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特開2024-175603画像解析装置、画像解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175603
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】画像解析装置、画像解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 10/62 20220101AFI20241211BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20241211BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241211BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20241211BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20241211BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20241211BHJP
   H04N 23/58 20230101ALI20241211BHJP
【FI】
G06V10/62
G01N21/17 A
G06T7/00 300F
H04N23/66
H04N23/68
H04N23/695
H04N23/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093527
(22)【出願日】2023-06-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム「大学・エコシステム推進型スタートアップ・エコシステム形成支援」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100196380
【弁理士】
【氏名又は名称】森 匡輝
(72)【発明者】
【氏名】島崎 航平
(72)【発明者】
【氏名】石井 抱
(72)【発明者】
【氏名】胡 少鵬
【テーマコード(参考)】
2G059
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB12
2G059FF01
2G059FF04
2G059JJ15
2G059KK03
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM09
5C122DA03
5C122DA11
5C122EA06
5C122EA41
5C122EA55
5C122EA63
5C122EA66
5C122EA67
5C122FA01
5C122FA02
5C122FA18
5C122FB03
5C122FB11
5C122FC00
5C122FD01
5C122FH01
5C122FH10
5C122FH11
5C122FH14
5C122FH23
5C122GE05
5C122GE11
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB06
5C122HB10
5L096CA04
5L096CA05
5L096FA23
5L096FA69
5L096HA02
5L096JA11
5L096JA22
(57)【要約】
【課題】広範囲で飛翔する飛翔体の種類を精度よく判別することができる画像解析装置、画像解析方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像解析装置1は、対象領域全体の広域画像を撮影する広域カメラ10と、広域画像から判別対象を検出する検出部312と、対象領域の一部のズーム画像を、広域カメラ10より精細に撮影するズームカメラ20と、ズームカメラ20の撮影位置を制御するズームカメラ制御部313と、ズーム画像から判別対象の種類を判別する判別部314と、を備える。検出部312は、時系列の広域画像から振動源定位を行って判別対象を検出し、判別対象の現在位置をズームカメラ制御部313へ送信する。ズームカメラ制御部313は、ズームカメラ20を制御して判別対象の現在位置のズーム画像を撮影し、判別部314は、撮影された時系列のズーム画像に基づいて、判別対象の重心変位の周波数特性を解析して判別対象の種類を判別する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域全体を撮影する広域カメラと、
前記広域カメラで撮影された広域画像から飛翔体である判別対象を検出する検出部と、
前記対象領域の一部を、前記広域カメラより精細に撮影するズームカメラと、
前記ズームカメラの撮影位置を制御するズームカメラ制御部と、
前記ズームカメラで撮影されたズーム画像から前記判別対象の種類を判別する判別部と、を備え、
前記検出部は、時系列の広域画像から、画像解析により振動源定位を行って前記判別対象を検出し、検出された前記判別対象の現在位置をズームカメラ制御部へ送信し、
ズームカメラ制御部は、前記検出部から受信した前記判別対象の現在位置の前記ズーム画像を撮影するように前記ズームカメラを制御し、
前記判別部は、
撮影された時系列の前記ズーム画像に基づいて、前記判別対象の重心変位の周波数特性を解析して前記判別対象の種類を判別する、
ことを特徴とする画像解析装置。
【請求項2】
前記ズームカメラのフレームレートは、前記広域カメラのフレームレートより高い、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項3】
前記ズームカメラは、
イメージセンサとレンズとの間に複数のミラーを有し、前記複数のミラーの反射角度を変化させることにより、前記イメージセンサと前記レンズとの間の光路長を調整してフォーカスを調整するフォーカス調整部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項4】
前記ズームカメラは、
撮影位置を調整する光偏向器を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項5】
前記振動源定位は、フレーム間差分法によって算出された前記判別対象の変位、又は画素レベル高速フーリエ変換によって算出された輝度値の時間変化を振動解析することによって行われる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項6】
対象領域全体を撮影する広域カメラで撮影された時系列の広域画像から、画像解析により振動源定位を行って飛翔体である判別対象を検出し、
前記対象領域の一部を前記広域カメラより精細に撮影するズームカメラで、検出された前記判別対象の現在位置を撮影し、
前記ズームカメラで撮影された時系列のズーム画像に基づいて、前記判別対象の重心変位の周波数特性を解析して前記判別対象の種類を判別する、
ことを特徴とする画像解析方法。
【請求項7】
コンピュータを、
対象領域全体を撮影する広域カメラで撮影された時系列の広域画像から、画像解析により振動源定位を行って飛翔体である判別対象を検出し、検出された前記判別対象の現在位置をズームカメラ制御部へ送信する検出部、
前記検出部から受信した前記判別対象の現在位置のズーム画像を撮影するように、前記対象領域の一部を前記広域カメラより精細に撮影するズームカメラの撮影位置を制御するズームカメラ制御部、
前記ズームカメラで撮影された時系列の前記ズーム画像に基づいて、前記判別対象の重心変位の周波数特性を解析して前記判別対象の種類を判別する判別部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像解析装置、画像解析方法及びプログラムに関し、より詳細には鳥、昆虫等の飛翔体の種類を判別する画像解析装置、画像解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鳥獣被害は、多くの経済的損失につながるため、農業従事者にとって重要な課題とされている。例えば、野菜や果実を生産する農家においては、鳥の被害によって、収穫高の減少による損失が生じている。こうした鳥獣被害への対応を行う場合、鳥の数量、種類によって有効な対応が異なるので、飛来する鳥の数量の把握、種類の判別が重要となる。また、害虫対策のための昆虫の飛来状況、養蜂における蜜蜂の飛来状況等を把握したいというニーズもある。
【0003】
例えば、特許文献1では、撮影された連続画像から鳥類の翼の軌跡を得て、軌跡に基づいた羽ばたきの深さ、ピッチ、単位時間あたりの羽ばたきの回数等に基づいて、撮影された鳥が大型猛禽類であるか否か判定することとしている。
【0004】
また、特許文献2では、ドローンを用いて収集した画像及び音データから得られた鳥獣類の大きさ、体形、色、鳴き声、動作等に基づいて鳥獣類を推定することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-60694号公報
【特許文献2】特開2021-40519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、撮影された画像に基づいて飛翔する鳥を判別する場合、飛翔する鳥の動きを常に捉える高解像度画像を取得することは難しい。したがって、大型猛禽類であるか否かといった特定の種類の飛翔体の判定のみならず、飛翔体の種類を精度よく識別することは難しい。
【0007】
また、特許文献2のようにドローンを用いて画像及び音データを収集する場合、長時間、連続してデータを収集することは難しい。また、マイクの空間指向性は低いので、離れた場所から広範囲について鳥獣類の正確な位置を特定することは難しい。したがって、音声ノイズが大きい場合、対象となる範囲に複数の鳥獣類が存在する場合等においては、鳥獣類の推定を行うことは難しい。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、広範囲で飛翔する飛翔体の種類を精度よく判別することができる画像解析装置、画像解析方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の観点に係る画像解析装置は、
対象領域全体を撮影する広域カメラと、
前記広域カメラで撮影された広域画像から飛翔体である判別対象を検出する検出部と、
前記対象領域の一部を、前記広域カメラより精細に撮影するズームカメラと、
前記ズームカメラの撮影位置を制御するズームカメラ制御部と、
前記ズームカメラで撮影されたズーム画像から前記判別対象の種類を判別する判別部と、を備え、
前記検出部は、時系列の広域画像から、画像解析により振動源定位を行って前記判別対象を検出し、検出された前記判別対象の現在位置をズームカメラ制御部へ送信し、
ズームカメラ制御部は、前記検出部から受信した前記判別対象の現在位置の前記ズーム画像を撮影するように前記ズームカメラを制御し、
前記判別部は、
撮影された時系列の前記ズーム画像に基づいて、前記判別対象の重心変位の周波数特性を解析して前記判別対象の種類を判別する。
【0010】
また、前記ズームカメラのフレームレートは、前記広域カメラのフレームレートより高い、
こととしてもよい。
【0011】
また、前記ズームカメラは、
イメージセンサとレンズとの間に複数のミラーを有し、前記複数のミラーの反射角度を変化させることにより、前記イメージセンサと前記レンズとの間の光路長を調整してフォーカスを調整するフォーカス調整部を備える、
こととしてもよい。
【0012】
また、前記ズームカメラは、
撮影位置を調整する光偏向器を備える、
こととしてもよい。
【0013】
また、前記振動源定位は、フレーム間差分法によって算出された前記判別対象の変位、又は画素レベル高速フーリエ変換によって算出された輝度値の時間変化を振動解析することによって行われる、
こととしてもよい。
【0014】
また、本発明の第2の観点に係る画像解析方法では、
対象領域全体を撮影する広域カメラで撮影された時系列の広域画像から、画像解析により振動源定位を行って飛翔体である判別対象を検出し、
前記対象領域の一部を前記広域カメラより精細に撮影するズームカメラで、検出された前記判別対象の現在位置を撮影し、
前記ズームカメラで撮影された時系列のズーム画像に基づいて、前記判別対象の重心変位の周波数特性を解析して前記判別対象の種類を判別する。
【0015】
また、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
対象領域全体を撮影する広域カメラで撮影された時系列の広域画像から、画像解析により振動源定位を行って飛翔体である判別対象を検出し、検出された前記判別対象の現在位置をズームカメラ制御部へ送信する検出部、
前記検出部から受信した前記判別対象の現在位置のズーム画像を撮影するように、前記対象領域の一部を前記広域カメラより精細に撮影するズームカメラの撮影位置を制御するズームカメラ制御部、
前記ズームカメラで撮影された時系列の前記ズーム画像に基づいて、前記判別対象の重心変位の周波数特性を解析して前記判別対象の種類を判別する判別部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像解析装置、画像解析方法及びプログラムによれば、広域画像を振動解析して定位した飛翔体である判別対象についてズーム画像を撮影し、ズーム画像を振動解析して得られる判別対象の重心変位の周波数特性に基づいて判別対象の種類を判別するので、広範囲において飛翔体の種類を精度よく判別することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る画像解析装置の機能ブロック図である。
図2】実施の形態に係るズームカメラの構成を示す機能ブロック図である。
図3】実施の形態に係るフォーカス調整部の構成を示す概念図である。
図4】実施の形態に係る画像解析の流れを示すフローチャートである。
図5】実施の形態に係る対象領域の例を示す図である。
図6】判別対象の重心変位を表す概念図である。
図7】判別対象の重心の変位信号を示す概念図である。
図8】(A)は判別対象の種類ごとの周波数スペクトルの例であり、(B)は判別対象の種類ごとの周波数の箱ひげ図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る画像解析装置1について説明する。画像解析装置1は、所定の対象領域を飛翔する鳥、昆虫等の飛翔体について、その種類を判別する装置である。
【0019】
図1の機能ブロック図に示すように、画像解析装置1は、広域カメラ10、ズームカメラ20、制御ユニット30を備える。
【0020】
広域カメラ10は、飛翔体の判別を行う対象領域全体を撮影するカメラである。対象領域の広さは特に限定されず、広域カメラ10の解像度、フレームレート等に基づいて、撮影された飛翔体を、判別対象として検出可能な範囲で設定すればよい。本実施の形態に係る広域カメラ10は、Imaging source社製DFK38UX255であり、例えばフレームレート100fps、解像度4096×904ピクセルで撮影を行う。また、広域カメラ10は、撮影した広域画像Iのデータを制御ユニット30へ送信する。
【0021】
ズームカメラ20は、制御ユニット30で検出された判別対象付近の領域を、広域画像Iより高精細に撮影するカメラである。図2に示すように、ズームカメラ20は、撮影位置調整部21、レンズ22、フォーカス調整部23、イメージセンサ24を備える。本実施の形態に係るイメージセンサ24は、Imaging source社製DFK37BUX287である。ズームカメラ20の解像度は、例えば720×540ピクセルであり、対象領域の一部(例えば、対象領域を800分割した領域)である判別対象付近をズームして撮影することにより、広域カメラ10より精細な判別対象の画像を撮影することができる。また、ズームカメラ20のフレームレートは、例えば500fpsであり、広域カメラ10よりも高いフレームレートで撮影を行うことで、振動解析による判別処理の精度を向上させることができる。
【0022】
撮影位置調整部21は、レンズ22へ入射する光の方向を調整する。撮影位置調整部21の構成は特に限定されず、例えばパン方向、チルト方向にモータで回転可能な台座のように、対象領域内の任意の位置をズーム撮影可能なものであればよい。本実施の形態に係る撮影位置調整部21は、2軸のガルバノミラーからなる光偏向器(Cambridge社製ガルバノスキャナ6240H)である。ガルバノミラーによる光偏向器は、それぞれの回転軸が直交するように配置された2枚のミラーを備え、それぞれのミラーの角度を制御することにより、対象領域内の任意の座標を撮影することができる。これにより、ズームカメラ20は、対象領域内の任意の座標のズーム画像Iを生成することができる。また、ズームカメラ20は、判別対象が複数存在する場合であっても、撮影位置調整部21を制御して各判別対象を順次撮影可能であるので、判別対象ごとに精細なズーム画像Iを撮影することができる。
【0023】
レンズ22は、撮影位置調整部21によって位置合わせされた判別対象付近の像をフォーカス調整部23へと入射する。レンズ22は、自動焦点機能を有するものでもよいが、一般的にレンズを移動させてフォーカス調整する場合、複数枚のレンズを移動させるための時間を要することとなる。したがって、対象領域内の飛翔体の数が複数になると、広域カメラ10のフレーム間隔内で対象領域内の全ての飛翔体に対して順次フォーカス調整して撮影することは難しくなる。そこで、本実施の形態に係るレンズ22は固定焦点レンズであり、ズームカメラ20は、高速でフォーカス調整するためのフォーカス調整部23を備えることとする。
【0024】
フォーカス調整部23は、ズーム画像Iを撮影する際、判別対象に焦点が合うように調整するものである。フォーカス調整部23の構成は特に限定されず、コントラストオートフォーカス、位相差オートフォーカス等の方法を用いてフォーカス調整を行うことができる。本実施の形態に係るフォーカス調整部23は、レンズ22とイメージセンサ24との間に配置され、レンズ22とイメージセンサ24との間の光路長を調整することにより、フォーカス調整を行う。
【0025】
より具体的には、フォーカス調整部23は、図3に示すように2枚のミラー231,232を備える。ミラー231はレンズ22からの入射光の光軸上に配置され、入射光の光軸に直交する軸を中心として回転可能に配置される。また、ミラー232は、ミラー231の回転軸と平行な軸を中心として回転可能に配置される。ミラー231,232は、図示しない駆動手段であるモータによって回転駆動される。
【0026】
ミラー231は、入射光をミラー232へ反射させ、ミラー232はミラー231からの入射光をイメージセンサ24へと反射させる。図3に示すように、ミラー232の回転軸はミラー232の中心から外れた偏心軸となっており、ミラー232の回転角θを調整することにより、ミラー231とミラー232との距離Lと、ミラー232とイメージセンサ24との距離Lとを調整することができる。また、ミラー232の回転角θにあわせて、ミラー231の回転角θを調整することにより、ミラー232へ反射させる入射光の向きを調整することができる。これにより、レンズ22とイメージセンサ24との間の光路長を調整しつつ、入射光を適切にイメージセンサ24へ導くことができる。
【0027】
本実施の形態に係るフォーカス調整部23では、判別対象ごとにミラー231,232の角度を調整して複数のズーム画像Iを撮影し、撮影された複数のズーム画像Iに基づいてコントラストオートフォーカス処理を適用し、判別対象に焦点が合うようにフォーカス調整を行うこととしている。
【0028】
イメージセンサ24は、レンズ22を介してズームカメラ20に入射した光を、画像データに変換してズーム画像Iを生成する。上述したように、ズームカメラ20で撮影されるズーム画像Iの解像度は、例えば720×540ピクセルであり、広域画像Iの解像度よりも低く設定されている。しかしながら、撮影される領域が判別対象付近に絞られるので、広域画像Iより精細に判別対象を撮影することができる。また、ズームカメラ20のフレームレートは例えば500fpsであり、広域カメラ10のフレームレートより高く設定されている。したがって、羽ばたき周波数が2~40Hz程度である鳥類、10~200Hz程度である蝶、蜂等の昆虫等の飛翔体について、ズーム画像Iを用いた振動解析による判別対象の種類の判別を、精度よく行うことができる。
【0029】
制御ユニット30は、図1に示すように、制御部31、記憶部32、表示部33、入力部34を備える。
【0030】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されており、広域カメラ10及びズームカメラ20の動作を制御する。また、制御部31は、広域カメラ10で撮影された広域画像Iに基づいて判別対象である飛翔体を検出する。また、制御部31は、ズームカメラ20で撮影されたズーム画像Iに基づいて判別対象の種類の判別を行う。制御部31は、制御部31のROM、記憶部32等に記憶されている各種動作プログラム及びデータをRAMに読み込んでCPUを動作させることにより、図1に示される制御部31の各機能を実現させる。これにより、制御部31は、広域カメラ制御部311、検出部312、ズームカメラ制御部313、判別部314として動作する。
【0031】
広域カメラ制御部311は、広域カメラ10を制御して、対象領域を撮影し、広域画像Iを取得する。対象領域の広さは特に限定されず、判別対象の大きさ及び飛翔速度、観測すべき範囲等に応じて設定すればよい。鳥、昆虫等の飛翔体を検出する場合、飛翔体の移動速度が早い場合がある。また、鳥、昆虫等は、地上を移動する動物等と比較して移動方向の自由度が高いので、移動方向の変換が多く、移動方向の予測が難しい。したがって、飛翔体の判別においては、比較的広い範囲を撮影することが求められる。例えば、畑に飛来する鳥を判別する場合であれば幅100m、高さ20m程度、巣箱周辺の蜜蜂を判別する場合であれば幅5m、高さ3m程度等のように設定することができる。典型的には幅1~100m程度の範囲が対象領域とされる。
【0032】
検出部312は、取得された広域画像Iに基づいて、種類の判別を行う判別対象を検出する。対象領域として広い範囲を撮影するためには、カメラの処理能力による制約等により、相対的に解像度を低下させる必要がある場合が多い。解像度が低下すると、ノイズの影響が大きくなるので、単一の静止画像から対象領域内の判別対象を検出することは難しくなる。
【0033】
本実施の形態に係る検出部312は、判別対象を検出するために振動源定位を行う。具体的には、検出部312は、予め設定された所定のフレームレートfで撮影された時系列の広域画像Iに基づいて、フレーム間差分法によって算出された前記判別対象の変位、又は画素レベル高速フーリエ変換によって算出された輝度値の時間変化の振動解析を行う。そして、検出部312は、振動している部分を判別対象の飛翔体として検出し、検出した判別対象の位置を算出する。このように、検出部312は、振動解析によって判別対象の検出を行うので、静止画像に基づく検出と比較して、広域画像Iの解像度が低いことによるノイズの影響を低減し、精度よく判別対象を検出することができる。
【0034】
判別対象の位置は、広域カメラ10で撮影される対象領域に対応して予め設定された座標として表される。広域画像Iの座標と、ズームカメラ20で用いられる座標との対応関係は、予め記憶部32に記憶されている。また、検出部312は、検出された判別対象の現在位置を表す座標情報をズームカメラ制御部313へ送信する。
【0035】
ズームカメラ制御部313は、ズームカメラ20を制御して、判別対象付近を撮影し、ズーム画像Iを取得する。具体的には、検出部312から受信した判別対象ごとの座標情報に基づいて、撮影位置調整部21を動作させ、判別対象を含む判別対象近傍の領域をズーム画像Iとして撮影する。
【0036】
判別部314は、ズームカメラ制御部313で取得されたズーム画像Iに基づいて、判別対象の種類の判別を行う。より具体的には、判別部314は、ズーム画像Iに基づいて、振動解析を行う。すなわち、それぞれの判別対象の時系列のズーム画像Iに基づいて、判別対象の変位の時間変化を振動情報として振動解析を行う。
【0037】
判別部314は、判別対象ごとの振動情報をフーリエ変換して振動スペクトルを得る。判別部314は、各判別対象の振動スペクトルと、予め記憶部12に記憶されている各種の飛翔体の振動スペクトルとを比較して、パターン認識を行うことにより、判別対象の種類の判別を行う。
【0038】
また、制御ユニット30は、通信インターフェース(以下、通信I/Fという。)を介して、広域カメラ10、ズームカメラ20等と通信を行う。具体的には、広域カメラ制御部311は、広域カメラ10へ制御情報を送信し、撮影された広域画像Iの画像データを取得する。また、ズームカメラ制御部313は、検出された判別対象の座標情報に基づいて、ズームカメラ20を制御して、判別対象を含む領域で撮影されたズーム画像Iの画像データを取得する。
【0039】
記憶部32は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、広域画像Iから判別対象を検出する検出プログラム、広域画像Iとズーム画像Iとの座標の対応関係等の情報を記憶する。
【0040】
表示部33は、制御ユニット30に備えられた表示用デバイスであり、例えば液晶ディスプレイである。表示部33は、広域カメラ10で撮影された広域画像I、検出部312で検出された判別対象に関する情報等を表示する。
【0041】
入力部34は、広域カメラ10の画角、露出などの撮影に関するパラメータ等を入力するための入力デバイスである。入力部34は、制御ユニット30に備えられたキーボード、タッチパネル、マウス等である。
【0042】
以下、図4のフローチャートを参照しつつ本実施の形態に係る画像解析方法を用いた飛翔体の判別処理について具体的に説明する。
【0043】
本実施の形態に係る判別処理では、図5に示すように、幅100m程度の範囲、より詳細には観察視野角約60°、最大有効測定距離約150mの範囲を対象領域として、この対象領域中を飛翔する鳥の判別を行う場合を例として説明する。本実施の形態では、鳥類の判別を例として説明するが、判別対象の大きさ、飛翔範囲、飛翔速度等に基づいて、撮影範囲、解像度等を選択することにより、羽ばたいて飛翔する昆虫、回転翼を有するドローン等、種々の飛翔体について本実施の形態に係る振動解析を用いた判別を行うことが可能である。
【0044】
本実施の形態に係る画像解析装置1では、制御ユニット30の広域カメラ制御部311が、広域カメラ10を制御して対象領域の広域画像Iを撮影する(ステップS11)。
【0045】
本実施の形態において、広域カメラ10で撮影される対象領域の広域画像Iは、フレームレート100fps、解像度4096×904ピクセルである。このような精細度の広域画像Iは、実時間処理による判別対象の検出には適している。しかしながら、画像情報から判別対象の特徴を捉えて、飛翔体の種類の判別を行うことは難しい。画素数が多く、フレームレートが高い広域カメラ10を用いて、広域画像Iの解像度を高めれば、対象領域の任意の位置に撮影される判別対象を画像認識することは可能となる。しかしながら、広域画像Iについて複数の判別対象を検出する場合、制御部31の処理能力が不足し、実時間処理できなくなるおそれがある。本実施の形態では、広域画像Iを用いて判別対象の検出を行い、より精細なズーム画像Iを用いて判別対象の画像認識を行う。したがって、安価な広域カメラ10を用いることができる。
【0046】
制御ユニット30は、撮影された広域画像Iのデータを、広域カメラ10から受け取り、判別対象を検出する(ステップS12)。本実施の形態では、対象領域中を飛翔する飛翔体を判別対象として検出する。
【0047】
判別対象の検出アルゴリズムは特に限定されず、目的の判別対象を、振動解析を用いて検出可能なアルゴリズムであればよい。本実施の形態では、検出部312は、取得された時系列の広域画像Iについて、各画素の輝度の時間変化を算出する。そして、検出部312は、画素ごとの輝度の時間変化を短時間フーリエ変換し、予め設定された所定の周波数成分が閾値以上であれば、判別対象である鳥等の飛翔体として検出する。例えば、鳥類を検出する場合、鳥類の羽ばたき周波数の多くが2Hzから40Hzの間であることから、この範囲の成分が、撮影システムに依存するノイズレベルを考慮して設定された閾値以上である場合、鳥類が対象領域中に存在すると判断できる。
【0048】
また、検出部312は、判別対象を検出した画素領域の重心を算出し、当該領域を飛翔する判別対象の座標として、ズームカメラ制御部313へ送信する。重心の算出方法は特に限定されないが、例えば、判別対象が検出された画素のうち、隣接する画素の集合を1つの判別対象の領域として、当該領域の重心を算出することとすればよい。
【0049】
また、検出部312は、各時刻において検出された飛翔体、すなわち隣接する画素領域が複数ある場合、前時刻の重心位置と現在時刻の重心位置とを比較して、最も近い座標の飛翔体を同一の飛翔体であると推定して、判別対象の識別番号を付与して、座標情報とともに判別対象情報としてズームカメラ制御部313へ送信する(ステップS13)。これにより、画像解析装置1は、判別対象を個体ごとに追跡して、時系列のズーム画像Iを撮影することができる。
【0050】
ズームカメラ制御部313は、検出部312から受信した判別対象情報に含まれる、判別対象の位置に基づいて、ズームカメラ20を制御して、判別対象付近のズーム画像Iを撮影する。より具体的には、ズームカメラ制御部313は、撮影位置調整部21のガルバノミラーを制御して、ズームカメラ20の撮影位置を調整し(ステップS14)、判別対象の位置を中心としたズーム画像Iを撮影する。判別対象の座標と、撮影位置調整部21の制御量、すなわち2軸ガルバノミラーの角度との関係に関する情報は、予め記憶部32に記憶されており、ズームカメラ20の撮影位置調整に用いられる。
【0051】
ズームカメラ制御部313は、広域カメラ10のフレーム間隔の間に、撮影位置調整部21で順次視点を切り替えて各判別対象のズーム画像Iを撮影し、ズームカメラ20からズーム画像Iのデータを受信する。
【0052】
また、上述のようにズームカメラ20は、フォーカス調整部23を備えている。フォーカス調整部23は、レンズ22とイメージセンサ24との間に配置され、少なくとも2枚のミラーを備える。本実施の形態に係るフォーカス調整部23は、図3に示すように、2枚のミラー231,232を備える。ミラー231,232は、それぞれ、レンズ22からの入射光軸に直交し、互いに平行な軸で回転可能に配置される。これにより、簡素な構成で光路長を調整しつつ、入射光をイメージセンサ24に受光させることができる。
【0053】
本実施の形態では、ミラー231,232の初期角度は、入射光軸に対してそれぞれ45°で、プラスマイナス10°の範囲で回転できるように設定されている。また、ミラー231,232のうち、少なくとも、光路上でイメージセンサ24に近いミラー232の回転軸は、ミラー232の中心から外れた偏心軸となるように設定されている。これにより、光路長の調整範囲を大きくすることができる。また、本実施の形態に係るフォーカス調整部23は、レンズ22とイメージセンサ24との間の光路長を調整することとしている。したがって、小さな光路長の違いで、焦点の合う位置を大きく調整することができる。したがって、判別対象が画像解析装置1から遠い位置を飛翔する場合であっても、適切なフォーカス調整を行うことができる。
【0054】
図3に示すように、ミラー231,232の回転角度をθ,θ、ミラー231からイメージセンサ24までの距離をS、レンズ22からミラー231までの光路長をL、ミラー231からミラー232までの光路長をL、ミラー232からイメージセンサ24までの光路長をL、ミラー231とミラー232との中心位置間の距離をlと表す。この場合、レンズ22とイメージセンサ24との間の光路長LはL=L+L+Lであり、L、Lは、ミラー231,232の回転角度θ,θに基づいて、以下のように表される。
【数1】
【0055】
図3に示すように、レンズ22から入射した光は、ミラー231及びミラー232で反射してイメージセンサ24で受光される。したがって、イメージセンサ24で正しく入射光を受光するためには、ミラー232の回転角度は、ミラー231の回転角度によって規定される。また、小型化の観点等から、ミラー231とミラー232との距離、ミラー231及びミラー232の大きさ、回転角度は、制限される。そこで、本実施の形態では、レンズ22からの入射光がイメージセンサ24で適切に受光可能なミラー231,232の回転角度の組み合わせを予め選択し、テーブルTbとして記憶部12に記憶させることとしている。例えば、テーブルTbには、ミラー231の角度θとミラー232の角度θとして、9つの組み合わせを予め記憶させておく。これにより、光路長を変化させつつ、入射光がイメージセンサ24に適切に届くミラー231,232の角度を効率的に選択することが可能となる。
【0056】
ズームカメラ制御部313は、各判別対象の座標に撮影位置調整部21のガルバノミラーが設定された状態で、テーブルTbで設定されたミラー231,232の角度を順次選択してミラー231及びミラー232を回転させる。そして、ズームカメラ制御部313は、ズームカメラ20を制御してズーム画像Iを取得する(ステップS15)。ズームカメラ制御部313は、取得したズーム画像Iのうち、判別対象に焦点が合っている画像をその判別対象のズーム画像Iとして選択し(ステップS16)、判別対象ごとに時系列のズーム画像Iとして記憶部32に記憶させる。これにより、判別対象により焦点が合っている画像をズーム画像Iとして撮影することができるので、ズーム画像Iに基づく振動解析を精度よく行うことが可能となり、判別対象の判別精度を向上させることができる。
【0057】
判別部314は、時系列のズーム画像Iの周波数解析を行うことにより、判別対象の種類の判別を行う(ステップS17)。具体的には、判別部314は、ズーム画像Iに基づいて、判別対象の重心の座標を算出する。重心の算出方法は特に限定されないが、例えば広域画像Iにおける判別対象の重心算出と同様に、判別対象が検出された画素のうち、隣接する画素の集合を1つの判別対象の領域として、当該領域の重心を計算することとすればよい。また、例えば、フレーム間差分法によって演算された判別対象領域について重心を算出することとしてもよい。
【0058】
図6に示すように、判別対象の重心位置の時間変化は、飛翔体の羽ばたきを含んでおり、重心変位の周波数特性を解析することにより、対象の種類を判別することが可能となる。鳥、昆虫等の羽ばたきを画像解析した場合、種類ごとの特徴は、図7に示すように、重心の飛翔方向に対する振動と上下方向(羽ばたき方向)に対する振動との組み合わせとして表れる。そこで、本実施の形態では、図7に示すように、撮影されたズーム画像Iについてx方向成分とy方向成分とを加算して変位信号を算出し、算出された変位信号を振動解析することで、飛翔体の種類の判別を行う。これにより、対象領域の空間をx方向及びy方向に移動する判別対象について、少ない演算負荷で振動解析を行うことができる。
【0059】
図8は、変位信号を高速フーリエ変換して得られた飛翔体の種類ごとの周波数スペクトルとして表したもの(図8(A))、及び周波数特性を箱ひげ図として表したもの(図8(B))である。図8(A)、(B)に示すように、変位信号を振動解析することにより対象の種類を適切に判別できることがわかる。本実施の形態に係る判別部314は、取得したズーム画像Iに基づいて算出された変位信号の振動解析結果と、記憶部32に予め記憶された周波数特性のパターンとを比較することにより、対象の種類を判別する。そして、判別部314は、判別結果を表示部33に表示するとともに、記憶部32に記憶させる(ステップS18)。
【0060】
画像解析装置1は、判別処理が終了するまでステップS11~S18の手順を繰り返し(ステップS19のNO)、所定の終了条件を充足すると判別処理を終了する(ステップS19のYES)。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態に係る画像解析装置1では、広域カメラ10で撮影された広域画像Iを用いて振動源定位により検出された判別対象を、撮影位置調整部21を備えるズームカメラ20で順次撮影する。したがって、静止画像に基づく検出よりも精度よく判別対象の検出を行うことが可能である。また、ズームカメラ20で撮影された広域画像Iより精細なズーム画像Iを用いて重心変位の周波数特性を解析して、対象を判別する。したがって、対象の種類を精度よく判別することが可能である。
【0062】
また、本実施の形態に係る画像解析装置1では、ズームカメラ20が複数のミラー231,232を有するフォーカス調整部23を備え、ミラー231,232の反射角度を調整することによりレンズ22とイメージセンサ24との間の光路長を調整する。これにより、判別対象に焦点が合ったズーム画像Iを撮影、選択することができる。したがって、ズーム画像Iにおいて判別対象をより明確に撮像できるので、画像解析に基づく対象の判別をより精度よく行うことが可能である。
【0063】
本実施の形態では、ズームカメラ20で判別対象の飛翔体を撮影するごとに、フォーカス調整部23を用いて複数の光路長でズーム画像Iを撮影することとしたが、これに限られない。例えば、対象領域中に多数の判別対象が存在する場合、高いフレームレートでズーム画像Iを撮影しつつ、撮影時刻ごとに各判別対象について複数の異なる焦点距離で撮影を行うことは難しい。そこで、ズームカメラ制御部313は、例えば、フォーカス調整による複数撮影を行う判別対象を順次選択し、各撮影時刻で選択されている1つの判別対象についてフォーカス調整による複数枚のズーム画像Iを撮影することとすればよい。この場合、各撮影時刻において、フォーカス調整されない判別対象については、前回フォーカス調整された際に最も焦点が合っていたミラー231,232の角度で撮影することとすればよい。これにより、高いフレームレートを維持しつつ、複数の判別対象についてフォーカス調整されたズーム画像Iを撮影することができる。
【0064】
また、別の方法として、対象領域中の判別対象の数が増えるごとに、ズーム画像Iを撮影するミラー231,232の角度の組み合わせを減少させることとしてもよい。例えば、ズーム画像Iを撮影するミラー231,232の角度の組み合わせを、通常は9通り、判別対象が2以上の場合には5通り、判別対象が5以上の場合には3通りと変化させることができる。これにより、高いフレームレートを維持しつつ、複数の判別対象について各撮影時刻でフォーカス調整されたズーム画像Iを撮影することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、振動源定位による判別対象の検出アルゴリズムとして、画素レベル高速フーリエ変換によって算出された輝度値の時間変化に基づく振動解析を用いることとしたが、これに限られない。例えば、フレーム間差分法を判別対象の検出アルゴリズムに用いることができる。この場合、時系列の広域画像Iについてフレーム間差分法を用いて判別対象の検出を行う。そして、検出部312は、判別対象の重心を算出し、重心の振動解析に基づく情報から、判別対象を検出することとすればよい。振動解析に基づく情報としては、1回の羽ばたきストロークによる移動量、羽ばたいている時と羽ばたいていない時の間隔、羽ばたき周波数等を用いることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、広域画像Iとズーム画像Iとを撮影しつつ、順次判別対象の判別を行うこととしたが、これに限られない。例えば、予め設定された所定の時間広域画像Iとズーム画像Iとを撮影し、オフライン処理で判別対象の種類の判別を行うこととしてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態に係る画像解析による飛翔体の判別は、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、上記実施の形態に係る画像解析を実行するためのコンピュータプログラムを、USBメモリ、DVD-ROM等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、コンピュータ装置を上記の画像解析を実行する画像解析装置1として機能させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、広範囲において飛翔体の判別を行う画像解析装置に好適である。特に、対象領域に複数の判別対象が存在する場合の飛翔体の判別を行う画像解析装置に好適である。
【符号の説明】
【0069】
1 画像解析装置、10 広域カメラ、20 ズームカメラ、21 撮影位置調整部、22 レンズ、23 フォーカス調整部、231,232 ミラー、24 イメージセンサ、30 制御ユニット、31 制御部、311 広域カメラ制御部、312 検出部、313 ズームカメラ制御部、314 判別部、32 記憶部、33 表示部、34 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8