(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175549
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】換気空調システム、制御装置、換気空調方法、及び換気空清方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/54 20180101AFI20241211BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20241211BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20241211BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20241211BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241211BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20241211BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20241211BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20241211BHJP
F24F 110/22 20180101ALN20241211BHJP
F24F 110/50 20180101ALN20241211BHJP
【FI】
F24F11/54
F24F11/65
F24F11/77
F24F11/80
F24F7/007 B
F24F110:12
F24F110:10
F24F110:20
F24F110:22
F24F110:50
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093417
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 篤志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 花菜子
(72)【発明者】
【氏名】古橋 拓也
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BD02
3L056BD03
3L260AA01
3L260AB01
3L260AB15
3L260AB18
3L260BA02
3L260BA09
3L260BA13
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA17
3L260CA32
3L260CA33
3L260EA07
3L260EA08
3L260FA02
3L260FA03
3L260FC02
3L260FC03
3L260FC22
3L260FC23
3L260FC25
3L260FC28
(57)【要約】
【課題】空調空気を他の空間に搬送しつつ、室内空気に含まれる空気質汚染の拡散を抑制する上で有利になる換気空調システム、制御装置、換気空調方法、及び換気空清方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る換気空調システムは、排気機器と、給気機器と、空気清浄機器と、空調機と、建物内の複数の空間に設置された環境センサと、排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機の各機器の運転を制御可能な制御手段と、を備える。排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機は、機器の風量が可変制御可能である。給気機器、空調機、及び空気清浄機器は、同じ空間に設置されている。排気機器は、他の空間に設置されている。制御手段は、環境センサによって取得される各空間の測定データに応じて、排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機の各機器の運転を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を室外へ排出する排気機器と、
前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室外から室内へ空気を供給する給気機器と、
前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、空気清浄処理したうえで、室内へ再循環することが可能な空気清浄機器と、
前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、温度調節したうえで、室内へ再循環することが可能な空調機と、
前記建物内の複数の空間に設置された環境センサと、
前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機の各機器の運転を制御可能な制御手段と、
を備え、
前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機は、機器の風量が可変制御可能であり、
前記給気機器、前記空調機、及び前記空気清浄機器は、同じ空間に設置されており、
前記排気機器は、他の空間に設置されており、
前記制御手段は、前記環境センサによって取得される各空間の測定データに応じて、前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機の各機器の運転を制御する換気空調システム。
【請求項2】
外部からデータを取得可能な通信部を備え、
前記制御手段は、前記通信部によって取得した外部からのデータに応じて、前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機の各機器の運転を制御可能である請求項1に記載の換気空調システム。
【請求項3】
前記環境センサは、室内及び屋外の、温度、湿度、及び空気汚染量のうちの少なくとも一つを取得可能である請求項1または請求項2に記載の換気空調システム。
【請求項4】
前記建物の第1の居室に備えられた第1の給気機器、第1の空調機、及び第1の空気清浄機器と、
前記建物の第2の居室に備えられた第2の給気機器、第2の空調機、及び第2の空気清浄機器と、
前記建物の非居室に備えられた前記排気機器と、
を備える請求項1または請求項2に記載の換気空調システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記環境センサによって取得される温度情報に応じて、屋外の温度が所定の値以下の場合に前記空調機にて暖房運転を開始し、屋外の温度が所定の値以上の場合に前記空調機にて冷房運転を開始し、屋外の温度に応じて前記空調機の設定温度である第1の設定温度を決定する請求項1または請求項2に記載の換気空調システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記空調機にて暖房運転または冷房運転が実施されている状況において、前記環境センサによって各空間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、各空間の温度差を解消するように、前記排気機器、前記給気機器、及び前記空調機の運転を制御する請求項1または請求項2に記載の換気空調システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記環境センサによって前記第1の居室と前記第2の居室の間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、
前記空調機の設定温度と室温との乖離が生じている部屋を特定し、当該部屋に設置されている前記空調機の運転を制御する請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記環境センサによって前記第1の居室と前記非居室の間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、または前記第2の居室と前記非居室の間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、前記排気機器、前記第1の給気機器、及び前記第2の給気機器の運転風量を増加し、屋外の温度に応じて、前記第1の空調機及び前記第2の空調機の運転温度である第2の設定温度を決定する請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記環境センサによって空気汚染量が所定の値以上である空間を検出した場合、空気汚染量が前記所定の値以上であると検出された空間から他の空間への空気移動を抑制するように前記排気機器、前記給気機器及び前記空気清浄機器の運転を制御する請求項1または請求項2に記載の換気空調システム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第1の居室または前記第2の居室の空気汚染量が所定の値以上であることを前記環境センサによって検出した場合、空気汚染量が前記所定の値以上である部屋に設置されている前記空気清浄機器の運転を開始し、空気汚染量が前記所定の値以上である部屋に設置されている前記給気機器の運転を停止または運転風量を減少させる請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記非居室の空気汚染量が所定の値以上であることを前記環境センサによって検出した場合、前記第1の居室及び前記第2の居室に設置されている前記第1の空気清浄機器及び前記第2の空気清浄機器の運転を開始し、前記第1の給気機器及び前記第2の給気機器の運転風量を増加し、前記排気機器の運転風量を増加する請求項4に記載の換気空調システム。
【請求項12】
建物内の複数の空間に設置された環境センサによって取得される各空間の測定データに応じて、排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機の各機器の運転を制御可能な制御装置であって、
前記排気機器は、前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を室外へ排出し、
前記給気機器は、前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室外から室内へ空気を供給し、
前記空気清浄機器は、前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、空気清浄処理したうえで、室内へ再循環することが可能であり、
前記空調機は、前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、温度調節したうえで、室内へ再循環することが可能であり、
前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機は、機器の風量が可変制御可能であり、
前記給気機器、前記空調機、及び前記空気清浄機器は、同じ空間に設置されており、
前記排気機器は、他の空間に設置されている制御装置。
【請求項13】
居室間で基準以上の温度差が生じているかどうかを判定するステップと、
前記居室間で前記基準以上の温度差が生じている場合に空調機の設定温度と室温が乖離している部屋を特定するステップと、
前記設定温度と室温が乖離している部屋の空調機の出力を調整するステップと、
居室と非居室との間で基準以上の温度差が生じている場合に、前記居室に室外の空気を供給する給気機器の風量及び前記非居室の空気を室外に排出する排気機器の風量を増加させるとともに、前記居室に設けられた空調機の出力を調整するステップと、
を備えた換気空調方法。
【請求項14】
空気汚染量が所定の値以上の部屋があるかどうかを判定するステップと、
前記空気汚染量が前記所定の値以上の部屋があると判定された場合に、居室の空気汚染量が増加しているかどうかを判定するステップと、
前記居室の空気汚染量が増加していると判定された場合に、空気汚染量が増加していると判定された部屋に設けられた空気清浄機器の運転を実施し、当該部屋に室外の空気を供給する給気機器の風量を減少させるステップと、
非居室の空気汚染量が増加していると判定された場合に、前記居室に設けられた空気清浄機器の運転を実施し、前記居室に室外の空気を供給する給気機器の風量を増加させ、前記非居室の空気を室外に排出する排気機器の風量を増加させるステップと、
を備えた換気空清方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気空調システム、制御装置、換気空調方法、及び換気空清方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたダクト式空気調和システムは、熱源機、この熱源機に接続された熱交換器及び送風機を内蔵した室内機、上記送風機に電気的に接続され風量を数段階に切り替える風量切替器、上記室内機の吹き出し側に接続されたプレナムに設けられた複数のダクト接続口、このダクト接続口に各々接続され複数ゾーンへ配設されたダクトを備え、上記ダクト接続口への風路面積を総面積は変えず各々の面積比率を変更自在可能なスライド式シャッターを上記プレナム内に設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の空調システムの課題として、空調空気を住宅の他空間へ搬送するにあたって、空調空気と共に、臭い、アレルゲン、微生物類といった汚染物質を住宅内へ拡散させてしてしまうことが挙げられる。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、空調空気を他の空間に搬送しつつ、室内空気に含まれる空気質汚染の拡散を抑制する上で有利になる換気空調システム、制御装置、換気空調方法、及び換気空清方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る換気空調システムは、建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を室外へ排出する排気機器と、建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室外から室内へ空気を供給する給気機器と、建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、空気清浄処理したうえで、室内へ再循環することが可能な空気清浄機器と、建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、温度調節したうえで、室内へ再循環することが可能な空調機と、建物内の複数の空間に設置された環境センサと、排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機の各機器の運転を制御可能な制御手段と、を備え、排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機は、機器の風量が可変制御可能であり、給気機器、空調機、及び空気清浄機器は、同じ空間に設置されており、排気機器は、他の空間に設置されており、制御手段は、環境センサによって取得される各空間の測定データに応じて、排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機の各機器の運転を制御するものである。
本開示に係る制御装置は、建物内の複数の空間に設置された環境センサによって取得される各空間の測定データに応じて、排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機の各機器の運転を制御可能な制御装置であって、排気機器は、建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を室外へ排出し、給気機器は、建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室外から室内へ空気を供給し、空気清浄機器は、建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、空気清浄処理したうえで、室内へ再循環することが可能であり、空調機は、建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、温度調節したうえで、室内へ再循環することが可能であり、排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機は、機器の風量が可変制御可能であり、給気機器、空調機、及び空気清浄機器は、同じ空間に設置されており、排気機器は、他の空間に設置されているものである。
本開示に係る換気空調方法は、居室間で基準以上の温度差が生じているかどうかを判定するステップと、居室間で基準以上の温度差が生じている場合に空調機の設定温度と室温が乖離している部屋を特定するステップと、設定温度と室温が乖離している部屋の空調機の出力を調整するステップと、居室と非居室との間で基準以上の温度差が生じている場合に、居室に室外の空気を供給する給気機器の風量及び非居室の空気を室外に排出する排気機器の風量を増加させるとともに、居室に設けられた空調機の出力を調整するステップと、を備えたものである。
本開示に係る換気空清方法は、空気汚染量が所定の値以上の部屋があるかどうかを判定するステップと、空気汚染量が所定の値以上の部屋があると判定された場合に、居室の空気汚染量が増加しているかどうかを判定するステップと、居室の空気汚染量が増加していると判定された場合に、空気汚染量が増加していると判定された部屋に設けられた空気清浄機器の運転を実施し、当該部屋に室外の空気を供給する給気機器の風量を減少させるステップと、非居室の空気汚染量が増加していると判定された場合に、居室に設けられた空気清浄機器の運転を実施し、居室に室外の空気を供給する給気機器の風量を増加させ、非居室の空気を室外に排出する排気機器の風量を増加させるステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、空調空気を他の空間に搬送しつつ、室内空気に含まれる空気質汚染の拡散を抑制する上で有利になる換気空調システム、制御装置、換気空調方法、及び換気空清方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る換気空調システムが適用された建物を示す平面図である。
【
図2】実施の形態1による換気空調システムの構成を説明するための図である。
【
図3】換気空調システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図4】換気空調システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図5】換気空調システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態1における通信手段及びクラウドサーバの機能を実現する構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。以下に示す実施の形態に示した構成は、本開示に係る技術的思想の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示に記載の複数の技術的思想を組み合わせることも可能である。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略または変更することも可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る換気空調システムが適用された建物を示す平面図である。本実施の形態の換気空調システム1は、建物内の複数の部屋(空間)に対して、温調及び空気清浄を実施するシステムである。換気空調システム1を構成する各機器は建物内の複数の部屋に設置されている。換気空調システム1を構成する機器は、空調機20、換気機器である給気機器11及び排気機器10、空気清浄機器30、環境センサ40である。各機器及び環境センサ40には通信手段が備えられている。
【0011】
環境センサ40は、複数箇所(部屋・空間)に設置されている。図示の例では、部屋100aと、部屋100bと、部屋100cとに環境センサ40が設置されている。換気空調システム1は、環境センサ40の測定値をもとに、空調機20、換気機器、空気清浄機器30の運転を制御する。
【0012】
図1を参照して、換気空調システム1の機器構成を説明する。本実施の形態に係る換気空調システム1は、屋内の空気を屋外へ排出するための換気機器である排気機器10と、屋外の空気を屋内に取り入れるための換気機器である給気機器11を1つまたは複数備える。また、空調機20及び空気清浄機器30を1つまたは複数の部屋に備える。各機器の配置関係として、空調機20が設置されている部屋の空気を、他の部屋へ搬送するため、空調機20が設置されている部屋に給気機器11を設置し換気の上流側とする。また、空調機20が設置されていない部屋には排気機器10を設置し換気の下流側とする。また空調機20が設置されている同部屋内に空気清浄機器30を配置する。
【0013】
換気機器である給気機器11及び排気機器10については、一般的な住居での運用を想定し、リビング・ダイニングといった日常生活において滞在時間が長い主たる居室に換気の給気機器11を配置し、浴室あるいはトイレといった非居室に排気機器10を配置することする。また、本明細書においては、給気機器11が設置されている部屋を居室、排気機器10が設置されている部屋を非居室と呼称する。
図1においては、部屋100a及び部屋100bは居室、部屋100cは非居室となる。部屋100dは廊下部を想定しており、言及する際は廊下と呼称する。
【0014】
空調機20及び空気清浄機器30は、居室に設置することとし、居室が複数存在する場合は、複数の空調機20及び空気清浄機器30を各居室にそれぞれ備えることとする。
【0015】
図示の例では、第1の居室である部屋100aに設置された給気機器11、空調機20及び空気清浄機器30を第1の給気機器11、第1の空調機20及び第1の空気清浄機器30と称し、第2の居室である部屋100bに設置された給気機器11、空調機20及び空気清浄機器30を第2の給気機器11、第2の空調機20及び第2の空気清浄機器30と称する。
【0016】
空調機20は、室内の空気を取り込み、温度調節したうえで、室内へ再循環する装置である。空調機20は、吸込口と吹出口とファンとを備え、ファンの回転速度を変化させることで風量可変制御が可能である。
【0017】
空気清浄機器30は室内の空気を吸い込み、装置を通過する空気中に含まれる汚染を清浄化処理したうえで、室内へ再循環する装置である。清浄化処理をする手段として、エアフィルターによる物理濾過、脱臭フィルタによるガス吸着、電気集塵、紫外線照射、放電によるラジカルまたはオゾン発生のいずれか、または複数を備えることとする。空気清浄機器30は、吸込口と吹出口とファンとを備え、ファンの回転速度を変化させることで風量可変制御が可能である。
【0018】
部屋間の空気移動は、部屋を仕切る扉のアンダーカットを通して実施する。また、扉のアンダーカットとは別に、部屋間に空気移動のための通風孔あるいは通風ダクトを備えても良い。
【0019】
排気機器10は、室内につながる吸込口と室外につながる吹出口とファンとを備え、ファンの回転速度を変化させることで風量可変制御が可能である。
【0020】
給気機器11は、室外につながる吸込口と室内につながる吹出口とファンとを備え、ファンの回転速度を変化させることで風量可変制御が可能である。また、給気機器11は、ファンを備えないものでもよい。ファンを備えない給気機器11は、例えば、空気の取り込み口に設けられたシャッターを備え、シャッターの開度を調整することで、風量可変制御が可能である。
【0021】
図2は、実施の形態1による換気空調システム1の構成を説明するための図である。換気空調システム1は、各機器の動作を制御及び運転状況などの情報を取得するための通信手段50を備える。通信手段50は排気機器10、給気機器11、空調機20、空気清浄機器30にそれぞれ備えられており、相互に情報の通信を実施する。通信手段50は、外部情報を取得するための通信部51と、各機器の動作を決定する制御部52を備える。
【0022】
通信手段50の通信部51は外部ネットワークと接続可能であり、ネットワークルータ53を介してクラウドサーバ54と接続されており、相互に情報の通信を実施する。
【0023】
機器操作用アプリケーション55と、気象情報サーバ56とがクラウドサーバ54に接続されている。機器操作用アプリケーション55は、ユーザーが操作するための外部端末のアプリケーションである。
【0024】
通信手段50の通信部51は、ネットワークルータ53及びクラウドサーバ54を介して、環境センサ40の検知データ、外部端末の機器操作用アプリケーション55からのユーザー入力情報あるいは機器操作情報、気象情報サーバ56からの外気環境データあるいは気象情報のいずれか、または複数を取得することとする。クラウドサーバ54は、通信部51によって、機器操作用アプリケーション55または気象情報サーバ56から取得した外部からのデータに応じて、排気機器10、給気機器11、空気清浄機器30、及び空調機20の各機器の運転を制御可能である。これにより、各機器の運転をより適切に制御することが可能となる。
【0025】
通信手段50からネットワークルータ53を介して外部へ情報を伝達することも可能である。外部へ伝達するデータとして、通信手段50に接続されている各機器の風量あるいは消費電力といった運転情報を伝達することとする。
【0026】
外部情報あるいは機器の運転情報は、クラウドサーバ54に集約され、自動制御を実施するための制御内容を決定したうえで、通信手段50を介して、各機器へ伝達しても良い。本実施の形態におけるクラウドサーバ54は、排気機器10、給気機器11、空気清浄機器30、及び空調機20の各機器の運転を制御する制御手段に相当する。
【0027】
環境センサ40は、ネットワークルータ53を介して、通信手段50に接続されている。なお、環境センサ40について、ネットワークを経由するのではなく、通信機能を備え、ローカル通信によって直接、通信手段50へデータを送信しても良い。
【0028】
環境センサ40について、本換気空調システム1では空気質センサと温湿度センサを備える。空気質センサで検知する対象の空気中の汚染物質は、PM2.5あるいはPM10に代表される外気由来の粉塵、花粉、菌類、ウイルスといった粒子状の物質、またはVOCあるいは排気ガスといったガス状物質のいずれか、または複数とする。空気質センサはネットワークルータ53等と接続・通信可能なもので、室内の各部屋にそれぞれ設置されている。また、外気については外気用の空気質センサを設置しても良いし、気象情報といった外部情報を参照しても良い。温湿度センサは室内の各部屋にそれぞれ設置され、室内の温度及び湿度を測定する。また、外気については外気用の温湿度センサを設置しても良いし、気象情報等の外部情報を参照しても良い。
【0029】
クラウドサーバ54は、環境センサ40によって取得される各空間の測定データに応じて、排気機器10、給気機器11、空気清浄機器30、及び空調機20の各機器の運転のON/OFF、運転風量、運転風向を制御する。これにより、空調空気を他の空間に搬送しつつ、室内空気に含まれる空気質汚染の拡散を抑制する上で有利になる。
【0030】
なお、本開示は、
図2に示す構成に限定されるものではない。例えば、本開示のシステムは、ネットワークルータ53を介してクラウドサーバ54に接続される構成のものでなくてもよい。また、複数の通信手段50の制御部52のうちの一つが、排気機器10、給気機器11、空気清浄機器30、及び空調機20の各機器の運転のON/OFF、運転風量、運転風向を制御するように構成してもよい。
【0031】
図3は、換気空調システム1の動作例を示すフローチャートである。以下、
図3を参照して換気空調システム1の動作について説明する。なお、各機器の基本動作として排気機器10及び給気機器11は基本運転として設定された風量で24時間運転していることとする。
【0032】
換気空調システム1の運転を開始すると、はじめに環境センサ40で情報を取得する(ステップS1)。クラウドサーバ54は、取得した情報をもとに温熱環境の判定を行う。クラウドサーバ54は、屋外の温度が所定の値以下であるかどうかを判断し(ステップS2)、屋外の温度が所定の値以下である場合には外気温度に応じて空調機20の設定温度である第1の設定温度を設定する(ステップS3)。そして、空調機20にて暖房運転を実施する(ステップS4)。ステップS2で屋外の温度が所定の値以下でない場合には、クラウドサーバ54は、屋外の温度が所定の値以上であるかどうかを判断し(ステップS5)、屋外の温度が所定の値以上である場合には外気温度に応じて空調機20の設定温度である第1の設定温度を設定する(ステップS6)。そして、空調機20にて冷房運転を実施する(ステップS7)。以上のようにすることで、暖房運転あるいは冷房運転を適切に実施することが可能となる。なお、クラウドサーバ54は、外気温度及び室内の温度に基づいて第1の設定温度を決めてもよい。
【0033】
なお、屋外の温度が所定の値以上でも以下でもなければ、空調機20の運転は実施せず、現在の換気運転のみを継続する。
【0034】
ステップS4またはステップS7の後、クラウドサーバ54は、空調機20の運転を所定の時間継続し(ステップS9)、環境センサ40の情報を取得して(ステップS10)、部屋間の温度差を判定する(ステップS11)。すなわち、クラウドサーバ54は、各部屋に設置されている環境センサ40の情報をもとに、部屋間の温度差が所定の値以上であるかを判定する。温度差が所定の値以内であれば、温度差が生じておらず対応の必要無しとして、現在の設定で空調機20及び給気機器11及び排気機器10の運転を継続実施する(ステップS8)。これに対し、温度差が所定の値以上の場合、どの部屋で温度差が生じているかを判定する。
【0035】
クラウドサーバ54は、第1の居室と第2の居室との間で温度差が生じているかどうかを判定し(ステップS12)、複数の居室間で温度差が生じていると判定された場合、まず、空調機20の設定運転温度(第1の設定温度)と室温が乖離が生じている部屋があるため、その部屋を特定し(ステップS13)、室温が設定温度に近づくように対象部屋の空調機20の運転の出力を調整する(ステップS14)。これにより、第1の設定温度と室温との乖離が生じている部屋の室温を第1の設定温度に近づけることが可能となる。次に、居室の空調空気を非居室へ搬送するため、非居室の排気機器10及び居室の給気機器11の運転風量を増加させるように設定する。また換気機器の風量増加に伴い、空調機20の設定温度である第2の設定温度を調整する。ステップS14の後は、ステップS9に戻る。
【0036】
このように、温度差が生じているのが特定の部屋で、かつ居室-居室間で温度差が生じている場合、空調機20の設定運転温度(第1の設定温度)と室温が乖離が生じている部屋があるため、その部屋を特定し、室温が設定温度に近づくように空調機20の運転の出力を調整する。これにより、当該部屋の温度を適温に近づけることが可能となる。
【0037】
これに対し、温度差が生じているのが特定の部屋で、第1の居室と非居室の間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、または第2の居室と非居室の間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、居室の空調空気を非居室へ搬送するため、非居室の排気機器10及び居室の給気機器11の運転風量を増加させる(ステップS15)。また換気機器の風量増加に伴い、屋外及び屋内の温度に応じて空調機20の設定温度である第2の設定温度を調整する(ステップS16)。ステップS16の後は、ステップS9に戻る。
【0038】
ここで、第2の設定温度は、基本的に換気増に伴い外気温の影響が強くなるため、第1の設定温度から強める方向に調整する(冷房であれば設定温度を下げる、暖房であれば設定温度を上げる)。これにより、換気増の影響を緩和して適温を保つことが可能となる。
【0039】
以上のフローチャートにより、部屋間の温度状態に応じて、空調機20及び給気機器11及び排気機器10の運転条件を設定し、設定に応じて運転を開始する。運転を所定の時間継続し、再度、部屋間の温度差を判定する。以上により、温熱環境により自動で空調機20の運転を制御し、部屋間の温度差が生じている場合はそれを解消するように空調機20及び給気機器11及び排気機器10の運転を制御することが可能となる。
【0040】
上述したように、クラウドサーバ54は、空調機20にて暖房運転または冷房運転が実施されている状況において、環境センサ40によって各空間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、各空間の温度差を解消するように、排気機器10、給気機器11、及び空調機20の運転を制御する。これにより、各空間の温度を適切な温度にすることが可能となる。
【0041】
本実施の形態の換気空調方法は、居室間で基準以上の温度差が生じているかどうかを判定するステップS12と、居室間で基準以上の温度差が生じている場合に空調機20の設定温度と室温が乖離している部屋を特定するステップS13と、設定温度と室温が乖離している部屋の空調機20の出力を調整するステップS14と、居室と非居室との間で基準以上の温度差が生じている場合に、居室に室外の空気を供給する給気機器11の風量及び非居室の空気を室外に排出する排気機器10の風量を増加させる(ステップS15)とともに、居室に設けられた空調機20の出力を調整するステップS16とを備える。これにより、部屋間の温度差が生じている場合はそれを解消する方向に近づけることが可能となる。
【0042】
図4は、換気空調システム1の動作例を示すフローチャートである。以下、
図4を参照して、空気清浄機器30の運転に関する換気空調システム1の動作について説明する。
図4の空清運転制御フローを開始すると、はじめに、クラウドサーバ54は、環境センサ40の情報を取得し(ステップS21)、空気汚染量が所定の値以上の部屋があるかどうかを判定する(ステップS22)。判定の結果、空気汚染量が所定の値以上の部屋がある場合、クラウドサーバ54は、空気汚染量が居室で増加しているかを判定する(ステップS23)。第1の居室または第2の居室の空気汚染量が所定の値以上であることを検知した場合、クラウドサーバ54は、空気汚染量が増加している部屋の空気清浄機器30の運転を開始する(ステップS24)。次いで、同部屋の給気機器11の運転を停止または風量を減少させる(ステップS25)。空気汚染量が増加している部屋は、汚染源があるか、室外からその部屋に流入している外気に汚染が含まれていると考えられる。このため、空気汚染量が増加している部屋の給気機器11の運転を停止し、風量を減少させることで、当該部屋の汚染が他の空間へ広まることを防止することができる。なお、空気汚染量は、汚染物質の濃度、あるいは単位体積当たりの汚染物質の質量で表されてもよい。
【0043】
ステップS23で居室の汚染が増加していない場合は、クラウドサーバ54は、非居室で汚染が増加していると判断して、すべての居室の空気清浄機器30の運転を開始し(ステップS26)、居室の給気機器11の運転風量を増加するよう設定し(ステップS27)、非居室の排気機器10の運転風量を増加するよう設定する(ステップS28)。これにより、非居室の汚染を速やかに室外に排出することが可能となる。
【0044】
ステップS22で、すべての部屋の空気汚染量が所定の値以内の場合は、現在の運転を継続する(ステップS29)。
【0045】
以上述べたように、居室で汚染が発生した場合は、空気清浄機器30により汚染を処理し、換気の給気を停止することで他部屋に汚染を移動させないようにすることができる。また、非居室で汚染が発生した場合は空気清浄機器30の運転と換気量を増加させることで早期に汚染を室内から除去できる。
【0046】
また、クラウドサーバ54は、環境センサ40によって空気汚染量が所定の値以上である空間を検出した場合、空気汚染量が所定の値以上であると検出された空間から他の空間への空気移動を抑制するように排気機器10、給気機器11及び空気清浄機器30の運転を制御する。これにより、空気汚染の拡散を防止することができる。
【0047】
本実施の形態の換気空清方法は、空気汚染量が所定の値以上の部屋があるかどうかを判定するステップS22と、空気汚染量が所定の値以上の部屋があると判定された場合に、居室の空気汚染量が増加しているかどうかを判定するステップS23と、居室の空気汚染量が増加していると判定された場合に、空気汚染量が増加していると判定された部屋に設けられた空気清浄機器30の運転を実施し(ステップS24)、当該部屋に室外の空気を供給する給気機器11の風量を減少させるステップS25と、非居室の空気汚染量が増加していると判定された場合に、居室に設けられた空気清浄機器30の運転を実施し(ステップS26)、居室に室外の空気を供給する給気機器11の風量を増加させ(ステップS27)、非居室の空気を室外に排出する排気機器10の風量を増加させるステップS28とを備えている。これにより、汚染物質を他の部屋へ拡散させてしてしまうことを確実に防止することが可能となる。
【0048】
図5は、換気空調システム1の動作例を示すフローチャートである。次に、
図5を参照して、空調機20及び空気清浄機器30の制御を連携させた場合の制御フローを説明する。制御フローの前半は
図3と同様であり、部屋間の温度差解消を主目的に空調機20及び給気機器11及び排気機器10の制御を実施する。
図5において、
図3と対応するステップには同一の符号を付している。
図5のフローチャートの後半では、
図4の空気清浄機器制御フローを実施する。すなわち、ステップS8の後、ステップS31として
図4の空清運転制御フローを実施し、その後ステップS1に移行する。また、ステップS14またはステップS16の後、ステップS32として
図4の空清運転制御フローを実施し、その後ステップS9に移行する。
【0049】
図5のフローの全体を通して決定した運転設定にて、空調機20、給気機器11、排気機器10、空気清浄機器30の運転を実施する。また制御フロー内で設定する項目が重なった場合は、フローの後半に位置する空清制御フローでの機器設定を優先する。
【0050】
以上の構成及び動作によって、部屋間の温度差が生じないように、空調空気を住宅全体に搬送しつつ、空気質汚染の拡散を抑制することが可能となる。
【0051】
図6は、実施の形態1における通信手段50及びクラウドサーバ54の機能を実現する構成の一例を示す図である。通信手段50及びクラウドサーバ54の各機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア600であってもよい。処理回路は、プロセッサ601およびメモリ602を備えていてもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア600として形成され、且つ、当該処理回路は更にプロセッサ601およびメモリ602を備えていてもよい。
図6に示す例において、処理回路の一部は専用ハードウェア600として形成されている。また、
図6に示す例において、処理回路は、専用ハードウェア600に加えて、プロセッサ601およびメモリ602を更に備えている。
【0052】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア600である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0053】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ601および少なくとも1つのメモリ602を備える場合、通信手段50及びクラウドサーバ54の各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0054】
ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ602に格納される。プロセッサ601は、メモリ602に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ601は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ602には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROMおよびEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクおよびDVD等が該当する。
【0055】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、通信手段50及びクラウドサーバ54の機能を実現することができる。なお、通信手段50及びクラウドサーバ54の各機能は、複数の機器が連携することで実現されてもよいし、単一の機器によって実現されてもよい。また、通信手段50及びクラウドサーバ54の各機能の少なくとも一部は、外部ネットワーク上のサーバ等に実装されていてもよい。
【0056】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0057】
(付記1)
建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を室外へ排出する排気機器と、
前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室外から室内へ空気を供給する給気機器と、
前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、空気清浄処理したうえで、室内へ再循環することが可能な空気清浄機器と、
前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、温度調節したうえで、室内へ再循環することが可能な空調機と、
前記建物内の複数の空間に設置された環境センサと、
前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機の各機器の運転を制御可能な制御手段と、
を備え、
前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機は、機器の風量が可変制御可能であり、
前記給気機器、前記空調機、及び前記空気清浄機器は、同じ空間に設置されており、
前記排気機器は、他の空間に設置されており、
前記制御手段は、前記環境センサによって取得される各空間の測定データに応じて、前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機の各機器の運転を制御する換気空調システム。
(付記2)
外部からデータを取得可能な通信部を備え、
前記制御手段は、前記通信部によって取得した外部からのデータに応じて、前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機の各機器の運転を制御可能である付記1に記載の換気空調システム。
(付記3)
前記環境センサは、室内及び屋外の、温度、湿度、及び空気汚染量のうちの少なくとも一つを取得可能である付記1または付記2に記載の換気空調システム。
(付記4)
前記建物の第1の居室に備えられた第1の給気機器、第1の空調機、及び第1の空気清浄機器と、
前記建物の第2の居室に備えられた第2の給気機器、第2の空調機、及び第2の空気清浄機器と、
前記建物の非居室に備えられた前記排気機器と、
を備える付記1から付記3のいずれか一項に記載の換気空調システム。
(付記5)
前記制御手段は、前記環境センサによって取得される温度情報に応じて、屋外の温度が所定の値以下の場合に前記空調機にて暖房運転を開始し、屋外の温度が所定の値以上の場合に前記空調機にて冷房運転を開始し、屋外の温度に応じて前記空調機の設定温度である第1の設定温度を決定する付記1から付記4のいずれか一項に記載の換気空調システム。
(付記6)
前記制御手段は、前記空調機にて暖房運転または冷房運転が実施されている状況において、前記環境センサによって各空間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、各空間の温度差を解消するように、前記排気機器、前記給気機器、及び前記空調機の運転を制御する付記1から付記5のいずれか一項に記載の換気空調システム。
(付記7)
前記制御手段は、前記環境センサによって前記第1の居室と前記第2の居室の間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、
前記空調機の設定温度と室温との乖離が生じている部屋を特定し、当該部屋に設置されている前記空調機の運転を制御する付記4に記載の換気空調システム。
(付記8)
前記制御手段は、前記環境センサによって前記第1の居室と前記非居室の間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、または前記第2の居室と前記非居室の間に所定の値以上の温度差が生じていることを検出した場合、前記排気機器、前記第1の給気機器、及び前記第2の給気機器の運転風量を増加し、屋外の温度に応じて、前記第1の空調機及び前記第2の空調機の運転温度である第2の設定温度を決定する付記4に記載の換気空調システム。
(付記9)
前記制御手段は、前記環境センサによって空気汚染量が所定の値以上である空間を検出した場合、空気汚染量が前記所定の値以上であると検出された空間から他の空間への空気移動を抑制するように前記排気機器、前記給気機器及び前記空気清浄機器の運転を制御する付記1から付記8のいずれか一項に記載の換気空調システム。
(付記10)
前記制御手段は、前記第1の居室または前記第2の居室の空気汚染量が所定の値以上であることを前記環境センサによって検出した場合、空気汚染量が前記所定の値以上である部屋に設置されている前記空気清浄機器の運転を開始し、空気汚染量が前記所定の値以上である部屋に設置されている前記給気機器の運転を停止または運転風量を減少させる付記4、付記7、付記8のいずれか一項に記載の換気空調システム。
(付記11)
前記制御手段は、前記非居室の空気汚染量が所定の値以上であることを前記環境センサによって検出した場合、前記第1の居室及び前記第2の居室に設置されている前記第1の空気清浄機器及び前記第2の空気清浄機器の運転を開始し、前記第1の給気機器及び前記第2の給気機器の運転風量を増加し、前記排気機器の運転風量を増加する付記4、付記7、付記8、付記10のいずれか一項に記載の換気空調システム。
(付記12)
建物内の複数の空間に設置された環境センサによって取得される各空間の測定データに応じて、排気機器、給気機器、空気清浄機器、及び空調機の各機器の運転を制御可能な制御装置であって、
前記排気機器は、前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を室外へ排出し、
前記給気機器は、前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室外から室内へ空気を供給し、
前記空気清浄機器は、前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、空気清浄処理したうえで、室内へ再循環することが可能であり、
前記空調機は、前記建物内に設置され、吸込口と吹出口を有し、室内の空気を取り込み、温度調節したうえで、室内へ再循環することが可能であり、
前記排気機器、前記給気機器、前記空気清浄機器、及び前記空調機は、機器の風量が可変制御可能であり、
前記給気機器、前記空調機、及び前記空気清浄機器は、同じ空間に設置されており、
前記排気機器は、他の空間に設置されている制御装置。
(付記13)
居室間で基準以上の温度差が生じているかどうかを判定するステップと、
前記居室間で前記基準以上の温度差が生じている場合に空調機の設定温度と室温が乖離している部屋を特定するステップと、
前記設定温度と室温が乖離している部屋の空調機の出力を調整するステップと、
居室と非居室との間で基準以上の温度差が生じている場合に、前記居室に室外の空気を供給する給気機器の風量及び前記非居室の空気を室外に排出する排気機器の風量を増加させるとともに、前記居室に設けられた空調機の出力を調整するステップと、
を備えた換気空調方法。
(付記14)
空気汚染量が所定の値以上の部屋があるかどうかを判定するステップと、
前記空気汚染量が前記所定の値以上の部屋があると判定された場合に、居室の空気汚染量が増加しているかどうかを判定するステップと、
前記居室の空気汚染量が増加していると判定された場合に、空気汚染量が増加していると判定された部屋に設けられた空気清浄機器の運転を実施し、当該部屋に室外の空気を供給する給気機器の風量を減少させるステップと、
非居室の空気汚染量が増加していると判定された場合に、前記居室に設けられた空気清浄機器の運転を実施し、前記居室に室外の空気を供給する給気機器の風量を増加させ、前記非居室の空気を室外に排出する排気機器の風量を増加させるステップと、
を備えた換気空清方法。
【符号の説明】
【0058】
1 換気空調システム、 10 排気機器、 11 給気機器、 20 空調機、 30 空気清浄機器、 40 環境センサ、 50 通信手段、 51 通信部、 52 制御部、 53 ネットワークルータ、 54 クラウドサーバ、 55 機器操作用アプリケーション、 56 気象情報サーバ、 100a 部屋、 100b 部屋、 100c 部屋、 100d 部屋、 600 専用ハードウェア、 601 プロセッサ、 602 メモリ