(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175594
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/779 20230101AFI20241211BHJP
H04N 25/46 20230101ALI20241211BHJP
【FI】
H04N25/779
H04N25/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093496
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 ルォンフォン
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024GY39
5C024GY41
5C024HX02
5C024HX28
5C024HX40
5C024HX48
(57)【要約】
【課題】画素回路の信号加算範囲を拡大することが可能な光検出装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る光検出装置は、第1選択トランジスタを有する第1画素回路と、第2選択トランジスタを有する第2画素回路と、第1選択トランジスタおよび第2選択トランジスタと接続される信号線と、第1選択トランジスタのゲート電圧および第2選択トランジスタのゲート電圧を供給する駆動回路と、を備える。駆動回路は、非加算モードにおいて、第1選択トランジスタに対して第1ゲート電圧を印加するとともに、第2選択トランジスタに対して第2ゲート電圧を印加し、加算モードにおいて、第1選択トランジスタに対して第1ゲート電圧よりも低い第3ゲート電圧を印加するとともに、第2選択トランジスタに対して第2ゲート電圧よりも低い第4ゲート電圧を印加する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1選択トランジスタを有する第1画素回路と、
第2選択トランジスタを有する第2画素回路と、
前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタと接続される信号線と、
前記第1選択トランジスタのゲート電圧および前記第2選択トランジスタのゲート電圧を供給する駆動回路と、
を備え、
前記駆動回路は、
非加算モードにおいて、前記第1選択トランジスタに対して第1ゲート電圧を印加するとともに、前記第2選択トランジスタに対して第2ゲート電圧を印加し、
加算モードにおいて、前記第1選択トランジスタに対して前記第1ゲート電圧よりも低い第3ゲート電圧を印加するとともに、前記第2選択トランジスタに対して前記第2ゲート電圧よりも低い第4ゲート電圧を印加する、
光検出装置。
【請求項2】
前記第1ゲート電圧の電位が、前記第2ゲート電圧の電位と同じであり、
前記第3ゲート電圧の電位が、前記第4ゲート電圧の電位と同じである、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第1ゲート電圧の電位が、前記第2ゲート電圧の電位と同じであり、
前記第3ゲート電圧の電位が、前記第4ゲート電圧の電位と異なる、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記駆動回路が、
前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を生成する電圧生成回路と、
前記非加算モードおよび前記加算モードにそれぞれ対応するモード信号に応じて、前記第1ゲート電圧および前記第2ゲート電圧、または前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を選択する選択回路と、
前記選択回路で選択された電圧を、前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタのゲートへ供給する走査回路と、
を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記駆動回路が、
前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を生成する電圧生成回路と、
前記非加算モードおよび前記加算モードにそれぞれ対応するモード信号に応じて、前記第1ゲート電圧および前記第2ゲート電圧、または前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を選択して、前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタのゲートへ供給する走査回路と、
を有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記電圧生成回路が、
抵抗値が前記加算モード時における前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタのオン抵抗の目標値に基づいて設定される抵抗素子と、
前記抵抗素子を流れる電流を調整するための電流調整トランジスタと、
前記抵抗素子の電圧と、前記電流調整トランジスタのソース電圧とが同じになるように前記電流調整トランジスタのゲート電圧を調整するオペアンプと、を含む、請求項4に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記走査回路が、複数のバッファ回路を有し、
各バッファ回路が、第1バッファトランジスタと、前記第1バッファトランジスタと導電形が異なる第2バッファトランジスタを有し、
前記第1バッファトランジスタおよび前記第2バッファトランジスタのゲート同士が接続され、前記第1バッファトランジスタおよび前記第2バッファトランジスタの各々のドレインが、前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタの各々のゲートに接続される、請求項4に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記走査回路が、複数のバッファ回路を有し、
各バッファ回路が、
第1バッファトランジスタと、
前記第1バッファトランジスタと導電型が異なる第2バッファトランジスタと、
前記第1バッファトランジスタと導電型が同じ第3バッファトランジスタと、
前記第1バッファトランジスタのゲートに接続される第1NAND回路と、
前記第3バッファトランジスタのゲートに接続される第2NAND回路と、
前記第2NAND回路の入力端子の一方に接続されるインバータ回路と、を含む、請求項5に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記第1画素回路の入射光の色が、前記第2画素回路の入射光の色と同じである、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記第1画素回路および前記第2画素回路の各々がクアッド画素回路であり、
前記クアッド画素回路が、前記入射光を光電変換する4つの光電変換素子と、前記4つの光電変換素子で生成された電荷を蓄積する浮遊拡散層と、前記4つの光電変換素子と前記浮遊拡散層との間に設けられた4つの転送トランジスタと、を有する、請求項9に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記4つの転送トランジスタは、前記4つの光電変換素子のうちの2つの光電変換素子の電荷を同時に前記浮遊拡散層に転送する、請求項10に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記4つの転送トランジスタは、前記4つの光電変換素子の電荷を同時に前記浮遊拡散層に転送する、請求項10に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記第1画素回路および前記第2画素回路が、ベイヤー配列されている、請求項9に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記第1ゲート電圧および前記第2ゲート電圧が、電源電圧である、請求項1に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低消費電力で複数の画素信号を加算する手段として、加算される画素信号を生成する画素回路間で浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion)を電気的にショートさせる方法が知られている。しかし、この方法では、浮遊拡散層をショートさせるためのトランジスタや配線を追加する必要がある。そのため、画素回路の微細化に不向きである。また、高変換効率の浮遊拡散層をショートさせるためにトランジスタや配線を追加すると、その寄生容量で変換効率が低下してノイズ悪化を招くことが懸念される。
【0003】
そこで、トランジスタの追加が不要なソースフォロワー加算方法がある。ソースフォロワー加算方法では、信号線に共通に接続された複数の画素回路にそれぞれ設けられた選択トランジスタを同時にオンさせる。これにより、各画素回路の画素信号が、信号線に同時に出力されて加算される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-7035号公報
【特許文献2】特開2015-103958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ソースフォロワー加算方法では、加算対象の画素回路間における浮遊拡散層の電位差が大きくなると、信号線の電位が、浮遊拡散層の電位が高い方にクリップされてしまう。そのため、目標値に対して忠実に加算できる範囲が限られてしまう。
【0006】
本開示は、画素回路の信号加算範囲を拡大することが可能な光検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る光検出装置は、第1選択トランジスタを有する第1画素回路と、第2選択トランジスタを有する第2画素回路と、第1選択トランジスタおよび第2選択トランジスタと接続される信号線と、第1選択トランジスタのゲート電圧および第2選択トランジスタのゲート電圧を供給する駆動回路と、を備える。駆動回路は、非加算モードにおいて、第1選択トランジスタに対して第1ゲート電圧を印加するとともに、第2選択トランジスタに対して第2ゲート電圧を印加し、加算モードにおいて、第1選択トランジスタに対して第1ゲート電圧よりも低い第3ゲート電圧を印加するとともに、第2選択トランジスタに対して第2ゲート電圧よりも低い第4ゲート電圧を印加する。
【0008】
また、前記第1ゲート電圧の電位が、前記第2ゲート電圧の電位と同じであり、
前記第3ゲート電圧の電位が、前記第4ゲート電圧の電位と同じであってもよい。
【0009】
また、前記第1ゲート電圧の電位が、前記第2ゲート電圧の電位と同じであり、
前記第3ゲート電圧の電位が、前記第4ゲート電圧の電位と異なってもよい。
【0010】
また、前記駆動回路が、
前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を生成する電圧生成回路と、
前記非加算モードおよび前記加算モードにそれぞれ対応するモード信号に応じて、前記第1ゲート電圧および前記第2ゲート電圧、または前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を選択する選択回路と、
前記選択回路で選択された電圧を、前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタのゲートへ供給する走査回路と、
を有してもよい。
【0011】
また、前記駆動回路が、
前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を生成する電圧生成回路と、
前記非加算モードおよび前記加算モードにそれぞれ対応するモード信号に応じて、前記第1ゲート電圧および前記第2ゲート電圧、または前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を選択して、前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタのゲートへ供給する走査回路と、
を有してもよい。
【0012】
また、前記電圧生成回路が、
抵抗値が前記加算モード時における前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタのオン抵抗の目標値に基づいて設定される抵抗素子と、
前記抵抗素子を流れる電流を調整するための電流調整トランジスタと、
前記抵抗素子の電圧と、前記電流調整トランジスタのソース電圧とが同じになるように前記電流調整トランジスタのゲート電圧を調整するオペアンプと、を含んでもよい。
【0013】
また、前記走査回路が、複数のバッファ回路を有し、
各バッファ回路が、第1バッファトランジスタと、前記第1バッファトランジスタと導電形が異なる第2バッファトランジスタを有し、
前記第1バッファトランジスタおよび前記第2バッファトランジスタのゲート同士が接続され、前記第1バッファトランジスタおよび前記第2バッファトランジスタの各々のドレインが、前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタの各々のゲートに接続されてもよい。
【0014】
また、前記走査回路が、複数のバッファ回路を有し、
各バッファ回路が、
第1バッファトランジスタと、
前記第1バッファトランジスタと導電型が異なる第2バッファトランジスタと、
前記第1バッファトランジスタと導電型が同じ第3バッファトランジスタと、
前記第1バッファトランジスタのゲートに接続される第1NAND回路と、
前記第3バッファトランジスタのゲートに接続される第2NAND回路と、
前記第2NAND回路の入力端子の一方に接続されるインバータ回路と、を含んでもよい。
【0015】
また、前記第1画素回路の入射光の色が、前記第2画素回路の入射光の色と同じであってもよい。
【0016】
前記第1画素回路および前記第2画素回路の各々がクアッド画素回路であり、
前記クアッド画素回路が、前記入射光を光電変換する4つの光電変換素子と、前記4つの光電変換素子で生成された電荷を蓄積する浮遊拡散層と、前記4つの光電変換素子と前記浮遊拡散層との間に設けられた4つの転送トランジスタと、を有してもよい。
【0017】
また、前記4つの転送トランジスタは、前記4つの光電変換素子のうちの2つの光電変換素子の電荷を同時に前記浮遊拡散層に転送してもよい。
【0018】
また、前記4つの転送トランジスタは、前記4つの光電変換素子の電荷を同時に前記浮遊拡散層に転送してもよい。
【0019】
また、前記第1画素回路および前記第2画素回路が、ベイヤー配列されてもよい。
【0020】
また、前記第1ゲート電圧および前記第2ゲート電圧が、電源電圧であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る光検出素子の一構成例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る画素アレイ部の一構成例を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る画素回路の一構成例を示す回路図である。
【
図5】選択トランジスタの駆動回路の一構成例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係るバッファ回路の構成例を示す図である。
【
図7】選択トランジスタの駆動回路の変形例を示す図である。
【
図8】変形例に係るバッファ回路の構成例を示す図である。
【
図9】選択トランジスタのゲートに入力される選択信号の波形例を示す図である。
【
図10】浮遊拡散層の電位差に基づく加算範囲を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係る画素アレイ部のレイアウト図である。
【
図12】加算加重モード時に選択トランジスタのゲートに入力される選択信号の波形例を示す図である。
【
図13】非加重加算モードで画素回路を駆動した場合の各色の重心位置を示す図である。
【
図14】加重加算モードで画素回路を駆動した場合の各色の重心位置を示す図である。
【
図15】第3実施形態に係る画素アレイ部のレイアウト図である。
【
図16】クアッド画素回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る撮像装置100の一構成例を示すブロック図である。この撮像装置100は、画像データを撮像する装置であり、撮像レンズ110、光検出素子200、記録部120および撮像制御部130を備える。撮像装置100としては、アクションカムや車載カメラなどが想定される。
【0023】
撮像レンズ110は、光を集光して光検出素子200に導く。光検出素子200は、撮像制御部130の制御に従って画像データを生成する。この光検出素子200は、生成した画像データを記録部120に信号線209を介して供給する。記録部120は、画像データを記録する。
【0024】
撮像制御部130は、撮像装置100全体を制御する。この撮像制御部130は、撮像タイミングを示す垂直同期信号などを信号線139を介して光検出素子200に供給する。
【0025】
なお、撮像レンズ110、光検出素子200、記録部120および撮像制御部130を同一の装置に配置しているが、これらを複数の装置に分散して配置することもできる。例えば、撮像レンズ110をレンズユニットに配置し、光検出素子200などを撮像装置100に配置してもよい。
【0026】
図2は、第1実施形態に係る光検出素子200の一構成例を示すブロック図である。この光検出素子200は、垂直駆動回路210、画素アレイ部220、タイミング制御部260、AD変換部270、列走査回路280および画像処理部290を備える。
【0027】
画素アレイ部220には、複数の画素回路が二次元格子状に設けられる。以下、所定の方向(水平方向など)に配列された画素回路の集合を「行」と称し、行に垂直な方向に配列された画素回路の集合を「列」と称する。
【0028】
垂直駆動回路210は、画素回路を駆動して画素信号を出力させる。また、垂直駆動回路210は、画素アレイ部220を制御して、隣接する複数の画素回路のそれぞれの画素信号を必要に応じて加算させる。
【0029】
タイミング制御部260は、垂直駆動回路210、AD変換部270および列走査回路280のそれぞれが動作するタイミングを制御する。AD変換部270は、画素信号に対してAD変換を行って画素データを生成する。列走査回路280は、AD変換部270を制御して画素データを画像処理部290に転送させる。
【0030】
画像処理部290は、画素データから成る画像データに対して様々な画像処理を実行する。この画像処理において例えば、デモザイク処理やホワイトバランス処理などが実行される。画像処理後の画像データは、記録部120に送信される。また、画素回路の信号加算が行われた場合には、動きの検出処理や照度検出処理が実行される。動きの検出処理においては、フレーム間差分法や背景差分法などにより、画像内の被写体の動きの有無や動きベクトルなどが検出される。
【0031】
動きや照度の検出結果は、撮像制御部130に送信される。動きの検出結果は、動きのあった場合にフレームレートを変更するアプリケーションなどの各種のアプリケーションに用いられる。また、照度の検出結果は、露光量の制御などに用いられる。
【0032】
なお、本実施形態では、画像処理部290は、光検出素子200内に配置されているが、光検出素子200の外部に配置されてもよい。
【0033】
図3は、第1実施形態に係る画素アレイ部220の一構成例を示すブロック図である。この画素アレイ部220には、複数の画素回路230が二次元格子状に配列される。画素アレイ部220内の行数をN(Nは2 以上の整数)とし、列数をM(Mは2以上の整数)とする。
【0034】
また、複数の水平信号線が水平方向に沿って行ごとに設けられるとともに、複数の垂直信号線229が垂直方向に沿って列ごとに設けられる。複数の水平信号線には、転送信号TRGnを伝送する転送線や、選択信号SELnを伝送する選択線などが含まれる。転送信号TRGnおよび選択信号SELnは、垂直駆動回路210により生成され、n行目に出力される。
【0035】
図4は、第1実施形態に係る画素回路230の一構成例を示す回路図である。本実施形態に係る画素回路230は、光電変換素子231、転送トランジスタ232、リセットトランジスタ233、浮遊拡散層234、増幅トランジスタ235および選択トランジスタ236を有する。転送トランジスタ232、リセットトランジスタ233、増幅トランジスタ235および選択トランジスタ236には、例えば、N型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが用いられる。
【0036】
光電変換素子231は、入射光を光電変換して電荷を生成する。光電変換素子231には、例えばフォトダイオードが用いられる。この場合、光電変換素子231のアノードは接地される。一方、光電変換素子231のカソードは転送トランジスタ232のドレインに接続される。
【0037】
転送トランジスタ232は、光電変換素子231と浮遊拡散層234との間に配置される。転送トランジスタ232は、電荷の転送を指示する転送信号TRGnに従って、光電変換素子231で光電変換された電荷を浮遊拡散層234へ転送する。
【0038】
リセットトランジスタ233は、垂直駆動回路210からゲートに入力されるリセット信号RTnに従って駆動する。リセットトランジスタ233がオンすると、浮遊拡散層234の電位が初期化(リセット)される。
【0039】
浮遊拡散層234は、転送トランジスタ232から転送された電荷を蓄積する。また、浮遊拡散層234は、蓄積した電荷量に応じた電圧を生成する。
【0040】
増幅トランジスタ235は、浮遊拡散層234の電圧を増幅する。増幅トランジスタ235で増幅された電圧信号が画素信号に相当する。
【0041】
選択トランジスタ236は、n行を選択する選択信号SELnに従って、対応する垂直信号線229と増幅トランジスタ235との間の経路を開閉する。すなわち、選択トランジスタ236は、画素信号を垂直信号線229に出力するか否かを選択する。
【0042】
本実施形態では、画素アレイ部220は、垂直駆動回路210によって、非加算モードおよび加算モードで駆動される。非加算モードでは、垂直信号線229に共通に接続された複数の画素回路230の画素信号、換言すると列方向で隣接する複数の画素回路230の画素信号は、加算されず、それぞれ異なるタイミングで垂直信号線229に出力される。
【0043】
一方、加算モードでは、上記画素信号が同時に垂直信号線229に出力されて加算される。このとき、加算モードにおける選択信号SELの電圧は、非加算モードにおける選択信号SELの電圧よりも低く設定される。すなわち、加算モードにおける選択トランジスタ236のゲート電圧は、非加算モードにおける選択トランジスタ236のゲート電圧よりも低く設定される。ここで、
図5を参照して、垂直駆動回路210の構成の中で、選択トランジスタ236の駆動回路の構成について説明する。
【0044】
図5は、選択トランジスタ236の駆動回路の一構成例を示す図である。この駆動回路は、中間電圧生成回路310と、選択回路320と、走査回路330と、を有する。以下、各回路について説明する。
【0045】
中間電圧生成回路310は、カレントミラー回路311、電流源回路312、電流調整トランジスタ313、オペアンプ314、ボルテージフォロワ回路315、および抵抗素子Rtargetを有する。カレントミラー回路311は、第1カレントミラートランジスタ311aおよび第2カレントミラートランジスタ311bを有する。第1カレントミラートランジスタ311aおよび第2カレントミラートランジスタ311bの各々のゲートには、電圧VFDrefが印加される。電圧VFDrefは、リセットトランジスタ233がオンした時の浮遊拡散層234のリセット電位に等しい。
【0046】
電流源回路312は、第1電流源トランジスタ312aおよび第2電流源トランジスタ312bを有する。第1電流源トランジスタ312aは、電流調整トランジスタ313を介して第1カレントミラートランジスタ311aに直列に接続される。第2電流源トランジスタ312bは、抵抗素子Rtargetを介して第2カレントミラートランジスタ311bに直列に接続される。
【0047】
電流調整トランジスタ313のゲートには、オペアンプ314の出力端子に接続される。電流調整トランジスタ313のソースには、オペアンプ314の反転入力端子(-)が接続される。オペアンプ314の非反転入力端子(+)は、抵抗素子Rtargetと、第2電流源トランジスタ312bとの間に接続される。オペアンプ314は、
ボルテージフォロワ回路315は、反転入力端子(-)と出力端子とが接続された非反転増幅回路である。ボルテージフォロワ回路315の非反転入力端子(+)は、オペアンプ314の出力端子および電流調整トランジスタ313のゲートに接続される。
【0048】
抵抗素子Rtargetの抵抗値は、加算モード時における選択トランジスタ236のオン抵抗Ronの目標値に基づいて設定される。抵抗素子Rtargetは、例えばポリシリコンによって形成されてもよいし、半導体ウェルによって形成されてもよい。
【0049】
上記のように構成された中間電圧生成回路310では、オペアンプ314が、抵抗素子Rtargetの電圧と電流調整トランジスタ313のソース電圧とが同じになるように電流調整トランジスタ313のゲート電圧を調整する。そして、バッファ回路315が、電流調整トランジスタ313のゲート電圧を増幅率1で増幅することによって、中間電圧Vmidが生成される。中間電圧Vmidの電位は、電源電圧VDDよりも低い。
【0050】
選択回路320は、撮像制御部130(
図1参照)から入力されるモード信号modeのレベルに応じて、電源電圧VDDまたは中間電圧Vmidから出力電圧を選択する。具体的には、モード信号modeのレベルが非加算モードに対応する場合には、選択回路320は、電源電圧VDDを選択する。一方、モード信号modeのレベルが加算モードに対応する場合には、選択回路320は、中間電圧Vmidを選択する。
【0051】
走査回路330は、複数のバッファ回路331を有する。各バッファ回路331の入力端子はタイミング制御部260(
図2参照)に接続される。各バッファ回路331の出力端子は、選択トランジスタ236のゲートに個別に接続される。各バッファ回路331は、タイミング制御部260(
図2参照)からの入力信号Inに基づいて、選択回路320で選択された電圧の選択信号SELを選択トランジスタ236のゲートに供給する。
【0052】
図6は、第1実施形態に係るバッファ回路331の構成例を示す図である。このバッファ回路331は、第1バッファトランジスタ332および第2バッファトランジスタ333を有する。第1バッファトランジスタ332は、P型MOSトランジスタである。一方、第2バッファトランジスタ333は、N型MOSトランジスタである。
【0053】
第1バッファトランジスタ332および第2バッファトランジスタ333の各々のゲートは、バッファ回路331の入力端子に相当する。また、第1バッファトランジスタ332および第2バッファトランジスタ333の各々のドレインは、バッファ回路331の出力端子に相当する。第1バッファトランジスタ332のソースには、電源電圧VDDが供給される。一方、第2バッファトランジスタ333のソースは、接地される。
【0054】
図5に示す駆動回路によれば、画素アレイ部220内の複数の選択トランジスタ236のゲート電圧が、選択回路320によって一括で選択される。そのため、垂直駆動回路210の面積オーバヘッドを小さくすることができる。ただし、選択トランジスタ236の駆動回路の構成は、
図5に示す回路図に限定されない。
【0055】
図7は、選択トランジスタ236の駆動回路の変形例を示す図である。この駆動回路は、中間電圧生成回路310および走査回路340を有する。中間電圧生成回路310については、
図5と同じ構成であるため説明を省略する。
【0056】
走査回路340は、複数のバッファ回路341を有する。各バッファ回路341の入力端子はタイミング制御部260(
図2参照)に接続される。各バッファ回路341の出力端子は、選択トランジスタ236のゲートに個別に接続される。各バッファ回路341は、撮像制御部130からのモード信号modeのレベルおよびタイミング制御部260からの入力信号Inのレベルに応じて、電源電圧VDDまたは中間電圧Vmidを選択し、選択した電圧を選択信号SELとして選択トランジスタ236のゲートに供給する。
【0057】
図8は、変形例に係るバッファ回路341の構成例を示す図である。このバッファ回路341は、第1バッファトランジスタ342、第2バッファトランジスタ343、第3バッファトランジスタ344、第1NAND回路345、第2NAND回路346、およびインバータ回路347を有する。第1バッファトランジスタ342および第3バッファトランジスタ344は、P型MOSトランジスタである。一方、第2バッファトランジスタ343は、N型MOSトランジスタである。
【0058】
第1NAND回路345の入力端子の一方、第2NAND回路346の入力端子の一方、および第2バッファトランジスタ333のゲートが、バッファ回路341の入力端子に相当する。また、第1バッファトランジスタ342、第2バッファトランジスタ343、および第3バッファトランジスタ344の各々のドレインが、バッファ回路341の出力端子に相当する。
【0059】
第1バッファトランジスタ342のゲートには、第1NAND回路345の出力端子が接続される。第1バッファトランジスタ342のソースには、電源電圧VDDが供給される。第1NAND回路345の入力端子の他方には、モード信号modeが入力される。
【0060】
第2バッファトランジスタ343のゲートには、第2NAND回路346の出力端子が接続される。第2バッファトランジスタ343のソースには、中間電圧Vmidが供給される。第2NAND回路346の入力端子の他方には、インバータ回路347を介してモード信号modeが入力される。
【0061】
上記のように構成されたバッファ回路341では、モード信号modeおよび入力信号Inが第1NAND回路345で論理演算されるとともに、インバータ回路347で反転したモード信号modeおよび入力信号Inが第2NAND回路346で論理演算される。これにより、非加算モードでは、第1バッファトランジスタ342および第2バッファトランジスタ343が駆動する一方で第3バッファトランジスタ344はオフ状態となる。反対に、加算モードでは、第3バッファトランジスタ344および第2バッファトランジスタ343が駆動する一方で第1バッファトランジスタ342はオフ状態となる。
【0062】
本変形例に係る駆動回路によれば、画素アレイ部220内の複数の選択トランジスタ236のゲート電圧が、各選択トランジスタ236のゲートに個別に接続される走査回路340の各バッファ回路341で選択される。これにより、非加算モードおよび加算モードを切り替える応答速度を向上させることができる。
【0063】
ここで、垂直信号線229に共通に接続される2つの画素回路230(第1画素回路、第2画素回路)を非加算モードおよび加算モードでそれぞれ駆動する場合について説明する。
【0064】
図9は、選択トランジスタ236のゲートに入力される選択信号の波形例を示す図である。また、
図10は、浮遊拡散層の電位差に基づく加算範囲を示す図である。
【0065】
仮に、垂直駆動回路210に設けられた選択トランジスタ236の駆動回路が、加算モード時に上記2つの画素回路230の選択トランジスタ236(第1選択トランジスタ、第2選択トランジスタ)のゲート電圧が、非加算モードと同じように電源電圧VDDであるとする。この場合、
図10に示すように、画素回路230の一方の浮遊拡散層234の電位VFD1と、画素回路230の他方の浮遊拡散層234の電位VFD2との電位差VFが小さい範囲A1は、垂直信号線229の電位VSLは、2つの画素信号を加算平均した値となる。
【0066】
しかし、電位差ΔVFが大きくなると、垂直信号線229の電位VSLは、浮遊拡散層234の電位が高い画素回路230、すなわち電位VFD1にクリップされてしまう。その結果、電位VSLが、所望の加算平均値とならない。
【0067】
上記2つの画素回路230の初期状態には、各画素回路230の浮遊拡散層234は、同じ電位(VFD1=VFD2)に設定される。そのため、各画素回路230の選択トランジスタ236に流れる電流i1、i2も同じになる。
【0068】
上記初期状態から電位VFD1がΔV高くなり、電位VFD2がΔV低くなると、電流i1がΔi変化し、電流i2が-Δi変化する。ΔVの変化が小さく、小信号モデルで扱えると仮定すると、同じΔVでは、選択トランジスタ236のオン抵抗Ronが大きくなるにつれて、Δiが小さくなる。つまり、電位VFD1がΔV高くなり、電位VFD2がΔV低くなると、つまり、オン抵抗Ronが大きいと、非線形加算できない状況(Δi=i/2、つまり電流が完全に片方の選択トランジスタ236のみに流れる状況)を作り出すためのΔVも大きくなる。換言すると、オン抵抗Ronが高いと、加算平均(線形加算)可能な浮遊拡散層236の電位差ΔVFの範囲も広くなる。
【0069】
そこで、本実施形態では、
図9に示すように、
図7に示す駆動回路によって、選択トランジスタ236のゲートには、加算モード時に電源電圧VDD(第1ゲート電圧、第2ゲート電圧)よりも低い中間電圧Vmid(第3ゲート電圧、第4ゲート電圧)が印加される。これにより、加算モード時には、非加算モード時よりも選択トランジスタ236のオン抵抗Ronが高くなる。その結果、
図10に示すように、電位差ΔVFが大きい範囲A2でも2つの画素信号を加算平均できるようになる。
【0070】
したがって、本実施形態によれば、画素回路230の信号加算範囲を拡大することが可能となる。なお、本開示では、画素信号を加算する画素回路230の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0071】
(第2実施形態)
本開示の第2実施形態について説明する。ここでは、上述した第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0072】
図11は、第2実施形態に係る光検出素子の画素アレイ部220のレイアウト図である。本実施形態に係る画素アレイ部220では、画素回路230R、画素回路230Gr、画素回路230Gb、および画素回路230Bがベイヤー配列される。
【0073】
画素回路230Rは、赤色フィルターを透過して入射した赤色光を光電変換した画素信号を出力する。画素回路230Grおよび画素回路230Gbは、緑色フィルターを透過して入射した緑色光を光電変換した画素信号を出力する。画素回路230Bは、青色フィルターを透過して入射した青色光を光電変換した画素信号を出力する。画素回路230R、画素回路230Gr、画素回路230Gb、および画素回路230Bの構成は、第1実施形態で説明した画素回路230と同じであるため説明を省略する。
【0074】
本実施形態の加算モードでは、画素回路230R、画素回路230Gr、画素回路230Gb、および画素回路230Bのうち、入射光の色が同じ画素回路間で画素信号が加算される。このとき、垂直駆動回路210によって、選択トランジスタ236のゲートには、非加算モード時に供給される電源電圧VDDよりも低い中間電圧Vmidが供給される。また、本実施形態の加算モードは、非加重加算モードと加算加重モードに分類される。
【0075】
まず、非加重加算モードについて説明する。非加重加算モードでは、第1実施形態と同様に、画素信号の加算対象の複数の画素回路にそれぞれ設けられた各選択トランジスタ236のゲートには、同じ中間電圧Vmidが垂直駆動回路210から供給される(
図9参照)。
【0076】
続いて、
図12を参照して加算加重モードについて説明する。
図12は、加算加重モード時に選択トランジスタ236のゲートに入力される選択信号の波形例を示す図である。加算加重モードでは、各選択トランジスタ236のゲートには、互いに異なる中間電圧Vmid1、Vmid2が供給される。
【0077】
図13は、非加重加算モードで画素回路を駆動した場合の各色の重心位置を示す図である。入射光の色が同じ画素回路間で画素信号が非加重加算モードで加算されると、赤色の重心C
R、緑色の重心C
Gr、C
Gb、青色の重心C
Bの位置が、
図13に示すよう配置される。この配置では、間隔d1では重心間の距離が短い一方で、間隔d2では重心間の距離が長くなっている。そのため、重心が偏った配置となるため、画質が劣化する可能性がある。
【0078】
図14は、加重加算モードで画素回路を駆動した場合の各色の重心位置を示す図である。加重加算モードでは、一方の選択トランジスタ236のゲートには、中間電圧Vmid1が供給され、他方の選択トランジスタ236のゲートには、中間電圧Vmid1と異なる中間電圧Vmid2が異なる。これにより、重みづけが異なる画素信号が加算される。その結果、
図14に示すように、重心の間隔dが等しくなるため、重心が均一な配置となる。これにより、画質が向上する。
【0079】
Vmid1>Vmid2であれば、選択信号SEL1がゲートに入力される選択トランジスタ236のオン抵抗が、選択信号SEL2がゲートに入力される選択トランジスタ236のオン抵抗よりも小さくなる。この場合、選択信号SEL1を介して出力される画素信号の重みづけが、選択信号SEL2を介して出力される画素信号の重みづけより大きくなる。
【0080】
反対に、Vmid1<Vmid2であれば、選択信号SEL1がゲートに入力される選択トランジスタ236のオン抵抗が、選択信号SEL2がゲートに入力される選択トランジスタ236のオン抵抗よりも大きくなる。この場合、選択信号SEL1を介して出力される画素信号の重みづけが、選択信号SEL2を介して出力される画素信号の重みづけより小さくなる。
【0081】
以上説明した本実施形態によれば、加算モード時には、選択トランジスタ236のゲートに非加算モード時の電圧よりも低い電圧が供給されるので、画素信号の加算範囲を拡大することができる。
【0082】
また、本実施形態では、加算対象の画素回路同士の選択トランジスタ236のゲート電圧を別々に設定することによって、選択トランジスタ236のオン抵抗を個別に調整することができる。これにより、例えば、画素回路がベイヤー配列される場合には、画素信号の加算後に重心が均一に配置されるため、画質を向上させることが可能となる。
【0083】
(第3実施形態)
本開示の第3実施形態について説明する。ここでは、上述した第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0084】
図15は、第3実施形態に係る光検出素子の画素アレイ部220のレイアウト図である。本実施形態に係る画素アレイ部220では、ベイヤー配列された画素回路230R、230Gr、230Gb、230Bの各々がクアッド画素回路で構成される。ここで、クアッド画素回路の構成について説明する。
【0085】
図16は、クアッド画素回路の構成例を示す図である。このクアッド画素回路では、4つの光電変換素子231a、231b、231c、231d、4つの転送トランジスタ232a、232b、232c、232d、リセットトランジスタ233、浮遊拡散層234、増幅トランジスタ235、および選択トランジスタ236を有する。4つの光電変換素子231a、231b、231c、231dは、4つの転送トランジスタ232a、232b、232c、232dをそれぞれ介して、浮遊拡散層234に共通に接続される。
【0086】
本実施形態では、第3実施形態と同様に、加算モード時に入射光の色が同じ画素回路間で画素信号が加算される。加算モード時における選択トランジスタ236のゲート電圧は、非加重加算モード時における選択トランジスタ236のゲート電圧よりも低い。また、この加算モードは、第3実施形態で説明した非加重加算モードおよび加重加算モードを含む。
【0087】
また、本実施形態では、各光電変換素子が保証すべき電荷量が大きく、浮遊拡散層234の容量が小さい場合には、浮遊拡散層234で蓄積可能な電荷量が小さい。この場合、4つの転送トランジスタ232a、232b、232c、232dは、4つの光電変換素子231a、231b、231c、231dのうち、最初に2つの光電変換素子で光電変換された電荷を同時に浮遊拡散層234へ転送し、その後、残りの2つの光電変換素子で光電変換された電荷を同時に浮遊拡散層234へ転送する。
【0088】
一方、各光電変換素子が保証すべき電荷量が小さく、浮遊拡散層234の容量が大きい場合には、浮遊拡散層234で蓄積可能な電荷量が大きい。この場合、4つの転送トランジスタ232a、232b、232c、232dは、4つの光電変換素子231a、231b、231c、231dで光電変換された電荷を同時に浮遊拡散層234へ転送する。
【0089】
以上説明した本実施形態によれば、加算モード時には、選択トランジスタ236のゲートに非加算モード時の電圧よりも低い電圧が供給される。そのため、画素回路がクアッド画素回路であっても、画素信号の加算範囲を拡大することができる。
【0090】
また、本実施形態では、各転送トランジスタが、4つの光電変換素子231a、231b、231c、231dのうち、浮遊拡散層234に同時に電荷を蓄積(加算)させる光電変換素子の数を調整する。これにより、光電変換素子に要求されている特性に応じて、最適に画素信号を加算することが可能となる。
【0091】
なお、上述した各実施形態は、本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0092】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
【0093】
(1) 第1選択トランジスタを有する第1画素回路と、
第2選択トランジスタを有する第2画素回路と、
前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタと接続される信号線と、
前記第1選択トランジスタのゲート電圧および前記第2選択トランジスタのゲート電圧を供給する駆動回路と、
を備え、
前記駆動回路は、
非加算モードにおいて、前記第1選択トランジスタに対して第1ゲート電圧を印加するとともに、前記第2選択トランジスタに対して第2ゲート電圧を印加し、
加算モードにおいて、前記第1選択トランジスタに対して前記第1ゲート電圧よりも低い第3ゲート電圧を印加するとともに、前記第2選択トランジスタに対して前記第2ゲート電圧よりも低い第4ゲート電圧を印加する、
光検出装置。
【0094】
(2) 前記第1ゲート電圧の電位が、前記第2ゲート電圧の電位と同じであり、
前記第3ゲート電圧の電位が、前記第4ゲート電圧の電位と同じである、(1)に記載の光検出装置。
【0095】
(3) 前記第1ゲート電圧の電位が、前記第2ゲート電圧の電位と同じであり、
前記第3ゲート電圧の電位が、前記第4ゲート電圧の電位と異なる、(1)に記載の光検出装置。
【0096】
(4) 前記駆動回路が、
前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を生成する電圧生成回路と、
前記非加算モードおよび前記加算モードにそれぞれ対応するモード信号に応じて、前記第1ゲート電圧および前記第2ゲート電圧、または前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を選択する選択回路と、
前記選択回路で選択された電圧を、前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタのゲートへ供給する走査回路と、
を有する、(1)から(3)のいずれかに記載の光検出装置。
【0097】
(5) 前記駆動回路が、
前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を生成する電圧生成回路と、
前記非加算モードおよび前記加算モードにそれぞれ対応するモード信号に応じて、前記第1ゲート電圧および前記第2ゲート電圧、または前記第3ゲート電圧および前記第4ゲート電圧を選択して、前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタのゲートへ供給する走査回路と、
を有する、(1)から(3)のいずれかに記載の光検出装置。
【0098】
(6) 前記電圧生成回路が、
抵抗値が前記加算モード時における前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタのオン抵抗の目標値に基づいて設定される抵抗素子と、
前記抵抗素子を流れる電流を調整するための電流調整トランジスタと、
前記抵抗素子の電圧と、前記電流調整トランジスタのソース電圧とが同じになるように前記電流調整トランジスタのゲート電圧を調整するオペアンプと、を含む、(4)または(5)に記載の光検出装置。
【0099】
(7) 前記走査回路が、複数のバッファ回路を有し、
各バッファ回路が、第1バッファトランジスタと、前記第1バッファトランジスタと導電形が異なる第2バッファトランジスタを有し、
前記第1バッファトランジスタおよび前記第2バッファトランジスタのゲート同士が接続され、前記第1バッファトランジスタおよび前記第2バッファトランジスタの各々のドレインが、前記第1選択トランジスタおよび前記第2選択トランジスタの各々のゲートに接続される、(4)に記載の光検出装置。
【0100】
(8) 前記走査回路が、複数のバッファ回路を有し、
各バッファ回路が、
第1バッファトランジスタと、
前記第1バッファトランジスタと導電型が異なる第2バッファトランジスタと、
前記第1バッファトランジスタと導電型が同じ第3バッファトランジスタと、
前記第1バッファトランジスタのゲートに接続される第1NAND回路と、
前記第3バッファトランジスタのゲートに接続される第2NAND回路と、
前記第2NAND回路の入力端子の一方に接続されるインバータ回路と、を含む、(5)または(6)に記載の光検出装置。
【0101】
(9) 前記第1画素回路の入射光の色が、前記第2画素回路の入射光の色と同じである、(1)から請求項(8)のいずれかに記載の光検出装置。
【0102】
(10) 前記第1画素回路および前記第2画素回路の各々がクアッド画素回路であり、
前記クアッド画素回路が、前記入射光を光電変換する4つの光電変換素子と、前記4つの光電変換素子で生成された電荷を蓄積する浮遊拡散層と、前記4つの光電変換素子と前記浮遊拡散層との間に設けられた4つの転送トランジスタと、を有する、(9)に記載の光検出装置。
【0103】
(11) 前記4つの転送トランジスタは、前記4つの光電変換素子のうちの2つの光電変換素子の電荷を同時に前記浮遊拡散層に転送する、(10)に記載の光検出装置。
【0104】
(12) 前記4つの転送トランジスタは、前記4つの光電変換素子の電荷を同時に前記浮遊拡散層に転送する、(10)に記載の光検出装置。
【0105】
(13) 前記第1画素回路および前記第2画素回路が、ベイヤー配列されている、(9)から(12)のいずれかに記載の光検出装置。
【0106】
(14) 前記第1ゲート電圧および前記第2ゲート電圧が、電源電圧である、(1)から(13)のいずれかに記載の光検出装置。
【符号の説明】
【0107】
229:垂直信号線
230:画素回路
231:光電変換素子
232:転送トランジスタ
236:選択トランジスタ
310:中間電圧生成回路
313:電流調整トランジスタ
314:オペアンプ
320:選択回路
330:走査回路
331:バッファ回路
332:第1バッファトランジスタ
333:第2バッファトランジスタ
340:走査回路
341:バッファ回路
342:第1バッファトランジスタ
343:第2バッファトランジスタ
344:第3バッファトランジスタ
345:第1NAND回路
346:第2NAND回路
347:インバータ回路
Rtarget:抵抗素子