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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017552
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240201BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240201BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J29/00 A
B41J11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120269
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】森山 隆司
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056EA24
2C056HA27
2C056HA29
2C056HA44
2C058AB02
2C058AC07
2C058AC11
2C058AE02
2C058AF31
2C058DA11
2C058DA29
2C058DA38
2C058DB25
2C058DB26
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AS02
2C061AS11
(57)【要約】
【課題】印刷装置において媒体を支持する支持面を、金属以外の材料を用いて構成する。
【解決手段】媒体を支持する支持面を有する支持部と、前記支持部に支持される前記媒体に印刷を行う印刷部と、を有し、前記支持部は、金属製の第1部材と、樹脂製の第2部材と、金属製の第3部材と、を有し、前記第3部材は、前記第1部材に取り付けられ、前記第2部材を支持し、前記第2部材は前記支持面を構成する板状部材である、印刷装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を支持する支持面を有する支持部と、
前記支持部に支持される前記媒体に印刷を行う印刷部と、を有し、
前記支持部は、金属製の第1部材と、樹脂製の第2部材と、金属製の第3部材と、を有し、
前記第3部材は、前記第1部材に取り付けられ、前記第2部材を支持し、
前記第2部材は前記支持面を構成する板状部材である、
印刷装置。
【請求項2】
前記第3部材は、前記第2部材に下方から当接する突出部を有し、前記突出部により前記第2部材を支持し、
前記第1部材は、前記第3部材の上下方向における移動を制限する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第3部材は、第1の端部及び第2の端部を有する柱状部材であり、
前記第1の端部は前記第1部材に固定され、前記第2の端部は上下方向と交差する方向に移動可能に前記第1部材に連結される、
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1部材には、前記第2の端部に当接することにより、前記第3部材の上下方向における移動を制限する制限部材が取り付けられる、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第2部材は、前記突出部に当接する当接部と、前記第3部材に掛かるフック部と、を有し、
前記フック部が前記第3部材に対して、上方に向けて当接することにより、前記当接部と前記突出部とが互いに当接する、
請求項2から4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
1つの前記第2部材は、少なくとも2つの前記第3部材によって支持される、
請求項1から4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
前記支持部は、少なくとも2つの前記第2部材を有する、
請求項1から4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第2部材には、前記媒体に装着される治具を取り付け可能な取付部が設けられる、請求項1から4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項9】
空気を吸引する吸引部を備え、
前記第1部材及び前記第2部材により囲まれる閉鎖した吸気空間が形成され、
前記第1部材には前記吸引部と前記吸気空間とを連通させる吸気孔が形成され、
前記第2部材には、前記支持面を貫通して前記吸気空間に連通する吸着孔が形成される、
請求項1から4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項10】
前記支持部は、少なくとも2つの前記第2部材を有し、
少なくとも1つの前記第2部材には、溝部が形成され、
前記溝部には、シール部材が設けられ、
前記シール部材は、隣り合う前記第2部材同士の間の隙間を塞ぐ、
請求項9に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体を支持する支持部を、金属材料により構成した印刷装置が知られている。例えば、特許文献1は、アルミニウムやステンレス鋼などの板金で構成されたテーブルを有する印刷装置を開示する。この印刷装置は、テーブルに載置された被印刷物に、インクヘッドからインクを吐出することにより印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-104343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような印刷装置においては、インクを吐出するヘッドと被印刷物との間の高さ方向の位置決めを高精度で行う必要がある。また、印刷装置の支持部には、被印刷物を支持及び固定する治具の使用にも耐えるように、高い強度が求められることがある。これらの理由により、印刷装置の支持部は金属材料によって構成されることが多かった。しかし、金属で構成された支持部は重量が大きい。このため、印刷装置の軽量化が難しい、印刷装置の製造コストが大きい、支持部が劣化または汚損した場合に支持部を交換するための費用が大きい等の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する一様態は、媒体を支持する支持面を有する支持部と、前記支持部に支持される前記媒体に印刷を行う印刷部と、を有し、前記支持部は、金属製の第1部材と、樹脂製の第2部材と、金属製の第3部材と、を有し、前記第3部材は、前記第1部材に取り付けられ、前記第2部材を支持し、前記第2部材は前記支持面を構成する板状部材である、印刷装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る印刷装置の斜視図。
図2】実施形態に係る支持部の斜視図。
図3】実施形態に係る支持部の要部斜視図。
図4】実施形態に係る支持部の要部斜視図。
図5】実施形態に係る支持部の断面視図。
図6】実施形態に係る支持部の一部破断斜視図。
図7】実施形態に係る支持部の要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る印刷装置1について説明する。
[1.印刷装置の全体構成]
図1は、印刷装置1の斜視図である。
【0008】
図1に示す印刷装置1は、支持部80に支持された媒体Mに対してインクを吐出し、媒体Mに向けて紫外線を照射することによって媒体Mに付着したインクを硬化させ、印刷を行う装置である。媒体Mは、例えば、シート、布、或いは立体物である。シートは、紙、合成樹脂製のシートであってもよい。布は不織布、ニット、布帛のいずれであってもよい。立体物は、衣服や靴などの装飾品、日用品、機械部品、その他の各種の物体を含む。また、立体物は、媒体Mが積層されることにより形成されたものであってもよい。
媒体Mは、支持部80の支持面80aの上に載置されることにより、支持面80aによって直接的に支持されてもよい。また、支持面80aに取り付けられる図示しない治具を介して、支持面80aによって間接的に支持されてもよい。
【0009】
図1には、X軸、Y軸、及びZ軸を示す。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交する。Z軸は、印刷装置1の設置状態において上下方向に延びる軸であり、鉛直方向に延びる軸ということもできる。X軸、及び、Y軸は、水平面に平行である。以下の説明において、X軸に沿った方向を左右方向とし、Y軸に沿った方向を前後方向とする。詳細には、Z軸に沿う正方向を上方向とし、X軸に沿う正方向を右方向とし、Y軸に沿う正方向を前方向とする。図1におけるX軸、Y軸、及びZ軸は、後述する各図においても同じ方向を示す。以下の説明および各図における+符号は、X軸、Y軸、及びZ軸に沿う正方向を示し、-符号は逆方向を示す。
【0010】
印刷装置1は、媒体Mを支持する支持部80を有する。支持部80は、上方に面した略水平な面である支持面80aを有する。印刷装置1の設置状態において、媒体Mは、支持部80の支持面80aに載置される。印刷装置1は、支持面80aに支持された媒体Mの上方を通るようにキャリッジ69を走査させる。キャリッジ69は、ヘッド71及び照射部73を左右方向に並べて搭載し、ヘッド71から媒体Mに向けてインクを吐出した後、媒体Mに付着したインクに対して照射部73から紫外線を照射する。ヘッド71は、「印刷部」の一例に対応する。
【0011】
印刷装置1は、印刷装置本体10、支持部80、照射部73、及び、ヘッド71を備える。印刷装置本体10は、印刷装置1の設置面に固定される部分であり、支持部80、照射部73、および、ヘッド71をそれぞれ支持する。また、印刷装置1は、印刷装置1に設けられた各機器を制御する図示しない制御部を備える。照射部73は、図示しない発光素子を備え、制御部の制御に従って発光素子が発光することにより、下方に向けて紫外線を照射する。発光素子は、例えば、UV-LED(Ultraviolet Light Emitting Diode)である。ヘッド71は、図示しないアクチュエーターを備え、制御部の制御に従ってアクチュエーターが動作することにより、下方に向けて設けられたノズルから下方にインクを吐出する。アクチュエーターは、例えば、ピエゾアクチュエーターである。
【0012】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサー、揮発性のメモリー、及び不揮発性のメモリーを備える。揮発性のメモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。不揮発性のメモリーは、例えばROM(Read Only Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリー等で構成される。制御部は、揮発性のメモリー及び不揮発性のメモリーが記憶するプログラムを実行することによって、印刷装置1の各部を制御する。
【0013】
印刷装置本体10は、底板11と、ベース部13と、支持部移動機構30と、駆動機構20と、移動部50と、を備える。底板11は、印刷装置1の設置面に載置される板状の部材である。ベース部13は、底板11の上面に支持され、印刷装置本体10の各部を支持する。
【0014】
支持部移動機構30は、支持脚31と、高さ移動機構32と、を備える。支持脚31は、印刷装置本体10において、支持部80を支持する部材である。支持部80は、前後方向に並べられた一対の支持脚31によって支持される。支持脚31の上端には、図示しない支持部取付面が設けられる。支持部取付面は略水平な面である。支持脚31は、支持部取付面の上に支持部80を支持する。それぞれの支持脚31は、脚部31aを有する。脚部31aは、支持脚31において支持部取付面から下方に延びる部分である。脚部31aの下端且つ左右方向の両端には、略水平方向に沿う水平部31bが形成される。支持脚31は、水平部31bを介して、高さ移動機構32に支持される。
【0015】
高さ移動機構32は、昇降モーター33と、昇降ベルト37と、昇降機構39と、を備え、支持脚31を上下方向に移動させる。昇降機構39は、4つの水平部31bにそれぞれ設けられる。昇降機構39は、Z軸に沿って配置されたボールねじと、ボールねじに螺合するナットと、プーリーとを有する。昇降機構39のボールねじはベース部13に回転可能に支持される。昇降機構39のナットは水平部31bに固定される。昇降機構39のプーリーはボールねじの上部に固定される。昇降機構39のプーリーが回転すると、ボールねじが回転し、ボールねじの回転に伴いナットとともに支持脚31がZ軸に沿って移動する。
【0016】
昇降モーター33は、制御部の制御に従って回転するモーターである。昇降モーター33の回転方向、及び、回転量は、制御部によって制御される。昇降ベルト37は、昇降モーター33の出力軸、及び、4つの昇降機構39のプーリーに掛け渡される環状のベルトである。昇降モーター33が回転することによって昇降ベルト37が循環駆動される。昇降ベルト37は、昇降モーター33の回転を4つの昇降機構39のプーリーに伝達する。これにより、昇降機構39のボールねじが回転し、支持脚31をZ軸に沿って移動させる。
【0017】
昇降モーター33の回転方向は、支持脚31を上方に移動させる正方向、及び、支持脚31を下方に移動させる逆方向に切り替え可能である。印刷装置1は、昇降モーター33を動作させることによって、支持脚31を上昇および下降させる。
印刷装置1は、このように支持脚31の高さを変化させることによって、支持部80の高さを変化させる。これにより、印刷装置1は、支持面80aに支持された媒体Mとヘッド71のノズルとの間の距離が、印刷に最適な距離となるように調整する。
【0018】
駆動機構20は、一対のガイド軸15及び、フレーム駆動部40を有する。一対のガイド軸15は、一対のベース部13に掛け渡されY軸に沿って配置される軸状部材である。一対のガイド軸15の間には、支持部移動機構30および支持部80が配置される。
【0019】
移動部50は、メインフレーム51と、一対のフレーム脚部53と、を備える。
【0020】
メインフレーム51は、X軸に沿う方向に長い板状部材である。一対のフレーム脚部53は、一対のガイド軸15により、それぞれ前後方向に移動可能に支持される。メインフレーム51は、一対のフレーム脚部53の上に固定され、一対のフレーム脚部53によって下方から支持される。メインフレーム51は、一対のフレーム脚部53とともに、ガイド軸15によってガイドされて、Y軸に沿って移動する。一対のガイド軸15の間には支持部80が配置されるため、メインフレーム51は、支持部80の上方をY軸に沿って移動できる。
【0021】
フレーム駆動部40は、フレーム移動モーター41と、伝達ベルト43と、変速機構45と、伝達ベルト47と、を備える。
【0022】
フレーム移動モーター41は、後述する制御部の制御に従って回転するモーターである。伝達ベルト43は、フレーム移動モーター41の出力軸と変速機構45との間に掛け渡される環状のベルトであり、フレーム移動モーター41の駆動力を変速機構45に伝達する。変速機構45は、第1のプーリーと、第2のプーリーとを有し、第1のプーリーには伝達ベルト43が巻き掛けられ、第2のプーリーには伝達ベルト47が巻き掛けられる。変速機構45は、伝達ベルト43から第1のプーリーに伝達される駆動力によって、第2のプーリーを回転させることにより、伝達ベルト47を駆動する。変速機構45は、第1のプーリーと第2のプーリーの径の比に対応する減速比で、フレーム移動モーター41の駆動力を伝達ベルト47に伝達する。
【0023】
伝達ベルト47は、変速機構45と、ベース部13の-Y方向の端部に配置されるプーリー49とに掛け渡される環状のベルトである。プーリー49は、ベース部13に対し回転自在に設置される。伝達ベルト47はY軸に沿って配置される。伝達ベルト47には、フレーム脚部53が固定されている。このため、伝達ベルト47が循環駆動されることによって、フレーム脚部53をY軸に沿って移動させる動力が作用する。これにより、移動部50は、Y軸に沿って移動する。
【0024】
フレーム移動モーター41の回転方向は、メインフレーム51を+Y方向に移動させる正方向、及び、メインフレーム51を-Y方向に移動させる逆方向に切り替え可能である。印刷装置1は、フレーム移動モーター41を動作させることによって、メインフレーム51を前方および後方に移動させる。
【0025】
メインフレーム51は、キャリッジ支持フレーム61、キャリッジガイド軸63、キャリッジ駆動モーター67、及び、キャリッジ69を備える。キャリッジ69は、印刷装置本体10において、ヘッド71、及び、照射部73を支持する構造体である。
【0026】
キャリッジ支持フレーム61は、メインフレーム51に対して固定され、X軸に沿う方向に長い板状部材である。キャリッジ支持フレーム61には、X軸に沿ってキャリッジガイド軸63が固定される。キャリッジ69は、キャリッジ支持フレーム61及びキャリッジガイド軸63によって支持され、キャリッジガイド軸63に沿って移動可能である。キャリッジ69がX軸に沿って移動する範囲において、左端の位置をホームポジションとする。印刷装置本体10は、ホームポジションにおいて、ヘッド71のフラッシングやクリーニング等のメンテナンスを行うクリーナー17を備える。図1において、キャリッジ69はホームポジションに位置する。
【0027】
キャリッジ駆動モーター67は、制御部の制御に従って回転するモーターである。キャリッジ駆動モーター67の回転は、キャリッジ駆動ベルト65に伝達され、キャリッジ駆動ベルト65は循環駆動する。
【0028】
キャリッジ駆動ベルト65は、キャリッジ支持フレーム61に対して、X軸方向に沿って掛け渡された環状のベルトである。キャリッジ駆動ベルト65にはキャリッジ69が連結される。このため、キャリッジ駆動ベルト65が循環駆動されると、キャリッジ69はX軸に沿って移動する。また、メインフレーム51がY軸に沿って移動することにより、キャリッジ69は前後方向、すなわち+Y方向および-Y方向に移動する。従って、印刷装置1は、キャリッジ69によって支持したヘッド71および照射部73を、支持部80の上方において前後方向および左右方向に移動させることができる。
【0029】
[2.支持部の構成]
図2は、支持部80の斜視図である。
支持部80は、支持部移動機構30の支持脚31によって支持される平板状の構造体である。支持部80は、第1部材81と、3つの第2部材82L、82M、82Rと、6つの第3部材83と、を備える。
【0030】
第1部材81は、金属製の部材であり、鉄製の板金を加工して形成される。第1部材81は、支持部80の底部に配置され、支持脚31によって支持される部材である。第1部材81は、底面81aと、前面81bと、後面81cと、一対の側面81dと、を有する。底面81aは、平面視で略長方形の略水平な面である。底面81aは、ねじの締結によって印刷装置本体10の支持脚31に取り付けられる。底面81aの中央付近には、底面81aを貫通する孔である吸気孔81eが形成される。前面81bは、底面81aの前端から上方に立ち上がる略長方形の面である。後面81cは、底面81aの後端から上方に立ち上がる略長方形の面である。一対の側面81dは、底面81aの左右方向両端から上方に立ち上がる面である。
【0031】
第2部材82Lは、合成樹脂によって構成された、前後方向に長い略長方形の板状部材である。第2部材82Lは、支持面部82aLを有する。支持面部82aLは、平面視において略長方形の平板状部分である。第2部材82M及び第2部材82Rは、第2部材82Lと同様の部材であり、それぞれ、支持面部82aM、82aRを有する。第2部材82L、82M、82Rは、左側から右側に第2部材82L、82M、82Rの順に、互いに近接して並べられる。印刷装置1の設置状態において、支持面部82aL、82aM、82aRは、それぞれ略水平である。支持面部82aL、82aM、82aRは、互いに接合して、1つの支持面80aを構成する。支持面80aの縁は、第1部材81の前面81b、後面81c、および一対の側面81dと近接する。そのため、第1部材81と支持面80aとの間に、閉鎖した空間である吸気空間Sが形成される。
【0032】
支持部80には、取付穴82bと、吸着孔とが形成される。取付穴82bは、媒体Mを固定および支持するための治具、工具を取り付け可能な穴である。媒体Mが立体物である場合、印刷中に媒体Mが変位しないように、媒体Mを固定または支持する治具が使用されることがある。これらの治具は必要に応じて支持部80に取り付けられる。支持面部82aLには、治具を一時的に支持面80に取り付けるための構成として取付部が設けられる。取付穴82bは取付部の一例である。取付部は、穴に限定されず、例えば、治具を引っかけて固定するための突起や爪であってもよい。取付穴82bの数、形状、大きさ、及び支持部80における位置は、印刷装置1において使用され得る治具の種類に対応する。本実施形態では、取付穴82bが、支持面部82aL、82aM、82aRのそれぞれに設けられている。
【0033】
取付穴82bは、上方に開口し、支持面部82aL、82aM、82aRを貫通しない穴である。取付穴82bは支持面80aにおいて上方に開口するので、例えば治具の脚部を上から取付穴82bに差し込むことにより、治具を支持部80に設置できる。
【0034】
吸着孔は、支持面80aから吸気空間Sに向けて空気を流通させるための通気孔である。吸着孔は、支持面部82aL、82aM、82aRを上下に貫通する孔であり、取付穴82bよりも断面積が小さい。支持面部82aL、82aM、82aRに設けられる吸着孔の数は制限されず、複数であってもよい。
第2部材82L、82Rには、サービス孔82cが形成される。サービス孔82cは、支持部80が支持脚31に取り付けられる際に、工具が挿入される孔である。サービス孔82cは、支持面部82aL、82aRを貫通する孔であり、支持脚31と第1部材81の底面81aとの締結位置の上方に位置する。図2に示すように、サービス孔82cは、印刷装置1の稼働時には、樹脂製の蓋であるキャップ82eによって閉塞される。
【0035】
第3部材83は、金属製の部材であり、鉄製の板金を加工して形成される。第3部材83は、細長い柱状部材であり、長手方向が前後方向に沿う向きに配置される。第3部材83は、第1部材81の底面81aとは接しない。後述するように、第3部材83は、前面81bに固定され、且つ、後面81cに係合する。第3部材83は、第2部材82L、82M、82Rを下方から支持する。
【0036】
図3は、支持部80の要部斜視図であり、支持部80を前方から見た図である。図3に示すように、第1部材81の前面81bには、前面シール部材84が取り付けられる。前面シール部材84は、ゴムあるいは合成樹脂等の弾性材料で構成された帯状の部材である。前面シール部材84は、前面81bを覆うように取り付けられる。前面シール部材84は、前面81bにおいて吸気空間Sと支持部80の外部との間の気密性を向上させる。
【0037】
図3に示すように、第3部材83は、第3部材83の上面を含む上面部83aと、上面部83aの左端から下方に折れ曲がった面である左側面83bと、上面部83aの右端から下方に折れ曲がった面である右側面83cと、を有する。上面部83aには、複数のフック孔83a1が形成される。フック孔83a1は、上面部83aを貫通する略長方形の孔であり、上面部83aにおいて前後方向に並べて配置される。第3部材83の前端部83fにおいて、左側面83bおよび右側面83cには、前方に突出する突起である左右一対の前端突起83dが形成される。
【0038】
また、左側面83bには、複数の突出部83b1が前後に並べて形成される。突出部83b1は、左側面83bの上端から上方に立ち上がる略U字型の突起である。突出部83b1は、左側面83bが曲げ形成される以前の板金に略U字形状の抜き加工を行い、その後に略U字形状に抜かれた部分を巻き込むように左側面83bを曲げ形成することにより形成される。これにより、突出部83b1の上端の高さの精度は、曲げ加工の寸法精度ではなく、抜き加工の寸法精度に依存する。従って、一つの第3部材83に形成される複数の突出部83b1の上端の高さ同士は、精度良く揃い易くなる。
【0039】
前面81bには、スリット孔81b1と、前面位置決め孔81b2と、が形成される。スリット孔81b1は、前面81bの左右両端に形成される鉛直方向に長い孔である。スリット孔81b1には、側面81dの前端から前方に突出するように形成された側面凸部81d1が挿入される。これにより、側面81dと前面81bとが連結し、第1部材81の強度が大きくなる。なお、側面81dおよび後面81cは、上記と同様の構造によって連結される。
【0040】
前面位置決め孔81b2は、前面81bを貫通する上下方向に長い孔であり、左右方向に凹凸を有する。前面位置決め孔81b2の左右方向の最小の幅は、第3部材83の前端突起83dの厚さと略同等である。前面位置決め孔81b2の上下方向の長さは、前端突起83dの上下方向の寸法と略同等である。前面位置決め孔81b2は、前面81bにおいて、支持部80に設けられた第3部材83の個数の2倍の個数だけ設けられる。それぞれの前面位置決め孔81b2は、互いに略同等の高さの位置において左右方向に並べて設けられる。複数の前面位置決め孔81b2は、加工されて第1部材81となる以前の板金に対し、金型による抜き加工によって形成される。従って、複数の前面位置決め孔81b2同士の位置関係の精度は、抜き加工の精度に依存する。そのため、複数の前面位置決め孔81b2同士は、前面81bにおいて精度よく略同等の高さに並べて配置され易い。
【0041】
前面位置決め孔81b2には、第3部材83の前端突起83dが挿入される。これにより、第3部材83の前端部83fは、第1部材81に対して左右方向および上下方向に位置決めされる。このとき、複数の前面位置決め孔81b2同士は精度良く略同等の高さに並べて配置されるため、複数の第3部材83の前端部83f同士は、互いに略同等の角度、高さに位置決めされ易い。
【0042】
さらに、第3部材83は、前端部83fにおいて、上面部83aから下方に折り曲げて形成された締結部83eを有する。締結部83eは、ねじ91によって前面81bに締結される。これにより、第3部材83は、前端部83fを第1部材81の前面81bに固定される。また、第2部材82L、82M、82Rは、ねじ93により、前面81bに対して締結される。前端部83fは、「第1の端部」の一例に対応する。
【0043】
図4は、支持部80の要部斜視図であり、後方からみた支持部80を示す。図4に示すように、後面81cには、後面シール部材86が取り付けられる。後面シール部材86は、例えばゴムなどの樹脂によって構成された帯状の部材であり、後面81cを後方から覆うように取り付けられる。後面シール部材86は、後面81cにおいて吸気空間Sと支持部80の外部との間の気密性を向上させる。
【0044】
図4に示すように、第3部材83は、後端部83rにおいて、後端突起83hを有する。後端突起83hは、後端部83rにおいて、左側面83bおよび右側面83cから後方に突出する左右一対の突起である。
【0045】
図4に示すように、後面81cは、複数の後面位置決め孔81c1を有する。後面位置決め孔81c1は、上下方向に長い孔であり、左右方向に向けて凹凸を有する。後面位置決め孔81c1の左右方向における最小の幅は、後端突起83hの厚さと略同等である。後面位置決め孔81c1の上下方向の長さは、後端突起83hの上下方向の寸法と略同等である。後面81cには、支持部80に設けられた第3部材83の個数の2倍の個数の後面位置決め孔81c1が、互いに略同等の高さにおいて左右方向に並べて形成される。複数の後面位置決め孔81c1は、加工されて第1部材81となる以前の板金に対し、金型による抜き加工によって形成される。従って、複数の後面位置決め孔81c1同士の位置関係の精度は、抜き加工の精度に依存する。そのため、複数の後面位置決め孔81c1同士は、後面81cにおいて精度良く略同等の高さに並べて配置され易い。
【0046】
後面位置決め孔81c1には、第3部材83に形成された後端突起83hが挿入される。これにより、第3部材83の後端部83rは、第1部材81の後面81cに対して連結される。後端突起83hの上下方向の長さは、後面位置決め孔81c1と略同等である。そのため、第3部材83の上下方向における移動は、第1部材81の後面位置決め孔81c1によって制限される。同様に、後面位置決め孔81c1の左右方向における最小の幅と、後端突起83h左右方向の幅とは略同等の寸法である。そのため、第3部材83の後端部83rの左右方向における移動は、後面位置決め孔81c1によって制限される。後端部83rは、「第2の端部」の一例に対応する。
【0047】
また、後面81cには、第3部材83と同数の制限部材87が取り付けられる。制限部材87は、左右方向それぞれに延びる制限部87aを有する略T字形状の板状部材であり、後面81cに対してねじ95によって締結される。制限部材87は、制限部87aの下端が、それぞれの第3部材83に形成された一対の後端突起83hに対して上方から当接する位置に配置される。これにより、後端突起83hは後面位置決め孔81c1の下縁に当接し、第3部材83の上下方向における移動が制限される。また、後端突起83hが後面位置決め孔81c1の下端と当接するため、第3部材83の後端部83rは、第1部材81に対して上下方向に位置決めされる。上述したように、複数の後面位置決め孔81c1同士は、後面81cにおいて精度良く略同等の高さに並べて配置され易い。従って、第3部材83の後端部83rは、互いに略同等の角度、高さに位置決めされ易い。
【0048】
上述したように、後端部83rは、後面81cに対する左右方向および上下方向の移動を制限される。一方、後端部83rは、前後方向において後面81cに当接しないため、後端部83rは、後面81cに対して前後方向に移動可能である。これにより、第3部材83が温度の変化によって前後方向に向けて微小に伸縮したときに、前面81bおよび後面81cに対してかかる負荷を抑制し易くなる。これにより、温度変化による支持部80の歪みを抑制し易くなる。前後方向は、「上下方向と交差する方向」の一例に対応する。
【0049】
図5は、支持部80の断面視図であり、支持部80においてX軸に垂直な断面を示す。図5に示すように、支持面部82aL、82aM、82aRの下面には、複数の当接部82fおよび複数のフック部82gが形成されている。当接部82fは、支持面部82aL、82aM、82aRの下面から下方に突出する、左右方向からの側面視において台形の突起である。フック部82gは、支持面部82aL、82aM、82aRの下面から下方に突出し、下端において前方に向けて略垂直に曲がった形状に形成されるL字型のフックである。
【0050】
図5に示すように、当接部82fの下端は、第3部材83に形成された突出部83b1に対して上方から当接する。これにより、当接部82fの上下方向の位置は、第3部材83の突出部83b1によって位置決めされる。換言すれば、突出部83b1は、当接部82fに対して下方から当接し、当接部82fを介して支持面部82aL、82aM、82aRを下方から支持する。このように、樹脂製の第2部材82L、82M、82Rは、強度の大きい金属製の第3部材83及び第1部材81によって支持されるため、例えば支持面80aに重量の大きい媒体Mが載置された場合に、支持面80aが歪みにくい。
【0051】
フック部82gは、第3部材83の上面部83aに形成されたフック孔83a1に対して挿入され、上面部83aに掛かる。これにより、フック部82gは上面部83aに対して下方から上方に向けて当接し、第2部材82L、82M、82Rの支持面部82aL、82aM、82aRは、フック部82gによって下方に引っ張られる。そのため、当接部82fが突出部83b1から浮きにくくなり、当接部82fの上下方向の位置は、第3部材83の突出部83b1によって位置決めされ易くなる。
【0052】
上述したように、支持部80に設けられる複数の第3部材83の前端部83fおよび後端部83rは、互いに略同等の角度、高さに位置決めされ易い。また、一つの第3部材83に形成された複数の突出部83b1同士の上端の高さは、精度良く揃い易い。従って、支持部80に設けられる複数の第3部材83に形成された突出部83b1の上端同士は、互いに略同等の高さに揃い易い。このため、突出部83b1に上下方向の位置決めをされる当接部82f同士は、互いに略同等の高さに位置決めされ易く、支持面部82aL、82aM、82aRは、略同等の高さに支持され易い。換言すれば、支持面部82aL、82aM、82aRおよび支持面80aは、略水平に配置され易く、且つ、精度の高い平面を形成し易くなる。
【0053】
図5に示すように、底面81aの下面には、送風機85が取り付けられる。送風機85は、例えばブロワーである。送風機85は、制御部の制御に従って動作し、図示しない吸気口から空気を吸引し、図示しない排気口から空気を吐出する。送風機85の吸気口は、第1部材81の底面81aに形成された吸気孔81eに連通されるため、送風機85は、吸気孔81eを介して吸気空間Sの空気を吸引する。これにより、吸気空間Sの内圧は低下し、支持面部82aL、82aM、82aRを貫通する吸着孔を通じて、吸気空間Sに向けて空気が流入する。例えば、シート状の媒体Mが支持面80aに載置されている場合、媒体Mは支持面80aに吸着される。送風機85は、「吸引部」の一例に対応する。
【0054】
図6は、支持部80の一部破断斜視図であり、Y軸に垂直な平面で切断した支持部80を示す。図6に示すように第2部材82L、82M、82Rは、それぞれ2つの第3部材83によって支持される。それぞれの第2部材82L、82M、82Rを支持する2つの第3部材83は、それぞれの第2部材82L、82M、82Rの左右方向における両端を支持する。これにより、第2部材82L、82M、82Rは安定して第3部材83に支持される。
【0055】
図7は、支持部80の要部斜視図であり、Y軸に垂直な平面で切断した支持部80を示す。図7に示すように、第2部材82M、82Rは、支持面部82aM、82aRの左端部において、前後方向に延びる溝部82hを有する。溝部82hは、支持面部82aM、82aRの下端よりも下方に設けられ、下方に凹んだ溝であり、支持面部82aM、82aRの前後方向の全長に渡って形成される。
【0056】
図7に示すように、溝部82hには、シール部材89が配置される。シール部材89は、弾性材料によって形成された細長い部材であり、溝部82hの全長に渡って設けられる。弾性材料としては、例えばスポンジ、ゴム等の樹脂が挙げられる。第2部材82Rの溝部82hに配置されるシール部材89の上端は、支持面部82aMの右端の下面に密着して変形する。同様に、第2部材82Mの溝部82hに配置されるシール部材89は、支持面部82aLの右端の下面に密着して変形する。これにより、第2部材82L、82M、82R同士の間の隙間は、シール部材89によって塞がれる。
【0057】
[3.他の実施形態]
上記実施形態は、本発明を適用した一具体例を示したものに過ぎない。本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0058】
上記実施形態において、支持部80には、第2部材82L、82M、82Rがそれぞれ一つずつ、合計で3つ設けられると説明したが、支持部80の構成は、これに限られない。第2部材82L、82M、82Rは、支持部80に一つまたは2つだけ設けられていてもよく、4つ以上設けられていてもよい。例えば、支持部80は、左側から順に、1つの第2部材82L、3つの第2部材82M、1つの第2部材82Rが並ぶ構成としてもよい。この場合、より大きな支持面80aを有する支持部80を実現できる。
第2部材82L、82M、82Rを構成する材料は、合成樹脂であれば制限されない。例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、メタクリル樹脂、或いは、その他のエンジニアリングプラスチックを用いることができる。
【0059】
上記実施形態において、1つの第2部材82L、82M、82Rは、2つの第3部材83によって支持されると説明したが、支持部80の構成は、これに限られない。1つの第2部材82L、82M、82Rは、1つまたは3つ以上の第3部材83によって支持される構成としてもよい。ただし、上述した実施形態のように、1つの第2部材82L、82M、82Rが2つの第3部材83によって支持される構成とした場合、支持面80aの強度の確保と、支持部80の軽量化と、を両立し易い。
【0060】
上記実施形態において、第1部材81および第3部材83は、それぞれ鉄製の板金を加工して形成されると説明したが、これは一例である。第1部材81および第3部材83は、鉄以外の金属の板金が加工されることによって形成されていてもよい。鉄以外の金属として、例えば、鉄系の合金、アルミニウムまたはアルミニウム系の合金、銅または銅系の合金等が挙げられる。また、第1部材81および第3部材83は、板金を加工して形成されたものではなく、鋳造または鍛造、切削等によって形成される構成としてもよい。
【0061】
また、印刷装置1は、送風機85を有さず、媒体Mを支持面80aに吸着しない構成としてもよい。この場合、第1部材81の吸気孔81e、および、第2部材82L、82M、82Rの吸着孔は、それぞれ形成されていなくてもよい。また、支持部80は、前面シール部材84、後面シール部材86、第2部材82M、82Rの溝部82h、および、シール部材89を、それぞれ有しない構成としてもよい。
【0062】
また、印刷装置1は、照射部73を有さず、ヘッド71から吐出されるインクは、紫外線の照射以外によって硬化する構成としてもよい。例えば、印刷装置1はいわゆる3Dプリンターであり、ヘッド71は、熱可塑性樹脂をインクとして吐出し、インクそのものを媒体Mとして立体構造物を形成する構成としてもよい。
【0063】
[4.実施形態により説明される構成]
上記の実施形態により、以下の構成が説明される。
【0064】
(構成1)媒体を支持する支持面を有する支持部と、前記支持部に支持される前記媒体に印刷を行う印刷部と、を有し、前記支持部は、金属製の第1部材と、樹脂製の第2部材と、金属製の第3部材と、を有し、前記第3部材は、前記第1部材に取り付けられ、前記第2部材を支持し、前記第2部材は前記支持面を構成する板状部材である、印刷装置。
この構成によれば、媒体を支持する支持部を、樹脂製の第2部材を用いて構成することができる。この構成は、金属製の第1部材および第3部材によって第2部材を支持することにより、支持部に必要な強度および精度を確保することを可能とし、かつ、第2部材を合成樹脂製とすることによって軽量化を可能とする。このため、支持部の容易に軽量化することができ、ひいては印刷装置の軽量化が可能となる。また、支持部の製造コストの低減も容易であることから、印刷装置の製造コストの低減、支持面が汚損または劣化した場合の支持部の交換費用の低減が期待できる。また、支持部が汚損や劣化した場合に、第2部材を交換することにより対応することも可能であり、この場合、支持部80のメンテナンスがより容易になる効果が期待できる。
【0065】
(構成2)前記第3部材は、前記第2部材に下方から当接する突出部を有し、前記突出部により前記第2部材を支持し、前記第1部材は、前記第3部材の上下方向における移動を制限する、構成1に記載の印刷装置。
この構成によれば、第2部材を下方から支持する第3部材の上下方向の位置が、第1部材によって規定される。このため、第2部材によって構成される支持面の精度を確保することが可能となり、金属製の部材のみにより支持部を構成する場合と比較して遜色の無い精度を実現できる。
【0066】
(構成3)前記第3部材は、第1の端部及び第2の端部を有する柱状部材であり、前記第1の端部は前記第1部材に固定され、前記第2の端部は上下方向と交差する方向に移動可能に前記第1部材に連結される、構成1または2に記載の印刷装置。
この構成によれば、金属製の第3部材が、温度変化などに起因して膨張または収縮した場合であっても、支持部の歪みを防ぎ、支持面の精度を維持できる。
【0067】
(構成4)前記第1部材には、前記第2の端部に当接することにより、前記第3部材の上下方向における移動を制限する制限部材が取り付けられる、構成3に記載の印刷装置。
この構成によれば、第3部材の上下方向の移動を制限することができる。このため、支持面の上下方向における位置を安定させることができる。
【0068】
(構成5)前記第2部材は、前記突出部に当接する当接部と、前記第3部材に掛かるフック部と、を有し、前記フック部が前記第3部材に対して、上方に向けて当接することにより、前記当接部と前記突出部とが互いに当接する、構成2から4のいずれかに記載の印刷装置。
この構成によれば、第2部材の当接部と突出部とが当接し、かつ、第2部材のフック部が第3部材に掛かることにより、第2部材を確実に第3部材に固定できる。そのため、支持面の上下方向の位置を安定させることができる。
【0069】
(構成6)1つの前記第2部材は、少なくとも2つの前記第3部材によって支持される、構成1から5のいずれかに記載の印刷装置。
この構成によれば、第2部材が複数の第3部材によって支持されるので、支持面の強度および精度を確保できる。
【0070】
(構成7)前記支持部は、少なくとも2つの前記第2部材を有する、構成1から6のいずれかに記載の印刷装置。
この構成によれば、支持面が複数の第2部材によって構成されるので、支持面のが汚損または劣化した場合に支持面の一部のみを交換することが可能となる。そのため、支持部のメンテナンスに要する負担を軽減できる。
【0071】
(構成8)前記第2部材には、前記媒体に装着される治具を取り付け可能な取付部が設けられる、構成1から7のいずれかに記載の印刷装置。
この構成によれば、支持面に媒体を設置するための治具を支持部に容易に取り付けることができる。
【0072】
(構成9)空気を吸引する吸引部を備え、前記第1部材及び前記第2部材により囲まれる閉鎖した吸気空間が形成され、前記第1部材には前記吸引部と前記吸気空間とを連通させる吸気孔が形成され、前記第2部材には、前記支持面を貫通して前記吸気空間に連通する吸着孔が形成される、構成1から8のいずれかに記載の印刷装置。
この構成によれば、空気を吸引することによって、支持面に載置された媒体を安定させることができる。
【0073】
(構成10)前記支持部は、少なくとも2つの前記第2部材を有し、少なくとも1つの前記第2部材には、溝部が形成され、前記溝部には、シール部材が設けられ、前記シール部材は、隣り合う前記第2部材同士の間の隙間を塞ぐ構成9に記載の印刷装置。
この構成によれば、複数の第2部材同士の間の隙間をシール部材によって塞ぐことにより、吸引部の動作時に負圧漏れを抑制できる。これにより、媒体を効率よく安定させることができる。
【符号の説明】
【0074】
1…印刷装置、31…支持脚、31a…脚部、31b…水平部、71…ヘッド(印刷部)、80…支持部、80a…支持面、81…第1部材、81a…底面、81b…前面、81c…後面、81d…側面、81e…吸気孔、82…第2部材、82L…第2部材、82M…第2部材、82R…第2部材、82aL…支持面部、82aM…支持面部、82aR…支持面部、82b…取付穴(取付部)、82c…サービス孔、82e…キャップ、82f…当接部、82g…フック部、82h…溝部、83…第3部材、83a…上面部、83b1…突出部、83f…前端部(第1の端部)、83h…後端突起、83r…後端部(第2の端部)、84…前面シール部材、85…送風機(吸引部)、87…制限部材、89…シール部材、M…媒体、S…吸気空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7