(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175562
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】点灯装置及び照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/50 20220101AFI20241211BHJP
H05B 45/36 20200101ALI20241211BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20241211BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20241211BHJP
H05B 47/195 20200101ALI20241211BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20241211BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B45/36
H05B45/375
H05B45/10
H05B47/195
H05B47/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093440
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 圭介
(72)【発明者】
【氏名】大野 健
(72)【発明者】
【氏名】中山 航
(72)【発明者】
【氏名】山本 真史
(72)【発明者】
【氏名】森脇 淑也
(72)【発明者】
【氏名】日野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】下村 優太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉本 正暁
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA08
3K273BA34
3K273BA35
3K273CA02
3K273CA12
3K273CA25
3K273DA08
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA22
3K273EA41
3K273EA42
3K273EA44
3K273FA03
3K273FA26
3K273GA03
3K273GA12
3K273GA14
(57)【要約】
【課題】降圧チョッパ回路の後段の回路に交流電源から過電圧が印加される可能性を低減する。
【解決手段】点灯装置2は、全波整流回路4と、第1コンデンサC1と、第1変換回路5と、第2コンデンサC2と、第2変換回路6と、保護回路9と、遮断回路13と、電流抑制回路15と、を備える。第1変換回路5は、第1コンデンサC1によって平滑化された脈流電圧を降圧する。第2コンデンサC2は、第1変換回路5によって降圧された脈流電圧を平滑化する。第2変換回路6は、第1直流電圧を第2直流電圧に変換する。保護回路9は、一対の第2出力端52間電位差が所定値を上回った場合に、一対の第2出力端52間を短絡する。遮断回路13は、一対の第2出力端52間に交流電源PSから短絡電流が流れた場合に、電路14を遮断する。電流抑制回路15は、第2コンデンサC2から保護回路9に流れる電流放電電流を抑制する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1入力端と、一対の第1出力端と、を有し、交流電源から前記一対の第1入力端に入力される交流電圧を全波整流した脈流電圧を、前記一対の第1出力端に出力する全波整流回路と、
前記一対の第1出力端間に接続され、前記脈流電圧を平滑化する第1コンデンサと、
一対の第2入力端と、一対の第2出力端と、を有し、前記一対の第2入力端に入力される前記第1コンデンサによって平滑化された前記脈流電圧を降圧する降圧チョッパ回路である第1変換回路と、
前記一対の第2出力端間に接続され、前記第1コンデンサによって平滑化され、前記第1変換回路によって降圧された前記脈流電圧を平滑化して、第1直流電圧として出力する第2コンデンサと、
一対の第3入力端と、一対の第3出力端と、を有し、前記一対の第3出力端は光源に接続され、前記一対の第3入力端に入力される前記第1直流電圧を前記第1直流電圧とは異なる第2直流電圧に変換し、前記一対の第3出力端に出力する第2変換回路と、
前記一対の第2出力端間に接続され、前記一対の第2出力端間の電位差が所定値を上回った場合に、前記一対の第2出力端間を短絡する保護回路と、
前記保護回路が前記一対の第2出力端間を短絡し、前記一対の第2出力端間に前記交流電源から短絡電流が流れた場合に、前記交流電源から前記交流電圧が入力される電路を遮断する遮断回路と、
前記保護回路が前記一対の第2出力端間を短絡した場合に、前記第2コンデンサから前記保護回路に流れる電流を抑制する電流抑制回路と、
を備える、
点灯装置。
【請求項2】
前記第1コンデンサの第1静電容量は、1μF以下であり、
前記第2コンデンサの第2静電容量は、前記第1静電容量の100倍以上である、
請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記電流抑制回路は、前記一対の第2出力端のうちの1つと前記一対の第3入力端のうちの1つとの間の電路において前記保護回路の一端と前記第2コンデンサの一端との間に接続されている素子を含む、
請求項1又は2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記素子はダイオードである、
請求項3に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記保護回路は、
前記電位差が前記所定値を上回った場合に検知信号を出力する電圧検知回路と、
前記検知信号が入力された場合に前記一対の第2出力端間を短絡する短絡回路と、を有する、
請求項1又は2に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記短絡回路は、アノード、カソード及びゲートを有するサイリスタを含み、
前記アノードは、前記一対の第2出力端のうち高電位側の第2出力端に接続され、
前記カソードは、前記一対の第2出力端のうち低電位側の第2出力端に接続され、
前記サイリスタは、前記ゲートに前記検知信号であるゲート電流が流れた場合に、前記アノードと前記カソードとを導通させる、
請求項5に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記保護回路は、前記一対の第2出力端にそれぞれ接続される一対の接続電極を有する二端子サイリスタを含み、
前記二端子サイリスタは、前記一対の接続電極間の電位差が前記所定値を上回った場合に、前記一対の接続電極間を導通させる、
請求項1又は2に記載の点灯装置。
【請求項8】
前記第1直流電圧は、100V以下であり、
前記所定値は、前記脈流電圧の最大値より小さく、
前記所定値は、前記第1直流電圧よりも大きい、
請求項1又は2に記載の点灯装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の点灯装置と、
前記光源と、を備える、
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置及び照明器具に関する。より詳細には、本開示は、交流電源を電源として光源を点灯させる点灯装置及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のLED点灯装置は、商用交流電源を全波整流する全波整流器と、全波整流器の出力端に並列接続される第1のコンデンサと、第1のコンデンサに入力端を並列接続されるスイッチング電源回路部と、スイッチング電源回路部の出力端に接続されるLED発光部と、LED発光部に並列接続される第2のコンデンサとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようなLED点灯装置において、スイッチング電源回路部(降圧チョッパ回路)のスイッチング素子の短絡故障等により、スイッチング電源回路部(降圧チョッパ回路)の後段の回路に商用交流電源(交流電源)から過電圧が印加される可能性があった。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、降圧チョッパ回路の後段の回路に交流電源から過電圧が印加される可能性を低減できる点灯装置、及びこの点灯装置を備えた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る点灯装置は、全波整流回路と、第1コンデンサと、第1変換回路と、第2コンデンサと、第2変換回路と、保護回路と、遮断回路と、電流抑制回路と、を備える。前記全波整流回路は、一対の第1入力端と、一対の第1出力端と、を有し、交流電源から前記一対の第1入力端に入力される交流電圧を全波整流した脈流電圧を、前記一対の第1出力端に出力する。前記第1コンデンサは、前記一対の第1出力端間に接続され、前記脈流電圧を平滑化する。前記第1変換回路は、一対の第2入力端と、一対の第2出力端と、を有し、前記一対の第2入力端に入力される前記第1コンデンサによって平滑化された前記脈流電圧を降圧する降圧チョッパ回路である。前記第2コンデンサは、前記一対の第2出力端間に接続され、前記第1コンデンサによって平滑化され、前記第1変換回路によって降圧された前記脈流電圧を平滑化して、第1直流電圧として出力する。前記第2変換回路は、一対の第3入力端と、一対の第3出力端と、を有し、前記一対の第3出力端は光源に接続され、前記一対の第3入力端に入力される前記第1直流電圧を前記第1直流電圧とは異なる第2直流電圧に変換し、前記一対の第3出力端に出力する。前記保護回路は、前記一対の第2出力端間に接続され、前記一対の第2出力端間の電位差が所定値を上回った場合に、前記一対の第2出力端間を短絡する。前記遮断回路は、前記保護回路が前記一対の第2出力端間を短絡し、前記一対の第2出力端間に前記交流電源から短絡電流が流れた場合に、前記交流電源から前記交流電圧が入力される電路を遮断する。前記電流抑制回路は、前記保護回路が前記一対の第2出力端間を短絡した場合に、前記第2コンデンサから前記保護回路に流れる電流を抑制する。
【0007】
本開示の一態様に係る照明器具は、前記点灯装置と、前記光源と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、降圧チョッパ回路の後段の回路に交流電源から過電圧が印加される可能性を低減できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る照明器具の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の照明装置の模式的な回路図である。
【
図3】
図3は、同上の照明装置が備える点灯装置の動作を説明するための波形図である。
【
図4】
図4は、同上の点灯装置の動作を説明するための波形図である。
【
図5】
図5は、同上の点灯装置が備える保護回路の模式的な回路図である。
【
図6】
図6は、変形例1に係る点灯装置が備える保護回路の模式的な回路図である。
【
図7】
図7は、変形例2に係る点灯装置が備える保護回路の模式的な回路図である。
【
図8】
図8は、変形例3に係る照明装置の模式的な回路図である。
【
図9】
図9は、変形例3の更なる変形例に係る照明装置の模式的な回路図である。
【
図10】
図10は、変形例3の更なる変形例に係る照明装置の模式的な回路図である。
【
図11】
図11は、変形例3の更なる変形例に係る照明装置の模式的な回路図である。
【
図12】
図12は、変形例3の更なる変形例に係る照明装置の模式的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る点灯装置2及び、点灯装置2を備える照明器具1について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態(変形例を含む)は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0011】
(1)概要
以下、点灯装置2及び照明器具1の概要について、
図2~
図5を参照して説明する。
【0012】
照明器具1は、
図2に示すように、点灯装置2と、光源3と、を備える。
【0013】
点灯装置2は、全波整流回路4と、第1コンデンサC1と、第1変換回路5と、第2コンデンサC2と、第2変換回路6と、保護回路9と、遮断回路13と、電流抑制回路15と、を備える。
【0014】
全波整流回路4は、一対の第1入力端41と、一対の第1出力端42と、を有し、交流電源PSから一対の第1入力端41に入力される交流電圧Vac(
図3参照)を全波整流した脈流電圧Vp(
図3参照)を、一対の第1出力端42に出力する。
【0015】
第1コンデンサC1は、一対の第1出力端42間に接続され、脈流電圧Vpを平滑化する。
【0016】
第1変換回路5は、一対の第2入力端51と、一対の第2出力端52と、を有し、一対の第2入力端51に入力される第1コンデンサC1によって平滑化された脈流電圧Vpを降圧する降圧チョッパ回路である。より詳細には、第1変換回路5は、第1コンデンサC1によって平滑化された脈流電圧Vpが第1変換回路5の所定の出力電圧よりも大きい期間に降圧動作を行う。
【0017】
第2コンデンサC2は、一対の第2出力端52間に接続され、第1コンデンサC1によって平滑化され、第1変換回路5によって降圧された脈流電圧Vpを平滑化して、第1直流電圧Vd1(
図4参照)として出力する。
【0018】
第2変換回路6は、一対の第3入力端61と、一対の第3出力端62と、を有し、一対の第3出力端62は光源3に接続され、一対の第3入力端61に入力される第1直流電圧Vd1を第1直流電圧Vd1とは異なる第2直流電圧Vd2(
図4参照)に変換し、一対の第3出力端62に出力する。
【0019】
保護回路9は、一対の第2出力端52間に接続され、一対の第2出力端52間の電位差Vs(
図5参照)が所定値を上回った場合に、一対の第2出力端52間を短絡する。
【0020】
遮断回路13は、保護回路9が一対の第2出力端52間を短絡し、一対の第2出力端52間に交流電源PSから短絡電流Is(
図5参照)が流れた場合に、交流電源PSから、例えば一対の第1入力端41へ交流電圧Vacが入力される電路14を遮断する。なお、遮断回路13は、点灯装置2に含まれる、交流電圧Vac及び交流電圧Vacを変換した電圧が入力される電路のうち、電路14以外の電路を遮断してもよい。
【0021】
電流抑制回路15は、保護回路9が一対の第2出力端52間を短絡した場合に、第2コンデンサC2から保護回路9に流れる電流(放電電流)を抑制する。
【0022】
上記の構成によれば、第1変換回路5の故障等により脈流電圧Vpが正常に降圧されなかった場合に、短絡電流Isが遮断回路13に流れ、遮断回路13が電路14を遮断することにより、第2変換回路6に交流電源PSから過電圧が印加される可能性を低減できる。また、上記の構成によれば、一対の第2出力端52間が短絡した場合に、第2コンデンサC2から保護回路9に流れる放電電流によって、保護回路9の動作に不具合が発生する可能性を低減できる。つまり、第2変換回路6に交流電源PSから過電圧が印加される可能性をより低減できる。
【0023】
(2)照明器具の構成
以下に、本実施形態に係る照明器具1の構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
照明器具1は、例えば、オフィスビルの執務室の天井などに直接又は取付器具を介して取り付けられる。ただし、照明器具1が設置される場所は、執務室の天井に限定されず、執務室及び執務室以外の居室などの壁面又は床面でも構わない。
【0025】
照明器具1は、
図1に示すように、長尺の棒状に形成された器具本体10と、透光性を有する合成樹脂によって形成されるカバー11と、交流電源PS(
図2参照)に電気的に接続される給電コネクタ12と、を有する。また、照明器具1は、
図2に示すように、点灯装置2と、光源3と、を備える。点灯装置2及び光源3は、器具本体10とカバー11との間の内部空間に収容され、光源3からの光がカバー11を介して下方に照射される。
【0026】
点灯装置2は、
図2に示すように、交流電源PSと光源3との間に接続されており、給電コネクタ12(
図1参照)を介して交流電源PSから光源3に供給される交流電圧Vacを制御する。ここで、交流電源PSは、例えば商用電力系統(100V、50/60Hz)である。なお、交流電源PSは、200V系の商用電力系統であってもよい。また、光源3は、電気的に直列に接続された複数のLED(Light Emitting Diode)30を含む。以下に、点灯装置2の構成について説明する。
【0027】
点灯装置2は、
図2に示すように、遮断回路13、フィルタ回路7、全波整流回路4、入力コンデンサ(第1コンデンサ)C1、第1変換回路5、保護回路9、出力コンデンサ(第2コンデンサ)C2、第2変換回路6及び第3コンデンサC3を有する。
【0028】
フィルタ回路7は、交流電源PSと全波整流回路4との間に設けられる。フィルタ回路7は、ノーマルモードノイズとコモンモードノイズの両方を除去するため、例えば、Yコンデンサ(バイパスコンデンサ)、コモンモードチョークコイル及びXコンデンサ(バイパスコンデンサ)を有する。交流電源PSとフィルタ回路7との間には遮断回路13が設けられる。
【0029】
全波整流回路4は、一対の第1入力端41と、一対の第1出力端42と、を有する。
【0030】
一対の第1入力端41は、フィルタ回路7に接続され、交流電源PSからフィルタ回路7を介して交流電圧Vacが入力される。本実施形態では、交流電圧Vacは、実効値100V、最大値141Vの交流電圧である(
図3参照)。
【0031】
全波整流回路4は、例えばダイオードブリッジ回路である。全波整流回路4は、
図3に示すように、一対の第1入力端41に入力される交流電圧Vacを全波整流して脈流電圧Vpに変換して一対の第1出力端42に出力する。
【0032】
遮断回路13は、交流電源PSから一対の第1入力端41へ交流電圧Vacが入力される電路14を遮断する。具体的には、遮断回路13は、電路14上に設けられたヒューズF1を有し、ヒューズF1に定格電流を上回る電流が所定時間以上流れた場合にヒューズF1が溶断することにより電路14を遮断する。
【0033】
第1コンデンサC1は、例えば無極性のフィルムコンデンサである。第1コンデンサC1の静電容量(第1静電容量)は1μF以下である。第1コンデンサC1は、全波整流回路4の一対の第1出力端42間に接続される。第1コンデンサC1は、一対の第1出力端42に出力される脈流電圧Vpを平滑化する。なお、第1コンデンサC1はフィルムコンデンサに限定されず、セラミックコンデンサ等でもよい。
【0034】
第1変換回路5は、
図2に示すように、一対の第2入力端51と、一対の第2出力端52と、を有する。
【0035】
一対の第2入力端51は、全波整流回路4が有する一対の第1出力端42と各々接続される。つまり、一対の第1出力端42間に接続される第1コンデンサC1によって脈流電圧Vpを平滑した平滑電圧V1(
図3参照)が一対の第2入力端51に入力される。ここで、一対の第2入力端51のうち平滑電圧V1の高電位側となる第2入力端51を第2入力端511、平滑電圧V1の低電位側となる第2入力端51を第2入力端512とする。
【0036】
第1変換回路5は、一対の第2入力端51に入力される平滑電圧V1を降圧する。なお、本実施形態では、第1変換回路5は降圧チョッパ回路である。ここで、一対の第2出力端52のうち第1変換回路5によって降圧された平滑電圧V1の高電位側となる第2出力端52を第2出力端521、第1変換回路5によって降圧された平滑電圧V1の低電位側となる第2出力端52を第2出力端522とする。
【0037】
第1変換回路5は、スイッチング制御回路53、ダイオードD1、スイッチング素子54、及びインダクタL1を有する。スイッチング素子54は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFET54Aである。なお、スイッチング素子54は、MOSFET以外に、例えばバイポーラトランジスタなどの他の半導体スイッチング素子であってもよい。
【0038】
図2に示すように、スイッチング制御回路53は、一対の第2入力端51間に接続される。
【0039】
第2入力端511から第2入力端512に、ダイオードD1、MOSFET54Aを順に接続した直列回路が接続される。より詳細には、ダイオードD1のカソードは第2入力端511に接続される。ダイオードD1のアノードはMOSFET54Aのドレインに接続される。MOSFET54Aのソースは第2入力端512に接続される。また、ダイオードD1のアノードとMOSFET54Aのドレインとの接続点と、第2出力端522との間にインダクタL1が接続される。
【0040】
スイッチング制御回路53は、例えば、制御ICで構成される。スイッチング制御回路53は、一対の第2入力端51に入力される平滑電圧V1から生成される動作電圧によって動作する。
【0041】
スイッチング制御回路53は、MOSFET54Aのゲートへのゲート電圧(ゲート・ソース間電圧)の印加を制御することにより、MOSFET54Aをオン/オフ制御する。スイッチング制御回路53は、MOSFET54Aを例えば電流臨界モードでオン/オフ制御することが好ましい。なお、電流臨界モードとは、インダクタL1に流れる電流(回生電流)がゼロになったときにMOSFET54Aをオンする動作モードである。
【0042】
スイッチング制御回路53は、一対の第2出力端52に出力された直流電圧を第2コンデンサC2(後述する)によって平滑化した第1直流電圧Vd1(
図4参照)が100V以下(例えば48V)となるように、MOSFET54Aをオン/オフ制御する。つまり、第1直流電圧Vd1は100V以下である。具体的には、スイッチング制御回路53は、第1直流電圧Vd1が48Vとなるようなデューティ比でMOSFET54Aをオン/オフ制御する。また、スイッチング制御回路53は、第1直流電圧Vd1をモニタすることによって、第1直流電圧Vd1が一定になるようにデューティ比を制御してもよい。
【0043】
なお、第1変換回路5は降圧チョッパ回路であればよく、上記の構成に限定されない。
【0044】
保護回路9は、
図2及び
図5に示すように、一対の第2出力端52間に接続され、一対の第2出力端52間の電位差Vsが所定値を上回った場合に、一対の第2出力端52間を短絡する。
【0045】
保護回路9は、一対の第2出力端52間の電位差Vs(
図5参照)が所定値を上回った場合に検知信号Igを出力する電圧検知回路91と、電圧検知回路91からの検知信号Igが入力された場合に一対の第2出力端52間を短絡する短絡回路92とを有する。
【0046】
電圧検知回路91は、一例として、ツェナーダイオードZD1及び抵抗R1を含む回路である。ツェナーダイオードZD1及び抵抗R1は第2出力端521と第2出力端522との間に直列に接続される。より詳細には、ツェナーダイオードZD1のカソードK1は第2出力端521に接続され、ツェナーダイオードZD1のアノードA1に抵抗R1の一端が接続される。また、抵抗R1の他端が第2出力端522に接続される。
【0047】
短絡回路92は、一例として、アノードA2、カソードK2及びゲートG2を有するサイリスタTh1を含む回路である。アノードA2は、一対の第2出力端52のうち高電位側の第2出力端521に接続される。カソードK2は、一対の第2出力端52のうち低電位側の第2出力端522に接続される。ゲートG2は、ツェナーダイオードZD1のアノードA1と抵抗R1との接続点に接続される。サイリスタTh1は、ゲートG2に、電圧検知回路91が出力する検知信号Igであるゲート電流が流れた場合に、アノードA2とカソードK2とを導通させる。
【0048】
電圧検知回路91及び短絡回路92の動作については、「(3)短絡故障時の動作」において詳細に説明する。
【0049】
第2コンデンサC2は、例えば有極性のアルミ電解コンデンサである。第2コンデンサC2の静電容量(第2静電容量)は第1コンデンサC1の第1静電容量の100倍以上である。第2コンデンサC2は、第1変換回路5の一対の第2出力端52間に接続される。第2コンデンサC2は、第1変換回路5の一対の第2出力端52に出力される電圧(第1コンデンサC1によって平滑化され、第1変換回路5によって降圧された脈流電圧Vp)を平滑化して第1直流電圧Vd1を出力する。詳細には、第2コンデンサC2は、一対の第2出力端52に出力される電圧に含まれる、脈流成分に起因するリップル及びMOSFET54Aのオン/オフの切替動作に起因するノイズを低減する。なお、第2コンデンサC2はアルミ電解コンデンサに限定されず、タンタル電解コンデンサ等でもよい。また、第2コンデンサC2は固体高分子コンデンサであってもよい。
【0050】
第2変換回路6はスイッチング電源回路であり、光源3に出力される電圧をより細かに制御するための回路である。
【0051】
第2変換回路6は、
図2に示すように、一対の第3入力端61と、一対の第3出力端62と、を有する。
【0052】
一対の第3入力端61は、第1変換回路5が有する一対の第2出力端52と各々接続される。つまり、第1直流電圧Vd1が一対の第3入力端61に入力される。ここで、一対の第3入力端61のうち第1直流電圧Vd1の高電位側となる第3入力端61を第3入力端611、第1直流電圧Vd1の低電位側となる第3入力端61を第3入力端612とする。
【0053】
第2変換回路6は、一対の第3入力端61に入力される第1直流電圧Vd1を、第1直流電圧Vd1とは異なる第2直流電圧Vd2(
図4参照)に変換し、一対の第3出力端62に出力する。一対の第3出力端62は光源3に接続されている。つまり、光源3には一対の第3出力端62から、第3コンデンサC3(後述する)によって平滑化された第2直流電圧Vd2(出力電圧)が印加される。これによって光源3(複数のLED30)に点灯電流が流れ、光源3が点灯する。ここで、光源3を点灯するために必要な出力電圧の大きさは、光源3に含まれる複数のLED30の個数、及び各LED30の点灯開始電圧によって決定される。
【0054】
なお、本実施形態では、第2変換回路6は例えば降圧チョッパ回路であり、第1直流電圧Vd1を降圧して第2直流電圧Vd2に変換する。ここで、一対の第3出力端62のうち第2直流電圧Vd2の高電位側となる第3出力端62を第3出力端621、第2直流電圧Vd2の低電位側となる第3出力端62を第3出力端622とする。
【0055】
第2変換回路6は、一例として、ダイオード、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFETであるスイッチング素子、抵抗、インダクタ及び降圧チョッパ回路用の制御ICで構成されるスイッチング制御回路等を有する。
【0056】
第2変換回路6は、光源3の照度を変更するための操作部8と接続される。操作部8は、例えば、ユーザによって操作される例えばロータリー式又はスライド式のスイッチを含む。操作部8は、ユーザの操作に応じて、光源3の照度を指示する調光信号を第2変換回路6に出力する。調光信号は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号、DMX(Digital Multiplex)信号等を含む。第2変換回路6と操作部8とは、例えば有線接続される。なお、第2変換回路6と操作部8とは、例えば、赤外線通信、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の無線通信方式によって無線接続されてもよい。
【0057】
第3コンデンサC3は、例えば有極性のアルミ電解コンデンサである。第3コンデンサC3は、第2変換回路6の一対の第3出力端62間に接続される。第3コンデンサC3は、一対の第3出力端62に出力される第2直流電圧Vd2を平滑化する。詳細には、第3コンデンサC3は、第2直流電圧Vd2に含まれる、脈流成分に起因するリップル及び第2変換回路6が有するMOSFETのオン/オフの切替動作に起因するノイズを低減する。なお、第3コンデンサC3はアルミ電解コンデンサに限定されず、タンタル電解コンデンサ等でもよい。また、第3コンデンサC3は固体高分子コンデンサであってもよい。
【0058】
(3)短絡故障時の動作
以下に、第1変換回路5が有するMOSFET54Aにおいて短絡故障が発生した場合における点灯装置2の動作について説明する。
【0059】
本実施形態では、第1変換回路5が有するMOSFET54Aの故障によりMOSFET54Aのドレイン、ソース間に短絡が発生したとする。この場合、MOSFET54Aは常時オン状態となり、第1変換回路5は一対の第2入力端51に入力される平滑電圧V1(
図3参照)を降圧することが不可能となる。なお、MOSFET54Aのドレイン、ゲート間に短絡が発生した場合も、MOSFET54Aは常時オン状態となる。また、結露、塵埃の蓄積等によっても、MOSFET54Aのドレイン、ソース間の短絡、及び、ドレイン、ゲート間の短絡が発生し得る。
【0060】
点灯装置2に保護回路9が設けられていない場合、MOSFET54Aが常時オン状態となると、第1変換回路5の後段に設けられた第2コンデンサC2及び第2変換回路6に、平滑電圧V1が第1変換回路5によって降圧されずに印加される。ここにおいて、平滑電圧V1は、実効値100V、最大値141Vの交流電圧Vacを全波整流回路4及び第1コンデンサC1によってそれぞれ全波整流及び平滑化した電圧である。したがって、
図3に示すように、平滑電圧V1の最大値は141Vとなる。第2コンデンサC2及び第2変換回路6は、第1変換回路5によって100V以下に降圧された電圧が入力される前提で選定又は設計されているため、最大値が141Vである平滑電圧V1が印加された場合は、第2コンデンサC2の電解液の液漏れ、第2変換回路6の故障等の不具合が発生する可能性がある。
【0061】
以下に、MOSFET54Aは常時オン状態となった場合の保護回路9(電圧検知回路91及びサイリスタTh1)及び遮断回路13の動作について
図2及び
図3を参照して説明する。
【0062】
電圧検知回路91に含まれるツェナーダイオードZD1及び抵抗R1は、一対の第2出力端52間の電位差Vsが所定値を上回ったときに、ツェナーダイオードZD1のカソードK1、アノードA1間の電圧がツェナーダイオードZD1の降伏電圧となるように選定される。つまり、電位差Vsが所定値を上回ると、ツェナーダイオードZD1が導通(降伏)し、ツェナーダイオードZD1及び抵抗R1に電流が流れる。これにより、抵抗R1の両端に電位差が生じ、サイリスタTh1のゲートG2からカソードK2にゲート電流(検知信号Ig)が流れ、サイリスタTh1のアノードA2、カソードK2間が導通する。換言すると、サイリスタTh1は、電圧検知回路91からの検知信号Igが入力された場合に一対の第2出力端52間を短絡する。
【0063】
サイリスタTh1によって一対の第2出力端52間が短絡すると、交流電源PSから一対の第2出力端52間に短絡電流Isが流れる。より具体的には、短絡電流Isは、交流電源PSから、一対の第1入力端41へ交流電圧Vacが入力される電路14を介して、第2出力端52間に流れる。
【0064】
遮断回路13(ヒューズF1)は、保護回路9が有するサイリスタTh1が一対の第2出力端52間を短絡し、一対の第2出力端52間に交流電源PSから短絡電流Isが流れた場合に、電路14を遮断する。より具体的には、短絡電流IsによってヒューズF1が溶断することによって、電路14が遮断される。これにより、第2コンデンサC2及び第2変換回路6に平滑電圧V1が印加され、第2コンデンサC2の電解液の液漏れ、第2変換回路6の故障等の不具合が発生する可能性を低減することができる。
【0065】
ここで、電位差Vsの所定値は、MOSFET54Aが正常にスイッチング動作を行っている場合の一対の第2出力端52間の電位差である第1直流電圧Vd1(例えば48V)より大きい値に設定される。これにより、MOSFET54Aが正常にスイッチング動作を行っている場合は、電圧検知回路91は検知信号Ig(ゲート電流)をサイリスタTh1に出力しない。
【0066】
また、所定値は、例えば141Vである、脈流電圧Vpの最大値(平滑電圧V1の最大値)よりも小さい値に設定される。なお、所定値は、100V以下の値に設定されることが更に好ましい。これにより、第2コンデンサC2及び第2変換回路6に過電圧が印加される可能性を低減できる。本実施形態では、所定値は、一例として80Vに設定される。換言すると、ツェナーダイオードZD1及び抵抗R1は、電位差Vsが80Vを上回ったときに、ツェナーダイオードZD1のカソードK1、アノードA1間の電圧がツェナーダイオードZD1の降伏電圧となるように選定される。
【0067】
MOSFET54Aが常時オン状態となると、平滑電圧V1が一対の第2出力端52に出力される。上述したように、平滑電圧V1の最大値は141Vであるため、電位差Vsは平滑電圧V1の一対の第2出力端52への出力開始後に80Vを上回る。保護回路9は、平滑電圧V1が、80Vを上回った時点で、一対の第2出力端52間を短絡する。
【0068】
(4)変形例
以下、実施形態の変形例を列挙する。ただし上記実施形態と共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜その説明を省略する。また、以下に説明する変形例の各構成は、上記実施形態で説明した各構成と適宜組み合わせて適用可能である。
【0069】
(4-1)変形例1
保護回路9は、
図6に示すように、一対の接続電極CN1を有する二端子サイリスタDA1を含んでもよい。
【0070】
二端子サイリスタDA1は、例えば双方向性の二端子サイリスタである。なお、二端子サイリスタDA1は、片方向性の二端子サイリスタであってもよい。
【0071】
より具体的には、二端子サイリスタDA1は、所謂ダイアックであり、一対の接続電極CN1間の電位差が所定値(例えば80V)を上回った場合に、一対の接続電極CN1間を導通させる。本変形例では、一対の接続電極CN1は、一対の第2出力端52にそれぞれ接続される。したがって、二端子サイリスタDA1は、一対の第2出力端52間の電位差Vsが所定値を上回った場合に、一対の第2出力端52間を短絡する。
【0072】
(4-2)変形例2
保護回路9は、
図7に示すように、一対の接続電極CN2を有するガスアレスタGA1ガスアレスタGA1(ガス入り放電管)を含んでもよい。
【0073】
ガスアレスタGA1は、一対の接続電極CN2間の電位差が所定値(例えば80V)を上回った場合に、一対の接続電極CN2間で放電が発生することにより一対の接続電極CN2間を導通させる。本変形例では、一対の接続電極CN2は、一対の第2出力端52にそれぞれ接続される。したがって、ガスアレスタGA1は、一対の第2出力端52間の電位差Vsが所定値を上回った場合に、一対の第2出力端52間を短絡する。
【0074】
(4-3)変形例3
本変形例に係る点灯装置2(2A)は、
図8に示すように、保護回路9が一対の第2出力端52間を短絡した場合に、出力コンデンサ(第2コンデンサ)C2から保護回路9に流れる電流(放電電流)を抑制する電流抑制回路15を更に備える。
【0075】
電流抑制回路15は、一対の第2出力端52のうちの1つ(例えば第2出力端521)と一対の第3入力端61のうちの1つ(例えば第3入力端611)との間の電路16において、保護回路9の一端と第2コンデンサC2の一端(例えば正極側の一端)との間に接続されている素子P1を含む。
【0076】
素子P1は、例えばダイオードD2である。
図8に示すように、ダイオードD2のアノードは保護回路9の一端に接続される。また、ダイオードD2のカソードは第2コンデンサC2の正極側の一端に接続される。
【0077】
以下に、保護回路9が一対の第2出力端52間を短絡した場合の電流抑制回路15の動作について説明する。
【0078】
上記実施形態の「(3)短絡故障時の動作」にて述べたように、MOSFET54Aのドレイン、ソース間に短絡が発生した場合、保護回路9が一対の第2出力端52間を短絡する。このとき、第2コンデンサC2は、第1変換回路5から出力される直流電圧によって蓄電された状態となっている。
【0079】
ここで、電流抑制回路15(ダイオードD2)が設けられていない場合、保護回路9が一対の第2出力端52間を短絡した瞬間に、第2コンデンサC2の正極側の一端から保護回路9の一端に向かって放電電流が流れる可能性がある。上述したように、第2コンデンサC2の第2静電容量は第1コンデンサC1の第1静電容量の100倍以上であり、第2コンデンサC2からの放電電流が大きくなる可能性があるため、保護回路9に不具合が生じる可能性がある。
【0080】
本変形例では、ダイオードD2のアノードが保護回路9の一端に接続され、ダイオードD2のカソードが第2コンデンサC2の正極側の一端に接続されるため、第2コンデンサC2から保護回路9に放電電流が流れることを抑制することができる。
【0081】
以下に、本変形例の更なる変形例について列挙する。
【0082】
ダイオードD2は、
図9に示すように、第2出力端522と第3入力端612との間の電路17において、保護回路9の他端と第2コンデンサC2の負極側の一端との間に接続されていてもよい。この場合、ダイオードD2のアノードは第2コンデンサC2の負極側の一端に接続され、ダイオードD2のカソードは保護回路9の他端に接続される。
【0083】
点灯装置2Aは、
図10に示すように、一対の第2出力端52間に接続される第4コンデンサC4を更に有してもよい。第4コンデンサC4は、電流抑制回路15の後段に設けられる。第4コンデンサC4は、MOSFET54Aが正常にスイッチング動作を行っている場合に電流抑制回路15に含まれる素子P1に流れるスイッチング電流に起因する素子P1の両端電圧の変動を抑制する。これにより、素子P1の両端電圧の変動による保護回路9の誤作動(短絡)が発生する可能性を低減することができる。なお、第4コンデンサC4の静電容量(第4静電容量)は、第2コンデンサC2の第2静電容量よりも小さいことが好ましい。
【0084】
電流抑制回路15に含まれる素子P1は、ダイオードD2に限定されず、抵抗R2であってもよい(
図11参照)。この場合、抵抗R2による保護回路9の保護は、抵抗R2によって放電電流を低減することで実現されてもよいし、放電電流によって抵抗R2をオープン故障させ放電電流の電路を遮断することによって実現されてもよい。すなわち、いずれの方法で保護回路9を保護するかによって、最適な抵抗値の抵抗が抵抗R2として選択されればよい。
【0085】
電流抑制回路15に含まれる素子P1は、
図12に示すように、第2コンデンサC2から流れる放電電流によって溶断するヒューズF2であってもよい。なお、ヒューズF2の定格電流は、遮断回路13が有するヒューズF1の定格電流よりも小さいことが好ましい。
【0086】
(5)まとめ
以上述べたように、第1の態様に係る点灯装置(2)は、全波整流回路(4)と、第1コンデンサ(C1)と、第1変換回路(5)と、第2コンデンサ(C2)と、第2変換回路(6)と、保護回路(9)と、遮断回路(13)と、電流抑制回路(15)と、を備える。全波整流回路(4)は、一対の第1入力端(41)と、一対の第1出力端(42)と、を有し、交流電源(PS)から一対の第1入力端(41)に入力される交流電圧(Vac)を全波整流した脈流電圧(Vp)を、一対の第1出力端(42)に出力する。第1コンデンサ(C1)は、一対の第1出力端(42)間に接続され、脈流電圧(Vp)を平滑化する。第1変換回路(5)は、一対の第2入力端(51)と、一対の第2出力端(52)と、を有し、一対の第2入力端(51)に入力される第1コンデンサ(C1)によって平滑化された脈流電圧(Vp)を降圧する降圧チョッパ回路である。第2コンデンサ(C2)は、一対の第2出力端(52)間に接続され、第1コンデンサ(C1)によって平滑化され、第1変換回路(5)によって降圧された脈流電圧(Vp)を平滑化して、第1直流電圧(Vd1)として出力する。第2変換回路(6)は、一対の第3入力端(61)と、一対の第3出力端(62)と、を有し、一対の第3出力端(62)は光源(3)に接続され、一対の第3入力端(61)に入力される第1直流電圧(Vd1)を第1直流電圧(Vd1)とは異なる第2直流電圧(Vd2)に変換し、一対の第3出力端(62)に出力する。保護回路(9)は、一対の第2出力端(52)間に接続され、一対の第2出力端(52)間の電位差(Vs)が所定値を上回った場合に、一対の第2出力端(52)間を短絡する。遮断回路(13)は、保護回路(9)が一対の第2出力端(52)間を短絡し、一対の第2出力端(52)間に交流電源(PS)から短絡電流(Is)が流れた場合に、交流電源(PS)から交流電圧(Vac)が入力される電路(14)を遮断する。電流抑制回路(15)は、保護回路(9)が一対の第2出力端(52)間を短絡した場合に、第2コンデンサ(C2)から保護回路(9)に流れる電流(放電電流)を抑制する。
【0087】
この態様によれば、第1変換回路(5)の故障等により脈流電圧(Vp)が正常に降圧されなかった場合に、短絡電流(Is)が遮断回路(13)に流れ、遮断回路(13)が電路(14)を遮断することにより、第2変換回路(6)に交流電源(PS)から過電圧が印加される可能性を低減できる。また、一対の第2出力端(52)間が短絡した場合に、第2コンデンサ(C2)から保護回路(9)に流れる放電電流によって、保護回路(9)の動作に不具合が発生する可能性を低減できる。つまり、第2変換回路(6)に交流電源(PS)から過電圧が印加される可能性をより低減できる。
【0088】
第2の態様に係る点灯装置(2)では、第1の態様において、第1コンデンサ(C1)の第1静電容量は、1μF以下である。第2コンデンサ(C2)の第2静電容量は、第1静電容量の100倍以上である。
【0089】
この態様によれば、第1コンデンサ(C1)を1μF以下とすることにより、交流電源(PS)から点灯装置(2)に流れる入力電流の波形を正弦波に近づけ、交流電源(PS)の力率を改善することができる。また、第1コンデンサ(C1)によって平滑化された脈流電圧(Vp)に残留した脈流成分を第2コンデンサ(C2)によって低減することができる。
【0090】
第3の態様に係る点灯装置(2)では、第1又は第2の態様において、電流抑制回路(15)は、一対の第2出力端(52)のうちの1つと一対の第3入力端(61)のうちの1つとの間の電路において保護回路(9)の一端と第2コンデンサ(C2)の一端との間に接続されている素子(P1)を含む。
【0091】
この態様によれば、電流抑制回路(15)を簡易化することができる。
【0092】
第4の態様に係る点灯装置(2)では、第3の態様において、素子(P1)はダイオード(D2)である。
【0093】
この態様によれば、電流抑制回路(15)を簡易化することができる。
【0094】
第5の態様に係る点灯装置(2)では、第1~第4のいずれかの態様において、保護回路(9)は、電位差(Vs)が所定値を上回った場合に検知信号(Ig)を出力する電圧検知回路(91)と、検知信号(Ig)が入力された場合に一対の第2出力端(52)間を短絡する短絡回路(92)と、を有する。
【0095】
この態様によれば、検知信号(Ig)をトリガとして一対の第2出力端(52)間を短絡できる。
【0096】
第6の態様に係る点灯装置(2)では、第5の態様において、短絡回路(92)は、アノード(A2)、カソード(K2)及びゲート(G2)を有するサイリスタ(Th1)を含む。アノード(A2)は、一対の第2出力端(52)のうち高電位側の第2出力端(52)に接続される。カソード(K2)は、一対の第2出力端(52)のうち低電位側の第2出力端(52)に接続される。サイリスタ(Th1)は、ゲート(G2)に検知信号(Ig)であるゲート電流が流れた場合に、アノード(A2)とカソード(K2)とを導通させる。
【0097】
この態様によれば、ゲート電流をトリガとして一対の第2出力端(52)間を短絡できる。
【0098】
第7の態様に係る点灯装置(2)では、第1~第4のいずれかの態様において、保護回路(9)は、一対の第2出力端(52)にそれぞれ接続される一対の接続電極(CN1)を有する二端子サイリスタ(DA1)を含む。二端子サイリスタ(DA1)は、一対の接続電極(CN1)間の電位差が所定値を上回った場合に、一対の接続電極(CN1)間を導通させる。
【0099】
この態様によれば、保護回路(9)を簡易化できる。
【0100】
第8の態様に係る点灯装置(2)では、第1~第7のいずれかの態様において、第1直流電圧(Vd1)は、100V以下である。電位差(Vs)の所定値は、脈流電圧(Vp)の最大値より小さい。電位差(Vs)の所定値は、第1直流電圧(Vd1)よりも大きい。
【0101】
この態様によれば、点灯装置(2)が正常に動作している場合には、保護回路(9)は一対の第2出力端(52)間を短絡しない。
【0102】
第9の態様に係る照明器具(1)は、第1~第8のいずれかの態様の点灯装置(2)と、光源(3)と、を備える。
【0103】
この態様によれば、第1変換回路(5)の故障等により脈流電圧(Vp)が正常に降圧されなかった場合に、短絡電流(Is)が遮断回路(13)に流れ、遮断回路(13)が電路(14)を遮断することにより、第2変換回路(6)に交流電源(PS)から過電圧が印加される可能性を低減できる。また、一対の第2出力端(52)間が短絡した場合に、第2コンデンサ(C2)から保護回路(9)に流れる放電電流によって、保護回路(9)の動作に不具合が発生する可能性を低減できる。つまり、第2変換回路(6)に交流電源(PS)から過電圧が印加される可能性をより低減できる。
【符号の説明】
【0104】
1 照明器具
2 点灯装置
3 光源
4 全波整流回路
5 第1変換回路
6 第2変換回路
9 保護回路
13 遮断回路
14 電路
15 電流抑制回路
41 第1入力端
42 第1出力端
51 第2入力端
52 第2出力端
61 第3入力端
62 第3出力端
91 電圧検知回路
92 短絡回路
A2 アノード
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
CN1 接続電極
CN2 接続電極
D2 ダイオード
DA1 双方向性二端子サイリスタ
G2 ゲート
GA1 ガスアレスタ
Ig 検知信号
Is 短絡電流
K2 カソード
P1 素子
PS 交流電源
Th1 サイリスタ
Vac 交流電圧
Vd1 第1直流電圧
Vd2 第2直流電圧
Vp 脈流電圧
Vs 電位差