(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175497
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】情報提供装置及び情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241211BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20241211BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20241211BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241211BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G16Y40/10
G16Y20/20
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093330
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大栄 義博
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 航
(72)【発明者】
【氏名】林 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】今村 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】那須 史尋
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 岳士
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL08
5H181MC15
5H181MC17
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】走行に注意を要する交通イベントの発生地点を通過する前に、効果的な注意喚起を行うことができる情報提供装置を提供する。
【解決手段】情報提供装置200は、複数の車両と通信ネットワークを通じて接続されている。情報提供装置200は、複数の車両のうち、ドライブレコーダを備え、走行に注意を要する交通イベントの発生地点を通過した第1車両101から、前記発生地点を通過している間にドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信し、映像から抽出した、前記発生地点の状況を示す画像のデータを記憶装置に記憶する。情報提供装置200は、複数の車両のうち、表示装置を備え、前記発生地点を第1車両101よりも後に通過する可能性がある第2車両102に、記憶装置に記憶されている画像のデータを送信し、第2車両102が前記発生地点よりも手前の通知地点に到達したときに第2車両102の表示装置に画像を表示させて注意を促す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両と通信ネットワークを通じて接続された情報提供装置であり、
記憶装置と処理装置とを備え、
前記処理装置が、
前記複数の車両のうち、ドライブレコーダを備え、走行に注意を要する交通イベントの発生地点を通過した第1車両から、前記第1車両が前記発生地点を通過している間に前記ドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信し、前記映像から抽出した、前記発生地点の状況を示す画像のデータを前記記憶装置に記憶することと、
前記複数の車両のうち、表示装置を備え、前記発生地点を前記第1車両よりも後に通過する可能性がある第2車両に、前記記憶装置に記憶されている前記画像のデータを送信し、前記第2車両が前記発生地点よりも手前の通知地点に到達したときに前記第2車両の前記表示装置に前記画像を表示させて注意を促すことと、を実行する
情報提供装置。
【請求項2】
前記交通イベントとは、事故、障害物、工事、車線規制、の少なくともいずれかを含み、
前記交通イベントの情報は、道路交通情報を送信する交通情報センタから前記複数の車両と前記情報提供装置に送られる、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記処理装置が、
前記画像から前記発生地点の状況を識別することと、
識別した結果を付加情報として前記画像とともに前記第2車両に送信し、前記第2車両の前記表示装置に前記画像とともに、前記発生地点の状況を示す文字情報を表示させることと、を実行する
請求項1または請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記処理装置が、
複数の第1車両から受信した同一の地点についての複数の映像からそれぞれ抽出した複数の画像のデータを前記記憶装置に蓄積することと、
前記記憶装置に蓄積した前記同一の地点についての前記複数の画像のデータの中から、前記第2車両に送信する画像を選択して、前記第2車両に送信する画像を更新することと、を実行する
請求項1または請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項5】
複数の車両と通信ネットワークを通じて接続され、記憶装置と処理装置とを備えた情報提供装置による情報提供方法であり、
前記処理装置が、前記複数の車両のうち、ドライブレコーダを備え、走行に注意を要する交通イベントの発生地点を通過した第1車両から、前記第1車両が前記発生地点を通過している間に前記ドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信し、前記映像から抽出した、前記発生地点の状況を示す画像のデータを前記記憶装置に記憶させる第1ステップと、
前記処理装置が、前記複数の車両のうち、表示装置を備え、前記発生地点を前記第1車両よりも後に通過する可能性がある第2車両に、前記記憶装置に記憶されている前記画像のデータを送信し、前記第2車両が前記発生地点よりも手前の通知地点に到達したときに前記第2車両の前記表示装置に前記画像を表示させて注意を促す第2ステップと、を含む
情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は情報提供装置及び情報提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両交通支援方法が開示されている。この車両交通支援方法は、走行に対して影響を及ぼす道路管轄当局による交通管理決定の情報や、その決定を考慮した目的地までの走行経路の情報を運転手に提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行経路上に事故や工事など走行に注意を要する交通イベントが発生した場合、車両交通支援方法は、車両内の表示装置にアイコンや文字情報を表示させて交通イベントの情報を運転手に通知する。しかし、アイコンや文字情報を見ただけでは、運転手は現場の詳細な状況を知ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための情報提供装置は、複数の車両と通信ネットワークを通じて接続されている。情報提供装置は、記憶装置と処理装置とを備えている。この情報提供装置では、前記処理装置が、前記複数の車両のうち、ドライブレコーダを備え、走行に注意を要する交通イベントの発生地点を通過した第1車両から、前記第1車両が前記発生地点を通過している間に前記ドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信し、前記映像から抽出した、前記発生地点の状況を示す画像のデータを前記記憶装置に記憶する。また、この情報提供装置では、前記処理装置が、前記複数の車両のうち、表示装置を備え、前記発生地点を前記第1車両よりも後に通過する可能性がある第2車両に、前記記憶装置に記憶されている前記画像のデータを送信し、前記第2車両が前記発生地点よりも手前の通知地点に到達したときに前記第2車両の前記表示装置に前記画像を表示させて注意を促す。
【0006】
上記課題を解決するための情報提供方法は、複数の車両と通信ネットワークを通じて接続され、記憶装置と処理装置とを備えた情報提供装置による情報提供方法である。この情報提供方法は、前記処理装置が、前記複数の車両のうち、ドライブレコーダを備え、走行に注意を要する交通イベントの発生地点を通過した第1車両から、前記第1車両が前記発生地点を通過している間に前記ドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信し、前記映像から抽出した、前記発生地点の状況を示す画像のデータを前記記憶装置に記憶させる第1ステップを含む。この情報提供方法は、前記処理装置が、前記複数の車両のうち、表示装置を備え、前記発生地点を前記第1車両よりも後に通過する可能性がある第2車両に、前記記憶装置に記憶されている前記画像のデータを送信し、前記第2車両が前記発生地点よりも手前の通知地点に到達したときに前記第2車両の前記表示装置に前記画像を表示させて注意を促す第2ステップを含む。
【発明の効果】
【0007】
情報提供装置及び情報提供方法は、交通イベントの発生地点の状況を画像によって第2車両の運転手に伝え、効果的な注意喚起を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の情報提供装置を含む、情報提供システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態の情報提供システムにおける情報提供装置と、第1車両及び第2車両と、の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図3】
図3は、実施形態の情報提供システムにおける表示装置の表示の例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の情報提供システムにおける車両のカーナビゲーション装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態の情報提供システムにおける情報提供装置が実行する画像の収集に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態の情報提供システムにおける情報提供装置が実行する画像の送信に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、情報提供装置の一実施形態について、
図1~
図6を参照して説明する。
<情報提供システム10の構成>
図1に示すように、情報提供システム10は、複数の車両100と、情報提供装置200、及び交通情報センタ300によって構成されている。情報提供装置200と交通情報センタ300と、複数の車両100とは、互いに情報をやり取りできるように無線通信ネットワークを介して接続されている。
【0010】
各車両100は、ドライブレコーダ110と、表示装置120と、カーナビゲーション装置130と、を備えている。
ドライブレコーダ110は、運転席から見える車両前方の映像を撮影して記録する。
【0011】
表示装置120は、車両100の運転手に情報を表示する。表示装置120は、例えば、
図1に示すように、カーナビゲーション装置130のディスプレイである。表示装置120は、例えば、フロントガラスに情報を投影して表示するヘッドアップディスプレイであってもよい。表示装置120は、例えば、車両100のメーターパネルに搭載されたインフォメーションディスプレイであってもよい。
【0012】
カーナビゲーション装置130は、衛星測位システムの受信機と、地図情報などのデータを記憶した記憶装置と、通信装置と、を備えて構成されている。
カーナビゲーション装置130は、ドライブレコーダ110と情報をやり取りできるように接続されている。カーナビゲーション装置130は、ドライブレコーダ110によって撮影した映像のデータを情報提供装置200に送信する。カーナビゲーション装置130は、情報提供装置200から受信した情報を表示装置120に表示させる。
【0013】
情報提供装置200は、プログラムが記憶されている記憶装置220と、記憶装置220に記憶されているプログラムを実行して各種の処理を実行する処理装置210を備えている。処理装置210は、プロセッサを含んでいる。
【0014】
情報提供装置200は、複数のコンピュータを用いて構成され得る。例えば、情報提供装置200は、複数のサーバ装置によって構成され得る。
交通情報センタ300は、例えば警察や道路管理者といった交通状態を観測している情報提供者から道路交通状況に関する情報を集める。交通情報センタ300は、その情報を整理して編集する。交通情報センタ300は、編集した情報を各車両100と情報提供装置200とに提供する。
【0015】
情報提供システム10は、車両100が、例えば道路上の工事など走行に注意を要する交通イベントの発生地点を通過しようとするときに、当該交通イベントの種類を示すアイコンを当該車両100の表示装置120に表示させて注意喚起を行う。
【0016】
交通イベントとは、事故、障害物、工事、車線規制の少なくともいずれかを含むものである。交通イベントの情報は、道路交通情報を送信する交通情報センタ300から複数の車両100と情報提供装置200に送られる。交通情報センタ300が提供する交通イベントの情報とは、例えば発生している交通イベントの種類や、交通イベントの発生地点の位置情報などである。上記の交通イベントを示すアイコンは、交通情報センタ300から受信した情報に基づいて表示される。
【0017】
交通イベントにおいて、事故とは、例えば車両同士や車両と人間の衝突などの交通事故が発生してその事後処理が行われている状態のことである。障害物とは、例えば先行車からの落下物や倒木など物体が道路や道路の周辺に存在し、道路交通を妨害している状態のことである。工事とは、例えば道路の舗装工事や路上での水道管のメンテナンス工事など、道路上で工事が行われている状態のことである。車線規制とは、例えば工事などで道路上に通行できない箇所が生じた場合に、特定の車線について通行を禁止し、他の車線を通行するように促している状態のことである。
【0018】
<情報提供システム10における映像のデータ及び画像のデータの送受信>
次に、情報提供装置200と、第1車両101及び第2車両102との映像のデータ及び画像のデータの送受信について
図2を参照して説明する。第1車両101は、複数の車両100のうち、交通イベントの発生地点を通過した車両である。第2車両102は、複数の車両100のうち、当該発生地点を第1車両101よりも後に通過する可能性がある車両である。映像のデータは、第1車両101が当該発生地点を通過している間にドライブレコーダ110で撮影した映像のデータである。画像のデータは、第1車両101が当該発生地点を通過している間にドライブレコーダ110で撮影した映像から抽出した画像のデータである。
【0019】
図2に示すように、情報提供装置200が第1車両101から映像のデータの提供を受ける処理と、情報提供装置200が第2車両102に画像のデータの提供を行う処理とは、並行して行われる。
【0020】
図2の上段に示すように、第1車両101は走行を継続している間は自身の位置情報を情報提供装置200に送信し続ける。これにより情報提供装置200は、走行中の第1車両101の走行位置について、把握することができる。
【0021】
図2の上段に示すように、情報提供システム10では、情報提供装置200が交通イベントの発生地点を通過した第1車両101から映像のデータを受信する。映像のデータを受信した情報提供装置200は、受信した映像のデータから画像を抽出し、記憶装置220に記憶する。
【0022】
図2の下段に示すように、第2車両102は、
図2の上段の第1車両101と同様に、走行を継続している間は自身の位置情報を情報提供装置200に送信し続ける。情報提供装置200は、第2車両102の位置情報に基づいて第2車両102が通知地点に到達したことを感知する。ここで、通知地点とは、車両100の走行経路上に交通イベントの発生地点が存在するときに、車両100が交通イベントの発生地点に差し掛かる前にその存在を運転手に通知し、注意喚起を行う地点である。情報提供装置200は、交通情報センタ300からの情報に基づいて、交通イベントの発生地点の手前の地点をあらかじめ通知地点として設定している。情報提供装置200は、通知地点に到達した車両100について、交通イベントの発生地点を通過する可能性のある車両100、つまり第2車両102であると認定する。
【0023】
図2の下段に示すように、第2車両102が通知地点に到達したことを感知した情報提供装置200は、第2車両102に送信すべき画像のデータが記憶装置220に記憶されている場合、当該画像のデータを第2車両102に送信する。このとき、第2車両102に送信すべき画像のデータとは、第2車両102が到達した通知地点に対応する交通イベントの画像のデータである。その後、画像のデータの有無にかかわらず、情報提供装置200は第2車両102に通知地点に到達したことを知らせる信号を送信する。
【0024】
この信号を受信した第2車両102は、情報提供装置200から画像のデータを受信していた場合、第2車両102の運転手に対して第1表示態様で交通イベントの発生地点への接近を知らせる通知を表示し、注意喚起を行う。第1表示態様とは、交通イベントの発生地点の状況を示す画像と、交通イベントの種類を示すアイコンと、画像が撮影された時刻を示す文字情報と、後述する交通イベントについての付加情報を示す文字情報と、で構成されている。交通イベントを示すアイコンは、交通情報センタ300から受信した情報に基づいて表示される。そして、交通イベントの発生地点の状況を示す画像と画像が撮影された時刻、及び交通イベントについての付加情報は情報提供装置200から受信したものである。
【0025】
図3は、表示装置120に表示される第1表示態様での表示の一例を表している。
図3に示すように、第1表示態様の表示は、受信画像400、アイコン410、及び文字情報の表示欄420で構成されている。受信画像400は、情報提供装置200から受信した、交通イベントの発生地点の状況を示す画像のデータである。アイコン410は、交通イベントの種類を示すアイコンである。文字情報の表示欄420とは、画像が撮影された時刻を表す文字情報と交通イベントについての付加情報を示す文字情報を表示する欄である。このような表示態様により、車両100の運転手は、走行経路上の交通イベントの存在について実際の交通イベントの発生地点の状況とともに認識することができる。
【0026】
通知地点に到達したことを知らせる信号を受信した第2車両102は、情報提供装置200から画像のデータを受信していなかった場合、第2車両102の運転手に対して第2表示態様で交通イベントの発生地点への接近を知らせる通知を表示し、注意喚起を行う。第2表示態様は、交通イベントの種類を示すアイコンで構成されている。つまり、第2表示態様は、
図3におけるアイコン410のみで構成されている。
【0027】
以下、
図4~
図6を参照して、画像を用いた上記のような注意喚起を実現するために、車両100において実行される処理の流れと、情報提供装置200において実行される処理の流れと、をより具体的に説明する。
【0028】
<車両100のカーナビゲーション装置130が実行する処理>
図4は、車両100において実行する一連の処理の流れを示している。この一連の処理は、車両100のカーナビゲーション装置130によって実行される。この一連の処理が実行されるのは、カーナビゲーション装置130が情報提供装置200から車両100が通知地点に到達したことを知らせる信号を受信したときに、実行される。
【0029】
図4に示すように、この一連の処理を開始すると、カーナビゲーション装置130は、まずステップS100の処理において、情報提供装置200から画像のデータを受信したか否かを判定する。ステップS100の処理において、カーナビゲーション装置130が画像のデータを受信したと判定した場合(ステップS100:YES)には、処理はステップS110へと進む。カーナビゲーション装置130が受信する画像のデータは、当該車両100が到達した通知地点に対応する交通イベントの発生地点を通過した第1車両101から提供された映像のデータから抽出した画像のデータである。
【0030】
ステップS110の処理において、カーナビゲーション装置130は、表示装置120に交通イベントの発生地点への接近を知らせる通知を前述した第1表示態様で表示させ、注意喚起を行う。こうして第1表示態様での表示による注意喚起が実行されると、処理はステップS130へと進む。
【0031】
一方で、ステップS100の処理において、カーナビゲーション装置130が画像のデータを受信できなかったと判定した場合(ステップS100:NO)には、処理はステップS120へと進む。ステップS120の処理において、カーナビゲーション装置130は、表示装置120に交通イベントの発生地点への接近を知らせる通知を第2表示態様で表示させ、注意喚起を行う。こうして第2表示態様での表示による注意喚起が実行されると、処理はステップS130へと進む。
【0032】
ステップS130の処理において、カーナビゲーション装置130は、交通イベントの発生地点を通過したか否かを判定する。このとき、カーナビゲーション装置130は、車両100の位置情報と、交通情報センタ300から受信した交通イベントの発生地点の位置情報を用いて判定を行う。
【0033】
ステップS130の処理において、カーナビゲーション装置130が、交通イベントの発生地点を通過していないと判定した場合(ステップS130:NO)には、ステップS130の処理が繰り返される。ステップS130の処理において、カーナビゲーション装置130が、交通イベントの発生地点を通過したと判定した場合(ステップS130:YES)には、処理はステップS140へと進む。
【0034】
ステップS140の処理において、カーナビゲーション装置130は、映像のデータと撮影地点の位置情報のデータ、及び撮影日時のデータを情報提供装置200に送信する。送信する映像のデータは、車両100が交通イベントの発生地点を通過している間にドライブレコーダ110で撮影した映像のデータである。
【0035】
こうしてステップS140の処理を通じて映像のデータ、撮影地点の位置情報のデータ、及び撮影日時のデータを情報提供装置200に送信すると、カーナビゲーション装置130は、この一連の処理を終了させる。
【0036】
ステップS100~ステップS120までの処理は、
図2の下段に示した第2車両102としての処理に相当する。ステップS130とステップS140の処理は
図2の上段に示した第1車両101の処理に相当する。すなわち、車両100は、状況に応じて、映像のデータの提供を行う第1車両101として振る舞うことも、画像のデータの提供を受ける第2車両102として振る舞うこともある。
【0037】
<映像のデータを受信したときに情報提供装置200が実行する処理>
図5は、映像のデータを受信したときに情報提供装置200が実行する一連の処理の流れを示している。この一連の処理は、情報提供装置200の処理装置210によって実行される。この一連の処理は、
図2の上段に示したように、情報提供装置200が第1車両101から映像のデータを受信したときに、情報提供装置200が実行する処理に相当する。
【0038】
図5に示すように、この一連の処理を開始すると、処理装置210は、まずステップS200の処理において、抽出処理を行う。抽出処理は、第1車両101から受信した映像から、第2車両102に送信するための画像を抽出する処理である。抽出処理において抽出される画像は、映像の中で交通イベントの発生地点の状況を分かりやすく示している場面を示すものが好ましい。そのため、例えば、処理装置210は、映像の中からできるだけ道路上の状況がよく映っているような、他の車両などの遮蔽物が少ない場面を画像として抽出する。抽出処理において抽出される画像は、道路上の看板がしっかり識別できる程度にはっきりと写っているものが好ましい。そのため、例えば、処理装置210は、看板の文字がしっかりと認識できる場面を画像として抽出する。
【0039】
例えば、抽出処理は、処理装置210が、車両100から受信した映像をオペレータに示して、オペレータに画像を抽出させる処理でもよい。例えば、抽出処理は、処理装置210が、車両100から受信した映像に写っている物体を画像認識処理によって認識して、画像を抽出する処理であってもよい。この場合、看板上の文字がはっきり読めるかなど予め決められた条件に合致する画像を処理装置210が抽出する。こうして抽出処理が行われた後、次のステップS210において、処理装置210は抽出した画像のデータを記憶装置220に記憶する。
【0040】
次のステップS220の処理において、処理装置210は、更新処理を実行する。更新処理は、新たに記憶した画像のデータを評価して第2車両102に提供するための画像のデータを更新する処理である。処理装置210は、第2車両102に提供するための画像のデータとして既に記憶装置220に蓄積されている画像のデータと、新たに抽出した画像のデータとを比較してその結果に応じて第2車両102に提供するための画像のデータを更新する。処理装置210は、より交通イベントの発生地点の状況を分かりやすく示している画像のデータを採用することが好ましい。そのため、例えば、処理装置210は、道路上の状況がよく映っているような、他の車両などの遮蔽物が少ない画像のデータを第2車両102に提供するための画像のデータとして選択する。処理装置210は、新しい画像のデータを採用することが好ましい。そのため、例えば、処理装置210は、より新しいデータを、第2車両102に提供するための画像のデータとして選択する。
【0041】
更新処理は、同一の交通イベントの発生地点についての画像のデータが記憶装置220に複数蓄積されてから実行してもよい。この場合、処理装置210は、同一の交通イベントの発生地点についての複数の画像のデータから、1つの画像のデータを選択して、第2車両102に送信する画像のデータを更新する。例えば、更新処理は、処理装置210が、記憶装置220に蓄積した画像をオペレータに示して、オペレータに1つの画像を選択させる処理でもよい。例えば、更新処理は、処理装置210が、蓄積した各画像を、画像の明るさ、コントラストに基づいて評価し、最も高い水準の評価が与えられている画像を選択する処理であってもよい。更新処理は、さらに、映像が送られてきた順番の情報を反映させた処理であってもよい。例えば、更新処理は、同程度の高い評価を与えられた画像が複数ある場合に、それらの画像の中から処理装置210がより新しい画像を選択する処理であってもよい。こうして、更新処理を経て選択された画像のデータは、記憶装置220に記憶される。
【0042】
ステップS220の更新処理を実行して、第2車両102に送信する画像のデータを記憶装置220に記憶すると、処理はステップS230に進む。ステップS230の処理において、処理装置210は識別処理を行う。識別処理は、更新処理において選択した画像のデータから交通イベントに関する情報を識別する処理である。
【0043】
識別処理において、交通イベントに関する情報とは、例えば交通イベントの発生地点における規制形態、天候、混雑の具合などである。ここで、規制形態とは、車線規制における片側交互通行や対面通行といった道路上の交通規制の形態のことである。処理装置210は、こうして識別された情報を、交通イベントに関する付加情報として記憶装置220に記憶する。
【0044】
情報提供装置200の処理装置210は、ステップS230の処理を終えると、この一連の処理を終了させる。
<通知地点到達を感知したときに、情報提供装置200が実行する処理>
図6は、第2車両102の通知地点到達を感知したときに、情報提供装置200が実行する一連の処理を示している。この一連の処理は、情報提供装置200の処理装置210によって実行される。この一連の処理は、情報提供装置200が第2車両102の通知地点到達を感知したときに、情報提供装置200が実行する処理であり、
図2における下段に示した部分で情報提供装置200が実行する処理に相当する。
【0045】
図6に示すように、この一連の処理を開始すると、処理装置210は、まずステップS300の処理において、記憶装置220に記憶されている複数の画像のデータの中から第2車両102に提供する画像のデータを検索する。具体的には、処理装置210は、到達した通知地点に対応する交通イベントの発生地点の位置情報と、各画像に紐付けられている当該画像の撮影地点の位置情報のデータとを照合して提供する画像のデータを検索する。
【0046】
次のステップS310の処理において、処理装置210は、第2車両102に提供するための画像のデータがあるか否かを判定する。具体的には、処理装置210は、第2車両102が到達した通知地点に対応する交通イベントの発生地点を撮影した画像のデータが記憶装置220に記憶されているかどうかを判定する。該当する画像のデータが記憶装置220に記憶されていない場合には、処理装置210は、第2車両102に提供するための画像のデータがないと判定する。該当する画像のデータが記憶装置220に記憶されている場合には、処理装置210は、第2車両102に提供するための画像のデータがあると判定する。
【0047】
ステップS310の処理において、処理装置210が、第2車両102に提供するための画像のデータがあると判定した場合(ステップS310:YES)には、処理はステップS320へと進む。ステップS320の処理において、処理装置210は、第2車両102に、該当する画像のデータ、
図5のステップS230において識別した付加情報、及び映像の撮影日時のデータを送信する。こうして画像のデータと、付加情報と、撮影日時のデータと、が送信されると、次のステップS330に進む。
【0048】
一方で、ステップS310の処理において、処理装置210が、第2車両102に提供するための画像のデータがないと判定した場合(ステップS310:NO)にも、処理はステップS330へと進む。つまり、検索した画像のデータが記憶装置220に記憶されていなかった場合には、処理装置210は、画像のデータと付加情報、及び撮影日時のデータを送信せずに、そのまま処理をステップS330へと進める。
【0049】
次のステップS330の処理において、処理装置210は、第2車両102に、通知地点に到達したことを知らせる信号を送信する。こうして処理装置210は、信号を送信すると、この一連の処理を終了させる。
【0050】
<本実施形態の作用>
処理装置210は、
図5を参照して説明した一連の処理を通じて、第1車両101から、ドライブレコーダ110で撮影した映像のデータを受信した後、映像から抽出した画像のデータを記憶装置220に記憶させる。
図5を参照して説明したこの一連の処理は、情報提供装置200による情報提供方法における第1ステップである。
【0051】
そして、処理装置210は、
図6を参照して説明した一連の処理におけるステップS300~ステップS320の処理を通じて記憶装置220に記憶されている画像のデータを第2車両102に送信する。こうして、第2車両102の表示装置120に画像を表示させることにより、情報提供装置200は第2車両102の運転手に注意喚起を行う。この一連の処理は、情報提供装置200による情報提供方法における第2ステップである。
【0052】
このように、情報提供装置200は、第1ステップと第2ステップを含む情報提供方法を実行する。こうした情報提供方法を実行することにより、情報提供装置200は、走行経路上に交通イベントの発生地点が存在する第2車両102の運転手に、第1車両101のドライブレコーダ110で撮影した画像を表示して注意喚起を行う。
【0053】
<本実施形態の効果>
(1)情報提供装置200は実際に交通イベントの発生地点を通過したことのある第1車両101のドライブレコーダ110で撮影した画像を、交通イベントの発生地点の手前で、第2車両102の表示装置120に表示させる。そのため、情報提供装置200は、交通イベントの発生地点の状況を画像によって第2車両102の運転手に伝え、効果的な注意喚起を行うことができる。
【0054】
(2)情報提供装置200では、処理装置210が、画像から発生地点の状況を識別する。処理装置210は、識別した結果を付加情報として画像とともに第2車両102に送信し、第2車両102の表示装置120に画像とともに、発生地点の状況を示す文字情報を表示させる。こうして情報提供装置200は、第1車両101からの画像のデータを認識して得た情報を文字情報にして、画像とともに第2車両102の表示装置120に表示させる。これにより、情報提供装置200は、画像のみを表示する場合と比較して、第2車両102の運転手に発生地点の状況をより確実に知らせることができる。
【0055】
(3)情報提供装置200の処理装置210は、複数の第1車両101から受信した同一の地点についての複数の映像からそれぞれ抽出した複数の画像のデータを記憶装置220に蓄積する。処理装置210は、記憶装置220に蓄積した同一の地点についての複数の画像のデータの中から、第2車両102に送信する画像を選択して、第2車両102に送信する画像を更新する。こうして第2車両102に送信する画像は、情報提供装置200の記憶装置220に蓄積した同一の地点についての複数の画像のデータから選択されて更新される。そのため、情報提供装置200は、第2車両102の運転手により適切な画像を提供することができる。
【0056】
(4)上記の情報提供方法は、実際に交通イベントの発生地点を通過したことのある第1車両101のドライブレコーダ110で撮影した画像を、交通イベントの発生地点手前で、第2車両102の表示装置120に表示させる。そのため、上記の情報提供方法は、交通イベントの発生地点の詳細な状況を画像によって第2車両102の運転手に伝え、効果的な注意喚起を行うことができる。
【0057】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0058】
・上記の情報提供システム10において、車両100は、
図4を参照して説明したように、第1車両101として振る舞うことも、第2車両102として振る舞うこともあった。これに対して、車両100の中には、画像の提供を受けるだけの車両、すなわち第2車両102としてのみ振る舞う車両があってもよい。その場合、画像の提供を受けるだけの車両は、ドライブレコーダ110を備えていなくてもよい。画像の提供を受けるだけの車両は、
図4を参照して説明した一連の処理のうち、ステップS100~ステップS120までの処理のみからなる処理を実行する。
【0059】
・車両100の中には、映像を提供するだけの車両、すなわち第1車両101としてのみ振る舞う車両があってもよい。その場合、映像を提供するだけの車両は、表示装置120を備えていなくてもよい。映像を提供するだけの車両は、
図4を参照して説明した一連の処理のうち、ステップS130及びステップS140の処理のみからなる処理を実行する。
【0060】
・上記の情報提供システム10では、カーナビゲーション装置130が情報提供装置200と通信している。カーナビゲーション装置130が衛星測位システムの受信機を備えている。カーナビゲーション装置130が画像の表示及び映像のデータの送信に関する処理を実行している。こうした通信、測位、画像の表示に関する処理及び映像のデータの送信に関する処理は、必ずしもカーナビゲーション装置130で行わなくてもよい。例えばカーナビゲーション装置130以外の部分に、衛星測位システムの受信機が設けられている車両100に対しても上記の情報提供装置200を適用することができる。車両100は、情報提供装置200と通信する通信機を備えていればよい。車両100は、画像の表示に関する処理及び映像のデータの送信に関する処理を行う処理装置を備えていればよい。例えば、車両100は、表示装置120、衛星測位システムの受信機、通信機、画像の表示に関する処理及び映像のデータの送信に関する処理を行う処理装置を備えたドライブレコーダ110を搭載した車両であってもよい。この場合には、交通イベントの発生地点への接近を知らせる通知に係る機能がドライブレコーダ110に集約されている。
【0061】
・上記の情報提供システム10における第2車両102の表示装置120での表示態様について、アイコン、画像が撮影された時刻を示す文字情報、及び付加情報を示す文字情報は、必須の構成要素ではない。つまり、第2車両102での表示装置120における表示態様については、第1表示態様において受信した画像を表示するものであればよい。受信した画像以外の上記のいずれの構成要素についても省略可能である。表示装置120において画像が撮影された時刻を示す文字情報を表示しない場合は、車両100及び情報提供装置200は映像の撮影日時のデータを送信することを要しない。
【0062】
・上記の情報提供システム10では、
図2の下段で示したように、情報提供装置200が第2車両102の通知地点到達を感知した後、画像のデータが送信され、第2車両102上で表示された。これに対し、情報提供装置200が、交通イベントの発生地点から第1距離以内の地点を走行しているすべての車両100に画像のデータを送信するという形態をとったものでもよい。第1距離は交通イベントの発生地点と通知地点との距離よりも長い距離である。この場合、画像のデータを受信した車両100のうち通知地点に到達した第2車両は、自発的にその到達を感知して表示装置120に画像を表示する。このように、情報提供装置200は、予め画像のデータを送信しておくことによって、第2車両102が通知地点に到達したときに表示装置120に画像を表示させることができる。
【符号の説明】
【0063】
10…情報提供システム、100…車両、101…第1車両、102…第2車両、110…ドライブレコーダ、120…表示装置、130…カーナビゲーション装置、200…情報提供装置、210…処理装置、220…記憶装置、300…交通情報センタ、400…受信画像、410…アイコン、420…文字情報の表示欄