カムピン18Cと滑り接触する従節部14Hが設けられている。そして、ポール18が非ロック保持位置にあるときには、図14に示されるように、カムピン18Cが従節部14Hに接触して第2押圧カム14Bを非押圧位置とする。
【0064】
第1押圧カム14Aには、図12に示されるように、係止片14Jが設けられている。係止片14Jは、第2押圧カム14Bが押圧位置から非押圧位置に変位する際に当該第2押圧カム14Bに係止する部位である。
【0065】
このため、第2押圧カム14Bが押圧位置から非押圧位置に変位すると、第1押圧カム14Aもこれに連動して変位するため、カムピン18Cが従節部14Hに接触すると、第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bが非押圧位置となる(図14参照)。
【0066】
ポール18が上記離脱した位置になると、図13に示されるように、カムピン18Cが従節部14Hを押圧する力が消失するため、バネ14F、14Gの弾性力により押圧カム14が押圧位置に復帰する。
【0067】
<3.本実施形態に係るロック装置の特徴>
本実施形態に係るロック装置10は、図8に示されるように、貫通穴13C、13Dに挿入された連結ピン11を当該貫通穴13C、13Dの内周面側に押圧する押圧カム14を備える。
【0068】
これにより、当該ロック装置10では、連結ピン11を当該貫通穴13C、13Dの内周面側に押圧することができるので、貫通穴13C、13Dと連結ピン11との嵌め合いがすきまばめであっても、異音やガタツキの発生を抑制でき得る。
【0069】
また、押圧カム14には、連結ピン11を押圧する第1押圧部14C及び第2押圧部14Dが少なくとも設けられており、第1押圧部14Cと第2押圧部14Dとは、連結ピン11の軸線方向において離間している。
【0070】
これにより、軸線方向で離間した少なくとも2箇所にて連結ピン11を貫通穴13C、13Dの内周面側に押圧できるので、連結ピン11に傾きが発生することを抑制でき得る。延いては、連結ピン11のガタツキを確実に抑制でき得る。
【0071】
つまり、仮に、2箇所にて連結ピン11を貫通穴13C、13Dの内周面側に押圧する構成であると、連結ピン11の傾きを誘発するモーメントが発生し易い。これに対して、連結ピン11を軸線方向で離間した少なくとも2箇所で押圧すれば、当該モーメントが発生し難い。
【0072】
第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bは、それぞれ独立して連結ピン11を押圧可能な位置と押圧不可な位置との間で変位可能である。これにより、連結ピン11が少なくとも2箇所にて、確実に貫通穴13C、13Dの内周面側に押圧され得る。
【0073】
さらに、フック12が非ロック位置にあるときには、第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bが押圧不可な位置にある。これにより、フック12が非ロック位置にあるときには、ロック装置10が回転可能な状態となる。したがって、次回、ストライカー9とフック12とが係合する際に、ストライカー9とロック装置10との位置ずれが確実に吸収され得る。
【0074】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る押圧カム14は、第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bにて構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、1つの部材にて構成された押圧カムであってもよい。
【0075】
上述の実施形態に係る押圧カム14は、ベースフレーム13に支持されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ブラケット3Aに押圧カムが支持された構成であってもよい。
【0076】
上述の実施形態では、第1押圧部14Cと第2押圧部14Dとが、軸線方向において離間していた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1押圧部14Cと第2押圧部14Dとが接近した構成であってもよい。
【0077】
上述の実施形態では、第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bは、それぞれ独立して変位可能であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1押圧カム14Aと第2押圧カム14Bとが一体化された1つの押圧カムであってもよい。
【0078】
上述の実施形態では、第1押圧カム14A及び第2押圧カム14Bは、同一の中心軸線を中心に回転可能な構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1押圧カム14Aが連結ピン11を挟んで第2押圧カム14Bと反対側に配置された構成であってもよい。
【0079】
上述の実施形態では、フック12が非ロック位置にあるときには、押圧カム14が非押圧位置となる構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、押圧カム14が常に押圧位置となる構成であってもよい。
【0080】
上述の実施形態では、車両に本開示に係る乗物用シートを適用した。しかし、本明細書に開示された発明の適用はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるシート、並びに劇場や家庭用等に用いられる据え置き型シートにも適用できる。
【0081】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10… ロック装置
11… 連結ピン
12… フック
13… ベースフレーム
13A… 第1フレーム板
13B… 第2フレーム板
13C… 貫通穴
14… 押圧カム
14A… 第1押圧カム
14B… 第2押圧カム
14C… 第1押圧部
14D… 第2押圧部
図1
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