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特開2024-175534ネットワークノード、無線通信システム、ユーザ端末、情報処理方法、およびコンピュータプログラム
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  • 特開-ネットワークノード、無線通信システム、ユーザ端末、情報処理方法、およびコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175534
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ネットワークノード、無線通信システム、ユーザ端末、情報処理方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20241211BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20241211BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W4/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093387
(22)【出願日】2023-06-06
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 直矢
(72)【発明者】
【氏名】邵 校
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和也
(72)【発明者】
【氏名】馬 じん
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 拓也
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB27
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】他のユーザ端末による代理センシングを短時間で有効に実施可能な技術を提供する。
【解決手段】無線通信ネットワークを構成するネットワークノードであって、複数のユーザ端末から、各ユーザ端末のセンシング設定パラメータを受信することと、第1のユーザ端末から、センシング要件を受信することと、前記センシング要件に合致するセンシング設定パラメータを有する第2のユーザ端末に関する情報を、前記第1のユーザ端末に送信することと、を実行するプロセッサを有する、ことを特徴とするネットワークノード。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークを構成するネットワークノードであって、
複数のユーザ端末から、各ユーザ端末のセンシング設定パラメータを受信することと、
第1のユーザ端末から、センシング要件を受信することと、
前記センシング要件に合致するセンシング設定パラメータを有する第2のユーザ端末に関する情報を、前記第1のユーザ端末に送信することと、
を実行するプロセッサを有する、ことを特徴とするネットワークノード。
【請求項2】
前記センシング設定パラメータは、ユーザ端末のセンシング能力に関連するパラメータである、ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項3】
前記センシング設定パラメータは、センシングに使用する周波数帯、センシング種別、ユーザ端末の位置、ユーザ端末の移動速度、センシング対象範囲、センシングの精度、センシングの応答時間の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項2に記載のネットワークノード。
【請求項4】
前記センシング要件には、センシング種別、センシング対象範囲、センシングの精度、センシングの応答時間の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第1のユーザ端末から、前記第2のユーザ端末に対する測定要求を受信することと、
前記第2のユーザ端末に、センシング要求を送信することと、
前記第2のユーザ端末から、センシング測定結果を受信することと、
前記第1のユーザ端末に、前記センシング測定結果を送信することと、
を更に実行する、ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第2のユーザから受信した前記センシング測定結果を、前記第2のユーザ端末のセンシング測定結果のデータ形式に関連する情報に基づいて形式変換した上で、前記第1のユーザ端末に送信する、ことを特徴とする請求項5に記載のネットワークノード。
【請求項7】
前記第2のユーザ端末のセンシング測定結果のデータ形式に関連する情報は、前記第2のユーザ端末のセンシング測定結果を所定のデータ形式に変換するための情報であり、
前記第1のユーザ端末に送信される前記センシング測定結果は、前記所定のデータ形式で表現される、
ことを特徴とする請求項6に記載のネットワークノード。
【請求項8】
第1のユーザ端末、第2のユーザ端末、およびネットワークノードを含む無線通信システムであって、
前記第2のユーザ端末は、センシング測定パラメータを前記ネットワークノードに送信し、
前記ネットワークノードは、前記第2のユーザ端末からセンシング設定パラメータを受信し、
前記第1のユーザ端末は、センシング要件を前記ネットワークノードに送信し、
前記ネットワークノードは、前記センシング要件を前記第1のユーザ端末から受信し、
前記ネットワークノードは、前記第2のユーザ端末が前記センシング要件に合致するセンシング設定パラメータに合致する場合に、前記第2のユーザ端末に関する情報を前記第
1のユーザ端末に送信するか、または、前記第2のユーザ端末にセンシング要求を送信する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
センサとプロセッサとを有するユーザ端末であって、
前記プロセッサは、
前記センサのセンシング設定パラメータをブロードキャストすることと、
他のユーザ端末からセンシング設定パラメータを受信することと、
前記他のユーザ端末に対して、センシング要求を送信することと、
前記他のユーザ端末から、前記センシング要求に基づくセンシング測定結果を受信することと、
を実行する、ことを特徴とするユーザ端末。
【請求項10】
前記センシング設定パラメータは、前記センサのセンシング能力に関連するパラメータである、ことを特徴とする請求項9に記載のユーザ端末。
【請求項11】
前記センシング設定パラメータは、センシングに使用する周波数帯、センシング種別、ユーザ端末の位置、ユーザ端末の移動速度、センシング対象範囲、センシングの精度、センシングの応答時間の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項10に記載のユーザ端末。
【請求項12】
前記プロセッサは、
他のユーザ端末からセンシング要求を受信することと、
前記センシング要求に基づくセンシング測定結果を、前記他のユーザ端末に送信することと、
をさらに実行する、ことを特徴とする請求項9に記載のユーザ端末。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記他のユーザ端末からのセンシング要求の受信に応答して、前記センシング要求の受入、拒否、保留の少なくともいずれかを前記他のユーザ端末に送信する、ことを特徴する請求項12に記載のユーザ端末。
【請求項14】
無線通信ネットワークを構成するネットワークノードが実行する情報処理方法であって、
複数のユーザ端末から、各ユーザ端末のセンシング設定パラメータを受信することと、
第1のユーザ端末から、センシング要件を受信することと、
前記センシング要件に合致するセンシング設定パラメータを有する第2のユーザ端末に関する情報を、前記第1のユーザ端末に送信することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項14に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークノード、無線通信システム、ユーザ端末、情報処理方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、路側及び車両に設けられた複数のセンサと、情報生成装置と、を備える情報生成システムを開示する。このシステムにおいて、サーバは、動的に変更可能なセンサ情報の優先順位に基づいて、複数のセンサによる同一の対象物の検出結果を示す複数のセンサ情報の中から少なくとも1つのセンサ情報を選択し、選択した少なくとも1つのセンサ情報に基づいて、所定の情報を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-79453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の態様の一つは、他のユーザ端末による代理センシングを短時間で有効に実施可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
無線通信ネットワークを構成するネットワークノードであって、
複数のユーザ端末から、各ユーザ端末のセンシング設定パラメータを受信することと、
第1のユーザ端末から、センシング要件を受信することと、
前記センシング要件に合致するセンシング設定パラメータを有する第2のユーザ端末に関する情報を、前記第1のユーザ端末に送信することと、
実行するプロセッサを有する、ことを特徴とするネットワークノードである。
【0006】
本開示の態様の他の一つは、
第1のユーザ端末、第2のユーザ端末、およびネットワークノードを含む無線通信システムであって、
前記第1のユーザ端末および前記第2のユーザ端末は、センシング測定パラメータを前記ネットワークノードに送信し、
前記ネットワークノードは、前記第1のユーザ端末および前記第2のユーザ端末からセンシング設定パラメータを受信し、
前記第1のユーザ端末は、センシング要件を前記ネットワークノードに送信し、
前記ネットワークノードは、前記センシング要件を前記第1のユーザ端末から受信し、
前記ネットワークノードは、前記第2のユーザ端末が前記センシング要件に合致するセンシング設定パラメータに合致する場合に、第2のユーザ端末に関する情報を前記第1のユーザ端末に送信するか、または、前記第2のユーザ端末にセンシング要求を送信する、
ことを特徴とする無線通信システムである。
【0007】
本開示の態様の更に他の一つは、
センサとプロセッサとを有するユーザ端末であって、
前記プロセッサは、
前記センサのセンシング設定パラメータをブロードキャストすることと、
他のユーザ端末からセンシング設定パラメータを受信することと、
前記他のユーザ端末に対して、センシング要求を送信することと、
前記他のユーザ端末から、前記センシング要求に基づくセンシング測定結果を受信することと、
を実行する、ことを特徴とするユーザ端末である。
【0008】
本開示の態様の更に他の一つは、
無線通信ネットワークを構成するネットワークノードが実行する情報処理方法であって、
複数のユーザ端末から、各ユーザ端末のセンシング設定パラメータを受信することと、
第1のユーザ端末から、センシング要件を受信することと、
前記センシング要件に合致するセンシング設定パラメータを有する第2のユーザ端末に関する情報を、前記第1のユーザ端末に送信することと、
を含む、情報処理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様の一つは、他のユーザ端末による代理センシングを短時間で有効に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aおよび図1Bは本開示の実施形態の概要を説明する図。
図2図2は無線通信システムの構成要素を例示する図。
図3A図3AはNF、OAM端末、外部サーバとして動作可能な情報処理装置の構成例を示す図。
図3B図3Bはユーザ端末として動作可能な情報処理装置の構成例を示す図。
図4図4は実施形態1におけるセンシング能力通知処理を示すシーケンス図。
図5A図5Aは実施形態1における協調センシング処理を示すシーケンス図。
図5B図5Bは実施形態1における協調センシング処理を示すシーケンス図。
図5C図5Cは実施形態1における協調センシング処理を示すシーケンス図。
図6図6は実施形態1におけるセンシングデータの形式変換処理を示すシーケンス図。
図7A図7Aは実施形態2における協調センシング処理を示すシーケンス図。
図7B図7Bは実施形態2における協調センシング処理を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(概要)
複数のユーザ端末によるセンシング結果を統合して一つのセンシング結果を得る協調センシングが知られている。また、あるユーザ端末が、自らセンシングできない範囲についてのセンシングを他のユーザ端末に依頼する代理センシングも知られている。このように、他の端末によるセンシング結果を利用するためには、協調相手または依頼相手のユーザ端末を短時間かつ適切に選択する必要がある。
【0012】
本開示の態様の一つは、無線通信ネットワークを構成するネットワークノードであって、複数のユーザ端末から、各ユーザ端末のセンシング設定パラメータを受信することと、第1のユーザ端末から、センシング要件を受信することと、前記センシング要件に合致するセンシング設定パラメータを有する第2のユーザ端末に関する情報を、前記第1のユーザ端末に送信することと、実行するプロセッサを有する、ことを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、ネットワークノードは、複数のユーザ端末からセンシング設
定パラメータを受信しているので、第1のユーザ端末のセンシング要件に合致するセンシング設定パラメータを有する第2のユーザ端末を選択して、第1のユーザ端末に通知することができる。これにより、第1のユーザ端末は、センシングを依頼する相手のユーザ端末を短時間かつ適切に知ることができる。
【0014】
センシング設定パラメータ(sensing configuration parameter)は、センシング設定(sensing configuration)、測定設定パラメータ(measurement configuration parameter)、測定設定(measurement configuration)と称することもできる。
【0015】
センシング設定パラメータは、ユーザ端末がどのようなセンシングを実行可能であるかに関連する情報であってよい。このような意味で、センシング設定パラメータは、センシング能力(sensing capability)、測定能力(measurement capability)と称することもできる。センシング設定パラメータの一例は、センシングに使用する周波数帯、センシング種別、ユーザ端末の位置、ユーザ端末の移動速度、センシング対象範囲、センシングの精度、センシングの応答時間の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0016】
センシング要件(sensing requirement)は、測定要件(measurement requirement)と称することもできる。センシング要件は、第1のユーザ端末が他のユーザ端末によるセンシングに対して求める要件を含んでもよい。例えば、センシング要件には、センシング種別、センシング対象範囲、センシングの精度、センシングの応答時間の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0017】
本開示の態様において、ネットワークノードのプロセッサは、前記第1のユーザ端末から、前記第2のユーザ端末に対する測定要求を受信することと、前記第2のユーザ端末に、センシング要求を送信することと、前記第2のユーザ端末から、センシング測定結果を受信することと、前記第1のユーザ端末に、前記センシング測定結果を送信することと、を更に実行してもよい。
【0018】
このように、ネットワークノードが第2のユーザ端末によるセンシング測定結果の第1のユーザ端末への送信を仲介することにより、第1のユーザ端末と第2のユーザ端末が直接通信できない場合であっても、第1のユーザ端末が第2のユーザ端末にセンシングを依頼することができる。もっとも、第1のユーザ端末と第2のユーザ端末が直接通信できる場合であっても、ネットワークノードを介してセンシング測定結果の送信を行ってもよい。他の実施の態様では、第2のユーザ端末は、センシング測定結果を第1のユーザ端末に対して直接送信してもよい。更に、他の実施の態様では、第2のユーザ端末は、上記ネットワークノードとは異なるノードを介して、センシング測定結果を第1のユーザ端末に対して送信してもよい。
【0019】
本開示の態様において、ネットワークノードのプロセッサは、前記第2のユーザ端末から受信した前記センシング測定結果を、所定のデータ形式に関連する情報に基づいて形式変換した上で、前記第1のユーザ端末に送信してもよい。「所定のデータ形式」は、第2のユーザ端末が取扱可能なデータ形式、または第2のユーザ端末が所望するデータ形式であってよい。
【0020】
このような構成によれば、第1のユーザ端末が取扱可能な、あるいは所望するデータ形式が、第2のユーザ端末が提供するセンシング測定データのデータ形式と異なる場合であっても、第1のユーザ端末は所望のデータ形式でセンシング測定データを受け取ることができる。データ変換は、第1のユーザ端末または第2のユーザ端末の少なくとも何れかで行われてもよいが、ネットワークノードで行うことでユーザ端末の処理負荷を軽減可能である。
【0021】
本態様において、前記第2のユーザ端末のセンシング測定結果のデータ形式に関連する情報は、前記第2のユーザ端末のセンシング測定結果を所定のデータ形式に変換するための情報であり、前記第1のユーザ端末に送信される前記センシング測定結果は、前記所定のデータ形式で表現されてよい。ここで、所定のデータ形式は、例えば、共通データ形式と称されてもよい。
【0022】
本態様における無線通信ネットワークの一例は、5G、NR、4G、LTE、LTE-A、SUPER 3G、IMT-Advanced、その他を利用するシステムおよびこれらに基づいて拡張された次世代システムである。また、無線通信ネットワークの他の例は、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB、Bluetooth(登録商標)、その他のシステムおよびこれらに基づいて拡張された次世代システムである。無線通信ネットワークは、複数のシステムが組み合わされたシステムであってもよい。
【0023】
本態様におけるネットワークノードの一例は、汎用プロセッサを有する情報処理装置またはコンピュータであり、当該汎用プロセッサがソフトウェアを実行することにより上記の機能を提供する。ネットワークノードの他の例は、特定用途に設計されたプロセッサを有する情報処理装置またはコンピュータであり、当該専用プロセッサが上記の機能を提供する。また、ネットワークノードは、1つのプロセッサを有してもよいし、複数のプロセッサを有してもよく、さらに、複数の情報処理装置またはコンピュータによって構成されてもよい。
【0024】
本開示の他の態様は、上述のネットワークノード、第1のユーザ端末、および第2のユーザ端末を含む無線通信システムである。本態様において、前記第1のユーザ端末および前記第2のユーザ端末は、センシング測定パラメータを前記ネットワークノードに送信し、前記ネットワークノードは、前記第1のユーザ端末および前記第2のユーザ端末からセンシング設定パラメータを受信し、前記第1のユーザ端末は、センシング要件を前記ネットワークノードに送信し、前記ネットワークノードは、前記センシング要件を前記第1のユーザ端末から受信し、前記ネットワークノードは、前記第2のユーザ端末が前記センシング要件に合致するセンシング設定パラメータに合致する場合に、第2のユーザ端末に関する情報を前記第1のユーザ端末に送信する。
【0025】
本開示の更に他の態様は、センサとプロセッサとを有するユーザ端末であって、前記プロセッサは、
前記センサのセンシング設定パラメータをブロードキャストすることと、他のユーザ端末からセンシング設定パラメータを受信することと、前記他のユーザ端末に対して、センシング要求を送信することと、前記他のユーザ端末から、前記センシング要求に基づくセンシング測定結果を受信することと、を実行する、ことを特徴とするユーザ端末である。
【0026】
本態様によれば、ユーザ端末がブロードキャストによりセンシング測定パラメータを他のユーザ端末と交換することで、自らがセンシングを依頼する他のユーザ端末を短時間かつ適切に選択できる。また、本態様によれば、ユーザ端末同士の通信を中継する他のノードが不要となる利点もある。
【0027】
本開示は更に、上記の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム、および、上記のネットワークノードまたは情報処理システムをコンピュータによって実現するためのコンピュータプログラムを含む。本開示は更に、上記のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ可読媒体を含む。
【0028】
(実施形態)
図1Aは、本開示が適用される一実施形態を説明する図である。車両110,120,130は、ユーザ端末の一例であり、センサおよび通信装置を有する。車両110,120,130のセンシング対象範囲は、それぞれ範囲110a,120a,130aとして示されている。ここで、車両110が、自らセンシングできない範囲の情報を得たい状況を考える。すると、範囲130aは範囲110aと重複があり、範囲120aと範囲110aは重複がないことから、車両110は、車両130ではなく車両120からセンシングデータを受け取ることが効果的である。すなわち、車両110は車両120に対してセンシング要求を出すことが好ましい。
【0029】
本実施形態は、車両110における上記のような判断を容易にするための手段を提供する。具体的には、各車両は自らのセンシング能力を他の車両に通知する(図1A中のステップ1)。車両110は、センシングデータを得たいセンシング範囲を決定し(ステップ2)、この範囲をセンシング可能な車両120を特定して、車両120にセンシング要求を送信する(ステップ3)。なお、センシング範囲はセンシング要件の一例であり、センシング要件は範囲に限定されずその他の要件であってもよい。車両120は、センシング要求に応答して、センシングを実行して結果を車両110に通知する(ステップ4)。このような構成により、車両110は、所望のセンシングデータを得るために、どの車両に対してセンシング要求を出せばよいのかを迅速に判断できる。
【0030】
なお、図1Aでは、車両同士が直接通信するように記載しているが、車両間の通信を中継局や無線通信ネットワークなどの装置が中継してもよい。
【0031】
また、図1Bに示すように、無線通信ネットワーク140(例えば、5Gコアネットワークを構成するNF)が、通信を中継するだけでなくセンシングを依頼する車両の決定処理を実行してもよい。より具体的に説明する。各車両は自らのセンシング能力を無線通信ネットワーク140に通知する(ステップ1)。無線通信ネットワーク140は各車両のセンシング能力を記憶する。車両110は、センシングデータを得たいセンシング範囲を決定し(ステップ2)、この範囲をセンシング要件として含むセンシング要求を無線通信ネットワーク140に送信する(ステップ3a)。無線通信ネットワーク140は、センシング要件を満たすことが可能な車両を、受信済のセンシング能力パラメータに基づいて決定し、決定された車両(ここでは車両120とする)に対してセンシング要求を送信する(ステップ3b)。車両120は、センシング要求に応答して、センシングを実行して結果を無線通信ネットワーク140を介して車両110に通知する(ステップ4a、4b)。このような構成によれば、車両同士が直接通信できない場合であっても代理センシングを要求できる。また、センシング要件に合致するセンシングが可能な車両の選択を無線通信ネットワーク140が実行するので、車両110での処理負荷を軽減することができる。
【0032】
図1Aおよび図1Bでは、1つの車両に対してのみセンシング要求を送信しているが、複数の車両に対してセンシング要求を送信し、複数の車両のセンシングデータを取得してもよい。
【0033】
(実施形態1)
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。本実施形態は、図1Bに示すように、ユーザ端末(例えば、車両)間の処理を無線通信ネットワーク140が仲介する実施の形態である。
【0034】
以下の実施形態は説明のための例示に過ぎず、本開示は実施形態の構成に限定されない
。例えば、以下では、本開示を第5世代移動通信システムに適用した例を説明するが、本開示は、第4世代のあるいは第5世代より後の世代の移動通信システムに適用されてもよい。本開示は、また、3GPP以外によって規定される移動通信システムに適用されてもよいし、移動通信システム以外の任意の無線通信システムあるいは有線通信システムに適用されてもよい。
<情報処理システムの構成>
図2は、第5世代移動通信システム(5G網)を構成するコンポーネント(構成要素)を示す。図2において、UE(User Equipment)2は、ユーザ(加入者)の端末である。RAN(Radio Access Network)3は、5Gコアネットワーク(5GC)へのアクセス網である。RAN3は、基地局(gNB)によって構成される。5G網は、5Gコアネットワーク(5GC)及びアクセス網((R)AN)を有し、5G網には、UE2、DN5、及びAF12が接続されている。NF11a~11mの夫々は、1又は2以上のコンピュータ(情報処理装置)がプログラムを実行することによって実現される機能である。ただし、単一のコンピュータがNF11a~11mのいずれか2以上を実現してもよい。NF11a~11mの夫々はネットワークノードあるいはネットワークコンポーネントと称することもできる。
【0035】
5GCは、NF(Network Function)と呼ばれる所定の機能を有するコンポーネントの集合によって構成される。図2には、5GCを構成するNF11として、以下が図示されている。図2では太線の矩形で示す。
UPF(User Plane Function)11a
AMF(Access and Mobility Management Function)11b
SMF(Session Management Function)11c
PCF(Policy Control Function)11d
NEF(Network Exposure Function)11e
NRF(Network Repository Function)11g
NSSF(Network Slice Selection Function)11h
AUSF(Authentication Server Function)11i
UDM(Unified Data Management)11j
NWDAF(Network Data Analytics Function)11k
SENSING(Sensing Function)11m
【0036】
UPF11aは、ユーザパケット(UE2が送受信するユーザプレーンのパケット)のルーティング及び転送、パケット検査、QoS処理を行う。
【0037】
AMF11bは、5GCにおけるUEの在圏収容装置である。AMF11bは、RAN3を収容し、加入者認証制御、UE2の位置(モビリティ)管理などを行う。
【0038】
SMF11cは、PDU(Protocol Data Unit)セッションを管理し、QoS(Quality of Service)制御及びポリシー制御の実施のためにUPF11aを制御する。PDUセッションは、UE2とDN(Data Network)5との間でデータのやり取りを行うための仮想的な通信路である。DN5は、5GC外部のデータネットワーク(インターネット等)である。
【0039】
PCF11dは、SMF11cの制御下で、QoS制御、ポリシー制御、課金制御などを行う。QoS制御では、パケットの優先転送などの通信の品質の制御が行われる。ポリシー制御では、ネットワーク或いは加入者情報に基づくQoS、パケット転送可否、課金などの通信制御が行われる。
【0040】
NEF11eは、外部ノードと制御プレーン内のノードの通信を仲介する役割を果たす
【0041】
NRF11gは、5GC内におけるNF(例えば、AMF、SMF、UPFなど)の情報を記憶及び管理している。NRF11gは、使用を所望するNFに係る問い合わせに対して、複数のNFの候補を問い合わせ元に返信することができる。
【0042】
NSSF11hは、ネットワークスライシングによって生成されたネットワークスライスの中から、加入者が使用するネットワークスライスを選択する機能を有する。ネットワークスライスは、用途に応じたスペックを有する仮想のネットワークである。
【0043】
AUSF11iは、AMF11bの制御下で加入者認証を行う加入者認証用サーバである。
【0044】
UDM11jは、加入者関連情報を保持し、加入者情報の提供、或いは、UE2の状態の取得、登録、削除、変更を行う。
【0045】
NWDAF11kは、各NF11、OAM端末8(図2)、外部サーバなどからのデータ収集、解析を行う機能を有している。ネットワークの分析情報を提供するNFである。
【0046】
SENSING11mは、UE2同士の代理センシングまたは協調センシングを仲介または調停するサービスを提供する。SENSING11mの詳細は後述する。
【0047】
AF12は、5GCの一部としてNRF11gを介してアプリケーションサービスを提供するNF、または、5GCの外部にありNEF11eを介してアプリケーションサービスを提供するNFである。AF12は、例えば、センシングデータを用いた処理を行う。一例として、AF12は、SENSING11mから得られるセンシング測定データの形式変換(フォーマット変換)をする。また、UE2あるいはUE2で実行されるアプリケーションプログラムがAF12として動作してもよい。このような動作を行うAF12は形式変換装置と捉えることができる。
【0048】
5GCにおいて、同種類の複数のNFが用意される場合がある。例えば、NF11がデータセンタ(局舎)毎に用意される場合がある。また、データセンタ間で1つのNF11が共用される場合もある。また、1つのデータセンタで複数個の同種類のNF11を構成する場合もある。データセンタの数、NF11の数は、NF11とデータセンタとの対応関係は適宜設定することができる。
【0049】
SENSING(センシング部)11mは、UE2からのセンシング設定パラメータあるいはセンシング能力の受信およびその記憶、UE2からのセンシング代理要求の受信、センシング代理要求に合致するUE2の選択、合致するUE2へのセンシング要求の送信、合致するUE2からのセンシング測定データの受信および要求元UE2への送信、および、センシング測定データの形式変換の少なくとも何れかの処理を実行する。SENSING11mは、協調センシングまたは代理センシングの仲介機能、仲介装置、調停機能、または調停装置と称することもできる。SENSING11mあるいはSENSING11mを実行する情報処理装置が、本開示における「ネットワークノード」の一例である。
【0050】
<情報処理装置及び端末の構成>
図3Aは、NF11a~11m、OAM端末、外部サーバの夫々として動作可能な情報処理装置の構成例を示す図である。図3Aにおいて、情報処理装置20は、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション(WS)、又はサーバマシンなどの専用又は汎用の情報処理装置(コンピュータ)を用いて構成可能である。もっとも、情報処理装置2
0は、1又は2以上のコンピュータの集合体(クラウド)であってもよい。
【0051】
情報処理装置20は、バスを介して相互に接続された、処理部又は制御部(コントローラ)としてのプロセッサ21と、記憶装置22と、通信装置23と、入力装置24と、ディスプレイ25とを含む。
【0052】
記憶装置22は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、プログラム及びデータの記憶領域、プログラムの展開領域、プログラムの作業領域、及び通信データのバッファ領域などの少なくとも一つとして使用される。主記憶装置はRAM(Random Access Memory)、又はRAMとROM(Read Only Memory)との組み合わせで構成される。補助記憶装置は、データ及びプログラムの記憶領域として使用される。補助記憶装置には、不揮発性記憶媒体が適用される。不揮発性記憶媒体は、例えば、ハードディスク、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などである。また、記憶装置22は、ディスク記録媒体のドライブ装置を含むことができる。
【0053】
通信装置23は、通信処理を行う回路である。例えば、通信装置23は、ネットワークインタフェースカード(NIC)である。また、通信装置23は、無線通信(5G、無線LAN(Wi-Fi(登録商標))、BLEなど)を行う無線通信回路であってもよい。また、通信装置23は、有線の通信処理を行う回路と、無線通信回路との組み合わせであってもよい。
【0054】
入力装置24は、キー、ボタン、ポインティングデバイス、及びタッチパネル等を含み、情報の入力に使用される。ディスプレイ25は例えば液晶ディスプレイなどであり、情報及びデータを表示する。
【0055】
プロセッサ21は、記憶装置22に記憶された各種のプログラムを実行することによって、様々な処理を行う。プロセッサ21が記憶装置22に記憶されたプログラムを実行することによって、情報処理装置20は、NF11a~11k、OAM端末8、外部サーバ12a及び12bの夫々として動作することができる。
【0056】
図3Bは、UE2として動作可能な端末40の構成例を示す図である。端末40は、バスを介して相互に接続された、プロセッサ41と、記憶装置42と、通信装置43と、入力装置44と、ディスプレイ45、センサ46とを含む。プロセッサ41、記憶装置42、通信装置43、入力装置44、及びディスプレイ45は、プロセッサ21、記憶装置22、通信装置23、入力装置24、及びディスプレイ25と同様のものを使用可能である。このため、これらの説明は省略する。
【0057】
プロセッサ21及び41は、例えば、Central Processing Unit(CPU)である。CPUはMicroprocessor Unit(MPU)とも呼ばれる。プロセッサ21及び41は、単一のプロセッサ構成であってもマルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一の物理CPUがマルチコア構成を有していても良い。プロセッサ21及び41は、Digital Signal Processor(DSP)、或いはGraphics Processing Unit(GPU)などの様々な回路構成の演算装置を含んでも良い。また、プロセッサ21及び41は、集積回路(IC)、その他のディジタル回路、及びアナログ回路などの少なくとも一つと連携する構成を有していてもよい。集積回路は、LSI、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、及びプログラマブルロジックデバイス(PLD)などを含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。プロセッサ21及び41は、例えば、マイクロコントローラ(MCU)、SoC(System-on-a-chip)、システムLSI、或いはチップセットなどと呼ばれるものも含む。
【0058】
センサ46の例は、ミリ波レーダーなどのレーダーセンサ、LiDAR(Light Detection And Ranging)センサ、超音波センサ、画像センサ、音響センサ、測位センサ、照度センサ、降雨センサ、温度センサ、湿度センサのようなUE2の外部環境を測定するためのセンサである。センサ46の他の例は、速度センサ、加速度センサ、およびUE2の内部状態を測定するためのセンサである。ここで挙げたセンサは例示に過ぎず、本開示は任意のセンサを含む。
【0059】
<動作例:センシング能力の通知>
図4は、本開示の態様における、UE2によるセンシング能力(センシング設定パラメータ)の通知処理を示すシーケンス図である。なおここでは、UE-A(2A)およびUE-B(2B)の2つのUE2を用いて説明するが、UE2の数は特に限定されない。また、UE-AおよびUE-Bが接続している基地局(gNB)を含むRAN3をそれぞれRAN-A(3A)およびRAN-B(3B)と称する。UE-Aは本開示における「第1のユーザ端末」に相当し、UE-Bは本開示における「第2のユーザ端末」に相当する。
【0060】
ステップ11において、UE-Aはセンシング能力を含む通知をRAN-Aを介してSENSING11mに登録する。センシング能力の一例は、センシングに使用する周波数帯、センシング種別、ユーザ端末の位置、ユーザ端末の移動速度、センシング対象範囲、センシングの精度、センシングの応答時間の少なくともいずれかである。センシング能力を含む通知は、センシング能力通知、センシング設定通知、測定能力通知、測定設定通知などと称することができる。
【0061】
ステップ12において、SENSING11mは、UE-Aから受け取ったセンシング能力を記憶装置に格納する。この際、UE-Aから受け取ったセンシング能力をそのままの形式で記憶装置に格納してもよいし、データを加工して記憶装置に格納してもよい。
【0062】
ステップ13および14は、UE-Bからのセンシング能力の通知を格納であり、ステップ11および12と同様の処理なので説明は省略する。
【0063】
<動作例:協調センシングの実行>
図5A図5Cは、UE-Aが他のUEに対してセンシングの実行を依頼して、当該他のUEによるセンシング測定データを取得する処理を示すシーケンス図である。
【0064】
ステップ21において、UE-Aはセンシングに求める要件であるセンシング要件を作成する。センシング要件には、例えば、センシング種別、センシング対象範囲、センシングの精度、センシングの応答時間の少なくとも何れかが含まれる。センシング種別は、例えば、どのようなセンシングデータを必要とするのか、または、どのようなセンサによるセンシングデータを必要とするかに関する要件である。センシング対象範囲は、どの地理的範囲についてのセンシングデータを必要とするかに関する要件である。センシングの精度は、どの程度正確なセンシングが行えるかに関する要件である。本開示におけるセンシングの精度(precision)には、再現度(repeatability)あるいは測定ばらつき、正確度(accuracy)あるいは真値との近さ、分解能(空間、時間、周波数、エネルギーなどの分解能)、ダイナミックレンジの少なくともいずれかを含む。センシングの応答時間は、センシング要求を受けてからセンシング結果を返すまでに要する時間に関する要件である。ここで挙げた要件は一例に過ぎず、センシング要件にその他の要件が含まれてもよい。
【0065】
ある実施形態では、UE-Aは所定の範囲のセンシングデータの取得することを決定し、当該所定の範囲をセンシング要件として作成する。この所定の範囲は、例えば、UE-
Aが自らセンシングできない範囲であり得る。一例として、UE-Aが車両の場合に、UE-Aの見通し外の範囲やUE-Aが今後移動する予定の範囲などが、センシング対象の範囲(所定の範囲)となりうる。センシング要件には、範囲だけでなく、いつまでセンシングデータが取得されるべきかという情報が含まれてもよい。
【0066】
ステップ22において、UE-Aは、RAN-Aを介してSENSING11mにセンシング要件の問合せを行う。本実施形態では、センシング要件の問合せは、センシング要件を通知して、このセンシング要件を満たすセンシングが可能なUEを返すように求める問合せである。センシング要件問合せは、センシング要件を満たすUEの問い合わせ、あるいはUE問い合わせと称することもできる。
【0067】
ステップ23において、SENSING11mは、UE-Aからのセンシング要件の受信に応答して、当該問合せされたセンシング要件を満たすセンシング能力を有するUEを、記憶装置に格納されているセンシング能力を参照して検索する。「問合せされたセンシング要件を満たすセンシング能力を有するUE」とは、問合せされたセンシング要件を満たすセンシングか可能なUEと表現することができる。本開示では「問合せされたセンシング要件を満たすセンシング能力を有するUE」は「問合せされたセンシング要件を満たすUE」とも表現する。センシング要件を満たすUEが複数存在する場合には、SENSING11mはこれら複数のUEのうちの少なくともいずれかを抽出する。また、複数のUEのセンシング結果を組み合わせることでセンシング要件を満たす場合には、これら複数のUEの組み合わせが、センシング要件を満たすUEに該当する。一例として、ある範囲のセンシングが求められている場合に、当該範囲の一部をあるUEがセンシング可能であり、他の範囲を他のUEがセンシング可能である場合に、これら2つのUEの組み合わせが、センシング要件を満たすUEとして抽出される。ここでは、UE-BがUE-Aからのセンシング要件を満たすUEとして抽出されたものとして説明を進める。なお、センシング要件を満たすUEが存在しない場合には、SENSING11mはその旨をUE-Aに通知して処理を終了する。
【0068】
ステップ24において、SENSING11mは、UE-Bがセンシング要件を満たすことをUE-Aに通知する。この通知には、UE-Bを識別可能な情報、例えば、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、SUPI(Subscription Permanent
Identifier)、SUCI(Subscription Concealed Identifier),5G-GUTI(5G-Global Unique Temporary Identifier)、IMEI(International Mobile Equipment Identifier),IMEISV(International Mobile Station Equipment Identity Software Version)のいずれかであり得る。ステップ24において、SENSING11mは、UE-Bを識別可能な情報に加えて、UE-Bのセンシング能力に関する情報をUE-Aに通知してもよい。
【0069】
なお、センシング要件に合致するUEが複数存在する場合、SENSING11mは当該通知に、センシング要件に合致する複数のUEのうち少なくとも1つを格納する。また、複数のUEによるセンシングによってセンシング要件が満たされる場合には、SENSING11mは、当該通知によってこれら複数のUEのセンシングによってセンシング要件が満たされることを格納する。
【0070】
ステップ25において、UE-AはSENSING11mからの通知に基づいて、代理センシングを依頼するUE(今の例ではUE-B)を決定し、センシング代理要求をRAN-Aを介してSENSING11mに送信する。センシング代理要求には、例えば、要求先のUE(今の例ではUE-B)の識別子、およびセンシング要件が含まれてよい。なお、ステップ22におけるセンシング要件とステップ25におけるセンシング要件は同一であっても異なっていてもよい。例えば、UE-Aは、ステップ24においてSENSI
NG11mから通知されるUE-Bのセンシング能力のサブセットをステップ25におけるセンシング要件としてもよい。センシング代理要求は、センシングデータ取得要求、センシングデータ送信要求、測定要求などと称することもできる。
【0071】
ステップ26において、SENSING11mは、UE-Aからのセンシング代理要求に含まれるUE(今の例ではUE-B)に対して、センシング要求を送信する。センシング要求には、UE-Aからのセンシング代理要求に含まれるセンシング要件に相当する情報が含まれる。
【0072】
ステップ27において、UE-Bは、SENSING11mからのセンシング要求に対して、センシングの実施に関する判断を行う。本実施の形態では、UE-Bは、センシングを実行する(受け入れる)、拒否する、保留する、の3つの選択肢の中のいずれかを選択する。なお、保留を含めずに、実行する(受け入れる)か拒否するかの2択であってもよい。
【0073】
ステップ28~32はUE-Bがセンシング要求を受け入れる場合の処理である。
【0074】
ステップ28において、UE-Bは、RAN-Bを介してSENSING11mに対してセンシング要求を受け入れる旨の通知を行う。この通知は、センシング要求確認と称することもできる。UE-Bはセンシング要求を受け入れる場合には、センシング要求に基づくセンシングセッションを開始する。このセンシングセッションは、代理センシングセッションあるいは協調センシングセッションと称することもできる。
【0075】
ステップ29において、UE-Bはセンシング要求に含まれるセンシング要件にしたがった条件で、センサを用いてセンシングを行う。ステップ30において、UE-Bは、センシング要求への応答として、センシングデータをRAN-Bを介してSENSING11mに送信する。送信するセンシングデータはセンサの出力結果に基づくデータであれば、加工処理が施されていても施されていなくてもよい。送信されるセンシングデータは、センシング測定結果と称することもできる。ステップ31において、SENSING11mは、必要に応じてセンシングデータの形式変換を行う。ステップ32において、SENSING11mは形式変換後のセンシングデータを、センシング代理要求の送信元であるUE-Aに対して送信する。
【0076】
ステップ33~34はUE-Bがセンシング要求を拒否する場合の処理である。ステップ33において、UE-Bは、RAN-Bを介してSENSING11mに対してセンシング要求を拒否する旨の通知を行う。ステップ34において、SENSING11mはRAN-Aを介してUE-Aに対してセンシング代理要求を拒否する旨の通知を行う。
【0077】
ステップ35~41はUE-Bがセンシング要求を保留する場合の処理である。ステップ35において、UE-Bは、RAN-Bを介してSENSING11mに対してセンシング要求を保留する旨の通知を行う。センシングの保留は、例えば、現時点ではセンシングを実行できないまたは実行しないが、後からセンシングを実行する場合に選択される。UE-Bはセンシング要求を保留する場合には、センシング要求に基づくセンシングセッションを開始する。ステップ36において、SENSING11mは、RAN-Aを介してUE-Aに対してセンシング代理要求を保留する旨の通知を行う。ステップ37において、UE-Bはセンシングの実行タイミング、例えば、センサが利用可能になるタイミングまで待機する。ステップ38~41の処理はステップ29~32の処理と同様であるので説明は省略する。
【0078】
以上で説明した動作例は一例に過ぎず、適宜変更を加えてもよい。
【0079】
例えば、上記の動作例では、SENSING11mはセンシング要件に合致するUEをUE-Aに通知してから、UE-Aが代理センシングの依頼先を決定している(ステップ24および25)。しかしながら、この手続を省略して、SENSING11mは、ステップ23で抽出したUE(第2のユーザ端末)の少なくともいずれかに対して、UE-A(第1のユーザ端末)の確認を求めることなくセンシング要求を送信してもよい。
【0080】
また、UE-Bがセンシング要求を保留した後(ステップ35および36)に、UE-AはUE-Bへの代理センシング要求を継続するか否かを判断し、継続する場合のみUE-Bがセンシングを行うようにしてもよい。
【0081】
<動作例:センシングデータの形式変換>
図6は、センシングデータの形式変換処理(図5Bのステップ31)を示すシーケンス図である。ここでは、形式変換処理がAF12(形式変換装置)によって実行されるものとして説明するが、形式変換処理はたとえばSENSING11mあるいはその他のNF11で実行されてもよい。
【0082】
ステップ51において、AF12はUEあるいはセンサごとのセンシングデータの形式変換ルールを設定および記憶する。ここでは、UE-BあるいはUE-Bが有するセンサが形式Bのセンシングデータを出力するものとし、AF12は形式Bから共通形式への形式変換ルールを記憶する。
【0083】
ステップ52において、UE-BはSENSING11mからのセンシング要求への応答として、形式Bのセンシングデータを送信する。ステップ52の処理は、図5Bにおけるステップ30および図5Cにおけるステップ39の処理に相当する。ステップ53において、SENSING11mは、AF12に対してUE-Bから受け取ったセンシングデータの変換要求を送信する。変換要求には、例えば、UE-Bから受け取ったセンシングデータおよびその形式が把握可能な情報が含まれる。
【0084】
ステップ54において、AF12は、受け取ったセンシングデータを共通形式に変換するための変換ルール、ここでは、形式Bから共通形式への変換ルールを記憶装置から取得する。ステップ55において、AF12は、取得した変換ルールに従って、受け取ったセンシングデータを共通形式に変換する。ステップ56において、AF12は共通形式に変換されたセンシングデータをSENSING11mに送信する。ステップ57において、SENSING11mは共通形式のセンシングデータをUE-Aに送信する。ステップ57は図5Bにおけるステップ32および図5Cにおけるステップ41の処理に相当する。
【0085】
<本実施形態の有利な効果>
本実施形態によれば、各UEがセンシング能力をSENSING11mに通知しているため、SENSING11mはあるUEから受け取ったセンシング要件に基づいて、当該要件に合致する適切なUEを迅速に決定できる。代理センシングを依頼するUEは、センシング要件をSENSING11mに伝えるだけでよく、自らが代理センシングを依頼するUEを選択する必要がない。したがって、UEは簡単な手続で代理センシングを依頼することができる。
【0086】
(実施形態2)
本実施形態は、図1Aに示すように、ユーザ端末(例えば、車両)同士が直接通信する実施の形態である。
【0087】
本実施形態において、UE同士はどのような規格による通信を行ってもよい。採用可能
な通信規格の例は、5G―SL(Sidelink),Wi-Fi Direct,Bluetoothであるが、これらに限られるわけではない。
【0088】
それぞれのUEの構成は、実施形態1におけるUEの構成(図3B)と同様であるため、繰り返しの説明は省略する。
【0089】
図7Aおよび図7Bは、本開示の態様における、センシング能力の通知処理および協調センシング処理を示すシーケンス図である。なお、ここでは、UE-A(2A),UE-B(2B),およびUE-C(2C)の3つのUE3を用いて説明するが、UE2の数は限定されない。本例では、UE-Aが本開示の「第1のユーザ端末」に相当し、UE-Cが「第2のユーザ端末」に相当する。
【0090】
ステップ61~63は、UE間のセンシング能力の交換処理に該当する。ステップ61において、UE-Aは、UE-Aのセンシング能力を周囲のUEに対して広報(ブロードキャスト)する。UE-Aのセンシング能力は、UE-BおよびUE-Cにより受信および格納される。
【0091】
ステップ62において、UE-Aは、UE-BおよびUE-Cから広報されるセンシング能力を受信する。ステップ63において、UE-Aは、受信したUE-BおよびUE-Cのセンシング能力を記憶装置に格納する。
【0092】
ステップ61~63の処理は、定期的に繰り返し実行される。なお、これらの処理の順序は上記で説明した順番とは限らない。
【0093】
ステップ64~75の処理は、UE-Aからの依頼に基づく代理センシング(協調センシング)の処理に相当する。ステップ64に先だって、UE-Aは所定の要件のセンシングを行う旨を決定しているものとする。
【0094】
ステップ64において、UE-Aは記憶装置に格納されている他のUEのセンシング能力を取得する。ステップ65において、UE-Aは、各UEのセンシング能力を参照して、センシング要件に合致するセンシング能力を有するUEを抽出する。ここでは、UE-Cがセンシング要件に合致し、代理センシングの依頼先として決定されたものとする。
【0095】
ステップ66において、UE-Aは、UE-Cに対してセンシング要求を送信する。このセンシング要求には、UE-Aが所望するセンシング要件が含まれる。
【0096】
ステップ67において、UE-Cは受信したセンシング要求に基づいて、センシングの実施に関する判断を行う。本実施の形態では、UE-Cは、センシングを実行する(受け入れる)、拒否する、保留する、の3つの選択肢の中のいずれかを選択する。なお、保留を含めずに、実行する(受け入れる)か拒否するかの2択であってもよい。
【0097】
ステップ68~70はUE-Cがセンシング要求を受け入れる場合の処理である。ステップ68において、UE-Cは、UE-Aに対してセンシング要求を受け入れる旨の通知を行う。ステップ69において、UE-Cは、センシング要求に含まれるセンシング要件にしたがった条件で、センサを用いてセンシングを行う。ステップ70において、UE-cは、センシング要求への応答として、センシングデータをUE-Aに送信する。
【0098】
ステップ71はUE-Cがセンシング要求を拒否する場合の処理であり、UE-CはUE-Aに対してセンシング要求を拒否する旨の通知を行う。
【0099】
ステップ72~75はUE-Cがセンシング要求を保留する場合の処理である。ステップ72において、UE-Cは、UE-Aに対してセンシング要求を保留する旨の通知を行う。センシングの保留は、例えば、現時点ではセンシングを実行できないまたは実行しないが、時間経過の後にセンシングを実行する場合に選択される。ステップ73において、UE-Cはセンシングの実行タイミング、例えば、センサが利用可能になるタイミングまで待機する。ステップ74および75の処理はステップ69および70の処理と同様であるので説明は省略する。
【0100】
本実施形態によれば、各UEがセンシング能力を周囲に広報しているため、各UEは自らが所望するセンシング要件に基づいて、当該要件に合致する適切なUEを迅速に決定できる。
【0101】
(その他の変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0102】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0103】
2:ユーザ端末(UE)
11m:SENSING(Sensing Function)
12:AF(Application Function)
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B