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特開2024-175514選定支援システム、方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175514
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】選定支援システム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20241211BHJP
【FI】
G06Q10/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093350
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】森 健晴
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】適切な包装材の選定を支援する選定支援システム、方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】選定支援システム100は、出荷する製品および出荷先を含む出荷オーダに応じて、出荷先の包装材に関する法規制情報を記憶する法規制情報データベースから、出荷先における包装材を選定の対象から除外するための非選定コードを取得するデータ取得部151と、包装材に関する情報を記憶する包装材データベースから非選定コードを含まない包装材を選定する選定部152と、非選定コードを含まない包装材の包装材使用量と地球温暖化係数との少なくともいずれか一方に基づいて非選定コードを含まない包装材の環境影響度を算出する算出部153と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出荷する製品および出荷先を含む出荷オーダに応じて、前記出荷先の包装材に関する法規制情報を記憶する法規制情報データベースから、前記出荷先における包装材を選定の対象から除外するための非選定コードを取得するデータ取得部と、
前記包装材に関する情報を記憶する包装材データベースから、前記非選定コードを含まない包装材を選定する選定部と、
前記非選定コードを含まない包装材の包装材使用量と地球温暖化係数との少なくともいずれか一方に基づいて、前記非選定コードを含まない包装材の環境影響度を算出する算出部と、
を備える選定支援システム。
【請求項2】
前記算出部で求めた包装材の包装材使用量と、前記包装材の使用量実績値との関係をニューラルネットワークで学習し、学習済モデルを生成する学習部をさらに備える、
請求項1に記載の選定支援システム。
【請求項3】
前記学習済モデルを設定したニューラルネットワークを用いて、前記算出部で求めた包装材の包装材使用量から、前記包装材の使用量実績値を推定する推定部をさらに備える、
請求項2に記載の選定支援システム。
【請求項4】
前記非選定コードを含まない包装材のうち、ユーザが選択した包装材のデータを使用量実績値として記憶する記憶部をさらに備える、
請求項1に記載の選定支援システム。
【請求項5】
包装材の材料別の二酸化炭素排出量を記憶する材料別排出量データベースを記憶するサーバをさらに備え、
前記包装材データベースは、前記材料別排出量データベースに記憶された前記包装材の材料別の二酸化炭素排出量から求めた、前記包装材の地球温暖化係数を含む、
請求項1から4の何れか一項に記載の選定支援システム。
【請求項6】
選定支援システムが実行する方法であって、
出荷する製品および出荷先を含む出荷オーダに応じて、前記出荷先における包装材を選定の対象から除外するための非選定コードを取得するステップ、
前記非選定コードを含まない包装材を選定するステップ、
前記非選定コードを含まない包装材の包装材使用量と地球温暖化係数との少なくともいずれか一方に基づいて、前記非選定コードを含まない包装材の環境影響度を算出するステップ、
を備える方法。
【請求項7】
コンピュータに、
出荷する製品および出荷先を含む出荷オーダに応じて、前記出荷先における包装材を選定の対象から除外するための非選定コードを取得する処理、
前記非選定コードを含まない包装材を選定する処理、
前記非選定コードを含まない包装材の包装材使用量と地球温暖化係数との少なくともいずれか一方に基づいて、前記非選定コードを含まない包装材の環境影響度を算出する処理、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、選定支援システム、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産場所から顧客までの輸送時に生じる振動、衝撃、化学的変化等の様々な外的要因から保護するために、製品には包装が施されている。製品の包装には、プラスチックを用いた包装材が用いられることが多い。近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染が環境問題として取り上げられており、各国でプラスチックの使用に関する法規制が強化されつつある。特に、製品の包装材として使用されているプラスチックは、製品の開封後すぐに廃棄されるため、規制が厳しい傾向にある。また、SDGs(Sustainable Development Goals)、ESG(Environment Social Governance)投資等の環境に対する取り組みの重要性が増している。このため、物流の分野では、包装材の使用量の削減、二酸化炭素排出量の削減、再生材の活用等の環境に対する取り組みが重要な要件になりつつある。
【0003】
製品の包装材は、輸送対象の製品の大きさ、質量に合わせて品質およびコストを考慮して選定される。しかしながら、その選定にあたっては、包装を担当する作業者の経験とカンによるところが大きい。また、包装を担当する作業者が、包装材を選定する際に、環境への影響までを考慮して包装材を選択することは難しい。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、梱包から開梱までの日数、クレーム情報をもとに製品、ルートごとの品質を維持し、また、製品ごとの包装材に関する見積りからコストを考慮することにより最適な包装材を選択することができる梱包副資材の最適選択装置が記載されている。また、特許文献2には、製品のライフサイクルにわたる環境負荷およびコストに基づいて、将来発生する環境負荷およびコストを評価することができる環境負荷・コスト評価方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-231247号公報
【特許文献2】特開2002-297698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された梱包副資材の最適選択装置では、過去に発生した製品の品質トラブルの結果を参照し包装材を選定している。このため、まだ製品の品質トラブルのデータが無い包装材、例えば、新しい包装材を選定候補に入れていた場合には、ユーザが新しい包装材を選定することができない可能性がある。
【0007】
また、包装材の材料については各国で法規制が異なる。しかしながら、特許文献2に記載された環境負荷・コスト評価方法は、製品のライフサイクルにおける環境負荷およびコストに基づいて包装材を選択するものであり、各国で法規制の情報を考慮した上で材料選定を行うものではない。このため、特許文献2に記載された環境負荷・コスト評価方法では、ユーザは、各国で法規制の情報を考慮した上で材料選定を行うことができない。
【0008】
本開示は、上述の問題を解決するためになされたものであり、適切な包装材の選定を支援する選定支援システム、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本開示に係る選定支援システムは、出荷する製品および出荷先を含む出荷オーダに応じて、出荷先の包装材に関する法規制情報を記憶する法規制情報データベースから、出荷先における包装材を選定の対象から除外するための非選定コードを取得するデータ取得部と、包装材に関する情報を記憶する包装材データベースから、非選定コードを含まない包装材を選定する選定部と、非選定コードを含まない包装材の包装材使用量と地球温暖化係数との少なくともいずれか一方に基づいて、非選定コードを含まない包装材の環境影響度を算出する算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、出荷先の国における法規制と環境影響度とを考慮した製品の包装材をユーザに提示し選択させることができるため、適切な包装材の選定を支援する選定支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態1に係る選定支援システムの構成を示す図
図2】実施の形態1に係る選定支援装置の記憶部の構成を示す図
図3】実施の形態1に係る選定支援装置の構成を示す図
図4】実施の形態1に係る選定支援装置のハードウエア構成の一例を示す図
図5】実施の形態1に係るサーバのハードウエア構成の一例を示す図
図6】実施の形態1に係る出荷先情報データベースのテーブルを示す図
図7】実施の形態1に係る法規制情報データベースのテーブルを示す図
図8】実施の形態1に係る包装材データベースのテーブルを示す図
図9】実施の形態1に係る包装材二酸化炭素排出量データベースのテーブルを示す図
図10A】実施の形態1に係る包装材緩衝特性データベースのテーブルを示す図
図10B】実施の形態1に係る包装材の応力と緩衝特性との関係を示す図
図10C】実施の形態1に係る包装材の応力とひずみとの関係を示す図
図11】実施の形態1に係る個包装データベースのテーブルを示す図
図12】実施の形態1に係る外装箱データベースのテーブルを示す図
図13】実施の形態1に係る選定支援処理のフローチャート
図14】実施の形態2に係る選定支援システムの構成を示す図
図15】実施の形態2に係る選定支援装置の学習部の構成を示す図
図16】実施の形態2に係るニューラルネットワークの概要を示す図
図17】実施の形態2に係る選定支援装置の推定部の構成を示す図
図18】実施の形態2に係る学習処理のフローチャート
図19】実施の形態2に係る選定推定処理のフローチャート
図20】実施の形態2に係る推定処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本開示の実施の形態1に係る選定支援システム100について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一または同等の部分に同一の符号を付す。
【0013】
選定支援システム100は、出荷先の国における法規制と環境影響度とを考慮した製品の包装材をユーザに提示し選択させることができるため、適切な包装材の選定を支援することができるシステムである。
【0014】
図1に示すのは、選定支援システム100の概要である。選定支援システム100は、包装材の選定を支援する選定支援装置1と、選定支援装置1で使用するデータを保持するサーバ2と、を含む。選定支援装置1は、包装材を選定するユーザが各種データおよび指示を入力する入力部11と、サーバ2と接続する接続部12と、各種データを表示する表示部13と、各種データおよび各種プログラムを記憶する記憶部14と、包装材の選定を支援するための各種処理を行う制御部15と、を含む。
【0015】
記憶部14には、図2に示すとおり、製品の出荷先を判断するための出荷先情報データベース141と、出荷先の国内法規制をまとめた法規制情報データベース142と、包装材に関する情報を含む包装材データベース143と、包装材ごとの二酸化炭素排出量をまとめた包装材二酸化炭素排出量データベース144と、包装材ごとの緩衝特性をまとめた包装材緩衝特性データベース145と、製品の個包装に関する情報をまとめた個包装データベース146と、個包装の製品を入れる外装箱の情報をまとめた外装箱データベース147とを含む。
【0016】
出荷先情報データベース141は、製品の出荷オーダに応じて、出荷先を判断するためのデータを記憶している。法規制情報データベース142は、製品の出荷先である各国の包装材の材料に関する法令と内容とを記憶している。包装材データベース143は、包装材に関して、包装材の名称、材質、包装材のGWP(Global Warming Potential:地球温暖化係数)等の各種パラメータを記憶している。GWPは、二酸化炭素を基準として、どれだけ温暖化に影響度があるかを示した指標である。そこで、本実施の形態では、GWPと二酸化炭素排出量とを、同意味で使用するものとする。
【0017】
包装材二酸化炭素排出量データベース144は、包装材ごとの二酸化炭素排出量の最新状況をまとめたデータベースである。包装材緩衝特性データベース145は、包装材を選定する際に使用する、包装材の応力、緩衝特性、ひずみ、包装材を選定するための閾値の各種パラメータを記憶する。個包装データベース146は、包装の対象となる個々の製品に関する情報を記憶している。外装箱データベース147は、個包装された製品を包装する外装箱の仕様に関するデータを記憶する。なお、出荷先情報データベース141~外装箱データベース147について、詳細は後述する。
【0018】
制御部15は、図3に示すとおり、入力部11および記憶部14から各種データを取得するデータ取得部151と、包装材を選定する選定部152と、包装材の使用量、環境影響度を算出する算出部153と、表示部13および記憶部14に各種データを出力するデータ出力部154とを含む。データ取得部151は、入力部11から入力される各種データおよび指示と、記憶部14に記憶された各種データとを取得する。
【0019】
選定部152は、データ取得部151で取得した各種データを用いて包装材を選定する。算出部153は、データ取得部151で取得した各種データと、選定部152で選定した包装材のデータを用いて包装材の使用量、環境影響度を算出する。データ出力部154は、算出部153の算出結果と、選定部152の選定結果とを表示部13に出力する。また、データ出力部154は、算出部153の算出結果と、選定部152の選定結果とを、記憶部14に出力する。
【0020】
また、サーバ2は、選定支援装置1と接続するサーバ接続部21と、各機能を実行するサーバ制御部22と、選定支援装置1で使用するデータと各種プログラムとを記憶するサーバ記憶部23とを含む。サーバ接続部21は、選定支援装置1の接続部12と接続し、各種データを送受信する。サーバ制御部22は、サーバ2の各機能を実行する。サーバ記憶部23は、包装材の材料別の二酸化炭素排出量を記憶する材料別排出量データベース231を備える。
【0021】
材料別排出量データベース231に記憶される、包装材を構成する材料ごとの二酸化炭素排出量は、国家間におけるデータの標準化のため第三者機関により設定された値である。第三者機関は、例えば、ある製品における、資源の採取から廃棄またはリサイクルまでのライフサイクル全体、または、資源の採取、原料の生産等の各プロセスにおける環境負荷を定量的に評価するための手法であるLCA(Life Cycle Assessment)のインベントリデータを提供するIDEA(Inventory Database for Environmental Analysis)である。
【0022】
図3に示した選定支援装置1の制御部15に含まれる各機能は、ソフトウェアにより実現される。本実施の形態では、選定支援装置1の制御部15およびサーバ2のサーバ制御部22の各機能を実行するソフトウェアを選定支援処理プログラムとする。選定支援処理プログラムを実行するための、選定支援装置1のハードウエア構成の一例を図4に示す。
【0023】
選定支援装置1は、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶機器101と、サーバ2と通信するための接続機器102と、各種データの入力を受け付ける入力機器103と、各種データを表示する表示機器104と、表示機器104に表示させる表示用データを生成する表示コントローラ105と、各種プログラムを展開するためのメモリ106と、各種プログラムを実行するプロセッサ107とを備える。記憶機器101と、接続機器102と、入力機器103と、表示コントローラ105と、メモリ106と、プロセッサ107とは、データバス108を介して相互に接続されている。
【0024】
記憶機器101には、プロセッサ107で実行する各種プログラムと、表示機器104に表示するための画像、文字等の表示用データが保存されている。記憶機器101は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いて構成することができる。
【0025】
接続機器102は、サーバ2を接続し、各種データを送受信することができる機器である。接続機器102は、有線または無線のLAN(Local Area Network)ポート、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート等、機器同士でデータを送受信可能な各種ポートを用いて構成することができる。接続機器102は、図3に示した接続部12として機能する。
【0026】
入力機器103は、ユーザが各種データを入力するための入力部である。入力機器103は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等を用いて構成することができる。入力機器103は、図3に示した入力部11として機能する。表示機器104は、ユーザにより図3に示した入力部11から入力された各種データ、制御部15のデータ出力部154から出力された各種データを画面上に表示する。表示機器104は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)モニタ等を用いて構成することができる。
【0027】
表示コントローラ105は、表示機器104に対して、文字及び画像を含む表示用データを表示させるため映像信号を出力するコントローラである。表示コントローラ105は、例えば、ビデオカード、GPU(Graphics Processing Unit)、グラフィックボード等の映像信号出力装置を用いて構成することができる。表示機器104および表示コントローラ105は、図3に示した表示部13として機能する。
【0028】
メモリ106は、記憶機器101に記憶された各種プログラムを展開するための機器である。メモリ106は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性または不揮発性の半導体メモリといった記憶素子および記憶媒体を用いて構成することができる。プロセッサ107は、記憶機器101に記憶された各種プログラムを読み出してメモリ106に展開し、実行する。プロセッサ107は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing Unit)等の処理装置を用いて構成することができる。
【0029】
続いて、図5に示すのは、サーバ2のハードウエア構成の一例である。サーバ2は、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶機器201と、選定支援装置1と接続するための接続機器202と、各種プログラムを展開するためのメモリ203と、各種プログラムを実行するプロセッサ204とを備える。記憶機器201と、接続機器202と、メモリ203と、プロセッサ204とは、データバス205を介して相互に接続されている。
【0030】
記憶機器201は、各種データおよび各種プログラムを記憶する機器である。記憶機器201は、図3に示したサーバ記憶部23として機能する機器である。記憶機器201は、例えば、HDD、SSD等の記憶装置を用いて構成することができる。
【0031】
接続機器202は、選定支援装置1と接続し、各種データを送受信することができる機器である。接続機器202は、有線または無線のLANポート、USBポート、IEEE1394ポート等、機器同士でデータを送受信可能な各種ポートを用いて構成することができる。接続機器202は、図2に示したサーバ接続部21として機能する。
【0032】
メモリ203は、記憶機器201に記憶された各種プログラムを展開するための機器である。メモリ203は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の揮発性または不揮発性の半導体メモリといった記憶素子および記憶媒体を用いて構成することができる。
【0033】
プロセッサ204は、記憶機器201に記憶された各種プログラムを読み出してメモリ203に展開し、実行する。プロセッサ204は、例えば、CPU、MPU等の処理装置を用いて構成することができる。
【0034】
続いて、図2に示した出荷先情報データベース141~外装箱データベース147の構成について、図6から図12を参照しつつ、以下に説明する。まず、図6に示すのは、出荷先情報データベース141のテーブルである。出荷先情報データベース141は、上述のとおり、製品の出荷先を判断するためのデータを記憶するものである。出荷先情報データベース141には、国コードと、国名とが対応付けて記憶されている。例えば、図6において、国コード「001」には国名として「A国」が対応付けられている。これにより、例えば、製品の出荷オーダに国コードを記載することにより、出荷先の国を設定することができる。
【0035】
図7に示すのは、法規制情報データベース142のテーブルである。法規制情報データベース142は、上述のとおり、製品の出荷先である各国の包装材の材料に関する法令と内容とを記憶するものである。法規制情報データベース142には、製品の出荷先となる出荷国名と、包装材の材料に関する法令の名称である法令名と、法令の内容である法令内容と、選定対象から除外するための非選定コードと、法令の対象となる材料の名称である材料名と、材料の使用条件とを、対応付けて記憶している。例えば、図7において、出荷国名「A国」には、法令名「α1」、法令内容「aaa」、非選定コード「A-1」、材料名「EPS」、使用条件「禁止」が対応付けられている。
【0036】
図8に示すのは、包装材データベース143のテーブルである。包装材データベース143は、上述のとおり、包装材に関して、包装材の名称、材質、包装材のGWP等の各種パラメータを記憶するものである。包装材データベース143には、各データのナンバーNo.と、包装材の名称である包装材名と、選定の対象から除外するための非選定コードと、包装の材料の名称である材料名と、包装材の厚みと、再生材料の含有率である再生材率と、包装材の寸法と、質量と、包装材のGWPと、包装材の一単位あたりの値段である単価とを対応付けて記憶している。包装材のGWPは、後述する包装材二酸化炭素排出量データベース144に記憶されている包装材のGWPと同様の値である。なお、包装材データベース143では、各項目に設定されるデータが無い場合は、データ無しの意味で「-」を記憶するものとする。例えば、図8において、ナンバーNo.「1」には、包装材名「包装材A」、非選定コード「A-1」、材料名「EPS」、厚み「-」、再生材率「50」、寸法「A×B×C」、質量「300」、GWP「ABC」、単価「W」が対応付けられている。
【0037】
図9に示すのは、包装材二酸化炭素排出量データベース144のテーブルである。包装材二酸化炭素排出量データベース144は、包装材の名称である包装材名と、包装材のGWPとを対応付けて記憶している。包装材のGWPは、包装材に含まれる材質に応じて、図3に示したサーバ2のサーバ記憶部23記憶された、材料別排出量データベース231に設定されている各材料の二酸化炭素排出量をもとに算出される。例えば、図9において、包装材名「包装材A」には、GWP「ABC」が対応付けられている。
【0038】
図10Aに示すのは、包装材緩衝特性データベース145のテーブルである。包装材緩衝特性データベース145は、上述のとおり、包装材を選定する際に使用する、包装材が受ける応力、衝撃による負荷が与えられた時のひずみ等の緩衝特性を示すグラフの名称、包装材を選定するための応力の閾値の各種パラメータを記憶するものである。包装材緩衝特性データベース145は、包装材の名称である包装材名と、緩衝特性のグラフの名称である緩衝特性のグラフ名と、応力の閾値の各種パラメータとを対応付けて記憶している。応力の閾値は、各包装材にかかる加速度とひずみのデータをもとに設定する。例えば、加速度100[G]未満、かつ、ひずみ0.9[-]未満といった条件を定義し、包装材ごとに応力の閾値を設定する。図10Aでは、包装材名「包装材A」には、緩衝特性のグラフ名「b1」、応力の閾値「t1」が対応付けられている。
【0039】
図10Bに示すのは、各包装材の応力と加速度との関係を示したグラフの一例である。グラフでは、横軸に応力、縦軸に加速度を設定している。応力と加速度とは、各包装材で値が異なる。例えば、図10Bにおいて、実線で示すグラフは、包装材Aのものとする。一点二鎖点で示すグラフは、包装材Bのものとする。二点鎖点で示すグラフは、包装材Cのものとする。点線で示すグラフは、包装材Dのものとする。破線で示すグラフは、包装材Eのものとする。
【0040】
図10Cに示すのは、各包装材の応力とひずみとの関係を示したグラフの一例である。グラフでは、横軸に応力、縦軸にひずみを設定している。応力とひずみとは、各包装材で値が異なる。例えば、図10Cにおいて、実線で示すグラフは、包装材Aのものとする。一点二鎖点で示すグラフは、包装材Bのものとする。二点鎖点で示すグラフは、包装材Cのものとする。点線で示すグラフは、包装材Dのものとする。破線で示すグラフは、包装材Eのものとする。
【0041】
図11に示すのは、個包装データベース146のテーブルである。個包装データベース146は上述のとおり、包装の対象となる個々の製品の関する情報を記憶するものである。個包装データベース146は、包装の対象となる製品の製品名と、製品に割り当てられたコードと、製品の外形寸法と、製品の質量等とを対応付けて記憶している。例えば、図11において、製品名「A1」には、コード「A-1234」、外形寸法「a×b×c」、質量「ac」等が対応付けられている。
【0042】
図12は、外装箱データベース147のテーブルである。外装箱データベース147は、上述のとおり、個包装された製品を包装する外装箱の仕様を記憶するものである。外装箱データベース147は、外装箱で包装する対象となる製品の製品名と、外装箱の厚みと、外装箱の外形寸法と、内形寸法、外装箱の材質等とを対応付けて記憶している。例えば、図12において、製品名「A1」には、外装箱の厚み「aa」、外装箱の外形寸法「a1×b1×c1」、内形寸法「a2×b2×c2」、外装箱の材質「D-A1」等が対応付けられている。
【0043】
図2に示した選定支援装置1において実行される包装材の選定方法の流れを、図13に示すフローチャートを参照しつつ、以下に説明する。選定支援システム100に含まれる選定支援装置1は、例えば、図3に示した表示部13の画面上に配置されたアイコンを、ユーザが入力部11によって選択した場合、図4に示したプロセッサ107に、記憶機器101に記憶された選定支援処理プログラムをメモリ106に読み出させ、実行させる。また、選定支援システム100に含まれるサーバ2は、選定支援装置1で選定支援処理プログラムが実行されると、図5に示したプロセッサ204に、記憶機器201に記憶された選定支援処理プログラムをメモリ203に読み出させ、実行させる。
【0044】
図13において、図3に示した選定支援装置1の制御部15に含まれるデータ取得部151は、ユーザが選定支援装置1の入力部11から入力した出荷オーダを取得する(ステップS101)。出荷オーダには、出荷対象の製品の製品名と、製品の出荷先である出荷国の国コードとのデータを含むものとする。ここでは、例えば、出荷オーダに記載されたデータを、出荷対象の製品の製品名が「A1」、出荷国の国コードを「001」とする。
【0045】
制御部15のデータ取得部151は、ステップS101で取得した出荷オーダの内容をもとに、図2に示した出荷先情報データベース141を検索し、出荷国情報を取得する(ステップS102)。具体的には、データ取得部151は、出荷オーダに含まれる出荷国の国コードを、図6に示した出荷先情報データベース141のテーブルから検索し、出荷国の国名を取得する。例えば、出荷国の国コードが「001」の場合、図6に示した出荷先情報データベース141のテーブルには、国名「A国」が記憶されている。したがって、データ取得部151は、出荷国情報として国名「A国」を取得する。
【0046】
制御部15のデータ取得部151は、選定支援装置1の記憶部14に記憶されている法規制情報データベース142から、出荷国における包装材を選定するための非選定コードを取得する(ステップS103)。具体的には、データ取得部151は、ステップS102で取得した出荷国の国名を、図7に示した法規制情報データベース142のデーブルから検索し、検索した国名に対応付けられた非選定コードを取得する。例えば、出荷国の国名が「A国」である場合、図7に示した法規制情報データベース142のデーブルでは、国名「A国」に対応付けられた非選定コードは「A-1」である。したがって、データ取得部151は、非選定コードとして「A-1」を取得する。
【0047】
制御部15のデータ取得部151は、選定支援装置1の記憶部14に記憶されている包装材データベース143から、ステップS103で取得した非選定コードを含まない包装材情報を取得する(ステップS104)。例えば、ステップS103で取得した非選定コードが「A-1」である場合、データ取得部151は、図8に示した包装材データベース143のテーブルで非選定コード「A-1」を検索する。図8において、非選定コード「A-1」が設定されているのは、包装材No.1の「包装材A」である。したがって、データ取得部151は、包装材No.1の「包装材A」以外の、包装材No.2の「包装材B」~包装材No.5の「包装材E」等の包装材情報を取得する。
【0048】
図3に示した選定支援装置1の制御部15に含まれる選定部152は、ステップS104で取得した包装材の中から、出荷対象の製品に使用する包装材を選定する(ステップS105)。例えば、選定部152は、包装材No.2の「包装材B」を選定したものとする。
【0049】
選定部152は、製品の応力値が選定した包装材に設定された応力の閾値未満か否か判定する(ステップS106)。例えば、出荷対象の製品の製品名が「A1」である場合、選定部152は、図11に示した個包装データベース146のデーブルで製品名が「A1」を検索する。図11に示した個包装データベース146には、製品名「A1」に、コード「A-1234」、外形寸法「a×b×c」、質量「ac」等が対応付けられている。選定部152は、製品名「A1」のコード、外形寸法等を製品の個包装のデータとして取得する。選定部152は、製品名「A1」の質量「ac」と底面積「a×b」をもとに製品の応力値sa1を算出する。選定部152は、図10Aに示した包装材緩衝特性データベース145に記憶されているデータのうち、包装材名「包装材B」に対応付けられた閾値「t2」を取得する。選定部152は、製品の応力値tsa1が閾値「t2」未満か否か判定する。
【0050】
製品の応力値sa1が閾値「t2」未満ではない場合(ステップS106;NO)、選定部152はステップS105に戻り、ステップS105以降の処理を実行する。また、製品の応力値sa1が閾値「t2」未満である場合(ステップS106;YES)、選定部152は、算出部153に選定した包装材情報と、図11に示した個包装データベース146のテーブルから取得した製品名「A1」の各データを送信する。算出部153は、包装材使用量を算出する(ステップS107)。具体的には、まず、算出部153は、データ取得部151に図2に示した記憶部14に記憶された外装箱データベース147を取得させる。算出部153は、図12に示した外装箱データベース147のテーブルから、出荷対象の製品である製品名「A1」の外装箱の内形寸法を取得する。例えば、図12において、製品名「A1」の外装箱の内形寸法は「a2×b2×c2」である。算出部153は、選定部152から取得した製品名「A1」の外形寸法「a1×b1×c1」と、外装箱の内形寸法は「a2×b2×c2」との差分を算出し、隙間量とする。算出部153は、隙間量から選定した包装材Bの包装材使用量を算出する。
【0051】
算出部153は、包装材の環境影響度と包装材料費とを算出する(ステップS108)。具体的には、算出部153は、ステップS107で算出した包装材Bの包装材使用量である包装材Bの体積と、図8に示した包装材データベース143のテーブルに記憶されている包装材Bの寸法、質量「50」とを用いて包装材Bの総質量を算出する。算出部153は、包装材Bの総質量と、包装材データベース143のテーブルに記憶されている包装材BのGWPの値とを用いて、環境影響度である二酸化炭素排出量を算出する。また、算出部153は、包装材Bで使用している材料がプラスチックに属するものである場合、総質量からプラスチック使用量を算出する。さらに、算出部153は、包装材の総使用量に対して包装材Bの使用量を体積比で計算し、単価と乗じることにより包装材Bの包装材料費を算出する。
【0052】
算出部153は、図3に示した選定支援装置1の制御部15に含まれるデータ出力部154に、選定した包装材名と環境影響度と包装材料費とを送信する。データ出力部154は、出荷オーダに選定した包装材名と環境影響度と包装材料費とを含め、レポートを作成する(ステップS109)。図3に示した選定支援装置1の制御部15に含まれる選定部152は、選定可能な包装材が他にあるか否か判定する(ステップS110)。
【0053】
選定可能な包装材が他にある場合(ステップS110;YES)、選定部152はステップS105に戻り、ステップS105以降の処理を実行する。また、選定可能な包装材が他にない場合(ステップS110;NO)、制御部15に含まれるデータ出力部154は、環境影響度の低い順に包装材をランキング形式で整理し、包装材のランキングを作成する。(ステップS111)。
【0054】
データ出力部154は、図3に示した選定支援装置1の表示部13に、包装材のランキンキングのデータを出力する。表示部13は、受信した包装材のランキンキングのデータを画面上に表示する(ステップS112)。
【0055】
図3に示した選定支援装置1の制御部15に含まれるデータ取得部151は、表示部13に表示された包装材のランキンキングのデータのうち、ユーザが入力部11により選択した包装材のデータを取得する。データ取得部151は、取得した包装材のデータをデータ出力部154に送信する。データ出力部154は、受信した包装材のデータを使用量実績値として、図3に示した選定支援装置1の記憶部14に出力する。記憶部14は、受信した包装材のデータを記憶する(ステップS113)。データ出力部154は、選定支援処理を終了する。
【0056】
以上のとおり、実施の形態1によれば、出荷先の国における法規制と環境影響度とを考慮した製品の包装材をユーザに提示し選択させることができるため、適切な包装材の選定を支援することができる選定支援システム100を提供することができる。
【0057】
(実施の形態2)
実施の形態1では、図3に示した選定支援装置1の制御部15に含まれる各機能を実行することにより、製品の包装材を選定できるものとした。本実施の形態2では、機械学習を用いて製品の包装材を選定する手法について説明する。
【0058】
図14に示すのは、本実施の形態2における選定支援システム100Aの概要である。選定支援システム100Aは、選定支援装置1Aと、サーバ2とを含む。選定支援装置1Aは、包装材を選定するユーザが各種データおよび指示を入力する入力部11と、サーバ2と接続する接続部12と、各種データを表示する表示部13と、各種データおよび各種プログラムを記憶する記憶部14と、包装材の選定を支援するための各種処理を行う制御部15Aと、を含む。
【0059】
制御部15Aは、入力部11および記憶部14から各種データを取得するデータ取得部151と、包装材を選定する選定部152と、包装材の使用量、環境影響度を算出する算出部153と、表示部13および記憶部14に各種データを出力するデータ出力部154と、学習済モデルを生成する学習部155と、学習済モデルを用いて包装材を推定する推定部156と、表示部13および記憶部14に各種データを出力するデータ出力部154とを含む。学習部155は、図15に示すとおり、学習用の各種データを取得する学習用データ取得部1551と、学習済モデルを生成するための学習モデル生成部1552とを含む。
【0060】
学習用データ取得部1551は、図14に示したデータ取得部151から、記憶部14に記憶された各種データベースに記憶された、包装材の学習に必要な各種データを取得する。具体的には、学習用データ取得部1551は、図2に示した包装材データベース143から包装材に関する各種パラメータを取得し、包装材緩衝特性データベース145から包装材の緩衝特性のデータを取得し、個包装データベース146から製品に関するデータを取得し、外装箱データベース147から外装箱の仕様に関するデータを取得する。図14に示した算出部153は、データ取得部151から取得した包装材、緩衝特性、個包装等の各種データから各包装材の包装材使用量を算出する。
【0061】
学習用データ取得部1551は、図14に示した記憶部14に記憶されたユーザが過去に使用した包装材の使用量実績値を取得する。学習モデル生成部1552は、算出部153から包装材の包装材使用量を取得する。学習モデル生成部1552は学習用データ取得部1551からユーザが過去に使用した包装材の使用量実績値を取得する。学習モデル生成部1552は、包装材の包装材使用量と包装材の使用量実績値との関係を学習する。
【0062】
学習モデル生成部1552は、例えば、図16に示すニューラルネットワークを備えるものとする。ニューラルネットワークは、複数のニューロンを含む、入力層と、中間層と、出力層とで構成されている。ここで、本実施の形態2においては、中間層を1層とする。例えば、図16に示す3層のニューラルネットワークであれば、複数の入力が入力層X~Xに入力されると、その値に重みW11~Wnmを掛けて中間層Y~Yに入力される。中間層Y~Yに入力された結果に、さらに重みV11~Vkmを掛け、出力層Z~Zから出力される。出力層Z~Zからの出力結果は、重みW11~Wnmと、重みV11~Vkmの値によって変わる。なお、ここでは、n、kは4以上の整数とし、mは3以上の整数とする。
【0063】
本実施の形態2においては、学習モデル生成部1552は、包装材の包装材使用量を学習用入力データとして入力層X~Xの各ニューロンに入力する。また、学習モデル生成部1552は、包装材の使用量実績値を学習用出力データとして出力層Z~Zに設定する。
【0064】
入力層X~Xの各ニューロンに、学習用入力データがそれぞれ入力されると、出力層Z~Zから出力される結果が、学習用出力データである包装材の使用量実績値に近づく状態に、重みW11~Wnmと、重みV11~Vkmとを調整させる。重みW11~Wnmと、重みV11~Vkmを調整することは、ニューラルネットワークにおける学習である。重みW11~Wnmと、重みV11~Vkmの更新は、例えば、誤差伝搬(Back Propagation)法を用いて行う。以下では、重みW11~Wnmと、重みV11~Vkmを調整することを、学習モデル生成部1552における学習という。学習モデル生成部1552は、調整された重みW11~Wnmと、重みV11~Vkmとを、学習済モデルとして、図14に示した選定支援装置1Aの記憶部14に記憶させる。
【0065】
また、推定部156は、図17に示すとおり、推定用の各種データを取得する推定用データ取得部1561と、包装材を推定する推定処理部1562とを含む。推定用データ取得部1561は、図14に示したデータ取得部151から、ユーザが選択した包装材の包装材使用量を算出するために必要な各種データを、記憶部14に記憶された各種データベースから取得する。
【0066】
具体的には、推定用データ取得部1561は、図2に示した包装材データベース143から包装材に関する各種パラメータを取得し、包装材緩衝特性データベース145から包装材の緩衝特性のデータを取得し、個包装データベース146から製品に関するデータを取得し、外装箱データベース147から外装箱の仕様に関するデータを取得する。図14に示した算出部153は、データ取得部151から取得した包装材、緩衝特性、個包装等の各種データから包装材の包装材使用量を算出する。
【0067】
推定処理部1562は、データ取得部151から記憶部14に記憶されている学習済モデルを取得させる。推定処理部1562は、データ取得部151から学習済モデルを取得し、ニューラルネットワークに設定する。具体的には、学習済モデルである重みW11~Wnmと、重みV11~Vkmとを、ニューラルネットワークに設定する。これにより、推定処理部1562に構築されたニューラルネットワークは、入力層X~Xの各ニューロンに、算出部153が算出した包装材の包装材使用量が入力されると、出力層Z~Zから、包装材の使用量実績値を出力することができる。
【0068】
続いて、学習部155における学習処理の流れについて、図18に示す学習処理のフローチャートを参照しつつ、以下に説明する。学習部155で実行される学習処理は、学習処理プログラムとして、図4に示した記憶機器101に記憶されている。ユーザは、包装材の選定を行う前に学習処理を実行し、学習済モデルを生成する。ユーザは、例えば、図14に示した選定支援装置1Aの表示部13の画面上に配置されたアイコンを入力部11によって選択した場合、図4に示したプロセッサ107に、記憶機器101に記憶された学習処理プログラムをメモリ106に読み出させ、実行させる。
【0069】
図15に示した学習用データ取得部1551は、図14に示したデータ取得部151から、記憶部14に記憶された各種データベースに記憶された、包装材の学習に必要な各種データを取得する(ステップS201)。図14に示した算出部153は、データ取得部151から取得した包装材、緩衝特性、個包装等の各種データから各包装材の包装材使用量を算出する(ステップS202)。
【0070】
学習用データ取得部1551は、図14に示した記憶部14に記憶されたユーザが過去に使用した包装材の使用量実績値を取得する(ステップS203)。学習モデル生成部1552は、学習済モデルを生成する(ステップS204)。具体的には、学習モデル生成部1552は、包装材の包装材使用量を学習用入力データとして、図16に示すニューラルネットワークの入力層X~Xの各ニューロンに入力する。また、学習モデル生成部1552は、包装材の使用量実績値を学習用出力データとして、ニューラルネットワークの出力層Z~Zに設定する。学習モデル生成部1552は、ニューラルネットワークの重みW11~Wnmと、重みV11~Vkmとを調整する。
【0071】
学習モデル生成部1552は、調整された重みW11~Wnmと、重みV11~Vkmとを、学習済モデルとして、図14に示した選定支援装置1Aの記憶部14に記憶させる(ステップS205)。学習モデル生成部1552は、学習処理を終了する。
【0072】
次に、図14に示した選定支援装置1Aにおいて実行される包装材の選定方法の流れを、図19図20に示すフローチャートを参照しつつ、以下に説明する。選定支援システム100Aに含まれる選定支援装置1Aは、例えば、図14に示した表示部13の画面上に配置されたアイコンを、ユーザが入力部11によって選択した場合、図4に示したプロセッサ107に、記憶機器101に記憶された選定推定処理プログラムをメモリ106に読み出させ、実行させる。また、選定支援システム100Aに含まれるサーバ2は、選定支援装置1Aで選定推定処理プログラムが実行されると、図5に示したプロセッサ204に、記憶機器201に記憶された選定推定処理プログラムをメモリ203に読み出させ、実行させる。
【0073】
図19に示す選定推定処理のステップS301からステップS306は、図13に示した選定支援処理のステップS101からステップS106と同様である。図17に示した推定部156の推定用データ取得部1561は、推定処理を実行する(ステップS307)。推定処理については、図20に示すフローチャートを参照しつつ、以下に説明する。
【0074】
推定用データ取得部1561は、図14に示したデータ取得部151から、ユーザが選択した包装材の包装材使用量を算出するために必要な各種データを、記憶部14に記憶された各種データベースから取得する(ステップS401)。図14に示した算出部153は、データ取得部151から取得した包装材、緩衝特性、個包装等の各種データから包装材の包装材使用量を算出する(ステップS402)。
【0075】
推定処理部1562は、データ取得部151に記憶部14に記憶されている学習済モデルを取得させ、ニューラルネットワークに学習済モデルを設定する(ステップS403)。推定処理部1562は、包装材の使用量実績値を推定する(ステップS404)。具体的には、推定処理部1562は、ステップS402で算出部153が算出した包装材の包装材使用量をニューラルネットワークの入力層の各ニューロンに入力し、出力層から包装材の使用量実績値を出力させる。推定処理部1562は、出力結果に応じて、包装材の使用量実績値を推定する。推定処理部1562は、推定処理を終了する。
【0076】
ここで、図19に戻る。図14に示した制御部15Aの算出部153は、包装材の環境影響度と包装材料費とを算出する(ステップS308)。例えば、ステップS305で選定された包装材が包装材Bとする。算出部153は、ステップS307で推定された包装材の包装材使用量である包装材Bの体積と、図8に示した包装材データベース143のテーブルに記憶されている包装材Bの寸法、質量「50」とを用いて包装材Bの総質量を算出する。算出部153は、包装材Bの総質量と、包装材データベース143のテーブルに記憶されている包装材BのGWPの値とを用いて、環境影響度である二酸化炭素排出量を算出する。また、算出部153は、包装材Bで使用している材料がプラスチックに属するものである場合、総質量からプラスチック使用量を算出する。さらに、算出部153は、包装材の総使用量に対して包装材Bの使用量を体積比で計算し、単価と乗じることにより包装材Bの包装材料費を算出する。
【0077】
また、図19に示す選定推定処理のステップS309からステップS313は、図13に示した選定支援処理のステップS109からステップS113と同様である。データ出力部154は、選定支援処理を終了する。
【0078】
以上のとおり、実施の形態2によれば、ニューラルネットワークといった機械学習を用いて製品の包装材を選定することができる。
【0079】
(変形例1)
上記の実施の形態1、2において、包装材の材料別の二酸化炭素排出量を記憶する材料別排出量データベース231を、サーバ2のサーバ記憶部23に記憶させるものとした。これに限らず、材料別排出量データベース231は、選定支援装置1、1Aの記憶部14に記憶されてもよい。
【0080】
(変形例2)
上記の実施の形態1、2において、選定支援装置1、1Aの記憶部14に記憶されている個包装データベース146には、製品の製品名、コード、外形寸法、質量等の、包装の対象となる個々の製品に関する情報を記憶するものとした。さらに、製品の仕様、コンセプト等により、事前に包装材の仕様を選定するための条件を定義していてもよい。例えば、コスト優先、脱プラスチック優先、包装材の材料の使用量を最小化等の条件を定義してもよい。
【0081】
(変形例3)
上記の実施の形態1、2において、選定支援システム100、100Aは選定支援装置1、1Aとサーバ2とを含むシステムとした。これに限らず、選定支援装置1、1Aとサーバ2に含まれる各機能を1つの装置に内蔵し、選定支援システム100、100Aとしてもよい。
【0082】
(変形例4)
上記の実施の形態1、2において、選定支援装置1、1Aは表示部13を含むものとした。これに限らず、表示部13は選定支援装置1、1Aと別体の表示装置であってもよい。選定支援装置1、1Aから別体の表示装置に表示用データを出力するための出力端子が、表示部13に相当する。
【0083】
(変形例5)
上記の実施の形態2において、学習部155、推定部156を、図14に示した選定支援装置1Aの制御部15Aに含むものとした。これに限らず、学習部155、推定部156を選定支援装置1Aとは別体の学習装置、推定装置とし、選定支援装置1Aとネットワークを介して接続するものとしてもよい。また、学習部155、推定部156を図14に示したサーバ2に配置してもよい。
【0084】
(変形例6)
上記の実施の形態2において、図15に示した学習部155の学習モデル生成部1552に備えられるニューラルネットワークは、中間層を1層のものとした。これに限らす、中間層は、2層以上でもよい。
【0085】
(変形例7)
上記の実施の形態2において、図15に示した学習部155の学習モデル生成部1552は、ニューラルネットワークにより、包装材の包装材使用量と包装材の使用量実績値との関係を学習するものとした。しかしながら、ニューラルネットワークの代わりに、深層学習、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン等、他の学習アルゴリズムを用いてもよい。
【0086】
また、本開示の実施の形態1、2では、選定支援システム100、100Aを、専用のシステムとして実現できるものとした。しかしながら、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、上述の選定支援システム100、100Aにおける各機能を実現するためのプログラムを、コンピュータが読み取り可能なCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)などの記録媒体に格納して配布し、このプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。そして、各機能をOS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合には、アプリケーションのみを記録媒体に格納してもよい。
【0087】
なお、本開示の技術的範囲は、上記実施の形態と変形例によっては限定されない。本開示は特許請求の範囲に記載された技術的思想の限りにおいて、自由に応用、変形あるいは改良して、実施することができる。
【0088】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0089】
(付記1)
出荷する製品および出荷先を含む出荷オーダに応じて、前記出荷先の包装材に関する法規制情報を記憶する法規制情報データベースから、前記出荷先における包装材を選定の対象から除外するための非選定コードを取得するデータ取得部と、
前記包装材に関する情報を記憶する包装材データベースから、前記非選定コードを含まない包装材を選定する選定部と、
前記非選定コードを含まない包装材の包装材使用量と地球温暖化係数との少なくともいずれか一方に基づいて、前記非選定コードを含まない包装材の環境影響度を算出する算出部と、
を備える選定支援システム。
【0090】
(付記2)
前記算出部で求めた包装材の包装材使用量と、前記包装材の使用量実績値との関係をニューラルネットワークで学習し、学習済モデルを生成する学習部をさらに備える、
付記1に記載の選定支援システム。
【0091】
(付記3)
前記学習済モデルを設定したニューラルネットワークを用いて、前記算出部で求めた包装材の包装材使用量から、前記包装材の使用量実績値を推定する推定部をさらに備える、
付記2に記載の選定支援システム。
【0092】
(付記4)
前記非選定コードを含まない包装材のうち、ユーザが選択した包装材のデータを使用量実績値として記憶する記憶部をさらに備える、
付記1から3の何れか一つに記載の選定支援システム。
【0093】
(付記5)
包装材の材料別の二酸化炭素排出量を記憶する材料別排出量データベースを記憶するサーバをさらに備え、
前記包装材データベースは、前記材料別排出量データベースに記憶された前記包装材の材料別の二酸化炭素排出量から求めた、前記包装材の地球温暖化係数を含む、
付記1から4の何れか一つに記載の選定支援システム。
【0094】
(付記6)
選定支援システムが実行する方法であって、
出荷する製品および出荷先を含む出荷オーダに応じて、前記出荷先における包装材を選定の対象から除外するための非選定コードを取得するステップ、
前記非選定コードを含まない包装材を選定するステップ、
前記非選定コードを含まない包装材の包装材使用量と地球温暖化係数との少なくともいずれか一方に基づいて、前記非選定コードを含まない包装材の環境影響度を算出するステップ、
を備える方法。
【0095】
(付記7)
コンピュータに、
出荷する製品および出荷先を含む出荷オーダに応じて、前記出荷先における包装材を選定の対象から除外するための非選定コードを取得する処理、
前記非選定コードを含まない包装材を選定する処理、
前記非選定コードを含まない包装材の包装材使用量と地球温暖化係数との少なくともいずれか一方に基づいて、前記非選定コードを含まない包装材の環境影響度を算出する処理、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0096】
1、1A 選定支援装置、2 サーバ、11 入力部、12 接続部、13 表示部、14 記憶部、15、15A 制御部、21 サーバ接続部、22 サーバ制御部、23 サーバ記憶部、100、100A 選定支援システム、101、201 記憶機器、102、202 接続機器、103 入力機器、104 表示機器、105 表示コントローラ、106、203 メモリ、107、204 プロセッサ、108、205 データバス、141 出荷先情報データベース、142 法規制情報データベース、143 包装材データベース、144 包装材二酸化炭素排出量データベース、145 包装材緩衝特性データベース、146 個包装データベース、147 外装箱データベース、151 データ取得部、152 選定部、153 算出部、154 データ出力部、155 学習部、156 推定部、231 材料別排出量データベース、1551 学習用データ取得部、1552 学習モデル生成部、1561 推定用データ取得部、1562 推定処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20