(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175498
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/14 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
E06B7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093332
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 毅
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036RA08
2E036RB03
2E036RC01
2E036TA05
(57)【要約】
【課題】シール部から侵入した水が下枠と水切りとの間隙を通って室内側(躯体側)に侵入することを防止する。
【解決手段】下枠22の下面側に設置される水切り6と、下枠22と水切り6との間に設置され、屋内側への水の侵入を阻止する水密材7と、を備え、水切り6は、中空部63aと、第1シール部S1から侵入した水、又は第2シール部S2で侵入が阻止された水を中空部63aに流入させる第1流入口63b及び第2流入口63cと、中空部63aに流入した水を屋外側に排出する排出口63dと、を備え、水密材7は、下枠アンカー3Aよりも屋外側で、かつシール部S1、S2及び流入口63b、63cよりも屋内側に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠及び縦枠を有し、建物の躯体に固定される枠体と、
前記枠体の内側に設置されるパネルと、
前記下枠の下面側に、前記下枠の長手方向に沿って設置される水切りと、を備える建具であって、
前記下枠を前記躯体に固定する複数の下枠アンカーと、
前記下枠と前記水切りとの間に、前記下枠及び前記水切りの長手方向に沿って設置され、屋内側への水の侵入を阻止する水密材と、
前記縦枠の長手方向に沿って設置され、屋内側への水の侵入を阻止するシール部と、をさらに備え、
前記下枠は、
前記下枠アンカーを介して前記躯体に固定されるアンカー設置部と、
前記アンカー設置部よりも屋外側で前記パネルの下端部を支持するパネル支持部と、を備え、
前記水切りは、
中空部と、
前記シール部から侵入した水、又は前記シール部で侵入が阻止された水を前記中空部に流入させる流入口と、
前記中空部に流入した水を屋外側に排出する排出口と、を備え、
前記下枠アンカーは、前記水切りよりも屋内側に配置され、
前記水密材は、前記下枠アンカーよりも屋外側で、かつ前記シール部及び前記流入口よりも屋内側に配置されることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記シール部は、
1次シール部と、
前記1次シール部よりも屋内側に配置される2次シール部と、を含み、
前記流入口は、
前記1次シール部から侵入した水を前記中空部に流入させる第1流入口と、
前記第1流入口よりも屋内側に形成され、前記2次シール部で侵入が阻止された水を前記中空部に流入させる第2流入口と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記第1流入口及び前記第2流入口の形成位置は、前記水密材の設置位置よりも低く、前記第2流入口の形成位置は、前記第1流入口の形成位置よりも低いことを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記水切りは、前記第1流入口と前記第2流入口との間を仕切る仕切り部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項5】
前記仕切り部は、前記水切りを前記下枠に固定する下枠固定部に兼用されることを特徴とする請求項4に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルなどの建物に設置される建具に関する。
【背景技術】
【0002】
上枠、下枠及び縦枠を有し、建物の躯体に固定される枠体と、枠体の内側に設置されるガラスなどのパネルと、下枠の下面側に沿って設置される水切りと、を備える建具が知られている。
【0003】
また、縦枠の長手方向に沿う1次シール部及び2次シール部を備え、1次シール部から侵入した水を水切りの中空部を介して屋外側に排出する建具も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の建具では、1次シール部から侵入した水が下枠と水切りとの間隙を通って室内側(躯体側)に侵入する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、上枠、下枠及び縦枠を有し、建物の躯体に固定される枠体と、前記枠体の内側に設置されるパネルと、前記下枠の下面側に、前記下枠の長手方向に沿って設置される水切りと、を備える建具であって、前記下枠を前記躯体に固定する複数の下枠アンカーと、前記下枠と前記水切りとの間に、前記下枠及び前記水切りの長手方向に沿って設置され、屋内側への水の侵入を阻止する水密材と、前記縦枠の長手方向に沿って設置され、屋内側への水の侵入を阻止するシール部と、をさらに備え、前記下枠は、前記下枠アンカーを介して前記躯体に固定されるアンカー設置部と、前記アンカー設置部よりも屋外側で前記パネルの下端部を支持するパネル支持部と、を備え、前記水切りは、中空部と、前記シール部から侵入した水、又は前記シール部で侵入が阻止された水を前記中空部に流入させる流入口と、前記中空部に流入した水を屋外側に排出する排出口と、を備え、前記下枠アンカーは、前記水切りよりも屋内側に配置され、前記水密材は、前記下枠アンカーよりも屋外側で、かつ前記シール部及び前記流入口よりも屋内側に配置されることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記シール部は、1次シール部と、前記1次シール部よりも屋内側に配置される2次シール部と、を含み、前記流入口は、前記1次シール部から侵入した水を前記中空部に流入させる第1流入口と、前記第1流入口よりも屋内側に形成され、前記2次シール部で侵入が阻止された水を前記中空部に流入させる第2流入口と、を含むことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の建具であって、前記第1流入口及び前記第2流入口の形成位置は、前記水密材の設置位置よりも低く、前記第2流入口の形成位置は、前記第1流入口の形成位置よりも低いことを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の建具であって、前記水切りは、前記第1流入口と前記第2流入口との間を仕切る仕切り部をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の建具であって、前記仕切り部は、前記水切りを前記下枠に固定する下枠固定部に兼用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、下枠アンカーは、水切りよりも屋内側に配置されるので、下枠及び縦枠の下方に亘って水切りを通しで設置し、シール部から侵入した水、又はシール部で侵入が阻止された水を確実に水切りで受け止め、流入口、中空部及び排出口を介して屋外に排出できる。また、下枠と水切りとの間に設置される水密材は、下枠アンカーよりも屋外側で、かつシール部及び流入口よりも屋内側に配置されるので、シール部から侵入した水、又はシール部で侵入が阻止された水が下枠と水切りとの間隙を通って躯体側に侵入することを防止できる。
また、請求項2の発明によれば、シール部は、1次シール部と、1次シール部よりも屋内側に配置される2次シール部と、を含むので、シール性を向上できる。また、水切りは、1次シール部から侵入した水を水切りの中空部に流入させる第1流入口と、第1流入口よりも屋内側に形成され、2次シール部で侵入が阻止された水を水切りの中空部に流入させる第2流入口と、を備えるので、1次シール部から侵入した水と、2次シール部で侵入が阻止された水を同じ流入口から中空部に流入させる場合に比べて中空部への流入を円滑化し、水密材側に流れる水の量を減らすことができる。
また、請求項3の発明によれば、第1流入口及び第2流入口の形成位置は、水密材の設置位置よりも低いので、水密材側に流れる水の量を減らすことができる。また、第2流入口の形成位置は、第1流入口の形成位置よりも低いので、2次シール部で侵入が阻止された水を第2流入口側に積極的に導き、水密材側に流れる水の量をさらに減らすことができる。
また、請求項4の発明によれば、水切りは、第1流入口と第2流入口との間を仕切る仕切り部をさらに備えるので、流入する水がいずれかの流入口に偏ることを防止し、中空部への流入を円滑化できる。
また、請求項5の発明によれば、仕切り部は、水切りを下枠に固定する下枠固定部に兼用されるので、仕切り部と下枠固定部を別々に設ける場合に比べて構造を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る建具を屋外側から視た概略正面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る建具の概略横断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る建具の概略縦断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る建具の排水経路を示す図であり、(a)は要部横断面図、(b)は要部縦断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る建具の要部拡大縦断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る建具の排水経路を示す図であり、(a)は要部横断面図、(b)は要部縦断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る建具の要部拡大縦断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る建具のアダプタの使用例を示す図であり、(a)はアダプタを使用した場合の要部横断面図、(b)はアダプタを使用しない場合の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1~
図5において、1は第1実施形態の建具であって、該建具1は、ビルなどの建物に設置されてカーテンウォールを構成する。
【0010】
図1~
図5に示すように、建具1は、建物の躯体Kに固定される枠体2と、枠体2を躯体Kに固定する複数のアンカー3A、3Bと、枠体2の内側に設置されるガラスなどのパネル4と、パネル4を固定させる押縁5と、枠体2(下枠22)の下面側に沿って設置される水切り6と、を備える。
【0011】
枠体2は、押出形材や曲げ物などからなる上枠21、下枠22及び縦枠23を備える。また、複数のアンカー3A、3Bには、上枠21を躯体Kに固定する上枠アンカー(図示せず)と、下枠22を躯体Kに固定する下枠アンカー3Aと、縦枠23を躯体Kに固定する縦枠アンカー3Bと、が含まれる。なお、以下の説明においては、上枠21及び下枠22の長手方向を左右方向、縦枠23の長手方向を上下方向、左右方向及び上下方向と直交する方向を前後方向と称する場合がある。
【0012】
縦枠23には、建具1の左右方向両端部に配置される端部用の縦枠23Aと、建具1の左右方向中間部に配置される方立用の縦枠23B、23Cと、が含まれる。方立用の縦枠23B、23Cは、
図4の(a)に示すように、互いに連結されて方立Hを構成する。
【0013】
方立用の縦枠23B、23Cには、その長さ方向に沿う1次シール部S1及び2次シール部S2が設置される。1次シール部S1は、縦枠23B、23Cの屋外側連結部G1に介在して水の侵入を阻止する。また、2次シール部S2は、縦枠23B、23Cの屋内側連結部G2に介在し、1次シール部S1よりも屋内側で水の侵入を阻止する。
【0014】
下枠22は、複数の下枠アンカー3Aを介して躯体Kに固定されるアンカー設置部22aと、アンカー設置部22aよりも屋外側でパネル4の下端部を支持するパネル支持部22bと、押縁5を設置するための押縁設置部22cと、水切り6を固定する水切り固定部22dと、を備える。なお、
図5に符号41として示す部材は、パネル4とパネル支持部22bとの間に設置されるセッティングブロックである。
【0015】
図5に示すように、水切り6と下枠アンカー3Aは、前後方向においてオーバーラップしないように配置される。つまり、下枠22のアンカー設置部22aは、屋内側に寄せて配置されており、アンカー設置部22aよりも屋外側に水切り6が設置される。このようにすると、水切り6は、下枠アンカー3Aと干渉しないので、下枠22及び縦枠23(23A~23C)の下方に亘って通しで設置することができる。
【0016】
また、水切り6は、下枠22(枠体2)を躯体Kに固定した後に下枠22の下方に設置される。例えば、下枠22の下方に確保される空間に対し、屋外側から水切り6を差し込んだ後、水切り6の下枠固定部61を下枠22の水切り固定部22dにネジ止めするとともに、水切り6の躯体固定部62を躯体Kにネジ止めすれば、下枠22の下方に水切り6が設置される。なお、
図5に符号SK1、SK2として示す部位は、水切り6の設置後に実施される防水用のシーリング工事部である。
【0017】
以下、水切り6の具体的な構成について、
図4及び
図5を参照して説明する。
【0018】
図4及び
図5に示すように、水切り6は、中空部63aを有する水切り本体部63と、水切り本体部63の屋内側上面部に形成され、1次シール部S1から侵入した水を中空部63aに流入させる第1流入口63bと、水切り本体部63の屋内側上面部において第1流入口63bよりも屋内側に形成され、2次シール部S2で侵入が阻止された水を中空部63aに流入させる第2流入口63cと、水切り本体部63の屋外側端部に形成され、中空部63aに流入した水を屋外側に排出する排出口63dと、水切り本体部63から屋内側に延在し、後述する水密材7が設置される水密材設置部64と、を備える。
【0019】
図4に示すように、第1流入口63b及び第2流入口63cは、それぞれ1次シール部S1及び2次シール部S2の下方近傍に位置するように形成されており、
図5に示すように、1次シール部S1から侵入した水は、流路R1及び第1流入口63bを介して中空部63aに流入し、2次シール部S2で侵入が阻止された水は、流路R2及び第2流入口63cを介して中空部63aに流入する。
【0020】
図4に示すように、排出口63dは、水切り6の長手方向において、第1流入口63b及び第2流入口63cと離間する位置に形成されており、中空部63aに流入した水は、水切り6の長手方向に移動しつつ排出口63dから屋外側に排出される。このような構成によれば、雨水や風の逆流を抑制できる。なお、排出口63dには、逆流を防止する排出弁Vを設けることが望ましい。
【0021】
図5に示すように、本実施形態の第1流入口63bと第2流入口63cは、下枠固定部61によって前後に仕切られている。このようにすると、流入する水がいずれかの流入口63b、63cに偏ることを防止し、中空部63aへの水の流入が円滑になる。
【0022】
水密材7は、下枠22と水切り6との間隙を水密状に塞ぎ、屋内側(躯体K側)への水の侵入を阻止するために設置される。水切り6の水密材設置部64に設置された水密材7は、下枠アンカー3Aよりも屋外側で、かつシール部S1、S2及び流入口63b、63cよりも屋内側に配置される。これにより、1次シール部S1から侵入した水や、2次シール部S2で侵入が阻止された水が下枠22と水切り6との間隙を通って躯体K側に侵入することを防止できる。
【0023】
また、第1流入口63b及び第2流入口63cの形成位置は、水密材7の設置位置よりも低くなっている。これにより、水密材7側に流れる水の量を減らし、水密材7の設置部における防水性を高めることができる。
【0024】
また、第2流入口63cの形成位置は、第1流入口63bの形成位置よりも低くなっている。これにより、2次シール部S2で侵入が阻止された水を第2流入口63c側に積極的に導き、水密材7側に流れる水の量をさらに減らすことができる。
【0025】
また、第2流入口63cと水密材設置部64との間には、水密材設置部64から第2流入口63cに向かって低くなる傾斜面65が形成されているので、2次シール部S2で侵入が阻止された水を確実に第2流入口63cに誘導できる。
【0026】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、上枠21、下枠22及び縦枠23を有し、建物の躯体Kに固定される枠体2と、枠体2の内側に設置されるパネル4と、下枠22の下面側に、下枠22の長手方向に沿って設置される水切り6と、を備える建具1であって、下枠22を躯体Kに固定する複数の下枠アンカー3Aと、下枠22と水切り6との間に、下枠22及び水切り6の長手方向に沿って設置され、屋内側への水の侵入を阻止する水密材7と、縦枠23の長手方向に沿って設置され、屋内側への水の侵入を阻止するシール部S1、S2と、をさらに備え、下枠22は、下枠アンカー3Aを介して躯体Kに固定されるアンカー設置部22aと、アンカー設置部22aよりも屋外側でパネル4の下端部を支持するパネル支持部22bと、を備え、水切り6は、中空部63aと、1次シール部S1から侵入した水、又は2次シール部S2で侵入が阻止された水を中空部63aに流入させる流入口63b、63cと、中空部63aに流入した水を屋外側に排出する排出口63dと、を備え、下枠アンカー3Aは、水切り6よりも屋内側に配置されるので、下枠22及び縦枠23の下方に亘って水切り6を通しで設置し、1次シール部S1から侵入した水、又は2次シール部S2で侵入が阻止された水を確実に水切り6で受け止め、流入口63b、63c、中空部63a及び排出口63dを介して屋外に排出できる。
【0027】
また、水密材7は、下枠アンカー3Aよりも屋外側で、かつシール部S1、S2及び流入口63b、63cよりも屋内側に配置されるので、1次シール部S1から侵入した水、又は2次シール部S2で侵入が阻止された水が下枠22と水切り6との間隙を通って躯体K側に侵入することを防止できる。
【0028】
また、シール部S1、S2は、1次シール部S1と、1次シールS1部よりも屋内側に配置される2次シール部S2と、を含み、流入口63b、63cは、1次シール部S1から侵入した水を中空部63aに流入させる第1流入口63bと、第1流入口63bよりも屋内側に形成され、2次シール部S2で侵入が阻止された水を中空部63aに流入させる第2流入口63cと、を含むので、シール性を向上できるだけでなく、1次シール部S1から侵入した水と、2次シール部S2で侵入が阻止された水を同じ流入口から中空部63aに流入させる場合に比べて中空部63aへの流入を円滑化し、水密材7側に流れる水の量を減らすことができる。
【0029】
また、第1流入口63b及び第2流入口63cの形成位置は、水密材7の設置位置よりも低いので、水密材7側に流れる水の量を減らすことができる。また、第2流入口63cの形成位置は、第1流入口63bの形成位置よりも低いので、2次シール部S2で侵入が阻止された水を第2流入口63c側に積極的に導き、水密材7側に流れる水の量をさらに減らすことができる。
【0030】
また、水切り6は、第1流入口63bと第2流入口63cとの間を仕切る仕切り部(下枠固定部61)をさらに備えるので、流入する水がいずれかの流入口63b、63cに偏ることを防止し、中空部63aへの流入を円滑化できる。
【0031】
また、仕切り部は、水切り6を下枠22に固定する下枠固定部61に兼用されるので、仕切り部と下枠固定部61を別々に設ける場合に比べて構造を簡略化できる。
【0032】
つぎに、本発明の第2実施形態に係る建具1Bについて、
図6~
図8を参照して説明する。ただし、第1実施形態と共通の構成については、第1実施形態と同じ符号を用いることで、第1実施形態の説明を援用する場合がある。
【0033】
図6~
図8に示すように、第2実施形態の建具1Bは、端部用の縦枠23Aと、方立用の縦枠23B、23Cを共通部品とした点と、端部用の縦枠23Aを支持する専用の縦支持枠81と、方立用の縦枠23B、23Cを支持する専用の方立82と、上枠21や下枠22を支持する専用の横支持枠83と、を備える点が第1実施形態と相違している。
【0034】
なお、下枠22及び水切り6の構成は、第1実施形態と略同様であるため、第1実施形態の説明を援用する。また、第2実施形態の建具1Bが設置される建物は、鉄筋コンクリート構造であり、
図7に示すように、下枠22、水切り6、横支持枠83等は、それぞれアンカー3B、3C、3Dを介して躯体Kに固定することが望ましい。
【0035】
図8に示すように、第2実施形態の縦支持枠81及び方立82は、アダプタ9の使用により、見込み幅が異なる縦枠23A~23C、23Dに対応可能となっている。例えば、
図8の(a)に示すように、見込み幅の小さい縦枠23A~23Cの場合は、縦支持枠81と縦枠23Aや方立82と縦枠23B、23Cとの間にアダプタ9を配置し、
図8の(b)に示すように、見込み幅の大きい縦枠23Dの場合は、アダプタ9を使用しない。このような第2実施形態によれば、見込み幅が異なる縦枠23A~23C、23D毎に専用の縦支持枠81及び方立82を用意する必要がないので、コストを削減できる。
【符号の説明】
【0036】
1 建具
2 枠体
21 上枠
22 下枠
22a アンカー設置部
22b パネル支持部
23、23A、23B 縦枠
3A 下枠アンカー
4 パネル
6 水切り
63 水切り本体部
63a 中空部
63b 第1流入口
63c 第2流入口
63d 排出口
64 水密材設置部
7 水密材