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特開2024-175542ラゲッジシステム及びこれを備えた車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175542
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ラゲッジシステム及びこれを備えた車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 7/06 20060101AFI20241211BHJP
   B60R 5/04 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B60P7/06 Z
B60R5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093399
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】向 里菜
(72)【発明者】
【氏名】西川 徳行
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA04
3D022BA20
3D022BC10
(57)【要約】
【課題】ラゲッジスペースに載置された荷物に応じて、スライドバーの停止位置の調整を行う。
【解決手段】ラゲッジシステム(10)のコントローラは、荷重センサにより第1ラゲッジスペース(6)に載置された荷物が有ることが検知された場合、スライドバーを駆動する駆動機構を制御して、スライドバー(20)を右方向に移動させるとともに、右方向におけるスライドバー(20)の停止位置の調整を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられるラゲッジシステムであって、
ラゲッジスペースの載置面に載置された荷物の有無を検知する検知部と、
前記載置面に沿う第1方向に移動するスライドバーと、
前記スライドバーを駆動する駆動機構と、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記検知部により前記荷物が有ることが検知された場合、前記駆動機構を制御して、前記スライドバーを前記第1方向に移動させるとともに、前記第1方向における前記スライドバーの停止位置の調整を行う、ラゲッジシステム。
【請求項2】
前記スライドバーは、前記載置面に沿う方向であって前記第1方向とは交差する方向である第2方向に延びる第1壁と、前記第1壁と接続し、前記第1方向に延びる第2壁と、を有する、請求項1に記載のラゲッジシステム。
【請求項3】
前記第2壁は、第1スモールバーを有し、
前記第1スモールバーは、通常位置と、前記通常位置よりも前記第1方向に延長された位置である延長位置との間を移動可能である、請求項2に記載のラゲッジシステム。
【請求項4】
前記スライドバーと前記第1方向にて対向する立壁に収納された状態である収納位置と、前記立壁の外部に延出した位置である第1延出位置との間を移動可能な第2スモールバーと、を更に備える、請求項1に記載のラゲッジシステム。
【請求項5】
前記第2スモールバーは、前記第1延出位置よりも前記第1方向とは反対の第3方向に延出した位置である第2延出位置に移動可能である、請求項4に記載のラゲッジシステム。
【請求項6】
前記スライドバーは、前記ラゲッジスペースに荷物が載置されていない場合、前記スライドバーの移動可能範囲において最も前記第1方向とは反対の第3方向側に位置する最離反位置に位置する、請求項1に記載のラゲッジシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記検知部により前記荷物が有ることが検知された場合、予め定められた条件を満たしたことを契機に、前記第1方向とは反対の第3方向に移動させる、請求項1に記載のラゲッジシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記車両が前記第1方向とは交差する方向である第2方向に傾いていることを検知した場合、前記スライドバーを前記第3方向に移動させない、請求項7に記載のラゲッジシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記駆動機構を制御して、前記載置面に沿う方向であって、前記第1方向とは交差する第2方向に前記スライドバーを移動させ、前記第2方向における前記スライドバーの停止位置の調整を行う、請求項2に記載のラゲッジシステム。
【請求項10】
前記スライドバーは、前記スライドバーと前記載置面に載置された前記荷物との間の前記第1方向における距離を測定可能な距離センサを有し、
前記コントローラは、
前記距離センサの測定結果が第1閾値よりも短い場合、前記第1方向における前記スライドバーの移動を一旦停止する、請求項1に記載のラゲッジシステム。
【請求項11】
前記スライドバーは、前記荷物から受ける反力を検出する反力センサを有し、
前記コントローラは、
前記反力センサが検出した反力に基づいて、前記駆動機構を制御して、前記荷物に対する前記スライドバーの押圧力を調整する、請求項1に記載のラゲッジシステム。
【請求項12】
前記検知部は、前記ラゲッジスペースの載置面に載置された前記荷物の荷重を検出する荷重センサである、請求項1に記載のラゲッジシステム。
【請求項13】
前記検知部は、前記ラゲッジスペースを撮影可能なカメラである、請求項1に記載のラゲッジシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のラゲッジシステムを備えた車両であって、
前記ラゲッジスペースは、前記車両の車室空間の前方に位置している、車両。
【請求項15】
請求項1に記載のラゲッジシステムを備えた車両であって、
前記ラゲッジスペースは、前記車両の車室空間内に形成されたユーザが通行する通路により規定される、当該ユーザの動線沿いに位置している、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラゲッジシステム及びこれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のトランクルームに載置された荷物を固定する装置が開示されている。トランクルーム内には、空気袋が設けられている。荷物を固定する場合、エアポンプを駆動して空気袋内に空気が注入される。空気袋は空気の注入により伸長し、空気袋の押え板が空気袋の伸長と共に移動する。空気袋の押え板とトランクルームの後壁面との間にて荷物を挟み込むことにより、荷物はトランクルーム内にて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-11622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、空気袋の伸長により押え板が移動する。空気袋に注入される空気の調整はスムーズに行うことができない。また、空気袋に定量の空気を注入したとしても、空気袋の伸長量が一定とならない場合がある。そのため、空気袋に注入される空気の調整を行ったとしても、荷物に対する押え板の停止位置の調整を行うことは難しい。
【0005】
本開示の一態様は、ラゲッジスペースに載置された荷物に応じて、スライドバーの停止位置の調整を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るラゲッジシステムは、車両に備えられるラゲッジシステムであって、ラゲッジスペースの載置面に載置された荷物の有無を検知する検知部と、前記載置面に沿う第1方向に移動するスライドバーと、前記スライドバーを駆動する駆動機構と、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記検知部により前記荷物が有ることが検知された場合、前記駆動機構を制御して、前記スライドバーを前記第1方向に移動させるとともに、前記第1方向における前記スライドバーの停止位置の調整を行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、ラゲッジスペースに載置された荷物に応じて、スライドバーの停止位置の調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態1に係る車両の内部構成を示す模式図である。
図2図1に示すラゲッジスペースを後方から見た図である。
図3図2に示すラゲッジシステムを上方から見た斜視図である。
図4】荷物が載置された状態のラゲッジシステムを示す斜視図である。
図5】ラゲッジシステムの電気的構成を示すブロック図である。
図6】ラゲッジシステムのコントローラによる制御の流れを示すフローチャートである。
図7】ラゲッジシステムのコントローラによる制御の流れを示すフローチャートである。
図8図7に示すスモールバー調整処理の制御の流れを示すフローチャートである。
図9】本開示の実施形態2に係るラゲッジシステムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、図1図8を参照して詳細に説明する。
【0010】
(車両の概要)
図1を参照して、本開示のラゲッジシステム10(図2参照)が備えられる車両1の概要について説明する。図1は、実施形態1に係る車両1の内部の構成を示す概略図である。また、説明の便宜上、図1等の矢印で示されるように、上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。前後方向は車両1の走行方向に一致する方向であり、前方は前進する車両1の走行方向に一致する。左右方向は、前後方向に直交する方向であって、前方を向くユーザから見た左右方向に一致する。左右方向は、車両1の車幅方向でもある。上下方向は、前後方向及び左右方向と直交する方向であり、車両1の高さ方向である。下方は、乗車したユーザに対して車両1のフロア側である。
【0011】
車両1は、ユーザが乗車する車両であり、自動運転により走行する車両である。車両1の自動運転は、自動運転システムの実行により行われる。例えば、車両1はオペレータにより遠隔操作され、特定の走行ルートを走行する。
【0012】
車両1は、車両ボディ2と、座席3と、を備えている。車両ボディ2は、車両1の外観を構成し、内部に車室空間を形成する。車両1の車室空間内には、ユーザが着座する座席3が設置されている。座席3は、車両1のフロアに固定されている固定式の座席3A~3Dと、折り畳み可能な折り畳み式の座席3Eとを有している。固定式の座席3A~3Dは、車両1の後方に2列設置されている。折り畳み式の座席3Bは、車両1の車室空間の前方に設置されている。
【0013】
車両ボディ2の右前方には、車両1に対してユーザが乗降するための乗降ドア4が取り付けられている。乗降ドア4は、ユーザが乗降するための車両1の入口を閉じる閉位置4Aと、ユーザが乗降するための車両1の入口を開ける開位置4Bとの間を移動する。乗降ドア4から乗降するユーザは、動線Tに沿って車両1の車室空間内を移動する。動線Tは、車両1の車室空間内に形成されたユーザが通行する通路8により規定される。
【0014】
車両1の車室空間の前方には、ユーザの荷物L(図2参照)を載置するために形成されたラゲッジスペース5が形成されている。ラゲッジスペース5は、水平方向に沿う面であり、荷物を載置するための載置面を有している。ラゲッジスペース5は、座席3に着座するユーザが存在する車室空間と同一の空間内に形成され、座席3よりも前方に位置する。車両1の車室空間の前方にラゲッジスペース5が位置することにより、ユーザから見える位置に荷物Lが位置する。これにより、ユーザに安心感を与えることができる。ラゲッジスペース5は、動線T沿いに位置する。ラゲッジスペース5が動線T沿いに位置することにより、ユーザはスムーズに荷物Lの積み下ろしが可能となる。
【0015】
ラゲッジスペース5は、第1ラゲッジスペース6と第2ラゲッジスペース7とを有している。第1ラゲッジスペース6は、左右方向において、車両1の右側に位置する。即ち、左右方向において、ラゲッジスペース5の乗降ドア4側が第1ラゲッジスペース6である。第2ラゲッジスペース7は、左右方向において、左側に位置する。即ち、第2ラゲッジスペース7は、左右方向において、ラゲッジスペース5の座席3E側に位置する。座席3Eが折り畳まれた状態である非使用状態のとき、第2ラゲッジスペース7は荷物Lを載置するためのスペースとして使用される。座席Eがユーザの着座が可能な状態である使用状態のとき、第2ラゲッジスペース7は、着座したユーザの足を置くためのスペースとして使用される。
【0016】
(ラゲッジシステム)
図2図4を参照して、ラゲッジシステム10について説明する。図2は、図1に示すラゲッジスペース5を後方から見た図である。図3は、図2に示すラゲッジシステム10を上方から見た斜視図である。図4は、荷物Lが載置された状態のラゲッジシステム10を示す斜視図である。
【0017】
図2に示すように、車両1は、ラゲッジシステム10を備えている。ラゲッジシステム10は、ラゲッジスペース5に載置された荷物Lのラゲッジスペース5外への移動を制限するためのシステムである。本実施形態において、ラゲッジシステム10は、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lの移動を制限するシステムとして適用される。
【0018】
ラゲッジシステム10は、スライドバー20と、第2スモールバー30と、を備えている。図3に示すように、スライドバー20は、第1ラゲッジスペース6の載置面60に載置された荷物Lと当接可能であり、荷物Lと当接することで荷物Lの第1ラゲッジスペース6外への移動を制限する。スライドバー20は、上面視したとき、L字のような形状を成している。
【0019】
図3に示すように、スライドバー20は、支持部21と、第1壁22と、第2壁24とを有する。支持部21は、第1壁22及び第2壁24を支持する。支持部21は、後述する駆動機構26と接続している。第1壁22は、支持部21に取り付けられ、前後方向に延びる壁である。第2壁24は、第1壁22と一体に形成され、第1壁22に対して左右方向に延びる壁である。より詳細には、第2壁24は、第1壁22の後方の端部から右方向に延出している。
【0020】
第2壁24は第1スモールバー25を有している。本実施形態において、第1スモールバー25は、前後方向からみたとき、U字のような形状を成した部材である。第1スモールバー25は、第2壁24の右の端部に取り付けられている。第1スモールバー25は、通常位置25Aと、通常位置25Aよりも右方向に延出した延長位置25Bとの間を移動可能である。即ち、第1スモールバー25は、第2壁24に対して右方向に延長可能に第2壁24に取り付けられている。通常位置25Aは、左右方向における第1スモールバー25の移動範囲において、最も左側に位置する。延長位置25Bは、左右方向における第1スモールバー25の移動範囲において、第1スモールバー25の移動範囲の最も右側に位置する。第1スモールバー25は、左右方向におけるスライドバー20の停止位置に基づいて、通常位置25A又は延長位置25Bへ移動する。
【0021】
スライドバー20は、第1ラゲッジスペース6を載置面60に沿って移動可能な部材である。より詳細には、スライドバー20は、矢印D1にて示す左右方向に往復移動可能であると共に、矢印D2にて示す前後方向に往復移動可能に設けられている。
【0022】
具体的には、支持部21は、駆動機構26からの駆動力により左右方向に移動する。支持部21の左右方向への移動と共に、第1壁22及び第2壁24も左右方向に移動する。図3の破線で示すように、第1壁22は、支持部21に対して前後方向に移動可能に取り付けられている。駆動機構26からの駆動力により第1壁22が支持部21に対して前後方向に移動すると、第2壁24も前後方向に移動する。
【0023】
図4に示すように、第1壁22の左右方向における右方向への移動により、第1壁22は荷物Lと当接する。第1壁22は、荷物Lの左方向の移動を制限する。第2壁24の前後方向における前方向の移動により、第2壁24は荷物Lと当接する。第2壁24及び第1スモールバー25は、荷物Lの後方向の移動を制限する。
【0024】
図3には、最離反位置20Aに位置するスライドバー20が実線にて示されている。最離反位置20Aは、荷物Lを載置する第1ラゲッジスペース6のスペースを最も大きくするスライドバー20の位置である。スライドバー20が最離反位置20Aに位置することで、乗車するユーザが第1ラゲッジスペース6に荷物Lを載置させ易くなる。また、スライドバー20が最離反位置20Aに位置することで、降車するユーザが第1ラゲッジスペース6から荷物Lを取り易くなる。本実施形態において、最離反位置20Aは、左右方向の移動可能範囲において最も左側に位置する。即ち、最離反位置20Aは、スライドバー20の第1壁22と、後述する第1立壁35との間の左右方向における間隔が最も大きくなる位置である。また、最離反位置20Aは、前後方向における移動可能範囲において最も後側に位置する。即ち、最離反位置20Aは、スライドバー20の第2壁24と、後述する第2立壁36との間の前後方向における間隔が最も大きくなる位置である。スライドバー20は、第1ラゲッジスペース6に荷物Lが載置されていない場合、最離反位置20Aに位置する。
【0025】
本実施形態において、スライドバー20は、後述するコントローラ50により、左右方向におけるスライドバー20の移動範囲を4つの区間に分けた第1区間W1~第4区間W4のうち、何れの区間に停止しているかが判定される。詳細には、スライドバー20は、スライドバー20の停止時における第1壁22の左右方向の位置に基づいて、第1区間W1~第4区間W4の何れの区間に停止しているかが判定される。より詳細には、左右方向におけるスライドバー20の停止位置は、荷物Lと当接可能な第1壁22の右方向を向く面がいずれの区間に位置するかによって判定される。
【0026】
図3に示すように、右から順に第1区間W1、第2区間W2、第3区間W3、及び第4区間W4に分けられている。第1区間W1は、スライドバー20の移動範囲において、最も右側に停止するスライドバー20の第1壁22が位置する区間である。第4区間は、最離反位置20Aに停止するスライドバー20の第1壁22が位置する区間である。第1区間W1~第4区間W4は、同じ間隔であってもよく、異なる間隔であってもよい。第1区間W1~第4区間W4は、第1ラゲッジスペース6に載置されると想定される荷物Lの種類、又は車両1の大きさ等の要因に応じて設定される。
【0027】
第1ラゲッジスペース6の右側には、第1立壁35が形成されている。第1立壁35は、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lの右方向への移動を制限する。第1立壁35は、左右方向にてスライドバー20の第1壁22と対向する。第1立壁35とスライドバー20の第1壁22とにより、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lを左右方向にて挟み込むことが可能である。また、第1ラゲッジスペース6の前側には、第2立壁36が形成されている。第2立壁36は、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lの前方向への移動を制限する。第2立壁36とスライドバー20の第2壁24とにより、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lを前後方向にて挟み込むことが可能である。
【0028】
第1立壁35には、第1立壁35に収納された状態である収納位置と、第1立壁35の外部に延出した位置である第1延出位置30Aとの間を移動可能な第2スモールバー30が配置されている。第2スモールバー30は、第1立壁35に形成された開口31を介して、収納位置と、第1延出位置30Aとの間を移動する。第2スモールバー30は、更に、第1延出位置30Aよりも左方向に延出した位置である第2延出位置30Bに移動可能である。第2スモールバー30は、左右方向におけるスライドバー20の停止位置に基づいて、収納位置、第1延出位置30A、又は第2延出位置30Bに移動する。収納位置に位置する第2スモールバー30により、荷物Lの移動は制限されない。第1延出位置30A及び第2延出位置30Bに位置する第2スモールバー30は、荷物Lの後方向の移動を制限する。
【0029】
(ラゲッジシステムの電気的構成)
図5を参照して、ラゲッジシステム10の電気的構成について説明する。図5は、ラゲッジシステム10の電気的構成を示すブロック図である。ラゲッジシステム10は、荷重センサ40と、傾斜センサ41と、コントローラ50とを更に備えている。
【0030】
コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、RAM若しくはROM等のメモリ、及び通信インタフェースと、を備えたマイクロコンピュータにより構成される。コントローラ50のプロセッサはメモリに格納された制御プログラムに従って、各種制御を実行する。
【0031】
コントローラ50は、後述する駆動機構26を制御して、スライドバー20の移動の制御を行う。また、コントローラ50は、スライドバー20が停止している区間に基づいて、第1スモールバー25を通常位置25A又は延長位置25Bへ移動させる制御を行う。また、コントローラ50は、スライドバー20が停止している区間に基づいて、第2スモールバー30を収納位置、第1延出位置30A、又は第2延出位置30Bへ移動させる制御を行う。コントローラ50は、例えば、各区間の境界に設置されたポインタからスライドバー20の位置情報を取得してもよい。また、コントローラ50は、スケール、又は位置情報を含むバーコード等を読み取るリーダからスライドバー20の位置情報を取得してもよい。
【0032】
コントローラ50は、ラゲッジシステム10の各部と電気的に接続されている。より詳細には、コントローラ50は、第1赤外線センサ221、第1反力センサ222、第2赤外線センサ231、第2反力センサ232、第1駆動モータ261、第2駆動モータ32、荷重センサ40、及び傾斜センサ41と電気的に接続されている。
【0033】
第1赤外線センサ221は、第1壁22に取り付けられ、第1壁22と第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lとの間の距離を測定可能なセンサである。第1赤外線センサ221は、距離センサの一例である。コントローラ50は、第1赤外線センサ221から送信される距離データを取得する。第1反力センサ222は、第1壁22に取り付けられ、第1壁22と第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lとが当接した際の、荷物Lから受ける反力を検出するセンサである。コントローラ50は、第1反力センサ222から送信される反力データを取得する。
【0034】
第2赤外線センサ231は、第2壁24に取り付けられ、第2壁24と第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lとの間の距離を測定可能なセンサである。第2赤外線センサ231は、距離センサの一例である。コントローラ50は、第2赤外線センサ231から送信される距離データを取得する。第2反力センサ232は、第2壁24と第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lとが当接した際の、荷物Lから受ける反力を検出するセンサである。コントローラ50は、第2反力センサ232から送信される反力データを取得する。
【0035】
駆動機構26は、スライドバー20を駆動する機構である。駆動機構26は、第1駆動モータ261を有している。第1駆動モータ261の駆動により、スライドバー20が左右方向及び前後方向に移動可能となる。また、第1駆動モータ261の駆動により、第1スモールバー25が通常位置25Aと延長位置25Bとの間を移動可能となる。
【0036】
具体的には、駆動機構26は、スライドバー20を左右方向に移動させる第1駆動機構を有している。第1駆動機構は、スライドバー20の支持部21と接続する機構である。第1駆動機構の一例として、例えばロアレールと、ロアレールに対してスライドするアッパレールとを備える周知のパワースライド装置を採用することができる。具体的には、ロアレールは、車両ボディ2に対して固定され、左右方向を長手方向とする。スライドバー20の支持部21が接続されるアッパレールは、ロアレールと係合し、ロアレールの長手方向に相対移動可能である。アッパレールは、ロアレールに固定されるシャフトに螺合するナットを保持している。駆動モータの駆動によりアッパレールのナットが回転すると、アッパレールのナットがロアレールのシャフトに対して相対移動する。これにより、アッパレールがロアレールに対してスライドし、スライドバー20が左右方向に移動する。
【0037】
駆動機構26は、スライドバー20を前後方向に移動させる第2駆動機構を有している。具体的には、第2駆動機構は、支持部21に対して第1壁22及び第2壁24を前後方向に移動させる機構である。第2駆動機構の一例として、周知のラックアンドピニオン式の機構を採用することができる。具体的には、支持部21又は第1壁22の何れか一方に、前後方向を長手方向とするラックが配置されている。支持部21又は第1壁22の何れか他方に、第1駆動モータ261の駆動により回転するピニオンが配置される。ピニオンが駆動すると、第1壁22及び第2壁24が支持部21に対して前後方向に移動する。
【0038】
駆動機構26は、第1スモールバー25を通常位置25Aと延長位置25Bとの間にて移動させる第3駆動機構を有している。第3駆動機構の一例として、周知のラックアンドピニオン式の機構を採用することができる。具体的には、第1スモールバー25に配置されるラックが、第1駆動モータ261の駆動により回転するピニオンと噛合する。
【0039】
コントローラ50は、駆動機構26の第1駆動モータ261を制御する。駆動機構26は、1つ以上の第1駆動モータ261を有している。即ち、1つの第1駆動モータ261により、上述した第1駆動機構、第2駆動機構、及び第3駆動機構を駆動してもよい。また、上述した第1駆動機構、第2駆動機構、及び第3駆動機構が、それぞれ第1駆動モータ261を有していてもよい。また、コントローラ50は、第2スモールバー30を駆動する第2駆動モータ32を制御する。
【0040】
荷重センサ40は、ラゲッジスペース5に載置された荷物Lの有無を検知するためのセンサである。荷重センサ40は、検知部の一例である。より詳細には、荷重センサ40は、第1ラゲッジスペース6の載置面60にかかる荷重を検出し、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lの有無を検知する。コントローラ50は、荷重センサ40から送信される荷重データを取得する。なお、第1ラゲッジスペース6に配置される荷重センサ40の数は、特に限定されない。傾斜センサ41は、車両1の前後方向における傾きを検出するセンサである。コントローラ50は、傾斜センサ41から送信される傾きデータを取得する。
【0041】
(コントローラによる制御)
図6を参照して、ユーザが乗降する際にコントローラ50により実行される制御の流れについて説明する。図6は、ラゲッジシステム10のコントローラ50による制御の流れを示すフローチャートである。本実施形態において、コントローラ50は、乗降ドア4の開閉を契機にラゲッジシステム10のスライドバー20の位置制御を行う。
【0042】
先ず、コントローラ50は、乗降ドア4が開いたか否かを判定する(S1)。乗降ドア4が開いていない場合(S1:NO)、コントローラ50はステップS1を繰り返し実行する。乗降ドア4が開いた場合(S1:YES)、傾斜センサ41が検出した車両1の傾きに基づき、コントローラ50は車両1の前方が上方に傾いているか否かを判定する(S2)。
【0043】
車両1の前方が上方に傾いていない場合(S2:NO)、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、スライドバー20を最離反位置20Aまで移動させる(S3)。ステップS3において、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、スライドバー20を左方向、及び後方向に移動させる。車両1の前方が上方に傾いている場合(S2:YES)、コントローラ50は図6に示す制御を終了する。即ち、車両1の前方が上方に傾いている場合、コントローラ50は、スライドバー20を最離反位置20Aに移動させない。そのため、第1ラゲッジスペース6に荷物Lが有る場合、スライドバー20による荷物Lの移動の制限を継続することができる。これにより、車両の前後方向の傾斜により、荷物Lが第1ラゲッジスペース6外に移動する虞を軽減する。
【0044】
次に、図7図8を参照して、ユーザの乗降が完了した際にコントローラ50により実行される制御の流れについて説明する。図7は、ラゲッジシステム10のコントローラ50による制御の流れを示すフローチャートである。図8は、図7に示すスモールバー調整処理S20の制御の流れを示すフローチャートである。
【0045】
先ず、コントローラ50は、乗降ドア4が閉められたか否かを判定する(S10)。乗降ドア4が閉められていない場合(S10:NO)、コントローラ50はステップS10を繰り返し実行する。乗降ドア4が閉められた場合(S10:YES)、コントローラ50は荷重センサ40の検知結果に基づき第1ラゲッジスペース6に荷物Lが有るか否かを判定する(S11)。
【0046】
荷物Lが無い場合(S11:NO)、コントローラ50は図7に示す制御を終了する。即ち、コントローラ50はスライドバー20を移動させない。荷物Lが有る場合(S11:YES)、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、スライドバー20を右方向に移動させる(S12)。
【0047】
次に、コントローラ50は、第1赤外線センサ221により検出された、第1壁22と第1ラゲッジスペース6の荷物Lとの間の距離が第1閾値以上であるか否かを判定する(S13)。検出された距離が第1閾値以上である場合(S13:YES)、コントローラ50はステップS12を再び実行する。検出された距離が第1閾値よりも短い場合(S13:NO)、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、スライドバー20の右方向の移動を停止する(S14)。次に、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、スライドバー20を前方向に移動をさせる(S15)。
【0048】
次に、コントローラ50は、第2赤外線センサ231により検出された、第2壁24と第1ラゲッジスペース6の荷物Lとの間の距離が第2閾値以上であるか否かを判定する(S16)。検出された距離が第2閾値以上である場合(S16:YES)、コントローラ50はステップS15を再び実行する。検出された距離が第2閾値よりも短い場合(S16:NO)、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、スライドバー20の前方向の移動を停止する(S17)。
【0049】
次に、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、右方向におけるスライドバー20の停止位置を微調整する(S18)。ステップS15において、コントローラ50は、第1壁22を徐々に荷物Lに近づける。ステップS18において、コントローラ50は、ステップS12におけるスライドバー20の移動速度よりも遅い速度でスライドバー20を右方向に移動させる。これにより、スライドバー20の左右方向の停止位置を調整する。
【0050】
ステップS18において、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、荷物Lに対する第1壁22による押圧力を調整してもよい。即ち、コントローラ50は、第1反力センサ222が検出した反力が大きい場合は、第1壁22による荷物Lの押圧力が大きくなるように、スライドバー20の停止位置を調整してもよい。また、コントローラ50は、第1反力センサ222が検出した反力が小さい場合は、第1壁22による荷物Lの押圧力が小さくなるように、スライドバー20の停止位置を調整してもよい。なお、ステップS18において、第1反力センサ222が検出した反力に応じて、第1壁22と荷物Lとが当接しない位置にスライドバー20を停止させてもよい。
【0051】
続いて、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、前方向におけるスライドバー20の停止位置を微調整する(S19)。ステップS19において、コントローラ50は、第2壁24を徐々に荷物Lに近づける。ステップS19において、コントローラ50は、ステップS15におけるスライドバー20の移動速度よりも遅い速度でスライドバー20を前方向に移動させる。これにより、スライドバー20の前後方向の停止位置を調整する。
【0052】
ステップS19において、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して、荷物Lに対する第2壁24による押圧力を調整してもよい。即ち、コントローラ50は、第2反力センサ232が検出した反力が大きい場合は、スライドバー20の第2壁24による荷物Lの押圧力が大きくなるように、スライドバー20の停止位置を調整してもよい。また、コントローラ50は、第2反力センサ232が検出した反力が小さい場合は、スライドバー20の第2壁24による荷物Lの押圧力が小さくなるように、スライドバー20の停止位置を調整してもよい。なお、ステップS19において、第2反力センサ232が検出した反力に応じて、第2壁24と荷物Lとが当接しない位置にスライドバー20を停止させてもよい。
【0053】
即ち、ステップS18及びステップS19において、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lの種類に応じて、スライドバー20の停止位置の調整が行われる。例えば、荷物Lがキャリーケースである場合は、反力センサにより検出される反力が大きくなる。このような、固いケースを有している荷物Lの場合、第1壁22により荷物Lを右方向及び/又は第2壁24により前方向に押圧することで、第1立壁35及び/又は第2立壁36との間にて荷物Lを挟み込む。これにより荷物Lの第1ラゲッジスペース6外への移動を制限する。また、例えば、荷物Lが紙袋、又は布製のバック等である場合は、スライドバー20により荷物Lを押圧すると荷物Lの中の物品を破損する虞がある。そのため、反力センサにより検出される反力が小さい場合は、スライドバー20による荷物Lの押圧力を小さくするため、荷物Lと当接した位置とほぼ同等の位置にて第1駆動モータ261の駆動を停止させる。
【0054】
次に、コントローラ50は、スモールバー調整処理を実行する(S20)。スモールバー調整処理S20の後、コントローラ50は図7に示す制御を終了する。図8を参照して、スモールバー調整処理S20の詳細について説明する。図8は、図7に示すスモールバー調整処理S20の制御の流れを示すフローチャートである。
【0055】
先ず、コントローラ50は、左右方向におけるスライドバー20の位置が第4区間W4に位置しているか否かを判定する(S200)。スライドバー20が第4区間W4に位置している場合(S20:YES)、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して第1スモールバー25を延長位置25Bに移動させ、且つ、第2駆動モータ32を制御して第2スモールバー30を第2延出位置30Bに移動させる(S201)。ステップS201の後、コントローラ50はスモールバー調整処理S20を終了する。スライドバー20が第4区間W4に位置していない場合(S200:NO)、コントローラ50はスライドバー20が第3区間W3に位置しているか否かを判定する(S202)。
【0056】
スライドバー20が第3区間W3に位置している場合(S202:YES)、コントローラ50は、第1駆動モータ261を制御して第1スモールバー25を延長位置25Bに移動させ、且つ、第2駆動モータ32を制御して第2スモールバー30を第1延出位置30Aに移動させる(S203)。ステップS203の後、コントローラ50はスモールバー調整処理S20を終了する。スライドバー20が第3区間W3に位置していない場合(S202:NO)、コントローラ50は、スライドバー20が第2区間W2に位置しているか否かを判定する(S204)。
【0057】
スライドバー20が第2区間W2に位置している場合(S204:YES)、コントローラ50は、第2駆動モータ32を制御して第2スモールバー30を第1延出位置30Aに移動させる(S205)。ステップS205の後、コントローラ50はスモールバー調整処理S20を終了する。スライドバー20が第2区間W2に位置していない場合(S204:NO)、コントローラ50はスモールバー調整処理S20を終了する。即ち、スライドバー20が第1区間W1に位置している場合、第1スモールバー25は通常位置25Aに位置し、第2スモールバー30は収納位置に位置する。
【0058】
ラゲッジシステム10は、コントローラ50により移動が制御されるスライドバー20を備えている。そのため、コントローラ50によりスライドバー20の停止位置の調整を行うことができる。これにより、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lに応じて、スライドバー20の位置調整を行うことができる。
【0059】
また、スライドバー20が第1壁22と第2壁24とを有している構成によれば、第1壁22により荷物Lの左右方向の移動を制限でき、第2壁24により荷物Lの前後方向の移動を制限することができる。また、前後方向におけるスライドバー20の停止位置の調整が行われる。これにより、前後方向において、荷物Lが第1ラゲッジスペース6外に移動する虞を軽減することができる。
【0060】
また、第1スモールバー25が延長位置25Bに位置することにより、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lの左右方向におけるトータルの大きさが大きい場合に、荷物Lが前後方向に移動し、第1ラゲッジスペース6外に移動してしまう可能性を低減することができる。荷物Lの左右方向におけるトータルの大きさが大きい場合は、例えば複数の荷物Lが載置された場合、及び/又は1つの荷物Lの左右方向の大きさが大きい場合等が挙げられる。
【0061】
また、第2スモールバー30を備える構成によれば、スライドバー20による移動の制限が難しい位置に荷物Lが有る場合であっても、第2スモールバー30により荷物Lの前後方向の移動を制限することができる。また、第2スモールバー30が第2延出位置30Bに位置することにより、第1ラゲッジスペース6に載置されたより多くの荷物Lの前後方向の移動を制限することができる。これにより、第1ラゲッジスペース6外に移動してしまう可能性をより低減することができる。
【0062】
また、スライドバー20は、第1ラゲッジスペース6に荷物Lが載置されていない場合、最離反位置20Aに位置する。また、第1ラゲッジスペース6に荷物Lが有ることが検知された場合、乗降ドア4が開いたことを契機に、最離反位置20Aに移動する。これにより、スライドバー20が荷物Lから離れた位置に位置するため、ユーザが容易に第1ラゲッジスペース6に荷物Lを載置することができる。
【0063】
また、コントローラ50は、第1赤外線センサ221及び第2赤外線センサ231により検出される距離に基づいて、荷物Lにスライドバー20が当接する前に、スライドバー20の左右方向の移動及び前後方向の移動を停止する。これにより、スライドバー20が荷物Lに当接することにより、荷物Lが傷つく可能性を低減する。
【0064】
また、コントローラ50は、第1反力センサ222及び第2反力センサ232が検出した反力に基づいて、荷物Lに対するスライドバー20の第1壁22による押圧力及び第2壁24による押圧力を調整することにより、荷物Lの種類に応じて、スライドバー20の押圧力を調整することができる。
【0065】
また、荷重センサ40により、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lの有無を検知することにより、ユーザの視認できる位置に検知部を配置することがない。これにより、車両1の車室空間内の意匠に自由度を持たせることができる。
【0066】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、図9を参照して以下に説明する。図9は、本開示の実施形態2に係るラゲッジシステム10Aの構成を示す模式図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態2に係るラゲッジシステム10Aは、実施形態1に係るラゲッジシステム10と比較して、複数のスライドバー20を備えている点で異なる。
【0067】
図9に示すように、ラゲッジシステム10Aは、第1ラゲッジスペース6Aに配置された複数のスライドバー20を備えている。本実施形態において、ラゲッジシステム10Aは、4つのスライドバー20を備えている。4つのスライドバー20は、第1ラゲッジスペース6Aを左右方向に4つに区画化した第1区間W1~第4区間W4にそれぞれ配置されている。スライドバー20は、対応する区間内を移動する。例えば、第1区間W1に配置されるスライドバー20は、左右方向において、第1区間W1内を移動可能である。
【0068】
第1区間W1~第4区間W4のそれぞれには、第3立壁35Aが配置されている。第3立壁35Aは、左右方向にてスライドバー20の第1壁22と対向する。第3立壁35Aとスライドバー20の第1壁22とにより、各区間に載置された荷物Lを挟み込むことが可能である。
【0069】
なお、荷物Lが載置される第1区間W1~第4区間W4のそれぞれと、ユーザが着座する座席3А~3Dと対応させてもよい。例えば、座席3Aに着座するユーザは第1区間W1に、座席3Bに着座するユーザは第2区間W2に、座席3Cに着座するユーザは第3区間W3に、座席3Dに着座するユーザは第4区間W4に、荷物Lを載置するように規定してもよい。
【0070】
このように規定した場合、座席3A~3Dのぞれぞれに、着座センサが配置されてもよい。着座センサは、対応する座席3A~3Dにユーザが着座していることを検知するセンサ。着座センサの検知結果に基づいて対応する区間のスライドバー20が移動してもよい。
【0071】
例えば、コントローラ50は、座席3Aの着座センサによりユーザの着座が検知された場合、第1区間W1のスライドバー20を右方向に移動させてもよい。また、コントローラ50は、座席3Aの着座センサによりユーザの離席が検知された場合、第1区間W1のスライドバー20を左方向に移動させてもよい。
【0072】
着座センサは、各座席3A~3Dにかかる荷重を検出するセンサであってもよいし、各座席3A~3Dのシートベルトのプレートがバックルに連結されたことを検知するセンサであってもよい。
【0073】
〔実施形態3〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態3に係るラゲッジシステムでは、実施形態1に係るラゲッジシステム10のラゲッジスペース5に載置された荷物Lの有無を検知する荷重センサ40に代えて、車両1の車室空間内に設置されたカメラが使用される。
【0074】
カメラは、車両1の上方に位置し、ラゲッジスペース5を撮影可能に配置される。より詳細には、カメラは第1ラゲッジスペース6を撮影可能に配置される。カメラは、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lを検知する。カメラは、検知部の一例である。コントローラ50は、カメラによる荷物Lの有無の検知結果により、スライドバー20の移動の制御を行う。
【0075】
また、カメラにより、荷物Lの位置、及び荷物Lの大きさを検知する構成としてもよい。コントローラ50は、カメラが検出した荷物Lの位置及び荷物Lの大きさに基づいて、スライドバー20を移動させてもよい。この場合、スライドバー20に赤外線センサ221、231及び反力センサ222、232を配置する必要が無い。
【0076】
〔その他の実施形態〕
上述した実施形態においては、自動運転が行われる車両1について説明したが、車両1は自動運転車両に限定されるものではない。車両1は、運転手により走行が操作される車両であってもよい。運転手の操作により走行する車両の場合、ラゲッジスペース5は、車両1の前後方向において、運転席と座席との間にラゲッジスペース5を形成してもよい。また、車両1は、ユーザが乗車せず、荷物Lのみを運搬する車両であってもよい。
【0077】
また、上述した実施形態において、ラゲッジスペース5は、車両1の前方に位置していたが、このような構成に限られるものではない。ラゲッジスペース5は、車両1の後方に位置していてもよい。また、ラゲッジスペース5は、例えばトランクルームのように、ユーザが存在する空間とは別の空間に形成されていてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態において、スライドバー20は、第1壁22及び第2壁24を有しているが、このような構成に限られるものではない。スライドバー20は、第1壁22のみ有していてもよい。また、第1壁22は、左右方向の移動に限られるものではない。第1壁22は、前後方向に移動してもよい。この場合、第2壁24は左右方向に移動する。
【0079】
また、上述した実施形態においては、乗降ドア4の開閉を契機に、又は座席に着座するユーザの有無を契機にスライドバー20を載置面60に沿って移動させたが、これらの構成に限られるものではない。ユーザにより荷物Lの積み下ろしが行われると想定される状況において、スライドバー20を移動させる構成としてもよい。例を挙げると、車両1のエンジン駆動若しくは駆動停止したとき、第1ラゲッジスペース6にユーザが近づいたことを検知したとき又はスライドバー20を移動させる操作ボタンをユーザが操作したとき等を契機に、スライドバー20を移動させてもよい。
【0080】
また、コントローラ50は、乗降ドア4が開いたことを契機にスライドバー20を最離反位置20Aに移動させたが、最離反位置20Aまで移動させる構成に限られるものではない。例えば、コントローラ50は、第1反力センサ222及び第2反力センサ232により反力が検出されない位置にスライドバー20を移動させてもよい。即ち、コントローラ50は、スライドバー20を左方向及び後方向に移動させ、第1壁22と第1立壁35とによる荷物Lの挟み込み、及び第2壁24と第2立壁36とによる荷物の挟み込みが解除される位置にスライドバー20を停止させる。この場合、コントローラ50は、左右方向における第1壁22と荷物Lとの間の間隔、及び前後方向における第2壁24と荷物Lとの間の間隔がそれぞれ所定の間隔となるように、左方向又は後方向におけるスライドバー20の停止位置を調整する。
【0081】
また、上述した実施形態においては、傾斜センサ41に基づいて、コントローラ50が車両1の前後方向の傾きを検知したが、このような構成に限られるものではない。例えば、コントローラ50は、車両1の走行中に、第2反力センサ232の荷重の大きさの変化に基づいて車両1の前後方向の傾きを検知してもよい。
【0082】
また、上述した実施形態においては、荷重センサ40により、又はカメラにより、第1ラゲッジスペース6に載置された荷物Lの有無を検知したが、このような構成に限られるものではない。赤外線センサにより、第1ラゲッジスペース6における荷物Lの有無を検知してもよい。
【0083】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 車両
5 ラゲッジスペース
6 第1ラゲッジスペース
7 第2ラゲッジスペース
10 ラゲッジシステム
20 スライドバー
25 第1スモールバー
26 駆動機構
30 第2スモールバー
40 荷重センサ
50 コントローラ
60 載置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9