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特開2024-175577印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175577
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241211BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/14 611
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093464
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小亀 雄司
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EB29
2C056EB58
2C056EC79
2C056FA13
2C056HA22
2C057AF01
2C057AG15
2C057AK07
2C057AN05
(57)【要約】
【課題】送信中の印刷データにエラーが生じた場合でも、印刷効率の低下及び印刷精度の低下を抑制することができる印刷装置等を提供する。
【解決手段】印刷装置は、主制御回路と、直列的に接続され、主制御回路が送信した印刷データを上流から下流に転送する複数の副制御回路を備える副制御回路群と、複数のヘッドとを備え、複数のヘッドは、それぞれ対応する複数の副制御回路によって駆動され、印刷データは複数の画素データを含み、主制御回路は、印刷データに基づいて、互いに隣接しない画素データを有する第1画素群データ~第n画素群データを生成し(nは2以上の自然数)、第1画素群データ~第n画素群データを副制御回路群に送信し、各副制御回路は、第1画素群データ~第n画素群データから自身に紐付いた画素データを取得し、自身に紐付いた画素データに基づいて、ヘッドを駆動する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御回路と、
直列的に接続され、前記主制御回路が送信した印刷データを上流から下流に転送する複数の副制御回路を備える副制御回路群と、
複数のヘッドと
を備え、
前記複数のヘッドは、それぞれ対応する複数の副制御回路によって駆動され、
前記印刷データは複数の画素データを含み、
前記主制御回路は、
前記印刷データに基づいて、互いに隣接しない前記画素データを有する第1画素群データ~第n画素群データを生成し(nは2以上の自然数)、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データを前記副制御回路群に送信し、
各副制御回路は、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データから自身に紐付いた前記画素データを取得し、
自身に紐付いた前記画素データに基づいて、前記ヘッドを駆動する
印刷装置。
【請求項2】
各副制御回路は、連続した複数のメモリアドレスを有する記憶部を備え、前記複数のメモリアドレスに紐づけて前記第1画素群データ~前記第n画素群データを送信順に前記記憶部に記憶させる
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記主制御回路は、前記画素データの配置に規則性又は偏りが生じないように、前記第1画素群データ~前記第n画素群データを生成する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記複数の副制御回路は、第k副制御回路と、前記第k副制御回路よりも下流に位置する第k+1副制御回路(kは自然数)とを含み、
前記複数のヘッドは、前記第k副制御回路によって駆動される第kヘッドと、前記第k+1副制御回路によって駆動される第k+1ヘッドとを含み、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データは、第p画素群データ及び第q画素群データを含み(p及びqは自然数)、
前記第p画素群データは、前記第k副制御回路に紐付いており、前記第kヘッドが印刷する領域と前記第k+1ヘッドが印刷する領域とが重なる重なり領域に印刷するための前記画素データを含み、
前記第q画素群データは、前記第k+1副制御回路に紐付いており、前記重なり領域に印刷するための前記画素データを含み、
前記第k副制御回路から前記第k+1副制御回路に送信した前記第q画素群データに異常が発生した場合、前記第k副制御回路は、前記第p画素群データに含まれ、前記重なり領域に印刷するための前記画素データを補正して、前記重なり領域への印刷を実行し、前記第k+1副制御回路は前記重なり領域への印刷を実行しない
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第k副制御回路から前記第k+1副制御回路に送信した前記第q画素群データに異常が発生した場合、前記第k+1副制御回路は前記第q画素群データに異常が発生したことを前記第k副制御回路に通知する
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1画素群データ~前記第n画素群データは、前記第k+1副制御回路に紐付いており、前記重なり領域に印刷するための前記画素データを含まない第r画素群データ及び第s画素群データを含み(r及びsは自然数)、
前記第r画素群データは第1画素データを含み、前記第s画素群データは前記第1画素データに隣接する第2画素データを含み、
前記第k副制御回路から前記第k+1副制御回路に送信した前記第r画素群データに異常が発生し、前記第k副制御回路から前記第k+1副制御回路に送信した前記第s画素群データに異常が発生しなかった場合、前記第k+1副制御回路は、前記第2画素データに基づいて、前記第1画素データに対応する画素データを生成する
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第1画素群データ~前記第n画素群データは、前記第k+1副制御回路よりも下流の第f副制御回路に紐付いた第t画素群データを含み(f、tは自然数)、
前記第k副制御回路から前記第k+1副制御回路に送信した前記第t画素群データに異常が発生した場合、前記第k+1副制御回路は前記第t画素群データに異常が発生したことを前記第f副制御回路に通知する
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記複数のヘッドは、前記第f副制御回路によって駆動される第fヘッドと、前記第f副制御回路よりも上流の前記第f-1副制御回路によって駆動される第f-1ヘッドとを含み、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データは第v画素群データを含み(vは自然数)、
前記第v画素群データは、前記第f-1副制御回路に紐付いており、前記第f-1ヘッドが印刷する領域と前記第fヘッドが印刷する領域とが重なる第2重なり領域に印刷するための前記画素データを含み、
前記第t画素群データは前記第2重なり領域に印刷するための前記画素データを含み、
前記第t画素群データに異常が発生した場合、前記第f-1副制御回路は、前記第v画素群データに含まれ、前記第2重なり領域に印刷するための前記画素データを補正して、前記第2重なり領域への印刷を実行する
請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記複数のヘッドは、前記第f副制御回路によって駆動される第fヘッドと、前記第f副制御回路よりも上流の前記第f-1副制御回路によって駆動される第f-1ヘッドとを含み、
前記第t画素群データは、前記第f-1ヘッドが印刷する領域と前記第fヘッドが印刷する領域とが重なる第2重なり領域に印刷するための前記画素データを含まず、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データは、前記第f副制御回路に紐付いており、前記第2重なり領域に印刷するための前記画素データを含まない第w画素群データを含み(wは自然数)、
前記第t画素群データは第3画素データを含み、前記第w画素群データは前記第3画素データに隣接する第4画素データを含み、
前記第f-1副制御回路から前記第f副制御回路に送信した前記第t画素群データに異常が発生し、前記第f-1副制御回路から前記第f副制御回路に送信した前記第w画素群データに異常が発生しなかった場合、前記第f副制御回路は、前記第4画素データに基づいて、前記第3画素データに対応する画素データを生成する
請求項7に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記副制御回路群は、第g副制御回路と、前記第g副制御回路よりも所定数下流の第h副制御回路を含み、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データは、前記第h副制御回路に紐付いた第h画素群データを含み、
前記第g副制御回路から前記第h副制御回路に送信された前記第h画素群データに異常が発生した場合、前記第g副制御回路は前記第h画素群データを前記第h副制御回路群に再送する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記副制御回路群は、前記主制御回路よりも所定数下流の第j副制御回路を含み、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データは、前記第j副制御回路に紐付いた第j画素群データを含み、
前記主制御回路から前記第j副制御回路に送信された前記第j画素群データに異常が発生した場合、前記主制御回路は前記第j画素群データを前記第j副制御回路群に再送する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項12】
主制御回路と、直列的に接続され、前記主制御回路が送信した印刷データを上流から下流に転送する複数の副制御回路を備える副制御回路群と、前記複数の副制御回路によって駆動される複数のヘッドとを備える印刷装置にて実行される印刷方法であって、
前記印刷データは複数の画素データを含み、
前記主制御回路は、
前記印刷データに基づいて、互いに隣接しない前記画素データを有する第1画素群データ~第n画素群データを生成し(nは2以上の自然数)、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データを前記副制御回路群に送信し、
各副制御回路は、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データから自身に紐付いた前記画素データを取得し、
自身に紐付いた前記画素データに基づいて、前記ヘッドを駆動する
印刷方法。
【請求項13】
主制御回路と、直列的に接続され、前記主制御回路が送信した印刷データを上流から下流に転送する複数の副制御回路を備える副制御回路群と、前記複数の副制御回路によって駆動される複数のヘッドとを備える印刷装置にて実行されるコンピュータプログラムであって、
前記印刷データは複数の画素データを含み、
前記主制御回路に、
前記印刷データに基づいて、互いに隣接しない前記画素データを有する第1画素群データ~第n画素群データを生成し(nは2以上の自然数)、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データを前記副制御回路群に送信する
処理を実行させ、
各副制御回路に、
前記第1画素群データ~前記第n画素群データから自身に紐付いた前記画素データを取得し、
自身に紐付いた前記画素データに基づいて、前記ヘッドを駆動する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ヘッドを駆動して印刷を行う印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドを駆動させる複数のヘッド基板と、複数のヘッド基板を制御する複数のヘッドコントロール基板とを備える液滴吐出装置が提案されている。複数のヘッドコントロール基板はデイジーチェーン接続される。メインコントローラは画像データを上流側の端に位置するヘッドコントロール基板に送信する。各ヘッドコントロール基板は画像データを下流側に転送し、各ヘッド基板を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-76142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送信中の画像データにエラーが生じた場合、画像データをヘッドコントロール基板に再送することが考えられる。しかし、ヘッドの駆動時点までに画像データの再送が完了しない場合、ヘッドの駆動を停止させるか又は印刷速度を低下させる必要があり、印刷の効率性が低下する。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、送信中の印刷データにエラーが生じた場合でも、印刷効率の低下及び印刷精度の低下を抑制することができる印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る印刷装置は、主制御回路と、直列的に接続され、前記主制御回路が送信した印刷データを上流から下流に転送する複数の副制御回路を備える副制御回路群と、複数のヘッドとを備え、前記複数のヘッドは、それぞれ対応する複数の副制御回路によって駆動され、前記印刷データは複数の画素データを含み、前記主制御回路は、前記印刷データに基づいて、互いに隣接しない前記画素データを有する第1画素群データ~第n画素群データを生成し(nは2以上の自然数)、前記第1画素群データ~前記第n画素群データを前記副制御回路群に送信し、各副制御回路は、前記第1画素群データ~前記第n画素群データから自身に紐付いた前記画素データを取得し、自身に紐付いた前記画素データに基づいて、前記ヘッドを駆動する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る印刷方法は、主制御回路と、直列的に接続され、前記主制御回路が送信した印刷データを上流から下流に転送する複数の副制御回路を備える副制御回路群と、前記複数の副制御回路によって駆動される複数のヘッドとを備える印刷装置にて実行される印刷方法であって、前記印刷データは複数の画素データを含み、前記主制御回路は、前記印刷データに基づいて、互いに隣接しない前記画素データを有する第1画素群データ~第n画素群データを生成し(nは2以上の自然数)、前記第1画素群データ~前記第n画素群データを前記副制御回路群に送信し、各副制御回路は、前記第1画素群データ~前記第n画素群データから自身に紐付いた前記画素データを取得し、自身に紐付いた前記画素データに基づいて、前記ヘッドを駆動する。
【0008】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、主制御回路と、直列的に接続され、前記主制御回路が送信した印刷データを上流から下流に転送する複数の副制御回路を備える副制御回路群と、前記複数の副制御回路によって駆動される複数のヘッドとを備える印刷装置にて実行されるコンピュータプログラムであって、前記印刷データは複数の画素データを含み、前記主制御回路に、前記印刷データに基づいて、互いに隣接しない前記画素データを有する第1画素群データ~第n画素群データを生成し(nは2以上の自然数)、前記第1画素群データ~前記第n画素群データを前記副制御回路群に送信する処理を実行させ、各副制御回路に、前記第1画素群データ~前記第n画素群データから自身に紐付いた前記画素データを取得し、自身に紐付いた前記画素データに基づいて、前記ヘッドを駆動する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態に係る印刷装置、印刷方法及びコンピュータプログラムにあっては、主制御回路は印刷データに基づいて、互いに隣接しない画素データを有する第1画素群データ~第n画素群データを生成する。副制御回路群は第1画素群データ~第n画素群データを転送する。各副制御回路は、第1画素群データ~第n画素群データから自身に紐付いた画素データを取得し、自身に紐付いた画素データに基づいて、ヘッドを駆動する。送信時に、いずれかの画素群データにエラーが発生した場合でも、エラーが発生した画素群データを再送することなく、他の画素群データによって、印刷を行い、印刷効率の低下及び印刷精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】印刷装置の略示平面図である。
図2】インクジェットヘッドの平面透視図である。
図3】制御装置及びインクジェットヘッドのブロック図である。
図4】第kヘッドモジュールのブロック図である。
図5】マスク処理部におけるマスクの一例を示す概念図である。
図6】1ラインの印刷データの一例を示す模式図である。
図7】1ラインの印刷データの送信方法を説明する説明図である。
図8】Pg(1)~Pg(4)の生成時に、各画素データの配置に規則性又は偏りが生じた事例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施の形態に係る印刷装置を示す図面に基づいて説明する。図1は、印刷装置1の略示平面図である。図1において、印刷用紙100の搬送方向は印刷装置1の前後方向に対応する。印刷用紙100は印刷媒体の一例であり、フィルム又は布等を印刷媒体としてもよい。また印刷用紙100の幅方向は印刷装置1の左右方向に対応する。また前後方向及び左右方向と直交する方向、即ち図1の紙面垂直方向は印刷装置1の上下方向に対応する。
【0012】
図1に示すように、印刷装置1は、ケース2内に収容されたプラテン3、四つのインクジェットヘッド4、二つの搬送ローラ5、6、及び制御装置7等を備える。プラテン3の上面を、印刷用紙100が通過する。四つのインクジェットヘッド4は、プラテン3の上方において、搬送方向に並んでいる。各インクジェットヘッド4は、いわゆるラインタイプのヘッドである。インクジェットヘッド4には、インクタンク(図示略)からインクが供給される。四つのインクジェットヘッド4には、異なる色のインクが供給される。
【0013】
図1に示すように、二つの搬送ローラ5、6は、プラテン3に対して後側と前側にそれぞれ配置されている。二つの搬送ローラ5、6は、図示しないモータによってそれぞれ駆動され、プラテン3上の印刷用紙100を前方へ搬送する。制御装置7は、PC等の外部
装置9とデータ通信可能に接続されており、外部装置9から送られた印刷データに基づいて、印刷装置1の各部を制御する。
【0014】
図2は、インクジェットヘッド4の平面透視図である。インクジェットヘッド4は複数のヘッド42を備える。ヘッド42の下面には複数のノズル42aが設けられている。複数のヘッド42は、左右方向に並んだ4個のヘッド42を有する第1ヘッド列421と、左右方向に並んだ5個のヘッド42を備える第2ヘッド列422を備える。第1ヘッド列421は前側に配置され、第2ヘッド列422は後側に配置される。以下第1ヘッド列421のヘッド42をヘッド42Fとも称し、第2ヘッド列422のヘッド42をヘッド42Rとも称する。
【0015】
左右方向において、5個のヘッド42Rの間に4個の隙間が設けられる。左右方向において、4個のヘッド42Fの位置は4個の隙間の位置に対応する。即ち、各ヘッド42Fは隣り合う2つのヘッド42Rの間に配置される。前後方向において、各ヘッド42Fの左端部は、隣り合う2つのヘッド42Rにおける左側のヘッド42Rの右端部に重なり、各ヘッド42Fの右端部は、隣り合う2つのヘッド42Rにおける右側のヘッド42Rの左端部に重なる。ヘッド42F及びヘッド42Rが重なる領域は重なり領域42bを構成する。
【0016】
ヘッド42Fの左右端部におけるノズル42aは重なり領域42bに配置される。最も左側に位置するヘッド42Rの右端部におけるノズル42aは重なり領域42bに配置され、最も右側に位置するヘッド42Rの左端部におけるノズル42aは重なり領域42bに配置される。最も左側に位置するヘッド42Rと、最も右側に位置するヘッド42Rとの間に位置するヘッド42Rの左右端部におけるノズル42aは重なり領域42bに配置される。なおインクジェットヘッド4は駆動機構(図示略)を備え、該駆動機構によってフラッシング受け(図示略)まで移動することができる。
【0017】
図3は、制御装置7及びインクジェットヘッド4のブロック図である。制御装置7は主制御回路7aを備える。主制御回路7aは制御部7b、記憶部7c、及び通信インタフェース(I/F)7dを備える。制御部7bはロジック回路、例えばFPGAを備える。なお制御部7bはプロセッサ、例えばCPU、又はASIC等を備えてもよい。記憶部7cは主記憶装置及び補助記憶装置を含む。主記憶装置としては例えばRAMが挙げられる。補助記憶装置としては、例えばROM及び書き換え可能な記憶媒体、例えばEEPROM、FlashROM、ハードディスク等が挙げられる。補助記憶装置に制御プログラムが記憶される。制御部7bは補助記憶装置から主記憶装置に制御プログラムを読み出して実行する。制御プログラムは記録媒体70(図1参照)、例えば光ディスク又は持ち運び可能なフラッシュメモリから補助記憶装置にインストールされてもよい。なお制御プログラムは、印刷装置1に通信ネットワークを介して接続されたサーバから補助記憶装置にダウンロードされてもよい。通信I/F7dは順方向通信経路51及び逆方向通信経路52に接続される。制御装置7は、制御プログラムに基づいて、印刷装置1を制御する。
【0018】
インクジェットヘッド4は、複数のヘッドモジュール40を備える。複数のヘッドモジュール40は、例えば左右方向に並び、順方向通信経路51を介して直列的に接続され、また逆方向通信経路52を介して、直列的に接続される。複数のヘッドモジュール40は、例えば、第1ヘッドモジュール40(1)、第2ヘッドモジュール40(2)、第3ヘッドモジュール40(3)、・・・、第nヘッドモジュール40(n)を有する(nは自然数)。第1ヘッドモジュール40(1)は最も左に位置し、第nヘッドモジュール40(n)は最も右に位置する。第1ヘッドモジュール40(1)が全ヘッドモジュール40の中で制御装置7に最も近い位置にあり、第nヘッドモジュール40(n)が全ヘッドモジュール40の中で制御装置7から最も遠い位置にある。
【0019】
図4は、第kヘッドモジュール40(k)のブロック図である(kはn以下の自然数)。第kヘッドモジュール40(k)は、SoC41と、ヘッド42とを備える。以下、第kヘッドモジュール40(k)のSoC41をSoC(k)と、ヘッド42をヘッド(k)とも称する。SoC(k)は副制御回路に対応する。SoC(k)は、制御部41a、記憶部41b、通信I/F41c、通信I/F41d、マスク処理部41eを備える。制御部41aは例えばロジック回路又はプロセッサを備える。記憶部41bはSDRAM等の揮発性メモリ、EEPROM、FlashROM、ハードディスク等の書き換え可能な不揮発性の記憶媒体等を含む。通信I/F41c、41dは順方向通信経路51及び逆方向通信経路52に接続される。
【0020】
順方向通信経路51におけるデータの送信方向は、SoC(1)からSoC(n)に向かう方向、即ち順方向である。順方向は、上流から下流に向かう方向である。逆方向通信経路52におけるデータの送信方向は、SoC(n)からSoC(1)に向かう方向、即ち逆方向である。逆方向は、下流から上流に向かう方向である。
【0021】
なお図2の左は上流に対応し、右は下流に対応する。図2に示す最も左側のヘッド42は最も上流に位置するヘッドであり、最も右側のヘッドは最も下流に位置するヘッドである。図2の各ヘッド42に対応するSoCは順方向通信経路51及び逆方向通信経路52によって直列的に接続される。
【0022】
複数のSoC、即ちSoC(1)~SoC(n)はSoC群410を構成し、複数のヘッド42、即ちヘッド(1)~ヘッド(n)はヘッド群420を構成する(図3参照)。SoC群410は副制御回路群に対応する。
【0023】
図5は、マスク処理部41eにおけるマスクの一例を示す概念図である。マスク処理部41eは、例えば図5に示すように、第1マスク及び第2マスクを備える。第1マスク及び第2マスクは排他関係にあり、いずれのマスクも3画素×3画素であり、搬送方向に繰り返し適用される。これらのマスクは黒色の画素のビットは1であり、吐出を意味する。また白色の画素のビットは0であり非吐出を意味する。第1マスク及び第2マスクを示すマスクデータは、例えばマスク処理部41eのメモリ(図示略)に予め記憶される。
【0024】
図6は、1ラインの印刷データの一例を示す模式図である。図6において、各画素データが正方形で示されており、1ラインの印刷データとして、例えば20個の画素データが示されている。画素データは印刷用紙100に形成される画像の画素を示す。以下、20個の画素データを画素データ(1)~画素データ(20)とも称する。図6に示す1~20の番号は画素データ(1)~画素データ(20)の番号に対応する。図6の斜線が引かれている画素は、「吐出」に対応し、斜線が引かれていない画素は「非吐出」に対応する。
【0025】
例えば、1ラインの印刷データはヘッド(1)~ヘッド(4)の印刷領域における画素を示す。図6の矢印で示す範囲は、各SoC(1)~SoC(4)、即ち各ヘッド(1)~ヘッド(4)に対応する画素データの範囲を示す。主制御回路7aは1ラインの印刷データをSoC群410、即ちSoC(1)に送信する。
【0026】
SoC(1)は自身に対応する画素データ(1)~画素データ(8)を自身の記憶部41bに記憶し、画素データ(1)~画素データ(5)を除いた印刷データをSoC(2)に送信(転送)する。なお画素データ(6)~画素データ(8)は、ヘッド(1)とヘッド(2)との重なり領域42bに印刷される画素を示し、SoC(1)及びSoC(2)の両者に対応する画素データである。SoC(1)のマスク処理部41eは画素データ(
6)~画素データ(8)をSoC(1)の記憶部41bから取得し、画素データ(6)~画素データ(8)に、例えば第1マスクを適用し、第1マスク適用後の画素データ(6)~画素データ(8)をSoC(1)の記憶部41bに記憶する。
【0027】
SoC(2)はSoC(1)から1ラインの印刷データを取得し、自身に対応する画素データ(6)~画素データ(13)を自身の記憶部41bに記憶し、画素データ(6)~画素データ(10)を除いた印刷データをSoC(3)に送信(転送)する。なお画素データ(11)~画素データ(13)は、ヘッド(2)とヘッド(3)との重なり領域42bに印刷される画素を示し、SoC(2)及びSoC(3)の両者に対応する画素データである。
【0028】
SoC(2)のマスク処理部41eは画素データ(6)~画素データ(8)をSoC(2)の記憶部41bから取得し、画素データ(6)~画素データ(8)に、例えば第2マスクを適用し、第2マスク適用後の画素データ(6)~画素データ(8)をSoC(2)の記憶部41bに記憶する。
【0029】
SoC(2)のマスク処理部41eは画素データ(11)~画素データ(13)をSoC(2)の記憶部41bから取得し、画素データ(11)~画素データ(13)に、例えば第1マスクを適用し、第1マスク適用後の画素データ(11)~画素データ(13)をSoC(2)の記憶部41bに記憶する。
【0030】
SoC(3)はSoC(2)から1ラインの印刷データを取得し、自身に対応する画素データ(11)~画素データ(18)を自身の記憶部41bに記憶し、画素データ(11)~画素データ(15)を除いた印刷データをSoC(4)に送信(転送)する。なお画素データ(116)~画素データ(18)は、ヘッド(3)とヘッド(4)との重なり領域42bに印刷される画素を示し、SoC(3)及びSoC(4)の両者に対応する画素データである。
【0031】
SoC(3)のマスク処理部41eは画素データ(11)~画素データ(13)をSoC(3)の記憶部41bから取得し、画素データ(11)~画素データ(13)に、例えば第2マスクを適用し、第2マスク適用後の画素データ(11)~画素データ(13)をSoC(3)の記憶部41bに記憶する。
【0032】
SoC(3)のマスク処理部41eは画素データ(16)~画素データ(18)をSoC(3)の記憶部41bから取得し、画素データ(16)~画素データ(18)に、例えば第1マスクを適用し、第1マスク適用後の画素データ(16)~画素データ(18)をSoC(3)の記憶部41bに記憶する。
【0033】
SoC(4)はSoC(3)から1ラインの印刷データを取得し、自身に対応する画素データ(16)~画素データ(20)を自身の記憶部41bに記憶する。SoC(4)のマスク処理部41eは画素データ(16)~画素データ(18)をSoC(4)の記憶部41bから取得し、画素データ(16)~画素データ(18)に、例えば第2マスクを適用し、第2マスク適用後の画素データ(16)~画素データ(18)をSoC(4)の記憶部41bに記憶する。
【0034】
SoC(1)は画素データ(1)~画素データ(5)と、第1マスク適用後の画素データ(6)~画素データ(8)に基づいて、ヘッド(1)を駆動する。SoC(2)は画素データ(6)~画素データ(5)と、第1マスク適用後の画素データ(6)~画素データ(8)に基づいて、ヘッド(1)を駆動する。
【0035】
SoC(2)は、第2マスク適用後の画素データ(6)~画素データ(8)と、画素データ(9)及び画素データ(10)と、第1マスク適用後の画素データ(11)~画素データ(13)に基づいて、ヘッド(2)を駆動する。
【0036】
SoC(3)は、第2マスク適用後の画素データ(11)~画素データ(13)と、画素データ(14)及び画素データ(15)と、第1マスク適用後の画素データ(16)~画素データ(18)に基づいて、ヘッド(3)を駆動する。
【0037】
SoC(4)は、第2マスク適用後の画素データ(16)~画素データ(18)と、画素データ(19)及び画素データ(20)とに基づいて、ヘッド(3)を駆動する。
【0038】
主制御回路7aからSoC群410への印刷データの送信方法及びSoC間での印刷データの送信方法について説明する。図7は、1ラインの印刷データの送信方法を説明する説明図である。
【0039】
主制御回路7aは外部装置9から1ラインの印刷データを取得した場合、印刷データに基づいて、複数の画素群データを生成する。例えば、1ラインの印刷データを構成する画素データ(1)~画素データ(20)を、第1画素群データ~第4画素群データに分ける。以下、第1画素群データをPg(1)と、第2画素群データをPg(2)と、第3画素群データをPg(3)と、第4画素群データをPg(4)とも称する。なお複数の画素群データの数は4個に限定されず、3個以下でもよいし、5個以上でもよい。
【0040】
図7に示すように、例えばPg(1)は画素データ(1)、画素データ(6)、画素データ(11)、画素データ(13)及び画素データ(17)を備える。Pg(2)は画素データ(2)、画素データ(5)、画素データ(9)、画素データ(15)及び画素データ(18)を備える。Pg(3)は画素データ(4)、画素データ(7)、画素データ(10)、画素データ(14)及び画素データ(20)を備える。Pg(4)は画素データ(3)、画素データ(8)、画素データ(12)、画素データ(16)及び画素データ(19)を備える。即ち、主制御回路7aは、各画素データの配置に規則性又は偏りが生じないように、Pg(1)~Pg(4)を生成する。
【0041】
主制御回路7aはPg(1)~Pg(4)を順番にSoC群410に送信する。即ち1回目にPg(1)を送信し、2回目にPg(2)を送信し、3回目にPg(3)を送信し、4回目にPg(4)を送信する。
【0042】
記憶部41bは、例えばSDRAMを備える。SDRAMは、例えば連続した複数のメモリアドレスを備える。複数のメモリアドレスは、例えばアドレス(1)~アドレス(4)である。アドレスの番号はデータの送信順を示す。SoC(1)は、主制御回路7aからPg(1)を取得した場合、記憶部41bにおけるアドレス(1)の記憶領域にPg(1)を記憶し、主制御回路7aからPg(2)を取得した場合、記憶部41bにおけるアドレス(2)の記憶領域にPg(2)を記憶し、主制御回路7aからPg(3)を取得した場合、記憶部41bにおけるアドレス(3)の記憶領域にPg(3)を記憶し、主制御回路7aからPg(4)を取得した場合、記憶部41bにおけるアドレス(4)の記憶領域にPg(4)を記憶する。
【0043】
SoC(1)は、自身に対応する画素データ(1)及び画素データ(6)を除いたPg(1を記憶部41bから切り取ってSoC(2)に送信する。次にSoC(1)は、自身に対応する画素データ(2)及び画素データ(5)を除いたPg(2)を記憶部41bから切り取ってSoC(2)に送信する。次にSoC(1)は、自身に対応する画素データ(4)及び画素データ(7)を除いたPg(3)を記憶部41bから切り取ってSoC(
2)に送信する。次にSoC(1)は、自身に対応する画素データ(3)及び画素データ(8)を除いたPg(4)を記憶部41bから切り取ってSoC(2)に送信する。
【0044】
SoC(2)及びSoC(3)も、SoC(1)と同様に、Pg(1)~Pg(4)を自身の記憶部41bにおけるアドレス(1)~アドレス(4)の記憶領域に記憶し、Pg(1)~Pg(4)から自身に対応する画素データを除いたPg(1)~Pg(4)を記憶部41bから切り取って、下流側のSoCに送信する。SoC(4)はPg(1)~Pg(4)、即ち、自身に対応する画素データを記憶部41bに記憶する。アドレス(1)~アドレス(4)の記憶領域にPg(1)~Pg(4)を記憶することによって、DMA(Direct Memory Access)転送を効率良く行うことができる。
【0045】
各Pg(1)~Pg(4)にはパリティビットが設けられている。SoCは各Pg(1)~Pg(4)を受信する毎に、各Pg(1)~Pg(4)のパリティビットをチェックし、Pg(1)~Pg(4)の送信中にPg(1)~Pg(4)を構成する画素データにエラーが発生したか否かを判断する。
【0046】
いずれかのPg(1)~Pg(4)のパリティビットがエラーを示す場合、SoCは、エラーを示したPg(1)~Pg(4)に対して補正処理を実行する。補正処理は第1補正処理を含む。第1補正処理において、SoCは、エラーが生じた画素データが、上流側のSoCとの重なり領域42bに印刷する画素である場合、上流側のSoCにエラーが生じた画素データを示す情報を通知する。
【0047】
例えば、SoC(1)からSoC(2)への送信中に、Pg(3)にエラーが発生した場合、SoC(2)は、Pg(2)に含まれる画素データ(7)に対して第1補正処理を実行する。画素データ(7)はSoC(1)との重なり領域42bに印刷する画素である。SoC(2)はSoC(1)に、エラーが生じた画素データとして、画素データ(7)を示す情報を通知する。SoC(1)は、自身の記憶部41bに記憶した画素データ(7)に第1マスク及び第2マスクを適用させずに、前記画素データ(7)を使用してヘッド(1)を駆動する。
【0048】
補正処理は第2補正処理を含む。第2補正処理において、SoCは、エラーが生じた画素データが、上流側のSoCとの重なり領域42bに印刷する画素でない場合、エラーが生じた画素データに代えて、エラーが生じた画素データの隣の画素データに基づいて、ヘッドを駆動する。例えば、SoC(1)からSoC(2)への送信中に、Pg(2)にエラーが発生した場合、SoC(2)は、Pg(2)に含まれる画素データ(9)に対して第2補正処理を実行する。画素データ(9)はSoC(2)にのみ対応する画素であり、SoC(1)との重なり領域42bに印刷する画素ではない。SoC(2)は画素データ(9)に代えて、画素データ(9)の左隣の画素データ、即ち画素データ(8)を使用して、ヘッド(2)を駆動する。なお画素データ(9)に代えて、画素データ(9)の右隣の画素データ、即ち画素データ(10)を使用してもよい。
【0049】
補正処理は第3補正処理を含む。第3補正処理において、SoCは、エラーが生じた画素データを下流側のSoCに送信しない。下流側のSoCは、エラーが生じた画素データが自身に対応する画素データである場合、エラーが生じた画素データについて、第1補正処理又は第2補正処理を実行する。
【0050】
例えば、SoC(1)からSoC(2)への送信中に、Pg(4)にエラーが発生した場合、SoC(2)はSoC(3)に画素データ(12)、画素データ(16)及び画素データ(19)を送信しない。
【0051】
SoC(3)はSoC(2)に、エラーが生じた画素データとして、画素データ(12)を示す情報を通知する。SoC(2)は、自身の記憶部41bに記憶した画素データ(12)に第1マスク及び第2マスクを適用させずに、画素データ(12)に基づいてヘッド(2)を駆動する、即ち第1補正処理を実行する。なお上述の如く、送信中の画素データ(12)にエラーが生じた場合、SoC(2)は画素データ(12)に対して第2補正処理を実行する。即ち、SoC(2)は画素データ(12)に代えて画素データ(11)を使用する。画素データ(11)は「吐出」を示すので、SoC(2)に記憶される画素データ(12)も「吐出」を示す。
【0052】
例えば、SoC(1)からSoC(2)への送信中に、Pg(2)にエラーが発生した場合、SoC(2)はSoC(3)に画素データ(15)及び画素データ(18)を送信しない。SoC(3)は画素データ(15)に代えて画素データ(14)に基づいて、ヘッド(3)を駆動し、画素データ(18)に代えて画素データ(17)に基づいて、ヘッド(3)を駆動する、即ち第2補正処理を実行する。
【0053】
前述したように、主制御回路7aは、各画素データの配置に規則性又は偏りが生じないように、Pg(1)~Pg(4)を生成する。そのため、画素データの送信中にエラーが生じても、各SoCは、エラーが生じた画素データの再送を主制御回路7aに要求することなく、補正処理を行うことによってエラーに対処することができる。即ち、印刷精度の低下を抑制しつつ、印刷を行い、印刷効率の低下も抑制することができる。
【0054】
Pg(1)~Pg(4)の生成時に、各画素データの配置に規則性又は偏りが生じた場合、補正処理によって、エラーに対処することが難しい。図8は、Pg(1)~Pg(4)の生成時に、各画素データの配置に規則性又は偏りが生じた事例を説明する説明図である。図8は事例1~事例3を示す。
【0055】
事例1において、Pg(1)は画素データ(1)~画素データ(5)を備え、Pg(2)は画素データ(6)~画素データ(10)を備え、Pg(3)は画素データ(11)~画素データ(15)を備え、Pg(4)は画素データ(16)~画素データ(20)を備える。即ち各Pg(1)~Pg(4)は、連続する複数の画素データ、即ち隣接する複数の画素データを備える。事例1においては、Pg(2)の送信中にエラーが発生している。そのため、SoC(1)は画素データ(6)に代えて、例えば左隣の画素データ(5)を使用する、即ち第2補正処理を実行する。画素データ(6)は「非吐出」を示す。
【0056】
SoC(1)は画素データ(7)及び画素データ(8)に代えて、左隣の画素データを使用するため、画素データ(7)及び画素データ(8)も「非吐出」を示す。SoC(2)は画素データ(9)及び画素データ(10)に代えて、左隣の画素データを使用するため、画素データ(9)及び画素データ(10)も「非吐出」を示す。即ち、画素データ(8)~画素データ(10)は「吐出」を示すべきところ(図6参照)、「非吐出」を示しており、画素群データにおいて、複数の画素データが連続する又は隣接する場合、補正処理を実行したとしても、画質劣化を効果的に防ぐことができないおそれがある。
【0057】
事例2において、Pg(1)は画素データ(1)、画素データ(5)、画素データ(9)、画素データ(15)、画素データ(20)を備える。Pg(2)は画素データ(2)、画素データ(4)、画素データ(6)、画素データ(11)、画素データ(18)を備える。Pg(3)は画素データ(3)、画素データ(7)、画素データ(13)、画素データ(17)、画素データ(19)を備える。Pg(4)は画素データ(8)、画素データ(10)、画素データ(12)、画素データ(14)、画素データ(16)を備える。Pg(2)における画素データ(2)、画素データ(4)及び画素データ(6)は左側に偏って配置されている。Pg(3)における画素データ(17)及び画素データ(19)
は右側に偏って配置されている。Pg(4)における全ての画素データは右側に偏って配置されている。事例2においては、Pg(4)の送信中にエラーが発生している。
【0058】
SoC(1)は画素データ(8)に代えて、左隣の画素データを使用するため、画素データ(8)は「非吐出」を示す。SoC(4)はSoC(3)に、エラーが生じた画素データとして、画素データ(16)を示す情報を通知する。SoC(3)は、自身の記憶部41bに記憶された画素データ(16)に第1マスク及び第2マスクを適用させずに、前記画素データ(16)に基づいてヘッド(3)を駆動する、即ち第1補正処理を実行する。なお送信中の画素データ(16)にエラーが生じた場合、SoC(3)は画素データ(16)に対して第2補正処理を実行する。即ち、SoC(3)は画素データ(16)に代えて画素データ(15)を使用する。画素データ(15)は「吐出」を示すので、SoC(3)の記憶部41bに記憶される画素データ(16)も「吐出」を示す。画素データ(8)は「吐出」を示すべきところ、「非吐出」を示し、画素データ(16)は「非吐出」を示すべきところ、「吐出」を示しており(図6参照)、画素群データにおいて、複数の画素データの位置が偏っている場合、補正処理を実行したとしても、画質劣化を効果的に防ぐことができないおそれがある。
【0059】
事例3において、Pg(1)は画素データ(1)、画素データ(5)、画素データ(9)、画素データ(13)、画素データ(17)を備える。Pg(2)は画素データ(2)、画素データ(6)、画素データ(10)、画素データ(14)、画素データ(18)を備える。Pg(3)は画素データ(3)、画素データ(7)、画素データ(11)、画素データ(15)、画素データ(19)を備える。Pg(4)は画素データ(4)、画素データ(8)、画素データ(12)、画素データ(16)、画素データ(20)を備える。各Pg(1)~Pg(4)において、複数の画素データは、3個の画素データの間隔を空けて規則的に並んでいる。事例3においては、Pg(1)及びPg(2)の送信中にエラーが発生している。
【0060】
SoC(1)は画素データ(5)に代えて、例えば左隣の画素データ(4)を使用する、即ち第2補正処理を実行する。同様に、SoC(1)は画素データ(9)及び画素データ(13)、画素データ(17)に代えて、画素データ(8)、画素データ(12)及び画素データ(16)を使用する。なお画素データ(1)の左隣に画素データはないので、SoC(1)は例えば画素データ(1)に代えて、画素データ(1)に最も近い画素データ(3)を使用する。
【0061】
SoC(1)は画素データ(2)に代えて、例えば左隣の画素データ(1)を使用する、即ち第2補正処理を実行する。同様に、SoC(1)は画素データ(6)、画素データ(10)、画素データ(14)、画素データ(18)に代えて、画素データ(5)、画素データ(9)、画素データ(13)、画素データ(17)を使用する。
【0062】
画素データ(5)は「非吐出」を示すべきであるが、「吐出」を示しており、画素データ(6)は「非吐出」を示すべきであるが、「吐出」を示しており(図6参照)、画素群データにおいて、複数の画素データが規則的に並んでいる場合、補正処理を実行したとしても、画質劣化を効果的に防ぐことができないおそれがある。
【0063】
従って、各画素データの配置に規則性又は偏りが生じないように、Pg(1)~Pg(4)を生成することが望ましい。例えば、各Pgにおいて、2個の画素データは、2個以上の間隔を空けて並べ、且つ、左側、右側又は中央に偏らないように複数の画素データを並べ、且つ、規則性が生じないように複数の画素データを並べる。
【0064】
例えば、SoC(k)から、SoC(k)よりも所定数s下流のSoC(k+s)に画
素群データ(Pg)を送信する。PgはSoC(k+s)にて印刷される画素データを含む。即ちPgはSoC(k+s)に紐付いた画素群データである。SoC(k)からSoC(k+s)へのPgの送信中に、Pgにエラーが発生した場合、主制御回路7a又はSoC(k)はSoC(k+s)にPgを再送してもよい。最下流に近づくほどデータの送信(転送)回数が増加し、データに発生するエラー量も多くなりやすいので、補正処理では画質劣化を効果的に防げないおそれがある。したがって、主制御回路7a又はSoC(k)はSoC(k+s)にPgを再送し、画質劣化を防ぐ。
【0065】
なおコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトに配置されるか、若しくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0066】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 印刷装置
7a 主制御回路
40 ヘッドモジュール
41 SoC(副制御回路)
41a 制御部
41b 記憶部
41c、41d 通信I/F
41e マスク処理部
410 SoC群(副制御回路群)
42 ヘッド
51 順方向通信経路
52 逆方向通信経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8