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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175493
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】精紡機の粗糸供給停止装置
(51)【国際特許分類】
   D01H 13/02 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
D01H13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093323
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 智理
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA21
4L056BA03
4L056BC01
4L056BC04
4L056BC22
4L056BC42
(57)【要約】
【課題】粗糸の供給を停止させるために要する時間を短縮できる精紡機の粗糸供給停止装置を提供すること。
【解決手段】粗糸供給停止装置30は、ドラフト装置10での粗糸Fの移動方向Xにおけるミドルボトムローラ12aより上流側、かつバックボトムローラ14aより下流側に配置されたエプロン案内ローラ25を備える。ミドルボトムエプロン21は、ミドルボトムローラ12aから移動方向Xにおける上流側に離れた位置でエプロン案内ローラ25に巻き掛けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックボトムローラ及びバックトップローラを備えるバックローラ部と、
ミドルボトムローラ及びミドルトップローラを備えるとともに、ミドルボトムエプロン及びミドルトップエプロンを備えるミドルローラ部と、を備えるドラフト装置に設けられ、
前記バックボトムローラの周面に係合しており、粗糸解放位置から粗糸挟持位置へ移動することで、前記バックボトムローラと前記バックトップローラとの間に食い込んで前記バックボトムローラから前記バックトップローラへの回転の伝達を遮断するバックローラ楔部を備えるバックローラ係合部と、
前記ミドルボトムローラの周面に係合しており、前記粗糸解放位置から前記粗糸挟持位置へ移動することで、前記ミドルボトムローラと前記ミドルボトムエプロンとの間に食い込んで前記ミドルボトムローラから前記ミドルボトムエプロンへの回転の伝達を遮断するミドルローラ楔部を備えるミドルローラ係合部と、を備える精紡機の粗糸供給停止装置であって、
前記ドラフト装置での粗糸の移動方向における前記ミドルボトムローラより上流側、かつ前記バックボトムローラより下流側に配置されたエプロン案内ローラを備え、
前記ミドルボトムエプロンは、前記ミドルボトムローラから前記移動方向における上流側に離れた位置で前記エプロン案内ローラに巻き掛けられていることを特徴とする精紡機の粗糸供給停止装置。
【請求項2】
前記エプロン案内ローラは、支持シャフトと、当該支持シャフトに回転可能に支持されたローラ部材とを、備え、前記ローラ部材は、クラウニング形状を有する請求項1に記載の精紡機の粗糸供給停止装置。
【請求項3】
前記ローラ部材は、円筒状の樹脂成形品であるとともに当該ローラ部材の軸方向の第1端面から第2端面に向けて内径の拡大する形状であり、
前記第1端面での前記ローラ部材の厚さと、前記第2端面での前記ローラ部材の厚さとが同じであり、かつ前記クラウニング形状の頂端が前記ローラ部材の軸方向の中間に位置するように、前記ローラ部材の軸方向の中間より第1端面側の曲率と、前記ローラ部材の軸方向の中間より第2端面側の曲率とが異なる請求項2に記載の精紡機の粗糸供給停止装置。
【請求項4】
前記バックローラ部による前記粗糸のニップ点と、前記ミドルローラ部による前記粗糸のニップ点とを繋ぐ直線を仮想線とすると、前記ミドルボトムエプロンが前記仮想線以下となる位置を通過するように前記エプロン案内ローラが配置されている請求項1又は請求項2に記載の精紡機の粗糸供給停止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精紡機の粗糸供給停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精紡機は、ドラフト装置によって粗糸をドラフトする。また、精紡機は、糸切れの発生した場合、ドラフト装置への粗糸の供給を停止する粗糸供給停止装置を備える。粗糸供給停止装置の一例として、特許文献1に開示されたリング精紡機の粗糸供給停止装置が挙げられる。
【0003】
特許文献1に開示の粗糸供給停止装置は、駆動アセンブリのプッシュプレートに設置された第1支持板と第2支持板とを備える。第1支持板には、第1弧状ウエッジが設けられている。また、第2支持板には第2弧状ウエッジが設けられている。第1弧状ウエッジは、リアローラの周面に係合するとともに、第2弧状ウエッジは、ミドルローラの周面に係合している。
【0004】
リング精紡機において、粗糸供給停止装置が供給停止状態にない場合、第1弧状ウエッジは粗糸と接触しない状態にあるとともに、第2弧状ウエッジは、下ベルトに接触しない状態にある。これにより、粗糸が搬送される。
【0005】
糸切れ等が発生して粗糸供給停止装置の供給停止が必要な場合、駆動アセンブリはプッシュプレートを上方に引っ張る。すると、第2弧状ウエッジはミドルローラに対して反時計回り方向に回転して、下ベルトとミドルローラとの間に回り込む。すると、第2弧状ウエッジによって、下ベルトとミドルローラとの接触が遮断される。これにより、下ベルトは、ミドルローラからの動力が失われるため、下ベルトの回転が不可能になるとともに、粗糸の搬送が停止される。また、第1弧状ウエッジは、リアローラと粗糸との間に入り込むため、粗糸の搬送が継続できなくなる。これにより、粗糸供給停止装置によって、粗糸の供給が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国実用新案第217399067号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示の粗糸供給停止装置のように、下ベルトの回転を停止させるためには、下ベルトとミドルローラとの間に第2弧状ウエッジを入り込ませる必要がある。下ベルトとミドルローラとの間に入り込ませる第2弧状ウエッジの量が大きくなるほど、下ベルトの回転が停止するまでに要する時間が長くなる。下ベルトの回転が停止するまでに要する時間が長くなるほど、下ベルトの回転によって搬送される粗糸の量が多くなるため好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための精紡機の粗糸供給停止装置は、バックボトムローラ及びバックトップローラを備えるバックローラ部と、ミドルボトムローラ及びミドルトップローラを備えるとともに、ミドルボトムエプロン及びミドルトップエプロンを備えるミドルローラ部と、を備えるドラフト装置に設けられ、前記バックボトムローラの周面に係合しており、粗糸解放位置から粗糸挟持位置へ移動することで、前記バックボトムローラと前記バックトップローラとの間に食い込んで前記バックボトムローラから前記バックトップローラへの回転の伝達を遮断するバックローラ楔部を備えるバックローラ係合部と、前記ミドルボトムローラの周面に係合しており、前記粗糸解放位置から前記粗糸挟持位置へ移動することで、前記ミドルボトムローラと前記ミドルボトムエプロンとの間に食い込んで前記ミドルボトムローラから前記ミドルボトムエプロンへの回転の伝達を遮断するミドルローラ楔部を備えるミドルローラ係合部と、を備える精紡機の粗糸供給停止装置であって、前記ドラフト装置での粗糸の移動方向における前記ミドルボトムローラより上流側、かつ前記バックボトムローラより下流側に配置されたエプロン案内ローラを備え、前記ミドルボトムエプロンは、前記ミドルボトムローラから前記移動方向における上流側に離れた位置で前記エプロン案内ローラに巻き掛けられていることを要旨とする。
【0009】
これによれば、エプロン案内ローラを設けたことによって、ミドルボトムローラに対するミドルボトムエプロンの巻き掛け量を減らすことができるとともに、粗糸解放位置から粗糸挟持位置へ移動したときのミドルローラ係合部の回動量を減らすことができる。このため、粗糸の供給を停止させるためにミドルローラ係合部が回動するのに要する時間を短縮できる。その結果、粗糸解放位置から粗糸挟持位置までミドルローラ係合部が回動する間、つまり、粗糸の供給が停止されるまでに、ドラフト装置によって送り出される粗糸の量を減らすことができる。
【0010】
精紡機の粗糸供給停止装置について、前記エプロン案内ローラは、支持シャフトと、当該支持シャフトに回転可能に支持されたローラ部材とを、備え、前記ローラ部材は、クラウニング形状を有していてもよい。
【0011】
これによれば、ローラ部材によって、ミドルボトムエプロンの横ずれを抑制できる。
精紡機の粗糸供給停止装置について、前記ローラ部材は、円筒状の樹脂成形品であるとともに当該ローラ部材の軸方向の第1端面から第2端面に向けて内径の拡大する形状であり、前記第1端面での前記ローラ部材の厚さと、前記第2端面での前記ローラ部材の厚さとが同じであり、かつ前記クラウニング形状の頂端が前記ローラ部材の軸方向の中間に位置するように、前記ローラ部材の軸方向の中間より第1端面側の曲率と、前記ローラ部材の軸方向の中間より第2端面側の曲率とが異なっていてもよい。
【0012】
これによれば、ローラ部材が、軸方向の第1端面から第2端面に向けて内径の拡大する形状であっても、その内径の拡大を原因としたローラ部材の移動を抑制できる。
精紡機の粗糸供給停止装置について、前記バックローラ部による前記粗糸のニップ点と、前記ミドルローラ部による前記粗糸のニップ点とを繋ぐ直線を仮想線とすると、前記ミドルボトムエプロンが前記仮想線以下となる位置を通過するように前記エプロン案内ローラが配置されていてもよい。
【0013】
これによれば、ミドルボトムローラとバックボトムローラの間にエプロン案内ローラを配置しても、ミドルボトムエプロンの経路が大きく変更されないため、粗糸の経路が大きく変更することがない。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、粗糸の供給を停止させるために要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、ドラフト装置及び粗糸供給停止装置を示す概略側面図である。
図2図2は、粗糸供給停止装置の粗糸解放位置を示す拡大側面図である。
図3図3は、エプロン案内ローラを示す断面図である。
図4図4は、粗糸供給停止装置を部分的に示す斜視図である。
図5図5は、粗糸挟持位置の粗糸供給停止装置を示す拡大側面図である。
図6図6は、比較例の粗糸供給停止装置を示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、精紡機の粗糸供給停止装置を具体化した一実施形態を図1図6にしたがって説明する。
<精紡機>
図1に示すように、精紡機100は、ドラフト装置10と、粗糸供給停止装置30と、を備える。
【0017】
<ドラフト装置>
ドラフト装置10は、フロントローラ部11と、ミドルローラ部12と、バックローラ部14と、を備える。
【0018】
フロントローラ部11は、フロントボトムローラ11a及びフロントトップローラ11bを備える。
ミドルローラ部12は、ミドルボトムローラ12a及びミドルトップローラ12bと、ミドルボトムエプロン21及びミドルトップエプロン22とを備える。さらに、ミドルローラ部12は、ボトムガイド部23a及びトップガイド部23bと、エプロン案内ローラ25と、を備える。エプロン案内ローラ25は、後に詳述するが、支持シャフト25aと、ローラ部材26と、を備える。なお、エプロン案内ローラ25は、粗糸供給停止装置30の一構成部材でもある。
【0019】
図2に示すように、ミドルボトムエプロン21は、ボトムガイド部23aと、エプロン案内ローラ25とに巻き掛けられるとともに、ミドルボトムローラ12aに摺接する。ミドルトップエプロン22は、ミドルトップローラ12bと、トップガイド部23bとに巻き掛けられている。ミドルローラ部12による粗糸Fのニップ点N1は、ミドルボトムエプロン21とミドルトップエプロン22の間に形成される。
【0020】
バックローラ部14は、バックボトムローラ14a及びバックトップローラ14bを備える。バックローラ部14による粗糸Fのニップ点N2は、バックボトムローラ14aとバックトップローラ14bの間に形成される。粗糸Fは、バックローラ部14のニップ点N2からミドルローラ部12のニップ点N1に向けて移動する。バックローラ部14のニップ点N2とミドルローラ部12のニップ点N1とを繋ぐ直線を仮想線Mとすると、粗糸Fは仮想線Mに沿うように移動する。なお、仮想線Mは、粗糸Fと一致するため、図2では、符号[M]の引出線のみを2点鎖線で示している。
【0021】
図1に示すように、フロントボトムローラ11aは、ローラスタンド15に支持されている。ミドルボトムローラ12aは、ミドルボトムローラ支持部16を介してローラスタンド15に回転可能に支持されている。また、エプロン案内ローラ25の支持シャフト25aは、ローラ支持部27を介してローラスタンド15に支持されている。バックボトムローラ14aは、バックボトムローラ支持部17を介してローラスタンド15に回転可能に支持されている。フロントボトムローラ11a、ミドルボトムローラ12a、及びバックボトムローラ14aの各々は、図示しない駆動源によって回転する。フロントボトムローラ11aの回転は、フロントトップローラ11bに伝達される。また、ミドルボトムローラ12aの回転は、ミドルボトムエプロン21及びミドルトップエプロン22を介してミドルトップローラ12bに伝達される。バックボトムローラ14aの回転は、バックトップローラ14bに伝達される。
【0022】
ウエイティングアーム18は、ローラスタンド15に支持された支軸19に対してブラケット19aを介して回動可能に支持されている。フロントトップローラ11b、ミドルトップローラ12b及びバックトップローラ14bは、ウエイティングアーム18に、それぞれ図示しないトップローラ支持体を介して支持されている。
【0023】
バックボトムローラ14aよりもブラケット19a側には支持バー20aがバックボトムローラ14aに沿って延設されている。支持バー20aには、粗糸Fを案内するトランペット20bが固定されている。粗糸Fは、図示しないクリールに吊下された粗糸巻からトランペット20bを介してバックローラ部14に供給されるとともに、ドラフト装置10に供給される。
【0024】
<ミドルローラ部>
ミドルローラ部12について詳述する。なお、バックローラ部14からフロントローラ部11に至るまでに粗糸Fが移動する方向をドラフト装置10における粗糸Fの移動方向Xとする。
【0025】
図2に示すように、エプロン案内ローラ25は、粗糸Fの移動方向Xにおけるミドルボトムローラ12aより上流側、かつバックボトムローラ14aより下流側に配置されている。
【0026】
エプロン案内ローラ25は、粗糸Fの移動方向Xにおいて、ミドルボトムローラ12aから上流側に離れている。エプロン案内ローラ25は、粗糸Fの移動方向Xにおいて、バックボトムローラ14aから下流側に離れている。そして、エプロン案内ローラ25は、粗糸Fの移動方向Xにおけるミドルボトムローラ12aとバックボトムローラ14aとの間に配置されている。
【0027】
エプロン案内ローラ25は、ミドルボトムローラ12a及びバックボトムローラ14aよりも小径である。ミドルボトムローラ12aとバックボトムローラ14aは同径であるが、異径であってもよい。エプロン案内ローラ25の中心軸線Lは、ミドルボトムローラ12aの中心軸線L1及びバックボトムローラ14aの中心軸線L2よりも粗糸Fの通過側に位置している。
【0028】
図2及び図3に示すように、エプロン案内ローラ25は、ローラ支持部27に支持された支持シャフト25aと、支持シャフト25aに対して相対回転するローラ部材26と、を備える。つまり、エプロン案内ローラ25は、支持シャフト25aと、当該支持シャフト25aに回転可能に支持されたローラ部材26とを、備える。
【0029】
ローラ部材26は、クラウニング形状を有する円筒状の樹脂成形品である。ローラ部材26は、当該ローラ部材26の中心軸線L3の延びる軸方向の両端面のうちの一方に第1端面26aを備えるとともに、他方に第2端面26bを備える。クラウニング形状のローラ部材26の外径は、ローラ部材26の軸方向の中間で最大となる。したがって、ローラ部材26において、クラウニング形状の頂端が、ローラ部材26の軸方向の中間に位置している。そして、ローラ部材26の軸方向の中間に、エプロン案内ローラ25のローラ頂端TRが位置している。ローラ部材26の外径は、軸方向の中間から第1端面26aに向かうに従い徐々に縮径するとともに、軸方向の中間から第2端面26bに向かうに従い徐々に縮径する。
【0030】
ローラ部材26の内径は、第1端面26aから第2端面26bに向けて拡径する。ローラ部材26の拡径は、ローラ部材26を円筒状に成形するために使用される、図示しない成形用治具をローラ部材26の内側から抜き取るために生じる抜き勾配によるものである。
【0031】
上記内径及び外径を有するローラ部材26は、第1端面26aでの厚さと、第2端面26bでの厚さとを同じとしている。したがって、ローラ部材26において、当該ローラ部材26の軸方向の両端から中間に至るまでの部分での曲率は、軸方向の両側で異なっている。つまり、ローラ部材26において、ローラ部材26の軸方向の中間より第1端面26a側の部分での曲率と、軸方向の中間より第2端面26b側の部分での曲率とが異なっている。第2端面26b側ほど内径が大きくなるため、ローラ部材26の軸方向の中間より第2端面26b側の部分での曲率は、ローラ部材26の軸方向の中間より第1端面26a側の部分での曲率より小さい。
【0032】
図2及び図4に示すように、ミドルボトムエプロン21は、ミドルボトムローラ12aを間に挟んでボトムガイド部23aとエプロン案内ローラ25のローラ部材26に巻き掛けられている。ボトムガイド部23aは、当該ボトムガイド部23aとエプロン案内ローラ25との間にミドルボトムローラ12aが配置されながらも、エプロン案内ローラ25にミドルボトムエプロン21が巻き掛けられるようにミドルボトムエプロン21の形状をガイドしている。具体的には、ボトムガイド部23aは、移動方向Xに対して斜めに交差して延びる部分を備えるとともに、その斜めに交差する部分の寸法は、ミドルボトムローラ12aの直径より大きい。より具体的には、ボトムガイド部23aの上端23Tは、仮想線Mの直近に位置するとともに、ボトムガイド部23aの下端23Eは、ミドルボトムローラ12aの下端よりも下方に位置している。このため、ミドルボトムエプロン21は、ボトムガイド部23aによって、ミドルボトムローラ12aを上下方向に挟む位置からエプロン案内ローラ25に向けて延びるようにしてエプロン案内ローラ25に巻き掛けられている。ボトムガイド部23aは、ミドルボトムエプロン21のテンションを調整可能とする。そして、ミドルボトムエプロン21は、ミドルボトムローラ12aから移動方向Xの上流側に離れた位置でエプロン案内ローラ25に巻き掛けられている。
【0033】
図3に示すように、ミドルボトムエプロン21は、ローラ部材26のクラウニング形状によって、エプロン案内ローラ25のローラ頂端TRに、ミドルボトムエプロン21の幅方向の中央が位置するようにローラ部材26に巻き掛けられている。
【0034】
図2及び図4に示すように、ミドルボトムローラ12aの上端である頂端TMは、ミドルボトムエプロン21の内周面と線接触によって摺接する。このため、ミドルボトムエプロン21は、ミドルボトムローラ12aの周面に対して円弧状に巻き掛けられていない。よって、エプロン案内ローラ25は、ミドルボトムエプロン21をミドルボトムローラ12aの周面に沿って巻き掛けさせない位置に配置されている。
【0035】
エプロン案内ローラ25のローラ部材26におけるローラ頂端TRは、仮想線Mより下側に位置している。このため、エプロン案内ローラ25及びボトムガイド部23aに巻き掛けられたミドルボトムエプロン21は、ミドルボトムローラ12aの頂端TMに摺接する。
【0036】
<粗糸供給停止装置>
図1及び図2に示すように、ドラフト装置10に設けられる粗糸供給停止装置30は、バックローラ停止部材31と、ミドルローラ停止部材41と、上記のエプロン案内ローラ25と、駆動力伝達部材36と、切換装置37と、を備える。
【0037】
バックローラ停止部材31は、円弧状に湾曲したバックローラ係合部32と、バックローラ係合部32から板状に延出する連結部33と、を備える。バックローラ停止部材31は、バックボトムローラ14aと一体に回動しない。
【0038】
バックローラ係合部32は、バックボトムローラ14aの周面のうち、周方向の一部分を包むように係合している。バックローラ係合部32の円弧の両端部のうち、エプロン案内ローラ25から遠い端部は、バックローラ楔部32aである。バックローラ楔部32aは、バックボトムローラ14aとバックトップローラ14bとの間に食い込み可能である。バックローラ楔部32aの厚さは、バックローラ係合部32のその他の部分の厚さより薄く、かつ先端ほど薄くなるため、バックローラ楔部32aは、バックボトムローラ14aとバックトップローラ14bの間に食い込み易くなっている。
【0039】
ミドルローラ停止部材41は、円弧状に湾曲したミドルローラ係合部42と、ミドルローラ係合部42から延出する連結部43と、を備える。ミドルローラ停止部材41は、ミドルボトムローラ12aと一体に回動しない。ミドルローラ停止部材41は、ミドルボトムローラ12aの周面のうち、周方向の一部分を包むように係合している。ミドルローラ係合部42の円弧の両端部のうち、エプロン案内ローラ25に近い端部は、ミドルローラ楔部42aである。ミドルローラ楔部42aは、ミドルボトムローラ12aとミドルボトムエプロン21との間に食い込み可能である。ミドルローラ楔部42aの厚さは、ミドルローラ係合部42のその他の部分の厚さより薄く、かつ先端ほど薄くなるため、ミドルローラ楔部42aは、ミドルボトムローラ12aとミドルボトムエプロン21の間に食い込み易くなっている。
【0040】
ミドルローラ係合部42において、ミドルローラ楔部42a側は、ミドルボトムローラ12aと、エプロン案内ローラ25のローラ部材26との間に介在している。
駆動力伝達部材36には、バックローラ停止部材31の連結部33、及びミドルローラ停止部材41の連結部43が揺動可能に連結されている。駆動力伝達部材36は、切換装置37の駆動力をバックローラ停止部材31及びミドルローラ停止部材41に伝達する。
【0041】
駆動力伝達部材36は、粗糸Fの移動方向Xへ長手の延びる長板状である。そして、ミドルローラ停止部材41の連結部43は、駆動力伝達部材36の先端部に連結されるとともに、バックローラ停止部材31の連結部33は、ミドルローラ停止部材41よりも基端部寄りに連結されている。切換装置37は、駆動力伝達部材36の基端部に連結されている。切換装置37は、例えば、エアシリンダである。また、切換装置37は、図示しない糸切れセンサ及び制御装置と電気的に接続されている。糸切れセンサは、粗糸Fの糸切れを検知すると、制御装置に検知信号を出力する。
【0042】
切換装置37は、糸切れセンサの検知信号に基づいて制御装置によって制御される。制御装置は、糸切れセンサの検知信号を受信すると、切換装置37を駆動させて、駆動力伝達部材36を移動させる。糸切れセンサの検知信号を受信して切換装置37を駆動させたときの駆動力伝達部材36の位置は、図5に示す粗糸挟持位置P1である。駆動力伝達部材36が粗糸挟持位置P1に位置したときのバックローラ停止部材31及びミドルローラ停止部材41の位置も粗糸挟持位置P1とする。
【0043】
制御装置は、糸切れセンサの検知信号を受信しない状態では、切換装置37を駆動させない。切換装置37を駆動させないときの駆動力伝達部材36の位置は、図2に示す粗糸解放位置P2である。駆動力伝達部材36が粗糸解放位置P2に位置したときのバックローラ停止部材31及びミドルローラ停止部材41の位置も粗糸解放位置P2とする。なお、駆動力伝達部材36及び切換装置37の構成は特に限定されるものではない。要は、糸切れセンサの検知信号に基づいて、バックローラ停止部材31及びミドルローラ停止部材41を粗糸挟持位置P1と粗糸解放位置P2とに切り換え可能であれば、駆動力伝達部材36及び切換装置37は適宜変更してもよい。
【0044】
<粗糸解放位置>
図2に示すように、粗糸解放位置P2では、バックローラ係合部32のバックローラ楔部32aは、バックボトムローラ14aとバックトップローラ14bとの間に食い込んでいない。そして、粗糸解放位置P2では、バックローラ楔部32aは、粗糸Fに非接触である。
【0045】
また、粗糸解放位置P2では、ミドルローラ係合部42のミドルローラ楔部42aは、ミドルボトムローラ12aとミドルボトムエプロン21との間に食い込んでいない。そして、粗糸解放位置P2では、ミドルローラ楔部42aは、ミドルボトムエプロン21に非接触である。
【0046】
また、ミドルローラ楔部42aの先端は、ミドルローラ部12のニップ点N1に対し、ミドルボトムローラ12aの時計回り方向へ僅かに離れた位置にある。具体的には、ミドルローラ楔部42aの先端は、ミドルボトムエプロン21の頂端TMの近傍に位置している。そして、ミドルボトムエプロン21の頂端TMは、ミドルローラ部12のニップ点N1を形成するため、ミドルローラ楔部42aの先端は、ミドルローラ部12のニップ点N1の近傍に位置している。また、ミドルローラ楔部42aの先端は、ミドルボトムエプロン21の内周面に接触しない位置で当該内周面の直下に位置している。具体的には、ミドルローラ楔部42aの先端は、仮想線Mの直下に位置している。
【0047】
<粗糸挟持位置>
図5に示すように、粗糸挟持位置P1では、バックローラ係合部32のバックローラ楔部32aは、バックボトムローラ14aとバックトップローラ14bとの間に食い込む。これにより、バックボトムローラ14aからバックトップローラ14bへの回転の伝達が遮断される。したがって、バックローラ係合部32の備えるバックローラ楔部32aは、粗糸解放位置P2から粗糸挟持位置P1へ移動することで、バックボトムローラ14aとバックトップローラ14bとの間に食い込んでバックボトムローラ14aからバックトップローラ14bへの回転の伝達を遮断する。また、粗糸挟持位置P1では、バックローラ楔部32aは、粗糸Fに接触する。これにより、バックローラ楔部32aは、バックトップローラ14bと共に粗糸Fを挟持する。
【0048】
また、粗糸挟持位置P1では、ミドルローラ係合部42のミドルローラ楔部42aは、ミドルボトムローラ12aとミドルボトムエプロン21との間に食い込む。これにより、ミドルボトムローラ12aからミドルボトムエプロン21への回転の伝達が遮断される。したがって、ミドルローラ係合部42の備えるミドルローラ楔部42aは、粗糸解放位置P2から粗糸挟持位置P1へ移動することで、ミドルボトムローラ12aとミドルボトムエプロン21との間に食い込んでミドルボトムローラ12aからミドルボトムエプロン21への回転の伝達を遮断する。また、粗糸挟持位置P1では、ミドルローラ楔部42aは、ミドルボトムエプロン21に接触する。さらに、ミドルローラ楔部42aの先端は、ミドルローラ部12のニップ点N1を形成するミドルボトムローラ12aの頂端TMに位置している。これにより、ミドルトップエプロン22とミドルボトムエプロン21との間に粗糸Fが挟持される。図2に示すように、ミドルローラ楔部42aの先端が、粗糸解放位置P2から粗糸挟持位置P1に至るまでに移動する量は、ミドルローラ係合部42の回動量R1である。
【0049】
<比較例>
図6に示すように、粗糸解放位置P2に位置する比較例の粗糸供給停止装置70では、ミドルボトムエプロン21は、ミドルボトムローラ12aと、ボトムガイド部23aと、ミドルボトムローラ12aより下方に配置されたテンションローラ60とに巻き掛けられている。比較例の粗糸供給停止装置70では、ミドルボトムエプロン21は、ミドルボトムローラ12aの周面に沿って円弧状に巻き掛けられている。
【0050】
したがって、比較例におけるミドルボトムローラ12aに対するミドルボトムエプロン21の巻き掛け量は、実施形態におけるミドルボトムローラ12aに対するミドルボトムエプロン21の巻き掛け量より多くなっている。言い換えると、実施形態の粗糸供給停止装置30では、エプロン案内ローラ25を設けることにより、ミドルボトムローラ12aに対するミドルボトムエプロン21の巻き掛け量を減らしている。
【0051】
また、粗糸解放位置P2では、ミドルローラ楔部42aはミドルボトムエプロン21に非接触であるため、ミドルローラ楔部42aは、ミドルボトムエプロン21から離れた位置に配置される。つまり、ミドルローラ楔部42aは、ミドルボトムローラ12aの時計回り方向へミドルボトムエプロン21から離れた位置に配置されている。
【0052】
図示しないが、比較例において、粗糸挟持位置P1では、ミドルローラ楔部42aは、ミドルボトムローラ12aとミドルボトムエプロン21との間に食い込むとともに、ニップ点N1を形成するミドルボトムローラ12aの頂端TMにまで食い込ませる。比較例において、ミドルローラ楔部42aの先端が、粗糸解放位置P2から粗糸挟持位置P1に至るまでに移動する量は、ミドルローラ係合部42の回動量R2である。ミドルボトムエプロン21がミドルボトムローラ12aに巻き掛けられているため、比較例の回動量R2は、実施形態における回動量R1より多くなっている。言い換えると、実施形態の粗糸供給停止装置30では、エプロン案内ローラ25を設けることにより、ミドルローラ係合部42の回動量R1を減らしている。
【0053】
<実施形態の作用>
次に、本実施形態の作用について説明する。
図2に示すように、非糸切れ状態においては、バックローラ停止部材31及びミドルローラ停止部材41は、駆動力伝達部材36及び切換装置37を介して、粗糸解放位置P2に保持されている。なお、非糸切れ状態とは、粗糸Fがトランペット20bを介してドラフト装置10に供給されて紡出されている状態の他に、紡出開始前で粗糸Fがまだドラフト装置10に供給されていない状態をも意味する。紡出開始前の状態では、糸切れセンサが糸を検出しない状態でも制御装置は糸切れと判断せず、切換装置37による駆動力伝達部材36の粗糸挟持位置P1への駆動は行われない。
【0054】
精紡機100の運転が開始されると、クリールに吊下された粗糸巻から供給される粗糸Fがトランペット20bにガイドされてバックローラ部14に供給される。バックローラ部14に供給された粗糸Fは、バックローラ部14のニップ点N2と、ミドルローラ部12のニップ点N1との間でドラフトされる。さらに、粗糸Fは、ミドルローラ部12とフロントローラ部11との間でドラフトされてフリースとなる。フリースは、糸となって図示しないスネルワイヤ及びトラベラを経てボビンに巻き取られる。
【0055】
糸切れが発生すると、糸切れセンサの検知信号に基づいて制御装置は、切換装置37を駆動させる。この切換装置37の駆動によって、駆動力伝達部材36を介してバックローラ停止部材31及びミドルローラ停止部材41が粗糸解放位置P2から粗糸挟持位置P1に向かって揺動される。
【0056】
すると、図5に示すように、バックローラ楔部32aが、バックトップローラ14bとバックボトムローラ14aとの間に食い込んで、バックボトムローラ14aからバックトップローラ14bへの回転の伝達が遮断される。これにより、粗糸Fの搬送が停止される。
【0057】
また、ミドルローラ楔部42aが、ミドルボトムエプロン21とミドルボトムローラ12aとの間に食い込んで、ミドルボトムローラ12aからミドルボトムエプロン21への回転の伝達が遮断される。これにより、ミドルボトムエプロン21の回転が停止される。
【0058】
そして、ドラフト装置10の駆動によって引っ張られる粗糸Fがバックローラ部14とミドルローラ部12との間で切断される。ドラフト装置10の駆動が継続されていても、バックボトムローラ14aからバックトップローラ14bへの回転の伝達はバックローラ停止部材31によって遮断されているため、ドラフト装置10への粗糸Fの供給が停止される。
【0059】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)エプロン案内ローラ25により、ミドルボトムローラ12aに対するミドルボトムエプロン21の巻き掛け量を減らすことができるとともに、ミドルローラ係合部42の回動量R1を減らすことができる。このため、粗糸Fの供給を停止させるためにミドルローラ係合部42が回動するのに要する時間を短縮できる。その結果、粗糸解放位置P2から粗糸挟持位置P1までミドルローラ係合部42が回動する間、つまり、粗糸Fの供給が停止されるまでに、ドラフト装置10によって送り出される粗糸Fの量を減らすことができる。
【0060】
(2)エプロン案内ローラ25のローラ部材26は、クラウニング形状を有するため、ローラ部材26を備えるエプロン案内ローラ25はローラ頂端TRを有する。このようなクラウニング形状のローラ部材26により、ミドルボトムエプロン21をローラ部材26に位置合わせして巻き掛けることができるとともに、ミドルボトムエプロン21の横ずれを抑制できる。
【0061】
(3)ローラ部材26は、樹脂成形品の円筒状であるため、成形時の抜き勾配が生じている。このため、抜き勾配を原因として、ローラ部材26は、支持シャフト25aに沿って移動しやすい形状である。また、エプロン案内ローラ25の支持シャフト25aは、複数のローラ部材26を支持するとともに、そのローラ部材26にミドルボトムエプロン21が巻き掛けられているため、撓みやすい。
【0062】
ローラ部材26は、クラウニング形状としながら、軸方向の両端の厚さが同じとなるように、軸方向の両側での曲率を異ならせて、非対称にしている。これにより、ローラ部材26の抜き勾配や支持シャフト25aの撓みを原因としたローラ部材26の横ずれを抑制できる。
【0063】
よって、ローラ部材26の横ずれを抑制するために、ローラ部材26の抜き勾配を無くすための加工や、ローラ部材26を軸方向に拡大してローラ部材26同士を接触させるなどの対策が不要になる。また、ローラ部材26の抜き勾配と支持シャフト25aの撓みを相殺するようにローラ部材26を支持シャフト25aに組み付けるなどの配慮も不要になる。
【0064】
(4)エプロン案内ローラ25は、ミドルローラ部12のニップ点N1と、バックローラ部14のニップ点N2とを繋ぐ仮想線Mより下側にミドルボトムエプロン21の一部が通過するよう配置されている。このため、ミドルローラ部12とバックローラ部14の間にエプロン案内ローラ25を配置しても、エプロン案内ローラ25によって粗糸Fの経路が大きく変更することがない。
【0065】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○エプロン案内ローラ25は、ミドルボトムエプロン21の一部が仮想線Mを通過するように配置されていてもよいし、ミドルボトムエプロン21の一部が仮想線Mより上側を通過するように配置されていてもよい。
【0066】
○ローラ部材26は、クラウニング形状としながら、軸方向の両端の厚さを異ならせてもよい。この場合、ローラ部材26の軸方向の両側での曲率を同じにしてもよい。
○ローラ部材26の外径を軸方向に一定として、ローラ部材26をクラウニング形状としなくてもよい。
【0067】
○ローラ部材26は、金属製でもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
[態様1]
バックボトムローラ及びバックトップローラを備えるバックローラ部と、ミドルボトムローラ及びミドルトップローラを備えるとともに、ミドルボトムエプロン及びミドルトップエプロンを備えるミドルローラ部と、を備えるドラフト装置に設けられ、前記バックボトムローラの周面に係合しており、粗糸解放位置から粗糸挟持位置へ移動することで、前記バックボトムローラと前記バックトップローラとの間に食い込んで前記バックボトムローラから前記バックトップローラへの回転の伝達を遮断するバックローラ楔部を備えるバックローラ係合部と、前記ミドルボトムローラの周面に係合しており、前記粗糸解放位置から前記粗糸挟持位置へ移動することで、前記ミドルボトムローラと前記ミドルボトムエプロンとの間に食い込んで前記ミドルボトムローラから前記ミドルボトムエプロンへの回転の伝達を遮断するミドルローラ楔部を備えるミドルローラ係合部と、を備える精紡機の粗糸供給停止装置であって、前記ドラフト装置での粗糸の移動方向における前記ミドルボトムローラより上流側、かつ前記バックボトムローラより下流側に配置されたエプロン案内ローラを備え、前記ミドルボトムエプロンは、前記ミドルボトムローラから前記移動方向における上流側に離れた位置で前記エプロン案内ローラに巻き掛けられていることを特徴とする精紡機の粗糸供給停止装置。
【0068】
[態様2]
前記エプロン案内ローラは、支持シャフトと、当該支持シャフトに回転可能に支持されたローラ部材とを、備え、前記ローラ部材は、クラウニング形状を有する態様1に記載の精紡機の粗糸供給停止装置。
【0069】
[態様3]
前記ローラ部材は、円筒状の樹脂成形品であるとともに当該ローラ部材の軸方向の第1端面から第2端面に向けて内径の拡大する形状であり、前記第1端面での前記ローラ部材の厚さと、前記第2端面での前記ローラ部材の厚さとが同じであり、かつ前記クラウニング形状の頂端が前記ローラ部材の軸方向の中間に位置するように、前記ローラ部材の軸方向の中間より第1端面側の曲率と、前記ローラ部材の軸方向の中間より第2端面側の曲率とが異なる態様2に記載の精紡機の粗糸供給停止装置。
【0070】
[態様4]
前記バックローラ部による前記粗糸のニップ点と、前記ミドルローラ部による前記粗糸のニップ点とを繋ぐ直線を仮想線とすると、前記ミドルボトムエプロンが前記仮想線以下となる位置を通過するように前記エプロン案内ローラが配置されている態様1~態様3のいずれか一つに記載の精紡機の粗糸供給停止装置。
【符号の説明】
【0071】
M…仮想線、N1…ニップ点、N2…ニップ点、TR…ローラ頂端、10…ドラフト装置、12…ミドルローラ部、12a…ミドルボトムローラ、12b…ミドルトップローラ、14…バックローラ部、14a…バックボトムローラ、14b…バックトップローラ、21…ミドルボトムエプロン、22…ミドルトップエプロン、25…エプロン案内ローラ、25a…支持シャフト、26…ローラ部材、26a…第1端面、26b…第2端面、30…粗糸供給停止装置、32…バックローラ係合部、32a…バックローラ楔部、42…ミドルローラ係合部、42a…ミドルローラ楔部、100…精紡機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6