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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175550
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/56 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
H02B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093418
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】人見 振太朗
(72)【発明者】
【氏名】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 宗信
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016CG03
5G016CG08
5G016CG13
(57)【要約】
【課題】筐体内の換気を行うためのファンを使用しなくても、筐体内の機器を冷却することができるスイッチギヤを提供する。
【解決手段】スイッチギヤ100は、天板112を有する筐体1と、筐体1内に設置され、動作することで発熱する機器22を有する熱源部2と、筐体1の外気に面する空気取込口3と、筐体1内に面する空気供給口41と、空気取込口3と空気供給口41とをつなぐ流路42と、筐体1の天板112を貫通する空気排出口114と、を備える。空気供給口41が熱源部2に対向する位置に配置される。前後方向において、空気排出口114は、少なくとも一部が、空気供給口41と重なる位置に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面板、背面板、一対の側板及び天板を有する筐体と、
前記筐体内に設置され、動作することで発熱する機器を有する熱源部と、
前記筐体の外気に面する空気取込口と、
前記筐体内に面する空気供給口と、
前記空気取込口と前記空気供給口とをつなぐ流路と、
前記筐体の天板を貫通する空気排出口と、
を備え、
前記空気供給口が前記熱源部に対向する位置に配置され、
前後方向において、前記空気排出口は、少なくとも一部が、前記空気供給口と重なる位置に配置されている、
スイッチギヤ。
【請求項2】
前記流路を有するダクトを更に備え、
前記空気取込口は前記筐体の背面板に設けられると共に、前記空気供給口が前記熱源部の側方に設けられ、前記ダクトが前記筐体内に配置されている、
請求項1に記載のスイッチギヤ。
【請求項3】
前記ダクトを一対備え、
一対の前記ダクトの各々は、一対の側板の各々に取り付けられている、
請求項2に記載のスイッチギヤ。
【請求項4】
前記空気排出口を上から覆い、かつ前記空気排出口の開口面に対して傾斜した整流板を更に備え、
前記整流板は、前記空気排出口から排出された空気の向きを、鉛直方向に交差する向きに変更させるように構成されている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のスイッチギヤが開示されている。特許文献1に記載のスイッチギヤは、筐体と、筐体内に配置されたユニットと、を備える。ユニットは、複数の電力機器がケース内に収容されて構成されている。ケースには、ケース内のガスを循環するための循環ファンが設けられている。
【0003】
複数の電力機器が動作すると、電力機器が発熱するが、循環ファンが駆動することで、ケース内のガスが循環する。これにより、電力機器の周囲のみが局所的に高温となることがなく、ユニット内の温度上昇を抑制できるが、ケースの外面は全面にわたって温度が上昇する。
【0004】
筐体は、背面板に換気ユニットが設けられ、天井板の前端部に換気ファンが設けられている。換気ファンが駆動することで、換気ユニットから筐体内に外気が取り込まれ、換気ファンから筐体内の空気が排出される。換気ユニットから換気ファンに向かう気流によって、ユニットの外面を冷却し、ユニットの温度上昇を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-10496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構造では、換気ファンによって、筐体内を強制的に換気する構造であるため、換気ファンが故障すると、ユニットの温度が上昇し続けるだけでなく、筐体内から空気が排出されないため、筐体内に高温の空気が滞留する。
【0007】
このため、換気ファンが故障すると、スイッチギヤの温度が上昇し、規定の温度値を超える可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、筐体内の換気を行うためのファンを使用しなくても、筐体内の機器を冷却することができるスイッチギヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一態様のスイッチギヤは、正面板、背面板、一対の側板及び天板を有する筐体と、前記筐体内に設置され、動作することで発熱する機器を有する熱源部と、前記筐体の外気に面する空気取込口と、前記筐体内に面する空気供給口と、前記空気取込口と前記空気供給口とをつなぐ流路と、前記筐体の天板を貫通する空気排出口と、を備える。前記空気供給口が前記熱源部に対向する位置に配置され、前後方向において、前記空気排出口は、少なくとも一部が、前記空気供給口と重なる位置に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る上記態様のスイッチギヤは、筐体内の換気を行うためのファンを使用しなくても、筐体内の機器を冷却することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るスイッチギヤの概略正面図である。
図2図2(A)は、実施形態に係るスイッチギヤの配電盤の概略正面図である。図2(B)は、図2(A)におけるA-A線断面図である。
図3図3は、実施形態に係るスイッチギヤの熱源部を説明するための概略断面図である。
図4図4は、実施形態に係るダクト周辺の水平面に沿う断面での概略断面図である。
図5図5は、実施形態に係るスイッチギヤの排気部近傍の概略断面図である。
図6図6は、変形例に係るスイッチギヤの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
本実施形態に係るスイッチギヤ100は、例えば、ビル、工場等の施設に設置される受変電設備である。スイッチギヤ100は、屋外に設置されてもよいし、屋内に設置されてもよい。スイッチギヤ100は、図1に示すように、複数の配電盤10を有することが好ましい。本実施形態に係るスイッチギヤ100は、複数の配電盤10が一方向に並び、隣り合う配電盤10同士が互いに連結されている。
【0013】
スイッチギヤ100の各配電盤10は、図2に示すように、天板112を有する筐体1と、筐体1内に設置された熱源部2とを備える。また、スイッチギヤ100は、筐体1の外気に面する空気取込口3と、筐体1内に面する空気供給口41と、天板112を貫通する空気排出口114と、を備える。また、スイッチギヤ100は、空気取込口3と空気供給口41とをつなぐ流路42を有するダクト4を備える。空気供給口41は、熱源部2の一部に対向する。空気排出口114は、前後方向において、少なくとも一部が空気供給口41と重なる位置に配置されている。
【0014】
このため、熱源部2が発熱すると、熱源部2の周囲の空気が温められて上昇する。すると、上昇した空気は、空気排出口114から排出されると共に筐体1内を減圧させる。筐体1内が減圧するのに応じて、空気供給口41から筐体1内へ外気が取り込まれ、それに応じて空気取込口3から新たに外気が取り込まれる。このように、本実施形態に係るスイッチギヤ100では、筐体1内において、空気供給口41から空気排出口114へ至る気流が形成される。空気取込口3から取り込まれる外気は、比較的低温であるため、空気供給口41から供給される空気と熱源部2とが熱交換しやすい。しかも、熱交換した空気は、そのまま、ダイレクトに空気排出口114から排出されやすいため、筐体1内に熱が籠りにくい。
【0015】
このように、本実施形態に係るスイッチギヤ100では、ファンを使用しなくても、空気供給口41から空気排出口114への気流を形成することができる。このため、仮に換気するためのファンを設けた場合であって、ファンが故障した場合でも、筐体1内の温度上昇を抑えることができる。
【0016】
以下では、説明の便宜上、複数の配電盤10が並ぶ方向を「左右方向」とし、配電盤10の正面から背面に向かう方向に平行な方向を「前後方向」として定義する。また、左右方向及び前後方向に直交する方向を「上下方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、説明のために定義したものに過ぎず、使用態様を特定する意図はない。
【0017】
本明細書において「平行」とは、2つの直線、面等(以下、直線等)が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。また、「直交」とは、2つの直線等が90°±10°の範囲で交わる場合を意味する。ただし、2つの直線等が直接交わっていなくても、延長した場合に交わる場合には「直交」に含まれる。
【0018】
配電盤10としては、例えば、変圧器2次盤、母線連絡盤、受電盤、配電線盤、変圧器1次盤、所内変圧器盤、VCT盤等が挙げられる。以下の説明では、配電盤10の一例として、変圧器2次盤を挙げて説明するが、他の配電盤10に対しても適用可能である。
【0019】
(筐体1)
図2(A)には、1つの配電盤10の正面図を示し、図2(B)には、図2(A)におけるA-A線で切断した断面図を示す。ただし、図2(A)では、正面扉12を省略している。筐体1は、正面板121、背面板131、一対の側板111、天板112及び底板113を有する箱体である。筐体1は、一対の側板111、天板112及び底板113を有する筐体本体11と、正面板121を含む正面扉12と、背面板131を含む背面扉13と、を有する。筐体1の材料としては、例えば、金属が挙げられる。
【0020】
筐体本体11は、前面及び後面に開口面を有する角筒状に形成されている。筐体本体11は、正面視矩形状に形成されている。天板112及び底板113は、水平面に沿っている。また、側板111は、鉛直面に沿っている。隣り合う配電盤10において、隣り合う側板111同士は、互いに接触する。天板112には、天板112を貫通する空気排出口114が形成されている。
【0021】
空気排出口114は、筐体1内で温められた空気が上昇する際に通過する開口である。空気排出口114は、上昇した空気が通過した結果、筐体1内から空気が排出される。空気排出口114の開口周縁は、天板112から立ち上がっている。空気排出口114の平面視における形状は、特に制限はなく、例えば、円形、矩形、五角形、六角形等が挙げられる。また、空気排出口114としては、複数のスリット、格子状の穴、パンチングメタルの複数の透孔、網目等により構成されてもよい。
【0022】
前後方向において、空気排出口114の少なくとも一部は、空気供給口41と重なる位置に配置されている。これによって、空気供給口41から上昇した気流のうち、天板112に衝突する気流を軽減し、気流の多くをダイレクトに空気排出口114から排出できる。前後方向において、空気排出口114の中央は、空気供給口41の中央と同じ位置に位置することが好ましい。これによって、空気供給口41から上昇した気流の大部分を、ダイレクトに空気排出口114から排出しやすい。
【0023】
空気排出口114の流路断面積は、空気供給口41の流路断面積に対し、80%以上120%以下であることが好ましく、より好ましくは、90%以上110%以下であり、更に好ましくは95%以上105%以下である。ここでいう「流路断面積」は、流路42が複数ある場合には、それぞれの流路断面積を合計した値を意味する。
【0024】
空気排出口114の左右方向の長さは、天板112の左右方向の全長に対して、50%以上であることが好ましく、より好ましくは75%以上である。このように構成することで、空気供給口41から上昇する気流を空気排出口114からスムーズに排出できる。
【0025】
正面扉12は、筐体本体11の前側の開口を開閉可能に閉じる。正面扉12は、左右方向の一方の端部に回転軸を有しており、筐体本体11に対して回転可能に取り付けられている。正面扉12の主面は、正面板121で構成されている。
【0026】
背面扉13は、筐体本体11の後側の開口を開閉可能に閉じる。背面扉13は、左右方向の一方の端部に回転軸を有しており、筐体本体11に対して回転可能に取り付けられている。背面扉13の主面は、背面板131で構成されている。
【0027】
(熱源部2)
熱源部2は、図3に示すように、動作することで発熱する機器22を有する。熱源部2は、ケース21と、ケース21内に収容された複数の機器22と、ケース21内のガスを循環する複数の循環ファン23と、を備える。
【0028】
機器22は、動作することで発熱する機器22であれば特に制限はない。機器22は、例えば、遮断器221、計器用変圧器222等の電力機器が挙げられる。本実施形態では、熱源部2は、遮断器221及び計器用変圧器222の2つの機器22を有するが、3つ以上の機器22を有してもよいし、1つの機器22のみを有してもよい。機器22は、配電ケーブル224に対し、導体223を介して電気的に接続されている。
【0029】
ケース21は、機器22を収容する。ケース21内には、ガスが充填されている。ガスとしては、例えば、絶縁性を有するガス(例えば、六フッ化硫黄ガス)、不活性ガス、空気等が挙げられる。また、ケース21内には、ケース21内のガスを循環させる複数の循環ファン23が設けられている。循環ファン23が駆動することにより、ケース21内のガスが循環し、ケース21内の温度分布が均一に近付く。機器22が動作することで発生した熱によって温められたガスは、ケース21内を循環することで、局所的に高い温度を有することが抑制される。したがって、ケース21の外面(すなわち熱源部2の外面)は、全体として略均一な熱を有する。
【0030】
図2(A)に示すように、ケース21の左右方向の側面は、筐体1の側板111から離れている。本実施形態では、ケース21の左右方向の側面と筐体1の側板111との間に、ダクト4が配置されている。また、ケース21の左右方向の側面は、ダクト4の空気供給口41から離れている。
【0031】
(空気取込口3)
空気取込口3は、筐体1の外気に面した開口である。空気取込口3から外気を取り込み、ダクト4を通して空気供給口41から空気を筐体1内へ供給する。空気取込口3は、背面板131に形成されることが好ましい。これによって、他の配電盤10によって温められていない空気を筐体1内へ取り込むことができる。
【0032】
空気取込口3は、ガラリ31を有することが好ましい。ガラリ31の形態としては、例えば、H形、V型、パンチング型、メッシュ型、片流れ型、山形等が挙げられる。また、ガラリ31は、塵埃フィルタを有してもよい。空気取込口3がガラリ31を有することで、外からの水や塵埃等が筐体1内へ入ることを軽減できる。ただし、圧力損失によって、空気取込口3から取り込む空気の流量が少なくなる場合には、塵埃フィルタの捕集率を変えてもよい。ただし、捕集率は、使用環境や換気量に応じて、設定されることが好ましい。空気取込口3は、一対のダクト4に合わせるように、背面板131において、左右方向に離れて2つ設けられている。
【0033】
(ダクト4)
ダクト4は、空気取込口3と空気供給口41とをつなぐ流路42を有する。また、ダクト4は、本実施形態では、空気供給口41を有する。空気供給口41は、熱源部2に対向する位置に配置される。空気供給口41は、熱源部2において、熱を帯びる部分(本実施形態では、熱源部2の外面)に対して対向配置することが好ましい。本実施形態に係る熱源部2とは異なり、熱源部2が他の領域よりも温度の高い高温領域を有する場合には、空気供給口41は、当該高温領域に対向することが好ましい。これによって、高温領域を効果的に冷却することができる。
【0034】
空気供給口41は、熱源部2の下部に対向することが好ましい。このように構成することで、空気供給口41から供給される空気と、熱源部2とをできる限り長く接触させることができ、熱交換をさせやすい。熱源部2の下部とは、熱源部2の高さの下半分を意味する。熱源部2に対する空気供給口41の高さ位置(図心の位置)は、熱源部2の下端からの距離L2が、熱源部2の全高に対して、50%以下が好ましく、より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは20%以下である。
【0035】
空気供給口41の形状としては、特に制限はなく、例えば、円形、矩形、五角形、六角形等が挙げられる。また、空気供給口41としては、複数のスリット、格子状の穴、パンチングメタルの複数の透孔、網目等により構成されてもよい。
【0036】
ダクト4は、熱源部2と側板111との間に配置されている。各ダクト4において、ダクト4の流路断面積は、空気供給口41の流路断面積と同等であることが好ましい。ダクト4において流路42に直交する断面は、図2(A)に示すように、上下方向に長手方向を有する扁平な形状に形成されている。これによって、熱源部2と側板111との間の隙間が狭小であっても、所定の流路断面積を有するダクト4を熱源部2と側板111との間に配置することができる。本明細書でいう「同等」とは、同一とみなせる程度の誤差を含む。比較する2つの数値に対し、10%の誤差は、同等の範疇である。
【0037】
ここで、図4にはダクト4の水平面に沿う断面での断面図を示す。ダクト4は、空気取込口3に対向する流入口45を有する幅広部43と、幅広部43よりも左右方向の厚さが薄い幅狭部44とを有する。幅広部43は、流入口45から前側にいくに従って左右方向の厚さが薄くなっている。幅広部43の外側の側面は、前後方向に平行である。幅狭部44は、幅広部43の前端から前方向に延びている。幅狭部44は、前後方向に同一の厚さを有する。幅狭部44の前部には、空気供給口41が形成されている。空気取込口3から取り込まれた空気は、流入口45を通してダクト4内に入り、幅広部43及び幅狭部44を通過して、空気供給口41から流れ出る。空気供給口41と熱源部2とは近接対向しているため、空気供給口41から流れ出た空気は、熱源部2に接触しやすい。
【0038】
熱源部2と空気供給口41との間の最大距離L1は、特に制限はないが、70mm以上100mm以下が好ましい。このようにすることにより、空気取込口3から流路42を通して空気供給口41を出る気流を形成しやすい。また、熱源部2と空気供給口41との間の距離L1を70mm以上とすることで、絶縁距離を確保できる。
【0039】
このような構成のダクト4は、熱源部2に対し、左右方向の両側の側方に配置されている。したがって、熱源部2を左右方向の両側から冷却することができるため、熱源部2の温度上昇を効果的に抑制できる。ダクト4は、熱源部2に対して、左右方向の一方の側方のみに配置されてもよい。側板111に対するダクト4の取付け方法としては、特に制限はなく、例えば、ねじ止め、溶接、リベット止め、嵌め込み等が挙げられる。
【0040】
(排気部5)
排気部5は、図2に示すように、空気排出口114の上方に配置されている。排気部5は、筐体1の天板112の上方に設けられた上天板14に設けられている。上天板14は、天板112に対して間隔をおいて配置されており、後方向に行くに従って下方に位置するように水平面に対して傾斜している。排気部5は、図5に示すように、上天板14に対して立ち上がる支持部51と、整流板52と、排気筒部53と、を備える。
【0041】
支持部51は、整流板52及び排気筒部53を支持する。支持部51は、中空形状に形成されている。整流板52は、空気排出口114を上から覆う。整流板52は、平面視において、空気排出口114の全面に重なることが好ましい。整流板52は、空気排出口114の開口面に対して傾斜した傾斜面521を有する。これによって、整流板52は、空気排出口114から排出された空気の向きを、鉛直方向に交差する向きに変更させることができる。本実施形態では、整流板52は、2つの傾斜面521を有しているが、1つの傾斜面521を有するのみであってもよい。本実施形態に係る整流板52は、鉛直面での断面において、略V字状に形成されている。
【0042】
排気筒部53は、複数の吐出口531を備える。吐出口531は、整流板52によって向きが変わった空気が通る開口である。吐出口531の開口面は、下方向を向いている。ただし、吐出口531の開口面は、斜め下方を向いていてもよいし、前後方向を向いていてもよい。
【0043】
筐体1内から上昇し、空気排出口114を出た空気は、整流板52に当たって方向を変える。方向を変えた空気は、排気筒部53の吐出口531から配電盤10の外部に排出される。これによって、筐体1から排出された空気が鉛直上方に上昇することを抑制でき、例えば、屋内に設置された場合に、高温の空気が屋内の天井面を損傷させることを抑制できる。また、整流板52によって空気排出口114が覆われているため、水滴や塵埃が筐体1内に入ることを軽減することができる。
【0044】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0045】
上記実施形態では、熱源部2は、ケース21と機器22とを有していたが、例えば、図6に示すように、ケース21はなくてもよい。変形例に係る配電盤10は、変圧器盤である。熱源部2は、変圧器225を有する。なお変圧器225はケース21に収容されていない。
【0046】
ダクト4の空気供給口41は、変圧器225に対向するように配置されている。したがって、空気取込口3から取り込まれた外気は、流路42を通って空気供給口41から出て、変圧器225に接触する。その際、変圧器225の熱と空気とが熱交換を行うことで温められた空気は、上昇して空気排出口114から排出される。
【0047】
上記実施形態では、空気取込口3は、筐体1の背面板131に設けられたが、例えば、背面板131に貫通穴を設け、当該貫通穴からダクト4の流入口45を突き出してもよい。この場合、ダクト4の流入口45が空気取込口3として機能する。また、空気取込口3は、背面板131に限らず、側板111に形成されてもよい。
【0048】
上記実施形態では、左右方向に並ぶ複数の配電盤10において、背面板131に空気取込口3を設け、筐体1内にダクト4を配置することで、各配電盤10の熱源部2を冷却することができる。しかし、スイッチギヤ100が、例えば、1つの配電盤10のみを有する場合には、側板111の厚さ方向の外面の開口面を空気取込口3とし、厚さ方向の内面の開口面を空気供給口41とし、側板111の厚み内において空気取込口3と空気供給口41とをつなぐ部分を流路42としてもよい。この場合、流路42が短くなるため圧力損失を低減できる。
【0049】
また、側板111として、間隔をおいて配置された2重の板で構成してもよい。この場合、外側の板に空気取込口3を設け、内側の板に空気供給口41を設けてもよい。なお、空気取込口3と空気供給口41とをつなぐ流路42は、囲まれていないが、気流が形成されていることによって、空気が2重の板の間に流れにくい。
【0050】
上記実施形態では、空気取込口3から空気供給口41を経て、空気排出口114まで至る気流が、循環ファン23が無くても形成されるため、循環ファン23が設けられていないが、当該気流の形成を促進するために、循環ファン23が設けられてもよい。上記構造を採ることで、循環ファン23が故障した場合にも、熱源部2を冷却することができる。このため、故障時に備えるための構造として、上記実施形態を採用してもよい。
【0051】
上記実施形態では、筐体1は、底板113を有したが、底板113はなくてもよい。
【0052】
上記実施形態では、整流板が、気流の向きを、前方向及び後方向に向かって変更させたが、例えば、前方向、後方向、左方向及び右方向の4方向に向かって変更させてもよい。この場合、例えば、整流板は錘状に形成されればよい。
【0053】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係るスイッチギヤ100は、正面板121、背面板131、一対の側板111及び天板112を有する筐体1と、筐体1内に設置され、動作することで発熱する機器22を有する熱源部2と、筐体1の外気に面する空気取込口3と、筐体1内に面する空気供給口41と、空気取込口3と空気供給口41とをつなぐ流路42と、筐体1の天板112を貫通する空気排出口114と、を備える。空気供給口41が熱源部2に対向する位置に配置される。前後方向において、空気排出口114は、少なくとも一部が、空気供給口41と重なる位置に配置されている。
【0054】
この態様によれば、筐体1内において、空気供給口41から空気排出口114へ至る気流が形成される。空気取込口3から取り込まれる外気は、比較的低温であるため、空気供給口41から供給される空気と熱源部2とが熱交換しやすい。しかも、熱交換した空気は、そのまま、ダイレクトに空気排出口114から排出されやすいため、筐体1内に熱が籠りにくい。したがって、本態様によれば、筐体1内の換気を行うためのファンを使用しなくても、筐体1内の機器22を冷却することができる。
【0055】
第2の態様に係るスイッチギヤ100では、第1の態様において、流路42を有するダクト4を更に備える。空気取込口3は筐体1の背面板131に設けられると共に、空気供給口41が熱源部2の側方に設けられ、ダクト4が筐体1内に配置されている。この態様によれば、例えば隣り合う配電盤10において、側板111同士が近接又は接触していても、熱源部2を冷却する構造を筐体1に取り付けることができる。
【0056】
第3の態様に係るスイッチギヤ100では、第1又は第2の態様において、ダクト4を一対備え、一対のダクト4の各々は、一対の側板111の各々に取り付けられている。この態様によれば、より効果的に、熱源部2を冷却できる。
【0057】
第4の態様に係るスイッチギヤ100では、第1~3のいずれか1つの態様において、空気排出口114を上から覆い、かつ空気排出口114の開口面に対して傾斜した整流板52を更に備え、整流板52は、空気排出口114から排出された空気の向きを、鉛直方向に交差する向きに変更させるように構成されている。この態様によれば、空気排出口114から排出された空気が鉛直上方に上昇することを防ぐことができる。例えば、屋内に設置された場合に、高温の空気が屋内の天井面を損傷させることを軽減できる。また、整流板52によって空気排出口114が覆われているため、水滴や塵埃が筐体1内に入ることを軽減することができる。
【0058】
第5の態様に係るスイッチギヤ100では、第1~4のいずれか1つの態様において、熱源部2は、熱を発生する機器22と、機器22を収容するケース21と、ケース21内のガスを循環する循環ファン23と、を有する。この態様によれば、ケース21を冷却することができるので、機器22の温度上昇をより一層軽減できる。
【符号の説明】
【0059】
100 スイッチギヤ
1 筐体
111 側板
112 天板
114 空気排出口
121 正面板
131 背面板
2 熱源部
21 ケース
22 機器
3 空気取込口
4 ダクト
41 空気供給口
42 流路
52 整流板
図1
図2
図3
図4
図5
図6