(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175602
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】大豆ミート製造装置
(51)【国際特許分類】
A47J 43/046 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
A47J43/046
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093518
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】温 岩
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA01
4B053BA02
4B053BA12
4B053BB02
4B053BE12
4B053BF15
4B053BK54
4B053BK57
(57)【要約】
【課題】粉砕、撹拌、混練及び加熱を無駄なく調和させることによりコストの増大及び装置の大型化を抑え、調理時間を短縮できる大豆ミート製造装置を提供する。
【解決手段】大豆の加工を行う大豆加工室2の上方に具材を収容する具材収容室4が連設されている。伝達軸20から受けた回転力を伝達する駆動軸6は、大豆加工室2に挿設されている。伝達軸20は正回転時には大豆の粉砕が可能な高速回転となり、逆回転時には混練が可能な低速回転となる。コネ羽根10は駆動軸6の正回転時に空転する第1のワンウェイクラッチで連結されている。撹拌羽根12は、コネ羽根10と一体に構成されており、蓋部18から延設された支軸18aに対して、第1のワンウェイクラッチとは逆向きに空転する第2のワンウェイクラッチを介して支持されている。蒸気導入路3を介して大豆加工室2に導入された蒸気は、具材収容室4の隔壁4bを介して具材の撹拌加熱にも利用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕から具材との混練までの大豆の加工を行う大豆加工室と、
前記大豆加工室内に加熱蒸気を導入する蒸気導入路と、
前記大豆加工室に連設され、前記大豆加工室との隔壁に具材投入口が形成された具材収容室と
を備えたことを特徴とする大豆ミート製造装置。
【請求項2】
前記大豆加工室内に挿入する形で設けられ、回転駆動される駆動軸と、
前記大豆加工室内で前記駆動軸に取り付けられた大豆粉砕用のブレードと、
前記大豆加工室内で前記駆動軸に対して第1のワンウェイクラッチを介して回転可能に連結された大豆加工用のコネ羽根と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の大豆ミート製造装置。
【請求項3】
前記具材収容室内に設けられた支軸に対して回転可能に配置され、前記コネ羽根と一体回転可能に構成されて前記具材を撹拌する撹拌羽根を備えたことを特徴とする請求項2に記載の大豆ミート製造装置。
【請求項4】
前記撹拌羽根は、前記コネ羽根と分離可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の大豆ミート製造装置。
【請求項5】
前記具材収容室の前記支軸と前記撹拌羽根との間に、回転許容方向が前記第1のワンウェイクラッチとは逆に配置された第2のワンウェイクラッチを備えたことを特徴とする請求項4に記載の大豆ミート製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭で大豆を材料とした代替肉を作ることのできる大豆ミート製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動製パン機の分野では、主食材に対して具材を上方から投入する構成を採用した家庭用の装置が知られている。このような自動製パン機については、特許文献1に開示されている。この自動製パン機には、パン生地を捏ねるための駆動機構と、具材を払い落とすための駆動機構とが独立して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大豆ミートの製造では、大豆を粉砕する工程、具材を撹拌する工程、具材を投入する工程及び大豆を混練する工程のそれぞれにおいて適した回転数の選択が必要になる。特に、大豆を粉砕する工程と混練する工程とでは回転速度が大きく異なる。
【0005】
また、大豆ミートの製造では、大豆を加工するための加熱処理だけでなく、具材を撹拌する際にも加熱処理を行うことが望ましい。例えば、具材に小麦粉や油を使用する場合、そのまま主食材である大豆側へ投入すると、ダマができることにより味に偏りが生じやすく、また、投入時に蓋などに飛散して有効に調理されないといった問題が生じ得る。これに対して、具材を加熱しながら撹拌しておくと、材料の偏りや投入時の飛散を抑えることができる上に、全体の調理時間を短縮できるという利点がある。
【0006】
そして、調理時間の無駄を可能な限り省き、時間短縮を図るために、上述の4つの工程のうち並行して進める事が可能であれば、同時に処理を行うのが望ましい。
【0007】
上述のように、大豆ミートを製造するためには、回転数が大きく変化させることができる駆動機構が必要となる上に、具材に対しても加熱機構が必要となる。しかし、各工程に応じて個別に駆動機構や加熱機構を備えるとコストが増大し、装置が大型化してしまうので、家庭用のコンパクトな設計を行うことが困難になる。
【0008】
そこで、本発明では、粉砕、撹拌、混練及び加熱を無駄なく調和させることによりコストの増大及び装置の大型化を抑え、調理時間を短縮できる大豆ミート製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の大豆ミート製造装置は、粉砕から具材との混練までの大豆の加工を行う大豆加工室と、前記大豆加工室内に加熱蒸気を導入する蒸気導入路と、前記大豆加工室に連設され、前記大豆加工室との隔壁に具材投入口が形成された具材収容室とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によると、大豆加工室に具材収容室が連設されているので、大豆加工室を加熱する熱の一部を隔壁を介して具材収容室側で受けることができる。これにより大豆加工室へ
投入する前に具材に熱を入れることができるので、最終的にフライパン等で大豆ミートが調理される時の時間が短縮される。
【0011】
上記構成において、前記大豆加工室内に挿入する形で設けられ、回転駆動される駆動軸と、前記大豆加工室内で前記駆動軸に取り付けられた大豆粉砕用のブレードと、前記大豆加工室内で前記駆動軸に対して第1のワンウェイクラッチを介して回転可能に連結された大豆加工用のコネ羽根とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本構成によれば、第1のワンウェイクラッチで動力伝達が切断されて駆動軸のみが回転される状態と、動力伝達が接続されて駆動軸とコネ羽根とが一体に回転される状態とを、駆動軸の正回転及び逆回転によって切り替えることができる。
【0013】
上記構成において、前記具材収容室内に設けられた支軸に対して回転可能に配置され、前記コネ羽根と一体回転可能に構成されて前記具材を撹拌する撹拌羽根を備えたことを特徴とする。
【0014】
本構成によれば、大豆加工室内においてコネ羽根で粉砕大豆を捏ねる際に、具材収容室内において同時に撹拌羽根で具材を撹拌することができる。また、撹拌羽根で具材を大豆加工室内へ落下投入するために具材投入口を開くと、粉砕大豆と具材との混練を連続して行うことが可能となる。
【0015】
上記構成において、前記撹拌羽根は、前記コネ羽根と分離可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、具材収容室を大豆加工室から分離する際に、コネ羽根だけを大豆加工室内に残して具材収容室と共に撹拌羽根も分離することが可能となる。これにより、加工後の大豆ミートを大豆加工室から取り出す作業が容易になる。また、メンテナンスも容易になる。
【0017】
上記構成において、前記具材収容室の前記支軸と前記撹拌羽根との間に、回転許容方向が前記第1のワンウェイクラッチとは逆に配置された第2のワンウェイクラッチを備えたことを特徴とする。
【0018】
本構成によれば、第1のワンウェイクラッチを介して駆動軸からコネ羽根及び撹拌羽根に回転力が伝達されているときには、支軸により撹拌羽根側の軸ブレを抑えて回転を安定させることが可能となる。また、第1のワンウェイクラッチで回転力の伝達が解除されている場合(空転状態)には、第2のワンウェイクラッチによりコネ羽根及び撹拌羽根の回転がロックされるので、駆動軸の回転に対する供回りを防止できる。これにより、駆動軸に対して空転状態になったコネ羽根は、具材収容室及び大豆加工室に対して第2のワンウェイクラッチにより固定されるので、ブレードによる大豆粉砕の工程において、コネ羽根をリブとして利用でき、粉砕の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の大豆ミート製造装置の大豆加工室及び具材収容室の縦断面図である。
【
図3】具材収容室から蓋部を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】大豆加工室から具材収容室を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】駆動軸の正回転時の可動箇所を示す縦断面図である。
【
図6】駆動軸の逆回転時の可動箇所を示す縦断面図である。
【
図7】駆動軸の正回転時のブレードとコネ羽根とを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の大豆ミート製造装置1の大豆加工室2及び具材収容室4の縦断面図である。以降、大豆ミート製造装置1において、大豆の粉砕、大豆及び具材の撹拌、混練の工程に直接関与しない構成については図示を省略して説明を行うこととする。
【0021】
大豆の粉砕から具材との混練までの大豆の加工を行う大豆加工室2の上方に、具材を収容する具材収容室4が連設されている。更に、具材収容室4の上方には、大豆加工室2へ送る蒸気を導く蒸気導入路3を備えた蓋部18が設けられている。
【0022】
大豆加工室2の下方には、モーター等の動力源(図示せず)から回転力を伝達する伝達軸20が連結されている。本実施の形態に係る構成では、この伝達軸20から伝達される回転力は用途に合わせて2段階に変化する。大豆ミート製造装置1では、大豆粉砕用の比較的高速な回転と、蒸し上がった大豆を捏ねる際の低速な回転の2種類の回転が使い分けられる。また、2種類の回転は互いに逆方向に回転操作される。以降、大豆粉砕用の高速回転を正回転とし、大豆を捏ねる低速回転を逆回転として区別する。
【0023】
先ず、下方の大豆加工室2の構成について説明を行う。
【0024】
大豆加工室2の中央には、室内に挿入する形で駆動軸6が設けられている。この駆動軸6は、上述の伝達軸20を介して伝達される回転力により駆動される。駆動軸6の内側には、蒸気を通すための空間が上下方向に延びるように形成されている。そして、駆動軸6の下方側は内部空間が広がるように形成されている。駆動軸6の上方の比較的細く形成されている部分を細軸部6aとし、下方の広がっている部分を太軸部6bとして区別する。伝達軸20は、太軸部6bの下方側から侵入するように配置されており、太軸部6bと細軸部6aとの境界で連結されている。そして、駆動軸6の細軸部6a側には、蒸気を大豆加工室2内に排出するための蒸気孔22が形成されており、太軸部6b側には、蒸気孔24が形成されている。また、太軸部6bの外面には、大豆の粉砕や捏ね作業の際に使用される2枚のブレード8が段違いの配置で取り付けられている。
【0025】
駆動軸6の細軸部6a側にはコネ羽根10が連結されている。コネ羽根10は、粉砕及び蒸し工程後に、駆動軸6を介して伝達される回転力により大豆を捏ねる際に使用される。
【0026】
次に、具材収容室4側の構成について説明を行う。
【0027】
具材収容室4の内側には、撹拌羽根12が設けられている。この撹拌羽根12は、具材を大豆加工室2側へ投入する前に撹拌するために使用される。撹拌のための動力は、伝達軸20から駆動軸6を介して伝達される。
【0028】
ここで、駆動軸6からコネ羽根10及び撹拌羽根12へ回転力を伝達する機構について説明するために、
図2の拡大図を併用する。
図2は
図1において二点鎖線で囲んだ部分Aの拡大図である。
【0029】
本実施の形態に係る構成では、駆動軸6がコネ羽根10を回転操作する回転伝達状態と、回転操作しない空転状態とを切り換えるためにワンウェイクラッチ14(第1のワンウェイクラッチ)が設けられている。また、蓋部18の天井から延設された支軸18aに対して撹拌羽根12の回転を許容する状態と、回転を停止させる状態とを切り換えるためにワンウェイクラッチ16(第2のワンウェイクラッチ)が設けられている。
図1及び
図2では、他の構成と明確に区別できるように、便宜的に、ワンウェイクラッチ14、16を
塗り潰して表している。
【0030】
ワンウェイクラッチ14は、内輪側が駆動軸6と一体に構成されている。そして、外輪側は、コネ羽根10の回転中心側で筒状に形成されたコネ羽根軸10bと一体に構成されている。本実施の形態に係る構成では、駆動軸6が正回転のとき、すなわち、大豆を粉砕するような高速回転を行う際にコネ羽根10に対して駆動軸6が空転するような向きでワンウェイクラッチ14が配置されている。よって、駆動軸6が低速の逆回転のときには、駆動軸6からコネ羽根10に動力が伝達される。
【0031】
一方、ワンウェイクラッチ16の内輪側は、ワンウェイ軸17と一体に構成されている。そして、外輪側は、撹拌羽根12の回転中心側で筒状に形成された撹拌羽根軸12bと一体に構成されている。ワンウェイ軸17は、蓋部18の支軸18aと嵌合可能な部品である。すなわち、蓋部18が閉じられているときには、ワンウェイクラッチ16の内輪側のワンウェイ軸17が支軸18aと一体となって固定される。このワンウェイクラッチ16は、駆動軸6の逆回転方向と同じ向きの外輪側の回転を許容し、正回転方向には支軸18aに対して外輪側を固定するように配置されている。
【0032】
ここで、大豆加工室2と具材収容室4との境界を見ると、コネ羽根10と撹拌羽根12とが連結しているのが見て取れる。この連結を構成するコネ羽根10側の一部を羽根連結部10aとし、撹拌羽根12側の一部を羽根連結部12aとする。
【0033】
このように構成されているので、具材収容室4が大豆加工室2と連結されている状態において、コネ羽根10と撹拌羽根12とは一体に構成されていることがわかる。すなわち、上述のように、駆動軸6からの動力がコネ羽根10に伝達されない正回転時には、コネ羽根10及び撹拌羽根12は停止した状態であり、逆回転時には、コネ羽根10及び撹拌羽根12は駆動軸6と一体となって低速回転を行う。
【0034】
また、本実施の形態では、具材収容室4と大豆加工室2との境界位置には、隔壁4bが形成されている。大豆加工室2内へ導入された蒸気の熱は、この隔壁4bを介して熱伝達されることにより、具材収容室4側でも利用できるように構成されている。これにより、大豆加工室2へ投入する前の具材に熱を加えながら混ぜ合わせることができるので、具材を均一に撹拌するだけでなく、飛散を防止できるように纏まりの良い状態にすることが可能である。このように纏まった具材が、隔壁4bの一部に形成された具材投入口4aから大豆加工室2へ投入される。なお、説明の便宜のため、具材投入口4aについては、開口位置のみを模式的に図示しており、開閉機構については図示を省略している。実際には、電磁開閉機構などを設けて、投入に適したタイミングで開閉制御されるものとする。
【0035】
図3は、具材収容室4から蓋部18を取り外した状態を示した図である。
【0036】
蓋部18については、天井側の構成を認識できるように上下方向を反転させて表している。蓋部18の天井から延設された支軸18aは、中空の六角柱状に形成されているのが見て取れる。この中空部分に、蒸気導入路3(
図1、2参照)から送られる蒸気が通される。支軸18aは、上述したように、撹拌羽根12の内側に設けられたワンウェイクラッチ16の内輪側のワンウェイ軸17に嵌合される。
図3には、支軸18aと嵌合可能な六角形のワンウェイ軸17の凹部が表れている。
【0037】
図4は、大豆加工室2から具材収容室4を取り外した状態を示した図である。
図3の場合と同様に、具材収容室4の下方側の構造を認識できるように上下方向を反転させて表している。具材収容室4側には、ワンウェイクラッチ16の外輪側の撹拌羽根軸12b(
図2参照)と一体に構成されている羽根連結部12aの12角形の凹部が表れている。これ
に対して、大豆加工室2側のコネ羽根10の上部には、12角形の凸部状に形成された羽根連結部10aが表れている。具材収容室4が大豆加工室2と連結される際、これら羽根連結部10a、12a同士が嵌合する。隔壁4bの一部に形成された具材投入口4aは、上述したように、具材を投入する位置のみを模式的に表しており、開閉機構については図示を省略している。
【0038】
続いて、正回転及び逆回転時の動作について
図5、6を用いて説明する。
【0039】
図5は、駆動軸6の正回転時の可動箇所を示す縦断面図である。また、
図6は、駆動軸6の逆回転時の可動箇所を示す縦断面図である。ここでは、断面ではなく、伝達軸20から動力が伝達された際に回転する箇所に斜線を施して示している。また、ワンウェイクラッチ14、16については、空転している状態を白抜きで表し、動力が伝達されている状態を黒く塗りつぶして表している。
【0040】
図5を参照して、伝達軸20から正回転の動力が伝達されている場合、ワンウェイクラッチ14は空転するため、駆動軸6のみが高速回転し、コネ羽根10は停止している。ここで、黒塗りで表されているワンウェイクラッチ16がロック状態になっていることがわかる。すなわち、本実施の形態に係る構成では、ワンウェイクラッチ14とワンウェイクラッチ16とが互いに逆の向きに空転するように配置されている。このように構成されているので、駆動軸6が高速で正回転しているとき、撹拌羽根12と一体に構成されているコネ羽根10はワンウェイクラッチ16のロック作用により供回りを防ぐことが可能となる。
【0041】
一方、
図6に表れているように、伝達軸20から逆回転の動力が伝達されている場合、ワンウェイクラッチ14は回転力の伝達が可能な状態となるため、駆動軸6と共にコネ羽根10も低速で逆方向に回転する。また、コネ羽根10と一体に構成されている撹拌羽根12も同じ速度で回転する。このとき、ワンウェイクラッチ16は回転を許容する空転状態になっているので、内輪側のワンウェイ軸17が蓋部18の支軸18aによって固定されていても撹拌羽根12は回転可能である。
【0042】
次に、大豆粉砕時の大豆加工室2の状態について
図7を用いて説明する。
【0043】
図7は、駆動軸6の正回転時のブレード8とコネ羽根10とを示す横断面図である。コネ羽根10の断面には斜線を施して表している。
図5を用いて上述したように、正回転時には、ワンウェイクラッチ16によって蓋部18側に固定された撹拌羽根12と一体となったコネ羽根10は停止した状態となっている。このためブレード8は大豆を粉砕するために高速で回転するが、コネ羽根10は大豆加工室2に対して停止した状態である。このように構成されているので、粉砕された大豆はコネ羽根10によって跳ね返される。よって、粉砕された大豆片が中央側のブレード8に向けて戻され、粉砕の機会が増大する。このように、正回転時には、コネ羽根10がリブのように働くので、短時間で効率良く粉砕を行うことが可能となる。
【0044】
以上に述べてきたような構成は本発明の一例であり、さらに以下のような変形例も含まれる。
【0045】
(1)上記の実施の形態では、隔壁4bの材質等については詳細に述べていないが、側壁よりも熱伝導性の高い部材で形成することが望ましい。なお、この熱伝導性の高い部材には、材質自体の違いのみならず、熱伝導性に高い板厚に形成するなど、構造上の特性も含むものとする。
【0046】
(2)上記の実施の形態では、蒸気導入路3が上方から具材収容室4内を貫通して配置された構成を例として示した。しかし、具材収容室4内を貫通させず、大豆加工室2内に蒸気を導入できる構成でも構わない。
【0047】
(3)上記の実施の形態では、具材収容室4内に撹拌羽根12を備えた構成を例として示した。しかし、撹拌羽根12は必須の構成ではない。ユーザーが蒸気の熱を利用して具材収容室4内で具材を撹拌して具材投入口4aから適宜投入する構成であっても構わない。
【0048】
(4)上記の実施の形態では、大豆を粉砕する高速回転時(正回転)において、コネ羽根10及び撹拌羽根12の供回りを防止するためにワンウェイクラッチ16(第2のワンウェイクラッチ)を具材収容室4側に設けた構成を例として示した。しかし、この第2のワンウェイクラッチは必須の構成ではない。
【0049】
(5)上記の実施の形態では、駆動軸6内に蒸気を導入するための空間が形成された構成を例として示した。しかし、駆動軸6を通過させずに蒸気を導入する構成であっても構わない。
【0050】
(6)上記の実施の形態では、コネ羽根10と撹拌羽根12とが分離可能に構成された例を示した。しかし、コネ羽根10と撹拌羽根12とを一体不可分に構成しても構わない。この場合、具材収容室4を大豆加工室2から分離する際に、コネ羽根10が大豆加工室2から分離できるように構成すると良い。
【0051】
(7)上記の実施の形態では、ワンウェイクラッチ16の外輪側と共に撹拌羽根12が回転する構成を例として示した。しかし、内輪側に撹拌羽根12を連結することが可能であれば、外輪側を具材収容室4に固定して内輪側と撹拌羽根12とが一体に回転する構成でも構わない。
【符号の説明】
【0052】
1 大豆ミート製造装置
2 大豆加工室
3 蒸気導入路
4 具材収容室
4a 具材投入口
4b 隔壁
6 駆動軸
6a 細軸部
6b 太軸部
8 ブレード
10 コネ羽根
10a 羽根連結部
10b コネ羽根軸
12 撹拌羽根
12a 羽根連結部
12b 撹拌羽根軸
14 ワンウェイクラッチ(第1)
16 ワンウェイクラッチ(第2)
17 ワンウェイ軸
18 蓋部
18a 支軸
20 伝達軸
22、24 蒸気孔