(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175489
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】検査装置及び検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/04 20060101AFI20241211BHJP
G01M 3/16 20060101ALI20241211BHJP
B65B 57/02 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G01N27/04 A
G01M3/16 Z
B65B57/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093318
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】517169285
【氏名又は名称】プレミアムウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100188156
【弁理士】
【氏名又は名称】望月 義時
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】中沢 毅
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 成彰
【テーマコード(参考)】
2G060
2G067
【Fターム(参考)】
2G060AA08
2G060AC01
2G060AE12
2G060AF02
2G060AF07
2G060AG11
2G060FA01
2G060HC15
2G060KA05
2G067AA45
2G067BB30
2G067CC02
2G067DD22
2G067DD23
(57)【要約】
【課題】ボトルの水漏れを精度良く検査する。
【解決手段】飲料水を収容するボトル100の首部102とキャップ104の嵌合状態を検査する検査装置は、首部102及びキャップ104の少なくとも一方に接触するプレートを有する高圧電極部32と、ボトル100の首部102及びキャップ104以外の部分に接触するプレートを有する検出電極部38と、高圧電極部32に電圧を供給する供給部と、供給部が高圧電極部32に電圧を供給している際に検出電極部38を流れる電流を検出する検出部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水を収容するボトルの首部とキャップの嵌合状態を検査する検査装置であって、
前記首部及び前記キャップの少なくとも一方に接触するプレートを有する第1電極部と、
前記ボトルの前記首部及び前記キャップ以外の部分に接触するプレートを有する第2電極部と、
前記第1電極部に電圧を供給する供給部と、
前記供給部が前記第1電極部に電圧を供給している際に前記第2電極部を流れる電流を検出する検出部と、
を備える、検査装置。
【請求項2】
前記検出部が検出した電流が所定の閾値以上である場合には、前記ボトルに水漏れが発生していると判定し、前記電流が前記閾値未満である場合には、前記水漏れが発生していないと判定する判定部を更に備える、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記ボトルを押圧する押圧部を更に備え、
前記供給部は、前記押圧部が前記ボトルを押圧している際に、前記第1電極部に電圧を供給する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記第1電極部及び第2電極部は、横向きの前記ボトルを搬送する搬送路に設けられ、
前記検出部は、搬送中の前記ボトルが前記第1電極部及び前記第2電極部を通過する際に、前記電流を検出する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記第1電極部は、前記首部を挟むように互いに対向している第1プレート及び第2プレートを含み、
前記第1プレート及び前記第2プレートは、前記搬送路の下流側の対向部分の間隔が上流側の対向部分の間隔よりも小さくするように、配置されている、
請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記第1プレートの前記上流側の部分を回動可能に支持する第1支持部と、
前記第1プレートの前記下流側の部分を、前記第2プレートに向かって付勢している第1付勢部材と、を更に備える、
請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記第2プレートの前記上流側の部分を回動可能に支持する第2支持部と、
前記第2プレートの前記下流側の部分を、前記第1プレートに向かって付勢している第2付勢部材と、を更に備える、
請求項5に記載の検査装置。
【請求項8】
前記首部及び前記キャップの少なくとも一方から前記第1電極部に力が作用した際に、前記第1電極部を揺動させる揺動部を更に備える、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項9】
前記第1電極部は、前記首部に対向する面に設けられ、前記首部の外周面に設けられたリブが挿通可能な凹部を有する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の検査装置と、
前記ボトルの搬送路に設けられた前記検査装置に、横向きの前記ボトルを搬送する搬送部と、
を備える、検査システムであって、
前記検出部は、前記検査装置を通過する前記ボトルに接触する前記第1電極部に電圧を供給している際に、前記第2電極部を流れる電流を検出する、
検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置及び検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、飲料サーバーに装着可能なボトルが開示されている。ボトルの密封性を確保する観点から、ボトルに飲料水を充填した後に、ボトルの首部にキャップを嵌合させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャップが首部に適切に嵌合していない場合には、キャップと首部の間から水漏れが発生することがある。このため、従来では、ボトルの出荷前に、水漏れがあるか否かを作業者が目視で検査していた。しかし、上記の検査方法では、作業者の熟練度によっては、水漏れを見落とすおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ボトルの水漏れを精度良く検査することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、飲料水を収容するボトルの首部とキャップの嵌合状態を検査する検査装置であって、前記首部及び前記キャップの少なくとも一方に接触するプレートを有する第1電極部と、前記ボトルの前記首部及び前記キャップ以外の部分に接触するプレートを有する第2電極部と、前記第1電極部に電圧を供給する供給部と、前記供給部が前記第1電極部に電圧を供給している際に前記第2電極部を流れる電流を検出する検出部と、を備える、検査装置を提供する。
【0007】
また、前記検出部が検出した電流が所定の閾値以上である場合には、前記ボトルに水漏れが発生していると判定し、前記電流が前記閾値未満である場合には、前記水漏れが発生していないと判定する判定部を更に備えることとしてもよい。
【0008】
また、前記ボトルを押圧する押圧部を更に備え、前記供給部は、前記押圧部が前記ボトルを押圧している際に、前記第1電極部に電圧を供給することとしてもよい。
【0009】
また、前記第1電極部及び第2電極部は、横向きの前記ボトルを搬送する搬送路に設けられ、前記検出部は、搬送中の前記ボトルが前記第1電極部及び前記第2電極部を通過する際に、前記電流を検出することとしてもよい。
【0010】
また、前記第1電極部は、前記首部を挟むように互いに対向している第1プレート及び第2プレートを含み、前記第1プレート及び前記第2プレートは、前記搬送路の下流側の対向部分の間隔が上流側の対向部分の間隔よりも小さくするように、配置されていることとしてもよい。
【0011】
また、前記第1プレートの前記上流側の部分を回動可能に支持する第1支持部と、前記第1プレートの前記下流側の部分を、前記第2プレートに向かって付勢している第1付勢部材と、を更に備えることとしてもよい。
【0012】
また、前記第2プレートの前記上流側の部分を回動可能に支持する第2支持部と、前記第2プレートの前記下流側の部分を、前記第1プレートに向かって付勢している第2付勢部材と、を更に備えることとしてもよい。
【0013】
また、前記首部及び前記キャップの少なくとも一方から前記第1電極部に力が作用した際に、前記第1電極部を揺動させる揺動部を更に備えることとしてもよい。
【0014】
また、前記第1電極部は、前記首部に対向する面に設けられ、前記首部の外周面に設けられたリブが挿通可能な凹部を有することとしてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、上記の検査装置と、前記ボトルの搬送路に設けられた前記検査装置に、横向きの前記ボトルを搬送する搬送部と、を備える、検査システムであって、前記検出部は、前記検査装置を通過する前記ボトルに接触する前記第1電極部に電圧を供給している際に、前記第2電極部を流れる電流を検出する、検査システムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ボトルの水漏れを精度良く検査できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】ボトル検査システムSの概要を説明するための模式図である。
【
図2】ボトル検査システムSのブロック構成を示す模式図である。
【
図3】横倒しユニット12の構成を説明するための模式図である。
【
図4】押圧ベルト24の構成を説明するための模式図である。
【
図5】検査ユニット30の構成を説明するための模式図である。
【
図6】検査ユニット30の構成を説明するための模式図である。
【
図10】第3変形例を説明するための模式図である。
【
図11】ボトルの水漏れ検査の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<ボトル検査システムの構成>
図1は、ボトル検査システムSの概要を説明するための模式図である。
図2は、ボトル検査システムSのブロック構成を示す模式図である。
【0019】
ボトル検査システムSは、ボトル100の出荷前に、ボトル100の水漏れを検査するシステムである。ボトル検査システムSは、自動で多数のボトル100の水漏れを連続して検査可能である。ボトル検査システムSは、
図1及び
図2に示すように、第1搬送部10と、横倒しユニット12と、第2搬送部20と、検査ユニット30と、第3搬送部60と、排除ユニット62と、制御装置70を有する。
【0020】
第1搬送部10は、縦向きに置かれたボトル100を搬送する。第1搬送部10は、一例としてベルト式の搬送コンベアであり、矢印に示す方向にボトル100を搬送する。予め水が充填されたボトル100が、第1搬送部10に縦向きで載置されている。
【0021】
横倒しユニット12は、ボトル100を横向きに倒すためのユニットである。横倒しユニット12は、第1搬送部10の搬送方向の下流側に設けられている。横倒しユニット12は、ここではエアシリンダであり、ピストン13を前進させたり後退させたりする。ピストン13が前進してボトル100を押すことで、ボトル100が横向きに倒れる。
【0022】
図3は、横倒しユニット12の構成を説明するための模式図である。
図3(a)には、ピストン13の後退位置が示され、
図3(b)にはピストン13の前進位置が示されている。ピストン13が後退位置から前進位置へ移動する際に、ピストン13がボトル100の首部102を押すことでボトル100が横向きに倒れる。
なお、上記では、ピストン13がボトル100を横倒しすることとしたが、これに限定されない。例えば、ピストン13以外に押し出し動作が可能なアクチュエータが横倒ししてもよい。また、ピストン13の押し倒し方向とは反対側からボトル100を引き倒す機構を設けてもよい。
【0023】
図4は、第2搬送部20の構成を説明するための模式図である。
図4では、説明の便宜上、検査ユニット30が省略されている。
第2搬送部20は、横向きのボトル100を搬送する。第2搬送部20は、
図4に示すように、搬送ベルト22と、押圧ベルト24を有する。搬送ベルト22は上下方向の下側に位置し、押圧ベルト24は上下方向の上側に位置する。
【0024】
搬送ベルト22は、横向きのボトル100を矢印に示す方向に搬送する。押圧ベルト24は、搬送ベルト22に対向している。押圧ベルト24は、搬送ベルト22とでボトル100を挟むことで、ボトル100を押圧する。本実施形態では、押圧ベルト24が、ボトル100を押圧する押圧部として機能する。
【0025】
搬送ベルト22は、反時計方向に回転することで、ボトル100を搬送する。押圧ベルト24は、時計方向に回転している。押圧ベルト24は、搬送ベルト22との距離がボトル100の幅よりも小さくなる位置に、設けられている。このため、搬送ベルト22で搬送されてきたボトル100が、回転中の押圧ベルト24に押圧されることで、ボトル100が圧縮される。これにより、キャップ104とボトル100の首部102との嵌合が適切でない場合には、圧縮されたボトル100のキャップ104と首部102の間から水漏れが発生しやすくなる。
なお、上記では、押圧ベルト24によってボトル100を押圧することとしたが、これに限定されない。例えば、シリンダーやアクチュエータでボトル100を物理的に圧迫する機構を設けてもよい。また、ボトル100を囲うチャンバー等を真空にしてボトル100を圧迫する機構でもよく、この場合には、負圧によってボトル100の水漏れを促すことができる。さらに、ボトル100を圧迫する機構を有さずに、ボトル100の水漏れを促す構成であってもよい。
【0026】
検査ユニット30は、第2搬送部20においてボトル100の検査位置に設けられている。検査ユニット30は、第2搬送部20が搬送中のボトル100に水漏れがあるか否かを検査する。具体的には、検査ユニット30は、押圧ベルト24がボトル100を押圧している際に、ボトル100に水漏れがあるか否かを検査する。検査ユニット30の詳細構成については、後述する。
【0027】
第3搬送部60は、検査後のボトル100を更に搬送方向の下流側に搬送する。第3搬送部60も、一例としてベルト式のコンベアであり、搬送ベルトがボトル100を搬送する。
【0028】
排除ユニット62は、水漏れが検出されたボトル100を排除するためのユニットである。排除ユニット62は、第3搬送部60に設けられている。排除ユニット62は、横倒しユニット12と同様にエアシリンダであり、ピストン63を前進させたり後退させたりする。ピストン63が前進する際にボトル100を押し出すことで、ボトル100が排除される。具体的には、ピストン63が横向きのボトル100の底部を押し出すことで、ボトル100が排除される。なお、水漏れが発生していないボトル100は、ピストン63が後退位置に位置した状態で第3搬送部60によって下流側に搬送され、出荷されることになる。
【0029】
制御装置70は、第1搬送部10、第2搬送部20、検査ユニット30及び第3搬送部60の動作を制御する。制御装置70は、
図2に示すように、記憶部72と制御部74を有する。
【0030】
記憶部72は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部72は、制御部74が実行するプログラムを記憶している。記憶部72は、水漏れを判定するための電流の閾値を記憶している。
【0031】
制御部74は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はECU(Electronic Control Unit)等のプロセッサである。制御部74は、記憶部72に記憶されたプログラムを実行することにより、搬送制御部80、供給部82、検出部84及び判定部86として機能する。
【0032】
搬送制御部80は、第1搬送部10、第2搬送部20及び第3搬送部60を動作させて、ボトル100を搬送させる。搬送制御部80は、横倒しユニット12を動作させて、立向きのボトル100を横向きに倒す。また、搬送制御部80は、排除ユニット62を動作させて、水漏れが検出されたボトル100を排除する。
【0033】
供給部82、検出部84及び判定部86は、搬送中のボトル100の水漏れを検出する機能を有するが、詳細については後述する。
【0034】
<検査装置の詳細構成>
本実施形態においては、検査ユニット30及び制御装置70が、ボトル100の水漏れを検査する検査装置90としての機能を有する。
【0035】
検査装置90は、飲料水を収容するボトル100の首部102とキャップ104の嵌合状態を検査することで、首部102とキャップ104の間からの水漏れを検査する。以下では、検査ユニット30及び制御装置70の詳細構成について説明する。
【0036】
図5は、検査ユニット30の構成を説明するための模式図である。
図6は、検査ユニット30の構成を説明するための模式図である。
図7は、高圧電極部32を示す模式図である。なお、
図7(a)には、高圧電極部32を上側から見た図が示され、
図7(b)には、高圧電極部32を下側から見た図が示されている。
【0037】
検査ユニット30は、高圧電極部32と、高圧電極部34と、検出電極部38とを有する。本実施形態において、高圧電極部32、34が第1電極部に該当し、検出電極部38が第2電極部に該当する。
【0038】
高圧電極部32、高圧電極部34及び検出電極部38は、横向きのボトル100を搬送する第2搬送部20の搬送路に設けられている。ここでは、高圧電極部32及び高圧電極部34は陽極であり、検出電極部38は陰極である。高圧電極部32と高圧電極部34は、互いに対向するように配置されている。高圧電極部32は、筐体36の下部36aに固定されており、高圧電極部34は、筐体36の上部36bに固定されている。
【0039】
高圧電極部32は、
図5に示すように、ベースプレート42と、電極プレート43と、連結部44と、付勢部材45と、絶縁体46を含む。本実施形態では、電極プレート43が第1プレートに該当し、連結部44が第1支持部に該当し、付勢部材45が第1付勢部材に該当する。
【0040】
ベースプレート42は、高圧電極部32を筐体36に固定するための金属プレートである。具体的には、ベースプレート42は、絶縁体46を介して筐体36の下部36aに固定されている。ベースプレート42は、
図7に示すように矩形状を成している。
【0041】
電極プレート43は、ボトル100が検査位置に位置する際に、ボトル100の首部102及びキャップ104の少なくとも一方に接触する金属製のプレートである。電極プレート43は、
図7に示すように矩形状を成している。電極プレート43は、ベースプレート42とは異なり、
図5に示すように斜めに配置されている。具体的には、電極プレート43の長手方向の一端部43aが他端部43bよりも低くなるように、斜めに配置されている。
【0042】
連結部44は、電極プレート43の一端部43a(電極プレート43の搬送方向上流側の部分)とベースプレート42を連結している。連結部44は、電極プレート43をベースプレート42に対して回動可能に支持している。
【0043】
付勢部材45は、ベースプレート42と電極プレート43の間で伸縮可能に配置されている。付勢部材45は、電極プレート43の下流側の部分を、高圧電極部34(電極プレート53)に向かって付勢している。電極プレート43がボトル100から押圧されると、付勢力に抗い付勢部材45が縮む。付勢部材45の伸縮に伴い、電極プレート43が連結部44を中心に回動する。
【0044】
絶縁体46は、高圧電極部32と筐体36の間で電気を通さないように、絶縁性を有する部材を含む。絶縁体46は、ベースプレート42と筐体36の下部36aの間に配置されている。
【0045】
高圧電極部34は、
図5に示すように、ベースプレート52と、電極プレート53と、連結部54と、付勢部材55と、絶縁体56を含む。本実施形態では、電極プレート53が第2プレートに該当し、連結部54が第2支持部に該当し、付勢部材55が第2付勢部材に該当する。
【0046】
ベースプレート52は、高圧電極部34を筐体36に固定するための金属プレートである。具体的には、ベースプレート52は、絶縁体56を介して筐体36の上部36bに固定されている。ベースプレート52は、
図7に示すように矩形状を成している。
【0047】
電極プレート53は、ボトル100が検査位置に位置する際に、ボトル100の首部102及びキャップ104の少なくとも一方に接触する金属製のプレートである。電極プレート53は、検査位置に位置するボトル100の首部102から見て、電極プレート43とは反対側に位置する。電極プレート53は、
図7に示すように矩形状を成している。
【0048】
電極プレート53は、
図5に示すように斜めに配置されている。具体的には、電極プレート53の長手方向の一端部53aが他端部53bよりも高くなるように、斜めに配置されている。互いに対向している電極プレート43と電極プレート53は、搬送路の下流側の対向部分の間隔が上流側の対向部分の間隔よりも小さくするように、配置されている。具体的には、電極プレート43と電極プレート53は、
図5に示すように、ハ字状に配置されている。なお、電極プレート43の他端部43bと電極プレート53の他端部53bとの距離は、ボトル100のキャップ104の直径と同じが望ましい。
【0049】
上記のように電極プレート43及び電極プレート53が配置されていることで、搬送中のボトル100の首部102又はキャップ104が、電極プレート43と電極プレート53に接しやすくなる。また、横向きに倒されたボトル100が斜めに向いていても、電極プレート43と電極プレート53の間を通過する際に、ボトル100の姿勢が矯正されやすくなり、この結果、首部102又はキャップ104が電極プレート43と電極プレート53に接しやすくなる。
【0050】
連結部54は、電極プレート53の一端部53a(電極プレート53の搬送方向上流側の部分)とベースプレート52を連結している。連結部54は、電極プレート53をベースプレート52に対して回動可能に支持している。
【0051】
付勢部材55は、ベースプレート52と電極プレート53の間で伸縮可能に配置されている。付勢部材55は、電極プレート53の下流側の部分を、高圧電極部32(具体的には、電極プレート43)に向かって付勢している。電極プレート53がボトル100から押圧されると、付勢力に抗い付勢部材55が縮む。付勢部材55の伸縮に伴い、電極プレート53が連結部54を中心に回動する。
【0052】
絶縁体56は、高圧電極部34と筐体36の間で電気を通さないように、絶縁性を有する部材を含む。絶縁体56は、ベースプレート52と筐体36の上部36bの間に配置されている。
【0053】
検出電極部38は、高圧電極部32、34との間で放電現象が発生した際の電流を検出する電極である。検出電極部38は、プレート状の平板電極である。検出電極部38は、ボトル100が検査位置に位置する際に、ボトル100に接触する。検出電極部38は、ボトル100の首部102及びキャップ104以外の部分に接触する。
【0054】
検出電極部38は、高圧電極部32、34と同様に、ボトル100の検査位置に設けられている。このため、高圧電極部32、34がボトル100に接触している際に、検出電極部38もボトル100に接触する。また、検出電極部38は、
図1に示すように、搬送路の中央に配置されている。このため、検出電極部38は、横向きで搬送中のボトル100の側面に接触する。
【0055】
上述した高圧電極部32、34と検出電極部38がプレートである場合には、ブラシである場合に比べて、摩耗が少なく耐久性が高い。このため、自動で多数のボトル100の水漏れを検査しても、高圧電極部32、34と検出電極部38の交換頻度を少なくできる。また、プレートである場合には、ブラシのように曲がるおそれがなく、高圧電極部32、34と検出電極部38がボトル100に接触しなくなることを防止できる。さらに、プレートである場合には、ブラシである場合に比べて、高圧電極部32、34と検出電極部38を清掃しやすい。
【0056】
また、高圧電極部32、34がボトル100を挟むように配置されていることで、以下のようなメリットがある。ボトル100が薄肉であるため、搬送中にボトル100がぶれることがあるが、高圧電極部32、34がボトル100の首部102を挟むことで、ボトル100の姿勢を矯正することができる。この結果、水漏れを適切に検査できる。
【0057】
なお、上記では、電極プレート43及び電極プレート53の両方が斜めに配置されていることとしたが、これに限定されない。例えば、電極プレート43と電極プレート53のうちの一方のみが、斜めに配置されていてもよい。
【0058】
また、上記では、第1電極部として2つの高圧電極部32、34が設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、第1電極部として一つの高圧電極部が設けられていてもよい。この場合には、ボトル100の首部102の姿勢を矯正するために、高圧電極部を設けない側にガイド板を設けてもよい。
【0059】
また、上記では、高圧電極部32、34が、厚みがあり弾性変形しない電極プレート43、53を有するが、これに限定されない。例えば、電極プレート43、53の各々が、弾性変形可能な板バネ、又は湾曲した板バネであってもよい。この場合には、電極プレート43、53が連結部44を支点として撓むことが可能となり、上述した付勢部材45、55が不要となるので、簡易な構成を実現できる。
【0060】
次に、制御装置70が有する供給部82、検出部84及び判定部86について、説明する。
供給部82は、高圧電極部32、34(具体的には、電極プレート43、53)に電圧を供給する。供給部82は、押圧ベルト24がボトル100を押圧している際に、高圧電極部32、34に電圧を供給する。具体的には、供給部82は、ボトル100が押圧ベルト24を通過する間、高圧電極部32、34に電圧を供給する。供給部82は、搬送制御部80によるボトル100の搬送タイミングからボトル100が検査位置を通過するタイミングを特定したり、搬送路に設けたセンサでボトル100を検出したりすることで、所望のタイミングにて高圧電極部32、34に電圧を供給しうる。
【0061】
供給部82は、高圧電極部32、34と検出電極部38の間で放電現象が発生するような高い電圧を供給する。ボトル100のキャップ104と首部102から水漏れが発生している場合には、高圧電極部32、34に電圧を供給すると高圧電極部32、34とキャップ104又は首部102との間で放電が発生し、放電による大電流が水を伝い検出電極部38へ流れる。一方で、水漏れが発生していない場合には、放電が発生せず検出電極部38に電流がほとんど流れない。
【0062】
検出部84は、検出電極部38を流れる電流を検出する。検出部84は、供給部82が高圧電極部32、34に電圧を供給している際に、検出電極部38を流れる電流を検出する。具体的には、検出部84は、搬送ベルト22が搬送中のボトル100が高圧電極部32、34を通過する際に、検出電極部38を流れる電流を検出する。
【0063】
検出部84は、検出電極部38を流れる電流の大きさを検出する。検出部84は、ボトル100の首部102とキャップ104で水漏れが発生して放電が生じた場合には、放電による検出電極部38を流れる大電流を検出する。一方で、検出部84は、水漏れが発生していない場合には、微弱な電流を検出する。検出部84は、検出した電流を判定部86に出力する。
【0064】
判定部86は、検出部84が検出した電流に基づいて、ボトル100の水漏れの有無を判定する。具体的には、判定部86は、検出部84が検出した電流が所定の閾値以上である場合には、キャップ104が首部102に適切に嵌合されずボトル100に水漏れが発生していると判定する。一方で、判定部86は、検出部84が検出した電流が閾値未満である場合には、キャップ104が首部102に適切に嵌合されボトル100に水漏れが発生していないと判定する。閾値は、放電により流れる大電流の大きさよりも小さい値であり、大電流の有無を判別できる。これにより、検出部84が検出した電流の大きさから、ボトル100の水漏れの有無を適切に検出できる。
【0065】
<変形例>)
図8は、第1変形例を説明するための模式図である。
図8には、高圧電極部32のみが示されているが、高圧電極部34も同様な構成である。
【0066】
第1変形例の高圧電極部32は、前述した絶縁体46の代わりに、揺動部47を有する。揺動部47は、ボトル100の首部102及びキャップ104の少なくとも一方から高圧電極部32の電極プレート43に力が作用した際に、高圧電極部32を揺動させる。
【0067】
揺動部47は、回転軸48aと、ばね48bを有する。回転軸48aは、ベースプレート42と連結している。ばね48bは、ベースプレート42と筐体36の下部36aとの間に設けられている。電極プレート43にボトル100から力が作用すると、ばね48bに付勢されたベースプレート42及び電極プレート43が、回転軸48aを中心に矢印で示す方向に揺動可能である。
【0068】
第1変形例に構成によって、搬送中のボトル100がぶれ姿勢が斜めになっても(具体的には、首部102が持ち上がるようなボトル100の姿勢になっても)、高圧電極部32、34がボトル100の首部102に追従するように揺動するので、電極プレート43、53を首部102に適切に接触させることができる。この結果、ボトル100の水漏れを精度良く検出できる。
【0069】
図9は、第2変形例を説明するための模式図である。
図9には、高圧電極部32の電極プレート43が示されているが、高圧電極部34の電極プレート53も同様な構成である。
【0070】
第2変形例の高圧電極部32の電極プレート43のボトル100の首部102に対向する接触面43cには、凹部43dが複数形成されている。凹部43dは、首部102の102の外周面に設けられたリブ103が挿通可能に形成されている。凹部43dは、電極プレート43の短手方向に沿って形成されている。また、凹部43dの幅は、リブ103の幅よりも大きくなっている。凹部43dを設けることで、ボトル100が高圧電極部32を通過する際にリブ103が凹部43dを挿通することになる。
【0071】
第2変形例の構成によって、高圧電極部32の電極プレート43がボトル100の首部102に接触しやすくなるので、水漏れを検出しやすくなる。また、搬送中にボトル100がぶれても、ボトル100のリブ103が凹部43dを挿通するようにボトル100の姿勢が矯正されやすくなり、電極プレート43が首部102又はキャップ104に接触しやすくなる。
【0072】
図10は、第3変形例を説明するための模式図である。第3変形例においては、
図6に示すボトル100が搬送方向に対して直交する搬送される状態とは異なり、
図10に示すようにボトル100が搬送方向に対して斜めに搬送されているものとする。
第3変形例においては、高圧電極部32、34が固定された筐体36が、斜めに搬送されるボトル100に合わせて回転する。具体的には、筐体36は、
図10に示す矢印方向に回転する。なお、ボトル100が斜めに搬送されているか否かは、例えば第2搬送部20に設けられた撮像装置によって検出可能である。制御装置70(
図2)は、ボトル100が斜めに搬送されていると検出された場合には、筐体36を駆動する駆動源を動作させて、筐体36を回転させる。制御装置70は、斜めに搬送されているボトル100の首部102に対して高圧電極部32、34の電極プレート43、53が接するように、筐体36を回転させる。
第3変形例の構成によって、ボトル100が斜めに搬送されても、高圧電極部32、34の電極プレート43、53が、ボトル100の首部102やキャップ104に接触できるので、水漏れを適切に検査できる。
【0073】
<検査の流れ>
図11は、ボトル100の水漏れ検査の流れを示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、ボトル100に水が充填され、キャップ104が首部102に嵌合された状態から開始される。
【0074】
まず、キャップ104が首部102に嵌合されたボトル100が第1搬送部10に縦向きでセットされ、第1搬送部10は、縦向きのボトル100を搬送する(ステップS102)。第1搬送部10がボトル100を横倒し位置まで搬送すると、横倒しユニット12は、縦向きのボトル100を押して横向きに倒す(ステップS104)。
【0075】
次に、第2搬送部20は、横向きのボトル100を搬送する(ステップS106)。具体的には、第2搬送部20の搬送ベルト22は、ボトル100を検査位置へ向けて搬送する。ボトル100が検査位置に至る際に、押圧ベルト24がボトル100を押圧する。
【0076】
次に、供給部82は、検査ユニット30の高圧電極部32、34に、電圧を供給する(ステップS108)。これにより、ボトル100が検査位置に位置する際に、放電現象が発生する。
【0077】
次に、検出部84は、供給部82が高圧電極部32、34に電気を供給した際に、検出電極部38を流れる電流を検出する(ステップS110)。検出部84は、ボトル100の水漏れに起因して放電現象が発生した場合には、大電流を検出する。
【0078】
次に、判定部86は、検出部84が検出した電流に基づいて、ボトル100の水漏れの有無を判定する(ステップS112)。具体的には、判定部86は、検出部84が検出した電流の大きさが閾値よりも大きいと、ボトル100に水漏れがあると判定し、電流の大きさが閾値よりも小さいと、ボトル100に水漏れがないと判定する。なお、判定部86は、水漏れがあると判定すると、報知してもよい。
【0079】
ボトル100に水漏れがあると判定されると、排除ユニット62はボトル100を排除する。一方で、ボトル100に水漏れがないと判定されると、第3搬送部60はボトル100を出荷するために搬送する。
多数のボトル100に対して、上述したステップS102~S112の処理が繰り返されることで、多数のボトル100の水漏れを自動で検出できる。
【0080】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の検査装置90は、ボトル100の首部102及びキャップ104の少なくとも一方に接触する電極プレート43、53を有する高圧電極部32、34と、ボトル100の首部102及びキャップ104以外の部分に接触する検出電極部38と、高圧電極部32、34に電圧を供給する供給部82と、高圧電極部32、34に電圧を供給している際に検出電極部38を流れる電流を検出する検出部84を備える。
上記の構成の場合には、プレート状の高圧電極部32、34及び検出電極部38がボトル100に接触することで、検出部84が水漏れの発生に起因する大電流を検出しやすくなり、ボトル100の水漏れを適切に判定できる。
【0081】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0082】
10 第1搬送部
20 第2搬送部
24 押圧ベルト
32 高圧電極部
34 高圧電極部
38 検出電極部
43 電極プレート
43d 凹部
44 連結部
45 付勢部材
47 揺動部
53 電極プレート
54 連結部
55 付勢部材
82 供給部
84 検出部
86 判定部
90 検査装置
100 ボトル
102 首部
104 キャップ
S ボトル検査システム