(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175598
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】フォースセンサおよびフォースセンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/18 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
G01L1/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093505
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 久幸
(72)【発明者】
【氏名】土屋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大川 尚信
(72)【発明者】
【氏名】大塚 彩子
(72)【発明者】
【氏名】尾花 雅之
(57)【要約】
【課題】耐荷重性および歪検知特性に優れたフォースセンサおよびフォースセンサの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係るフォースセンサは、被検知力を受ける受圧部を第1方向の一方側の端部に有する伝圧部材と、伝圧部材の第1方向の他方側に配置され、伝圧部材よりも剛性が高いセンサ基板と、を備えるフォースセンサであって、センサ基板は、伝圧部材に対向する側に歪検知素子を有し、伝圧部材は、相対的に剛性が低い第1領域と、第1方向に見て第1領域に隣接し相対的に剛性が高い領域であって、センサ基板に接触する接触部を有する第2領域と、を有し、歪検知素子は、第1領域における第2領域との境界近傍に位置することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知力を受ける受圧部を第1方向の一方側の端部に有する伝圧部材と、
前記伝圧部材の前記第1方向の他方側に配置され、前記伝圧部材よりも剛性が高いセンサ基板と、
を備えるフォースセンサであって、
前記センサ基板は、前記伝圧部材に対向する側に歪検知素子を有し、
前記伝圧部材は、相対的に剛性が低い第1領域と、前記第1方向に見て前記第1領域に隣接し相対的に剛性が高い領域であって、前記センサ基板に接触する接触部を有する第2領域と、を有し、
前記歪検知素子は、前記第1領域における前記第2領域との境界近傍に位置することを特徴とするフォースセンサ。
【請求項2】
前記第1領域は前記センサ基板に接するように配置される、請求項1に記載のフォースセンサ。
【請求項3】
前記第1方向に見て、前記受圧部の少なくとも一部は、前記第1領域および前記センサ基板と重複する、請求項1に記載のフォースセンサ。
【請求項4】
前記第2領域よりも剛性が高い受圧部材を、前記伝圧部材の前記第1方向の前記一方側に、前記第1方向に見て前記受圧部と重なる部分を有するように、さらに備える、請求項1に記載のフォースセンサ。
【請求項5】
前記受圧部は、前記第1方向の前記一方側に突出する突出部を有する、請求項1に記載のフォースセンサ。
【請求項6】
前記第1領域は、前記第2領域とは異なる材料から構成される、請求項1に記載のフォースセンサ。
【請求項7】
前記第1領域は、少なくとも一部が空間から構成される、請求項1に記載のフォースセンサ。
【請求項8】
前記歪検知素子はピエゾ抵抗素子を有する、請求項1に記載のフォースセンサ。
【請求項9】
前記歪検知素子は、前記センサ基板における前記境界近傍に対向するように位置する、請求項8に記載のフォースセンサ。
【請求項10】
前記ピエゾ抵抗素子は、前記第1方向に見て、前記受圧部の周囲に4つ設けられ、4つの前記ピエゾ抵抗素子を含むフルブリッジ回路における2つの中点電位の差を出力値とする、請求項9に記載のフォースセンサ。
【請求項11】
被検知力を受ける受圧部を第1方向の一方側の端部に有する伝圧部材と、
前記伝圧部材の前記第1方向の他方側に配置され、前記伝圧部材よりも剛性が高いセンサ基板と、を備え、前記センサ基板は前記伝圧部材に対向する側に歪検知素子を有するフォースセンサの製造方法であって、
前記センサ基板において前記歪検知素子が設けられた側の面である第1面に第1部材を付設する付設ステップと、
樹脂を含む材料からなり前記第1部材よりも剛性が高く前記センサ基板の剛性よりも低い第2部材を、前記センサ基板の前記第1面側に、前記第1部材を覆うように配置する配置ステップと、
を備え、
前記付設ステップでは、前記第1方向に見て前記第1部材の外縁近傍と重なる重複部分を前記歪検知素子が有するように、前記第1部材は前記第1面に付設され、
前記付設ステップおよび前記配置ステップにより、前記第1部材からなる第1領域と、前記第1方向に見て前記第2部材からなり前記第1領域に隣接する第2領域と、を備える前記伝圧部材が形成されることを特徴とするフォースセンサの製造方法。
【請求項12】
被検知力を受ける受圧部を第1方向の一方側の端部に有する伝圧部材と、
前記伝圧部材の前記第1方向の他方側に配置され、前記伝圧部材よりも剛性が高いセンサ基板と、を備え、前記センサ基板は前記伝圧部材に対向する側に歪検知素子を有するフォースセンサの製造方法であって、
前記センサ基板において前記歪検知素子が設けられた側の面である第1面側に、樹脂を含む材料からなり前記センサ基板より剛性が低い第2部材を配置する配置ステップを備え、
前記配置ステップにより、前記第2部材と空隙部とからなる第1領域と、前記第2部材からなり前記第1領域に隣接する第2領域と、を備える前記伝圧部材が形成され、
前記配置ステップでは、前記第1領域における前記第2領域との境界近傍に前記歪検知素子が対向するように、前記第2部材は配置されることを特徴とするフォースセンサの製造方法。
【請求項13】
前記配置ステップでは、成形プロセスにより前記第2部材は配置される、請求項11または請求項12に記載のフォースセンサの製造方法。
【請求項14】
前記配置ステップでは、前記第2領域よりも剛性が高い受圧部材を前記第1面から離間して対向するように配置した状態で、前記樹脂を含む材料をインサート成形する、請求項13に記載のフォースセンサの製造方法。
【請求項15】
前記伝圧部材の前記第1方向の前記一方側に、前記第1方向に見て前記受圧部と重なる部分を有するように、前記第2領域よりも剛性が高い受圧部材を付着する付着ステップをさらに備える、請求項11または請求項12に記載のフォースセンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォースセンサおよびフォースセンサの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板接合後の残留応力による基板歪みを低減でき、歩留まりを改善できるフォースセンサ及びその製造方法が開示される。このフォースセンサでは、受圧部を介して外部からの荷重を受けたときに変位部が変位し、該変位量に応じて電気抵抗が変化する複数のピエゾ抵抗素子を備えたセンサ基板及び該センサ基板を支持するベース基板に、変位部を変位自在に支持する支持部と複数のピエゾ抵抗素子と電気的に接続する複数の電気接続部とをそれぞれ設け、互いの支持部同士及び複数の電気接続部同士を接合した構成となっている。
【0003】
特許文献2には、簡単な構造で、容易に組み立てることができ、小型化が容易なフォースセンサユニットが開示される。このフォースセンサユニットは、筒体と、筒体の一端を塞ぐ基板と、基板上に支持されたフォースセンサと、筒体の内部空間の中に配置されてフォースセンサに力を伝える、接触部材、コイルバネ及び被操作部材からなる力伝達機構とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/078043号
【特許文献2】国際公開第2016/114248号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォースセンサにおいては、衝撃による過荷重で受圧部が破壊されないようにしつつ、歪検知素子が形成されている部分を効果的に撓ませることが望まれる。
【0006】
本発明は、耐荷重性および歪検知特性に優れたフォースセンサおよびフォースセンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るフォースセンサは、被検知力を受ける受圧部を第1方向の一方側の端部に有する伝圧部材と、伝圧部材の第1方向の他方側に配置され、伝圧部材よりも剛性が高いセンサ基板と、を備えるフォースセンサであって、センサ基板は、伝圧部材に対向する側に歪検知素子を有し、伝圧部材は、相対的に剛性が低い第1領域と、第1方向に見て第1領域に隣接し相対的に剛性が高い領域であって、センサ基板に接触する接触部を有する第2領域と、を有し、歪検知素子は、第1領域における第2領域との境界近傍に位置することを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、第1領域は他の領域よりも剛性が低いため、受圧部に外力が印加されたときに、第1領域が優先的に圧縮される。第1領域の優先的な圧縮によって耐荷重性が高まる。また、この圧縮に起因して、第1領域に隣接する第2領域を構成する部材が変形する。この変形により、第2領域においてセンサ基板に接触する接触部に応力集中が生じ、歪検知素子で効率的な歪検知が行われる。
【0009】
上記フォースセンサにおいて、第1領域はセンサ基板に接するように配置されていてもよい。第1領域がセンサ基板に接触している場合には、第2領域の接触部の応力集中に起因してセンサ基板において引張変形が生じるときに、相対的に剛性が低い第1領域を構成する部材がセンサ基板に接触しているため、引張変形が生じやすい。それゆえ、引張変形が生じる部分に第2領域を構成する部材が接触している場合に比べて、歪検知素子の検知感度が高くなる。
【0010】
上記フォースセンサにおいて、第1方向に見て、受圧部の少なくとも一部は、第1領域およびセンサ基板と重複する構成でもよい。これにより、受圧部に加えられた外力の付与中心(外力を付与する部材と受圧部との接触領域の重心)から第1方向に沿って、第1領域とセンサ基板とが配置されるため、第1領域を構成する部材の圧縮変形が生じやすい。これにより、第2領域の変形が生じやすくなり、外力に基づく応力歪を効率的に歪検知素子に加えることができる。
【0011】
上記フォースセンサにおいて、第2領域よりも剛性が高い受圧部材を、伝圧部材の第1方向の一方側に、第1方向に見て受圧部と重なる部分を有するように、さらに備えていてもよい。これにより、外力が受圧部に効果的に印加され、受圧部の破損が抑制される。
【0012】
上記フォースセンサにおいて、受圧部は、第1方向の一方側に突出する突出部を有していてもよい。これにより、突起部が外力を受けるターゲットとなり、外力が受圧部へ効果的に伝わる。
【0013】
上記フォースセンサにおいて、第1領域は、第2領域とは異なる材料から構成されていてもよい。これにより、材料選択によって第1領域と第2領域との剛性のバランスが設定される。
【0014】
上記フォースセンサにおいて、第1領域は、少なくとも一部が空間から構成されていてもよい。これにより、第1領域の少なくとも一部の空間によって第1領域の剛性が設定される。
【0015】
上記フォースセンサにおいて、歪検知素子はピエゾ抵抗素子を有していてもよい。これにより、ピエゾ抵抗効果によって歪検知が行われる。
【0016】
上記フォースセンサにおいて、歪検知素子は、センサ基板における境界近傍に対向するように位置していてもよい。これにより、外力による応力歪が、第1領域と第2領域との境界近傍からセンサ基板の対向する位置に配置された歪検知素子へ効率的に伝えられる。
【0017】
上記フォースセンサにおいて、ピエゾ抵抗素子は、第1方向に見て、受圧部の周囲に4つ設けられ、4つのピエゾ抵抗素子を含むフルブリッジ回路における2つの中点電位の差を出力値とする構成でもよい。これにより、4つのピエゾ抵抗素子を含むフルブリッジ回路によって歪検知が行われる。
【0018】
本発明の一態様に係るフォースセンサの製造方法は、被検知力を受ける受圧部を第1方向の一方側の端部に有する伝圧部材と、伝圧部材の第1方向の他方側に配置され、伝圧部材よりも剛性が高いセンサ基板と、を備え、センサ基板は伝圧部材に対向する側に歪検知素子を有するフォースセンサの製造方法であって、センサ基板において歪検知素子が設けられた側の面である第1面に第1部材を付設する付設ステップと、樹脂を含む材料からなり第1部材よりも剛性が高くセンサ基板の剛性よりも低い第2部材を、センサ基板の第1面側に、第1部材を覆うように配置する配置ステップと、を備え、付設ステップでは、第1方向に見て第1部材の外縁近傍と重なる重複部分を歪検知素子が有するように、第1部材は第1面に付設され、付設ステップおよび配置ステップにより、第1部材からなる第1領域と、第1方向に見て第2部材からなり第1領域に隣接する第2領域と、を備える伝圧部材が形成されることを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様に係るフォースセンサの製造方法は、被検知力を受ける受圧部を第1方向の一方側の端部に有する伝圧部材と、伝圧部材の第1方向の他方側に配置され、伝圧部材よりも剛性が高いセンサ基板と、を備え、センサ基板は伝圧部材に対向する側に歪検知素子を有するフォースセンサの製造方法であって、センサ基板において歪検知素子が設けられた側の面である第1面側に、樹脂を含む材料からなりセンサ基板より剛性が低い第2部材を配置する配置ステップを備え、配置ステップにより、第2部材と空隙部とからなる第1領域と、第2部材からなり第1領域に隣接する第2領域と、を備える伝圧部材が形成され、配置ステップでは、第1領域における第2領域との境界近傍に歪検知素子が対向するように、第2部材は配置されることを特徴とする。
【0020】
上記フォースセンサの製造方法において、配置ステップでは、成形プロセスにより第2部材は配置される構成でもよい。
【0021】
上記フォースセンサの製造方法において、配置ステップでは、第2領域よりも剛性が高い受圧部材を第1面から離間して対向するように配置した状態で、樹脂を含む材料をインサート成形してもよい。
【0022】
上記フォースセンサの製造方法において、伝圧部材の第1方向の一方側に、第1方向に見て受圧部と重なる部分を有するように、第2領域よりも剛性が高い受圧部材を付着する付着ステップをさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、耐荷重性および歪検知特性に優れたフォースセンサおよびフォースセンサの製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係るフォースセンサの一例を示す外観斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るフォースセンサの一例を示す分解斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るフォースセンサの一例を示す断面図である。
【
図7】センサ基板と伝圧部材との関係を説明する模式断面図である。
【
図8】本実施形態に係るフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
【
図9】本実施形態に係るフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
【
図10】本実施形態に係るフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
【
図11】突出部の他の例について示す斜視図である。
【
図12】突出部の他の例について示す断面図である。
【
図13】突出部の他の例を備えたフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
【
図14】突出部の他の例を備えたフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
【
図15】突出部の他の例を備えたフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
【
図16A】比較例に係るフォースセンサの構成を例示するXZ断面図である。
【
図16B】比較例に係るフォースセンサの構成を例示するXY断面図である。
【
図17】比較例に係るフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
【
図18A】本実施形態に係るフォースセンサの製造方法(その1)を例示する模式断面図である。
【
図18B】本実施形態に係るフォースセンサの製造方法(その1)を例示する模式断面図である。
【
図18C】本実施形態に係るフォースセンサの製造方法(その1)を例示する模式断面図である。
【
図19A】本実施形態に係るフォースセンサの製造方法(その2)を例示する模式断面図である。
【
図19B】本実施形態に係るフォースセンサの製造方法(その2)を例示する模式断面図である。
【
図19C】本実施形態に係るフォースセンサの製造方法(その2)を例示する模式断面図である。
【
図20A】フォースセンサ1aを例示する平面図である。
【
図20B】フォースセンサ1bを例示する平面図である。
【
図20C】フォースセンサ1cを例示する平面図である。
【
図20D】フォースセンサ1dを例示する平面図である。
【
図20E】フォースセンサ1eを例示する平面図である。
【
図20F】フォースセンサ1fを例示する平面図である。
【
図21】フォースセンサ1a~1fおよび比較フォースセンサ2の出力値をグラフ化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0026】
(フォースセンサの概要)
図1は、本実施形態に係るフォースセンサの一例を示す外観斜視図である。
図2は、本実施形態に係るフォースセンサの一例を示す分解斜視図である。
図3は、本実施形態に係るフォースセンサの一例を示す断面図である。
図3には、
図1に示すA-A’線の断面図が示される。
【0027】
本実施形態に係るフォースセンサ1は、外部からの荷重を受けて、その荷重に応じた信号を出力する装置である。フォースセンサ1は、被検知力を受ける受圧部11を第1方向の一方側の端部に有する伝圧部材10と、伝圧部材10の第1方向の他方側に配置され、伝圧部材10よりも剛性が高いセンサ基板20と、を備える。ここで、本実施形態では、第1方向をZ1-Z2方向、第1方向の一方側をZ1側、第1方向の他方側をZ2側ということにする。したがって、受圧部11は、伝圧部材10のZ1側の端部に設けられ、センサ基板20は伝圧部材10のZ2側に配置される。
【0028】
伝圧部材10は、センサ基板20の周囲およびZ1側を覆うように設けられる。伝圧部材10は樹脂材料を含む材料からなり、相対的に剛性が低い第1領域101と、Z1-Z2方向に見て第1領域101に隣接し相対的に剛性が高い第2領域102とを有する。第2領域102は、センサ基板20に接触する接触部102aを有する。第2領域102には例えばシリカ充填エポキシが用いられる。第1領域101には第2領域102の材料よりもヤング率の低い例えばレジスト樹脂が用いられる。
【0029】
伝圧部材10のZ1側には、Z1-Z2方向に見て受圧部11と重なる部分を有する受圧部材12がさらに設けられていてもよい。受圧部材12は伝圧部材10のZ1側の表面に設けられていてもよいし、伝圧部材10のZ1側に埋設されていてもよい。
【0030】
受圧部材12は、剛性および弾性(押圧解除後の形状回復性)の観点から金属が好ましい。受圧部材12は、例えば伝圧部材10よりも剛性の高い材料、好ましくはセンサ基板20よりも剛性の高い材料(ステンレスなど)によって形成される。受圧部材12が設けられることで、外力を受圧部11に効果的に印加することができるとともに、受圧部11を破損から保護する効果を高めることができる。
【0031】
受圧部材12の略中央にはZ1側に突出する突出部12aが設けられていてもよい。なお、受圧部材12が設けられていない場合、伝圧部材10の受圧部11に突出部12aが設けられていてもよい。突出部12aが設けられていることで、突出部12aが外力を受けるターゲットとなり、外力を受圧部11へ効果的に伝えることができる。
【0032】
センサ基板20は配線基板30に実装される。配線基板30にはパッド31が設けられており、センサ基板20のパッド22と配線基板30のパッド31とがボンディングワイヤ32によって接続される。伝圧部材10は、配線基板30におけるセンサ基板20が実装された側(Z1側)に設けられ、センサ基板20とともにボンディングワイヤ32を覆うように形成される。
【0033】
センサ基板20は伝圧部材10よりも剛性の高い材料によって形成される。センサ基板20には、例えばシリコンやシリコン化合物が用いられる。センサ基板20は、伝圧部材10に対向する側に歪検知素子21を有する。歪検知素子は、例えばピエゾ抵抗素子である。歪検知素子21は、センサ基板20の伝圧部材10に対向する側の面に設けられていてもよいし、この面から内側に埋設されていてもよい。
【0034】
図4は、歪検知素子の配置例を示す平面図である。
歪検知素子21は、センサ基板20のZ1側の面または部分に形成される。歪検知素子21は変位量を電気的に検出する素子である。センサ基板20には、複数(例えば4つ)の歪検知素子21が設けられる。複数の歪検知素子21はセンサ基板20のZ1側の面に沿って、隣り合う素子どうしが90°異なる位相(互いに直交する位置関係)で配置されている。受圧部11で受けた荷重によりセンサ基板20が変位すると、その変位量に応じて複数の歪検知素子21の電気抵抗が変化し、この複数の歪検知素子21によって構成されたフルブリッジ回路の中点電位が変化し、この中点電位がセンサ出力となる。
【0035】
図5は、センサ基板の構成を例示する斜視図である。
図6は、センサ基板の構成を例示する平面図である。
説明の便宜上、
図5および
図6にはセンサ基板20のZ1側に設けられる伝圧部材10の第1領域101が示されている。
図6では、第1領域101は二点鎖線で示される。
図7は、センサ基板と伝圧部材との関係を説明する模式断面図である。
【0036】
センサ基板20に設けられた歪検知素子21は、伝圧部材10の第1領域101における第2領域102との境界近傍に対向するように位置する。例えば、Z1-Z2方向に見て、第1領域101は略四角形に設けられる。この第1領域101における第2領域102との境界101aのうち略四角形の辺に相当する部分のそれぞれは、4つの歪検知素子21の近傍(例えば、歪検知素子21の僅かに外側)に位置する。なお、第1領域101の境界101aの略四角形の辺に相当する部分のそれぞれは、4つの歪検知素子21の僅かに内側に位置していてもよい。
【0037】
フォースセンサ1において、剛性は、センサ基板20、第2領域102、第1領域101の順に低くなる。第1領域101は第2領域102よりも剛性が低いため、
図7に示すように受圧部11に外力P1が印加されたときに、第1領域101は優先的に圧縮される。この圧縮に起因して、第1領域101に隣接する第2領域102を構成する部材が変形する。この変形により、第2領域102においてセンサ基板20に接触する接触部102aに応力集中(矢印P2参照)が生じ、センサ基板20への接触面圧が高くなる。
【0038】
この応力集中が生じた接触部102aの周囲に位置するセンサ基板には、引張変形が生じやすくなる。そこで、センサ基板20において、Z1-Z2方向に見たときに第1領域101における第2領域102との境界近傍に対向する部分を含むように歪検知素子21を配置することにより、受圧部11で受けた外力P1を歪検知素子21で効率的に検知することが可能となる。すなわち、第1領域101は、受圧部11に加えられた外力P1により伝圧部材10の内部に生じた応力を、歪検知素子21の周囲に誘導する応力誘導部として機能する。
【0039】
このように、第1領域101によって伝圧部材10の応力分布を制御するため、センサ基板20にはダイヤフラムのような易変形部を作る必要がない。それゆえ、センサ基板20の構造や製造方法をシンプルにすることができる(例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加工が不要となる。)。また、センサ基板20の任意の位置に応力を誘導できることから、歪検知素子21のレイアウトなどフォースセンサ1の設計自由度を高めることができる。例えば、外力印加に基づく第1領域101の圧縮に異方性を付与すれば、センサ基板20へと伝搬する応力を特定の方向に誘導することも可能となる。
【0040】
ここで、第1領域101は空洞でもよい。また、第1領域101はセンサ基板20に接していてもよいし、接していなくてもよい。第1領域101がセンサ基板20に接している場合には、第2領域102の接触部102aの応力集中に起因してセンサ基板20において引張変形が生じるときに、相対的に剛性が低い第1領域101を構成する部材がセンサ基板20に接触していることで、引張変形が生じやすくなる。それゆえ、引張変形が生じる部分に第1領域101を構成する部材が接触していない場合に比べて、歪検知素子21の検知感度が高くなる。
【0041】
また、Z1-Z2方向に見て、受圧部11の少なくとも一部は、第1領域101およびセンサ基板20と重複するように構成される。これにより、受圧部11に加えられた外力P1の付与中心(外力P1を付与する部材と受圧部11との接触領域の重心)からZ1-Z2方向に沿って、第1領域101とセンサ基板20とが配置されるため、第1領域101を構成する部材の圧縮変形が生じやすい。これにより、第2領域102の変形が生じやすくなり、外力P1に基づく応力歪を効率的に歪検知素子21に加えることができる。
【0042】
第1領域101と第2領域102とを互いに異なる材料にすることで、材料選択によって第1領域101と第2領域102との剛性のバランスが設定され、第1領域101による応力誘導機能と、第2領域102による応力集中機能とを任意に設定できるようになる。
【0043】
(荷重印加の応力分布)
図8から
図10は、本実施形態に係るフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
図8には、本実施形態に係るフォースセンサ1に荷重が印加された際の断面応力分布が示される。
図9には、本実施形態に係るフォースセンサ1に荷重が印加された際のセンサ基板20のZ1側表面の応力分布が示される。
図10には、本実施形態に係るフォースセンサ1に荷重が印加された際のセンサ基板20の歪検知素子21が存在する深さ(Z1-Z2方向の位置)におけるX1-X2方向の応力分布が示される。
【0044】
本実施形態に係るフォースセンサ1においては、Z1-Z2方向に見て第1領域101よりも狭い突出部12aが設けられている。この突出部12aに荷重を印加すると、突出部12aを有する受圧部材12から伝圧部材10へ応力が伝わった際、第2領域102に比べて第1領域101が優先的に圧縮される。これにより、伝圧部材10へ伝わった応力は第1領域101と第2領域102との境界部分に集中していることが分かる。したがって、第1領域101と第2領域102との境界近傍のセンサ基板20に歪検知素子21を設けることで、受圧部11で受けた荷重を歪検知素子21で効率的に検知することが可能となる。
【0045】
(突出部の他の例)
図11は、他の例に係る突出部を備えたフォースセンサを示す斜視図である。
図12は、他の例に係る突出部を備えたフォースセンサを示す断面図である。
図13から
図15は、突出部の他の例を備えたフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
図12には、
図11に示すB-B’線の断面図が示される。
図13には、他の例に係る突出部(他の突出部12b)を備えたフォースセンサ1Aに荷重が印加された際の断面応力分布が示される。
図14には、他の突出部12bを備えたフォースセンサ1Aに荷重が印加された際のセンサ基板20のZ1側表面の応力分布が示される。
図15には、他の突出部12bを備えたフォースセンサ1Aに荷重が印加された際のセンサ基板20の歪検知素子21が存在する深さ(Z1-Z2方向の位置)におけるX1-X2方向の応力分布が示される。
【0046】
図11および
図12に示すように、フォースセンサ1Aにおいて、他の突出部12bは、Z1-Z2方向に見て第1領域101と重なる位置であって第1領域101よりも大きく設けられる。他の突出部12bは、
図8に示す突出部12aよりも大きい。受圧部材12における突出部12bとは反対側には対向突出部12cが設けられていてもよい。対向突出部12cはZ1-Z2方向に見て突出部12bと重なる位置であって突出部12bよりも小さく設けられることが好ましい。
【0047】
突出部12bが大きいと、突出部12bに接触させる部材を安定して突出部12bに当てることができる。また、対向突出部12cを突出部12bよりも小さくすることで、大きな突出部12bで安定して受けた荷重を対向突出部12cに集中させて歪検知素子21へ与えることができる。
【0048】
この突出部12bに荷重を印加すると、突出部12bを有する受圧部材12から伝圧部材10へ応力が伝わった際、応力が第1領域101と第2領域102との境界部分により多く集中していることが分かる。したがって、第1領域101と第2領域102との境界近傍のセンサ基板20に歪検知素子21を設けることで、受圧部11で受けた荷重を歪検知素子21で効率的に検知することが可能となる。
【0049】
(比較例)
図16Aは、比較例に係るフォースセンサの構成を例示するXZ断面図である。
図16Bは、比較例に係るフォースセンサの構成を例示するXY断面図であり、
図16AのC-C’線での断面図である。
図17は、比較例に係るフォースセンサに荷重が印加された際の応力分布図である。
【0050】
図16Aに示されるように、比較例に係るフォースセンサ(比較フォースセンサ2)では、単結晶シリコンを用いたMEMS加工によるセンサ素子25’がセンサ基板29上に積層された構造を備える。センサ素子25’のZ2側には変位部26と歪検知素子21とが形成される。センサ素子25’のZ1側には受圧部27が設けられる。センサ素子25’は封止樹脂28によって覆われ、受圧部27の一部は封止樹脂28のZ1側から突出している。
図16Bに示されるように、変位部26は、正方形に近い形状を有するダイヤフラムからなり、センサ素子25’の他の部分とは、X1-X2方向の2カ所およびY1-Y2方向の2カ所に設けられた連結部により連結されている。この4つの連結部のそれぞれに歪検知素子21が設けられている。
【0051】
比較フォースセンサ2の受圧部27に荷重を印加すると、
図17に示されるように、センサ素子25’に荷重に起因してたわみ変形が発生してZ2側のセンサ基板29へと応力が伝わる。この際、ダイヤフラムからなる変位部26と連結部との相対位置が変化し、この変化を歪検知素子21が検出して信号が出力される。ここで、比較フォースセンサ2では、受圧部27はセンサ素子25’とともに靭性の低い単結晶シリコンで形成される。このため、比較フォースセンサ2に強い荷重(衝撃荷重)が印加されると、その荷重は単結晶シリコンからなる部材(受圧部27、センサ素子25’)を介してセンサ基板29へと伝搬する。このため、比較フォースセンサ2は荷重の影響を受けやすく、例えば、過大な荷重が印加されると受圧部27やセンサ素子25’が破損する可能性が高くなる場合がある。
【0052】
これに対し、本実施形態に係るフォースセンサ1では、受圧部11に印加された荷重によって第1領域101は優先的に圧縮され、第2領域102へ応力を誘導することができる。したがって、衝撃荷重が印加されても第1領域101で吸収しながら第2領域102へ応力を誘導でき、耐衝撃性が高くなる。また、第1領域101と第2領域102との境界近傍のセンサ基板20に歪検知素子21を設けることで、第2領域102へ誘導された応力を効果的に歪検知素子21へ伝えることができ、歪検知素子21の検知感度を高めることができる。
【0053】
(フォースセンサの製造方法)
図18Aから18Cは、本実施形態に係るフォースセンサの製造方法(その1)を例示する模式断面図である。
先ず、
図18Aに示すように、センサ基板20を形成する。例えば、シリコン基板200を用意し、シリコン基板200に歪検知素子21を形成する。シリコン基板200には、シリコンのほか、シリコン化合物も含まれる。歪検知素子21は、例えばピエゾ抵抗素子である。次いで、シリコン基板200の歪検知素子21が設けられた側の面に第1部材210を付設する(付設ステップ)。第1部材210には、例えばフォトレジストの硬化物が用いられる。第1部材210はシリコン基板200の歪検知素子21が設けられた側の面の一部を覆うように設けられる。第1部材210の縁部210aの位置は、歪検知素子21の近傍である。これにより、前記歪検知素子21は、第1部材210の外縁近傍と重なる重複部分を有する。その後、歪検知素子21が形成されてシリコン基板200を所定のサイズにダイシングすることでセンサ基板20が形成される。
【0054】
次に、
図18Bに示すように、センサ基板20を配線基板30に実装し、ボンディングワイヤ32によってセンサ基板20と配線基板30のパッド31とを接続する。
【0055】
次に、
図18Cに示すように、センサ基板20の第1面20a側に第2部材220を配置する(配置ステップ)。第2部材220は、配線基板30におけるセンサ基板20が実装された側(Z1側)にて、センサ基板20とともにボンディングワイヤ32を覆うように形成される。
【0056】
第2部材220は、例えば射出成形やトランスファーモールド法などの成形プロセスによって配置される。第2部材220には、第1部材210よりも剛性の高い(ヤング率の高い)材料が用いられる。第2部材220には、例えばシリカ充填エポキシ樹脂が用いられる。また、第2部材220を配置する際、インサート成形によって受圧部材12を第2部材に一体的に形成してもよい(付着ステップ)。これにより、フォースセンサ1が製造される。
【0057】
このように製造されたフォースセンサ1では、第1部材210および第2部材220によって伝圧部材10が構成される。このうち第1部材210が第1領域101となり、第1部材210と隣接する第2部材220が第2領域102となる。
【0058】
次に、本実施形態に係るフォースセンサ1の別の製造方法について説明する。
図19Aから19Cは、本実施形態に係るフォースセンサの製造方法(その2)を例示する模式断面図である。
先ず、
図19Aに示すように、先に説明した製造方法(
図18Aおよび
図18B参照)と同様に、センサ基板20を形成し、センサ基板20を配線基板30に実装する。次いで、ボンディングワイヤ32によってセンサ基板20と配線基板30のパッド31とを接続する。
【0059】
次に、
図19Bに示すように、伝圧部材10を用意する。伝圧部材10には、例えばシリカ充填エポキシ樹脂が用いられる。伝圧部材10のZ2側の略中央部には空洞15が設けられる。空洞15は、Z2側に開口した第1空洞部分15aと、第1空洞部分15aのZ1側に設けられ、第1空洞部分15aと連通する第2空洞部分15bとを有する。第1空洞部分15aの大きさはセンサ基板20の大きさとほぼ等しい。Z1-Z2方向に見た第2空洞部分15bの大きさは第1空洞部分15aの大きさよりも小さい。なお、伝圧部材10のZ1側には受圧部材12が設けられていてもよい(付着ステップ)。
【0060】
次に、
図19Cに示すように、センサ基板20の第1面20a側に伝圧部材10を配置する(配置ステップ)。この配置によって、センサ基板20は伝圧部材10の第1空洞部分15aに嵌め込まれる。なお、伝圧部材10を配置する際、ボンディングワイヤ32が伝圧部材10に干渉しないように伝圧部材10にはボンディングワイヤ32の逃げの空間(図示せず)が設けられる。
【0061】
伝圧部材10の第1空洞部分15aの内部にセンサ基板20を配置・固定すると、センサ基板20の第1面20aの中央部分に第2空洞部分15bが位置する。また、第2空洞部分15bに隣接する伝圧部材10(第1空洞部分15aのZ1側)はセンサ基板20の第1面20aに接する。これにより、フォースセンサ1が製造される。なお、伝圧部材10とセンサ基板20とを接着材料を用いて固定する場合には、伝圧部材10は第1面20aに接着材料の硬化物を介して接触することになるが、接着材料の硬化物は伝圧部材10の一部と位置づけられ、突出部12aに印加された荷重は、伝圧部材10からセンサ基板20へと適切に伝達される。
【0062】
このように製造されたフォースセンサ1では、伝圧部材10の第2空洞部分15bからなる空隙部が第1領域101となり、伝圧部材10において第2空洞部分15bと隣接しセンサ基板20の第1面20aと接する部分が第2領域102となる。
【0063】
このように、本実施形態によれば、耐荷重性および歪検知特性に優れたフォースセンサ1およびフォースセンサ1の製造方法を提供することが可能となる。
【0064】
本実施形態に係るフォースセンサ1および比較フォースセンサ2がそれぞれ備える4つの歪検知素子21を有するフルブリッジ回路の出力値(相対値)を、シミュレーションにより求めた。
【0065】
具体的には、フォースセンサ1として、Z1-Z2方向に見た第1領域101の大きさが異なり、第1領域101と第2領域102との境界BLと、歪検知素子21との位置関係が異なるものを6種類(フォースセンサ1a~1f)設定した。これらのフォースセンサ1a~1fを
図20A~
図20Fに示した。
【0066】
図20Aに示されるように、フォースセンサ1aでは、歪検知素子21は境界BLよりも外側(第2領域102側)に位置する。
図20Bに示されるように、フォースセンサ1bでは、歪検知素子21は境界BL上に位置する。
図20Cから
図20Fに示されるように、フォースセンサ1c~1fでは、歪検知素子21は境界BLよりも内側(第1領域101側)に位置し、フォースセンサ1cからフォースセンサ1fの順番で、歪検知素子21と境界BLとの距離は大きくなり、歪検知素子21は相対的に第1領域101の内側に位置する。
【0067】
これらのフォースセンサ1a~1fおよび比較フォースセンサ2のそれぞれに等しい荷重を印加したときのフルブリッジ回路からの出力値を、比較フォースセンサ2からの出力値を1として、相対比較した。その結果を表1に示す。また、表1に示される結果をグラフ化したものを
図21に示す。
【0068】
【0069】
表1および
図21に示されるように、比較フォースセンサ2の出力を1とすると、Z1-Z2方向に見て歪検知素子21が第1領域101と重複しないフォースセンサ1aでは、出力は正の値となったが、Z1-Z2方向に見て歪検知素子21が第1領域101と重複するフォースセンサ1b~1fでは、出力の値は負となった。すなわち、比較フォースセンサ2およびフォースセンサ1aでは、歪検知素子21は圧縮変形するが、フォースセンサ1b~1fでは、歪検知素子21は引張変形することが示された。
【0070】
歪検知素子21が引張変形したフォースセンサ1b~1fで出力値を対比すると、Z1-Z2方向に見て歪検知素子21が第1領域101における第2領域102との境界BLに最も近く配置されたフォースセンサ1cが最も出力値の絶対値が大きく、Z1-Z2方向に見て歪検知素子21が境界BLから離れるほど、出力値の絶対値が低くなる傾向が示された。出力値が最大となったフォースセンサ1cでは、出力値の絶対値は比較フォースセンサ2と同等であった。
【0071】
表1に示される結果から、本実施形態に係るフォースセンサ1b~1fでは、荷重が印加された際の歪検知素子21の変形を引張方向にすることができる。その結果、センサ基板20にかかる圧縮方向の応力を低減でき、センサ基板20の耐荷重性を向上させることができる。これにより、受圧部11の破損を効果的に防止することができる。
【0072】
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の構成例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0073】
1,1A,1a,1b,1c,1d,1e,1f…フォースセンサ
2…比較フォースセンサ
10…伝圧部材
11…受圧部
12…受圧部材
12a,12b…突出部
12c…対向突出部
15…空洞
15a…第1空洞部分
15b…第2空洞部分
20,29…センサ基板
20a…第1面
21…歪検知素子
22…パッド
25’…センサ素子
26…変位部
27…受圧部
28…封止樹脂
30…配線基板
31…パッド
32…ボンディングワイヤ
101…第1領域
101a…境界
102…第2領域
102a…接触部
200…シリコン基板
210…第1部材
210a…縁部
220…第2部材
BL…境界
P1…外力
P2…矢印