(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175524
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】スイッチギヤ及び換気装置
(51)【国際特許分類】
H02B 1/28 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
H02B1/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093367
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】人見 振太朗
(72)【発明者】
【氏名】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 宗信
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016CG07
5G016CG12
(57)【要約】
【課題】圧力変動が生じやすい環境下に設置された場合でも、フィルタの劣化を軽減することができるスイッチギヤ及び換気装置を提供する。
【解決手段】スイッチギヤ100は、スイッチギヤ100の筐体1内に通じる第1通気口422及び第2通気口423と、第1通気口422を覆うフィルタ6と、第2通気口423を開閉可能に閉じる扉体7と、を備える。扉体7は、筐体1内が筐体1外に比べて正圧になると、第2通気口423を開放するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチギヤの筐体内に通じる第1通気口及び第2通気口と、
前記第1通気口を覆うフィルタと、
前記第2通気口を開閉可能に閉じる扉体と、
を備え、
前記扉体は、前記筐体内が前記筐体外に比べて正圧になると、前記第2通気口を開放するように構成されている、
スイッチギヤ。
【請求項2】
前記フィルタの厚さ方向の外側に間隔をおいて配置された外側フィルタと、
前記フィルタと前記外側フィルタの外周を覆い、前記外側フィルタを通過した気体が前記フィルタを通過するように、気流を形成するケースと、
を更に備える、
請求項1に記載のスイッチギヤ。
【請求項3】
前記ケースは、前記フィルタと前記外側フィルタとの間において、前記第1通気口の下方に配置された塵埃受け部を有する、
請求項2に記載のスイッチギヤ。
【請求項4】
前記塵埃受け部は、塵埃を吸着する吸着体を含む、
請求項3に記載のスイッチギヤ。
【請求項5】
前記扉体を閉じる方向に力を加える弾性体を更に備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチギヤ。
【請求項6】
スイッチギヤの筐体に取り付けられる換気装置であって、
通気口が第1面に形成された中空箱状のケースと、
前記ケースの前記第1面とは異なる第2面に形成され、前記筐体内に通じるように配置される第1通気口及び第2通気口と、
前記第1通気口を覆うフィルタと、
前記第2通気口を開閉可能に閉じる扉体と、
を備え、
前記扉体は、前記第2通気口に対し、前記ケースの内側から外側に向かう気流を遮断し、前記ケースの外側から内側に向かう気流の流れを許容するように構成されている、
換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチギヤ及び換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のスイッチギヤが記載されている。特許文献1に記載のスイッチギヤは、換気口にフィルタ装置が設けられている。フィルタ装置は、スイッチギヤの筐体の換気口を覆うようにして取り付けられたフィルタを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のスイッチギヤは、筐体外に対して、筐体内が正圧となったり、負圧となったりを繰り返すような圧力変動が生じやすい環境下に設置されることがある。このため、特許文献1に記載のフィルタ装置を有するスイッチギヤでは、筐体外に対して筐体内が負圧になると、筐体の外側から内側へ外気が流入し、筐体内が正圧になると、筐体の内側から外側へ気体が排出されることを繰り返す場合がある。
【0005】
しかしながら、このような圧力変動が生じやすい環境下にあるフィルタ装置において、空気が、フィルタに対して、筐体内へ向かう通過と筐体外へ向かう通過とを過度に繰り返すと、フィルタの目が拡がりやすく、フィルタが劣化しやすいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、圧力変動が生じやすい環境下に設置された場合でも、フィルタの劣化を軽減することができるスイッチギヤ及び換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様のスイッチギヤは、スイッチギヤの筐体内に通じる第1通気口及び第2通気口と、前記第1通気口を覆うフィルタと、前記第2通気口を開閉可能に閉じる扉体と、を備え、前記扉体は、前記筐体内が前記筐体外に比べて正圧になると、前記第2通気口を開放するように構成されている。
【0008】
本発明に係る一態様の換気装置は、スイッチギヤの筐体に取り付けられる換気装置であって、通気口が第1面に形成された中空箱状のケースと、前記ケースの前記第1面とは異なる第2面に形成され、前記筐体内に通じるように配置される第1通気口及び第2通気口と、前記第1通気口を覆うフィルタと、前記第2通気口を開閉可能に閉じる扉体と、を備え、前記扉体は、前記第2通気口に対し、前記ケースの内側から外側に向かう気流を遮断し、前記ケースの外側から内側に向かう気流の流れを許容するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る上記態様のスイッチギヤ及び換気装置は、圧力変動の環境下に設置されたスイッチギヤであっても、フィルタの劣化を軽減することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスイッチギヤの断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るスイッチギヤの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
本実施形態に係るスイッチギヤ100は、例えば、ビル、工場等の施設に設置される受変電設備である。スイッチギヤ100は、屋外に設置されてもよいし、屋内に設置されてもよい。スイッチギヤ100は、複数の配電盤10を有することが好ましい。スイッチギヤ100は、複数の配電盤10が一方向に並び、隣り合う配電盤10同士が互いに連結されていることが好ましい。各配電盤10は、
図1に示すように、筐体1と、筐体1内に設置された電力機器2と、筐体1に取り付けられた複数の換気装置3と、を備える。
【0012】
換気装置3は、
図2に示すように、スイッチギヤ100の筐体1内に通じる第1通気口422及び第2通気口423と、第1通気口422を覆うフィルタ6と、第2通気口423を開閉可能に閉じる扉体7と、を備える。扉体7は、筐体1内が筐体1外に比べて正圧になると、第2通気口423を開放するように構成されている。
【0013】
このように構成されていることで、スイッチギヤ100の筐体1の外から内へ気体が流れる際には、気体をフィルタ6に通すことができる。また、筐体1の内から外へ気体が流れる際には、気体を、できる限りフィルタ6に通すことなく、第2通気口423に通すことができる。この結果、フィルタ6に対して、気体の筐体1内へ向かう通過と筐体1外へ向かう通過とが繰り返されることが低減され、フィルタ6の劣化を軽減できる。
【0014】
以下では、説明の便宜上、
図1に示すように「前後方向」を定義し、
図1において紙面奥手前方向を、「左右方向」として定義する。また、左右方向及び前後方向に直交する方向を「上下方向」として定義する。さらに、水平面に沿いかつ筐体1の内側から外側に向かう方向を「外方向」とし、その反対方向を「内方向」とし、外方向及び内方向に平行な方向を「内外方向」という場合がある。ただし、これらの方向の定義は、説明のために定義したものに過ぎず、使用態様を特定する意図はない。
【0015】
本明細書において「平行」とは、2つの直線、面等(以下、直線等)が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。また、「直交」とは、2つの直線等が90°±10°の範囲で交わる場合を意味する。ただし、2つの直線等が直接交わっていなくても、延長した場合に交わる場合には「直交」に含まれる。
【0016】
(電力機器2)
電力機器2は、電力の供給を受けて駆動する機器である。電力機器2としては、特に制限はなく、例えば、遮断器、計器用変圧器、変圧器等が挙げられる。電力機器2は、駆動することにより発熱する。電力機器2が発熱すると、筐体1内が昇温するため、筐体1外に比べて、筐体1内は正圧になりやすい。また、特に図示しないが、電力機器2が発熱すると、換気ファンが駆動することが好ましい。換気ファンが駆動することで、外気が筐体1に取り込まれ、電力機器2が冷却される。筐体1内の換気の際に、外気が取り込まれると共に、筐体1内の気体が排出されることで、筐体1内の圧力は変動が生じやすい。
【0017】
(筐体1)
図1には、配電盤10の鉛直面で切断した断面図を示し、
図3には、配電盤10の正面図を示す。筐体1は、前面板121、後面板131、一対の側板111、天板112及び底板113を有する箱体である。筐体1は、一対の側板111、天板112及び底板113を有する筐体本体11と、前面板121を含む正面扉12と、後面板131を含む背面扉13と、を有する。筐体1の材料としては、例えば、金属が挙げられる。
【0018】
筐体本体11は、前面及び後面に開口面を有する角筒状に形成されている。筐体本体11は、正面視矩形状に形成されている。
【0019】
正面扉12は、筐体本体11の前側の開口を開閉可能に閉じる。正面扉12は、左右方向の一方の端部に回転軸を有しており、筐体本体11に対して回転可能に取り付けられている。正面扉12の主面は、前面板121で構成されている。
【0020】
前面板121には、換気口(以下、前側換気口122という)が形成されている。前側換気口122は、前面板121を貫通する。前側換気口122は、矩形状が好ましい。ただし、前側換気口122の形状としては、例えば、円形、楕円形等であってもよい。
【0021】
背面扉13は、筐体本体11の後側の開口を開閉可能に閉じる。背面扉13は、左右方向の一方の端部に回転軸を有しており、筐体本体11に対して回転可能に取り付けられている。背面扉13の主面は、後面板131で構成されている。
【0022】
後面板131には、換気口(以下、後側換気口132という)が形成されている。後側換気口132は、後面板131を貫通する。後側換気口132は、矩形状が好ましい。ただし、後側換気口132の形状としては、例えば、円形、楕円形等であってもよい。
【0023】
前側換気口122及び後側換気口132には、換気装置3が取り付けられている。前側換気口122に取り付けられた換気装置3と、後側換気口132に取り付けられた換気装置3とは、同じ構造である。以下では、前側換気口122に取り付けられた換気装置3を主に説明し、後側換気口132に取り付けられた換気装置3について重複する説明は省略する。
【0024】
(換気装置3)
換気装置3は、
図2に示すように、外側通気口411及び内側通気口421を有するケース4と、外側通気口411に沿って配置されたフィルタ(以下、外側フィルタ5という)と、内側通気口421の一部に沿って配置されたフィルタ(以下、内側フィルタ6という)と、複数の扉体7と、を備える。
【0025】
換気装置3は、筐体1に対して、取外し可能に取り付けられることが好ましい。これによって、設置後の換気装置3のメンテナンスを容易にできる。また、換気装置3を有さない既設のスイッチギヤ100に対して、新たに換気装置3を取り付けることもできる。筐体1に対する換気装置3の取付けとしては、例えば、ねじ止め、ピン止め、挟み込み、磁着等が挙げられる。
【0026】
(ケース4)
ケース4は、換気装置3のハウジングである。ケース4は、外板41、内板42及び外周板43によって、中空箱状に形成されている。ケース4は、外側通気口411及び内側通気口421の外周を覆うことで、外側通気口411と内側通気口421とをつなぐ気流を形成できる。
【0027】
ケース4は、扁平形状であることが好ましい。内板42は、筐体1の前面板121の外面に対向している。外板41は、内板42よりも外方向に間隔をおいて配置されている。外周板43は、内板42と外板41との外周を囲むようにして配置されている。なお、後側換気口132に取り付けられる換気装置3(
図1参照)では、内板42は、筐体1の後面板131の後面に対向する。ケース4の材料としては、特に制限はなく、例えば、金属、合成樹脂、ガラス、カーボン、木、パルプ等が挙げられる。
【0028】
外板41には、外側通気口411が形成されている。外側通気口411は、外板41を貫通する。外側通気口411は、スイッチギヤ100の筐体1内に外気を取り込む際には、気体取込口として機能し、スイッチギヤ100の筐体1内から気体を排出する際には、気体排出口として機能する。
【0029】
外側通気口411は、前側換気口122よりも小さい複数の貫通穴を有するカバー412を備えることが好ましい。複数の貫通穴を有するカバー412は、筐体1内に外気を取り込む際に、1次フィルタとして機能する。カバー412としては、例えば、ガラリ、パンチングメタル、エキスバンドメタル、金網等が挙げられる。貫通穴の形状は、例えば、丸形、スロット形、多角形、スリット等が挙げられる。貫通穴の内径の最大値は、内側フィルタ6及び外側フィルタ5の穴径の最大値よりも大きいことが好ましい。カバー412としてガラリが用いられる場合、ガラリは、例えば、H形、V型、パンチング型、メッシュ型、片流れ型、山形等が挙げられる。
【0030】
内板42には、内側通気口421が形成されている。内側通気口421は、内板42を貫通する。内側通気口421は、第1通気口422と、一対の第2通気口423とを備える。
【0031】
第1通気口422は、筐体1に対して換気装置3が取り付けられると、筐体1を貫通する換気口122を介して、筐体1内に通じる。第1通気口422は、内板42の上下方向の中央部を含む領域に形成されることが好ましい。第1通気口422の流路断面積は、外側通気口411の流路断面積と同等であることが好ましい。ここでいう「同等」は、第1通気口422の流路断面積と外側通気口411の流路断面積とが、±10%の範囲に収まることを意味する。外側通気口411が複数の貫通穴を有する場合、流路断面積は、貫通穴の流路断面積の合計を意味する。
【0032】
ただし、第1通気口422は、内板42の上半分又は下半分に形成されていてもよい。また、第1通気口422は、内板42の外周に沿って形成されてもよい。また、第1通気口422は、1つの開口で構成されていなくてもよく、例えば、複数の開口によって構成されてもよい。
【0033】
第2通気口423は、筐体1に対して換気装置3が取り付けられると、換気口122を介して、筐体1内に通じる。第2通気口423は、第1通気口422とは別の位置に形成されている。本実施形態では、第2通気口423は、第1通気口422の周囲の少なくとも一部に形成されており、より具体的には、第1通気口422の上方及び下方の両方に形成されている。第2通気口423と第1通気口422との間には、内板42の一部が介在している。
【0034】
各第2通気口423は、左右方向に延びている。第2通気口423の形状は、例えば、矩形、長円形、真円形、スリット等が挙げられる。各第2通気口423は、複数の穴で構成されてもよい。
【0035】
第1通気口422及び第2通気口423は、換気口122の開口縁内に形成されることが好ましい。これによって、換気装置3を筐体1の換気口122に取り付けるだけで、第1通気口422及び第2通気口423を筐体1内に通じさせることができる。
【0036】
(外側フィルタ5)
外側フィルタ5は、外側通気口411を覆うようにして配置されている。外側フィルタ5は、カバー412の貫通穴を通過した外気が通る2次フィルタとして機能する。外側フィルタ5は、外側フィルタ5を通過する気体に含まれる微粒子を捕捉できる防塵フィルタである。外側フィルタ5は、例えば、粒径が10μm以上の微粒子を捕捉できることが好ましい。外側フィルタ5が捕捉する微粒子は、比較的粒径の大きい塵、埃、粉等(以下、塵埃という。本明細書において「塵埃」には「粉塵」も含まれる)が挙げられる。外側フィルタ5は、例えば、粗塵フィルタである。また、外側フィルタ5の形態は、例えば、平板状、プリーツ状等が挙げられる。外側フィルタ5は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0037】
外側フィルタ5は、内側フィルタ6の厚さ方向の外側に間隔をおいて配置されている。本実施形態では、外側フィルタ5は、ケース4の外板41に取り付けられている。外側フィルタ5は、外板41の内面に取り付けられることが好ましい。外板41に対する外側フィルタ5の取付けは、例えば、接着、保持片による保持、ねじ止め、挟み込み等が挙げられる。なお、外側フィルタ5は、外板41の外面に取り付けられてもよい。
【0038】
(内側フィルタ6)
内側フィルタ6は、第1通気口422を覆うようにして配置されている。内側フィルタ6は、外側フィルタ5を通過した外気が通る3次フィルタとして機能する。内側フィルタ6は、内側フィルタ6を通過する気体に含まれる微粒子を捕捉できる防塵フィルタである。内側フィルタ6は、外側フィルタ5よりも粒径の小さい微粒子を捕捉できることが好ましく、例えば、粒径が5μm以上の微粒子を捕捉できることが好ましい。内側フィルタ6が捕捉する微粒子は、比較的粒径の小さい塵埃が挙げられる。内側フィルタ6は、例えば、細塵フィルタである。また、内側フィルタ6の形態は、例えば、平板状、プリーツ状等が挙げられる。内側フィルタ6は、単層であってもよいし、複層であってもよい。
【0039】
内側フィルタ6は、本実施形態では、ケース4の内板42に取り付けられている。内側フィルタ6は、内板42の内面に取り付けられることが好ましい。内板42に対する内側フィルタ6の取付けは、例えば、接着、保持片による保持、ねじ止め、挟み込み等が挙げられる。なお、内側フィルタ6は、内板42の外面に取り付けられてもよい。
【0040】
(扉体7)
扉体7は、第2通気口423を閉じることができるように、ケース4に取り付けられている。扉体7は、第2通気口423を開放する開位置(
図2の想像線参照)と、第2通気口423を閉じる閉位置(
図2の実線参照)とに切り替えられる。扉体7の基本的な位置は閉位置であるが、筐体1内が筐体1外に比べて正圧になると、扉体7は開位置に切り替えられる。
【0041】
扉体7は、本実施形態では、上端に回転軸が設けられている。回転軸は、左右方向に延びており、ケース4の第2通気口423の上縁に沿って取り付けられている。扉体7は、外方向に力が加わると、回転軸を中心に回転し、閉位置から開位置に切り替えられ、その外力が解除されると、再び閉位置に切り替えられる。
【0042】
開位置にある扉体7は、ケース4内において、下方が開放することが好ましい。本実施形態では、開位置にある扉体7は、下方向に行くに従って外方向に行くように、鉛直面に対して傾斜している。このため、筐体1内から第2通気口423を通る気体に塵埃が含まれていた場合、当該塵埃は扉体7に当たって下方に落ち、後述の塵埃受け部44に落ちやすい。
【0043】
換気装置3は、扉体7に対し、開位置から閉位置に向かって力を加える弾性体を有することが好ましい。これによって、扉体7に対して開位置に向かう力が加わっていない場合には、扉体7を閉位置に位置させやすい。弾性体としては、例えば、トーションばね、ゴム、板ばね等が挙げられる。ただし、扉体7の自重によって、十分に、閉位置に位置させることができる場合には、弾性体が設けられなくてもよい。
【0044】
扉体7は、例えば、板状であり、ケース4と同等の剛性を有する。扉体7の材料としては、特に制限はなく、例えば、金属、合成樹脂、ガラス、カーボン、木、パルプ等が挙げられる。
【0045】
スイッチギヤ100の筐体1の内部の圧力が、外部の圧力よりも負圧になると、外気が、外側通気口411を通り、外側フィルタ5を通してケース4内に入る。このとき、閉位置にある扉体7は、ケース4の内側から外側に向かう気流を遮断するため、ケース4内に入った気体は、内側フィルタ6及び第1通気口422を通過して、筐体1内に流れる(
図2の黒色の矢印参照)。一方、スイッチギヤ100の筐体1内の圧力が筐体1の外の圧力よりも正圧になると、内側フィルタ6及び扉体7に均等に気圧が加わるが、内側フィルタ6による空気抵抗によって、扉体7の開放が生じやすい。したがって、扉体7が開位置に切り替えられることで、筐体1の内から外に向かう気流(すなわち、ケース4の外側から内側に向かう気流)の流れを許容するため、筐体1内の気体は、第2通気口423を通り、外側フィルタ5及び外側通気口411を通り、筐体1の外部に排出される(
図2の想像線の矢印参照)。
【0046】
(塵埃受け部44)
ケース4は、塵埃受け部44を有することが好ましい。塵埃受け部44は、内側フィルタ6と外側フィルタ5との間において、第1通気口422の下方に配置されている。塵埃受け部44は、本実施形態では、ケース4の一部(ケース4の下端部)と、ケース4の下端部に収容された吸着体441とを有する。吸着体441は、塵埃を吸着する。吸着体441としては、例えば、静電気の作用により塵埃を吸着するクロス、フィルム、シート等が挙げられる。吸着体41の具体例としては、粉塵吸着クロス(荻原工業社製)が例示できる。
【0047】
筐体1の内部から第2通気口423を通してケース4内に入る気体に塵埃が含まれる場合、塵埃がケース4内を浮遊するが、塵埃受け部44を有することにより、これを吸着することができる。この結果、外側通気口411から排出される気体に含まれる塵埃を低減できる。塵埃受け部44は、第1通気口422の下方に配置されていれば、第1通気口422の側方及び/又は上方にも配置されてもよい。
【0048】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0049】
上記実施形態に係る扉体7は、筐体1の内側から加わる気圧によって、閉位置から開位置に切り替えられたが、例えば、筐体1の内外の圧力を測定する複数の圧力センサと、扉体7を開位置と閉位置とに切り替えるモータと、圧力センサによる検出結果に基づいて、モータを制御する制御器とを設けてもよい。この場合、筐体1の内部と外部との圧力差が小さくても、扉体7を駆動できるため、より一層、内側フィルタ6の劣化を軽減できる。
【0050】
上記実施形態では、扉体7の回転軸は扉体7の上端に設けられたが、下端に設けられてもよいし、上下方向の中央に位置してもよい。また、扉体7の左右方向の端部において上下方向に延びた回転軸を有してもよい。また、2つの扉体を観音開きのように開閉する構造であってもよい。
【0051】
上記実施形態では、扉体7は、回転軸を中心に回転することで、開位置と閉位置とが切り替えられたが、扉体7を第2通気口423の開口面に沿って移動させることで、開位置と閉位置とを切り替えてもよい。また、扉体7を第2通気口423の開口面に直交する方向に平行移動させることで、開位置と閉位置とを切り替えてもよい。また、扉体7を柔軟な素材で構成し、巻き取りと繰り出しとを行うことで、開位置と閉位置とを切り替えてもよい。
【0052】
上記実施形態では、第1通気口422と第2通気口423との間に内板42の一部が介在したが、第1通気口422と第2通気口423とはつながっていてもよい。つまり、1つの開口によって、第1通気口422と第2通気口423とが形成されてもよい。
【0053】
配電盤10としては、例えば、変圧器2次盤、母線連絡盤、受電盤、配電線盤、変圧器1次盤、所内変圧器盤、VCT盤等のいずれであってもよい。
【0054】
上記実施形態では、内側フィルタ6と外側フィルタ5とで、目の粗さが異なったが、同じ目の粗さのフィルタを用いてもよい。
【0055】
上記実施形態に係るケース4は、外側通気口411から内側通気口421に向かう気流が略直線状となるように形成されたが、気流が蛇行するようにケース4内部を形成してもよい。
【0056】
上記実施形態に係るケース4では、第1通気口422に係る開口を第2通気口423として使用し、第2通気口423に係る開口を第1通気口422として使用してもよい。すなわち、上下方向の中央の開口に扉体7が設けられ、その上下方向の両側の開口に内側フィルタ6が設けられてもよい。
【0057】
上記実施形態に係る換気装置3では、外板41に外側通気口411が形成されたが、外側通気口411は、外周板43に形成されてもよい。
【0058】
上記実施形態に係るスイッチギヤ100は、複数の換気装置3を備えたが、1つの換気装置3のみを有してもよい。また、換気装置3は、前面板121及び後面板131に取り付けられたが、側板111、天板112及び底板113のいずれかに取り付けられてもよい。
【0059】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係るスイッチギヤ100は、スイッチギヤ100の筐体1内に通じる第1通気口422及び第2通気口423と、第1通気口422を覆うフィルタと、第2通気口423を開閉可能に閉じる扉体7と、を備える。扉体7は、筐体1内が筐体1外に比べて正圧になると、第2通気口423を開放するように構成されている。
【0060】
この態様によれば、スイッチギヤ100の筐体1の外から内へ気体が流れる際には、気体をフィルタ6に通すことができ、筐体1の内から外へ気体が流れる際には、できる限り、気体をフィルタ6に通すことなく、第2通気口423に通すことができる。このため、気体が、フィルタ6に対して、筐体1内へ向かう通過と筐体1外へ向かう通過とを過度に繰り返すことが軽減され、フィルタ6の劣化を軽減できる。また、筐体1内の温かくなった気体を、圧力損失を抑制しながら、筐体1外に排出することができるため、効率よく筐体1内の温度を下げることができるし、効率よく筐体1内の塵埃を排出できる。
【0061】
第2の態様に係るスイッチギヤ100では、第1の態様において、フィルタ6の厚さ方向の外側に間隔をおいて配置された外側フィルタ5と、フィルタ6と外側フィルタ5の外周を覆い、外側フィルタ5を通過した気体がフィルタ6を通過するように、気流を形成するケース4と、を更に備える。この態様によれば、筐体1の外から内へ気体が流れる際に、外側フィルタ5によって気流の圧力を低減させることができるため、筐体1の外から内へ流れる気流によって、内側フィルタ6が劣化するのを軽減できる。
【0062】
第3の態様に係るスイッチギヤ100では、第1又は第2の態様において、ケース4は、フィルタ6と外側フィルタ5との間において、第1通気口422の下方に配置された塵埃受け部44を有する。この態様によれば、筐体1の内から外へ気体が流れる際に、第2通気口423を通した気流に塵埃が含まれていても、塵埃を受けることができる。
【0063】
第4の態様に係るスイッチギヤ100では、第3の態様において、塵埃受け部44は、塵埃を吸着する吸着体441を含む。この態様によれば、塵埃がケース4内に浮遊していても、吸着体441によって塵埃を吸着でき、筐体1の外へ塵埃が排出されるのを抑制できる。
【0064】
第5の態様に係るスイッチギヤ100では、第1~4のいずれか1つの態様において、扉体7を閉じる方向に力を加える弾性体を更に備える。この態様によれば、第2通気口423が傾斜していても、扉体7を閉じることができ、多様な設置場所に適用できる。
【0065】
第6の態様に係る換気装置3は、スイッチギヤ100の筐体1に取り付けられる換気装置3であって、通気口411が第1面(実施形態では外板41)に形成された中空箱状のケース4と、ケース4の第1面とは異なる第2面(実施形態では内板42)に形成され、筐体1内に通じるように配置される第1通気口422及び第2通気口423と、第1通気口422を覆うフィルタ6と、第2通気口423を開閉可能に閉じる扉体7と、を備える。扉体7は、第2通気口423に対し、ケース4の内側から外側に向かう気流を遮断し、ケース4の外側から内側に向かう気流の流れを許容するように構成されている。
【0066】
この態様によれば、圧力変動が生じやすい環境下に設置されたスイッチギヤ100であっても、当該スイッチギヤ100に対して取り付けることで、フィルタ6の劣化を軽減できる。
【符号の説明】
【0067】
100 スイッチギヤ
1 筐体
3 換気装置
4 ケース
41 外板(第1面)
411 外側通気口
412 カバー
42 内板(第2面)
421 内側通気口
422 第1通気口
423 第2通気口
43 外周板
44 塵埃受け部
441 吸着体
5 外側フィルタ
6 内側フィルタ(フィルタ)
7 扉体