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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175582
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】車両用空調ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
B60H1/00 102H
B60H1/00 102J
B60H1/00 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093476
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】長野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 生太
(72)【発明者】
【氏名】中村 沙希
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA02
3L211BA03
3L211BA06
3L211CA04
3L211CA06
3L211DA07
3L211DA10
(57)【要約】
【課題】冷風ガイド部によって第2混合流路へ冷風を確実に送りつつ、第1混合流路と第2混合流路とを確実に区画することのできる車両用空調ユニットを提供すること。
【解決手段】車両用空調ユニット(10;10A)のフットドア(50;50A)は、回転可能に設けられているフットドア回転軸(52)と、このフットドア回転軸(52)から延出しフット吹出口(23)を開閉するためのフット開閉部(53)と、フットドア回転軸(52)を始点としてフット開閉部(53)から離れるように延出する混合流路開閉部(54;54A)と、を有している。混合流路開閉部(54;54A)の先端は、冷風ガイド部(16)の外周面に沿った形状の嵌合部(54c;54Ac)とされ、フットドア(50;50A)がフット吹出口(23)を全開としているとき、冷風ガイド部(16)の外周面に嵌合している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され車室内に調和空気を供給する車両用空調ユニット(10;10A)であって、
内部に送風空気が流れる内部空間(SP)、送風空気を車室内の上方に吹き出す上部吹出口(21,22)、送風空気を車室内の下方に吹き出すフット吹出口(23)が形成されたケース(20)と、
前記内部空間(SP)に設けられ、送風空気を冷却可能な冷却用熱交換器(12)と、この冷却用熱交換器(12)を通過した送風空気を温めることが可能であり、前記冷却用熱交換器(12)と直交するように配置された加熱用熱交換器(13)と、
前記冷却用熱交換器(12)を通過した送風空気を前記加熱用熱交換器(13)へ導く割合を調節するミックスドア(30)と、
前記冷却用熱交換器(12)を通過した送風空気の一部を、前記フット吹出口(23)へガイドする冷風ガイド部(16)と、
前記上部吹出口(21,22)を開閉可能な上部開閉ドア(17,40)と、
前記フット吹出口(23)を開閉可能なフットドア(50;50A)と、を備え、
前記内部空間(SP)は、前記冷却用熱交換器(12)のみを通過する送風空気の流れる冷風流路(CP)と、前記加熱用熱交換器(13)を通過する送風空気の流れる温風流路(HP)と、前記冷風流路(CP)及び前記温風流路(HP)を通過し前記上部吹出口(21,22)へ流れる送風空気を混合する第1混合流路(MP1)と、前記冷風流路(CP)及び前記温風流路(HP)を通過し前記フット吹出口(23)へ流れる送風空気を混合する第2混合流路(MP2)と、を有し、
前記ミックスドア(30)は、送風空気の流れる方向を基準として、前記冷風流路(CP)の下流側の端部と前記温風流路(HP)の下流側の端部との間をスライド可能に設けられ、
前記冷風ガイド部(16)は、前記ミックスドア(30)の下流側に前記ミックスドア(30)の軌道に沿って設けられ、
前記フットドア(50;50A)は少なくとも、回転可能に設けられているフットドア回転軸(52)と、このフットドア回転軸(52)から延出し前記フット吹出口(23)を開閉するためのフット開閉部(53)と、前記フットドア回転軸(52)を始点として前記フット開閉部(53)から離れるように延出する混合流路開閉部(54;54A)と、を有し、
前記混合流路開閉部(54;54A)の先端は、前記冷風ガイド部(16)の外周面に沿った形状の嵌合部(54c;54Ac)とされ、
この嵌合部(54c;54Ac)は、前記フットドア(50;50A)が前記フット吹出口(23)を全開としているとき、前記冷風ガイド部(16)の外周面に嵌合している、車両用空調ユニット。
【請求項2】
前記混合流路開閉部(54)は、前記フットドア回転軸(52)から延出する固定部(54a)と、この固定部(54a)の先端辺に設けられ前記固定部(54a)対してスイング可能に設けられたスイング部(54b)とを含み、
前記上部吹出口(21,22)は、乗員の上半身に向かって送られる送風空気が送出されるベント吹出口(22)を含み、
前記上部開閉ドア(40)は、スライド可能に設けられ前記ベント吹出口(22)を開閉可能なベントドア本体(42)と、前記ベントドア本体(42)を駆動するためのベントドア駆動部(41)と、を備え、
前記ベントドア駆動部(41)は、前記ベントドア本体(42)の軌跡よりも前記第1混合流路(MP1)側に設けられ、
前記スイング部(54b)は、前記フットドア(50)が前記フット吹出口(23)を全開とする位置から全閉とする位置にスイングするときに、前記冷風ガイド部(16)に向けて折りたたまれるようにスイングする、請求項1に記載の車両用空調ユニット。
【請求項3】
前記上部吹出口(21,22)は、乗員の上半身に向かって送られる送風空気が送出されるベント吹出口(22)を含み、
前記上部開閉ドア(40)は、スライド可能に設けられ前記ベント吹出口(22)を開閉可能なベントドア本体(42)と、前記ベントドア本体(42)を駆動するためのベントドア駆動部(41)と、を備え、
前記ベントドア駆動部(41)は、前記ベントドア本体(42)の軌跡よりも前記第1混合流路(MP1)側に設けられるとともに、回転可能に設けられたベントドア駆動軸(41b)と、このベントドア駆動軸(41b)と一体的に回転し前記ベントドア本体(42)を移動するベントドア駆動ピニオン(41c)とを含み、
前記嵌合部(54Ac)の形状は、前記冷風ガイド部(16)の外周面に沿った凹状とされ、
前記ベントドア駆動ピニオン(41c)は、前記嵌合部(54Ac)の軌道上に設けられている、請求項1に記載の車両用空調ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の温度を調節する車両用空調ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両に車両用空調ユニットが搭載されている。車両用空調ユニットに関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に開示された車両用空調ユニットは、ケースの内部が上下に区分けされており、上部の流路には車外から吸入された乾燥した外気が流され、下部の流路には外気よりも湿気を多く含む車室内の内気が循環されている。また、これらの外気及び内気は、空気を冷却する冷却用熱交換器と空気を温める加熱用熱交換器とをそれぞれ通過可能とされている。
【0004】
冷却用熱交換器を通過し加熱用熱交換器を迂回した外気と冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器を通過した外気とは、主に第1混合流路で混合されて、車室内の上部に向かって吹き出される。一方、冷却用熱交換器を通過し加熱用熱交換器を迂回した内気と冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器を通過した内気とは、主に第2混合流路で混合されて、乗員の足元に向かって送風するためのフット吹出口から吹き出される。
【0005】
フット吹出口には、フット吹出口を開閉するためのフットドアがスイング可能に設けられている。また、フットドアには、第1混合流路と第2混合流路とを仕切るための混合流路開閉部も設けられている。フットドアがフット吹出口を全開にするとき、混合流路開閉部は、第2混合流路から第1混合流路への送風空気の流れを規制する。一方、フットドアがフット吹出口を全閉にするとき、混合流路開閉部は、第2混合流路から第1混合流路への送風空気の流れを許容する。
【0006】
車両用空調ユニットの運転モードには、フロントガラスの曇りを除去するためにフロントガラスに送風を行うデフロスタモードや、乗員の足元に送風を行うフットモードがある。そして、これらを同時に行うデフ・フットモードの際に、第2混合流路から第1混合流路への風の流れを規制することにより、乾燥した空気のみをフロントガラスに導くことができ、効率よくフロントガラスの曇りを除去することができる。
【0007】
ところで、車両用空調ユニットには、特許文献2に示されるように加熱用熱交換器が冷却用熱交換器に対して略直交する方向に設けられるものがある。このようにすることでケース後下部のスペースを確保することができ、乗員の足元のスペースを広くすることができる。
【0008】
また、特許文献3には、ケースの上部に形成された開口に向かう冷風とフット吹出口部に向かう冷風とをそれぞれガイドするための冷風ガイド部が開示されている。これにより、それぞれの開口部へ確実に送風を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015-080959号公報
【特許文献2】特開2021-062725号公報
【特許文献3】特開2017-105235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、ケース内の送風流路が上下に区画されている車両用空調ユニットにおいて、小型化を図るために加熱用熱交換器を冷却用熱交換器に対して略直交する方向に設けた。このとき、フット吹出口がケースの上部かつ後方に位置することとなり、第2混合流路に冷風を供給するために第1混合流路を横断する通路を設ける必要が生じた。このため、第2混合流路へ冷風を導くための冷風ガイド部を設けることにより、コンパクトでありながら確実に第2混合流路へ冷風を導くことのできる車両用空調ユニットを知見した。
【0011】
しかし、冷風ガイド部を第2混合流路の近傍まで延ばすと、混合流路開閉部と干渉する虞がある。冷風ガイド部が干渉する場合、第2混合流路から第1混合流路への風の漏れを防止できない。フロントガラスの曇りを効率よく除去できない虞がある。冷風ガイド部の先端が第2混合流路から離れていると、所望の量の冷風が第2混合流路に送風されない虞がある。
【0012】
本発明は、冷風ガイド部によって第2混合流路へ冷風を確実に送りつつ、第1混合流路と第2混合流路とを確実に区画することのできる車両用空調ユニットの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下の説明では、本発明の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本発明は図示の形態に限定されるものではない。
【0014】
本開示によれば、車両に搭載され車室内に調和空気を供給する車両用空調ユニット(10;10A)であって、
内部に送風空気が流れる内部空間(SP)、送風空気を車室内の上方に吹き出す上部吹出口(21,22)、送風空気を車室内の下方に吹き出すフット吹出口(23)が形成されたケース(20)と、
前記内部空間(SP)に設けられ、送風空気を冷却可能な冷却用熱交換器(12)と、この冷却用熱交換器(12)を通過した送風空気を温めることが可能であり、前記冷却用熱交換器(12)と直交するように配置された加熱用熱交換器(13)と、
前記冷却用熱交換器(12)を通過した送風空気を前記加熱用熱交換器(13)へ導く割合を調節するミックスドア(30)と、
前記冷却用熱交換器(12)を通過した送風空気の一部を、前記フット吹出口(23)へガイドする冷風ガイド部(16)と、
前記上部吹出口(21,22)を開閉可能な上部開閉ドア(17,40)と、
前記フット吹出口(23)を開閉可能なフットドア(50;50A)と、を備え、
前記内部空間(SP)は、前記冷却用熱交換器(12)のみを通過する送風空気の流れる冷風流路(CP)と、前記加熱用熱交換器(13)を通過する送風空気の流れる温風流路(HP)と、前記冷風流路(CP)及び前記温風流路(HP)を通過し前記上部吹出口(21,22)へ流れる送風空気を混合する第1混合流路(MP1)と、前記冷風流路(CP)及び前記温風流路(HP)を通過し前記フット吹出口(23)へ流れる送風空気を混合する第2混合流路(MP2)と、を有し、
前記ミックスドア(30)は、送風空気の流れる方向を基準として、前記冷風流路(CP)の下流側の端部と前記温風流路(HP)の下流側の端部との間をスライド可能に設けられ、
前記冷風ガイド部(16)は、前記ミックスドア(30)の下流側に前記ミックスドア(30)の軌道に沿って設けられ、
前記フットドア(50;50A)は少なくとも、回転可能に設けられているフットドア回転軸(52)と、このフットドア回転軸(52)から延出し前記フット吹出口(23)を開閉するためのフット開閉部(53)と、前記フットドア回転軸(52)を始点として前記フット開閉部(53)から離れるように延出する混合流路開閉部(54;54A)と、を有し、
前記混合流路開閉部(54;54A)の先端は、前記冷風ガイド部(16)の外周面に沿った形状の嵌合部(54c;54Ac)とされ、
この嵌合部(54c;54Ac)は、前記フットドア(50;50A)が前記フット吹出口(23)を全開としているとき、前記冷風ガイド部(16)の外周面に嵌合している、車両用空調ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、冷風ガイド部によって第2混合流路へ冷風を確実に送りつつ、第1混合流路と第2混合流路とを確実に区画することのできる車両用空調ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1による車両用空調ユニットを側方から見た状態の断面図である。
図2図1に示された冷風ガイド部を模式的に示した斜視図である。
図3図2に示された冷風ガイド部にフットドアが重なっている状態の斜視図である。
図4】ベントモード時における車両用空調ユニットの作用について説明する図である。
図5図5Aは、実施例2による車両用空調ユニットの要部断面図、図5Bは、図5Aに示したベントドア駆動部及びフットドアを上方から見た状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。説明中、前後とは車両用空調ユニットの搭載される車両の進行方向を基準として前後、左右とは車両の乗員を基準として左右を示している。図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
【0018】
<実施例1>
図1を参照する。車両用空調ユニット10(以下、「空調ユニット10」という。)は、車室の前下部に配置され、ブロアファン(図示せず)から送風された空気を所定の温度に調節した上で、車室内に送風する。
【0019】
空調ユニット10へ送風するためのブロアファンには、車室外の外気を取り入れることが可能であると共に、車室内の内気を循環させることができる、周知のものを採用することができる。このブロワファンは、第1送風口から外気を吹き出すと同時に、第1送風口の下に設けられた第2吹出口から内気を吹き出すことができる。
【0020】
空調ユニット10は、内部に送風空気が流れる内部空間SPが形成されているケース20と、内部空間SPに設けられ送風空気を冷却可能な冷却用熱交換器12と、この冷却用熱交換器12を通過した送風空気を温めることが可能な加熱用熱交換器13と、冷却用熱交換器12を通過した送風空気を加熱用熱交換器13へ導く割合を調節するミックスドア30と、このミックスドア30の上部に設けられ冷却用熱交換器12を通過した一部の冷風をガイドする冷風ガイド部16と、を有する。
【0021】
ケース20には、フロントガラスに向かって送風するための送風空気が通過するデフロスタ吹出口21と、前部の座席に着座する乗員に向かって送風するための送風空気が通過するベント吹出口22と、前部の座席に着座する乗員の足元に向かって送風するための送風空気が通過するフット吹出口23と、が形成されている。
【0022】
デフロスタ吹出口21は、スイング可能に設けられているデフロスタドア17によって開閉される。ベント吹出口22は、スライド可能に設けられているベントドア40によって開閉される。フット吹出口23は、スイング可能に設けられているフットドア50によって開閉される。
【0023】
以下、デフロスタ吹出口21とベント吹出口22を、まとめて「上部吹出口21、22」ということがある。上部吹出口21、22は、送風空気を車室内の上方に吹き出すための吹出口である。また、デフロスタドア17とベントドア40を、まとめて「上部開閉ドア17、40」ということがある。上部開閉ドア17、40は、上部吹出口21、22を開閉可能なドアである。
【0024】
ケース20は、例えば、複数のパーツによって構成される。より具体的には、上部の左右を構成するパーツ、及び、下部を構成するパーツの3つのパーツにより構成される。それぞれのパーツには、樹脂製の射出成形品を用いることができる。なお、ケース20は、2つのパーツによって構成されていても良いし、4つ以上のパーツによって構成されていても良い。
【0025】
ケース20には、送風空気の流れ方向を基準として冷却用熱交換器12よりも上流側において内部空間SPを上下に区画している第1区画壁部25と、冷却用熱交換器12よりも下流側において内部空間SPを上下に区画している第2区画壁部26と、この第2区画壁部26と冷却用熱交換器12との間にスイング可能に設けられている可動区画壁部27と、が設けられている。
【0026】
図に示される状態において、各区画壁部25~27の上部には外気が流れ、下部には内気が流れる。つまり、各区画壁部25~27の下部よりも上部により乾燥した送風空気が流れる。
【0027】
ケース20の内周面には、フットドア50の先端をガイドする溝状のリンク溝29が形成されている。なお、フットドア50の先端部をガイドすることができれば、リンク溝29は、必ずしもケース20の内周面に形成されている必要はない。
【0028】
ケース20の内部は、送風空気が流れる空間が形成されている。この空間を内部空間SPという。内部空間SPには、冷却用熱交換器12のみを通過する送風空気の流れる冷風流路CPと、加熱用熱交換器13を通過する送風空気の流れる温風流路HPと、冷風流路CP及び温風流路HPを通過し上部吹出口21、22へ流れる送風空気を混合する第1混合流路MP1と、冷風流路CP及び温風流路HPを通過しフット吹出口23へ流れる送風空気を混合する第2混合流路MP2と、が形成されている。図に示される状態において、冷風流路CPは全閉とされ、温風流路HPは全開とされている。
【0029】
冷却用熱交換器12は、ケース20内の前部において、略前後方向に送風空気が通過するよう設けられている。送風空気は、冷却用熱交換器12の内部を通過する熱媒体との熱交換により冷却される。熱媒体には、例えばフロン系の冷媒や、二酸化炭素を用いることができる。
【0030】
加熱用熱交換器13は、冷却用熱交換器12の後方に設けられていると共に、略上下方向に送風空気が通過するよう設けられている。加熱用熱交換器13は、例えば、通電することにより加熱される電気ヒータ13aと、エンジンを通過し温められた温水が内部を流れる温水ヒータ13bと、からなる。
【0031】
なお、加熱用熱交換器13は、必ずしも電気ヒータ13a及び温水ヒータ13bの2つから構成される必要はなく、電気ヒータ13aのみによって構成されていても良いし、温水ヒータ13bのみによって構成されていても良い。また、温水ヒータ13bに代えて、温水以外の熱媒体を用いたヒータを採用することもできる。熱媒体には、例えばフロン系の冷媒や、二酸化炭素を用いることができる。また、電気ヒータ13a及び温水ヒータ13bは、送風空気が流れる方向を基準として、逆の位置となるように設けられていても良い。すなわち、図示しないが、温水ヒータ13bを上流側に、電気ヒータ13aを下流側になるように設けてもよい。
【0032】
ミックスドア30は、ミックスドア駆動部31と、このミックスドア駆動部31が作動することにより略前後方向にスライドするミックスドア本体32と、を有する。
【0033】
ミックスドア駆動部31は、図示しないモータと、このモータが回転することにより回転するミックスドア駆動軸31bと、ミックスドア駆動軸31b上に固定されミックスドア本体32に噛み合っているピニオンであるミックスドア駆動ピニオン31cと、を有する。
【0034】
ミックスドア本体32は、ミックスドア駆動ピニオン31cに噛み合うラックを含む。ミックスドア本体32が移動することにより冷風流路CPと温風流路HPとの開放量が調節される。これにより、第1混合流路MP1や第2混合流路MP2へ流れる冷風の風量と温風の風量とが調節され、第1混合流路MP1や第2混合流路MP2で混合された際に所定の温度となる。
【0035】
図2を参照する。冷風ガイド部16は、略直方体状を呈すると共に、内部が空洞とされている。冷風ガイド部16は、冷風を内部に取り入れるために上流側の下面に開けられている冷風取入口16aと、第2混合流路MP2に向かって冷風を吹出すために後面に開けられている冷風吹出口16bと、側面に形成されフット吹出口23が全開の際にフットドア50が当接するシール部16cと、上面に凹状に形成されミックスドア駆動軸31bを避けている凹部16dと、を有する。
【0036】
冷風流路CPを通過した送風空気の一部は、冷風ガイド部16の内部を通過して第2混合流路MP2へ導かれる。冷風流路CPを通過した送風空気の残部は、冷風ガイド部16の側方から第1混合流路MP1へ送風される。
【0037】
なお、冷風ガイド部の内部における送風方向に垂直な面を基準とした冷風ガイド部16の断面形状は、長方形には限られない。つまり、冷風ガイド部16の断面形状は、円、半円、楕円を半分にした形状、三角形、これらを組み合わせた形状等であっても良く、任意の形状を採用することができる。
【0038】
図1を参照する。デフロスタドア17は、スイングドアによって構成され、スイングすることによりデフロスタ吹出口21の開放量を調節可能である。
【0039】
ベントドア40は、ベントドア駆動部41と、ベントドア駆動部41が作動することにより略前後方向にスライドするベントドア本体42と、を有する。
【0040】
ベントドア駆動部41は、例えば、図示しないモータと、このモータの駆動力を伝達するベントドア駆動軸41bに固定されているピニオンであるベントドア駆動ピニオン41cと、によって構成される。
【0041】
ベントドア本体42は、ベントドア駆動ピニオン41cに噛み合うラックを含む。
【0042】
なお、ベントドア40は、スイングドアによって構成しても良い。また、ベントドア40の駆動力を伝達するための機構は、ラック・ピニオン機構には限られず、さらに、ベントドア駆動ピニオン41cとモータとの間にチェーンや複数のギヤ等が設けられていても良い。
【0043】
図3を参照する。フットドア50は、駆動源としてのモータ51が作動することにより回転するフットドア回転軸52と、このフットドア回転軸52から後方に延びフット吹出口23を開閉するフット開閉部53と、フットドア回転軸52から前方に延び第1混合流路MP1と第2混合流路MP2とを区切ることが可能な混合流路開閉部54と、を有する。
【0044】
フットドア回転軸52は、ギヤ等を介してモータ51に接続されることとしても良い。
【0045】
混合流路開閉部54は、フットドア回転軸52に固定されている矩形板状の固定部54aと、この固定部54aに対してスイング可能に設けられているスイング部54bと、スイング部54bの先端に形成され冷風ガイド部16(図1参照)の外周面に嵌合可能な嵌合部54cと、を有している。
【0046】
スイング部54bは、二色成形により形成され、外縁の部分が空気の漏れを抑制するシール材によって構成されている。スイング部54bは、末端がヒンジを介して固定部54aに連結されている。スイング部54bの先端には、リンク溝29(図1参照)に向かって延び先端がリンク溝29に挿入されているリンクピン55が固定されている。
【0047】
図1及び図4を参照する。スイング部54bの末端は、フットドア回転軸52を中心に円弧状の軌道に沿って回転する。一方、リンクピン55がリンク溝29に挿入されているため、スイング部54bの先端は、リンク溝29に沿った軌道に沿って変位する(リンク溝29は、スイング部54bの先端に設けられたリンクピン55を所定の軌道に沿って変位させるための部位、ということができる。)。
【0048】
図1に示されるように、フット吹出口23が全開とされている際に、フットドア回転軸52からスイング部54bの先端までの距離は最も長い。一方、図4に示されるように、フット吹出口23が全閉とされている際に、スイング部54bは、固定部54aに対して折りたたまれている。このとき、フットドア回転軸52からスイング部54bの先端までの距離は、最も短い。
【0049】
図1及び図2を参照する。図1に示す状態において、可動区画壁部27は、ケース20の下部から上部への送風空気の移動を規制している。また、デフロスタドア17は、デフロスタ吹出口21を開放している。また、フットドア50は、フット吹出口23を全開としている。フット吹出口23が全開とされている状態において、第2混合流路MP2から第1混合流路MP1への空気の流れは遮断されている。また、第1混合流路MP1から第2混合流路MP2への空気の流れも遮断されている。図1に示す状態において、デフロスタ吹出口21からフロントガラスへ乾燥した温風を送ることができる。一方、フット吹出口23から車室内へ内気を循環させることができる。
【0050】
<実施例2>
次に、実施例2による車両用空調ユニット10Aを図面に基づいて説明する。
【0051】
図5A及び図5Bを参照する。実施例2による車両用空調ユニット10Aは、実施例1による車両用空調ユニット10(図1参照)に用いた車両用空調ユニット10とは、フットドア50Aの構成が異なる。その他の基本的な構成については、実施例1による車両用空調ユニット10と共通する。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0052】
フットドア50Aは、駆動源としてのモータ51が作動することにより回転するフットドア回転軸52と、このフットドア回転軸52から後方に延びフット吹出口23を開閉するフット開閉部53と、フットドア回転軸52から前方に延び第1混合流路MP1と第2混合流路MP2とを区切ることが可能な混合流路開閉部54Aと、を有する。
【0053】
混合流路開閉部54Aは、フットドア回転軸52に固定された固定部54Aaのみによって構成され、スイング部54b(図3参照)を有していない。固定部54Aaの先端には、冷風ガイド部16の外周面に嵌合可能な嵌合部54Acが形成されている。
【0054】
ベントドア駆動部41は、モータ41aと、このモータ41aの駆動力を伝達するベントドア駆動軸41bに固定されているベントドア駆動ピニオン41cと、によって構成される。ベントドア駆動ピニオン41cは、嵌合部54Acの軌道上に設けられている。
【0055】
以上に説明した車両用空調ユニット10について以下に纏める。
【0056】
図1を参照する。第1に、空調ユニット10は、車両に搭載され車室内に調和空気を供給するものである。車両用空調ユニット10は、内部に送風空気が流れる内部空間SP、送風空気を車室内の上方に吹き出す上部吹出口21、22、送風空気を車室内の下方に吹き出すフット吹出口23が形成されたケース20と、内部空間SPに設けられ、送風空気を冷却可能な冷却用熱交換器12と、この冷却用熱交換器12を通過した送風空気を温めることが可能であり、冷却用熱交換器12と直交するように配置された加熱用熱交換器13と、冷却用熱交換器12を通過した送風空気を加熱用熱交換器13へ導く割合を調節するミックスドア30と、冷却用熱交換器12を通過した送風空気の一部を、フット吹出口23へガイドする冷風ガイド部16と、上部吹出口21、22を開閉可能な上部開閉ドア17、40と、フット吹出口23を開閉可能なフットドア50と、を備えている。
【0057】
内部空間SPには、冷却用熱交換器12のみを通過する送風空気の流れる冷風流路CPと、加熱用熱交換器13を通過する送風空気の流れる温風流路HPと、冷風流路CP及び温風流路HPを通過し上部吹出口21、22へ流れる送風空気を混合する第1混合流路MP1と、冷風流路CP及び温風流路HPを通過しフット吹出口23へ流れる送風空気を混合する第2混合流路MP2と、が形成されている。
【0058】
ミックスドア30は、送風空気の流れる方向を基準として、冷風流路CPの下流側の端部と温風流路HPの下流側の端部との間をスライド可能に設けられている。冷風ガイド部16は、ミックスドア30の下流側にミックスドア30の軌道に沿って設けられている。
【0059】
フットドア50は少なくとも、回転可能に設けられているフットドア回転軸52と、このフットドア回転軸52から延出しフット吹出口23を開閉するためのフット開閉部53と、フットドア回転軸52を始点としてフット開閉部53から離れるように延出する混合流路開閉部54と、を有している。混合流路開閉部54の先端は、冷風ガイド部16の外周面に沿った形状の嵌合部54cとされている。この嵌合部54cは、フットドア50がフット吹出口23を全開としているとき、冷風ガイド部16の外周面に嵌合している。図5Aに示した空調ユニット10Aについても同様である。
【0060】
空調ユニット10は、流路開閉部54の先端に嵌合部54cが形成されている。このため、フット吹出口23を全開とした際に、嵌合部54cが冷風ガイド部16の外周面に密着し、第2混合流路MP2から第1混合流路MP1への送風空気の漏れを抑制することができる。これにより、冷風ガイド部16を第2混合流路MP2の近傍まで延ばすことができる。つまり、冷風ガイド部16によって第2混合流路MP2へ冷風を確実に送りつつ、第1混合流路MP1と第2混合流路MP2とを確実に区画することのできる車両用空調ユニット10を提供できる。
【0061】
図4を参照する。第2に、第1の空調ユニット10であって、混合流路開閉部54は、フットドア回転軸52から延出する固定部54aと、この固定部54aの先端辺に設けられ固定部54a対してスイング可能に設けられたスイング部54bとを含む。上部吹出口21、22は、乗員の上半身に向かって送られる送風空気が送出されるベント吹出口22を含む。上部開閉ドア17、40は、スライド可能に設けられベント吹出口22を開閉可能なベントドア本体42と、ベントドア本体42を駆動するためのベントドア駆動部41と、を備えている。ベントドア駆動部41は、ベントドア本体42の軌跡よりも第1混合流路MP1側に設けられている。スイング部54bは、フットドア50がフット吹出口23を全開とする位置から全閉とする位置にスイングするときに、冷風ガイド部16に向けて折りたたまれるようにスイングする。
【0062】
フットドア50の混合流路開閉部54にスイング部54bを設けることで、フット開閉部53によりフット吹出口23を全閉とするときに冷風ガイド部16に向けて折りたたむことが可能となり、フット吹出口23を全閉として第1混合流路MP1と第2混合流路MP2とを分割する必要のない場合にフットドア50を小型化することができる。
【0063】
図5A及び図5Bを参照する。第3に、第1又は第2の空調ユニット10Aであって、上部吹出口21、22は、乗員の上半身に向かって送られる送風空気が送出されるベント吹出口22を含む。また、上部開閉ドア17、40は、スライド可能に設けられベント吹出口22を開閉可能なベントドア本体42と、ベントドア本体42を駆動するためのベントドア駆動部41と、を備えている。ベントドア駆動部41は、ベントドア本体42の軌跡よりも第1混合流路MP1側に設けられるとともに、回転可能に設けられたベントドア駆動軸41bと、このベントドア駆動軸41bと一体的に回転しベントドア本体42を移動するベントドア駆動ピニオン41cとを含む。嵌合部54Acの形状は、冷風ガイド部16の外周面に沿った凹状とされ、ベントドア駆動ピニオン41cは、嵌合部54Acの軌道上に設けられている。
【0064】
図5A図5Bを参照する。ベントドア本体42を駆動するためのベントドア駆動ピニオン41cを、凹状に形成された嵌合部54Acの軌道上に設けることが好ましい。図5Aに示されるようにフットドア50がフット吹出口23を全閉としたときに、水平方向における固定部54Aaの先端とベントドア駆動ピニオン41cとの位置が重複しても、図5Bに示されるようにベントドア駆動ピニオン41cが嵌合部54Acに位置するので、フットドア50Aとベントドア40のベントドア駆動ピニオン41cとの干渉を回避することができる。このため、ベントドア駆動部41とフットドア50Aとを近接して配置し、車両用空調ユニット10Aを小型化することができる。
【0065】
尚、本発明は、上述した実施例に限られず、各実施例を組み合わせることも可能である。即ち、フット吹出口23を全閉とした際に、スイング部54bが折りたたまれつつ、嵌合部54cの間にベントドア駆動ピニオン41cが位置するようにしてもよい。
【0066】
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の空調ユニットは、乗用車に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0068】
10、10A…車両用空調ユニット
12…冷却用熱交換器
13…加熱用熱交換器
16…冷風ガイド部
17…デフロスタドア(上部開閉ドア)
20…ケース
21…デフロスタ吹出口(上部吹出口)
22…ベント吹出口(上部吹出口)
23…フット吹出口
30…ミックスドア
40…ベントドア(上部開閉ドア)
41…ベントドア駆動部
42…ベントドア本体
50、50A…フットドア
52…フットドア回転軸
53…フット開閉部
54、54A…混合流路開閉部、54a…固定部、54b…スイング部、54c、54Ac…嵌合部
SP…内部空間
CP…冷風流路
HP…温風流路
MP1…第1混合流路
MP2…第2混合流路
図1
図2
図3
図4
図5