(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175541
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置、架台制御方法、および架台制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20241211BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20241211BHJP
【FI】
A61B6/03 321Z
A61B6/03 330Z
A61B6/00 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093398
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 勝一
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093CA16
4C093CA18
4C093CA33
4C093EB13
4C093EC04
4C093EC51
4C093FA02
4C093FA06
4C093FA15
4C093FA44
4C093FG04
4C093FH06
(57)【要約】
【課題】ユーザがスキャン操作中に被検体を目視可能にすること。
【解決手段】本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台と、第1の操作部と、第2の操作部と、取得部と、受付部と、制御部と、を備える。架台は、第1の位置と第2の位置との間を移動可能である。第1の操作部は、前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第1の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられている。第2の操作部は、前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第2の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられ、前記第1の操作部とは異なる。取得部は、前記架台に関する位置情報を取得する。受付部は、前記位置情報に基づいて、前記第1の操作部または前記第2の操作部から前記架台に関する操作を受け付ける。制御部は、前記受付部が受け付けた操作に基づいて、前記架台を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置と第2の位置との間を移動可能な架台と、
前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第1の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられた第1の操作部と、
前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第2の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられ、前記第1の操作部とは異なる第2の操作部と、
前記架台に関する位置情報を取得する取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記第1の操作部または前記第2の操作部から前記架台に関する操作を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた操作に基づいて、前記架台を制御する制御部と
を備えるX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記架台に関する操作は、前記架台に搭載されたX線管によるX線の曝射に関する操作を含む、
請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記受付部は、前記位置情報に基づいて、前記第1の操作部と前記第2の操作部とのうち、前記架台から近い位置に設けられた操作部から前記架台に関する操作を受け付ける、
請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記位置情報に応じて、前記第1の操作部により実行可能な機能と前記第2の操作部により実行可能な機能とを入れ替える、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記受付部は、ユーザによる選択操作に応じて、前記第1の操作部と前記第2の操作部とのうち前記選択操作により選択された操作部から、前記架台に関する操作を受け付ける、
請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記架台との無線通信により前記架台に関する操作を受け付け可能な無線操作部をさらに備え、
前記取得部は、前記無線操作部の位置を取得し、
前記受付部は、
前記無線操作部の位置に基づいて、前記架台をユーザが視認可能な位置に前記無線操作部が配置された否かを判定し、
前記架台を視認可能な位置に前記無線操作部が配置された場合、前記無線操作部から前記架台に関する操作を受け付ける、
請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記第1の位置は、X線撮影装置が配置されていない第1検査室に含まれ、
前記第2の位置は、前記X線撮影装置が配置された第2検査室に含まれ、
前記第1の操作部または前記第2の操作部は、前記X線撮影装置に関する操作を受け付け可能であって、
前記第2の位置に前記架台が移動された場合、前記受付部は、前記位置情報に基づいて、前記第1の操作部または前記第2の操作部から前記X線撮影装置に関する操作を受け付け、
前記制御部は、前記受付部が受け付けた前記X線撮影装置に関する操作に基づいて、前記X線撮影装置を制御する、
請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記第2の位置は、X線撮影装置が配置されたアンギオ検査室に含まれ、
前記X線撮影装置に関する操作と前記架台に関する操作とを受付可能であって、前記アンギオ検査室に対峙する操作室に配置された第3の操作部をさらに備え、
前記第2の位置に前記架台が移動された場合、前記受付部は、前記位置情報に基づいて、前記第3の操作部から前記架台に関する操作を受け付ける、
請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記第1の位置は、X線撮影装置が配置されていない第1検査室に含まれ、
前記第2の位置は、前記X線撮影装置が配置された第2検査室に含まれ、
前記第1検査室と前記第2検査室とは、X線遮蔽部を介して互いにX線を遮蔽可能であって、
前記第1の操作部と前記第2の操作部とは、前記第1検査室と前記第2検査室とに対してX線が遮蔽される操作室に配置される、
請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
第1の位置と第2の位置との間を移動可能な架台に関する位置情報を取得し、
前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第1の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられた第1の操作部、または前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第2の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられ、前記第1の操作部とは異なる第2の操作部、から前記架台に関する操作を、前記位置情報に基づいて受け付け、
前記受け付けた操作に基づいて、前記架台を制御すること、
を備える架台制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、
第1の位置と第2の位置との間を移動可能な架台に関する位置情報を取得し、
前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第1の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられた第1の操作部、または前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第2の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられ、前記第1の操作部とは異なる第2の操作部、から前記架台に関する操作を、前記位置情報に基づいて受け付け、
前記受け付けた操作に基づいて、前記架台を制御すること、
を実現させる架台制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置、架台制御方法、および架台制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置やX線アンギオCT(Angio-CT)装置等のモダリティを設置する場合、モダリティごとに架台(ガントリ:Gantry)が設置される。近年、複数のモダリティが設置される複数の検査室間で架台を共有するCTシステムが普及し始めている。架台を共有するCTシステムでは、例えば、複数の検査室間を繋ぐ移動経路や移動装置等により単一の架台を移動可能とすることで、複数の検査室間での単一の架台の共有を実現している。
【0003】
すなわち、従来の技術として、X線CT検査室とアンギオ検査室とが隣り合い、1つのCT架台がCT検査室とアンギオ検査室とを行き来し、それぞれの検査室でCT撮影できる2Room(2室)システムがある。ユーザは、CT検査室とアンギオ検査室とに隣接する操作室に設置された1台のコンソールから、CTスキャンに関して架台を操作する。
【0004】
操作室において架台によるX線の曝射などを制御するコンソール(以下、スキャンコンソールと呼ぶ)からでは、2室(CT検査室とアンギオ検査室)のうちいずれか1つの検査室の患者を目視しながらスキャン操作できない問題がある。例えば、CT検査室側の患者を目視できるようにスキャンコンソールを設置すると、CT検査室とアンギオ検査室との間の壁や扉(またはX線遮蔽物など)に阻まれて、スキャンコンソールが配置された位置からアンギオ検査室側の患者を目視できない、という問題がある。
【0005】
また、アンギオ検査室側の患者を目視できるようにスキャンコンソールを設置すると、架台の陰に患者が隠れてしまい、スキャンコンソールが配置された位置からCT検査室側の患者を目視できない、という問題がある。さらに、CT検査室とアンギオ検査室との間の壁や扉を取り払うと、一方の部屋で発生したX線が他方の部屋に届くことで、X線による被ばくが増える問題がある。さらに、スキャンコンソールをCT検査室とアンギオ検査室との間の向かいの操作室に設置した場合、CT検査室では架台が邪魔となり、ユーザは、患者を直接目視できない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ユーザがスキャン操作中に被検体を目視可能にすることにある。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台と、第1の操作部と、第2の操作部と、取得部と、受付部と、制御部と、を備える。架台は、第1の位置と第2の位置との間を移動可能である。第1の操作部は、前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第1の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられている。第2の操作部は、前記架台に関する操作を受け付け可能であって、前記第2の位置に移動された前記架台をユーザが目視可能な位置に設けられ、前記第1の操作部とは異なる。取得部は、前記架台に関する位置情報を取得する。受付部は、前記位置情報に基づいて、前記第1の操作部または前記第2の操作部から前記架台に関する操作を受け付ける。制御部は、前記受付部が受け付けた操作に基づいて、前記架台を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、施形態に係るX線CTシステムの構成の一例を示すブロック図。
【
図2】
図2は、実施形態に係り、
図1に示す第2検査室側から見たX線CTシステムの外観の一例を示す外観図。
【
図3】
図3は、実施形態に係るX線CTシステムに含まれるX線CT装置およびX線アンギオ装置200の構成の一例を示すブロック図。
【
図4】
図4は、実施形態に係り、第1のコンソールと第2のコンソールとの外観の一例を示す図。
【
図5】
図5は、実施形態に係る操作受付処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影(CT:ComputedTomography)システムに関して、X線コンピュータ断層撮影装置、架台制御方法、および架台制御プログラムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能および構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0011】
図1は、実施形態に係るX線CTシステム1の構成を示すブロック図である。
図1は、X線CTシステム1を鉛直方向下向きに沿って示した上面図に相当する。本実施形態に係るX線CTシステム1は、被検体に対してX線コンピュータ断層撮影(撮影)を実行するための架台(ガントリ:Gantryともいう)2を複数の検査室間で共有するものである。架台2は、搬送装置や搬送用経路(レールなど)8を用いて複数の検査室間を移動可能に設けられる。また、架台2の移動経路、かつ複数の検査室の間には、仕切り扉(開閉扉と称されてもよい)9が設けられ、各検査室の独立性を保っている。仕切り扉9は、X線遮蔽部に相当する。なお、複数の検査室の間には、仕切り扉9の代わりに、X線を遮蔽可能なカーテンまたはシャッターなどが設けられてもよい。
【0012】
具体的には、
図1では、当該架台2を2つの検査室間で共有する2ルームCTの構成が示されている。X線CT装置100は、断層面の静止画等を撮影可能な架台2、CTコンソール3、およびCT用寝台4(天板T1を含む)を備える。例えば、一方の検査室(第1検査室)R1には、架台2と寝台4とが設けられる。架台2は、他方の検査室(第2検査室)R2に設けられる他のモダリティと共有する。
図1に示すように、第1検査室R1と第2検査室R2とは、仕切り扉9を介して隣接している。すなわち、第1検査室R1と第2検査室R2とは、X線遮蔽部を介して互いにX線を遮蔽可能である。また、架台2は、レール8および仕切り扉9を介して、第1検査室R1と第2検査室R2とにおいて移動可能である。第1検査室R1は、例えば、CT検査室に対応し、第2検査室R2は、アンギオ検査室に対応する。
【0013】
仕切り扉9の開閉は、架台2の移動を通知された技師または操作者、CTコンソール3、またはX線コンソール6により制御される。仕切り扉9には、レール8を移動している架台2を検知する検知器10が搭載される。なお、検知器10は、架台2に搭載されてもよい。検知器10は、仕切り扉9を通過する架台2の移動を検知する。検知器10は、例えば、ヒンジの動作とマイクロスイッチなどとにより構成される。検知器10は、架台2の移動に伴ったヒンジの動きに応じて、架台2が第1検査室R1と第2検査室R2とのうちいずれの検査室に存在するかを検知する。これにより、検知器10は、架台2の位置情報をCTコンソール3に出力する。
【0014】
なお、検知器10は、レール8近傍に設置されてもよい。また、検知器10は、上記構成に限定されず、レーザーセンサなど、既知の他のセンサが用いられてもよい。また、検知器10は、架台2の下部に設けられた搬送装置におけるモータに設けられたロータリーエンコーダで実現されてもよい。また、検知器10は、第1検査室R1と第2検査室R2とに設けられたカメラ(例えば、光学カメラなど)により実現されてもよい。このとき、架台2の位置は、カメラにより撮影された画像に対する認識処理(例えば、セマンティックセグメンテーション)などにより、検知されてもよい。
【0015】
X線アンギオ(Angio:X線血管造影)装置200は、被検体の血管の平面動画等を撮影可能なX線撮影装置5、X線コンソール(第3のコンソールと称されてもよい)6、およびアンギオ用寝台7(天板T2を含む)を備える。第2検査室R2には、X線撮影装置5とアンギオ用寝台7が設けられる。本実施形態では、当該X線アンギオ装置200と当該X線CT装置100に備えられる架台2により、X線アンギオCT(Angio-CT)装置として動作する。架台2は、第2検査室R2に設けられる他のモダリティと共有する。
【0016】
図2は、
図1に示す第2検査室R2側から見たX線CTシステム1の外観を示す外観図である。本実施形態に係るX線CTシステム1の各構成は、例えば、
図2に示すように配置される。
図2に示す各構成の配置は、使用するモダリティの種類や施設内の設置環境等に応じて適宜変更可能である。
【0017】
以下、実施形態に係るX線CTシステム1に備えられるX線CT装置100およびアンギオ装置の構成について説明する。
図3は、実施形態に係るX線CTシステム1に含まれるX線CT装置100およびX線アンギオ装置200の構成を示すブロック図である。まず、X線CT装置100について説明する。
【0018】
図1乃至
図3に示すように、X線CT装置100は、架台2、CTコンソール3およびCT用寝台4を備える。架台2は、スリップリング(slip ring)21、管電圧発生装置22、X線管23、X線検出器24、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)25、非接触データ伝送回路26、搬送装置27および架台制御回路28を有している。架台2は、回転リング29、被検体Pの体軸(Z軸)を回転軸として回転自在に回転リング29を支持するリング支持機構、および回転リング29を回転駆動させる回転駆動装置(電動機)30等を有する。回転リング29の開口部には、被検体Pを載置可能な天板T1が挿入される。天板T1は、回転リング29の回転軸に沿って移動可能にCT用寝台4に支持される。ここで、例えば、天板T1に載置された被検体Pの体軸が回転リング29の中心軸に一致するように、天板T1が位置決めされる。回転リング29には、管電圧発生装置22、X線管23、DAS25および非接触データ伝送回路26、図示していない冷却装置等が搭載される。
【0019】
管電圧発生装置(高電圧発生装置と称されてもよい)22は、架台制御回路28を介したCTコンソール3(例えば、第1のコンソール310)による制御の下で、X線管23に印加する管電圧と、X線管23に供給する管電流(フィラメント電流:Filament current)とを発生する。
【0020】
X線管23は、スリップリング21を介して、管電圧発生装置22からの管電圧の印加および管電流の供給を受け、X線の焦点から天板T1に載置された被検体PへX線を放射する。
【0021】
X線検出器24は、回転軸を挟んでX線管23に対峙する位置および角度で、回転リング29に取り付けられる。X線検出器24は、複数の検出素子を有する。ここでは、単一の検出素子が単一のチャンネルを構成しているものとして説明する。複数のチャンネルは、例えば、回転軸に直交し、かつ放射されるX線の焦点を中心として、この中心から1チャンネル分の検出素子の中心までの距離を半径とする円弧方向(チャンネル方向)とZ方向(スライス方向)との2方向に関して2次元状に配列される。X線検出器24の出力側には、DAS25が接続される。X線検出器24では、複数の検出素子が1列に配列されている。このとき、複数の検出素子各々は、上記チャンネル方向に沿って略円弧方向に1次元状に配列される。また、複数の検出素子は、チャンネル方向とスライス方向との2方向に関して2次元状に配列させてもよい。すなわち、2次元状の配列は、上記チャンネル方向に沿って1次元状に配列された複数のチャンネルを、スライス方向に関して複数列並べて構成される。なお、このような2次元状の検出素子配列を有するX線検出器24は、略円弧方向に1次元状に配列される複数の上記複数の検出素子をスライス方向に関して複数列並べて構成してもよい。
【0022】
DAS25は、X線検出器24の各チャンネルの電流信号を電圧に変換するIV(電流電圧)変換器と、IV変換器により変換された電圧信号をX線の曝射周期に同期して周期的に積分する積分器と、当該積分器の出力信号を増幅するアンプと、当該アンプの出力信号をディジタル信号変換するアナログ・ディジタル・コンバータとを、チャンネルごとに取り付けている。DAS25は、出力したデータ(純生データ:pure raw data)を、磁気送受信又は光送受信を用いた非接触データ伝送回路26を経由して、CTコンソール3に伝送する。
【0023】
搬送装置27は、架台2の下部に設けられる。搬送装置27は、架台制御回路28を介したCTコンソール3からの制御に応じて、第1検査室R1、第2検査室R2、または第1検査室R1と第2検査室R2との間で架台2を移動する。搬送装置27は、例えば、モータ、車軸、車輪等を有する。本実施形態では、第1検査室R1および第2検査室R2に設けられる搬送用レール8に沿って、架台2を複数の検査室間で移動可能とする。
【0024】
架台制御回路28は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)および/またはMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)および/またはRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。架台制御回路28のプロセッサは、CTコンソール3から出力される制御信号に応じて、架台2内に設けられる各構成の動作を統括的に制御する。例えば、架台制御回路28は、CTコンソール3またはX線コンソール6からの制御に応じて、第1検査室R1、第2検査室R2、または第1検査室R1と第2検査室R2との間で架台2を移動させる。
【0025】
CTコンソール3は、第1のコンソール310と、第2のコンソール320とを備える。第1のコンソール310と、第2のコンソール320とは、第1検査室R1と第2検査室R2とに対してX線が遮蔽される操作室R3に配置される。例えば、第1のコンソール310は、第1検査室R1および第2検査室R2に隣接する操作室R3において、第1検査室R1に対峙する位置に配置される。具体的には、第1のコンソール310は、操作室R3において、第1検査室R1においてCTスキャンが実施される位置(以下、第1の位置と呼ぶ)に移動された架台2(より詳細には、第1検査室R1におけるスキャン対象の被検体P)をユーザが目視可能な位置に配置される。すなわち、第1の位置は、X線撮影装置5が配置されていない第1検査室R1に含まれる。当該目視可能な位置は、操作室R3において、例えば、第1の位置に移動された架台2に対峙する位置であっても、CT用寝台4に対峙する位置であってもよい。
【0026】
第1のコンソール310は、例えば、架台2に関する操作が受付可能なコンソールである。具体的には、第1のコンソール310は、被検体Pに対するスキャン操作が可能なコンソールであって、第1の操作部と称される。第1のコンソール310は、被検体Pに対するスキャンプランの設定、スキャンプランの選択、曝射の開始などのスキャン操作が可能なコンソールに相当する。すなわち、第1のコンソール310は、スキャンに関する操作の入力に用いられる。第1のコンソール310は、第1入力インターフェース(第1入力I/F)311と、第1通信インターフェース(第1通信I/F)312と、第1ディスプレイ313と、第1記憶回路314と、第1処理回路315と、を有する。
【0027】
第1入力インターフェース311は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。第1入力インターフェース311は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、変化された電気信号を、第1処理回路315へ出力する。
【0028】
第1入力インターフェース311には、操作者により、スキャンプランの設定、スキャンプランの選択、曝射の開始などが入力される。第1入力インターフェース311は、ユーザの指示により、架台2に関する操作を入力する。架台2に関する操作は、例えば、架台2に搭載されたX線管23によるX線の曝射に関する操作、架台2の移動に関する操作、マイクに関する操作などを含む。曝射に関する操作は、例えば、第1入力インターフェース311における曝射ボタン、および曝射中断スイッチの押下などである。また、架台2の移動に関する操作は、例えば、リモート動作スイッチの押下である。また、マイクに関する操作は、マイクを集音状態にさせるスイッチ(マイク操作スイッチ)の押下である。これらのことから、第1入力インターフェース311は、例えば、曝射ボタン、曝射中断スイッチ、リモート動作スイッチ、およびマイクのON/OFFスイッチを有する。
【0029】
なお、本実施形態において、第1入力インターフェース311は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を第1処理回路315へ出力する電気信号の処理回路も第1入力インターフェース311の例に含まれる。また、第1入力インターフェース311は、第1入力部の一例である。なお、第1入力インターフェース311は、架台2(例えば、架台2の表面、より詳細には架台2を構成する筐体)にさらに設けられてもよい。以下、架台2に設けられた第1入力インターフェース311を、架台操作パネルと呼ぶ。架台操作パネルは、架台2および架台2に関する各種構成要素を操作可能な操作パネルであって、各種ボタン、スイッチ、タッチパネル等を有する。架台操作パネルは、例えば、架台2を移動させる指示を入力可能な架台移動スイッチを有する。架台移動スイッチは、架台2をリモートで移動させるリモート動作スイッチと称されてもよい。このとき、架台操作パネルは、ユーザによる架台移動スイッチの押下により、架台2の移動指示をユーザから受け付ける。また、架台2の移動指示の入力は、架台操作パネルのみにより実現されてもよい。
【0030】
第1通信インターフェース312は、有線あるいは無線にて外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、第2のコンソール320、X線コンソール6、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)およびPACS(Picture Archiving and Communication System)等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。
【0031】
第1ディスプレイ313は、第1処理回路315による制御に従い種々のデータおよびスキャンプランなどを表示機器に表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube Display)、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイまたは当技術分野で知られている他の任意のディスプレイ、モニタなどが適宜利用可能である。
【0032】
第1記憶回路314は、種々の情報を記憶するHDD(Hard disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置、ROM、RAM等の記憶装置である。第1記憶回路314は、第1メモリと称されてもよい。第1記憶回路314は、例えば、各種スキャンプラン、スキャンプランの設定および選択に関する各種プログラム、および第1処理回路315により実現される各種機能に関するプログラムなどを記憶する。また、第1記憶回路314は、第1通信インターフェース312を介して取得した各データを記憶する。第1記憶回路314は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、第1記憶回路314の保存領域は、第1のコンソール310内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0033】
第1処理回路315は、第1入力インターフェース311から出力される入力操作の電気信号に応じて、架台2、X線CT装置100全体の動作を制御する。例えば、第1処理回路315は、ハードウェア資源として、CPU、MPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサと、ROMおよび/またはRAM等のメモリとを有する。第1処理回路315は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、第1制御機能316、スキャン設定機能317、取得機能318、および受付機能319などを実行する。第1処理回路315は、第1処理部の一例である。
【0034】
第1制御機能316、スキャン設定機能317、取得機能318、および受付機能319をそれぞれ実行する第1処理回路315は、第1制御部、スキャン設定部、取得部、および受付部に相当する。なお、第1制御機能316、スキャン設定機能317、取得機能318、および受付機能319各々は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、第1制御機能316、スキャン設定機能317、取得機能318、および受付機能319各々を実現するものとしても構わない。
【0035】
第1処理回路315は、第1制御機能316により、第1入力インターフェース311を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、第1処理回路315の各機能を制御する。具体的には、第1制御機能316は、第1記憶回路314に記憶されている第1制御プログラムを読み出して第1処理回路315内のメモリ上に展開し、展開された第1制御プログラムに従ってX線CT装置100の各部を制御する。例えば、第1制御機能316は、スキャン設定機能317により設定されたスキャンのプランの実行に関して、第1入力インターフェース311における曝射ボタンがユーザにより押下されると、X線をユーザに曝射するように、架台2を制御する。
【0036】
また、第1処理回路315は、第1制御機能316により、後述の受付機能319が受け付けた操作に基づいて、架台2を制御する。当該受け付けた操作は、例えば、第1入力インターフェース311を介したユーザの指示により、架台2に関する操作である。架台2に関する操作は、例えば、架台2に搭載されたX線管23によるX線の曝射に関する操作を含む。曝射に関する操作として、第1入力インターフェース311における曝射ボタンが押下された場合、第1制御機能316は、X線を発生させるように、架台2(より詳細には、架台2における各構成要素)を制御する。また、第1入力インターフェース311における曝射中断スイッチが押下された場合、第1制御機能316は、X線の曝射を停止するように、架台2を制御する。第1入力インターフェース311におけるリモート動作スイッチが押下された場合、第1制御機能316は、架台2を移動させるように、搬送装置27および架台2を制御する。第1入力インターフェース311におけるマイクのON/OFFスイッチが押下されると、第1制御機能316は、マイクの集音のON/OFFを切り替える。
【0037】
第1処理回路315は、スキャン設定機能317により、第1入力インターフェース311を介したユーザの指示に従って、被検体Pに関するスキャンプランを設定する。スキャンプランの設定は、既知の手法が利用可能であるため、説明は省略する。スキャン設定機能317は、第1入力インターフェース311を介したユーザの指示により、スキャンプランを選択する。スキャン設定機能317は、設定および選択されたスキャンプランを第1記憶回路314に記憶させる。
【0038】
第1処理回路315は、取得機能318により、検知器10から架台2の位置情報を取得する。第1検査室R1から第2検査室R2へ架台2が移動している場合、位置情報は、第2検査室R2へ架台2が到達した情報(以下、第1情報と呼ぶ)に対応する。また、第2検査室R2から第1検査室R1へ架台2が移動している場合、位置情報は、第1検査室R1へ架台2が到達した情報(以下、第2情報と呼ぶ)に対応する。
【0039】
第1処理回路315は、受付機能319により、位置情報に基づいて、第1のコンソール310または第2のコンソール320から架台2に関する操作を受け付ける。架台2に関する操作は、X線の曝射の実行操作、架台2の移動操作、マイクのON/OFF操作などである。具体的には、架台2に関する操作は、曝射ボタン、曝射中断スイッチ、リモート動作スイッチ、およびマイクのON/OFFスイッチの押下などである。なお、受付機能319は、位置情報に基づいて、第1のコンソール310と第2のコンソール320とのうち、架台2から近い位置に設けられたコンソールから架台2に関する操作を受け付けてもよい。受付機能319は、受け付けた操作に対応する信号を、架台2に出力する。
【0040】
第2のコンソール320は、操作室R3において、例えば、仕切り扉9、または第1検査室R1と第2検査室R2との境界に対峙する位置に配置される。具体的には、第2のコンソール320は、操作室R3において、検査室R2においてCTスキャンが実施される位置(以下、第2の位置と呼ぶ)に移動された架台2(より詳細には、第2検査室R2におけるスキャン対象の被検体P)をユーザが目視可能な位置に配置される。当該目視可能な位置は、例えば、操作室R3において、第2の位置に移動された架台2に対峙する位置であっても、アンギオ用寝台7に対峙する位置であってもよい。第2の位置は、X線撮影装置5が配置された第2検査室R2に含まれる。架台2は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。
【0041】
第2のコンソール320は、例えば、架台2に関する操作が受付可能なコンソールである。加えて、第2のコンソール320は、例えば、各種画像処理に関する操作の入力に用いられる。具体的には、第2のコンソール320は、被検体Pに対するスキャン操作が可能なコンソールであって、第1のコンソール310とは異なる機能を有する。また、第2のコンソール320は、上述のように、操作室R3において第1のコンソール310とは異なる場所に設置される。これらのことから、第2のコンソール320は、第1のコンソール310と異なる。第2のコンソール320は、第2の操作部と称される。第2のコンソール320は、被検体Pに対する曝射の開始などの操作が可能なコンソールである。第2のコンソール320は、第2入力インターフェース(第2入力I/F)321と、第2通信インターフェース(第2通信I/F)322と、第2ディスプレイ323と、第2記憶回路324と、第2処理回路325と、を有する。
【0042】
第2入力インターフェース321は、第1入力インターフェース311と同様な構成により実現される。第2入力インターフェース321は、ユーザの指示により、投影データを収集する際の収集条件、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件などを入力する。また、第2入力インターフェース321は、架台2に関する操作を受け付け可能である。例えば、第2入力インターフェース321は、曝射ボタン、曝射中断スイッチ、リモート動作スイッチ、およびマイクのON/OFFスイッチを有する。また、第2入力インターフェース321は、第2入力部の一例である。
【0043】
第2通信インターフェース322は、有線あるいは無線にて外部装置と通信するための回路である。第2通信インターフェース322の接続先は、第1通信インターフェース312と同様のため、説明は省略する。
【0044】
第2ディスプレイ323は、第2処理回路325による制御に従い種々のデータおよびスキャンプランなどを表示機器に表示する。表示機器としては、第1ディスプレイ313と同様なため、説明は省略する。
【0045】
第2記憶回路324は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置、ROM、RAM等の記憶装置である。第2記憶回路324の構成は、第1記憶回路314と同様なため、説明は省略する。第2記憶回路324は、第2メモリと称されてもよい。第2記憶回路324は、例えば、生データ、投影データ、再構成画像データ、ボリュームデータおよび画像処理後のデータなどを記憶する。また、第2記憶回路324は、第2処理回路325により実現される各種機能に関するプログラムなどを記憶する。また、第2記憶回路324は、第2通信インターフェース322を介して取得した各データを記憶する。なお、第2記憶回路324の保存領域は、第2のコンソール320内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0046】
第2処理回路325は、第2入力インターフェース321から出力される入力操作の電気信号に応じて、架台2、X線CT装置100全体の動作を制御する。第2処理回路325のハードウェア資源は、第1処理回路315と同様なため、説明は省略する。第2処理回路325は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、第2制御機能326、前処理機能327、再構成機能328、および画像処理機能329などを実行する。
【0047】
第2制御機能326、前処理機能327、再構成機能328、および画像処理機能329をそれぞれ実行する第2処理回路325は、第2制御部、前処理部、再構成部、および画像処理部に相当する。なお、第2制御機能326、前処理機能327、再構成機能328、および画像処理機能329各々は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、第2制御機能326、前処理機能327、再構成機能328、および画像処理機能329各々を実現するものとしても構わない。なお、第1制御部と第2制御部とは、まとめて制御部と称されてもよいし、各々制御部と称されてもよい。
【0048】
第2処理回路325は、第2制御機能326により、第2入力インターフェース321を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、第2処理回路325の各機能を制御する。具体的には、第2制御機能326は、第2記憶回路324に記憶されている第2制御プログラムを読み出して第2処理回路325内のメモリ上に展開し、展開された第2制御プログラムに従ってX線CT装置100の各部および各種画像処理を制御する。例えば、第2制御機能326は、受付機能319が受け付けた操作に基づいて、架台2を制御する。当該受け付けた操作は、例えば、第2入力インターフェース321を介したユーザの指示により、架台2に関する操作である。
【0049】
第2処理回路325は、前処理機能327により、DAS33から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータは、生データに相当し、前処理後のデータは投影データに相当する。なお、前処理機能327は、第1処理回路315に搭載されて実現されてもよい。
【0050】
第2処理回路325は、再構成機能328により、前処理機能327にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法(FBP法:Filtered Back Projection)や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。すなわち、再構成機能328は、撮影系からの出力に基づいて画像を生成する。再構成機能328は、再構成されたCT画像のデータを第2記憶回路324に格納する。なお、再構成機能328は、第1処理回路315に搭載されて実現されてもよい。
【0051】
第2処理回路325は、画像処理機能329により、再構成機能328により再構成されたCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理機能329は、当該CT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を生成する。
【0052】
次に、X線アンギオ装置200について説明する。
図3に示すように、X線アンギオ装置200は、X線撮影装置5、X線コンソール6およびアンギオ用寝台7を備える。
【0053】
X線撮影装置5は、管電圧発生装置51、X線管52、X線検出器53、支持機構54、駆動装置55および撮影制御回路56を備える。管電圧発生装置51は、撮影制御回路56を介したX線コンソール6による制御の下で、X線撮影条件に従って、X線管52に供給する管電流およびX線管52に印加する管電圧を発生する。
【0054】
X線管52は、管電圧発生装置51からの管電圧の印加および管電流の供給を受ける。X線管52は、X線の焦点から天板T2に載置された被検体PへX線を放射する。X線管52は、管電圧発生装置51により印加される管電圧に対応するエネルギースペクトルを有するX線を発生する。X線の放射範囲は、
図3に示す一点鎖線で示されている。
【0055】
X線検出器53は、X線管52から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。X線検出器53は、複数の半導体検出素子とアナログディジタル変換器(ADC:Analog to Digital Convertor)とを有する。X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、ADCに出力される。ADCは、電気信号をディジタルデータに変換する。ADCは、ディジタルデータを画像発生回路61に出力する。なお、X線検出器53として、イメージインテンシファイア(Image-intensifier)が用いられてもよい。
【0056】
支持機構54は、X線管52とX線検出器53とを移動可能に支持する。具体的には、支持機構54は、例えば、CアームとCアームフレームとを有する。Cアームは、X線管52とX線検出器53とを、互いに向き合うように搭載する。また、Cアームは、X線焦点とX線検出器53との距離(線源受像面間距離(SID:Source Image Distance)を変更可能に、X線管52とX線検出器53とを接近または離間可能に支持する。Cアームフレームは、Cアームを回転可能に支持する。
【0057】
なお、本実施形態に係るX線撮影装置5における支持機構54は、Cアームによる構造に限定されない。支持機構54は、例えば、X線管52とX線検出器53とをそれぞれ支持する2つのアーム(例えばロボットアーム等)により、任意の方向に移動可能に支持されてもよい。また、支持機構54は、Cアームの代わりに天井からつり下げられたΩアームであってもよい。また、本実施形態に係るX線撮影装置5における支持機構54は、オーバーチューブ方式(Over Tube System)、およびアンダーチューブ方式(Under Tube System)等に限定されず任意の形態に適用可能である。
【0058】
駆動装置55は、X線コンソール6の制御の下で、支持機構54を駆動する。具体的には、駆動装置55は、第3処理回路66における第3制御機能661からの制御信号に応じた駆動信号をCアームフレームに供給して、Cアームを回転させる。また、駆動装置55は、第3制御機能661の制御の下で、アンギオ用寝台7を駆動することにより、天板T2を移動させる。具体的には、駆動装置55は、第3制御機能661からの制御信号に基づいて、天板T2の短軸方向または天板T2の長軸方向に、天板T2をスライドさせる。また、駆動装置55は、鉛直方向に関して、天板T2を昇降する。加えて、駆動装置55は、長軸方向と短軸方向とのうち少なくとも一つの方向を回転軸として、天板T2を傾けるために天板T2を回転してもよい。
【0059】
撮影制御回路56は、ハードウェア資源として、CPUおよび/またはMPU等のプロセッサと、ROMおよび/またはRAM等のメモリとを有する。撮影制御回路56のプロセッサは、X線コンソール6の第3制御機能661から出力される制御信号に応じて、X線撮影装置5内に設けられる各構成の動作を統括的に制御する。
【0060】
X線コンソール6は、画像発生回路61、第3入力インターフェース(第3入力I/F)62、第3通信インターフェース(第3通信I/F)63、第3ディスプレイ64、第3記憶回路65、および第3処理回路66を備える。
【0061】
画像発生回路61は、X線検出器53から出力されたディジタルデータに対して、前処理を実行する。前処理には、X線検出器53におけるチャンネル間の感度不均一補正、および金属等のX線強吸収体による極端な信号の低下またはデータの脱落に関する補正等が含まれる。画像発生回路61は、前処理されたディジタルデータに基づいて、X線画像を発生する。画像発生回路61は、発生したX線画像を、第3ディスプレイ64および第3記憶回路65に出力する。なお、画像発生回路61により実現される機能は、第3処理回路66に画像生成機能として搭載されてもよい。
【0062】
第3入力インターフェース62は、例えば、第1入力インターフェース311と同様な構成により実現される。第3入力インターフェース62は、ユーザの各種指示を入力する。第3入力インターフェース62は、ユーザによる入力操作を電気信号へ変換し、第3処理回路66へと出力する。
【0063】
第3通信インターフェース63は、有線あるいは無線にて外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、CTコンソール3、RIS、HIS、PACS等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。
【0064】
第3ディスプレイ64は、第3制御機能661による制御に従い種々のデータおよび上記X線画像、撮影位置、X線照射条件等の入力に関する入力画面等を表示機器に表示する。表示機器としては、第1ディスプレイ313および第2ディスプレイ323と同様なため、説明は省略する。
【0065】
第3記憶回路65は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置、ROM、RAM等の記憶装置である。第3記憶回路65の構成は、第1記憶回路314と同様なため、説明は省略する。第3記憶回路65は、第3メモリと称されてもよい。第3記憶回路65は、画像発生回路61で発生されたX線画像、X線撮影装置5の制御プログラム、診断プロトコル、第3入力インターフェース62から出力される操作者の指示、X線撮影に関する撮影条件および透視条件等の各種データ群、X線線量等を記憶する。また、第3記憶回路65の保存領域は、X線CTシステム1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0066】
第3処理回路66は、第3制御機能661により、第3入力インターフェース62から送られてくるユーザの指示、X線撮影位置、X線管52によるX線撮影方向、X線照射範囲、X線照射条件等の情報を、メモリに一時的に記憶する。第3制御機能661は、メモリに記憶された操作者の指示、X線撮影位置、X線撮影方向、X線照射範囲、X線照射条件等に従って、X線撮影を実行するために、管電圧発生装置51、X線検出器53、駆動装置55等を制御する。第3制御機能661は、第3ディスプレイ64等を制御する。
【0067】
図4は、第1のコンソール310と第2のコンソール320との外観の一例を示す図である。
図4に示すように、第1のコンソール310における第1入力インターフェース311と第2のコンソール320における第2入力インターフェース321とには、X線曝射スイッチなどの架台2に関する操作を入力可能なインターフェースが設けられている。このため、受付機能319による制御の下で、第1のコンソール310または第2のコンソール320において、架台2に関する操作の入力が可能となる。
【0068】
以上、実施形態に係るX線CTシステム1の全体構成について説明した。以下、架台2の位置情報に応じて架台2に関する操作を受け付ける処理(以下、操作受付処理と呼ぶ)について、
図5を用いて説明する。
【0069】
図5は、操作受付処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、説明を具体的にするために、架台2は、第1検査室R1に配置され、第2検査室R2に移動後、再度第1検査室R1に移動するものとする。なお、架台2は、第2検査室R2に配置され、第1検査室R1に移動後、再度第2検査室R2に移動するものであってもよい。
【0070】
(操作受付処理)
(ステップS501)
第1入力インターフェース311を介して、架台2の移動指示が入力される。架台2の移動指示の入力は、例えば、第1入力インターフェース311におけるリモート動作スイッチの押下である。第1処理回路315は、第1制御機能316により、架台2を移動させる指示を、架台制御回路28に出力する。なお、架台2の移動指示は、架台操作パネルを介してユーザから受け付けてもよい。例えば、架台2の移動指示は、架台操作パネルにおける架台移動スイッチの押下により、ユーザから入力される。
【0071】
(ステップS502)
架台制御回路28は、搬送装置27を制御する。これにより、架台2は、第1検査室R1における第1の位置から第2検査室R2の第2の位置へ向けて移動を開始する。
【0072】
(ステップS503)
検知器10は、第1の位置と第2の位置との間において、架台2を検知する。例えば、架台2が第1検査室R1と第2検査室R2との間において、開かれた仕切り扉9を通過すると、架台2とヒンジとの接触により、当該ヒンジの移動をマイクロスイッチが検知する。これにより、検知器10は、架台2の位置情報を検知する。このとき、検知器10は、架台2の位置情報を、第1処理回路315に出力する。
【0073】
(ステップS504)
第1処理回路315は、取得機能318により、架台2に関する位置情報を、第1通信インターフェース312を介して、検知器10から取得する。すなわち、取得機能318は、検知器10から第1情報を取得する。
【0074】
(ステップS505)
第1処理回路315は、受付機能319により、位置情報に基づいて、第2のコンソール320から架台2に関する操作を受け付け可能な状態に移行する。すなわち、受付機能319は、第1情報の取得を契機として、第2のコンソール320において、架台2を操作可能な状態に設定する。換言すれば、本ステップより前のステップでは、第2のコンソール320は架台2を操作できずに、画像処理等を実施するためのコンソールとなっており、架台2の操作は、第1のコンソール310で実施可能となっている。本ステップにより、第1のコンソール310では架台2の操作は不能となり、第2のコンソール320で架台2の操作が可能な状態となる。なお、架台2の移動指示などの入力が架台操作パネルにおける架台移動スイッチにより実現される場合、架台2の移動指示の入力権限は、架台操作パネルに維持されてもよい。すなわち、架台操作パネルを介した架台2の操作指示などの指示権限は、マイクロスイッチによる架台2の移動の検知の有無に関わらず、維持されてもよい。このとき、架台操作パネルを介した架台2の移動指示などの各種指示は、常に入力可能である。
【0075】
(ステップS506)
第2のコンソール320における第2入力インターフェース321を介したユーザの指示により、架台2が制御される。例えば、第2入力インターフェース321において曝射ボタンがユーザにより押下されると、第2制御機能326は、X線を曝射するように、架台2を制御する。これにより、被検体Pに対するスキャンが実行される。また、第2入力インターフェース321において曝射中断スイッチがユーザにより押下されると、第2制御機能326は、X線の曝射を停止するように、架台2を制御する。また、第2入力インターフェース321において、マイクのON/OFFスイッチが押下されると、第2制御機能326による制御の下で、ユーザと被検体Pとの会話が可能となる。
【0076】
(ステップS507)
第2入力インターフェース321を介して、架台2の移動指示が入力される。架台2の移動指示の入力は、例えば、第2入力インターフェース321におけるリモート動作スイッチの押下である。第2処理回路325は、第2制御機能326により、架台2を移動させる指示を、架台制御回路28に出力する。なお、架台2の移動指示は、架台操作パネルを介してユーザから受け付けてもよい。例えば、架台2の移動指示は、架台操作パネルにおける架台移動スイッチの押下により、ユーザから入力される。
【0077】
(ステップS508)
架台制御回路28は、搬送装置27を制御する。これにより、架台2は、第2検査室R2における第2の位置から第1検査室R1の第1の位置へ向けて移動を開始する。
【0078】
(ステップS509)
検知器10は、第1の位置と第2の位置との間において、架台2を検知する。例えば、架台2が第1検査室R1と第2検査室R2との間において、予め開かれた仕切り扉9を通過すると、架台2とヒンジとの接触により、当該ヒンジの移動をマイクロスイッチが検知する。これにより、検知器10は、架台2の位置情報を検知する。このとき、検知器10は、架台2の位置情報を、第1処理回路315に出力する。
【0079】
(ステップS510)
第1処理回路315は、取得機能318により、架台2に関する位置情報を、第1通信インターフェース312を介して、検知器10から取得する。すなわち、取得機能318は、検知器10から第2情報を取得する。
【0080】
(ステップS511)
第1処理回路315は、受付機能319により、位置情報に基づいて、第1のコンソール310から架台2に関する操作を受け付け可能な状態に移行する。すなわち、受付機能319は、第2情報の取得を契機として、第1のコンソール310において、架台2を操作可能な状態に設定する。換言すれば、本ステップより前のステップでは、第1のコンソール310は架台2を操作できずに、スキャンプランの設定等を実施するためのコンソールとなっており、架台2の操作は、第2のコンソール320で実施可能となっている。本ステップにより、第2のコンソール320では架台2の操作は不能となり、第1のコンソール310で架台2の操作が可能な状態となる。
【0081】
(ステップS512)
第1のコンソール310における第1入力インターフェース311を介したユーザの指示により、架台2が制御される。以上の説明では、取得機能318および受付機能319は、第1処理回路315に搭載されるものとして説明したが、実施形態の応用例として第2処理回路325に搭載されてもよい。以上により、操作受付処理は終了する。
【0082】
以上に述べた実施形態に係るX線CT装置100は、第1の位置と第2の位置との間を移動可能な架台2に関する位置情報を取得し、架台2に関する操作を受け付け可能であって、第1の位置に移動された架台2をユーザが目視可能な位置に設けられた第1のコンソール310、または架台2に関する操作を受け付け可能であって、第2の位置に移動された架台2をユーザが目視可能な位置に設けられ、第1のコンソール310とは異なる第2のコンソール320から、架台2に関する操作を、取得された位置情報に基づいて受け付け、受け付けた操作に基づいて架台2を制御する。実施形態に係るX線CT装置100において、架台2に関する操作は、例えば、架台2に搭載されたX線管23によるX線の曝射に関する操作を含む。また、実施形態に係るX線CT装置100は、取得された位置情報に基づいて、第1のコンソール310と第2のコンソール320とのうち、架台2から近い位置に設けられたコンソールから架台2に関する操作を受け付ける。
【0083】
これらにより、実施形態に係るX線CT装置100によれば、架台2の位置に応じて、すなわち架台2が位置する検査室(第1検査室R1または第2検査室R2)に応じて、架台2に関する操作の受付を、第1のコンソール310または第2のコンソール320に切り替えることができる。
【0084】
すなわち、実施形態に係るX線CT装置100によれば、第1検査室R1における被検体Pをユーザが目視できる位置に第1のコンソール310を配置し、第2検査室R2における被検体Pをユーザが目視できる位置に第2のコンソール320を配置し、架台2の位置に応じて第1のコンソール310または第2のコンソール320から架台2に関する操作を受け付けることで、操作室R3から各々の検査室の被検体Pを目視しながらスキャン(架台の操作)が可能となる。これにより、本実施形態に係るX線CT装置100によれば、ユーザの視界を改善すること、すなわち2Room検査室(第1検査室R1および第2検査室R2)に関する操作室R3からの患者視認性を改善することができる。これらのことから、実施形態に係るX線CT装置100によれば、被検体Pに対する安全性を向上させ、かつ検査のスループットを向上させることができる。
【0085】
(第1変形例)
本変形例は、位置情報に応じて、第1のコンソール310により実行可能な機能と、第2のコンソール320により実行可能な機能とを、第1のコンソール310と第2のコンソール320とに対して入れ替えることにある。例えば、架台2が第2の位置に到達した場合、第1処理回路315は、第1制御機能316により、前処理機能327、再構成機能328、および画像処理機能329を実行可能なように、第1のコンソール310を制御する。また、架台2が第2の位置に到達した場合、第2処理回路325は、第2制御機能326により、スキャン設定機能317、取得機能318、および受付機能319を実行可能なように、第2のコンソール320を制御する。
【0086】
以上のことから、本変形例に係るX線CT装置100によれば、
図3に示す第1処理回路315により実現される各種機能と、第2処理回路325により実現される各種機能とを、架台2の位置情報に応じて切り替えることができる。これにより、本変形例に係るX線CT装置100によれば、ハードウェアの設置スペースを増やすことなく、ユーザの視界を改善することができる。換言すれば、本変形例に係るX線CT装置100によれば、操作室R3を狭くすることなく、2Room検査室(第1検査室R1および第2検査室R2)に関する操作室R3からの患者視認性を改善することができる。他の効果は実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0087】
(第2変形例)
本変形例は、ユーザによる選択操作に応じて、第1のコンソール310と第2のコンソール320とのうち当該選択操作により選択されたコンソールから、架台2に関する操作を受け付けることにある。第1入力インターフェース311または第2入力インターフェース321において、架台2に関する操作の実行に関する選択指示が、ユーザにより入力される。選択指示に入力は、例えば、第1ディスプレイ313または第2ディスプレイ323に表示されたアイコンのクリック操作などである。なお、選択指示の入力は、アイコンのクリック操作に限定されず、例えば、第1入力インターフェース311または第2入力インターフェース321における選択指示のボタンの押下などであってもよい。
【0088】
ユーザによる選択操作に応じて、第1処理回路315は、受付機能319により、選択指示が入力されたコンソールから、架台2に関する操作を受け付ける。
【0089】
以上のことから、本変形例に係るX線CT装置100によれば、ユーザの所望のタイミングで、第1のコンソール310と第2のコンソール320とのうち当該選択操作により選択されたコンソールで、架台2に関する操作を実行することができる。これにより、本変形例に係るX線CT装置100によれば、患者視認性を改善しつつ、検査のスループットを向上させることができる。
【0090】
(第3変形例)
本変形例は、架台2との無線通信により架台2に関する操作を受け付け可能な無線操作器をさらに備えることにある。無線操作器は、例えば、タブレット端末などの持ち運び可能な(ポータブルな)操作器である。無線操作器は、例えば、第1のコンソール310と同様な機能構成を有する。これにより、無線操作器は、第1処理回路315における各種機能と同様な機能を有し、架台2に関する操作を実行することができる。無線操作器は、無線操作部に対応する。
【0091】
第1処理回路315は、取得機能318により、無線操作器の位置を取得する。無線操作器の位置は、例えば、第1検査室R1および第2検査室R2に設けられたカメラに映像、および/または無線操作器に設けられた受けられたGPSなどにより取得される。無線操作器の位置情報の生成については、既知の手法が適用可能であるため、説明は省略する。
【0092】
第1記憶回路314は、第1検査室R1および第2検査室R2において、架台2をユーザが視認可能である位置(以下、視認可能位置と呼ぶ)を記憶する。
【0093】
第1処理回路315は、受付機能319により、無線操作器の位置に基づいて、視認可能位置に無線操作器が配置された否かを判定する。視認可能位置に無線操作部が配置された場合、受付機能319は、無線操作器から架台2に関する操作を受け付ける。
【0094】
以上のことから、本変形例に係るX線CT装置100は、架台2との無線通信により架台2に関する操作を受け付け可能な無線操作器の位置を取得し、無線操作器の位置に基づいて、視認可能位置に無線操作器が配置された否かを判定し、視認可能位置に無線操作器が配置された場合、無線操作器から架台2に関する操作を受け付ける。これにより、本変形例に係るX線CT装置100によれば、無線操作器に対しても、実施形態と同様に操作受付処理を適用できるため、患者視認性を改善しつつ、検査のスループットを向上させることができる。
【0095】
(第4変形例)
本変形例は、第1のコンソール310または第2のコンソール320がX線撮影装置5に関する操作を受け付け可能であって、第2の位置に架台2が移動された場合、架台2の位置情報に基づいて、第1のコンソール310または第2のコンソール320からX線撮影装置5に関する操作を受け付け、受け付けた操作に基づいてX線撮影装置5を制御することにある。
【0096】
第1のコンソール310における第1入力インターフェース311および/または第2のコンソール320における第2入力インターフェース321は、X線撮影装置5に関する操作を受け付け可能である。第1入力インターフェース311および/または第2入力インターフェース321におけるX線撮影装置5に関する操作は、例えば、造影剤の注入量の制御に関するボタンの押下などである。なお、X線撮影装置5に関する操作は、造影剤の注入量の制御に限定されず、X線撮影装置5全体の制御であってもよい。このとき、第1入力インターフェース311および/または第2入力インターフェース321は、X線CTシステム1全体を制御するマスターコントローラとして実現されてもよい。
【0097】
第2の位置に架台2が移動された場合、第1処理回路315は、受付機能319により、架台2の位置情報に基づいて、第1のコンソール310または第2のコンソール320からX線撮影装置5に関する操作を受け付ける。これにより、第1処理回路315は、第1制御機能316により、第1のコンソール310または第2のコンソール320から受け付けた操作に基づいて、X線撮影装置5を制御する。
【0098】
以上のことから、本変形例に係るX線CT装置100は、第2の位置に架台2が移動された場合、架台2の位置情報に基づいて、X線撮影装置5に関する操作を受け付け可能な第1のコンソール310または第2のコンソール320からX線撮影装置5に関する操作を受け付け、受け付けたX線撮影装置5に関する操作に基づいて、X線撮影装置5を制御する。これにより、本変形例によれば、ハードウェアの設置スペースを増やすことなく、すなわち操作室R3を狭くすることなく、患者視認性を改善しつつ検査のスループットを向上させることができる。
【0099】
(第5変形例)
本変形例は、第3のコンソールに対応するX線コンソール6に対して、架台2に関する操作を入力する機能を設け、位置情報に基づく受付機能319の処理により、架台2に関する操作を受け付けることにある。X線コンソール6は、第3の操作部に対応する。
【0100】
X線コンソール6は、例えば、第1のコンソール310と同様な機能構成をさらに有する。例えば、第3処理回路66は、第1処理回路315における各種機能をさらに有する。また、第3入力インターフェース62は、第1入力インターフェース311と同様なボタン、スイッチ等を有する。これらにより、X線コンソール6は、架台2に関する操作を実行することができる。すなわち、X線コンソール6は、X線撮影装置5に関する操作と架台2に関する操作とを受付可能であって、第2検査室(アンギオ検査室)R2に対峙する操作室R3に配置される。
【0101】
第2の位置に架台2が移動された場合、第1処理回路315は、受付機能319により、取得された架台2の位置情報に基づいて、第3のコンソール6から架台2に関する操作を受け付ける。すなわち、検知器10による架台2の位置の検知を契機として、X線コンソール6は、受付機能319により、第3入力インターフェース62を介して架台2に関する操作が可能となる。
【0102】
以上のことから、本変形例に係るX線CT装置100は、第2の位置に架台2が移動された場合、架台2の位置情報に基づいて、第2の位置を有するアンギオ検査室R2に配置されたX線撮影装置5に関する操作と架台2に関する操作とを受付可能であって、アンギオ検査室R2に対峙する操作室R3に配置された第3のコンソール6から、架台2に関する操作を受け付ける。これにより、本変形例に係るX線CT装置100によれば、架台2が第2検査室R2に移動した場合、X線コンソール6において、架台2に関する操作を実行することができる。このため、本変形例に係るX線CT装置100によれば、操作室R3を狭くすることなく、2Room検査室(第1検査室R1および第2検査室R2)に関する操作室R3からの患者視認性を改善することができる。
【0103】
本実施形態における技術的思想を架台制御方法で実現する場合、当該架台制御方法は、第1の位置と第2の位置との間を移動可能な架台2に関する位置情報を取得し、架台2に関する操作を受け付け可能であって、第1の位置に移動された架台2をユーザが目視可能な位置に設けられた第1の操作部、または架台2に関する操作を受け付け可能であって、第2の位置に移動された架台2をユーザが目視可能な位置に設けられ、第1の操作部とは異なる第2の操作部、から架台2に関する操作を、位置情報に基づいて受け付け、受け付けた操作に基づいて、架台2を制御する。架台制御方法における処理手順は、操作受付処理に準拠する。また、架台制御方法による効果は、実施形態と同様である。これらのことから、架台制御方法における処理手順および効果について、説明は省略する。
【0104】
実施形態における技術的思想を架台制御プログラムで実現する場合、当該架台制御プログラムは、コンピュータに、第1の位置と第2の位置との間を移動可能な架台2に関する位置情報を取得し、架台2に関する操作を受け付け可能であって、第1の位置に移動された架台2をユーザが目視可能な位置に設けられた第1の操作部、または架台2に関する操作を受け付け可能であって、第2の位置に移動された架台2をユーザが目視可能な位置に設けられ、第1の操作部とは異なる第2の操作部、から架台2に関する操作を、位置情報に基づいて受け付け、受け付けた操作に基づいて、架台2を制御すること、を実現させる。
【0105】
例えば、X線CT装置などのコンピュータに架台制御プログラムをインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても、操作受付処理を実現することができる。このとき、コンピュータに当該処理を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。また、架台制御プログラムの頒布は、上記媒体に限定されず、例えば、インターネットを介したダウンロードなど、電気通信機能を用いて頒布されてもよい。架台制御プログラムにおける処理手順は、操作受付処理に準拠する。また、医用画像処理プログラムによる効果は、実施形態と同様である。これらのことから、架台制御プログラムにおける処理手順および効果について、説明は省略する。
【0106】
以上説明した少なくとも1つの実施形態、変形例などによれば、ユーザがスキャン操作中に被検体Pを目視可能にすることができる。
【0107】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0108】
1 X線CTシステム
2 架台(ガントリ:Gantry)
3 CTコンソール
4 CT用寝台
5 X線撮影装置
6 X線コンソール(第3のコンソール、第3の操作部)
7 アンギオ用寝台
8 搬送用経路(レール)
9 仕切り扉
21 スリップリング(slip ring)
22 管電圧発生装置
23 X線管
24 X線検出器
25 データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)
26 非接触データ伝送回路
27 搬送装置
28 架台制御回路
29 回転リング
30 回転駆動装置(電動機)
51 管電圧発生装置
52 X線管
53 X線検出器
54 支持機構
55 駆動装置
56 撮影制御回路
61 画像発生回路
62 第3入力インターフェース(第3入力I/F)
63 第3通信インターフェース(第3通信I/F)
64 第3ディスプレイ
65 第3記憶回路
66 第3処理回路
100 X線CT装置
200 X線アンギオ(Angio:X線血管造影)装置
310 第1のコンソール(第1の操作部)
311 第1入力インターフェース(第1入力I/F)
312 第1通信インターフェース(第1通信I/F)
313 第1ディスプレイ
314 第1記憶回路
315 第1処理回路
316 第1制御機能
317 スキャン設定機能
318 取得機能
319 受付機能
320 第2のコンソール(第2の操作部)
321 第2入力インターフェース(第2入力I/F)
322 第2通信インターフェース(第2通信I/F)
323 第2ディスプレイ
324 第2記憶回路
325 第2処理回路
326 第2制御機能
327 前処理機能
328 再構成機能
329 画像処理機能
661 第3制御機能
R1 第1検査室
R2 第2検査室
R3 操作室
P 被検体
T1 天板
T2 天板