(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175544
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】配達スケジューリングシステム、サーバーシステム、及び車載機器
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20241211BHJP
【FI】
G06Q10/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093407
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小川 真啓
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】複数の配達員が複数の電気自動車を配達に使用する配達ビジネスにおいて、複数の電気自動車の稼働率を向上させることに寄与する技術を提供する。
【解決手段】配達スケジューリングシステム10は、複数の電気自動車30に搭載された複数の車載機器80と、サーバーシステム200と、を備える。車載機器は、第1情報取得部81と、第1通信機84と、を備える。サーバーシステムは、記憶装置220と、第2通信機24と、認識部21と、スケジューリング部21と、を備える。認識部は、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識する。スケジューリング部は、認識部による認識結果に基づいて、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)と、サーバーシステム(200)と、を備える配達スケジューリングシステム(10)であって、
前記車載機器は、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車である搭載自動車に乗車している配達員を識別する第1識別情報を取得するように構成された第1情報取得部(81)と、
前記第1情報取得部により取得された前記第1識別情報を前記サーバーシステムへ送信するように構成された第1通信機(84)と、を備え、
前記サーバーシステムは、
前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報が記憶されている記憶装置(220)と、
前記複数の車載機器の各々から送信された前記第1識別情報を受信するように構成された第2通信機(24)と、
前記第2通信機により受信された前記第1識別情報を、前記記憶装置に記憶されている前記第2識別情報と照合して、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識するように構成された認識部(21)と、
前記認識部による認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成するように構成されたスケジューリング部(21)と、を備える、
配達スケジューリングシステム。
【請求項2】
前記スケジューリング部(21)は、前記配達スケジュールが前記複数の電気自動車の各々に乗車している配達員の休憩時間を含むように、前記配達スケジュールを生成するように構成されている、
請求項1に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項3】
前記複数の電気自動車(30)は、第1自動車と、第2自動車と、を含み、
前記スケジューリング部(21)は、前記第1自動車の充電中に前記第2自動車が稼働するように、前記配達スケジュールを生成するように構成されている、
請求項1又は2に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項4】
前記車載機器(80)は、
前記搭載自動車に乗車している配達員の生体情報を取得するように構成された第2情報取得部(81)と、
前記生体情報に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に乗車している前記配達員が受けている負荷を判定するように構成された負荷判定部(81)と、を更に備え、
前記第1通信機(84)は、前記負荷判定部により判定された前記負荷を前記サーバーシステムへ送信するように構成されており、
前記サーバーシステム(200)は、
前記第2通信機(24)により受信された前記負荷が閾値よりも高い場合に、前記閾値よりも高い前記負荷を受けている前記配達員に休憩又は帰還を促すように構成された催促部(21)と、を更に備え、
前記スケジューリング部(21)は、前記催促部により前記休憩又は前記帰還が催促された場合に、前記配達スケジュールを更新するように構成されている、
請求項1に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項5】
前記配達スケジューリングシステムは、前記複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載カメラ(71)を備え、
前記第1識別情報は、前記搭載自動車に搭載された前記車載カメラにより撮影された前記配達員の画像に基づいた情報であり、
前記第2識別情報は、前記複数の配達員の各々の予め撮影された画像に基づいた情報であり、
前記認識部(21)は、前記第1識別情報と前記第2識別情報とに基づいて、人物認識を実行するように構成されている、
請求項1に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項6】
前記第1識別情報は、前記車載カメラ(71)により撮影された前記配達員の顔画像から抽出された特徴量であり、
前記第2識別情報は、前記複数の配達員の各々の予め撮影された顔画像から抽出された特徴量であり、
前記認識部(21)は、前記第1識別情報と前記第2識別情報とに基づいて、顔認証を実行するように構成されている、
請求項5に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項7】
前記配達スケジューリングシステムは、前記複数の電気自動車(30)の各々に搭載されたGPS受信機(85)を備え、
前記車載機器(80)は、前記搭載自動車に搭載された前記GPS受信機により受信されたGPS信号に基づいて、前記搭載自動車の位置情報を取得するように構成された位置取得部(81)を更に備え、
前記第1通信機(84)は、前記位置取得部により取得された前記位置情報を前記サーバーシステムへ送信するように構成されている、
請求項1又は2に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項8】
前記車載機器(80)は、前記搭載自動車のバッテリの充電量を取得するように構成された充電量取得部(81)を更に備え、
前記第1通信機(84)は、前記充電量取得部により取得された前記充電量を前記サーバーシステムへ送信するように構成されている、
請求項1又は2に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項9】
前記車載機器(80)は、前記搭載自動車のネットワーク(300)に流れるフレームを中継する中継装置(100)に通信可能に接続されて、前記中継装置を介して、前記搭載自動車のネットワークに接続される電子制御装置(320,360)と通信を行うように構成された車内通信機(88)を更に備え、
前記フレームは、前記バッテリの充電量を示す充電量フレームを含み、
前記充電量取得部(81)は、前記車内通信機が前記充電量フレームを受信することにより、前記バッテリの充電量を取得するように構成されており、
前記第1通信機(84)は、前記充電量取得部により取得された前記バッテリの充電量を前記サーバーシステムへ送信するように構成されている、
請求項8に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項10】
前記配達スケジューリングシステム(10)は、前記複数の電気自動車の各々に搭載されたサーマルカメラ(72)を備え、
前記生体情報は、前記搭載自動車に搭載された前記サーマルカメラにより測定された前記配達員の体温である、
請求項4に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項11】
前記配達スケジューリングシステム(10)は、前記複数の電気自動車の各々に搭載され、警告を出力するように構成された警告装置(90)を更に備え、
前記催促部(21)は、前記警告装置から前記警告を出力させることにより、前記休憩又は前記帰還を促すように構成されている、
請求項4又は10に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項12】
前記配達スケジューリングシステム(10)は、前記複数の配達員の各々が有する携帯端末(60)を更に備え、
前記サーバーシステム(200)は、前記スケジューリング部(21)により生成された前記配達スケジュールに基づいて、前記携帯端末を介して、前記複数の配達員の各々に指示するように構成された指示部(21)を更に備える、
請求項1又は2に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項13】
前記サーバーシステム(200)は、
前記認識部(21)による認識結果に基づいて、前記複数の配達員の各々の乗車状況を集計するように構成された集計部(21)と、
前記集計部による集計結果に基づいて、前記複数の配達員の各々の賃金を算出するように構成された算出部(21)と、を更に備える、
請求項1又は2に記載の配達スケジューリングシステム。
【請求項14】
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)の各々から、前記複数の電気自動車の各々に乗車している配達員を識別する第1識別情報を受信するように構成された通信機(24)と、
前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報が記憶されている記憶装置(220)と、
前記通信機により受信された前記第1識別情報を、前記記憶装置に記憶されている前記第2識別情報と照合して、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識するように構成された認識部(21)と、
前記認識部による認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成するように構成されたスケジューリング部(21)と、を備える、
サーバーシステム。
【請求項15】
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載機器(80)であって、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する識別情報を取得するように構成された情報取得部(81)と、
前記情報取得部により取得された前記識別情報をサーバーへ送信するように構成された通信機(84)と、を備える、
車載機器。
【請求項16】
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)と、サーバーシステム(200)と、を備える配達スケジューリングシステム(10)が実行する配達スケジュールの生成方法であって、
前記車載機器は、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する第1識別情報を取得し、
取得された前記第1識別情報を前記サーバーシステムへ送信し、
前記サーバーシステムは、
前記複数の車載機器の各々から送信された前記第1識別情報を受信し、
受信された前記第1識別情報を、前記サーバーシステムが備える記憶装置(220)に記憶されている前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報と照合し、
照合結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識し、
認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成する、
配達スケジュールの生成方法。
【請求項17】
サーバーシステム(200)が実行する配達スケジュールの生成方法であって、
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)の各々から、前記複数の電気自動車の各々に乗車している配達員を識別する第1識別情報を受信し、
受信された前記第1識別情報を、前記サーバーシステムが備える記憶装置(220)に記憶されている前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報と照合し、
照合結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識し、
認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成する、
配達スケジュールの生成方法。
【請求項18】
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載機器(80)が実行する情報提供方法であって、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する識別情報を取得し、
取得された前記識別情報をサーバーシステム(200)へ送信する、
情報提供方法。
【請求項19】
サーバーシステム(200)に、
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)の各々から、前記複数の電気自動車の各々に乗車している配達員を識別する第1識別情報を受信することと、
受信された前記第1識別情報を、前記サーバーシステムが備える記憶装置(220)に記憶されている前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報と照合することと、
照合結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識することと、
認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成することと、を実行させる、
配達スケジュール生成プログラム。
【請求項20】
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載機器(80)に、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する識別情報を取得することと、
取得された前記識別情報をサーバーシステム(200)へ送信することと、を実行させる、
情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気自動車を用いた配達のスケジュールを自動で組む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1に記載の電気自動車共有システムでは、ユーザの目的地にバッテリ残量が所定量以上の電気自動車が駐車している場合に、ユーザの出発地に駐車している目的地まで走行可能な電気自動車の中からバッテリ残量の少ない電気自動車をユーザに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電気自動車供給システムは、カーシェアリングシステムに適用することを想定しているため、複数の電気自動車の状態のみに基づいて、複数の電気自動車の稼働率を向上させることができる。しかしながら、複数の電気自動車を複数の配達員が配達に使用する配達ビジネスでは、複数の配達員の各々の乗車状況が異なる。複数の電気自動車の状態のみに基づいて電気自動車のスケジュールを生成すると、拠点に使用可能な電気自動車が存在しても乗車可能な配達員が存在しない状況が生じ得る。また、拠点に乗車可能な配達員が存在しても使用可能な電気自動車が存在しない状況も生じ得る。ひいては、電気自動車の稼働率が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、複数の配達員が複数の電気自動車を配達に使用する配達ビジネスにおいて、複数の電気自動車の稼働率を向上させることに寄与する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面の配達スケジューリングシステム(10)は、複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)と、サーバーシステム(200)と、を備える。車載機器は、第1情報取得部(81)と、第1通信機(84)と、を備える。第1情報取得部は、複数の電気自動車のうちの車載機器が搭載されている電気自動車である搭載自動車に乗車している配達員を識別する第1識別情報を取得するように構成される。第1通信機は、第1情報取得部により取得された第1識別情報をサーバーシステムへ送信するように構成される。サーバーシステムは、記憶装置(220)と、第2通信機(24)と、認識部(21)と、スケジューリング部(21)と、を備える。記憶装置は、複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報が記憶されている。第2通信機は、複数の車載機器の各々から送信された第1識別情報を受信するように構成される。認識部は、第2通信機により受信された第1識別情報を、記憶装置に記憶されている第2識別情報と照合して、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識するように構成される。スケジューリング部は、認識部による認識結果に基づいて、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成するように構成される。
【0007】
上記配達スケジューリングシステムでは、各車載機器が、車載機器が搭載された電気自動車に乗車している配達員の第1識別情報をサーバーシステムへ送信する。サーバーシステムは、複数の電気自動車の各々に乗車している配達員の第1識別情報を受信して、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識する。したがって、サーバーシステムは、配達員の入力作業なしで、複数の電気自動車の各々の稼働状況と、複数の配達員の各々の乗車状況を把握することができる。ひいては、サーバーシステムは、配達員の入力作業を抑制しつつ、複数の電気自動車の各々の充電時機、及び複数の配達員の各々の休憩時機を把握し、好適にそれ以降の配達スケジュールを自動で生成することができる。したがって、複数の電気自動車の稼働率を向上させることができる。
【0008】
本開示の別の1つの局面のサーバーシステムは、通信機(24)と、記憶装置(220)と、認識部(21)と、スケジューリング部(21)と、を備える。通信機は、複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)の各々から、複数の電気自動車の各々に乗車している配達員を識別する第1識別情報を受信するように構成される。記憶装置は、複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報が記憶されている。認識部は、通信機により受信された第1識別情報を、記憶装置に記憶されている第2識別情報と照合して、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識するように構成される。スケジューリング部は、認識部による認識結果に基づいて、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成するように構成される。
【0009】
上記サーバーシステムによれば、上記配達スケジューリングシステムと同様の効果を奏する。
【0010】
本開示の別の1つの局面の車載機器(80)は、複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)の各々に搭載され、情報取得部(81)と、通信機(84)と、を備える。情報取得部は、複数の電気自動車のうちの車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する識別情報を取得するように構成される。通信機は、情報取得部により取得された識別情報をサーバーへ送信するように構成される。
【0011】
上記車載機器によれば、サーバーシステムへ配達員の情報を提供することができる。
【0012】
本開示の別の1つの局面の配達スケジュールの生成方法は、複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)と、サーバーシステム(200)と、を備える配達スケジューリングシステム(10)により実行される。車載機器は、複数の電気自動車のうちの車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する第1識別情報を取得し、取得された第1識別情報をサーバーシステムへ送信する。サーバーシステムは、複数の車載機器の各々から送信された第1識別情報を受信し、受信された第1識別情報を、サーバーシステムが備える記憶装置(220)に記憶されている複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報と照合し、照合結果に基づいて、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識し、認識結果に基づいて、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成する。
【0013】
上記配達スケジュールの生成方法が配達スケジューリングシステムにより実行されることにより、上記配達スケジューリングシステムと同様の効果を奏する。
【0014】
本開示の別の1つの局面の配達スケジュールの生成方法は、サーバーシステム(200)により実行され、複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)の各々から、複数の電気自動車の各々に乗車している配達員を識別する第1識別情報を受信し、受信された第1識別情報を、サーバーシステムが備える記憶装置(220)に記憶されている複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報と照合し、照合結果に基づいて、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識し、認識結果に基づいて、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成する。
【0015】
上記配達スケジュールの生成方法がサーバーシステムにより実行されることにより、上記配達スケジューリングシステムと同様の効果を奏する。
【0016】
本開示の別の一つの局面の情報提供方法は、複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載機器(80)により実行され、複数の電気自動車のうちの車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する識別情報を取得し、取得された識別情報をサーバーシステム(200)へ送信する。
【0017】
上記情報提供方法が車載機器により実行されることにより、サーバーシステムへ配達員の情報を提供することができる。
【0018】
本開示の別の1つの局面の配達スケジュール生成プログラムは、サーバーシステム(200)に、複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)の各々から、複数の電気自動車の各々に乗車している配達員を識別する第1識別情報を受信することと、受信された第1識別情報を、サーバーシステムが備える記憶装置(220)に記憶されている複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報と照合することと、照合結果に基づいて、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識することと、認識結果に基づいて、複数の電気自動車の各々に複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成することと、を実行させる。
【0019】
上記配達スケジュール生成プログラムをサーバーシステムが実行することにより、上記配達スケジューリングシステムと同様の効果を奏する。
【0020】
本開示の別の1つの情報提供プログラムは、複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載機器(80)に、複数の電気自動車のうちの車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する識別情報を取得することと、取得された識別情報をサーバーシステム(200)へ送信することと、を実行させる。
【0021】
上記情報提供プログラムを車載機器が実行することにより、サーバーシステムへ配達員の情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る配達スケジューリングシステムの概要を示す図である。
【
図2A】本実施形態に係るサーバー及び車載機器のハードウェア構成を示す図である。
【
図2B】本実施形態に係る車両のネットワーク構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る配達員情報データベースを示す図である。
【
図4】本実施形態に係る配達員勤務情報データベースを示す図である。
【
図5】本実施形態に係る車両情報データベースを示す図である。
【
図6】本実施形態に係る車両利用履歴情報データベースを示す図である。
【
図7】本実施形態に係る充電装置情報データベースを示す図である。
【
図8】本実施形態に係る注文情報データベースを示す図である。
【
図9】本実施形態に係る配達スケジュールの項目を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る配達スケジューリング処理を示すフローチャートである。
【
図11A】本実施形態に係る緊急対応処理の一部を示すフローチャートである。
【
図11B】本実施形態に係る緊急対応処理の残りを示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態に係る通常時での配達員の交代の例を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る緊急時の対応例を示す図である。
【
図14】本実施形態に係る配達員の勤務時間及び運転時間から算出された月給を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<1.構成>
図1及び
図2Aを参照して、本実施形態に係る配達スケジューリングシステム10の構成について説明する。配達スケジューリングシステム10は、複数の配達員が複数の電気自動車30を使用して依頼主から収集した配達物を配達場所へ配達する配達ビジネスにおいて、依頼主から配達の注文を受けたことに応じて配達スケジュールを生成する。配達スケジュールは、複数の電気自動車30の各々に複数の配達員の誰が乗車し、複数の電気自動車30の各々がどの荷物を配達するかを含む。
【0024】
複数の電気自動車30の各々は、バッテリと、バッテリの電力を受けて駆動する走行用のモータと、を備える。複数の電気自動車30は、配達中の稼働車両30Aと、待機中の待機車両30Bと、を含む。複数の電気自動車30の各々には、互いを識別するための車両識別番号(以下、車両ID)が付与されている。複数の配達員の各々には、互いを識別するための配達員IDが付与されている。
【0025】
配達スケジューリングシステム10は、サーバーシステム200と、複数の車載機器80と、複数の車載カメラ71と、複数のサーマルカメラ72と、複数の警告装置90と、複数の携帯端末60と、複数の充電装置50と、を備える。別の実施形態では、配達スケジューリングシステム10は、複数の車載カメラ71、複数のサーマルカメラ72、複数の警告装置90、複数の携帯端末60、及び複数の充電装置50のうちの少なくとも一つが排除されてもよい。また、別の実施形態では、配達スケジューリングシステム10は、2台以上のサーバー20を備えていてもよい。
【0026】
複数の充電装置50は、少なくとも一つの充電スポットに設置されている。充電スポットは、例えば、配達拠点である。配達拠点は、休憩中の配達員及び/又は配達指示待ちの配達員が待機する建物と、待機車両30Bが駐車するスペースとを備える。複数の充電装置50は、配達拠点の敷地内に設置されていてもよい。複数の配達拠点がある場合には、複数の充電装置50は、複数の配達拠点に分けて配置されていてもよい。
【0027】
複数の充電装置50の各々には、互いを識別するための充電装置IDが付与されている。複数の充電装置50の各々は、充電装置IDに紐づけて各々の充電ステータスを後述するサーバー20へ送信する。充電ステータスは、使用中、使用可能、使用不可を含む。
【0028】
複数の携帯端末60の各々は、配達員の各々に所持される。1人の配達員は、少なくとも1台の携帯端末60を所持する。携帯端末60は、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC、スマートウォッチ等の無線通信機を備えた端末装置である。配達員は、携帯端末60以外に、デスクトップタイプのコンピュータを用いてもよい。配達員は、自身の携帯端末60を介して、サーバー20から指示を受ける。また、配達員は、携帯端末60に配達の進捗及び配達員ステータスを入力し、配達の進捗及び配達員ステータスを携帯端末60からサーバー20へ送信する。配達員ステータスは、不在、待機中、配達中、及び休憩中を含む。
【0029】
複数の車載機器80は、互いに異なる電気自動車30に搭載されている。同様に、複数の車載カメラ71は、互いに異なる電気自動車30に搭載されており、複数のサーマルカメラ72は、互いに異なる電気自動車30に搭載されている。複数の警告装置90は、互いに異なる電気自動車30に搭載されている。すなわち、1台の電気自動車30に、1台の車載機器80と、1台の車載カメラ71と、1台のサーマルカメラ72と、1台の警告装置90と、が搭載されている。車載カメラ71とサーマルカメラ72と警告装置90とは、それぞれ、通信線で車載機器80に接続されている。
【0030】
車載カメラ71は、車載カメラ71が搭載されている電気自動車30の運転席に乗車している配達員の画像を撮影し、撮影された画像を車載機器80へ送信する。本実施形態では、車載カメラ71は、配達員の顔画像を撮影し、撮影された顔の画像を車載機器80へ送信する。サーマルカメラ72は、配達員の生体情報として、サーマルカメラ72が搭載されている電気自動車30の運転席に乗車している配達員の体温を測定し、測定された体温を車載機器80へ送信する。
【0031】
車載機器80は、CPU81と、ROM82と、RAM83と、第1通信機84と、車内通信機88と、GPS受信機85と、を備え、CPU81が、ROM82に記憶されているプログラムを実行することにより、本開示の第1情報取得部、第2情報取得部、負荷判定部、位置取得部、及び充電取得部の機能を実現する。
【0032】
車載機器80は、第1通信機84を介して、サーバー20と無線通信を行い、車両の情報、配達員の第1識別情報、及び配達員の健康情報を、車両IDと紐づけてサーバー20へ提供し、且つ、サーバー20から指示を受ける。
【0033】
詳しくは、車載機器80は、配達員の第1識別情報として、受信された画像に基づいた情報を第1通信機84からサーバー20へ送信する。具体的には、車載機器80は、受信された顔画像から特徴量を抽出し、抽出された特徴量を第1通信機84からサーバー20へ送信する。特徴量は、顔認識するためのデータである。
【0034】
車載機器80は、配達員の生体情報(すなわち、配達員の体温)に基づいて、配達員が受けている負荷を判定し、配達員の健康状態として、判定した負荷を第1通信機84からサーバー20へ送信する。負荷は、例えば、5段階で表される。本実施形態では、所定の範囲の体温(例えば、35~39℃)が5つに分けられ、負荷1~5が割り当てられる。体温が高い範囲ほど、高い負荷が割り当てられる。
【0035】
車載機器80は、車両の情報として、GPS受信機85により受信されたGPS信号に基づいて車両の位置情報(すなわち、現在地)を取得し、取得した位置情報を車両IDと紐づけて第1通信機84からサーバー20へ送信する。
【0036】
車載機器80は、車内通信機88を介して、後述する車内ネットワーク300に接続し、車内ネットワーク300から車両の情報を取得する。詳しくは、車載機器80は、車両の情報として、車内通信機88を介して、バッテリの充電量(すなわち、残量)を取得し、取得された充電量を車両IDと紐付けて第1通信機84からサーバー20へ送信する。
【0037】
さらに、車載機器80は、車両の情報として、車内通信機88を介して、車両ステータスを取得し、取得された車両ステータスを車両IDと紐づけて第1通信機84からサーバー20へ送信する。車両ステータスは、稼働中、充電中、待機中、及び利用不可を含む。待機中は、バッテリの充電量が十分であり、いつでも稼働できる状態で配達の注文を待っている状態に相当する。利用不可は、電気自動車30の故障により使用できない状態に相当する。
【0038】
警告装置90は、サーバー20からの出力指示を受けて、音、光、音声、及び表示の少なくとも一つによる警告を出力して、電気自動車30に乗車している配達員に休憩、又は、配達拠点への帰還を促す。警告装置90は、例えば、スピーカー、インジケーター、ディスプレイ等の1つ又は複数を含む。
【0039】
ここで、
図2Bを参照して、車載機器80と接続される電気自動車30内の車内ネットワーク300について説明する。車内ネットワーク300には、車両ECU100と、複数のECU320と、車外通信装置340とが接続されている。車外通信装置340は、車外と無線通信を行う。複数のECU320の各々には、複数のECU360が通信可能に接続されている。車両ECU100は、車内ネットワーク300を介して、複数のECU320及び車外通信装置340と有線通信又は無線通信を行う。複数のECU320の各々は、車内ネットワーク300を介して、車両ECU100、他のECU320及び車外通信装置340と有線通信又は無線通信を行う。
【0040】
車載機器80は、車内ネットワーク300に、後付けで接続可能に構成されている。例えば、
図2Bに示すように、車載機器80は、後付けで、車両ECU100に通信可能に接続することが可能である。車載機器80は、複数のECU320及び/又は複数のECU360に通信可能に接続できてもよい。このように、車載機器80を車内ネットワーク300に後付けで接続できることにより、出荷後の電気自動車30に機能を追加することができる。すなわち、電気自動車30に、後付けで配達スケジューリング機能を追加することができる。車載機器80は、電気自動車30のバッテリに電気的に接続され、電気自動車30の他のECU等と電源を共有する。
【0041】
車両ECU100は、複数のECU320を統括し、電気自動車30全体として連携がとれた制御を実現する。車両ECU100は、CPU111と、ROM112と、RAM113及びI/O等を備え、CPU111がROM112に記憶されている各種プログラムを実行することにより、各種機能を実現する。
【0042】
複数のECU320の各々は、電気自動車30における機能によって区分されたドメイン毎に配置されている。複数のECU320の各々は、主として、ECU320が配置されているドメイン内に存在する複数のECU360の制御を実行する。ドメインは、例えば、パワートレーン、ボデー、シャシー、コックピット等である。なお、ECU360は、例えば、センサやアクチュエータを制御するECUである。
【0043】
車載機器80、車両ECU100、複数のECU320、複数のECU360、及び車外通信装置340は、車内ネットワーク300を介して、互いに、フレームの送受及び受信を行う。フレームは、各種の情報を示す。フレームは、電気自動車30のバッテリの充電量(残量)を示す充電量フレームを含む。また、フレームは、車両ステータスを示すステータスフレームを含む。車内通信機88は、車両ECU100を介して、充電量フレーム及びステータスフレームを受信する。車載機器80は、車内通信機88が充電量フレームを受信したことに応じて、充電量を取得し、車内通信機88がステータスフレームを受信したことに応じて、車両ステータスを取得する。車両ECU100は、フレームを中継する中継装置として機能する。
【0044】
図2Bに示す例では、車載カメラ71とサーマルカメラ72と警告装置90とは、車載機器80とセットで電気自動車30に後付けされる。しかし、車載カメラ71とサーマルカメラ72と警告装置90の一部又は全部は、後付けでなく電気自動車30に備えつけられていてもよく、車載機器80は、車両ECU100を介して、車載カメラ71とサーマルカメラ72と警告装置90の一部又は全部と通信可能に接続されてもよい。
【0045】
サーバーシステム200は、サーバー20と、データベース210と、ストレージ220と、を備える。サーバー20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、第2通信機24と、を備え、CPU21が、ROM22に記憶されているプログラムを実行することにより、本開示の認識部と、スケジューリング部と、催促部と、指示部と、集計部と、算出部の機能を実現する。
【0046】
ストレージ220は、配達員の第2識別情報を記憶している。配達員の第2識別情報は、第1識別情報と対応しており、サーバー20が車載機器80から受信した第1識別情報を照合して、配達員の人物認識を実行するためのデータである。本実施形態では、ストレージ220は、第2識別情報として、予め撮影された各配達員の顔画像から抽出された顔の特徴量を記憶している。本実施形態では、ストレージ220は、本開示の記憶装置に相当する。
【0047】
データベース210は、複数の配達員に関する情報、複数の電気自動車30に関する情報、複数の充電装置50に関する情報、及び注文情報を管理する。詳しくは、データベース210は、配達員情報管理部211と、車両情報管理部212と、充電装置情報管理部213と、注文情報管理部214と、を備える。
【0048】
配達員情報管理部211は、複数の配達員に関する情報を管理する。
図3は、配達員情報管理部211が管理する配達員情報を示す。配達員情報は、配達員IDと、携帯端末60の電話番号と、携帯端末60のメールアドレスと、ストレージ220に記憶されている第2識別情報へのパスと、を含む。携帯端末60の電話番号、携帯端末60のメールアドレス、及び第2識別情報へのパスは、配達員IDに紐づけられている。サーバー20は、受信した第1識別情報と第2識別情報とを照合して、第1識別情報に対応する配達員が誰か識別する。すなわち、サーバー20は、第1識別情報に対応する配達員IDを判定する。これにより、サーバー20は、どの電気自動車30に配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識する。すなわち、サーバー20は、車両IDと配達員IDとの対応をリアルタイムで認識する。
【0049】
図4は、配達員情報管理部211が管理する配達員勤務情報を示す。配達員勤務情報は、日付と、配達員IDと、勤務開始予定時刻と、勤務終了予定時刻と、勤務開始時刻と、勤務終了時刻と、配達員ステータスと、配達員の現在地と、を含む。日付と、勤務開始予定時刻と、勤務終了予定時刻と、勤務開始時刻と、勤務終了時刻と、配達員ステータスと、配達員の現在地は、配達員IDに紐づけられている。
【0050】
車両情報管理部212は、複数の電気自動車30に関する情報を管理する。
図5は、車両情報管理部212が管理する車両情報を示す。車両情報は、車両IDと、電気自動車30の車両ナンバーと、車両ステータスと、を含む。車両ナンバー及び車両ステータスは、車両IDに紐づけられている。
【0051】
図6は、車両情報管理部212が管理する車両利用履歴情報を示す。車両利用履歴情報は、車両IDと、配達員IDと、運転開始時刻と、運転終了時刻と、連続運転時間(分)と、バッテリ充電量と、配達員健康状態と、車両の最終確認位置と、を含む。最終確認位置は、移動と経度とを含む。運転開始時刻、運転終了時刻、連続運転時間、バッテリ充電量、配達員健康状態、及び最終確認位置は、車両ID及び配達員IDに紐づけられている。
【0052】
図7は、充電装置情報管理部213が管理する充電装置情報を示す。充電装置情報は、充電装置IDと、充電ステータスと、設置場所とを含む。設置場所は、各充電装置50が設置されている緯度及び経度を含む。充電ステータス及び設置場所は、充電装置IDに紐づけられている。
【0053】
図8は、注文情報管理部214が管理する注文情報を示す。本実施形態に係る配達サービスは、フードデリバリーサービスを想定しており、配達依頼主から指定された集荷場所で配達物を受け取り、配達物を配達依頼主へ届けるサービスである。注文情報は、注文IDと、集荷場所と、集荷時刻と、集荷依頼主と、配達場所と、配達時刻と、配達依頼主と、配達物と、配達状況と、を含む。集荷時刻は、配達開始時刻に相当し、配達時刻は、配達終了時刻に相当する。集荷場所は、配達開始地点に相当し、配達場所は、配達終了地点に相当する。なお、本開示の配達スケジューリングシステム10が適用される配達サービスは、フードデリバリーサービスに限らない。配達スケジューリングシステム10は、配達依頼主から配達物を受け取り、配達依頼主から指定された配達場所へ配達物を配達する配達サービスに適用してもよい。
【0054】
サーバー20は、配達員情報、配達員勤務情報、車両情報、車両履歴情報、充電装置情報及び情報に基づいて、配達スケジュールを生成する。サーバー20は、どの電気自動車30に配達員の誰が乗車するかを含む、配達スケジュールを生成する。サーバー20は、配達依頼を受けると、その配達を実行する電気自動車30を選択し、選択した電気自動車30の配達スケジュールを生成する。また、サーバー20は、緊急事態が発生した場合に、配達スケジュールを更新する。緊急事態は、配達員の負荷が負荷閾値よりも高くなって、配達員の交代が必要な状況、及び、電気自動車30の充電量が低下して、電気自動車30の交代が必要な状況を含む。
【0055】
図9に示すように、配達スケジュールは、1回の配達に関する情報を含む。1回の配達は、配達拠点を出発してから配達拠点へ戻るまでに相当する。具体的には、配達スケジュールは、配達員IDと、車両IDと、配達開始予定時刻と、配達終了予定時刻と、配達開始地点と、配達終了地点、注文情報、休憩、終了条件と、を含む。注文情報は、注文場所と、注文時刻と、注文内容と、を含む。注文場所は、依頼主の住所及び依頼主の氏名を含む。1回の配達に、複数の注文が含まれていてもよい。すなわち、配達員は、配達拠点を出発した後、複数の配達場所へ配達物を届けてから、配達拠点へ戻ってもよい。
【0056】
休憩は、休憩時刻、休憩時間、及び休憩場所を含む。休憩時刻は、休憩を開始する時刻に相当し、休憩時間は、休憩を開始してから終了するまでの時間に相当する。1回の配達に、複数の休憩が含まれていてもよい。サーバー20は、配達員の連続運転時間が時間閾値を超えないように、休憩時刻を設定する。時間閾値は、例えば、2時間である。また、サーバー20は、配達員が受けている負荷に応じて、休憩時間及び/又は休憩回数を変化させてもよい。すなわち、サーバー20は、配達員が受けている負荷が比較的高い場合には、負荷が比較的低い場合よりも、休憩時間を長く、及び/又は休憩回数を多く設定してもよい。終了条件は、配達完了後に、電気自動車30を充電するか、駐車場に停車するかを指定する。
【0057】
図1に示すように、サーバー20は、生成した配達スケジュールに基づいて、待機中の配達員に、配達又は車両の充電を指示する。また、サーバー20は、生成した配達スケジュールに基づいて、稼働車両及び稼働配達員に、次の配達、配達拠点への帰還、又は車両の充電を指示する。さらに、サーバー20は、配達中にサーバー20が自動対応できないような問題が発生した場合に、配達拠点のオペレーターに、配達中に生じた問題の対応を指示する。
【0058】
<2.処理>
<2-1.配達スケジューリング処理>
図10のフローチャートを参照して、サーバー20が実行する配達スケジューリング処理の詳細を説明する。サーバー20は、顧客から配達依頼を受ける都度、本処理を実行する。
【0059】
S10では、サーバー20は、顧客から配達依頼を受ける。
続いて、S20では、サーバー20は、配達場所又は集荷場所の近くに、配達中の稼働車両30Aが存在するか判定する。サーバー20は、近くで配達中の稼働車両30Aが存在すると判定した場合は、S30の処理へ進み、近くで配達中の稼働車両30Aが存在しないと判定した場合は、S90の処理へ進む。
【0060】
S30では、サーバー20は、S20において近くで配達中の稼働車両30Aに乗車している配達員の健康状態が良好か判定する。すなわち、サーバー20は、配達員の負荷が、負荷閾値未満であるか判定する。サーバー20は、全配達員に対して同じ負荷閾値を設定してもよいし、配達員毎に個別に負荷閾値を設定してもよい。あるいは、サーバー20は、複数の配達員を、年齢、性別などの属性に基づいて複数のグループに分けて、グループごとに負荷閾値を設定してもよい。
【0061】
サーバー20は、全配達員に対して同じ負荷閾値を設定する場合は、所定期間における全配達員の負荷を収集して統計処理して、統計値に基づいた値を負荷閾値に設定してもよい。また、サーバー20は、配達員毎に個別に負荷閾値を設定する場合は、配達員毎に負荷を収集して統計処理して、配達員毎に統計値に基づいた値を負荷閾値に設定してもよい。また、サーバー20は、グループ毎に負荷閾値を設定する場合は、グループ毎に負荷を収集して統計処理して、グループ毎に統計値に基づいた値を負荷閾値に設定してもよい。
【0062】
サーバー20は、配達員の負荷が負荷閾値未満である、すなわち、配達員の健康状態が良好であると判定した場合は、S40の処理へ進む。サーバー20は、配達員の負荷が負荷閾値以上である、すなわち、配達員の健康状態が不良であると判定した場合は、S80の処理へ進む。
【0063】
S40では、サーバー20は、近くで配達中の稼働車両30Aのバッテリ充電量が十分か判定する。サーバー20は、バッテリ充電量が十分であると判定した場合は、S50の処理へ進み、バッテリ充電量が不十分であると判定した場合は、S90の処理へ進む。
【0064】
S50では、サーバー20は、近くで配達中の稼働車両30Aに、S10で受けた配達を任せた場合に、その稼働車両30Aの配達スケジュールに支障がないか判定する。配達スケジュールの支障は、例えば、(i)配達終了予定時刻が、配達員の勤務終了予定時刻よりも遅くなる、(ii)配達員の連続運転時間が時間閾値を超えることが予想される、(iii)新しい配達を追加することによって、他の配達がスケジュール通りに行うことができない、等である。サーバー20は、配達スケジュールに支障がないと判定した場合に、S60の処理へ進み、配達スケジュールに支障があると判定した場合に、S90の処理へ進む。
【0065】
S60では、サーバー20は、近くで配達中の稼働車両30Aの配達スケジュールに、新しい配達を追加して、配達スケジュールを更新する。
続いて、S70では、サーバー20は、近くで配達中の稼働車両30Aに、更新した配達スケジュールに基づいて配達を指示し、本処理を終了する。詳しくは、サーバー20は、配達員の携帯端末60を介して、近くで配達中の稼働車両30Aに乗車している配達員に配達物の集荷と配達を指示する。
【0066】
S80では、サーバー20は、健康状態が不良な配達員に、配達拠点への帰還を指示する。詳しくは、サーバー20は、携帯端末60及び/又は警告装置90を介して、配達員に警告を出し、配達拠点への帰還を促す。サーバー20は、配達拠点への帰還を促す代わりに、休憩を取ることを促してもよい。
【0067】
S90では、サーバー20は、配達を行うことが可能な待機車両30Bが存在するか判定する。配達を行うことが可能な待機車両30Bは、バッテリの充電量が十分な待機車両30Bである。サーバー20は、配達を行うことが可能な待機車両30Bが存在すると判定した場合は、S100の処理へ進み、配達を行うことが可能な待機車両30Bが存在しないと判定した場合は、S130の処理へ進む。
【0068】
S100では、サーバー20は、配達を行うことが可能な待機中の配達員が存在するか判定する。配達を行うことが可能な待機中の配達員は、休憩中ではなく、勤務終了予定時刻までに配達を終了できる配達員である。
【0069】
このとき、
図12に示すように、待機車両30Bの配達員が入れ替わることがある。
図12に示す状況では、第1配達員Paの連続運転時間が時間閾値を超過したことにより、第1配達員Pαが乗車している電気自動車30が、十分な充電量のバッテリを有する第1待機車両30Baになっている。第2配達員Pβは、第2配達員Pβが乗車していた第2待機車両30Bbを充電中で、第2配達員Pβの休憩時間は終了している。この場合、第2配達員Pβが、第1待機車両30Baに乗車して、依頼を受けた配達を行う。
【0070】
サーバー20は、配達を行うことが可能な待機中の配達員が存在すると判定した場合は、S110の処理へ進み、配達を行うことが可能な待機中の配達員が存在しないと判定した場合は、S130の処理へ進む。
【0071】
S110では、サーバー20は、待機中の配達員が、待機車両30Bを使用して、S10で配達依頼を受けた配達物を配達するための配達スケジュールを作成する。
続いて、S120では、サーバー20は、待機車両30Bと待機中の配達員に、S110で作成した配達スケジュールに基づいて、配達を指示し、本処理を終了する。詳しくは、サーバー20は、車載機器80へ所定周期及び/又は所定イベントの発生時での位置情報及び充電量の送信を指示し、携帯端末60を介して配達員に配達物の集荷と配達を指示する。所定イベントは、例えば、電気自動車30の電源オン及び電源オフである。
【0072】
S130では、サーバー20は、一定時間待って、S10の処理へ戻る。この一定時間は、状況が変化して、配達を行うことが可能な待機車両30B及び配達員が出現することを期待できる時間に相当する。
【0073】
<2-2.緊急対応処理>
図11A及び11Bのフローチャートを参照して、サーバー20が実行する緊急対応処理の詳細を説明する。サーバー20は、所定の周期で、稼働車両30Aの各々について本処理を繰り返し実行する。
【0074】
S100では、サーバー20は、稼働車両30Aから位置情報、バッテリの充電量、稼働車両30Aに乗車している配達員の健康情報(すなわち、負荷)を受信する。
続いて、S110では、サーバー20は、受信した健康状態に問題があるか判定する。サーバー20は、配達員の負荷が負荷閾値以上である場合に、健康状態に問題があると判定して、S120の処理へ進む。稼働車両30A(以下、第1稼働車両30A)の配達員(以下、第1配達員Pa)の健康状態に問題がある場合は、第1配達員Paの健康状態と第1稼働車両30Aの両方に問題がある場合も含まれる。サーバー20は、第1配達員Paの負荷が負荷閾値未満である場合に、健康状態に問題なしと判定して、S200の処理へ進む。
【0075】
続いて、S120では、サーバー20は、携帯端末60を介して、第1配達員Paに、第1稼働車両30Aが停止可能な最寄りの場所を判断して、その場所へ移動するよう指示する。
【0076】
続いて、S130では、サーバー20は、第1配達員Paのケアをオペレーターに指示する。オペレーターは、サーバー20からの指示を受けて、第1配達員Paと通話して体調を確認し、休憩の指示や、必要に応じて救急車などの手配をする。
【0077】
続いて、S140では、サーバー20は、第1稼働車両30Aの近くに、別の稼働車両30A(以下、第2稼働車両30A)が存在するか判定する。サーバー20は、第2稼働車両30Aが存在すると判定した場合は、S150の処理へ進み、第2稼働車両30Aが存在しないと判定した場合は、S170の処理へ進む。
【0078】
S150では、サーバー20は、第2稼働車両30Aの配達員(以下、第2配達員Pb)に、第1稼働車両30Aに積まれている配達物を回収することを指示する。オペレーターは、第1稼働車両30Aの回収を手配する。
【0079】
続いて、S160では、サーバー20は、第2配達員Pbが第1配達員Paから配達物を引き継ぐように、第2稼働車両30Aの配達スケジュールを更新する。
続いて、S190では、サーバー20は、S160で更新した配達スケジュールを、第2配達員Pbの携帯端末60へ送信して本処理を終了する。
【0080】
一方、S170では、サーバー20は、携帯端末60を介して、待機中の配達員(以下、第3配達員Pc)に、第1稼働車両30Aに積まれている配達物を回収することを指示する。サーバー20は、第3配達員Pcに、どの待機車両30Bに乗車するかも指示する。
【0081】
続いて、S180では、サーバー20は、第3配達員Pcが第1配達員Paから配達物を引き継ぐように、第3配達員Pcが乗車する予定の待機車両30Bの配達スケジュールを生成する。
【0082】
続いて、S190では、サーバー20は、S180で生成した配達スケジュールを、第3配達員Pcの携帯端末60へ送信して本処理を終了する。
S200では、サーバー20は、第1稼働車両30Aのバッテリの充電量が不足しているか判定する。サーバー20は、充電量が不足していると判定した場合は、S210の処理へ進む。
【0083】
一方、サーバー20は、充電量が十分であると判定した場合は、第1配達員Paの健康状態及び第1稼働車両30Aのどちらも問題がないため、本処理を終了する。これにより、第1配達員Paは、第1稼働車両30Aを使用して配達を継続する。
【0084】
S210では、サーバー20は、残りの充電量で第1稼働車両30Aが最寄りの配達拠点へ移動できるか判定する。サーバー20は、第1稼働車両30Aが最寄りの配達拠点へ移動できると判定した場合は、S220の処理へ進み、第1稼働車両30Aが最寄りの配達拠点へ移動できないと判定した場合は、S270の処理へ進む。
【0085】
S220では、サーバー20は、携帯端末60を介して、第1配達員Paに、最寄りの配達拠点へ移動するように指示する。
続いて、S230では、サーバー20は、最寄りの配達拠点に使用可能な充電装置50があるか判定する。サーバー20は、使用可能な充電装置50があると判定した場合は、S240の処理へ進み、使用可能な充電装置50がないと判定した場合は、S250の処理へ進む。
【0086】
S240では、サーバー20は、第1稼働車両30Aが配達拠点に到着した後、携帯端末60を介して、第1配達員Paに第1稼働車両30Aの充電を指示する。
S250では、サーバー20は、第1稼働車両30Aが配達拠点に到着した後、携帯端末60を介して、第1配達員Paに第1稼働車両30Aの停車を指示する。
【0087】
続いて、S260では、サーバー20は、第1配達員Paが、別の電気自動車30(すなわち、待機車両30B)で、残りの配達物の配達を続けるための新たな配達スケジュールを作成する。
【0088】
続いて、S190では、サーバー20は、S260で生成した配達スケジュールを、第1配達員Paの携帯端末60へ送信して本処理を終了する。
S270では、サーバー20は、携帯端末60を介して、第1配達員Paに、第1稼働車両30Aが停止可能な最寄りの場所を判断して、その場所へ移動するように指示する。
【0089】
続いて、S280では、サーバー20は、第1稼働車両30Aの近くに、別の稼働車両30A(以下、第3稼働車両30A)が存在するか判定する。サーバー20は、第3稼働車両30Aが存在すると判定した場合は、S290の処理へ進み、第3稼働車両30Aが存在しないと判定した場合は、S320の処理へ進む。
【0090】
S290では、サーバー20は、第3稼働車両30Aの配達員(以下、第4配達員Pd)に、第1稼働車両30Aに積まれている配達物を回収することを指示する。
続いて、S300では、サーバー20は、第4配達員Pdが第1配達員Paから配達物を引き継ぐように、第3稼働車両30Aの配達スケジュールを更新する。
【0091】
続いて、S310では、サーバー20は、S300で更新した配達スケジュールを、第4配達員Pdの携帯端末60へ送信して、S340の処理へ進む。
一方、S320では、サーバー20は、携帯端末60を介して、待機中の配達員(以下、第5配達員Pe)に、第1稼働車両30Aに積まれている配達物を回収することを指示する。サーバー20は、第5配達員Peに、どの待機車両30Bに乗車するかも指示する。
【0092】
続いて、S330では、サーバー20は、第5配達員Peが第1配達員Paから配達物を引き継ぐように、第5配達員Peが乗車する予定の待機車両30Bの配達スケジュールを生成する。
【0093】
続いて、S310では、サーバー20は、S330で生成した配達スケジュールを、第5配達員Peの携帯端末60へ送信し、S340の処理へ進む。
S340では、サーバー20は、オペレーターに第1稼働車両30Aの回収手配を指示し、且つ、第1配達員Paに第1稼働車両30Aの回収作業の対応を指示して、本処理を終了する。
【0094】
図13は、第5配達員Peが第1配達員Paから配達物を引き継いで、待機車両30Bに乗車して配達に行き、第1配達員Paが、第1稼働車両30Aの回収作業の対応をしている状況を示す。
【0095】
<3.賃金の算出>
サーバー20は、複数の配達員の各々の乗車状況を集計し、集計結果に基づいて、複数の配達員の各々の賃金を算出する。例えば、
図14に示すように、サーバー20は、複数の配達員の各々の勤務時間と運転時間とを集計する。勤務時間は、勤務開始時刻から勤務終了時刻までの時間である。運転時間は、配達員が電気自動車30を運転している時間であり、乗車時間から休憩時間を引いた時間に相当する。例えば、サーバー20は、勤務時間に基づいてベース給を算出し、運転時間に基づいてインセンティブ給を算出する。そして、サーバー20は、ベース給とインセンティブ給の合計を賃金とする。
図12に示す例では、サーバー20は、勤務時間×0.125からベース給を算出し、運転時間×0.05からインセンティブ給を算出している。サーバー20は、運転時間の代わりに又は追加して、運行距離や配達件数に基づいてインセンティブ給を算出してもよい。
【0096】
<4.効果>
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)配達スケジューリングシステム10では、各車載機器80が、車載機器80が搭載された電気自動車30に乗車している配達員の第1識別情報をサーバー20へ送信する。サーバー20は、複数の電気自動車30の各々に乗車している配達員の第1識別情報を受信して、複数の電気自動車30の各々に複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識する。したがって、サーバー20は、配達員の入力作業なしで、複数の電気自動車30の各々の稼働状況と、複数の配達員の各々の乗車状況を把握することができる。ひいては、サーバー20は、配達員の入力作業を抑制しつつ、複数の電気自動車30の各々の充電時機、及び複数の配達員の各々の休憩時機を把握し、好適にそれ以降の配達スケジュールを自動で生成することができる。したがって、複数の電気自動車30の稼働率を向上させることができる。
【0097】
(2)配達スケジュールに配達員の休憩時間が含まれていることにより、配達員に適切な休憩時間を取らせることができる。ひいては、電気自動車30の走行の安全性を高めることができる。
【0098】
(3)ある電気自動車30の充電中に、他の電気自動車30が稼働するように配達スケジュールが生成される。これにより、複数の電気自動車30の稼働率を向上させることできる。
【0099】
(4)各電気自動車30に乗車している配達員の生体情報が取得され、車載機器80により、生体情報に基づいて各配達員が受けている負荷が判定される。判定された負荷が車載機器80からサーバー20へ送信される。したがって、サーバー20は、負荷が高い配達員に休憩又は帰還を促すことができる。ひいては、高い負荷を受けている配達員が、電気自動車30の運転を継続することを抑制して、電気自動車30の走行の安全性をより高くすることができる。
【0100】
(5)車載カメラ71により撮影された配達員の画像に基づいた情報がサーバー20へ送信されることにより、サーバー20は、各電気自動車30に乗車している配達員を人物認識することができる。
【0101】
(6)各配達員の顔画像から週出された特徴量のみが、車載機器80からサーバー20へ送信される。したがって、通信コストを削減することができるとともに、配達員のプライバシーを保護することができる。
【0102】
(7)各電気自動車30の位置情報が車載機器80からサーバー20へ送信されることにより、サーバー20は、各電気自動車30の位置を考慮して、好適な配達スケジュールを生成することができる。
【0103】
(8)各電気自動車30の充電量が車載機器80サーバー20へ送信されることにより、サーバー20は、各電気自動車30の走行可能な距離を考慮して、好適な配達スケジュールを生成することができる。
【0104】
(9)車載機器80は、車載機器80が搭載された電気自動車30に乗車している配達員の体温に基づいて、配達員が受けている負荷を適切に判定することができる。
(10)警告装置90から警告が出力されることにより、配達員は、高い負荷を受けていることを自覚して、休憩したり配達拠点へ帰還したりすることができる。
【0105】
(11)サーバー20が携帯端末60を介して各配達員に指示することにより、各配達員は、電気自動車30から離れていても、サーバー20からの指示を受けることができる。
(12)サーバー20は、各配達員の乗車状況の集計することにより、公正に配達員の賃金を算出することができる。
【0106】
(他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0107】
(a)上記実施形態では、第1識別情報は、車載カメラ71により撮影された顔画像の特徴量であったが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、第1識別情報は、顔画像でもよいし、声紋、指紋、静脈等の各配達員の固定の生体情報でもよい。声紋、指紋、静脈等の個人情報は、携帯端末60に搭載されたセンサで検出して、車載機器80からサーバー20へ送信すればよい。第2識別情報は、第1識別情報に対応した情報にすればよい。
【0108】
(b)上記実施形態では、生体情報は、配達員の体温であったが、本開示はこれに限定されるものではない。車載機器80からサーバー20へ送信する生体情報は、心拍数、血中酸素、脈拍等との各配達員の体調によって変化する生体情報であればよい。心拍数、血中酸素、脈拍等は、例えば、各配達員が装着したスマートウォッチ等の検出装置によって検出すればよい。心拍数、血中酸素、脈拍等を検出する検出装置は、携帯端末60と別個の装置であってもよいし、同じ装置であってもよい。
【0109】
(c)本開示に記載のサーバー20、車載機器80及びそれらの手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載のサーバー20、車載機器80及びそれらの手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載のサーバー20、車載機器80及びそれらの手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。サーバー20及び/又は車載機器80に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0110】
(d)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0111】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)と、サーバーシステム(200)と、を備える配達スケジューリングシステム(10)であって、
前記車載機器は、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車である搭載自動車に乗車している配達員を識別する第1識別情報を取得するように構成された第1情報取得部(81)と、
前記第1情報取得部により取得された前記第1識別情報を前記サーバーシステムへ送信するように構成された第1通信機(84)と、を備え、
前記サーバーシステムは、
前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報が記憶されている記憶装置(220)と、
前記複数の車載機器の各々から送信された前記第1識別情報を受信するように構成された第2通信機(24)と、
前記第2通信機により受信された前記第1識別情報を、前記記憶装置に記憶されている前記第2識別情報と照合して、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識するように構成された認識部(21)と、
前記認識部による認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成するように構成されたスケジューリング部(21)と、を備える、
配達スケジューリングシステム。
[項目2]
前記スケジューリング部(21)は、前記配達スケジュールが前記複数の電気自動車の各々に乗車している配達員の休憩時間を含むように、前記配達スケジュールを生成するように構成されている、
項目1に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目3]
前記複数の電気自動車(30)は、第1自動車と、第2自動車と、を含み、
前記スケジューリング部(21)は、前記第1自動車の充電中に前記第2自動車が稼働するように、前記配達スケジュールを生成するように構成されている、
項目1又は2に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目4]
前記車載機器(80)は、
前記搭載自動車に乗車している配達員の生体情報を取得するように構成された第2情報取得部(81)と、
前記生体情報に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に乗車している前記配達員が受けている負荷を判定するように構成された負荷判定部(81)と、を更に備え、
前記第1通信機(84)は、前記負荷判定部により判定された前記負荷を前記サーバーシステムへ送信するように構成されており、
前記サーバーシステム(200)は、
前記第2通信機(24)により受信された前記負荷が閾値よりも高い場合に、前記閾値よりも高い前記負荷を受けている前記配達員に休憩又は帰還を促すように構成された催促部(21)と、を更に備え、
前記スケジューリング部(21)は、前記催促部により前記休憩又は前記帰還が催促された場合に、前記配達スケジュールを更新するように構成されている、
項目1~3のいずれか1項目に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目5]
前記配達スケジューリングシステムは、前記複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載カメラ(71)を備え、
前記第1識別情報は、前記搭載自動車に搭載された前記車載カメラにより撮影された前記配達員の画像に基づいた情報であり、
前記第2識別情報は、前記複数の配達員の各々の予め撮影された画像に基づいた情報であり、
前記認識部(21)は、前記第1識別情報と前記第2識別情報とに基づいて、人物認識を実行するように構成されている、
項目1~4のいずれか1項目に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目6]
前記第1識別情報は、前記車載カメラ(71)により撮影された前記配達員の顔画像から抽出された特徴量であり、
前記第2識別情報は、前記複数の配達員の各々の予め撮影された顔画像から抽出された特徴量であり、
前記認識部(21)は、前記第1識別情報と前記第2識別情報とに基づいて、顔認証を実行するように構成されている、
項目5に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目7]
前記配達スケジューリングシステムは、前記複数の電気自動車(30)の各々に搭載されたGPS受信機(85)を備え、
前記車載機器(80)は、前記搭載自動車に搭載された前記GPS受信機により受信されたGPS信号に基づいて、前記搭載自動車の位置情報を取得するように構成された位置取得部(81)を更に備え、
前記第1通信機(84)は、前記位置取得部により取得された前記位置情報を前記サーバーシステムへ送信するように構成されている、
項目1~6のいずれか1項目に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目8]
前記車載機器(80)は、前記搭載自動車のバッテリの充電量を取得するように構成された充電量取得部(81)を更に備え、
前記第1通信機(84)は、前記充電量取得部により取得された前記充電量を前記サーバーシステムへ送信するように構成されている、
項目1~7のいずれか1項目に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目9]
前記車載機器(80)は、前記搭載自動車のネットワーク(200)に流れるフレームを中継する中継装置(100)に通信可能に接続されて、前記中継装置を介して、前記搭載自動車のネットワークに接続される電子制御装置(320,360)と通信を行うように構成された車内通信機(88)を更に備え、
前記フレームは、前記バッテリの充電量を示す充電量フレームを含み、
前記充電量取得部(81)は、前記車内通信機が前記充電量フレームを受信することにより、前記バッテリの充電量を取得するように構成されており、
前記第1通信機(84)は、前記充電量取得部により取得された前記バッテリの充電量を前記サーバーシステムへ送信するように構成されている、
項目8に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目10]
前記配達スケジューリングシステム(10)は、前記複数の電気自動車の各々に搭載されたサーマルカメラ(72)を備え、
前記生体情報は、前記搭載自動車に搭載された前記サーマルカメラにより測定された前記配達員の体温である、
項目4に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目11]
前記配達スケジューリングシステム(10)は、前記複数の電気自動車の各々に搭載され、警告を出力するように構成された警告装置(90)を更に備え、
前記催促部(21)は、前記警告装置から前記警告を出力させることにより、前記休憩又は前記帰還を促すように構成されている、
項目4又は10に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目12]
前記配達スケジューリングシステム(10)は、前記複数の配達員の各々が有する携帯端末(60)を更に備え、
前記サーバーシステム(200)は、前記スケジューリング部(21)により生成された前記配達スケジュールに基づいて、前記携帯端末を介して、前記複数の配達員の各々に指示するように構成された指示部(21)を更に備える、
項目1~11のいずれか1項目に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目13]
前記サーバーシステム(200)は、
前記認識部(21)による認識結果に基づいて、前記複数の配達員の各々の乗車状況を集計するように構成された集計部(21)と、
前記集計部による集計結果に基づいて、前記複数の配達員の各々の賃金を算出するように構成された算出部(21)と、を更に備える、
項目1~12のいずれか1項目に記載の配達スケジューリングシステム。
[項目14]
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)の各々から、前記複数の電気自動車の各々に乗車している配達員を識別する第1識別情報を受信するように構成された通信機(24)と、
前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報が記憶されている記憶装置(220)と、
前記通信機により受信された前記第1識別情報を、前記記憶装置に記憶されている前記第2識別情報と照合して、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識するように構成された認識部(21)と、
前記認識部による認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成するように構成されたスケジューリング部(21)と、を備える、
サーバーシステム。
[項目15]
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載機器(80)であって、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する識別情報を取得するように構成された情報取得部(81)と、
前記情報取得部により取得された前記識別情報をサーバーへ送信するように構成された通信機(84)と、を備える、
車載機器。
[項目16]
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)と、サーバーシステム(200)と、を備える配達スケジューリングシステム(10)が実行する配達スケジュールの生成方法であって、
前記車載機器は、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する第1識別情報を取得し、
取得された前記第1識別情報を前記サーバーシステムへ送信し、
前記サーバーシステムは、
前記複数の車載機器の各々から送信された前記第1識別情報を受信し、
受信された前記第1識別情報を、前記サーバーシステムが備える記憶装置(220)に記憶されている前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報と照合し、
照合結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識し、
認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成する、
配達スケジュールの生成方法。
[項目17]
サーバーシステム(200)が実行する配達スケジュールの生成方法であって、
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)の各々から、前記複数の電気自動車の各々に乗車している配達員を識別する第1識別情報を受信し、
受信された前記第1識別情報を、前記サーバーシステムが備える記憶装置(220)に記憶されている前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報と照合し、
照合結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識し、
認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成する、
配達スケジュールの生成方法。
[項目18]
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載機器(80)が実行する情報提供方法であって、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する識別情報を取得し、
取得された前記識別情報をサーバーシステム(200)へ送信する、
情報提供方法。
[項目19]
サーバーシステム(200)に、
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)に搭載された複数の車載機器(80)の各々から、前記複数の電気自動車の各々に乗車している配達員を識別する第1識別情報を受信することと、
受信された前記第1識別情報を、前記サーバーシステムが備える記憶装置(220)に記憶されている前記複数の配達員の各々を識別し前記第1識別情報と対応する第2識別情報と照合することと、
照合結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車しているかをリアルタイムで認識することと、
認識結果に基づいて、前記複数の電気自動車の各々に前記複数の配達員の誰が乗車するかを含む、それ以降の配達スケジュールを生成することと、を実行させる、
配達スケジュール生成プログラム。
[項目20]
複数の配達員が配達に使用する複数の電気自動車(30)の各々に搭載された車載機器(80)に、
前記複数の電気自動車のうちの前記車載機器が搭載されている電気自動車に乗車している配達員を識別する識別情報を取得することと、
取得された前記識別情報をサーバーシステム(200)へ送信することと、を実行させる、
情報提供プログラム。
【符号の説明】
【0112】
10…配達スケジューリングシステム、20…サーバー、24…第2通信機、30…電気自動車、60…携帯端末、71…車載カメラ、72…サーマルカメラ、80…車載機器、200…サーバーシステム、210…データベース、220…ストレージ。