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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175574
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20241211BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20241211BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241211BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241211BHJP
【FI】
G01L5/00 F
H01M10/42 P
H01M50/249
H01M50/204
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093459
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕和
(72)【発明者】
【氏名】古田 拓也
【テーマコード(参考)】
2F051
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
2F051AA21
2F051AB06
2F051BA07
5H030AA06
5H030AS08
5H030FF51
5H040AA06
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY05
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、衝撃の入力を検出することができるようにする。
【解決手段】センサユニット4は、左右方向へ延びるシート状で、下面に左右方向へ延びる1つの第1電極部12を有する第1電極シート10と、左右方向へ延びるシート状で、上面に左右方向へ延びる1つの第2電極部22を有する第2電極シート20と、第1電極シート10と第2電極シート20との間に介在され、左右方向に沿って形成されて第1電極部12と第2電極部22とを対向させる1つの開口部31を有する絶縁層30とを積層してなる。センサユニット4では、第1電極部12と第2電極部22とが開口部31を介して接触して導通することで衝撃入力が検出可能な検出領域Eが形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平である所定の第1方向に配列される複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールと、前記バッテリモジュールの下面側に配置されるアンダー部材とを含むバッテリパックにおいて、前記バッテリモジュールの下面と前記アンダー部材の上面との間に配置されて前記バッテリモジュールへの衝撃入力を検出するセンサユニットであって、
前記第1方向へ延びるシート状で、下面に前記第1方向に沿って形成される1つの第1電極部を有する第1電極シートと、
前記第1方向へ延びるシート状で、上面に前記第1方向に沿って形成される1つの第2電極部を有する第2電極シートと、
前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に介在され、前記第1方向に沿って形成されて前記第1電極部と前記第2電極部とを対向させる1つの開口部を有する絶縁層と、を積層してなり、
前記第1電極部と前記第2電極部とが前記開口部を介して接触して導通することで衝撃入力が検出可能な検出領域が形成されていることを特徴とするセンサユニット。
【請求項2】
前記検出領域は、少なくとも所定の第1検出領域と所定の第2検出領域とを含んでなり、前記第1検出領域は、前記第2検出領域よりも検出感度が小さく或いは検出感度が0に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記第1検出領域は、前記第1方向と直交する水平である第2方向での前記開口部の幅が、前記第2方向での前記第2検出領域の前記開口部の幅よりも小さく形成されることで検出感度が前記第2検出領域よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記第1電極部及び前記第2電極部は、前記開口部と相似或いは同じ平面視形状であることを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記絶縁層は、前記第1方向と交差する方向で前記開口部を部分的に塞ぐ橋掛部を有して、前記橋掛部により検出感度が0に設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記第2電極シートの下面に、前記絶縁層よりも小さい弾性率を有する弾性シートが配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記弾性シートは、前記第1検出領域の下方に位置する部分の厚みが、前記第2検出領域の下方に位置する部分の厚みよりも小さくなっていることを特徴とする請求項6に記載のセンサユニット。
【請求項8】
前記バッテリモジュールとの間に、前記バッテリモジュールの取付部材が設けられていると共に、前記取付部材の下面に、下方へ突出する凸部及び/又は上方へ凹む凹部が形成されており、
前記第1検出領域は、前記凸部の側面及び/又は前記凹部の側面を含む領域の下方に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車等の移動体に用いられるバッテリパックの変形を検出するためのセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車では、ハイブリッド式や全電気式といった電動化が進み、各装置の駆動電源として、リチウムイオン電池等を用いたバッテリパックが搭載されている。このバッテリパックは、複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールを有し、自動車のフレームの上側或いはフレームの下側に設置される。
バッテリパックがフレームの下側に設置される場合、路面との接触や飛び石等による衝撃から保護するために、バッテリパックの下面はアンダー部材で覆われる。
しかし、リチウムイオン電池は外部からの衝撃に弱く、変形等により爆発や火災の危険があり、路面からの衝撃によりアンダー部材が変形するとバッテリパックに衝撃入力が加わる。よって、バッテリパックへの衝撃入力をアンダー部材の変形を検出することで監視するセンサが用いられている。このセンサとして、例えば特許文献1には、バッテリパックの下面とアンダー部材との間に、冷却剤が通過する複数の冷却導管を配置し、路面からの衝撃により冷却導管が変形した際の冷却剤の流速又は圧力等を監視することでバッテリパックの損傷を検出するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5858123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムは、バッテリパックとアンダー部材との間に、冷却剤が通過する冷却導管を介在させるため、熱交換器やコンプレッサ等の供給システムが新たに必要となる。よって、厚みや重量が大きくなってコストアップに繋がる。
そこで、シート状のセンサをバッテリパックとアンダー部材との間に介在させれば、コンパクト化及び軽量化が達成できる。このセンサとして、例えば、絶縁層を挟んで一対の電極層を設けてなる静電容量型センサが挙げられる。この静電容量型センサをバッテリパックとアンダー部材との間に複数並べて配置すれば、アンダー部材に外力が作用した際の静電容量の変化から衝撃入力を検出することができる。
しかし、バッテリパックが複数配列される場合、複数の静電容量型センサを配置する必要があり、切替回路などを含め、回路構成が複雑になってしまう。
【0005】
そこで、本開示は、簡単な構成で、複数箇所の衝撃の入力を検出することができるセンサユニットを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、水平である所定の第1方向に配列される複数のバッテリセルを有するバッテリモジュールと、バッテリモジュールの下面側に配置されるアンダー部材とを含むバッテリパックにおいて、バッテリモジュールの下面とアンダー部材の上面との間に配置されてバッテリモジュールへの衝撃入力を検出するセンサユニットであって、
第1方向へ延びるシート状で、下面に第1方向に沿って形成される1つの第1電極部を有する第1電極シートと、
第1方向へ延びるシート状で、上面に第1方向に沿って形成される1つの第2電極部を有する第2電極シートと、
第1電極シートと第2電極シートとの間に介在され、第1方向に沿って形成されて第1電極部と第2電極部とを対向させる1つの開口部を有する絶縁層と、を積層してなり、
第1電極部と第2電極部とが開口部を介して接触して導通することで衝撃入力が検出可能な検出領域が形成されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、検出領域は、少なくとも所定の第1検出領域と所定の第2検出領域とを含んでなり、第1検出領域は、第2検出領域よりも検出感度が小さく或いは検出感度が0に設定されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、第1検出領域は、第1方向と直交する水平である第2方向での開口部の幅が、第2方向での第2検出領域の開口部の幅よりも小さく形成されることで検出感度が第2検出領域よりも小さく設定されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、第1電極部及び第2電極部は、開口部と相似或いは同じ平面視形状であることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、絶縁層は、第1方向と交差する方向で開口部を部分的に塞ぐ橋掛部を有して、橋掛部により検出感度が0に設定されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、第2電極シートの下面に、絶縁層よりも小さい弾性率を有する弾性シートが配置されていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、弾性シートは、第1検出領域の下方に位置する部分の厚みが、第2検出領域の下方に位置する部分の厚みよりも小さくなっていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、 バッテリモジュールとの間に、バッテリモジュールの取付部材が設けられていると共に、取付部材の下面に、下方へ突出する凸部及び/又は上方へ凹む凹部が形成されており、
第1検出領域は、凸部の側面及び/又は凹部の側面を含む領域の下方に配置されていることを特徴とする。
なお、本開示において、「水平」は、厳密な水平を含むが、下方からの衝撃入力を検出できれば足りる趣旨から、厳密な水平からの多少の誤差(傾斜)は許容する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、簡単な構成で、複数箇所の衝撃の入力を検出することができる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、検出領域が、検出感度が異なる少なくとも第1、第2検出領域を含むことで、衝撃の入力位置に合わせて第1、第2検出領域を配置すれば、衝撃の入力位置による検出感度の調整を容易に行うことができる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、第1検出領域は、第2方向での開口部の幅が第2検出領域の開口部の幅よりも小さく形成されることで検出感度が第2検出領域よりも小さく設定されているので、開口部の幅を設定する簡単な構造で検出感度の調整が行える。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、第1電極部及び第2電極部は、開口部と相似或いは同じ平面視形状であるので、各検出領域での検出精度を均一化することができる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、絶縁層は、第1方向と交差する方向で開口部を部分的に塞ぐ橋掛部を有して、橋掛部により検出感度が0に設定されているので、衝撃入力を検出する必要のない位置での誤検出を防止することができる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、第2電極シートの下面に、絶縁層よりも小さい弾性率を有する弾性シートが配置されているので、アンダー部材からの衝撃入力が緩衝されて過度の衝撃がセンサユニットに加わることを防止できる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、弾性シートは、第1検出領域の下方に位置する部分の厚みが、第2検出領域の下方に位置する部分の厚みよりも小さくなっているので、検出感度に合わせた緩衝作用の調整が可能となる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、第1検出領域は、取付部材に設けた凸部の側面及び/又は凹部の側面を含む領域の下方に配置されているので、剛性の高い凸部及び/又は凹部の側面に対応して検出感度の小さい第1検出領域を配置することができ、凹凸のある取付部材が用いられても検出精度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】バッテリパックの正面図である。
図2】センサユニットの平面図である。
図3】センサユニットの分解斜視図である。
図4】(A)は図2のA-A線断面の後半分を拡大して示す説明図、(B)は図2のB-B線断面の後半分を拡大して示す説明図である。
図5】(A)は、凸部がある取付部材の側面図、(B)は、凸部に対応した検出領域を有するセンサユニットの平面図である。
図6】第1、第2電極部を開口部と同じ平面形状としたセンサユニットの平面図である。
図7】橋掛部を設けたセンサユニットの平面図である。
図8】弾性シートの厚みを変えた変更例を示す側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、バッテリパックの一例を示す正面図である。なお、説明の便宜上、図1の上側を上、左側を左として上下方向及び左右方向を規定する。センサユニットにおいては、長手方向を左右方向、短手方向を前後方向とする。
バッテリパック1は、自動車のフレームの下面に設置されている。バッテリパック1は、バッテリモジュール2と、バッテリモジュール2を収容するケース3と、センサユニット4とを備えている。
バッテリモジュール2は、左右方向に配列される複数のバッテリセル2a,2a・・を有している。
ケース3は、バッテリモジュール2を上方から保持して下面が開口するアッパー部材5と、アッパー部材5に下方から組み付けられて開口を閉塞するアンダー部材6とを備えている。アッパー部材5及びアンダー部材6は、何れも導電性材料で形成されて接地がなされている。バッテリモジュール2の下側には、バッテリモジュール2をアッパー部材5に取り付けるための取付部材7が設けられている。センサユニット4は、ケース3内で取付部材7の下側に取り付けられている。
【0010】
センサユニット4は、図2及び図3に示すように、上側の第1電極シート10と、下側の第2電極シート20と、第1、第2電極シート10,20の間に介在される絶縁層30と、第2電極シート20の下方に配置される弾性シート40とを積層してなる。第1、第2電極シート10,20及び絶縁層30、弾性シート40は、何れも左右方向に延びる平面視帯板状の外形を有している。
図4に、図2におけるA-A断面及びB-B断面を拡大して示している。但し、各断面では後半分のみを一部省略して示すと共に、積層構造を明確にするために後述する電極部及びカバーコート層の厚みを誇張して示している。
第1電極シート10は、樹脂製(例えばPET、PEN、PI)で平面視帯板状の第1樹脂フィルム11の下面に、導電インク(例えばカーボン、銀等)を印刷してなる第1電極部12を、所定の前後幅で左右方向へ帯状に形成したものである。第1電極シート10の左右方向の両端には、第1電極部12と電気的に接続するための第1配線部13,13が設けられている。第1樹脂フィルム11の下面には、樹脂製の第1カバーコート層14が形成されている。第1カバーコート層14は、第1樹脂フィルム11と同じ外形で形成され、内側には、第1電極部12の外形よりも一回り小さい相似形の第1内孔15が形成されている。よって、第1電極部12は、第1内孔15を介して下方に露出している。
【0011】
第2電極シート20も、樹脂製(例えばPET、PEN、PI等)で平面視帯板状の第2樹脂フィルム21の上面に、導電インク(例えばカーボン、銀等)を印刷してなる第2電極部22を、所定の前後幅で左右方向に形成したものである。第2電極シート20の左右方向の両端には、第2電極部22と電気的に接続するための第2配線部23,23が設けられている。第2樹脂フィルム21の上面には、樹脂製の第2カバーコート層24が形成されている。第2カバーコート層24は、第2樹脂フィルム21と同じ外形で形成され、内側には、第2電極部22の外形よりも一回り小さい相似形の第2内孔25が形成されている。よって、第2電極部22は、第2内孔25を介して上方に露出している。
【0012】
絶縁層30は、絶縁性の粘着剤を左右方向に延びる枠状に形成したものである。絶縁層30の内側には、左右方向に延びる開口部31が形成されている。
この開口部31により、絶縁層30を挟んだ第1電極シート10と第2電極シート20との間には、図4に示すように、第1電極部12と第2電極部22とが開口部31内で隙間(例えば0.3mm)をおいて対向する検出領域Eが形成される。
但し、開口部31の内縁には、短手方向の両端から相対向して突出する平面視台形の一対の突部32,32が、長手方向に所定間隔をおいて複数形成されている。この突部32,32により、検出領域Eでは、図4(A)に示すように、突部32,32がある前後幅の狭い部分で第1、第2電極部12,22同士が対向する第1検出領域E1と、図4(B)に示すように、突部32,32のない前後幅の広い部分で第1、第2電極部12,22同士が対向する第2検出領域E2とが交互に形成されることになる。
このため前後幅が狭い第1検出領域E1は、第2検出領域E2よりも剛性が高くなって、同じ荷重でも変位量は第2検出領域E2よりも小さくなる。すなわち、第1検出領域E1の検出感度は、第2検出領域E2の検出感度よりも小さくなる。
【0013】
以上の如く構成されたセンサユニット4は、バッテリパック1では、バッテリモジュール2に入力される衝撃の入力位置や衝撃の大きさに応じて第1検出領域E1と第2検出領域E2の何れかが対応するようにバッテリモジュール2の下側に配置される。
例えば、図5(A)に示すように、バッテリモジュール2の下面を覆う取付部材7が、下方へ突出する凸部8を有し、凸部8の左右が傾斜部9,9となっているような場合、傾斜部9の剛性は他の平面部よりも高い。よって、センサユニット4は、図5(B)に示すように、剛性が高い傾斜部9の下方に第1検出領域E1が位置し、凸部8の平面部の下方及び他の平面部の下方に第2検出領域E2が位置するように配置される。これは、取付部材7が上方へ凹む凹部を有する場合も同じで、凹部の左右が傾斜部となっている場合は、剛性が高い傾斜部の下方に第1検出領域E1が位置し、凹部の平面部の下方及び他の平面部の下方に第2検出領域E2が位置するように配置される。凸部と凹部とが共に形成されている場合も同じである。
【0014】
バッテリパック1では、センサユニット4の第1配線部13及び第2配線部23が図示しないコントローラに接続されている。コントローラは、例えば、図示しない抵抗を介して第1、第2配線部13,23と接続され、第1、第2配線部13,23を介して第1、第2電極部12,22間に所定の電圧を印加する。そして、各第1、第2検出領域E1,E2の何れかにおいて路面からの衝撃が入力された場合、第1電極部12と第2電極部22とが接触することにより形成される導電経路を流れる電流を検出する。但し、電流に代えて電圧を検出する等、他の検出方法であってもよい。
よって、路面からの衝撃によりアンダー部材6が上方へ変形すると、その真上に位置するセンサユニット4に当接して図4に矢印aで示すように衝撃が入力される。その衝撃により第1検出領域E1又は第2検出領域E2で二点鎖線で示すようにセンサユニット4に変形が生じ、第1電極部12と第2電極部22とが接触すると、コントローラによって電流が検出される。コントローラは、電流の検出値を予め設定された閾値と比較して、バッテリモジュール2のバッテリセル2aへの衝撃が許容範囲であるか否かを判別する。
このとき、取付部材7の傾斜部9の下方に位置する第1検出領域E1は、第2検出領域E2よりも検出感度が小さくなっているので、剛性の高い傾斜部9での衝撃入力が検出しにくくなる。
【0015】
このように、上記形態のセンサユニット4は、左右方向(所定の第1方向の一例)に配列される複数のバッテリセル2aを有するバッテリモジュール2と、バッテリモジュール2の下面側に配置されるアンダー部材6とを含むバッテリパック1において、バッテリモジュール2の下面とアンダー部材6の上面との間に配置されてバッテリモジュール2への衝撃入力を検出する。
センサユニット4は、左右方向へ延びるシート状で、下面に左右方向に沿って形成される1つの第1電極部12を有する第1電極シート10と、左右方向へ延びるシート状で、上面に左右方向に沿って形成される1つの第2電極部22を有する第2電極シート20と、第1電極シート10と第2電極シート20との間に介在され、左右方向に沿って形成されて第1電極部12と第2電極部22とを対向させる1つの開口部31を有する絶縁層30とを積層してなる。
そして、センサユニット4では、第1電極部12と第2電極部22とが開口部31を介して接触して導通することで衝撃入力が検出可能な検出領域Eが形成されている。
この構成によれば、簡単な構成で、複数箇所の衝撃の入力を検出することができる。
【0016】
検出領域Eは、所定の第1検出領域E1と所定の第2検出領域E2とを含んでなり、第1検出領域E1は、第2検出領域E2よりも検出感度が小さく設定されている。
この構成によれば、検出感度の異なる第1、第2検出領域E1,E2を設けることで、衝撃の入力位置に合わせて第1、第2検出領域E1,E2を配置すれば、衝撃の入力位置による検出感度の調整を容易に行うことができる。
【0017】
第1検出領域E1は、左右方向と直交する前後方向(第2方向の一例)での開口部31の幅が、前後方向での第2検出領域E2の開口部31の幅よりも小さく形成されることで検出感度が第2検出領域E2よりも小さく設定されている。
よって、開口部31の幅を設定する簡単な構造で検出感度の調整が行える。
第2電極シート20の下面に、絶縁層30よりも小さい弾性率を有する弾性シート40が配置されている。
よって、アンダー部材6からの衝撃入力が緩衝されて過度の衝撃がセンサユニット4に加わることを防止できる。
センサユニット4とバッテリモジュール2との間に、バッテリモジュール2の取付部材7が設けられていると共に、取付部材7の下面に、下方へ突出する凸部8が形成されており、第1検出領域E1は、凸部8の傾斜部9(側面の一例)を含む領域の下方に配置されている。
よって、剛性の高い傾斜部9に対応して検出感度の小さい第1検出領域E1を配置することができ、凹凸のある取付部材7が用いられても検出精度を安定させることができる。
【0018】
本開示において、以下の変更が可能である。
上記形態では、第1電極部と第2電極部とを前後幅が変化しない帯状に形成しているが、第1、第2電極部は、開口部と相似或いは同じ平面視形状としてもよい。図6は、開口部31に対して第1電極部12と第2電極部22とを同じ平面視形状としたものである。点線で示すハッチング部分が第1、第2電極部12,22となっている。
このように第1、第2電極部12,22を開口部31と相似或いは同じ平面視形状とすれば、各検出領域E1,E2での検出精度を均一化することができる。
上記形態では、一対の突部によって開口部の前後幅を狭くして、検出感度が小さい第1検出領域を形成しているが、前後方向の何れか一方から突出される1つの突部によって開口部の前後幅を狭くしてもよい。また、図7に示すように、開口部31を部分的に閉塞する橋掛部33を、左右方向に1又は複数箇所形成して、橋掛部33での検出感度を0としてもよい。
このように開口部31を部分的に塞ぐ橋掛部33を形成して検出感度を0に設定すれば、衝撃入力を検出する必要のない位置での誤検出を防止することができる。
【0019】
上記形態では、弾性シートを左右方向で同じ厚みとしているが、図8に示す弾性シート40のように、凸部8を有する取付部材7に合わせて、剛性の低い順に、第2検出領域E2の下方部分の厚みt1を最も大きくし、次いで凸部8の下方部分の厚みt2を小さくし、傾斜部9の真下となる第1検出領域E1の下方部分の厚みt3を最も小さくしてもよい。なお、センサユニット4は、実際には取付部材7の下面形状に合わせて変形させた状態で取付部材7の下面に固定される。
このように、第1検出領域E1の下方に位置する部分の厚みt3を、第2検出領域E2の下方に位置する部分の厚みt1よりも小さくすれば、検出感度に合わせた緩衝作用の調整が可能となる。
弾性シートの厚みは段階的でなく、検出領域に合わせて連続的に変更してもよい。但し、弾性シートは省略してもよい。
取付部材の形状は上記形態に限らない。取付部材がないバッテリパックでも本開示のセンサユニットは適用できる。この場合、バッテリセルの形状や位置に合わせて検出領域を配置すればよい。
【0020】
電極部は、導電インクに限らず、例えば導電膜のエッチング等で形成してもよい。電極シートは、FPC(Flexible printed circuits)で形成してもよい。
絶縁層に設ける開口部の形状は、上記形態に限定しない。例えば、突部の平面視形状は台形でなく、四角形や半円形等としてもよい。
検出領域は、第1検出領域と第2検出領域との2種類でなく、突部の突出量を変えることで、開口部の前後幅を3段階以上に設定して、検出感度が異なる3種類以上の検出領域を設定してもよい。
絶縁層は、絶縁性の粘着剤によるものに限らない。絶縁層は、例えば絶縁体からなるシートを用いて開口部を打ち抜き形成する等して形成してもよい。
カバーコート層は省略してもよい。
【0021】
バッテリパックにおいて、上記形態ではアッパー部材とアンダー部材とを共に導電性として接地しているが、アッパー部材とアンダー部材との何れか一方のみを導電性として接地してもよい。
上記形態では、バッテリセルの並び方向を左右方向としてセンサユニットの向きも左右方向としているが、これらの方向は、水平方向であれば前後方向等の他の方向であってもよい。
バッテリモジュールは、複数あってもよい。
バッテリパックは、自動車に限らず、電動カート、自動二輪車、電動車椅子、セニアカー等の他の移動体にも適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1・・バッテリパック、2・・バッテリモジュール、2a・・バッテリセル、3・・ケース、4・・センサユニット、5・・アッパー部材、6・・アンダー部材、7・・取付部材、8・・凸部、9・・傾斜部、10・・第1電極シート、12・・第1電極部、14・・第1カバーコート層、15・・第1内孔、20・・第2電極シート、22・・第2電極部、24・・第2カバーコート層、25・・第2内孔、30・・絶縁層、31・・開口部、32・・突部、33・・橋掛部、40・・弾性シート、E1・・第1検出領域、E2・・第2検出領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8