(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175620
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】リースバック試算システム、リースバック試算方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20241211BHJP
【FI】
G06Q30/0645
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093566
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】523208534
【氏名又は名称】株式会社ウィル・プランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘樹
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB68
5L049BB68
(57)【要約】
【課題】リースバックに関する試算において、賃料の金額を抑えることを可能とする。
【解決手段】リースバック試算システム1は、住宅を所有する居住者が、住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をし、住宅の売買金額を示す売買金額情報を取得する売買金額情報取得手段11と、売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報を取得する保証金額情報取得手段12と、売買金額情報から、保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出する差引金額算出手段17と、差引金額情報に基づき、賃料の金額である賃料金額情報を算出する賃料金額情報算出手段18と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅を所有する居住者が、前記住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、前記住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をするリースバック試算システムであって、
前記住宅の売買金額を示す売買金額情報を取得する売買金額情報取得手段と、
前記売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報を取得する保証金額情報取得手段と、
前記売買金額情報から、前記保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出する差引金額算出手段と、
前記差引金額情報に基づき、前記賃料の金額である賃料金額情報を算出する賃料金額情報算出手段と、を備えることを特徴とするリースバック試算システム。
【請求項2】
前記売買金額情報から、少なくとも前記保証金額情報を差し引いた値である手元現金情報を算出する手元現金情報算出手段と、
前記手元現金情報を、前記賃料金額情報で除算することで、当該賃料金額情報により、前記住宅に住むことが可能な期間を示す値である賃貸期間を示す賃貸期間情報を算出する賃貸期間算出手段と、
前記賃料金額情報に前記賃貸期間情報を乗算して賃料の累計を示す値である賃料累計情報を算出する賃料累計情報算出手段と、
前記保証金額情報以下であり、居住者が受け取る保証金取崩額を示す保証金取崩額情報を取得する保証金取崩額情報取得手段と、を更に備え、
前記保証金取崩額情報取得手段は、前記保証金額情報から前記保証金取崩額情報を差し引いた値である保証金残高情報を算出し、
前記差引金額算出手段は、前記売買金額情報から、前記保証金残高情報を差し引いた値である取崩後差引金額情報を算出し、
賃料金額情報算出手段は、前記取崩後差引金額情報に基づき、前記賃料の金額である取崩後賃料金額情報を算出し、
前記手元現金情報算出手段は、前記手元現金情報から前記賃料累計情報を差し引いた値を、前記保証金取崩額情報に加算した値である取崩後手元現金情報を算出し、
前記賃貸期間算出手段は、前記取崩後手元現金情報を、前記取崩後賃料金額情報で除算することで、前記賃貸期間情報を算出することを特徴とする請求項1に記載のリースバック試算システム。
【請求項3】
前記手元現金情報に基づき算出された前記賃貸期間情報と、前記取崩後手元現金情報に基づき算出された前記賃貸期間情報と、を合算した値である合算賃貸期間情報を算出する合算賃貸期間情報算出手段を、更に備えることを特徴とする請求項2に記載のリースバック試算システム。
【請求項4】
住宅を所有する居住者が、前記住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、前記住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をするリースバック試算システムが実行する方法であって、
前記住宅の売買金額を示す売買金額情報を取得するステップと、
前記売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報を取得するステップと、
前記売買金額情報から、前記保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出するステップと、
前記差引金額情報に基づき、前記賃料の金額である賃料金額情報を算出するステップと、を含むことを特徴とするリースバック試算方法。
【請求項5】
住宅を所有する居住者が、前記住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、前記住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をするリースバック試算システムを、
前記住宅の売買金額を示す売買金額情報を取得する売買金額情報取得手段、
前記売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報を取得する保証金額情報取得手段、
前記売買金額情報から、前記保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出する差引金額算出手段、
前記差引金額情報に基づき、前記賃料の金額である賃料金額情報を算出する賃料金額情報算出手段、として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リースバック試算システム、リースバック試算方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、投資家が住宅を購入し、当該住宅に入居する顧客が当該投資家に対し毎月所定金額を支払う住宅の賃貸態様が知られている。
【0003】
特許文献1では、投資家が住宅を購入し、当該住宅に入居する顧客が当該投資家に対し毎月所定金額を支払い、所定期間の当該支払いを完了すると当該住宅の所有権を得ることができるシステムに用いられ、表面利回り、希望居住地域、希望レイアウト、希望支払額、土地の価格、及び、建物の価格に基づき、所定期間を算出する第1計算手段と、表面利回り、希望居住地域、希望レイアウト、希望支払期間、土地の価格、及び、建物の価格に基づき、所定金額を算出する第2計算手段とを備える家賃等計算システムが提案されている。
【0004】
このような特許文献1によれば、投資家が住宅を購入し、当該住宅に入居する顧客が、当該投資家に対し毎月所定金額を支払い、所定期間の当該支払いを完了すると当該住宅の所有権を得ることができる賃貸態様における家賃等を計算することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、住宅の賃貸態様の一態様として、近年、住宅を所有する居住者が、当該住宅を、例えば、投資家等の購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、当該住宅に引き続き住むことができるリースバックが知られている。
【0007】
リースバックによれば、住宅を所有する居住者は、例えば、比較的大きな金額の資金が必要となった場合、自己が所有する住宅を売却し、必要な資金を得つつ、住宅の購入者に賃料を支払いつつ、居住していた住宅に引き続き住むことができる。このようなリースバックの場合でも、居住者には、賃料の金額を抑えたいという要望がある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、リースバックに関する試算において、賃料の金額を抑えることが可能なリースバック試算システム、リースバック試算方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 住宅を所有する居住者が、前記住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、前記住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をするリースバック試算システムであって、
前記住宅の売買金額を示す売買金額情報を取得する売買金額情報取得手段と、
前記売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報を取得する保証金額情報取得手段と、
前記売買金額情報から、前記保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出する差引金額算出手段と、
前記差引金額情報に基づき、前記賃料の金額である賃料金額情報を算出する賃料金額情報算出手段と、
を備えることを特徴とするリースバック試算システム。
【0010】
(1)の発明では、リースバック試算システムは、売買金額情報取得手段と、保証金額情報取得手段と、差引金額算出手段と、賃料金額情報算出手段と、を備え、住宅を所有する居住者が、住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をする。
売買金額情報取得手段は、住宅の売買金額を示す売買金額情報を取得する。
保証金額情報取得手段は、売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報を取得する。
差引金額算出手段は、売買金額情報から、保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出する。
賃料金額情報算出手段は、差引金額情報に基づき、賃料の金額である賃料金額情報を算出する。
【0011】
ここで、リースバックにより住宅を購入する購入者は、一般的に投資物件として住宅を購入する。このため、従来、リースバックにより賃貸される賃料の金額は、購入者の投資金額である住宅の売買金額に基づき算出される。すなわち、賃料の金額は、売買金額が高額であるほど、高額となる。
【0012】
(1)の発明によれば、住宅の売買金額から保証金額を差し引いた差引金額に基づき、賃料の金額を算出する。
これにより、賃料の金額を算出する基となる金額を抑えることができるので、売買金額全額に基づき賃料の金額を算出した場合に比べて、賃料の金額を抑えたプランの試算が可能となる。
したがって、リースバックに関する試算において、賃料の金額を抑えることが可能なリースバック試算システムを提供できる。
【0013】
(2) 前記売買金額情報から、少なくとも前記保証金額情報を差し引いた値である手元現金情報を算出する手元現金情報算出手段と、
前記手元現金情報を、前記賃料金額情報で除算することで、当該賃料金額情報により、前記住宅に住むことが可能な期間を示す値である賃貸期間を示す賃貸期間情報を算出する賃貸期間算出手段と、
前記賃料金額情報に前記賃貸期間情報を乗算して賃料の累計を示す値である賃料累計情報を算出する賃料累計情報算出手段と、
前記保証金額情報以下であり、居住者が受け取る保証金取崩額を示す保証金取崩額情報を取得する保証金取崩額情報取得手段と、を更に備え、
前記保証金取崩額情報取得手段は、前記保証金額情報から前記保証金取崩額情報を差し引いた値である保証金残高情報を算出し、
前記差引金額算出手段は、前記売買金額情報から、前記保証金残高情報を差し引いた値である取崩後差引金額情報を算出し、
賃料金額情報算出手段は、前記取崩後差引金額情報に基づき、前記賃料の金額である取崩後賃料金額情報を算出し、
前記手元現金情報算出手段は、前記手元現金情報から前記賃料累計情報を差し引いた値を、前記保証金取崩額情報に加算した値である取崩後手元現金情報を算出し、
前記賃貸期間算出手段は、前記取崩後手元現金情報を、前記取崩後賃料金額情報で除算することで、前記賃貸期間情報を算出することを特徴とする(1)に記載のリースバック試算システム。
【0014】
(2)の発明では、リースバック試算システムは、手元現金情報算出手段と、賃貸期間算出手段と、賃料累計情報算出手段と、保証金取崩額情報取得手段と、を更に備える。
手元現金情報算出手段は、売買金額情報から、少なくとも保証金額情報を差し引いた値である手元現金情報を算出する。
賃貸期間算出手段は、手元現金情報を、賃料金額情報で除算することで、当該賃料金額情報により、住宅に住むことが可能な期間を示す値である賃貸期間を示す賃貸期間情報を算出する。
賃料累計情報算出手段は、賃料金額情報に賃貸期間情報を乗算して賃料の累計を示す値である賃料累計情報を算出する。
保証金取崩額情報取得手段は、保証金額情報以下であり、居住者が受け取る保証金取崩額を示す保証金取崩額情報を取得する。
そして、保証金取崩額情報取得手段は、保証金額情報から保証金取崩額情報を差し引いた値である保証金残高情報を算出する。
また、差引金額算出手段は、売買金額情報から、保証金残高情報を差し引いた値である取崩後差引金額情報を算出する。
また、賃料金額情報算出手段は、取崩後差引金額情報に基づき、賃料の金額である取崩後賃料金額情報を算出する。
また、手元現金情報算出手段は、手元現金情報から賃料累計情報を差し引いた値を、保証金取崩額情報に加算した値である取崩後手元現金情報を算出する。
また、賃貸期間算出手段は、取崩後手元現金情報を、取崩後賃料金額情報で除算することで、賃貸期間情報を算出する。
【0015】
(2)の発明によれば、売買金額から、少なくとも保証金額を差し引いた手元現金で、賃料を支払うことができる賃貸期間の試算が可能となる。また、その後、支払った賃料の累計値を手元現金から差し引いた値に、保証金を取り崩した保証金取崩額を加えた取崩後手元現金で、賃料を支払うことができる賃貸期間の試算が可能となる。
これにより、例えば、手元現金が無くなった場合、保証金を取り崩しで、賃料を支払うことで、、手元現金だけで賃料を支払う場合に比べ、より長い期間、賃料を支払うことができるプランの試算が可能となる。
【0016】
(3) 前記手元現金情報に基づき算出された前記賃貸期間情報と、前記取崩後手元現金情報に基づき算出された前記賃貸期間情報と、を合算した値である合算賃貸期間情報を算出する合算賃貸期間情報算出手段を、更に備えることを特徴とする(2)に記載のリースバック試算システム。
【0017】
(3)の発明では、リースバック試算システムは、合算賃貸期間情報算出手段を、更に備える。
合算賃貸期間情報算出手段は、手元現金情報に基づき算出された賃貸期間情報と、取崩後手元現金情報に基づき算出された賃貸期間情報と、を合算した値である合算賃貸期間情報を算出する。
【0018】
(3)の発明によれば、売買金額から、少なくとも保証金額を差し引いた手元現金で、賃料を支払うことができる賃貸期間と、その後、支払った賃料の累計値を手元現金から差し引いた値に、保証金を取り崩した保証金取崩額を加えた取崩後手元現金で、賃料を支払うことができる賃貸期間と、を合算した合算賃貸期間の試算が可能となる。
これにより、手元現金に加え、保証金を取り崩すことで、どれくらいの期間、賃料を支払うことができるかの試算が可能となる。
【0019】
(4) 住宅を所有する居住者が、前記住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、前記住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をするリースバック試算システムが実行する方法であって、
前記住宅の売買金額を示す売買金額情報を取得するステップと、
前記売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報を取得するステップと、
前記売買金額情報から、前記保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出するステップと、
前記差引金額情報に基づき、前記賃料の金額である賃料金額情報を算出するステップと、を含むことを特徴とするリースバック試算方法。
【0020】
(5) 住宅を所有する居住者が、前記住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、前記住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をするリースバック試算システムを、
前記住宅の売買金額を示す売買金額情報を取得する売買金額情報取得手段、
前記売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報を取得する保証金額情報取得手段、
前記売買金額情報から、前記保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出する差引金額算出手段、
前記差引金額情報に基づき、前記賃料の金額である賃料金額情報を算出する賃料金額情報算出手段、として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【0021】
(4)及び(5)の発明によれば、(1)の発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、リースバックに関する試算において、賃料の金額を抑えることが可能なリースバック試算システム、リースバック試算方法及びコンピュータプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係るリースバック試算システムの概要を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るリースバック試算システムの機能構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るリースバック試算システムによる賃料情報を算出する処理を説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るリースバック試算システムによる手元現金情報を算出する処理を説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るリースバック試算システムによる比較画面の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るリースバック試算システムが実行するリースバック試算処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ又は同類の要素には同じ番号または符号を付している。
【0025】
[基本概念/基本構成]
リースバック試算システムは、住宅を所有する居住者が、住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をする。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るリースバック試算システムの概要を説明する図である。
図1には、リースバック試算システムにおいて、表示手段に表示する売買金額・賃貸条件入力画面の一例を示している。
【0027】
リースバック試算システムは、売買金額・賃貸条件入力画面において、ユーザに入力された各種情報を取得する。
具体的には、リースバック試算システムは、各種情報の一例として、住宅の売買金額を示す売買金額情報と、売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報と、賃料を算出するための料率を示す賃料料率を示す賃料料率情報と、を取得する。
【0028】
本実施形態において、「ユーザ」は、リースバック試算システムを操作する者であり、例えば、リースバック試算システムの運用者や、住宅を売却する予定である者(例えば、居住者等)や、住宅を購入する予定である者(例えば、購入者等)である。
【0029】
また、本実施形態において、「保証金額」は、売買金額より低額であり、金額を居住者等のユーザが任意に決定することができる。
【0030】
また、本実施形態において、「賃料料率」は、売買金額から保証金額を差し引いた金額である実質受取額に乗算することで、賃料を算出するための数値である。「実質受取額」は、居住者が、住宅の売却により、実質的に受領した金額である(購入者が居住者に、実質的に支払った金額)。すなわち、「実質受取額」は、購入者にとって、投資した資金の金額となる。このため、「賃料料率」は、近隣の成約事例に基づく市場相場で算出した利回り(例えば、購入者が投資した資金の金額(「実質受取額」)に対する月々の利回り等)を考慮して決定される。
【0031】
そして、リースバック試算システムは、売買金額情報(
図1に示す例では、18,000,000)から保証金額情報(
図1に示す例では、10,000,000)を差し引いた実質受取額を示す実質受取額情報(
図1に示す例では、8,000,000)を算出し、この実質受取額情報に、賃料料率情報(
図1に示す例では、7.0%)を乗算し、12で除算することで、月々の賃料の金額を示す賃料金額情報を算出する。
【0032】
このようなリースバック試算システムによれば、住宅の売買金額から保証金額を差し引いた差引金額に基づき、賃料の金額を算出する。
これにより、賃料の金額を算出する基となる金額を抑えることができるので、売買金額全額に基づき賃料の金額を算出した場合に比べて、賃料の金額を抑えたプランの試算が可能となる。
したがって、リースバックに関する試算において、賃料の金額を抑えることが可能なリースバック試算システムを提供できる。
【0033】
[機能構成]
図2は、本発明の実施形態に係るリースバック試算システムの機能構成を示す図である。
リースバック試算システム1は、売買金額情報取得手段11と、保証金額情報取得手段12と、賃料料率情報取得手段13と、経費等金額情報取得手段14と、別途自己負担可能額情報取得手段15と、保証金取崩額情報取得手段16と、差引金額算出手段17と、賃料金額情報算出手段18と、手元現金情報算出手段19と、賃貸期間算出手段20と、賃料累計情報算出手段21と、合算情報算出手段22と、表示制御手段5と、記憶手段10と、を備え、住宅を所有する居住者が、住宅を購入者に売却した後、居住者が購入者に賃料を支払うことで、住宅に引き続き住むリースバックに関する試算をする。
【0034】
リースバック試算システム1は、表示制御手段5により、売買金額・賃貸条件入力画面(
図1参照)を記憶手段10から読み出し、ディスプレイ等の表示手段に表示し、売買金額・賃貸条件入力画面において、ユーザに入力された数値を、各種情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0035】
売買金額情報取得手段11は、住宅の売買金額を示す売買金額情報を取得する。詳細には、売買金額情報取得手段11は、売買金額・賃貸条件入力画面(
図1参照)において、ユーザにより、住宅の売買金額として入力された数値(
図1に示す例では、「売買金額」に対応する欄に入力された数値(18,000,000))を、売買金額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0036】
保証金額情報取得手段12は、売買金額より低額である保証金額を示す保証金額情報を取得する。詳細には、保証金額情報取得手段12は、売買金額・賃貸条件入力画面(
図1参照)において、ユーザにより、保証金額として入力された数値(
図1に示す例では、「保証金額」に対応する欄に入力された数値(10,000,000))を、保証金額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0037】
賃料料率情報取得手段13は、実質受取額に乗算することで、賃料を算出するための賃料料率情報を取得する。詳細には、賃料料率情報取得手段13は、売買金額・賃貸条件入力画面(
図1参照)において、ユーザにより、賃料料率として入力された数値(
図1に示す例では、「賃料料率」に対応する欄に入力された数値(7.0%(0.07))を、賃料料率情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0038】
経費等金額情報取得手段14は、経費等の金額を示す経費等金額情報を取得する。詳細には、経費等金額情報取得手段14は、売買金額・賃貸条件入力画面(
図1参照)において、ユーザにより、経費等の金額として入力された数値を、経費等金額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。本実施形態において、「経費等」には、居住者が、住宅の売却により得た売買金額を資金として支払う予定の支払金額(例えば、住宅ローンの返済金額(
図1に示す例では、「お借り入れ返済」)や、住宅の売買により発生する経費(
図1に示す例では、「当初経費概算(売買価格×4%)」)等が含まれる。
【0039】
なお、経費等金額情報取得手段14は、売買金額情報取得手段11が売買金額情報を取得したら、売買金額情報に所定の割合い(
図1に示す例では4%)を乗算することで、当初経費概算の金額を示す数値(
図1に示す例では、「当初経費概算」に対応する欄に入力された数値(720,000))を、当初経費概算金額情報として取得し、記憶手段10に記憶してもよい。この場合、表示制御手段5は、当初経費概算金額情報を、売買金額・賃貸条件入力画面(
図1参照)の「当初経費概算」に対応する欄に表示する。
【0040】
別途自己負担可能額情報取得手段15は、居住者が住宅の売却により得た売買金額による資金とは別に、毎月、賃料として支払うことが可能な金額を示す自己負担可能額を取得する。詳細には、別途自己負担可能額情報取得手段15は、売買金額・賃貸条件入力画面(
図1参照)において、ユーザにより、別途自己負担可能額として入力された数値(
図1に示す例では、「別途自己負担可能額」に対応する欄に入力された数値(20,000))を、別途自己負担可能額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0041】
図3は、本発明の実施形態に係るリースバック試算システムによる賃料情報を算出する処理を説明する図である。
図3に示す上段の表は、リースバック試算システム1が表示手段に表示する売買金額・賃貸条件入力画面の一例である。また、
図3に示す下段の表は、リースバック試算システム1が表示手段に表示する限界賃貸期間シミュレーション画面の一例である。
【0042】
リースバック試算システム1は、表示制御手段5により、売買金額・賃貸条件入力画面及び限界賃貸期間シミュレーション画面を記憶手段10から読み出し、ディスプレイ等の表示手段に表示する。リースバック試算システム1は、上述のとおり、売買金額・賃貸条件入力画面において、ユーザの入力に基づき、売買金額情報、保証金額情報、賃料料率情報等を取得する。また、リースバック試算システム1は、限界賃貸期間シミュレーション画面において、ユーザの入力に基づき保証金取崩額情報を取得する。
そして、リースバック試算システム1は、取得した各種情報に基づき、手元現金や、月額賃料や、月数や、賃貸累計や、保証金残高を示す情報を算出し、限界賃貸期間シミュレーション画面に表示する。
【0043】
限界賃貸期間シミュレーション画面は、各行において、保証金取崩額の入力欄に加え、手元現金内で、月額賃料を支払うことができる月数を示し、また、月額賃料に月数を乗じた賃料累計と、保証金額から入力欄に表示された保証金取崩額を差し引いた保証金残高と、を示している。
【0044】
限界賃貸期間シミュレーション画面において、1行目では、売買金額・賃貸条件入力画面に入力された売買金額から保証金額を差し引いた差引金額に、賃料料率を乗算することで算出された月額賃料に基づくシミュレーションを示している。また、1行目では、保証金取崩額が0の場合(保証金を取り崩していない状態のシミュレーション)を示している。このため、1行目では、保証金残高が、売買金額・賃貸条件入力画面に入力された保証金額と同じ数値(10,000,000)となっている。
【0045】
限界賃貸期間シミュレーション画面において、2行目以下は、当該行の直上の行の保証金残高から、当該行の保証金取崩額の入力欄に入力された保証金取崩額を差し引いた取崩後差引金額に、賃料料率を乗算することで算出された月額賃料に基づくシミュレーションを示している。
【0046】
図2に戻って、保証金取崩額情報取得手段16は、保証金額情報以下であり、居住者が受け取る保証金取崩額を示す保証金取崩額情報を取得する。詳細には、保証金取崩額情報取得手段16は、限界賃貸期間シミュレーション画面(
図3参照)において、ユーザにより、保証金取崩額として入力された数値を、保証金取崩額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0047】
また、保証金取崩額情報取得手段16は、保証金額情報から保証金取崩額情報を差し引いた保証金残高情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該保証金残高情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面(
図3参照)の「保証金残高」に対応する欄に表示する。
【0048】
詳細には、保証金取崩額情報取得手段16は、保証金額情報から、保証金取崩額情報の集計値を差し引いた保証金残高情報を算出する。例えば、
図3に示す例では、2行目以下のシミュレーションで、それぞれ2,000,000の保証金取崩額情報が入力されている。このような場合、保証金取崩額情報取得手段16は、当該行以上の行で入力された保証金残高情報を集計し、この集計値を保証金額情報から差し引いた保証金残高情報を算出する。具体的には、
図3に示す例において、保証金取崩額情報取得手段16は、3行目の保証金残高情報を算出する場合、3行目以上の行で入力された保証金残高情報を集計し、この集計値(2,000,000+2,000,000=4,000,000)を保証金額情報(10,000,000)から差し引いた保証金残高情報(6,000,000)を算出する。
【0049】
図2に戻って、保証金取崩額情報取得手段16は、限界賃貸期間シミュレーション画面において、ユーザにより、保証金取崩額として入力された数値(
図3に示す例では、「保証金取崩額」に対応する欄に入力された数値(例えば、2行目の2,000,000)を、保証金取崩額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。なお、
図3に示す例では、「保証金取崩額」に対応する列において、各行全てに、保証金取崩額として同じ数値が入力されているが、保証金取崩額は、居住者が任意に決めることができ、また、各行で互いに異なる数値(金額)でもよい。
【0050】
差引金額算出手段17は、売買金額情報から、保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出する。詳細には、差引金額算出手段17は、売買金額情報取得手段11が取得した売買金額情報から、保証金額情報取得手段12が取得した保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0051】
また、差引金額算出手段17は、売買金額情報から、保証金残高情報を差し引いた値である取崩後差引金額情報を算出する。詳細には、差引金額算出手段17は、売買金額情報取得手段11が取得した売買金額情報から、保証金取崩額情報取得手段16が算出した保証金残高情報を差し引いた値である取崩後差引金額情報を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0052】
例えば、
図3に示す限界賃貸期間シミュレーション画面において、差引金額算出手段17は、各行のシミュレーション毎に、差引金額情報又は取崩後差引金額情報を算出する。
具体的には、1行目のシミュレーションでは、差引金額算出手段17は、売買金額情報(18,000,000)から、保証金額情報(10,000,000)を差し引いた値である差引金額情報(8,000,000)を算出する。
また、2行目のシミュレーションでは、差引金額算出手段17は、売買金額情報(18,000,000)から、保証金残高情報(8,000,000)を差し引いた値である差引金額情報(1,000,000)を算出する。
【0053】
図2に戻って、賃料金額情報算出手段18は、差引金額情報に基づき、賃料の金額である賃料金額情報を算出する。また、賃料金額情報算出手段18は、取崩後差引金額に基づき、賃料の金額である取崩後賃料金額情報を算出する。
【0054】
具体的には、
図3に示すように、1行目のシミュレーションにおいて、賃料金額情報算出手段18は、差引金額算出手段17が算出した差引金額情報に、賃料料率情報取得手段13が取得した賃料料率情報を乗算し、12(1年の月数)で除算した値から、別途自己負担可能額情報取得手段15が取得した別途自己負担可能額情報を差し引くことで賃料金額情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該賃料金額情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の1行目の「月額賃料」に対応する欄に表示する。なお、賃料金額情報算出手段18は、算出した賃料金額情報の所定の桁(例えば、下2桁等)を、切り捨て、切り上げ、四捨五入等をした賃料金額情報を算出してもよい。
【0055】
また、2行目以下の各行のシミュレーションにおいて、賃料金額情報算出手段18は、差引金額算出手段17が算出した取崩後差引金額情報に、賃料料率情報取得手段13が取得した賃料料率情報を乗算し、12(1年の月数)で除算した値から、別途自己負担可能額情報取得手段15が取得した別途自己負担可能額情報を差し引くことで賃料金額情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該賃料金額情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の2行目以下の各行の「月額賃料」に対応する欄に表示する。
【0056】
図2に戻って、手元現金情報算出手段19は、売買金額情報から、少なくとも保証金額情報を差し引いた値である手元現金情報を算出する。詳細には、手元現金情報算出手段19は、売買金額情報取得手段11が取得した売買金額情報から、保証金額情報取得手段12が取得した保証金額情報や、経費等金額情報取得手段14が取得した経費等金額情報を差し引いた値である手元現金情報を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0057】
また、手元現金情報算出手段19は、手元現金情報から賃料累計情報を差し引いた値に、保証金取崩額情報を加算した値である取崩後手元現金情報を算出する。詳細には、手元現金情報算出手段19は、手元現金情報から、後述する賃料累計情報算出手段21が直近のシミュレーションで算出した賃料累計情報を差し引いた値に、保証金取崩額情報取得手段16が取得した保証金取崩額情報を加算した値である取崩後手元現金情報を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0058】
図4は、本発明の実施形態に係るリースバック試算システムによる手元現金情報を算出する処理を説明する図である。
図4に示す上段の表は、リースバック試算システム1が表示手段に表示する売買金額・賃貸条件入力画面の一例である。また、
図4に示す下段の表は、リースバック試算システム1が表示手段に表示する限界賃貸期間シミュレーション画面の一例である。
【0059】
図4に示す例において、限界賃貸期間シミュレーション画面の1行目のシミュレーション(保証金を取り崩していない状態のシミュレーション)において、手元現金情報算出手段19は、売買金額情報(18,000,000)から、保証金額情報(10,000,000)と、経費等金額情報(お借り入れ返済:6,000,000と、当初経費概算:720,000の合算値)を差し引いた値である手元現金情報(1,280,000)を算出する。この場合、表示制御手段5は、当該手元現金情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の1行目の「手元現金」に対応する欄に表示する。
【0060】
また、限界賃貸期間シミュレーション画面の2行目以下のシミュレーション(保証金を取り崩した後のシミュレーション)において、手元現金情報算出手段19は、シミュレーションを行う行(
図4中2行目)の直上の行(
図4中1行目)のシミュレーションにおける手元現金情報(1,280,000)から、当該直上の行のシミュレーションにおける賃料累計情報(1,276,800)を差し引いた値に、当該行(
図4中2行目)の保証金取崩額情報(2,000,000)に加算した値である取崩後手元現金情報(2,003,200)を算出する。この場合、表示制御手段5は、当該取崩後手元現金情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の2行目の「手元現金」に対応する欄に表示する。
【0061】
図2に戻って、賃貸期間算出手段20は、手元現金情報算出手段19が算出した手元現金情報を、賃料金額情報算出手段18が算出した賃料金額情報で除算することで、当該賃料金額情報により、住宅に住むことが可能な期間を示す値である賃貸期間を示す賃貸期間情報(月数)を算出し、記憶手段10に記憶する。また、賃貸期間算出手段20は、手元現金情報算出手段19が算出した取崩後手元現金情報を、賃料金額情報算出手段18が算出した賃料金額情報で除算することで、賃貸期間情報を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0062】
図4に示す例において、限界賃貸期間シミュレーション画面の1行目のシミュレーション(保証金を取り崩していない状態のシミュレーション)において、賃貸期間算出手段20は、手元現金情報算出手段19が算出した手元現金情報(1,280,000)を、賃料金額情報算出手段18が算出した賃料金額情報(26,600)で除算することで、賃貸期間情報(48)を算出する。この場合、表示制御手段5は、当該賃貸期間情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の1行目の「月数」に対応する欄に表示する。表示制御手段5は、賃貸期間情報を、月数で表示しもよいし、年月で表示しもよい。
【0063】
また、限界賃貸期間シミュレーション画面の2行目以下のシミュレーション(保証金を取り崩した後のシミュレーション)において、賃貸期間算出手段20は、手元現金情報算出手段19が算出した取崩後手元現金情報(2行目の例では、2,003,200)を、賃料金額情報算出手段18が算出した賃料金額情報(2行目の例では、38,300)で除算することで、賃貸期間情報(2行目の例では、52)を算出する。この場合、表示制御手段5は、当該賃貸期間情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の2行目の「月数」に対応する欄に表示する。
【0064】
図2に戻って、賃料累計情報算出手段21は、限界賃貸期間シミュレーション画面(
図4参照)の各行のシミュレーション毎に、賃料金額情報算出手段18が算出した賃料金額情報又は取崩後賃料金額情報に、賃貸期間算出手段20が算出した賃貸期間情報を乗算して賃料の累計を示す値である賃料累計情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該賃料累計情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の各行の「賃料累計」に対応する欄に表示する。
【0065】
ここで、保証金取崩額情報取得手段16は、保証金残高情報が0になるまで、保証金取崩額情報を取得可能である。また、保証金取崩額情報取得手段16は、段階的に(
図4に示す例では、2,000,000ずつ)、保証金取崩額情報を取得可能である。リースバック試算システム1は、限界賃貸期間シミュレーション画面(
図4参照)において、保証金取崩額情報取得手段16が保証金取崩額情報を取得する毎に、保証金取崩額情報が入力された行のシミュレーションを実行し、手元現金情報、月額賃料情報、賃貸期間情報、賃料累計情報及び保証金残高情報を算出し、限界賃貸期間シミュレーション画面(
図4参照)の保証金取崩額情報が入力された行において、各情報に対応する欄に、各情報を表示する。
【0066】
合算情報算出手段22は、合算賃貸期間情報算出手段の一例であり、複数のシミュレーションで賃貸期間算出手段20がそれぞれ算出した、手元現金情報に基づき算出された賃貸期間情報と、取崩後手元現金情報に基づき算出された賃貸期間情報と、を合算した値である合算賃貸期間情報を算出し、記憶手段10に記憶する。また、合算情報算出手段22は、複数のシミュレーションで賃料累計情報算出手段21がそれぞれ算出した賃料累計情報を合算した値である合算賃料累計情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、限界賃貸期間シミュレーション画面(
図4参照)において、当該合算賃貸期間情報(
図4の合算の欄における223ヶ月)と、合算賃料累計情報(
図4の合算の欄における11,258,700)と、を表示する。
【0067】
保証金取崩額情報取得手段16が、保証金残高情報が0になるまで、保証金取崩額情報を取得した場合の複数のシミュレーションにおける合算賃貸期間情報は、リースバック試算システム1の試算で賃貸可能な最大期間である限界賃貸期間となる。また、この場合の合算賃料累計情報は、限界賃貸期間において、居住者が購入者に支払う賃料の総額となる。
【0068】
また、リースバック試算システム1は、保証金の概念が無い一般のリースバックの試算結果と、本実施形態によるリースバックの試算結果とを対比してもよい。
【0069】
この場合、リースバック試算システム1は、一般のリースバックにおける一般賃料金額と、当該一般賃料金額により、住宅の売買金額に基づく資金で、住宅に住むことが可能な期間を示す値である一般賃貸期間と、を算出する。
【0070】
詳細には、賃料金額情報算出手段18は、売買金額情報取得手段11が取得した売買金額情報(
図3に示す例では18,000,000)に、賃料料率情報取得手段13が取得した賃料料率情報(
図3に示す例では7.0%(0.07))を乗算し、12(1年の月数)で除算した値から、別途自己負担可能額情報取得手段15が取得した別途自己負担可能額情報(
図3に示す例では20,000)を差し引くことで一般賃料金額情報(上記の例では85,000)を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0071】
また、手元現金情報算出手段19は、売買金額情報取得手段11が取得した売買金額情報(
図3に示す例では18,000,000)から、経費等金額情報取得手段14が取得した経費等金額情報(
図3に示す例では、お借り入れ返済:6,000,000と、当初経費概算:720,000の合算値)を差し引いた値である一般手元現金情報(上記の例では11,280,000)を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0072】
また、賃貸期間算出手段20は、手元現金情報算出手段19が算出した一般手元現金情報(上記の例では11,280,000)を、賃料金額情報算出手段18が算出した一般賃料金額情報(上記の例では85,000)で除算することで、当該一般手元現金を資金として、当該一般賃料金額により、住宅に住むことが可能な期間を示す値である一般賃貸期間を示す一般賃貸期間情報(上記の例では132)を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0073】
リースバック試算システム1は、保証金の概念が無い一般のリースバックの試算結果と、保証金を設けた本実施形態によるリースバックの試算結果とを対比する比較画面を、表示手段に表示してもよい。
図5は、本発明の実施形態に係るリースバック試算システムによる比較画面の一例を示す図である。
【0074】
リースバック試算システム1は、表示制御手段5により、比較画面を記憶手段10から読み出し、ディスプレイ等の表示手段に表示する。
【0075】
そして、表示制御手段5は、比較画面の「限界賃貸期間(比較)」の行において、一般のリースバックに対応する欄に、賃貸期間算出手段20が算出した一般賃貸期間情報(上記の例では132)に基づく情報(
図5に示す例では132ヶ月)を表示し、保証金を設けた本実施形態によるリースバック(
図5に示す例では保証金リースバック)に対応する欄に、合算情報算出手段22が算出した合算賃貸期間情報(
図4に示す例では223ヶ月)に基づく情報(
図5に示す例では223ヶ月)を表示する。
【0076】
また、表示制御手段5は、比較画面の「当初10年間の家賃支払い総額(比較(含む自己資金))」の行において、一般のリースバックに対応する欄に、賃料金額情報算出手段18が算出した一般賃料金額情報(上記の例では85,000)と別途自己負担可能額情報取得手段15が取得した別途自己負担可能額情報(
図3に示す例では20,000)との合算値に、120(12ヶ月×10年間)を乗算した値に基づく情報(
図5に示す例では12,600,000円)を表示する。
【0077】
また、表示制御手段5は、比較画面の「当初10年間の家賃支払い総額(比較(含む自己資金))」の行において、保証金を設けた本実施形態によるリースバック(
図5に示す例では保証金リースバック)に対応する欄に、合算情報算出手段22が算出した10年間分の合算賃料累計情報に基づく情報(
図5に示す例では6,668,400円)を表示する。この場合、例えば、
図4に示す例では、合算情報算出手段22は、限界賃貸期間シミュレーション画面の賃貸期間情報を示す列(
図4に示す例では、「月数」の列)を1行目から順次累積し、累積した値が120になる行(
図4に示す例では、上から5行目)を特定し、1行目から特定した行までの各行のシミュレーションにおける月額賃料情報(
図4に示す例では、「月額賃料」)に賃貸期間情報(
図4に示す例では、「月数」)を乗算した値を合算した当初10年間合算賃料累計情報を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0078】
上記のリースバック試算システム1の機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータプログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータプログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータプログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信装置(例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス、第3世代、第4世代及び第5世代移動通信システム等の国際電気通信連合の規格に準拠した無線デバイス等))を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0079】
[処理フロー]
図6は、本発明の実施形態に係るリースバック試算システムが実行するリースバック試算処理フローを示す図である。
【0080】
リースバック試算システム1は、例えば、ユーザの操作(例えば、リースバック試算アプリの起動)に基づき、表示制御手段5により、売買金額・賃貸条件入力画面及び限界賃貸期間シミュレーション画面(
図3,4参照)を表示手段に表示する。
【0081】
ステップS1において、売買金額情報取得手段11は、売買金額・賃貸条件入力画面において、ユーザにより、住宅の売買金額として入力された数値を、売買金額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0082】
ステップS2において、保証金額情報取得手段12は、売買金額・賃貸条件入力画面において、ユーザにより、保証金額として入力された数値を、保証金額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0083】
ステップS3において、賃料料率情報取得手段13は、売買金額・賃貸条件入力画面において、ユーザにより、賃料料率として入力された数値を、賃料料率情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0084】
ステップS4において、経費等金額情報取得手段14は、売買金額・賃貸条件入力画面において、ユーザにより、経費等の金額として入力された数値を、経費等金額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0085】
ステップS5において、別途自己負担可能額情報取得手段15は、売買金額・賃貸条件入力画面において、ユーザにより、別途自己負担可能額として入力された数値を、別途自己負担可能額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。
【0086】
ステップS6において、保証金取崩額情報取得手段16は、限界賃貸期間シミュレーション画面(
図3参照)において、ユーザにより、保証金取崩額として入力された数値を、保証金取崩額情報として取得し、記憶手段10に記憶する。また、本ステップにおいて、保証金取崩額情報取得手段16は、保証金額情報から保証金取崩額情報を差し引いた保証金残高情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該保証金残高情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面(
図3参照)の「保証金残高」に対応する欄に表示する。
【0087】
ステップS7において、差引金額算出手段17は、ステップS1で売買金額情報取得手段11が取得した売買金額情報から、ステップS2で保証金額情報取得手段12が取得した保証金額情報を差し引いた値である差引金額情報を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0088】
または、本ステップにおいて、差引金額算出手段17は、ステップS1で売買金額情報取得手段11が取得した売買金額情報から、ステップS6で保証金取崩額情報取得手段16が算出した保証金残高情報を差し引いた値である取崩後差引金額情報を算出し、記憶手段10に記憶する。
【0089】
ステップS8において、賃料金額情報算出手段18は、保証金の取崩前のシミュレーションで、ステップS7で差引金額算出手段17が算出した差引金額情報に、ステップS3で賃料料率情報取得手段13が取得した賃料料率情報を乗算し、12(1年の月数)で除算した値から、ステップS5で別途自己負担可能額情報取得手段15が取得した別途自己負担可能額情報を差し引くことで賃料金額情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該賃料金額情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の1行目の「月額賃料」に対応する欄に表示する。
【0090】
または、本ステップにおいて、賃料金額情報算出手段18は、保証金の取崩後のシミュレーションで、ステップS7で差引金額算出手段17が算出した取崩後差引金額情報に、ステップS3で賃料料率情報取得手段13が取得した賃料料率情報を乗算し、12(1年の月数)で除算した値から、ステップS5で別途自己負担可能額情報取得手段15が取得した別途自己負担可能額情報を差し引くことで賃料金額情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該賃料金額情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の2行目以下の各行の「月額賃料」に対応する欄に表示する。
【0091】
ステップS9において、手元現金情報算出手段19は、保証金の取崩前のシミュレーションで、ステップS1で売買金額情報取得手段11が取得した売買金額情報から、ステップS2で保証金額情報取得手段12が取得した保証金額情報や、ステップS4で経費等金額情報取得手段14が取得した経費等金額情報を差し引いた値である手元現金情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該手元現金情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の1行目の「手元現金」に対応する欄に表示する。
【0092】
または、本ステップにおいて、手元現金情報算出手段19は、手元現金情報から、賃料累計情報算出手段21が直近のシミュレーションで算出した賃料累計情報を差し引いた値に、ステップS6で保証金取崩額情報取得手段16が取得した保証金取崩額情報を加算した値である取崩後手元現金情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該取崩後手元現金情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の2行目以下の「手元現金」に対応する欄に表示する。
【0093】
ステップS10において、賃貸期間算出手段20は、ステップS9で手元現金情報算出手段19が算出した手元現金情報を、ステップS8で賃料金額情報算出手段18が算出した賃料金額情報で除算することで、当該賃料金額により、住宅に住むことが可能な期間を示す値である賃貸期間を示す賃貸期間情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該賃貸期間情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の1行目の「月数」に対応する欄に表示する。
【0094】
または、本ステップにおいて、賃貸期間算出手段20は、ステップS9で手元現金情報算出手段19が算出した取崩後手元現金情報を、ステップS8で賃料金額情報算出手段18が算出した賃料金額情報で除算することで、賃貸期間情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該賃貸期間情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の2行目以下の「月数」に対応する欄に表示する。
【0095】
ステップS11において、賃料累計情報算出手段21は、限界賃貸期間シミュレーション画面の各行のシミュレーション毎に、ステップS8で賃料金額情報算出手段18が算出した賃料金額情報又は取崩後賃料金額情報に、ステップS10で賃貸期間算出手段20が算出した賃貸期間情報を乗算して賃料の累計を示す値である賃料累計情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、当該賃料累計情報を、限界賃貸期間シミュレーション画面の各行の「賃料累計」に対応する欄に表示する。
【0096】
ステップS12において、合算情報算出手段22は、複数のシミュレーションで、ステップS10で賃貸期間算出手段20がそれぞれ算出した、手元現金情報に基づき算出された賃貸期間情報と、取崩後手元現金情報に基づき算出された賃貸期間情報と、を合算した値である合算賃貸期間情報を算出し、記憶手段10に記憶する。また、本ステップにおいて、合算情報算出手段22は、複数のシミュレーションで、ステップS11で賃料累計情報算出手段21がそれぞれ算出した賃料累計情報を合算した値である合算賃料累計情報を算出し、記憶手段10に記憶する。この場合、表示制御手段5は、限界賃貸期間シミュレーション画面において、当該合算賃貸期間情報と、合算賃料累計情報と、を表示する。
【0097】
このようなリースバック試算システム1によれば、住宅の売買金額から保証金額を差し引いた差引金額に基づき、賃料の金額を算出する。
これにより、賃料の金額を算出する基となる金額を抑えることができるので、売買金額全額に基づき賃料の金額を算出した場合に比べて、賃料の金額を抑えたプランの試算が可能となる。
したがって、リースバックに関する試算において、賃料の金額を抑えることが可能なリースバック試算システムを提供できる。
【0098】
また、リースバック試算システム1によれば、売買金額から、少なくとも保証金額を差し引いた手元現金で、賃料を支払うことができる賃貸期間の試算が可能となる。また、その後、支払った賃料の累計値を手元現金から差し引いた値に、保証金を取り崩した保証金取崩額を加えた取崩後手元現金で、賃料を支払うことができる賃貸期間の試算が可能となる。
これにより、例えば、手元現金が無くなった場合、保証金を取り崩しで、賃料を支払うことで、、手元現金だけで賃料を支払う場合に比べ、より長い期間、賃料を支払うことができるプランの試算が可能となる。
【0099】
また、リースバック試算システム1によれば、売買金額から、少なくとも保証金額を差し引いた手元現金で、賃料を支払うことができる賃貸期間と、その後、支払った賃料の累計値を手元現金から差し引いた値に、保証金を取り崩した保証金取崩額を加えた取崩後手元現金で、賃料を支払うことができる賃貸期間と、を合算した合算賃貸期間の試算が可能となる。
これにより、手元現金に加え、保証金を取り崩すことで、どれくらいの期間、賃料を支払うことができるかの試算が可能となる。
【0100】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、リースバック試算システムについて説明したが、本発明においてリースバック試算システムが実行する方法や、リースバック試算システムを各種部として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。
【符号の説明】
【0101】
1 リースバック試算システム
5 表示制御手段
10 記憶手段
11 売買金額情報取得手段
12 保証金額情報取得手段
13 賃料料率情報取得手段
14 経費等金額情報取得手段
15 別途自己負担可能額情報取得手段
16 保証金取崩額情報取得手段
17 差引金額算出手段
18 賃料金額情報算出手段
19 手元現金情報算出手段
20 賃貸期間算出手段
21 賃料累計情報算出手段
22 合算情報算出手段