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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175484
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 21/00 20060101AFI20241211BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241211BHJP
   B41J 11/06 20060101ALI20241211BHJP
   B65H 7/08 20060101ALI20241211BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20241211BHJP
   B65H 29/24 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J29/393 101
B41J11/06
B65H7/08
B65H5/02 E
B65H29/24 C
B65H5/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093309
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 永恒
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
2C187
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2C058AB17
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF31
2C058DA13
2C058DA38
2C061AP01
2C061AQ05
2C061KK12
2C061KK18
2C061KK28
2C061KK31
2C187AC08
2C187AD14
2C187BH17
2C187CD05
2C187DB41
3F048AA01
3F048BA20
3F048BB02
3F048BB05
3F048DC11
3F048EB24
3F048EB37
3F049AA02
3F049BA04
3F049BB04
3F049DB05
3F049EA22
3F049FB00
3F049LA01
(57)【要約】
【課題】画像形成装置における画像の形を、安価でかつ精度よく、維持する。
【解決手段】画像形成装置は、搬送手段により吸引して既定の方向に搬送されるシートに画像を形成する記録手段を有している。記録手段はシートにテスト画像を形成する。読取手段は、搬送手段により搬送されるシートからテスト画像を読み取る。制御手段は、テスト画像の読取結果と、既定の搬送方向に対する読取手段のアライメントの傾きに関するデータと、に基づき、シートに形成される画像の形を制御する。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを吸引して既定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートに画像を形成する記録手段と、
前記記録手段によりテスト画像を形成され、前記搬送手段により搬送される前記シートから、当該テスト画像を読み取る読取手段と、
前記搬送手段に対する前記読取手段のアライメントの傾きに関するデータを予め記憶する記憶手段と、
前記テスト画像の読取結果と、前記搬送手段の前記既定の搬送方向に対する前記読取手段の前記アライメントの傾きに関するデータと、に基づき、前記シートに形成される画像の形を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記アライメントの傾きに関するデータは、前記アライメントの傾き量を含み、
前記制御手段は、前記テスト画像の読取結果に基づき前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量を求め、前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量と、前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量とに基づき、前記シートに形成される前記画像の直角性を補正する補正手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量を取得するためのテストチャートを前記搬送手段に搬送させ、前記読取手段に前記テストチャートを読み取らせることで得られた前記テストチャートの読取結果に基づき前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量を演算し、当該アライメントの傾き量を前記記憶手段に記憶させる演算手段をさらに有する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記演算手段は、測定器により測定された、前記搬送手段の搬送方向に対する前記テストチャートの傾き量を、前記読取手段による前記テストチャートの読取結果から取得された前記搬送手段の搬送方向に対する前記テストチャートの傾き量から減算することで、前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量を取得する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記テストチャートは、シートと、当該シートに対して直交度を満たすように形成されたテスト画像とを含む、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正手段は、前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量と、前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量とに基づき、前記搬送手段の搬送方向を調整する調整手段を有する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送手段は、無端状のベルトを含み、
前記無端状のベルトは少なくとも二つ以上のローラに張架されて回転するように構成されており、
前記二つ以上のローラのうち第一ローラと第二ローラとの間における前記無端状のベルトの外周面に前記シートが担持されて搬送されるように構成されており、
前記補正手段は、前記調整手段により前記第一ローラまたは前記第二ローラの少なくとも一方を回転軸方向に移動させることで、前記シートに形成される前記画像の直角性を補正する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送手段は、無端状のベルトを含み、
前記無端状のベルトの幅方向における少なくとも一方の端部を検知する検知手段をさらに有し、
前記調整手段は、前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量と、前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量とに基づき、前記一方の端部が通過すべき位置を求め、前記検知手段により検知される前記一方の端部の位置が、前記一方の端部が通過すべき位置と等しくなるように、前記搬送手段の搬送方向を調整する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補正手段は、前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量と、前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量とに基づき、前記記録手段の取付角度を調整する調整手段を有する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記記録手段は、前記記録手段の長手方向に沿って配置され、それぞれインクと吐出する複数のノズルを有し、
前記補正手段は、前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量と、前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量とに基づき、前記複数のノズルの吐出タイミングを調整する調整手段を有する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記補正手段は、前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量と、前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量とに基づき、前記画像の元になる画像データを補正することで、前記記録手段の直角性の特性に対して事前に逆特性となるように画像を変形させ、前記記録手段に前記事前に変形された当該画像を形成させる、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記テスト画像は、前記シートの四つの角に対応する四つの基準画像を含み、
前記補正手段は、
前記読取結果に含まれる前記四つの基準画像のうち、第一基準画像と第二基準画像とを結ぶ直線と、前記シートの搬送方向において前記シートの先端側の辺との間の傾きと、
前記読取結果に含まれる前記四つの基準画像のうち、第三基準画像と第四基準画像とを結ぶ直線と、前記シートの搬送方向において前記シートの後端側の辺との間の傾きと、の平均値を求め、
前記平均値から前記アライメントの傾き量を減算することで、前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量を求め、
前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量に応じて、前記シートに形成される前記画像の直角性を補正する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記テスト画像は、前記シートの四つの角のうち前記シートの搬送方向において前記シートの先端側の辺に近い二つの角に対応する二つの基準画像を含み、
前記補正手段は、
前記読取結果に含まれる前記二つの基準画像を結ぶ直線と、前記シートの搬送方向において前記シートの先端側の辺との間の傾きから前記アライメントの傾き量を減算することで、前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量を求め、
前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量に応じて、前記シートに形成される前記画像の直角性を補正する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記テスト画像は、前記シートの四つの角のうち前記シートの搬送方向において前記シートの後端側の辺に近い二つの角に対応する二つの基準画像を含み、
前記補正手段は、
前記読取結果に含まれる前記二つの基準画像を結ぶ直線と、前記シートの搬送方向において前記シートの後端側の辺との間の傾きから前記アライメントの傾き量を減算することで、前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量を求め、
前記記録手段と前記搬送手段との間の相対的な傾き量に応じて、前記シートに形成される前記画像の直角性を補正する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記記録手段は、前記搬送手段により搬送される複数のシートにそれぞれ前記テスト画像を形成し、
前記読取手段は、前記搬送手段により搬送される前記複数のシートにそれぞれ形成された前記テスト画像から複数の読取結果を取得し、
前記補正手段は、前記複数の読取結果から、前記相対的な傾き量の平均値を求め、前記搬送手段に対する前記読取手段の前記アライメントの傾き量と、前記相対的な傾き量の平均値とに基づき、前記シートに形成される前記画像の直角性を補正する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記テスト画像は、前記シートの四つの角に対応する四つの基準画像を含み、
前記制御手段は、
前記読取結果に含まれる前記四つの基準画像の座標と、前記アライメントの傾きに関するデータと、に基づき、前記シートに形成される前記画像の形を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記記録手段は、トナーを用いて前記シートに画像を形成する画像形成手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記記録手段により第一面に画像が形成されたシートを反転する反転手段と、
前記反転手段により反転された前記シートを前記搬送手段へ搬送する搬送経路と、をさらに有し、
前記記録手段は、前記第一面に画像が形成された前記シートの第二面に画像を形成する、請求項1から17のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフセット印刷が主流であった商用印刷市場にも電子写真方式またはインクジェット方式が普及しつつある。商用印刷市場において電子写真方式またはインクジェット方式のプリンタがさらに普及するためには、オフセット印刷方式と同等の画像品質を達成しなければならない。とりわけ、シートに形成される画像の直角性は重要である。画像の直角性が失われると、シートの表面に形成される画像の位置と、シートの裏面に形成される画像の位置とがずれてしまう。例えば、表面の画像の位置と裏面の画像の位置がズレている場合、見開きの成果物においては左右のページに印刷された画像品質を低下させる原因となる。シートの表面に形成される画像の位置と、シートの裏面に形成される画像の位置とのズレは、「表裏ずれ」と呼ばれる。オフセット印刷機では、印刷前に熟練の技術者によって画像の直角性を含む印字位置の調整作業が実行される。その結果、表裏ずれは約0.1mm~0.2mm程度に抑え込まれる。しかし、その調整作業には時間がかかり、かつ、熟練の技術者が必要であるという課題がある。
【0003】
インクジェット方式のプリンタはプリントベルトにより搬送されるシートに対して複数の記録ヘッドからインクを吐出してシートに画像を形成する。そのため、プリントベルトと記録ヘッドとの間のアライメントがずれると、画像の直角性が低下する。たとえば、矩形であるべき画像が平行四辺形になってしまう。インクジェット方式のプリンタの設置時または記録ヘッドの交換時には、熟練者が、スケールでズレ量を測定して、記録ヘッドの位置を手動で微調整していた。
【0004】
特許文献1によれば、記録ヘッドの位置を位置センサで測定し、記録ヘッドの位置を理想位置に調整することが記載されている。特許文献2によれば、複数の記録ヘッド間の相対的な位置を調整するために、プリントベルトで搬送されるシートの画像をスキャナで読み取ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-107656号公報
【特許文献2】特開2020-172084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の手法では記録ヘッドごとに位置センサが必要になってしまう。特許文献2の手法を、画像の直角性の補正に適用しようとすると、プリントベルトとスキャナとの間のアライメントずれが、プリントベルトと記録ヘッドとの間のアライメントずれの測定を困難にする。そこで、本発明は、画像形成装置における画像の形を、安価でかつ精度よく、維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、たとえば、
シートを吸引して既定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記シートに画像を形成する記録手段と、
前記記録手段によりテスト画像を形成され、前記搬送手段により搬送される前記シートから、当該テスト画像を読み取る読取手段と、
前記搬送手段に対する前記読取手段のアライメントの傾きに関するデータを予め記憶する記憶手段と、
前記テスト画像の読取結果と、前記搬送手段の前記既定の搬送方向に対する前記読取手段の前記アライメントの傾きに関するデータと、に基づき、前記シートに形成される画像の形を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置における画像の形を、安価でかつ精度よく、維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の概略図
図2】プリントモジュールを説明する図
図3】ベルトユニットを説明する図
図4】記録ヘッドの構造を説明する斜視図
図5】記録ヘッドの位置決めを説明する図
図6】位置決め構造を説明する図
図7】インラインスキャナを説明する図
図8】テスト画像を説明する図
図9】記録ヘッドの傾きに応じた画像の直角性の低下を説明する図
図10】表裏ずれを説明する図
図11】インラインスキャナの傾きを説明する図
図12】インラインスキャナの傾きの影響を説明する図
図13】インラインスキャナの傾きを取得する方法を説明する図
図14】コントローラを説明する図
図15】補正部を説明する図
図16】インラインスキャナの傾きを取得する機能を説明する図
図17】画像の直角性を補正する方法を示すフローチャート
図18】プリントベルトの搬送方向を補正する方法を説明する図
図19】吐出タイミングを補正する方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(1)画像形成装置
図1は、インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。なお、Z方向はインクジェット記録装置100の高さ方向である。Y方向は概ねシートの搬送方向と平行である。X方向はシートSの幅方向である。なお、シートSの幅方向は主走査方向とよばれることがある。シートSの搬送方向と平行な方向は副走査方向と呼ばれることがある。
【0012】
インクジェット記録装置100は、反応液とインクとの2液を用いてシートSにインク像を形成する、枚葉式の画像形成装置である。インク像を形成されたシートSは記録物、出力物、または成果物と呼ばれることがある。インクは、たとえば、樹脂成分、水、水溶性有機溶剤、色材、ワックス、および添加剤を含有する。ただし、これは一例にすぎない。
【0013】
インクジェット記録装置100は、給送モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、および、排出積載モジュール7000などを有する。給送モジュール1000から供給されるカット紙状のシートSは、搬送経路に沿って搬送され、各モジュールで処理がなされ、排出積載モジュール7000に排出される。
【0014】
給送モジュール1000は、シートSを収容する3つの収納庫1100a~1100cを有する。収納庫1100a~1100cはインクジェット記録装置100の正面側へ引き出し可能である。シートSは、収納庫1100a~1100cにおいて分離ベルトおよび搬送ローラにより1枚ずつ給送され、プリントモジュール2000へ搬送される。なお、収納庫1100a~1100cの個数は、1つ以上であればよい。
【0015】
プリントモジュール2000は、シート補正部2100、ベルトユニット2200、および記録部2300を有する。シート補正部2100は、給送モジュール1000から搬送されてきたシートSの傾きおよび位置を補正し、シートSをベルトユニット2200へ搬送する。記録部2300は、搬送経路を挟んで、ベルトユニット2200と対向するように配置される。記録部2300は、搬送されるシートSに対して上方から記録ヘッドによりシートS上に記録処理(印刷)を行なって画像を形成する。シートSは、ベルトユニット2200により吸着して搬送される。これにより、記録ヘッドとシートSとの間には適切なクリアランスが確保される。また、搬送方向に沿って複数の記録ヘッドが並べられていてよい。実施例では、四色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、Bk:ブラック)のインクに対応する四つのライン型記録ヘッドと、反応液C0を吐出する一つのライン型記録ヘッドとが設けられる。色数および記録ヘッドの個数はそれぞれ5つに限定されない。たとえば、Y・M・C・Bkとは異なる特別色C1、C2、C3用の三つのライン型記録ヘッドが追加されてもよい。インクジェット記録方式としては、たとえば、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、または、MEMS素子を用いた方式などがある。MEMSとは、微小な電気機械システムの略称である。
【0016】
四色のインクのそれぞれは、不図示のインクタンクからインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。ベルトユニット2200は、記録部2300で画像を印刷されたシートSを、さらに、下流へ搬送する。記録部2300の下流側には、インラインスキャナ1が配置されてもよい。インラインスキャナ1は、シートSに形成された画像のズレおよび色濃度を検出する。検出結果は、後続の印刷画像を補正するために、使用される。
【0017】
乾燥モジュール3000は、記録部2300でシートS上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートSとインクとの定着性を高める。乾燥モジュール3000は、デカップリング部3200、乾燥ベルトユニット3300、および、温風吹付部3400を有する。プリントモジュール2000の記録部2300で画像を印刷されたシートSは、乾燥モジュール3000内に配置されたデカップリング部3200に搬送される。デカップリング部3200は、上方からの風圧とベルトの摩擦力とでシートSを保持しながら、さらに下流へとシートSを搬送する。これにより、ベルトユニット2200上のシートSのズレが抑制される。シートSはデカップリング部3200から乾燥ベルトユニット3300へ搬送される。乾燥ベルトユニット3300は、シートSを吸着しながら搬送する。温風吹付部3400が乾燥ベルトユニット3300の上方に配置されている。温風吹付部3400は熱風をシートSに付与し、シートSのインク付与面を乾燥させる。乾燥ベルトユニット3300はシートSを定着モジュール4000へ搬送する。
【0018】
乾燥モジュール3000は、シートSに付与された反応液およびインクの液体成分を加熱して乾燥させる。これにより、反応液およびインク中の水分蒸発が促進され、シートSのコックリングが抑制される。
【0019】
乾燥モジュール3000は加熱乾燥を実行できる装置であれば十分であろう。たとえば、乾燥モジュール3000は、温風乾燥機またはヒーターを有していてもよい。ヒーターの種類も特に制限はない。たとえば、ヒーターとして、電熱線ヒーター、または赤外線ヒーターが採用されてもよい。
【0020】
定着モジュール4000は、定着ベルトユニット4100を有している。定着ベルトユニット4100は、上ベルトユニットと下ベルトユニットとを有する。上ベルトユニットと下ベルトユニットが加熱され、その間をシートSが通過する。これにより、インク溶媒がシートSに十分に浸透する。
【0021】
冷却モジュール5000は、定着モジュール4000から搬送された高温のシートSを冷却する複数の冷却部5100を有する。冷却部5100は、たとえば、外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで、冷却ボックス内の圧力を高め、搬送ガイドに形成されたノズルからシートSに大気を当てる。これにより、シートSが冷却される。冷却部5100は、高さ方向において搬送経路の両側に配置される。これにより、シートSの両面が冷却される。冷却モジュール5000の内部には、搬送経路を切り替える切換部5200が設けられてもよい。切換部5200は、反転モジュール6000にシートSを搬送することと、両面印刷時に使用される両面搬送経路にシートSを搬送することと、を切り換える。両面印刷時、シートSは冷却モジュール5000の下方に設けられた両面搬送経路5300に搬送される。さらに、シートSは、定着モジュール4000、乾燥モジュール3000、プリントモジュール2000、および給送モジュール1000を搬送される。これにより、シートSは、再度、プリントモジュール2000のシート補正部2100、ベルトユニット2200、および記録部2300へ搬送される。そして、記録部2300は、シートSの第二面に画像を印刷する。
【0022】
定着モジュール4000の両面搬送経路には、シートSの表裏を反転させる反転部4200が設けられていてもよい。反転モジュール6000も反転部6400を有する。反転部6400は、搬送されるシートSの表裏を反転させる。これにより、排出されるシートSの表裏(フェイスダウン/フェイスアップ)が自由に選択される。
【0023】
排出積載モジュール7000は、トップトレイ7200と積載部7500とを有する。トップトレイ7200と積載部7500は、反転モジュール6000から搬送されて来たシートSを整列して積載する。
【0024】
(2)プリントモジュール
図2は、プリントモジュール2000の模式的な断面図である。プリントモジュール2000は、搬送されるシートSに対して上方から5個の記録ヘッド10(特別色の記録ヘッドを使用する場合は8個の記録ヘッド10)により記録処理を行って、シートS上にインク像を形成する画像形成部である。シートSは画像形成部において安定的に搬送される必要がある。とりわけ、記録ヘッド10の直下を通過するシートSは安定的に搬送される必要がある。そこで、ベルトユニット2200がシートSを吸着して搬送する。
【0025】
ベルトユニット2200のプリントベルト25は、張架ローラ21~24に張架されている。張架ローラ21と張架ローラ24とで張架されたベルト面(搬送面)は画像形成面26と呼ばれる。記録ヘッド10は、画像形成面26により搬送されるシートSにインク(液滴)を吐出して画像を形成する。プリントベルト25はシートSを吸引するための複数の吸引穴(不図示)を有している。画像形成面26に存在する複数の吸引穴からシートSを吸引することで、画像形成面26にシートSがしっかりと吸着され、シートSが安定的に搬送される。なおプリントベルト25は、プリントベルト25の吸引穴からシートSを吸引することでシートSをプリントベルト25に吸着する構成に限定されない。たとえば、プリントベルト25の表面に電荷を付与する電荷付与部が追加されてもよい。これにより、シートSがプリントベルト25に静電的に吸着されてもよい。このようにプリントベルト25はシートSを担持するシート担持部材として機能する。プリントベルト25は、ロール状に巻かれた帯状の一枚のPETシートから製造される。PETとはポリエチレンテレフタレートの略称である。PETシートには、複数の吸引穴が形成される。次に、PETシートの長さ所定の長さとなるようPETシートがカットされる。PETシートの先端と後端とがレーザー溶接にて結合される。これにより、無端状のプリントベルト25が製造される。
【0026】
(3)ベルトユニット
図3はベルトユニット2200を示している。プリントベルト25は張架ローラ21~24に張架されている。とりわけ、張架ローラ21はプリントベルト25を回転駆動する駆動ローラである。張架ローラ21の回転軸は、軸受40aによって回転自在に支持されている。モータM2aは軸受40aをX方向に移動させることで、張架ローラ21をX方向に移動させる。
【0027】
張架ローラ22は、プリントベルト25の内周面側から外周面側に向けてプリントベルト25を押圧することでプリントベルト25を張るテンションローラである。張架ローラ23は、ステアリングローラである。モータM1は、張架ローラ23の一方の軸端部を移動させ、張架ローラ23を傾斜させる。これにより、プリントベルト25の蛇行が抑制される。
【0028】
張架ローラ24はプリントベルト25の回転に従動して回転する従動ローラである。張架ローラ24の回転軸は、軸受40bによって回転自在に支持されている。モータM2bは軸受40bをX方向に移動させることで、張架ローラ24をX方向に移動させる。
【0029】
シートSは画像形成面26に吸着されてプリントベルト25と一体となっている。そのため、画像形成面26を精度よく位置決めすることで、シートSに形成される画像の精度(例:直角性)も向上する。2本の張架ローラ21、24が画像形成面26を形成している。
【0030】
ベルトセンサ30aは張架ローラ21の近傍に配置され、プリントベルト25の端部に配置された検知形状35を検知する。ベルトセンサ30bは張架ローラ24の近傍に配置され、プリントベルト25の端部に配置された検知形状35を検知する。ベルトセンサ30a、30bの検知結果は、プリントベルト25の端部の通過位置およびプリントベルト25の搬送方向と特定するために利用される。ベルトセンサ30a、30bの検知結果に基づき、モータM2a、M2bが張架ローラ21、24を独立にX方向に移動させることで、プリントベルト25の位置が調整される。
【0031】
検知形状35は、たとえば、長径が1mm程度の複数の穴であってよい。複数の穴は、たとえば、約6mm間隔で、プリントベルト25の1周にわたって設けられてもよい。複数の穴の各中心位置を結ぶ線は直線であり、この直線はプリントベルト25の端部と平行である。ベルトセンサ30a、30bは、コンタクトイメージセンサ(CIS)であってもよい。ベルトセンサ30a、30bに読み取られた穴の中心位置が演算されてもよい。X方向におけるベルトセンサ30aにより検知された穴の中心位置と、ベルトセンサ30bにより検知された穴の中心位置とが一致すれば、プリントベルト25はY方向と平行である。また、プリントベルト25をX方向に移動させる場合、X方向におけるベルトセンサ30aにより検知された穴の中心位置の移動量と、ベルトセンサ30bにより検知された穴の中心位置の移動量が演算される。二つの移動量が等しければ、プリントベルト25はX方向に平行移動したことになる。二つの移動量を意図的に異ならせることで、プリントベルト25の搬送方向を変更することが可能となる。
【0032】
(4)記録ヘッド
図4は記録ヘッド10の斜視図である。図4が示すように、記録ヘッド10は、X方向に並んで配置された複数のノズルプレート103を有している。複数のノズルプレート103のそれぞれは、インク(液滴)を吐出する複数のノズルを有している。位置決め部101L、101Rは、記録ヘッド10の両端に配置され、X方向、Y方向およびZ方向において記録ヘッド10を位置決めする。位置決め部101Lの底面には、第一当接部101aが設けられている。第一当接部101aは、円錐形状の斜面を備えた凹部を有している。位置決め部101Rの底面には、第二当接部101bと第三当接部101cが設けられている。第二当接部101bは溝部を有する。溝部のZ-Y断面は略V字形状である。第三当接部101cは、平面部を有する。
【0033】
記録ヘッド10の長手方向(X方向)の一端には、X方向に延びた第一ピン107aが設けられている。記録ヘッド10の長手方向(X方向)の他端には、X方向に延びた第二ピン107bおよび第三ピン107cが設けられている。第一当接部101aの中心と第二当接部101bの中心とを結んだ直線は、複数のノズルプレート103の配列方向と平行である。
【0034】
(5)記録ヘッドの支持構造
図5(A)は、四つの記録ヘッド10と、ベルトユニット2200の筐体81に設けられた位置決め部材811aとを示している。図5(B)は、四つの記録ヘッド10が筐体81に対して位置決めされた状態を示している。位置決め部材811aは、第一当接部101aに対応した形状を有している。この例では、位置決め部材811aは、半球形状の凸部である。記録ヘッド10が筐体81に向けて下降することで、位置決め部材811aが第一当接部101aに嵌合する。これにより、記録ヘッド10が筐体81に対して位置決めされる。
【0035】
図6(A)は記録ヘッド10の一端側を示す。図6(B)は記録ヘッド10の他端側を示す。図6(C)は記録ヘッド10の斜視図である。ヘッドホルダ106R、106Lは記録ヘッド10を支持する支持部材である。ヘッドホルダ106R、106Lが退避位置から印刷位置に向けて下降することで、記録ヘッド10も下降する。これにより、第一当接部101aと位置決め部材811aとが嵌合する。また、第二当接部101bが筐体81に設けられた位置決め部材811bに嵌合すする。第三当接部101cは、位置決め部材811cに当接または係合する。これにより、記録ヘッド10の長手方向における両端がしっかりと位置決めされる。
【0036】
ヘッドホルダ106Rには、第一ピン107aの断面形状よりも大きな面積を有する開口161が設けられている。開口161の底部には、記録ヘッド10の第一ピン107aが係合する第一溝部161aが設けられている。
【0037】
ヘッドホルダ106Lには、略U字形状の開口162、163が設けられている。開口162の底部には第二溝部162a設けられている。開口163の底部には第三溝部163a設けられている。第二溝部162aには、記録ヘッド10の第二ピン107bが係合する。第三溝部163aには、記録ヘッド10の第三ピン107cが係合する。
【0038】
このように、第一ピン107aが第一溝部161aに係止され、第二ピン107bが第二溝部162aに係止され、第三ピン107cが第三溝部163aに係止されることで、記録ヘッド10がZ方向とY方向において位置決めされる。
【0039】
(6)インラインスキャナ
図7はインラインスキャナ1を示す。インラインスキャナ1は、シートSの搬送方向(Y方向)において記録ヘッド10の下流側に設けられた画像読取装置である。インラインスキャナ1は、プリントベルト25により搬送されるシートSに形成されている画像を読み取ることができる。
【0040】
インラインスキャナ1のハウジング2の中には、光学ボックス3、読取りガラス4および画像処理基板7が設けられている。光学ボックス3は、読取りガラス4を介してシートS自体の形状と、テスト画像とを読み取る。光学ボックス3は、Y方向に移動可能である。光学ボックス3の読取位置5は、シートSを読み取るための位置と、シェーディングシート6との間を移動できる。シェーディングシート6の読取結果は、光学ボックス3により取得された画像をシェーディング補正するために、使用される。シェーディングシート6は、白色基準板と呼ばれることもある。インラインスキャナ1は、記録ヘッド10同様に、ベルトユニット2200の筐体81に備えられた位置決め部材と当接して、位置決めされてもよい。
【0041】
(7)基準ヘッドと他のヘッドと間の相対的な傾き補正
記録部2300は、8個の記録ヘッド10を有している。8個の記録ヘッド10により描画される画像は、相互に平行でなければならない。8個の記録ヘッド10のうち、一つの記録ヘッド10(基準ヘッド)の傾きに対して、残りの7つの記録ヘッド10の傾きを調整することで、8個の記録ヘッド10間の相対的な傾きが補正されてもよい。
【0042】
プリントベルト25は、テスト画像(テストパーン)を形成されたシートSを読み取る。テスト画像の読取結果に基づき、一つの記録ヘッド10(基準ヘッド)に対して、残りの7つの記録ヘッド10の位置が調整される。
【0043】
ところで、画像の直角性を確保するためには、プリントベルト25と記録ヘッド10との間の傾きを、設計上で想定された目標値に合わせることが必要となる。テスト画像が形成されたシートSはインラインスキャナ1により読み取られる。この読取結果が、画像の直角性を確保するために、利用されてもよい。ただし、この場合は、プリントベルト25とインラインスキャナ1との間の傾きの校正も必要となる。
【0044】
(8)テスト画像
図8は直角性を補正するために使用されるテスト画像が形成されたシートSを示している。テスト画像は、シートSの四隅の近くにそれぞれ一つずつ設けられた四つの十字マークであってもよい。なお、このテスト画像は、プリントベルト25に対するシートSの搬送位置(担持位置)を調整するために使用されてもよい。このテスト画像は、シートSに対する主走査方向における書き出し位置と、シートSに対する副走査方向における書き出し位置との調整に使用されてもよい。また、このテスト画像は、画像の副走査方向における倍率と、画像の主走査方向における倍率とを調整するために使用されてもよい。
【0045】
図8によれば、シートSの第一隅の座標は(X1、Y1)と定義されている。シートSの第二隅の座標は(X2、Y2)と定義されている。シートSの第三隅の座標は(X3、Y3)と定義されている。シートSの第四隅の座標は(X4、Y4)と定義されている。第一マークの座標は(X5、Y5)と定義されている。第二マークの座標は(X6、Y6)と定義されている。第三マークの座標は(X7、Y7)と定義されている。第四マークの座標は(X8、Y8)と定義されている。
【0046】
なお、搬送方向(Y方向)と平行な方向は副走査方向と呼ばれることがある。搬送方向と直交するX方向は主走査方向と呼ばれることもある。テスト画像を形成されたシートSのインラインスキャナ1による読取結果から、(X1,Y1)~(X8,Y8)が演算される。
【0047】
(9)画像の直角性のずれに起因した表裏ずれ
プリントベルト25と記録ヘッド10との間のアライメントがずれてしまうと、画像の直角性が損なわれる。その結果、シートSの第一面に形成された画像の位置と、シートSの第二面に形成された画像の位置とが不一致となる。これは、表裏ずれと呼ばれる。
【0048】
図9はプリントベルト25によって担持されて搬送されるシートS、記録ヘッド10、およびインラインスキャナ1の関係を示している。θ1は、プリントベルト25の搬送方向に対して直交する方向と、記録ヘッド10の長手方向とが成す角度である。θ1は、プリントベルト25の搬送方向に対する記録ヘッド10の直角性のずれ角度を示す。記録ヘッド10は、プリントベルト25の搬送方向に対して直角な方向に並ぶ複数のノズルによりインクが吐出することが想定されている。したがって、直角性のずれ角度がθ1である場合、シートS上に形成される画像が平行四辺形となってしまう。
【0049】
シートSの両面に画像が形成される場合、第一面に画像が形成されたシートSは、反転処理を適用されて、再び、プリントモジュール2000へ搬送される。このときに、第二面に形成される画像も、θ1に応じた平行四辺形となる。
【0050】
図10はシートSの第一面に形成された画像Im1と第二面に形成された画像Im2との関係を示している。画像Im1と画像Im2とではそれぞれ反対方向に画像が傾いている。つまり、画像Im1の四隅と画像Im2の四隅とが一致しない。
【0051】
直角性が低下すると、画像の歪みおよび画像の位置ずれが発生する。シートSに形成された四つのマークの位置を熟練者がスケールで求めて、四つのマークの位置からθ1を求めてもよい。しかし、これでは、熟練者が必要となってしまう。画像の直角性を確保するために記録ヘッド10の位置を位置センサで測定する場合、記録ヘッド10ごとに位置センサが必要となる。8個の記録ヘッド10があれば、8個の位置センサが必要となる。プリントベルト25と記録ヘッド10との間のアライメントのずれ量を直接測ることは、熟練者であっても、極めて困難である。
【0052】
さらに、インラインスキャナ1がシートSに形成されたテスト画像を読み取ることで、熟練者に頼らずにθ1が測定可能となる。しかし、インラインスキャナ1とプリントベルト25との間のアライメントがずれている場合、θ1は不正確となる。
【0053】
(10)傾きの補正値の求め方
図11はプリントベルト25に対する記録ヘッド10の傾きθ1と、プリントベルト25に対するインラインスキャナ1の傾きθ2とを示している。以下では、インラインスキャナ1によりシートSの4隅の位置が取得されることが仮定されている。
【0054】
記録ヘッド10は、プリントベルト25により搬送されるシートSの四隅にテスト画像(例:十字マーク)を形成する。プリントベルト25はシートSをインラインスキャナ1へ搬送する。インラインスキャナ1は、プリントベルト25により搬送されるシートSの4隅に形成されたテスト画像を読み取る。これにより、四隅のテスト画像の座標(X5,Y5)~(X8,Y8)が取得される。
【0055】
図12(A)はシートSに形成されたテスト画像の傾きθ1を示す。図12(B)は、傾きθ1を有するテスト画像の読取結果を示す。読取結果は、傾きθ1だけでなく、傾きθ2の影響も受けている。そこで、読取結果から傾きθ2の影響が削減される必要がある。傾きθ2(校正値θ2と呼ばれてもよい)は、予め取得されてメモリ等に保持されていてもよい。
【0056】
θ1a = arctan((Y6-Y5)/(X6-X5)) ・・・(1)
θ1aは、シートSの搬送方向における先端側の画像の傾きの測定値を示す。
【0057】
θ1b = arctan((Y8-Y7)/(X8-X7)) ・・・(2)
θ1bは、シートSの搬送方向における後端側の画像の傾きの測定値を示す。
【0058】
θ1 = (θ1a+θ1b)/2 - θ2 ・・・(3)
このように、傾きθ1は、測定値θ1a、θ1bの統計値(例:平均値)から演算される。なお、演算の簡略化のために、以下のような演算が使用されてもよい。つまり、先端側の二つのテスト画像、または、後端側の二つのテスト画像から、傾きθ1が演算されてもよい。
【0059】
θ1 = θ1a- θ2 ・・・(4)
θ1 = θ1b- θ2 ・・・(5)
このようにして取得された傾きθ1は、記録ヘッド10の傾きの補正値として利用される。
【0060】
この例では、一枚のシートSに形成されたテスト画像から傾きθ1が演算されているが、これは一例にすぎない。記録ヘッド10は、N枚のシートSにテスト画像を形成し、インラインスキャナ1がN枚のシートSに形成されたテスト画像を読み取ってもよい。Nは2以上の整数である。この場合、N個のθ1aとN個のθ1bとが取得される。よって、N個のθ1aの平均値と、N個のθ1bの平均値とが(3)に代入される。これにより、インラインスキャナ1による読取り誤差の影響が低減される。その結果、記録ヘッド10とプリントベルト25との間のアライメントずれの補正精度が向上する。
【0061】
(11)傾きの補正方法
以下では、傾きθ1は補正値θ1と表記される。直角性を補正するために補正値θ1を適用する複数の方法が存在する。
【0062】
(11-1)プリントベルト25の搬送方向を補正する
図3に関連して説明されたように、モータM2a、M2bはプリントベルト25の搬送方向を変更できる。ベルトセンサ30a、30bはプリントベルト25の搬送方向を検知できる。よって、ベルトセンサ30a、30bにより検知されるプリントベルト25の搬送方向が補正値θ1だけずれるように、モータM2a、M2bはプリントベルト25の搬送方向を変更する。これにより、プリントベルト25と記録ヘッド10との間の直交性が精度よく確保される。
【0063】
(11-2)インクの吐出タイミングをオフセットする
記録ヘッド10の長手方向には複数のノズルが配置されている。よって、複数のノズルのそれぞれからのインクの吐出タイミングが、各ノズルの長手方向における位置と補正値θ1とに応じてずらされてもよい。
【0064】
一例として、X方向においてM個のノズルが並んでいることが仮定される。この場合、i番目のノズルの吐出タイミングに適用されるオフセット値Offset_iは以下の通りである。
【0065】
Offset_i = (x(i)/v)tanθ1 ・・・(6)
ここで、x(i)はi番目のノズルのX方向における位置を示す。vはプリントベルト25の搬送速度である。よって、i番目のノズルの吐出タイミングt_iは以下の式から演算される。
【0066】
t_i = t0_i - Offset_i ・・・(7)
ここで、t0_iは、補正値θ1を求めるためのテスト画像を形成する際に使用された、i番目のノズルの吐出タイミングである。t0_iとOffset_iはメモリ等に格納される。
【0067】
(11-3)画像を事前に変形する(プリディストーション)
原稿画像が補正値θ1に応じて反対方向に変形されてもよい。つまり、プリントモジュール2000における傾き特性の逆特性が予め原稿画像に適用される。これにより、プリントモジュール2000における傾き特性は、原稿画像の変形によって、相殺される。
【0068】
(11-4)記録ヘッド10の傾きを補正する
記録ヘッド10の傾きが補正値θ1に応じてモータ等により補正されてもよい。この場合、8個の記録ヘッド10をそれぞれ移動させるためのモータが必要となる。
【0069】
(12)θ2の求め方
図13は傾きθ2の求め方を示す。校正チャートS0は、シートSに対して四つのテスト画像が正確に形成されたシートSである。ただし、校正チャートS0に形成された四つのテスト画像に傾きθ2c'が生じていてもよい。この場合、傾きθ2c'は、あらかじめ2.5次元測定装置等により測定される。
【0070】
プリントベルト25は、校正チャートS0を搬送し、インラインスキャナ1が校正チャートS0を読み取る。校正チャートS0の読取結果から四つのテスト画像の傾きθ2cが測定される。この場合、校正値である傾きθ2は、次式から演算される。
【0071】
θ2 = θ2c - θ2c' ・・・(8)
傾きθ2は、インラインスキャナ1の記憶装置などに記憶される。校正チャートS0は、樹脂フィルム、または、樹脂コーティングされた紙など、水分量変化が小さく、かつ、形状が安定しているシートである。θ2は、たとえば、プリントモジュール2000が工場から出荷されるとき、または、プリントモジュール2000が顧客の居室に設置されるときに、取得されてもよい。
【0072】
(13)コントローラ
図14はインクジェット記録装置100のコントローラ1400を示す。コントローラ1400は、CPU1401とメモリ1410とを有している。CPU1401は、メモリ1410に記憶されている制御プログラムを実行することで、様々な機能を実現する。CPU1401により実現される機能のすべてまたは一部が、DSP、ASICまたはFPGAなどの他のハードウエア回路により実現されてもよい。DSPはデジタル信号プロセッサの略称である。ASICは特定用途向け集積回路の略称である。FPGAはフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。メモリ1410は、揮発性メモリ(例:RAM)、不揮発性メモリ(例:ROM)、ハードディスクドライブ(HDD)およびソリッドステートドライブ(SSD)などを含みうる記憶装置である。コントローラ1400には、ユーザ入力を受け付けるための入力装置1451と、ユーザに対する情報を表示するための表示装置1452に接続されていてもよい。
【0073】
テスト部1402は、インクジェット記録装置100を制御して、シートSにテスト画像を形成する。画像取得部1403は、インラインスキャナ1を制御して、シートSに形成されているテスト画像を読み取らせる。これにより、画像取得部1403は、テスト画像の読取結果を取得する。補正部1404は、テスト画像の読取結果と、メモリ1410に保持されている傾きθ2(校正値)とに基づき補正値θ1を求め、画像の直角性を補正する。
【0074】
記録部2300は、ヘッド制御部1430を有している。ヘッド制御部1430は、CPU1401から出力される画像信号に応じて記録ヘッド10を制御する。ヘッド制御部1430は、補正部1404から出力される制御命令にしたがってモータM3を駆動して記録ヘッド10の傾きを補正する。モータM3はオプションである。
【0075】
ベルトユニット2200は、ベルト制御部1420を有している。ベルト制御部1420は、モータM1を制御して、プリントベルト25の蛇行を低減する。ベルト制御部1420は、ベルトセンサ30a、30bを制御してプリントベルト25の搬送方向を検知する。ベルト制御部1420は、補正値θ1がプリントベルト25の搬送方向に適用されるよう、補正値θ1に応じてモータM2a、M2bを制御する。
【0076】
図15は、補正部1404の詳細を示す。θ2取得部1501は、メモリ1410から傾きθ2を取得する。なお、θ2取得部1501は、たとえば、(6)式を用いて傾きθ2を演算してもよい。
【0077】
θ1a演算部1502は、インラインスキャナ1によるテスト画像の読取結果から傾きθ1aを演算する。たとえば、θ1a演算部1502は、(1)式を用いて傾きθ1aを演算してもよい。
【0078】
θ1b演算部1503は、インラインスキャナ1によるテスト画像の読取結果から傾きθ1bを演算する。たとえば、θ1b演算部1503は、(2)式を用いて傾きθ1bを演算してもよい。
【0079】
統計部1504は、傾きθ1aと傾きθ1bとに基づき統計値(例:傾きθ1aと傾きθ1bの平均値)を求める。θ1演算部1505は、傾きθ2と統計値とから傾きθ1(補正値θ1)を求める。
【0080】
ベルト調整部1506、ヘッド調整部1507、タイミング調整部1508および画像変形部1509はオプションである。これらのうちの一つ以上が存在すればよい。ベルト調整部1506は、補正値θ1に応じてプリントベルト25の搬送方向を制御するよう、ベルト制御部1420に制御命令を送信する。ヘッド調整部1507は、補正値θ1に応じて記録ヘッド10の傾きを調整するよう、ヘッド制御部1430に制御命令を送信する。タイミング調整部1508は、補正値θ1に応じて、記録ヘッド10に設けられている複数のヘッドの吐出タイミングのオフセット値を演算し、各ヘッドの吐出タイミングのオフセット値をヘッド制御部1430に設定する。ヘッド制御部1430は、各ヘッドの吐出タイミングのオフセット値にしたがって、各ヘッドの吐出タイミングを基準タイミングからオフセットする。画像変形部1509は、補正値θ1に応じて原稿画像を事前に変形させる。これは、プリディストーションと呼ばれてもよい。
【0081】
図16は、θ2取得部1501の一例を示す。θ2c演算部1601は、インラインスキャナ1に校正チャートS0を読み取らせ、読取結果から傾きθ2cを演算する。θ2c'取得部1602は、メモリ1410からθ2c'を読み出したり、入力装置1451を通じて操作者により入力されるθ2c'を受け付けたりする。θ2演算部1603は、(6)式に従って傾きθ2を演算する。
【0082】
(14)フローチャート
図17はCPU1401により実行される制御方法を示すフローチャートである。
【0083】
S1701でCPU1401(テスト部1402)は、インクジェット記録装置100を制御してシートSにテスト画像を形成する。たとえば、給送モジュール1000はCPU1401からの給送命令にしたがってシートSの給送と搬送を開始する。プリントモジュール2000は、CPU1401から命令にしたがってシートSを搬送しながら、シートS上にテスト画像を形成する。
【0084】
S1702でCPU1401(画像取得部1403)は、インラインスキャナ1を用いてテスト画像を読み取る。これによりテスト画像の読取結果(画像データ)が取得される。
【0085】
S1703でCPU1401(補正部1404)は、テスト画像の読取結果に基づきテスト画像の座標を取得する。図8が示すように、四つのテスト画像の座標(X5,Y5)~(X8,Y8)が取得される。
【0086】
S1704でCPU1401(θ1a演算部1502、θ1b演算部1503)は、四つのテスト画像の座標(X5,Y5)~(X8,Y8)から傾きθ1a、θ1bを取得する。たとえば、(1)式と(2)式とが使用されて、傾きθ1a、θ1bが演算されてもよい。
【0087】
S1705でCPU1401(統計部1504)は、傾きθ1a、θ1bについて統計処理を実行数する。(3)式が示すように、統計処理は、傾きθ1a、θ1bの平均値と求める処理であってもよい。また、N枚のシートSの読取結果が存在する場合、N枚のシートSから取得されたN個の平均値について、さらにその平均値が求められてもよい。
【0088】
S1706でCPU1401(θ2取得部1501)は、校正値θ2を取得する。校正値θ2は、メモリ1410から取得されてもよい。あるいは、インラインスキャナ1が校正チャートS0を読み取り、CPU1401が読取結果に基づき、校正値θ2を演算してもよい。この際には、(8)式が使用されてもよい。
【0089】
S1707でCPU1401(θ1演算部1505)は、傾きθ1a、θ1bの統計値と校正値θ2とに基づき補正値θ1を決定する。これは、(3)式に関して説明された通りである。
【0090】
S1708でCPU1401(ベルト調整部1506、ヘッド調整部1507、タイミング調整部1508、画像変形部1509)は、補正値θ1に基づき画像の直角性を補正する。上述されたように、直角性の補正方法は少なくとも四種類ある。
【0091】
図18はプリントベルト25の搬送方向を変更することで画像の直角性を補正する方法を示している。以下の処理は、S1708を詳細に示したものである。
【0092】
S1801でCPU1401(ベルト調整部1506)は、ベルトセンサ30a、30bにより検知形状35を検知する。これにより、検知形状35付近の画像が取得される。
【0093】
S1802でCPU1401(ベルト調整部1506)は、ベルトセンサ30a、30bにより取得された二つの検知形状35の中心位置を求める。
【0094】
S1803でCPU1401(ベルト調整部1506)は、二つの検知形状35の中心位置からプリントベルト25の搬送方向を求める。ここで、搬送方向は、基準となる方向に対する傾き角度として求められてもよい。
【0095】
S1804でCPU1401(ベルト調整部1506)は、補正値θ1に応じてモータM2a、M2bの駆動量を決定する。たとえば、メモリ1410には、補正値θ1を入力とし、モータM2a、M2bの駆動量を出力とする、数学的関数、テーブルまたはプログラムモジュールが記憶されていてもよい。CPU1401は、これらを用いて補正値θ1に応じたモータM2a、M2bの駆動量を決定してもよい。
【0096】
S1805でCPU1401(ベルト調整部1506)は、決定された駆動量に応じてモータM2a、M2bを駆動する。これにより、プリントベルト25の搬送方向が補正値θ1だけずれることになる。
【0097】
S1806でCPU1401(ベルト調整部1506)は、ベルトセンサ30a、30bにより検知形状35を検知する。これにより、搬送方向を補正されたプリントベルト25の検知形状35付近の画像が取得される。
【0098】
S1807でCPU1401(ベルト調整部1506)は、ベルトセンサ30a、30bにより取得された二つの検知形状35の中心位置を求める。
【0099】
S1808でCPU1401(ベルト調整部1506)は、二つの検知形状35の中心位置からプリントベルト25の搬送方向を求める。
【0100】
S1809でCPU1401(ベルト調整部1506)は、S1803で取得された搬送方向とS1808で取得された搬送方向との差Δθと補正値θ1とに基づき補正誤差があるかどうかを判定する。補正誤差が許容できないほど大きければ、CPU1401は処理をS1810に進める。補正誤差が許容範囲内であれば、CPU1401は、補正処理を終了する。
【0101】
S1810でCPU1401(ベルト調整部1506)は、補正誤差が小さくなるように、モータM2a、M2bを駆動する。その後、CPU1401は処理をS1810からS1806に進める。S1806からS1810は、補正誤差が許容範囲内になるまで、繰り返される。
【0102】
図19は、補正値θ1に応じてノズルの吐出タイミングを補正する方法を示している。ここでは、記録ヘッド10はX方向に並べられたM個のノズルを有しているものとする。
【0103】
S1901でCPU1401(タイミング調整部1508)は、補正値θ1に基づきi番目のノズルの吐出タイミングのオフセット値Offset_iを求める。これには、(6)式が使用されてもよい。
【0104】
S1902でCPU1401(タイミング調整部1508)は、i番目のノズルの吐出タイミングの初期値t0_iを取得する。初期値t0_iは、補正値θ1を求めるためのテスト画像を形成する際に使用された、i番目のノズルの吐出タイミングである。
【0105】
S1903でCPU1401(タイミング調整部1508)は、オフセット値Offset_iと初期値t0_iとに基づき、i番目のノズルの吐出タイミングt_iを補正する。
【0106】
S1904でCPU1401(タイミング調整部1508)は、メモリ1410に記憶されているi番目のノズルの吐出タイミングを更新する。メモリ1410には初期値t0_iが記憶されているため、初期値t0_iがt_iで上書きされてもよい。ヘッド制御部1430は、メモリ1410に保持される各ノズルごとの吐出タイミング(初期値t0_i)に応じてインクを吐出する。
【0107】
S1905でCPU1401(タイミング調整部1508)は、iがMに等しいかどうかを判定する。つまり、1番目のノズルからM番目のノズルまでのすべてについて吐出タイミングが補正されたかどうかが判定される。iがMに等しい場合、CPU1401は、補正処理を終了する。一方で、iがM未満である場合、CPU1401は処理をS1905からS1906に進める。
【0108】
S1906でCPU1401(タイミング調整部1508)は、iに1を加算する。その後、CPU1401は、処理をS1901に進める。
【0109】
本実施例によれば、プリントベルト25と記録ヘッド10との間の傾きが精度よく補正される。これにより、画像の直角性が確保される。または、表裏ずれも小さくなる。
【0110】
(15)実施例から導き出される技術思想
(項目1)
プリントベルト25はシートSを吸引して既定の搬送方向に搬送する搬送手段の一例である。インラインスキャナ1は記録ヘッド10によりテスト画像を形成され、搬送手段により搬送されるシートSから、当該テスト画像を読み取る読取手段の一例である。メモリ1410は、搬送手段に対する読取手段のアライメントの傾きに関するデータ(例:傾き量θ2)を予め記憶する記憶手段の一例である。CPU1401および補正部1404は、テスト画像の読取結果と、搬送手段の既定の搬送方向に対する読取手段のアライメントの傾きに関するデータと、に基づき、シートに形成される画像の形を制御する制御手段として機能する。これにより、画像形成装置における画像の形が、安価でかつ精度よく、維持される。
(項目2)
CPU1401および補正部1404は、テスト画像の読取結果に基づき記録ヘッド10と搬送手段との間の相対的な傾き量θ1を求め、シートSに形成される画像の直角性を補正する補正手段の一例である。直角性は、たとえば、搬送手段に対する読取手段のアライメントの傾き量θ2と、記録ヘッド10と搬送手段との間の相対的な傾き量θ1とに基づき、補正される。これにより、画像形成装置における画像の形(とりわけ、直角性)が、安価でかつ精度よく、維持される。
(項目3)
図13が示すように、傾き量θ2を取得するためのテストチャート(例:校正チャートS0)が搬送手段により搬送される。CPU1401およびθ2演算部1603は、テストチャートの読取結果に基づき傾き量θ2を演算し、傾き量θ2を記憶手段に記憶させる演算手段の一例である。これにより、インラインスキャナ1とプリントベルト25との間のアライメントが正確に調整される。
(項目4)
CPU1401およびθ2演算部1603は、測定器(例:2.5次元測定装置)により測定された傾き量θ2c'を、インラインスキャナ1によるテストチャートの読取結果から取得された傾き量θ2cから傾き量θ2を演算してもよい。これにより、インラインスキャナ1とプリントベルト25との間のアライメントが正確に調整される。
(項目5)
図13が例示するように、テストチャート(例:校正チャートS0)は、シートと、当該シートに対して直交度を満たすように形成されたテスト画像とを含む。これにより、インラインスキャナ1とプリントベルト25との間の傾き量θ2が精度よく取得されるようになろう。
(項目6)
CPU1401および補正部1404は、傾き量θ2と傾き量θ1とに基づき、搬送手段の搬送方向を調整する調整手段(例:ベルト調整部1506、モータM2a、M2b)を有してもよい。これにより、プリントベルト25と記録ヘッド10との間のアライメントが精度よく調整され、画像の直角性が維持される。
(項目7)
プリントベルト25は無端状のベルトの一例である。無端状のベルトは少なくとも二つ以上のローラ(例:張架ローラ21、24)に張架されて回転するように構成されていてもよい。二つ以上のローラのうち第一ローラ(例:張架ローラ21)と第二ローラ(例:張架ローラ24)との間における無端状のベルトの外周面(例:画像形成面26)にシートSが担持されて搬送される。CPU1401および補正部1404は、調整手段(例:ベルト調整部1506、モータM2a、M2b)により第一ローラまたは第二ローラの少なくとも一方を回転軸方向に移動させる。これにより、画像の直角性を補正されてもよい。
(項目8)
ベルトセンサ30a、30bは、無端状のベルトの幅方向(例:X方向)における少なくとも一方の端部を検知する検知手段の一例である。ベルト調整部1506は、傾き量θ2と傾き量θ1とに基づき、一方の端部が通過すべき位置を求め、検知手段により検知される一方の端部の位置が、一方の端部が通過すべき位置と等しくなるように、搬送手段の搬送方向を調整してもよい。このように、搬送方向がセンサにより検知されると、搬送方向の調整がより正確になろう。
(項目9)
CPU1401および補正部1404は、傾き量θ2と傾き量θ1とに基づき、記録ヘッド10の取付角度を調整する調整手段(例:ヘッド調整部1507、モータM3)を有してもよい。これにより、プリントベルト25と記録ヘッド10との間のアライメントが精度よく調整され、画像の直角性が維持される。このように、プリントベルト25と記録ヘッド10とのうちの少なくとも一方が移動すればよい。
(項目10)
図4が例示するように、記録ヘッド10は、記録ヘッド10の長手方向に沿って配置され、それぞれインクと吐出する複数のノズルを有する。CPU1401および補正部1404は、傾き量θ2と傾き量θ1とに基づき、複数のノズルの吐出タイミングを調整する調整手段(例:タイミング調整部1508)を有する。
(項目11)
CPU1401および補正部1404は、傾き量θ2と傾き量θ1とに基づき、画像の元になる画像データを補正することで、記録ヘッド10の直角性の特性に対して事前に逆特性となるように画像を変形させる。記録ヘッド10は事前に変形された画像を形成する。このように、元画像を変形することで、シートS上に形成される画像の直角性が維持されてもよい。
(項目12)
図8が例示するように、テスト画像は、シートSの四つの角に対応する四つの基準画像(例:十字マーク)を含んでもよい。CPU1401および補正部1404は、読取結果に含まれる四つの基準画像のうち、第一基準画像と第二基準画像とを結ぶ直線と、シートSの搬送方向においてシートの先端側の辺との間の傾き(例:θ1a)を求める。さらに、CPU1401および補正部1404は、第三基準画像と第四基準画像とを結ぶ直線と、シートSの搬送方向においてシートの後端側の辺との間の傾き(例:θ1b)とを求める。さらに、これらの平均値が求められてもよい。CPU1401および補正部1404は、この平均値から傾き量θ2を減算することで傾き量θ1を求め、傾き量θ1に応じて画像の直角性を補正してもよい。このように、統計的手法を用いることで、より精度よく、画像の直角性が補正される。
(項目14)
テスト画像は、シートSの四つの角のうちシートSの搬送方向においてシートSの先端側の辺に近い二つの角に対応する二つの基準画像を含んでもよい。CPU1401および補正部1404は、読取結果に含まれる二つの基準画像を結ぶ直線と、シートSの先端側の辺との間の傾きから傾き量θ2を減算することで、傾き量θ1を求めてもよい。
(項目14)
テスト画像は、シートSの四つの角のうちシートSの搬送方向においてシートSの後端側の辺に近い二つの角に対応する二つの基準画像を含んでもよい。CPU1401および補正部1404は、二つの基準画像を結ぶ直線と、シートSの後端側の辺との間の傾きから傾き量θ2を減算することで傾き量θ1を求めてもよい。
(項目15)
複数のシートSにそれぞれテスト画像が形成されてもよい。インラインスキャナ1は、搬送される複数のシートSにそれぞれ形成されたテスト画像から複数の読取結果を取得してもよい。CPU1401および補正部1404は、複数の読取結果から傾き量θ1の平均値を求め、傾き量θ2と傾き量θ1の平均値とに基づき画像の直角性を補正してもよい。これにより、さらに精度よく、画像の直角性が補正される。
(項目16)
CPU1401および補正部1404は、読取結果に含まれる四つの基準画像の座標と、アライメントの傾きに関するデータと、に基づき、シートに形成される画像の形を制御してもよい。たとえば、CPU1401および補正部1404は、テスト画像の読取結果から4つの十字マークの座標を求め、この座標とアライメントの傾きに関するデータとを演算式に入力して、直角性を補正する補正値を演算してもよい。演算式は、事前に求められ、メモリ1410に記憶されている。
(項目17)
記録手段は、トナーを用いてシートに画像を形成する画像形成手段(例:感光体ドラム)であってもよい。
(項目18)
反転部4200は、第一面に画像が形成されたシートSを反転する反転手段の一例である。両面搬送経路5300は、反転手段により反転されたシートSを搬送手段へ搬送する搬送経路の一例である。記録ヘッド10は、第一面に画像が形成されたシートSの第二面に画像を形成する。画像の直角性が補正されることで、表裏ずれも削減される。
【0111】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0112】
25:プリントベルト、10:記録ヘッド、1:インラインスキャナ、1410:メモリ、1401:CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19